説明

無菌化即席包装湿式おこげの製造方法

本発明は、煎り米と白米そして乾燥おこげを混合して殺菌した後、煎り米から抽出した濃縮液とアマドコロ濃縮液および米澱粉を添加した炊飯水を加えて湿式おこげを製造して、これを無菌状態で密封して蒸熟させた後冷却して無菌化即席包装湿式おこげを製造する方法に関することで、これに伴い、製造された無菌化即席包装湿式おこげは、殺菌工程を経ることによって常温で6ヶ月以上の長期保存が可能で、煎り米およびおこげの香りが広がっておこげ特有の香りが極大化されて、おこげの澱粉が炊飯水で溶出されて一定の濁度を持つことになっておこげの香りが生きていて、広がる性質が優れておこげ固有の食感を特徴で持っていて、伝統的な家庭調理法で製造したおこげ汁と比較して品質的に非常に同等で長期間保存が可能だ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煎った米を利用した無菌化即席包装湿式おこげの製造方法に係り、より具体的には煎り米/おこげと白米を混合して殺菌した後、煎り米から抽出した濃縮液とアマドコロ濃縮液および米澱粉を添加した炊飯水を添加して湿式おこげ(水分含有量55〜60重量%)を製造して、これを無菌状態で密封して蒸熟させた後冷却して即席包装湿式おこげを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的におこげ汁は、家庭でご飯を炊いた後発生したおこげに一定量の水を加えて100℃で10分以上加熱することによって製造される。
【0003】
従来おこげ汁の製造方法では、インスタント即席おこげまたは加熱後摂取する乾燥おこげ形態で製造する方法(大韓民国特許出願第10−1974−1979号、第10−1983−2843号、第10−1984−6509号、第10−1987−9919号、第10−1990−18920号、第10−1991−22412号など)が開始されていて、また、即席おこげ湯の製造方法に対する大韓民国特許出願第10−1993−934号には米または穀類混合物を自動式御飯釜で炊いた後、これをおこげ成形器を使って成形して、このおこげをぬるい水に浸漬して含水率80乃至90重量%になるようにして急速凍結乾燥した後、含水率5重量%以下で真空乾燥して真空包装する即席おこげ湯の製造方法が開始されている。
【0004】
また、おこげ湯を濃縮して殺菌包装して一般家庭で濃縮おこげ湯にお湯を加えておこげ湯を作ることができる濃縮おこげ湯が開始されていて(大韓民国特許出願第10−2003−9247号)、水および白米と玄米を混合して140乃至180℃の温度で等しく加熱蒸熟と煎りが同時に成り立つようにした後、自然乾燥させて製造した即席おこげ湯製品が開始されている(大韓民国実用新案登録出願第20−2005−3671号)。
【0005】
前記のような既存の乾燥おこげに沸いているお湯を加えて食べる形態は家庭食おこげ汁に比べて組織感や香りなどの味品質が大きく落ちて、乾燥おこげを水を加えて沸かして食べる場合にも上の場合よりは品質が優秀だが相変らず香りと組織感に対して不満足な品質を現わす。
【0006】
したがって既存の方式でおこげ汁を製造する場合、長期保存が不可能なだけでなく味品質に対する多くの問題点があった。
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決するための調査と実験を鋭意繰り返した結果、味と香りおよび組織感が優れた品質特性を充足させる本発明の製造方法を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の目的は、煎り米と乾燥おこげ、白米を原料として含水率55〜60重量%の湿式おこげを製造するということにあって無菌化包装工程で製品の安全性を確保して味と組織感および固有の香りが優れて長期間保管可能な即席包装湿式おこげを製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、白米と玄米を混合して焙煎処理して煎り米を製造する段階、白米を洗米して水に浸漬する段階、前記煎り米と白米、乾燥おこげを混合して殺菌する段階、前記煎り米を熱水抽出した液にアマドコロ濃縮液(炊飯水基準1.2重量%)と米澱粉(炊飯水基準1.5重量%)を混合後HTST殺菌して炊飯水を製造する段階、殺菌した煎り米と白米、乾燥おこげ混合物に前記炊飯水を入れて含水率55〜60重量%の湿式おこげを製造する段階および炊飯が完了した後無菌状態で密封して蒸熟させた後冷却して即席包装おこげを製造する段階で成り立った、常温で6ヶ月以上の長期間保存が可能で微生物に対する安定性があるだけでなくおこげ汁固有の香りが生きている無菌化即席包装おこげ湯の製造方法を提供する。
【0010】
本発明で“白米”とは、玄米を12分度以上搗精した米をいう。
【0011】
本発明で“玄米”とは、稲籾の籾殻をはがして7〜8分度で搗精した米をいう。
【0012】
本発明で“煎り米”とは、うるち米を水洗して水に1時間浸漬して水を除去した後ロットで白米を塩と一緒に焙煎した米で水分含有量が5重量%未満であるものをいう。
【0013】
本発明で“乾燥おこげ”とは、白米を水洗して水に1時間浸漬してから炊飯器で水分含有量63重量%のご飯を製造した後おこげ成形器に入れて成形した水分含有量9重量%未満のおこげをいう。
【0014】
本発明で“洗米”とは、米を洗う工程を意味する。
【0015】
本発明で“浸漬”とは、米をふやかす工程をいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明の方法により製造された即席包装湿式おこげは、殺菌工程を経ることによって常温で6ヶ月以上の長期保存が可能で、煎り米の香りと乾燥おこげの香りが広がっておこげ汁特有の香りが極大化されて、米自らの澱粉と追加で投じた米澱粉がおこげ表面に残存することになって、摂食のために水を加えて電子レンジで加熱すると残存している澱粉が溶出されて特有の粘度を持つことになっておこげ汁の香りが生きていて広がり性が優れて食感がやわらかい特徴を持っていて、伝統的な家庭料理式方法で製造したおこげ汁と品質的に非常に同等で長期間保存が可能で食品産業上非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明による煎り米を利用した無菌化即席包装湿式おこげの製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の方法を図1を参考にして各段階別に詳細に説明する。
【0019】
まず、図1に図示したように、うるち米を水洗して水に1時間浸漬してから水気を除去した後、ロースターで白米を塩と一緒に焙煎して水分含有量が5重量%未満の煎り米を製造する。前記焙煎処理は、130乃至145℃で15乃至30分間遂行することが好ましい。
【0020】
続いて、白米を精製水で洗って米粒の表面についている澱粉質とその他不純物などを除去した後、洗米が完了した米を1時間程度浸漬処理して、一定の容器、例えば金網笊に入れて水気を除去する。
【0021】
また、白米を水洗して、1時間浸漬して炊飯器で水分含有量63重量%のご飯を製造した後おこげ成形器に入れて水分含有量9重量%未満のおこげを製造する。
【0022】
一定量の条件で処理した煎り米と浸漬工程を経た白米および乾燥おこげを混合して耐熱性プラスチック容器に満たす。煎り米と白米、乾燥おこげの混合比は、5:1:2が好ましい。
【0023】
煎り米と白米、乾燥おこげが満たされた容器を高温加圧殺菌装置を使って高温、好ましくは140℃以上で、より好ましくは140乃至143℃の温度で4.5乃至5.0秒間の殺菌処理を7乃至8回行って原料米に存在できる微生物に対する殺菌処理を実施する。
【0024】
殺菌条件がとても過度になればおこげ湯の香りが消失するので適当に調整する必要がある。
【0025】
続いて、別途の工程で煎り米を80〜90℃で30分間精製水を使用して熱水抽出して、アマドコロ濃縮液(炊飯水基準1.2重量%)と米澱粉(炊飯水に対して1.5重量%)混合して濾過してHTST[High-temperature short-time](Shin sung社)製品で殺菌して炊飯水を製造する。
【0026】
殺菌が完了した後、煎り米と白米、乾燥おこげが満たされた容器に一定量の炊飯水(最終製品の含水率が55〜60重量%)を満たす。炊飯水が注入された容器を100℃の蒸気温度で30分間炊飯を実施する。
【0027】
この時、煎り米と乾燥おこげ特有の香りが極大化されて、米の澱粉が炊飯水で溶出されて炊飯水に追加で投じた米澱粉により以後の電子レンジ調理時におこげ汁特有の濁度を持つことになる。
【0028】
炊飯が完了した後、無菌化室(Clean room:class 100以下、米国航空宇宙局の“clean roomに対する清浄度規格”1ft内に0.5μm以上の粒子数が100以下)でリードフィルムで密封して蒸熟と冷却そして乾燥工程を経て製品化する。
【0029】
このように製造された無菌化即席包装おこげは、常温で6ヶ月以上の長期保存が可能だ。
【0030】
[実施例]
以下、本発明の好ましい実施形態を下記の実施例を通じて詳細に説明する。だが、本発明がこのような実施例に限定されるのではない。
【0031】
<実施例1>
白米200gを水で5回洗米して水に1時間の間浸漬した後、金網笊に入れて水気を除去した。この白米200gに水160gを添加して30分間加熱しておこげを製造した。このように製造したおこげ20gとご飯20gを水230gと共に入れて10分間加熱しておこげ汁を製造した。
【0032】
<実施例2>
白米200gを水で5回洗米して水に1時間の間浸漬した後、金網笊に入れて水気を除去した。炊飯器で230gの水を入れて水分含有量60〜62重量%のご飯を製造した後おこげ成形器に入れて水分含有量9重量%未満、厚さ5mm未満のおこげを製造した。25℃で4時間の室温乾燥を経た後一定の大きさ(横×縦×高さ:15mm×10mm×5mm)に粉砕した。粉砕されたおこげ60gに100℃の沸騰水300gを入れて5分間維持しておこげ汁を製造した。
【0033】
<実施例3>
実施例2で製造したおこげとおこげを製造するために作った白いご飯を7:3の混合比で混ぜた60gに水800gを入れて100℃で10分間沸かしておこげ汁を製造した。
【0034】
<実施例4>
白米と玄米を塩と共に130〜145℃で焙煎処理して煎り米を収得した。そして実施例2の方法で乾燥おこげを収得した。最後に白米200gを洗浄水で5回洗米して米粒の表面についている澱粉質とその他不純物を除去して、水に1時間の間浸漬した後、金網笊に入れて水気を除去した。
【0035】
前記で浸漬した米35gと煎り米7gと乾燥おこげ14gを容器に入れて高温加圧殺菌装置[(株)shinwa製造]に入れて密閉した後、高圧蒸気を吹き入れて140〜143℃の温度で5.0秒間殺菌した。このような高温蒸気殺菌過程を7回さらに繰り返した。
【0036】
別途の工程で前記で洗米した煎り米50gに水2000gを投じて90℃で30分間熱水抽出した。このように抽出された液にアマドコロ濃縮液(炊飯水基準1.2重量%)、米澱粉(炊飯水基準1.5重量%)を投じて130℃で20秒ほどHTST殺菌を経て炊飯水を製造した。
【0037】
前記で高温蒸気殺菌を終えた後、殺菌された各容器ごとに炊飯水230gを入れて、炊飯器の蒸気温度を100℃で一定に維持しながら30分間湿式おこげを製造した。
【0038】
炊飯が完了した後、無菌状態でリードフィルムで密封して約12分間放置して蒸熟させた後、10℃の水で15分間冷却して製造を終了した。
【0039】
このように製造された無菌包装湿式おこげに水200gを入れて電子レンジで3分間調理しておこげ汁を製造した。
【0040】
<実験例>
前記の実施例1乃至4で製造したおこげ汁に対し各々官能検査を実施してその結果を下記の表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
**CI95重量%で有意差あり。
*官能検査の点数は5点標準を使った。
【0043】
すなわち、非常に良い:5、良い:4、普通:3、悪い:2、非常に悪い:1、で評価した。
【0044】
実施例1は、伝統的な方法でおこげ汁を製造したことでおこげ湯の香ばしい香りが生きていて米粒の組織感も優秀でおこげ湯固有の風味が最も優れた。
【0045】
実施例2のおこげ汁は、即席乾燥おこげに沸いているお湯を入れて摂食する方式であり、便宜性で高い消費者嗜好性を現わした。しかし、おこげの十分な糊化にならなくて組織が固くて丈夫だったし、香味もおこげ固有の風味が顕著に下がっているのを確認することができた。
【0046】
実施例3のおこげ汁は、即席おこげと飯を共に10分程度沸かして摂食する方法であり、おこげの十分な糊化によって組織感が実施例1のおこげ汁に準ずることが明らかになった。しかし香味については、実施例2のおこげ汁の品質とほとんど差がなかった。
【0047】
実施例4のおこげ汁は、本発明で提示した方法で組織感と香味で実施例1のおこげ汁と類似の結果を見せたし、摂食方法に対する消費者嗜好性も良くて実施例2のおこげ汁と差がなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)白米を洗米して水に浸漬して浸漬米を準備する段階;
(b)白米を焙煎処理して煎り米を製造する段階;
(c)乾燥おこげを製造して粉砕する段階;
(d)前記(a)の浸漬米と(b)の煎り米および(c)の乾燥おこげを混合して容器に入れて殺菌する段階;
(e)煎り米を熱水抽出して、その抽出液にアマドコロ濃縮液と米澱粉を追加で投じてHTSTで殺菌して炊飯水を製造する段階;
(f)前記で殺菌した(d)の浸漬米、煎り米および乾燥おこげが混ざり合った容器に前記炊飯水を入れておこげ汁を製造する段階;および
(g)炊飯が完了した後無菌状態で密封して蒸熟させた後冷却して即席無菌包装湿式おこげを製造する段階からなる即席無菌包装湿式おこげの製造方法。
【請求項2】
最終製造されたおこげ汁の水分含有量が55〜60重量%であることを特徴とする請求項1に記載の即席無菌包装湿式おこげの製造方法。
【請求項3】
前記(d)で浸漬米と煎り米および乾燥おこげの混合比が5:1:2であることを特徴とする請求項1に記載の即席無菌包装湿式おこげの製造方法。
【請求項4】
前記(e)で炊飯水を製造する段階において米澱粉を炊飯水を基準として1.5重量%で追加で投じてHTST殺菌することを特徴とする請求項1に記載の即席無菌包装湿式おこげの製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−510293(P2012−510293A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539447(P2011−539447)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007144
【国際公開番号】WO2010/064840
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(507421681)シージェイ チェイルジェダン コーポレーション (24)
【Fターム(参考)】