説明

無線LANカードとICカード認証部とを備える機器、同画像形成装置

【課題】限られた本体スペースの中で無線LANカードユニットとICカード認証ユニットの設置位置の間に要求される間隔の確保を容易に実現し得る無線LANカードとICカード認証部とを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタ本体2の背面側の角隅部の頂部より若干下方に無線LANカードユニット30を挿入するスロットZを設け、プリンタ本体2の対角線x−y上に位置する他の角隅部の頂面近傍にICカード認証ユニット20の内蔵設置スペースXを設ける。スロットZと内蔵設置スペースXとは、間隔が最も大きくなる。電波干渉可能な範囲(r1、r2)が互いに離れ、プリンタ本体2を小型化しても電波干称は生じにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN子機である無線LANカードとICカード認証部とを備える機器、特にプリンタ、ファクシミリ、これらの複合装置等の画像形成装置に関し、詳細にはこれらの装置における無線LANカードとICカード認証部の配置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置、特に会社内などで複数あるいは多数の人が使用者となるプリンタのセキュリティを向上させることや、コストの管理のために、プリンタを使用する部署や個人の認証手段、具体的には非接触式のICカード認証ユニット(ICカードリーダー)が搭載されるようになってきている。ICカードリーダーの搭載方式には、装置本体へ外付けするものや、装置本体内に内蔵するものの両方式がそれぞれ採用されている。
【0003】
このような装置では、ICカードの読み取り情報を無線LANカードを利用して無線通信により送信し、管理装置あるいは管理システムでその情報を受信して利用資格の認証を行い、利用資格が認証された場合にはプリンタが利用でき、認証されなければ使用を不可とすることで、不正な利用を防ぐようにしたシステムを構築できるように構成してある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触式のICカードリーダーは、周知のように、ICカードをICカードリーダーのICカード認証部にかざして認識させているが、ICカードリーダーのアンテナと無線LANカードのアンテナとが近くに位置していると、電波干渉により、双方に通信障害が引き起こされる場合がある(使用する周波数帯、信号の変調方式、通信プロトコル等の種々の通信要素に関係するので必ず障害が発生するものではないとされるが、設計時には要注意の問題である。
【0005】
一方、ICカードリーダーが内蔵、外付けのいずれの配置形態であっても、プリンタ単体機では本体サイズの小型化により、障害が引き起こされにくい距離を確保することが難しいとも言われている。これを回避するために、ICカード検知領域を狭くすると、認証のための利用者の動作に問題が生じることがある。例えば、首にカードを取り付けたストラップを掛けている場合には、利用者が身体を大きく傾けてICカードをリーダーに近づける必要が生じたり、利用者がICカードを手に保持して認証動作を行う場合には、ICカードをリーダー上に置いて作業してしまい、作業終了後に置き忘れてしまうことが生じやすくなると言われている。利用者がICカードを置き忘れた場合には、誰でもプリンタを利用でき、大変問題になる。またもちろんであるが、置き忘れないようにとICカードを常時かざしておくような利用者には非常に利便性が悪くなる。
【0006】
本発明は、限られた本体スペースの中で無線LANカードユニットとICカード認証ユニットの設置位置の間に要求される間隔の確保を容易に実現し得る無線LANカードとICカード認証部とを備える機器、同じく画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、無線LANカードとICカード認証部とを機器本体備える機器において、前記無線LANカードの装着位置と、前記ICカード認証部とを、前記機器本体で相互の間の距離が最長となる対角線上若しくは対角線の極近くに設けることを特徴とする機器である。
【0008】
また本発明の機器においては、前記無線LANカードの装着位置と、前記ICカード認証部とを、それぞれ前記機器本体の上面側の部位に設けたことを特徴とする。
【0009】
また本発明の機器においては、前記無線LANカードの装着位置を前記機器本体の下部側に、前記ICカード認証部を前記機器本体の上面側の部位に設けたことを特徴とする。
【0010】
また本発明の機器においては、前記ICカード認証部に前記ICカード認証ユニットを設けるために、前記機器本体があらかじめ内蔵スペースを備えていることを特徴とする。
【0011】
また本発明の機器においては、ICカード認証ユニットを、前記機器本体の上面に設けたことを特徴とする。
【0012】
また本発明の画像形成装置は、前記いずれかの機器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ICカード認証ユニットと無線LANユニットとの間に障害の発生を防ぐために必要な要求距離の確保が容易になる。
【0014】
またICカード認証ユニットを機器本体内に内蔵すれば盗難防止対策ともし得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ICカード認証の使用形態を示す概念図
【図2】図1に示したプリンタを斜め背面側から見た斜視図
【図3】Cカード認証ユニットを示す斜視図
【図4】本発明の実施例1を示す概念的斜視図
【図5】本発明の実施例2を示す概念的斜視図
【図6】本発明の実施例3を示す概念的斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、無線LANカードユニットが搭載される機器のほぼ対角線位置に、ICカード認証ユニットの外付けまたは内蔵設置スペースを設けることで、限られた機器本体スペース中で障害発生防止に必要な距離の確保を容易にしている。
【0017】
なお、本発明において対象とするICカードにはRFIDタグ等のように類似の構成、機能を有するものをも含むものとする。またしたがって、認証ユニットも、ICカードリーダーだけでなく、類似の構成、機能を有するものを含むものとする。
【実施例】
【0018】
<実施例1>
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は、ICカード認証の使用形態を示す概念図である。プリンタ1の正面右手上部に設けたICカード認証ユニット(図示せず)の内蔵設置スペース(図中矢印Xで示す)に対して、使用者YがICカード10をかざして認証しようとしている。なお図中2はプリンタ本体、3はプリンタの操作部、4は収納した状態の給紙トレイ、5はプリンタ本体上面の排紙部であり、ICカード認証ユニットの内蔵設置スペースXは、プリンタ本体2の上部カバーの正面右上隅内側に設定してある。
【0019】
図2は、図1に示したプリンタ1を斜め背面側から見た斜視図である。ICカード認証ユニットの内蔵設置スペースXとともに、無線LANカードユニットを差し込むためのスロットの位置が符号Zで示してある。なお、ICカード認証ユニットの内蔵設置スペースXは、プリンタ本体2の上部カバー内側に、メカ・リブを避けて確保する。また、図3に示すようなICカード認証ユニット20のケーブル21と端子22(図ではUSB端子のように示してあるが、これには限定されない)とをプリンタ本体2の外へ出しやすいように、プリンタ本体2の例えば背面側の部位には穴を開けやすいような構造としておくことが望ましい。
【0020】
図4は、無線LANカードユニット30が搭載されるプリンタ本体2の筐体のほぼ対角線位置に、ICカード認証ユニット20の内蔵設置スペースXを設けるという本発明の実施例1を示す概念図である。
【0021】
図示のように、プリンタ本体2の背面側の正面から見て左側の角隅部の頂部より若干下方に無線LANカードユニット30を挿入するスロットZが設けてあり、プリンタ本体2の正面側から見て右側の角隅部の頂面近傍にはICカード認証ユニット20の内蔵設置スペースXが設けてある。これら無線LANカードユニット30を挿入するスロットZとICカード認証ユニット20の内蔵設置スペースXとは、図示のようにプリンタ本体2を上方から見た場合に平面上での直線距離での間隔が最も大きくなる(実際にも最長となる)対角線x−y上に、あるいはそのすぐ近傍に位置することになる。
【0022】
すると、図4に環状の線r1、r2で示す電波干渉可能な範囲が、互いに離れる。もともと、これら無線LANカードユニット30やICカード認証ユニット20が生じさせる電波干渉可能範囲は小さいが、プリンタ本体2を小型化しても既述のような電波干称は生じにくくなる。
【0023】
<実施例2>
図5は、本発明の実施例2を示す概念図である。本実施例2も、無線LANカードユニット30が搭載されるプリンタ本体2の筐体のほぼ対角線位置に、ICカード認証ユニット20の内蔵設置スペースXを設けるという点では実施例1と同じであるが、無線LANカードユニット30を挿入するスロットZをプリンタ本体2の筐体の下部側に位置させている点が異なる。
【0024】
なお図5では、この実施例2では、線r1、r2で示す電波干渉可能な範囲があたかも重なり合っているようであるが、プリンタ本体2の上方側から見て平面上に位置するものとして見た場合には直線距離としては同じであるので、図4に示す例と同様に電波干称は生じにくくなる。
【0025】
<実施例3>
なお本発明では、図6に示すように、ICカード認証ユニット20をプリンタ本体2の上面に載置するタイプであっても実施例1、2と同様であり、本発明はこのような外付けの形態を排除するものではない。
【符号の説明】
【0026】
1:プリンタ
2:プリンタ本体
3:プリンタの操作部
4:収納した状態の給紙トレイ
5:排紙部
10:ICカード
20:ICカード認証ユニット
21:ICカード認証ユニットのケーブル
22:同端子
30:無線LANカードユニット
X:ICカード認証ユニットの内蔵設置スペース
Y:使用者
Z:無線LANカードユニットを差し込むスロットの位置
x−y:プリンタ本体の対角線
r1、r2:電波干渉可能な範囲
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2008-183876号公報
【特許文献2】特開2008-135967号公報
【特許文献2】特開2007-080245号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LANカードとICカード認証部とを機器本体備える機器において、
前記無線LANカードの装着位置と、前記ICカード認証部とを、前記機器本体で相互の間の距離が最長となる対角線上若しくは対角線の極近くに設ける、
ことを特徴とする機器。
【請求項2】
請求項1の機器において、
前記無線LANカードの装着位置と、前記ICカード認証部とを、それぞれ前記機器本体の上面側の部位に設けたことを特徴とする機器。
【請求項3】
請求項1の機器において、
前記無線LANカードの装着位置を前記機器本体の下部側に、前記ICカード認証部を前記機器本体の上面側の部位に設けたことを特徴とする機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの機器において、
前記ICカード認証部に前記ICカード認証ユニットを設けるために、前記機器本体があらかじめ内蔵スペースを備えていることを特徴とする機器。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかの機器において、
ICカード認証ユニットを、前記機器本体の上面に設けたことを特徴とする機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの機器であることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−240531(P2011−240531A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112561(P2010−112561)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】