無針注射器の駆動装置及び無針注射器の駆動装置の駆動方法
【課題】 一度の薬液充填とばね力のチャージ(負荷)で、注射を数回に分割して投与できるようにする。
【解決手段】ノズル5を設けると共にプランジャー4を摺動可能に設けた無針注射器1のシリンジ3を前部に取り付けるケース本体6、このケース本体6に設けられプランジャー4に対向して前側に移動可能に設けられてプランジャー4を押圧可能なピストン14、ケース本体6に設けられてピストン14を前方へ押圧するコイルばね15を備えている、そして圧縮されたコイルばね15の弾力の一部によってコイルばね15を一部伸張させピストン14を前進させてプランジャー4に衝突させた後、コイルばね15をピストン14と共に後退させてプランジャー4とピストン14との間にインパクト用のギャップJを形成した後、再び残っているコイルばね15の弾力によってコイルばね15を伸張させてピストン14を前進させてプランジャー4に衝突させる。
【解決手段】ノズル5を設けると共にプランジャー4を摺動可能に設けた無針注射器1のシリンジ3を前部に取り付けるケース本体6、このケース本体6に設けられプランジャー4に対向して前側に移動可能に設けられてプランジャー4を押圧可能なピストン14、ケース本体6に設けられてピストン14を前方へ押圧するコイルばね15を備えている、そして圧縮されたコイルばね15の弾力の一部によってコイルばね15を一部伸張させピストン14を前進させてプランジャー4に衝突させた後、コイルばね15をピストン14と共に後退させてプランジャー4とピストン14との間にインパクト用のギャップJを形成した後、再び残っているコイルばね15の弾力によってコイルばね15を伸張させてピストン14を前進させてプランジャー4に衝突させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病のインスリン注射や美容整形のプラセンタ注射のような皮下注射などに利用する無針注射器の駆動装置及び無針注射器の駆動装置の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無針注射器は、微小なノズルを先端に設けたシリンジに薬液を収容すると共に、シリンジ内にプランジャーを摺動自在に設けられ、そして、投薬時には、シリンジの基端にばね式駆動装置が装着される。このばね式駆動装置は、バネのエネルギーを用いてプランジャーを押圧して薬液を、皮膚に当てたノズルより噴出するものであった。(例えば特許文献1,2)。
【0003】
ところで、無針注射した薬液の皮膚内の拡散についての研究成果として、薬液が皮膚を貫通するまでの時間はばねケース内のピストンとプランジャーの隙間に依存している。すなわち、ピストンとプランジャーとの隙間を有することで、ばね力に付勢されたピストンは、プランジャー側に衝撃力を付与し、この衝撃力によって薬液が皮膚内で拡散する要件が重要であることが判明している。(例えば非特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−533342号公報
【特許文献2】特開平4−51966号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】橋本 毅:無針注射器の噴射特性における可動部等価質量の影響(2009.3)
【非特許文献2】小西 寛人:分割注射のできる無針注射器の試作,日本機械学会2008年度年次大会 講演論文集,Vol.2,pp19-20(2008.8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術においては、一度の薬液充填につき一回しか薬液を投与できず、また、シリンジは一回の注射ごとに使い捨ててしまう。そのため、長期間或いは長時間の外出時にはシリンジを複数個携帯しなければならない。また、毎回の薬液の充填にはシリンジ内に空気が入らないようにしなければならないので、慎重な作業が必要である。さらには、ばねの圧縮には強い力が必要であり、それを1回の注射ごとに行うことは煩雑な操作であった。
【0007】
また、無針注射器による薬液投与にあっては、上述のようにピストンによってプランジャー側に衝撃力を付与し、この衝撃力によって薬液が皮膚内で拡散することが重要である。
【0008】
解決しようとする問題点は、一度の薬液充填とばね力のチャージ(負荷)で、注射を数回に分割して投与できるようにする点である。また、このような分割投与であっても、それぞれの投与の際にピストンによってプランジャー側に衝撃力を付与できるようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、ノズルを前端に設けると共にプランジャーを摺動可能に設けた無針注射器のシリンジを前部に取り付ける機枠本体と、この機枠本体に設けられ前記プランジャーに対向して前側に移動可能に設けられて前記プランジャーを押圧可能なピストンと、前記機枠本体に設けられて前記ピストンを前方へ押圧するばねとを備え、圧縮された前記ばねを伸張させピストンを前進させて前記プランジャーを押圧する無針注射器の駆動装置において、
前記ばねは、ばね保持部材に設けられると共に、該ばね保持部材と前記ピストンとの間に着脱可能なばね保持部材・ピストン接続手段を介在し、かつ前記ばね保持部材は前記機枠本体に対して後方に摺動可能に設けられ、かつ前記機枠本体と前記ばね保持部材の間に着脱可能な機枠本体・ばね保持部材接続手段を設けたことを特徴とする無針注射器の駆動装置である。
【0010】
請求項2の発明は、前記機枠本体に前記ピストンの複数のピストンストッパーを設け、これらピストンストッパーは前記ピストンの前進方向に対応して設けられると共に、前記ピストンは前記複数のピストンストッパーに選択的に停止対応することを特徴とする請求項1記載の無針注射器の駆動装置である。
【0011】
請求項3の発明は、前記機枠本体に操作体を設け、この操作体に前記ばね保持部材と着脱可能なばね保持部材後退接続手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の無針注射器の駆動装置である。
【0012】
請求項4の発明は、ばね保持部材・ピストン接続手段は、前記機枠本体に投薬操作用のトリガーを設け、前記ピストンと一体なピストン延長部材に前記トリガーが係止可能な複数のトリガー係止受け部を設け、前記トリガーは前記複数のトリガー係止受け部に選択的に係止することを特徴とする請求項3に記載の無針注射器の駆動装置である。
【0013】
請求項5の発明は、前記機枠本体・ばね保持部材接続手段は、前記機枠本体にフックを設け、前記ばね保持部材に前記フックが係止可能な複数のフック係止受け部を設け、前記フックは前記複数のフック係止受け部に選択的に係止することを特徴とする請求項4に記載の無針注射器の駆動装置である。
【0014】
請求項6の発明は、前記複数のピストンストッパーは、前記ピストンに設けられたピストン突起の移動路に配置され、該ピストン突起が選択的に係止することを特徴とする請求項2記載の無針注射器の駆動装置である。
【0015】
請求項7の発明は、前記操作体に、前記ばね保持部材・ピストン接続手段の起動部を設けると共に、前記機枠本体・ばね保持部材接続手段の駆動部を設けたことを特徴とする請求項3記載の無針注射器の駆動装置である。
【0016】
請求項8の発明は、前記操作体は、握り部を備えて前記機枠本体を摺動自在に設けられていることを特徴とする請求項7記載の無針注射器の駆動装置である。
【0017】
請求項9の発明は、ノズルを前端に設けると共にプランジャーを摺動可能に設けた無針注射器のシリンジを前部に取り付ける機枠本体と、この機枠本体に設けられ前記プランジャーに対向して前側に移動可能に設けられて前記プランジャーを押圧可能なピストンと、前記機枠本体に設けられて前記ピストンを前方へ押圧するばねとを備え、圧縮された前記ばねを伸張させピストンを前進させて前記プランジャーを押圧する無針注射器の駆動装置の駆動方法において、圧縮された前記ばねの弾力の一部によって前記ばねを一部伸張させ前記ピストンを前進させて前記プランジャーに衝突させた後、前記ばねを前記ピストンと共に後退させて前記プランジャーと前記ピストンとの間にインパクト用ギャップを形成した後、再び残っている前記ばねの弾力によって前記ばねを伸張させて前記ピストンを前進させて前記プランジャーに衝突させることを特徴とする無針注射器の駆動装置の駆動方法である。
【0018】
請求項10の発明は、前記ばねを前記ピストンと共に繰り返し後退させて前記ピストンを前記プランジャーに複数回衝突させることを特徴とする請求項9記載の無針注射器の駆動装置の駆動方法である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、予めピストンとプランジャーとの間に各回ごとにインパクト用のギャップを形成することができるので、薬液を分散して投与することができる
請求項2の発明によれば、1回バネを圧縮した後にピストンを断続的に前進せしめて、薬液を投与することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、操作体を操作することで、ばね保持部材を後退せしめてギャップを形成することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、トリガーをトリガー係止受け部に選択的に係止することで、確実に投薬することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、フックはフック係止受け部に選択的に係止することで、ギャップを確実に確保することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、ピストンストッパーによって、ピストンを直接停止せしめて誤動作がないようにすることができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、操作体によってばね保持部材・ピストン接続手段、機枠本体・ばね保持部材接続手段を操作することができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、操作体の前後移動によって操作を簡単に行うことができる。
【0026】
請求項9の発明によれば、ばね保持部材を後退させ、そして残っているばねの弾力によってばねを伸張させてピストンを前進させてプランジャーに衝突させることで、投薬ごとにバネを圧縮する必要はなく、分割投薬ができる。
【0027】
請求項10の発明によれば、複数回の分割投薬を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1を示す準備行程を示す概略図である。
【図2】同第1行程を示す概略図である。
【図3】同第2行程を示す概略図である。
【図4】同第3行程を示す概略図である。
【図5】同第4行程を示す概略図である。
【図6】同第5行程を示す概略図である。
【図7】同第6行程を示す概略図である。
【図8】同第7行程を示す概略図である。
【図9】同第8行程を示す概略図である。
【図10】同初期状態の全体縦断面図である。
【図11】同初期状態の全体平断面図である。
【図12】同第1行程の全体縦断面図である。
【図13】同第1行程の全体平断面図である。
【図14】同第2行程の全体縦断面図である。
【図15】同第2行程の全体平断面図である。
【図16】同第3行程の全体縦断面図である。
【図17】同第3行程の全体平断面図である。
【図18】同第4行程の全体縦断面図である。
【図19】同第4行程の全体平断面図である。
【図20】同第7行程の全体縦断面図である。
【図21】同第7行程の一部切り欠き全体平面図である。
【図22】同第8行程の全体縦断面図である。
【図23】同第8行程の全体平断面図である。
【図24】同全体の分解斜視図である。
【図25】同前進運動―回転運動変換機構の分解斜視図である。
【図26】同前進運動―回転運動変換機構の第1行程の斜視図である。
【図27】同前進運動―回転運動変換機構の第2行程の斜視図である。
【図28】同前進運動―回転運動変換機構の第3行程の斜視図である。
【図29】同前進運動―回転運動変換機構の第4行程の斜視図である。
【図30】同前進運動―回転運動変換機構の第5行程の斜視図である。
【図31】同前進運動―回転運動変換機構の第6行程の斜視図である。
【図32】同前進運動―回転運動変換機構の第7行程の斜視図である。
【図33】同前進運動―回転運動変換機構の第8行程の斜視図である。
【図34】同ばね保持部材後退接続手段の第1行程の平断面図である。
【図35】同ばね保持部材後退接続手段の第2行程の平断面図である。
【図36】同ばね保持部材後退接続手段の第3行程の平断面図である。
【図37】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第1行程の正面図である。
【図38】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第2行程の正面図である。
【図39】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第3行程の正面図である。
【図40】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第4行程の正面図である。
【図41】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第5行程の正面図である。
【図42】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第6行程の正面図である。
【図43】本発明の実施例2を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0030】
図1〜42に示す実施例1の無針注射器1の駆動装置2は、例えばインスリン注射に利用するためのものであり、通常インスリン注射は一日に朝食時、昼食時及び夕食時の3回行なうものなので、3回注射ができるものを示している。尚、実際にはシリンジ3を装着した後にシリンジ3内の空気抜きのために最初にわずかにシリンジ3内のプランジャー4を押圧する必要があるので、プランジャー4を押圧する回数としては、空気抜きのためのプランジャー4の初期位置からの第1のストロークA、第1回の投薬となる第1のストロークA後からの第2のストロークB、第2回の投薬となる第2のストロークB後からの第3のストロークC、第3回の投薬となる第3のストロークC後の第4のストロークDの4回のものを示している。
【0031】
無針注射器1は薬液(図示せず)を収容した筒状のシリンジ3の前端にノズル5が設けられると共に、シリンジ3の後端3Bにプランジャー4が摺動自在に突設している。このシリンジ3の後端3Bを接続する駆動装置2の機枠本体であるケース本体6は、円筒状であってその前端6Fの面にシリンジ3の取り付け孔7が設けられ、このシリンジ3の取り付け孔7をプランジャー4が貫通するようになっている。また、ケース本体6の後端6Bは後述するばねケース8が出没できるように開口している。さらにケース本体6の中心軸線9に沿って設けられる周面の前部の左右に後述するピストン突起10の移動路を形成するために前部左右窓孔11、またケース本体6の左右面には後部左右窓孔12(図1〜9においては説明のためケース本体6の下部に図示している。)、周面後部の左右方向に対して直交する一方、図上では上面に後部上面窓孔13が、中心軸線9に沿ってそれぞれ形成されている。
【0032】
ケース本体6内には、該ケース本体6の中心軸線9上に、該中心軸線9に沿って摺動してプランジャー4の後端4Bを押圧可能なピストン14が設けられており、このピストン14は押圧面が中心軸線9と直交する円板状であって、ピストン14の後方にはばね、実施例ではコイルばね15が設けられおり、このコイルばね15によってピストン14、ひいてはプランジャー4を前方へ押圧できるようになっている。
【0033】
ケース本体6の後部に、コイルばね15を収容するばね保持部材としてのばねケース8を内蔵する。このばねケース8は中心軸線9と同軸上の円筒状であって、その外周面はケース本体6の内周面に摺動できるようになっていると共に、この外周面の上部の一部は後部上面窓孔13に臨み、外周面の左右部の一部は後部左右窓孔12に臨むようになっている。またばねケース8の前端8Fは開口していると共に、後端8Bはコイルばね15の後端15Bが当接して固定するように後板部により閉塞している。尚、実施例ではばねケース8の中心軸線9方向の全長は、ケース本体6の全長のほぼ半分の長さに形成されている。
【0034】
さらに、ピストン14をプランジャー4を押圧するための引き金であるトリガー16をばねケース8の上部に設ける。このトリガー16はばねケース8の前側に後部上面窓孔13に常時あらわれるように装着されているものであって、後部16Bが内側向き(中心軸線9側)で前部16Fが外側向き(中心軸線9と反対側)な梃子状であって、その中間部は中心軸線9と長手方向が直交方向にある第1の軸18を介して起伏自在に設けられている。そして、トリガー16が選択的に係止するトリガー係止受け部19,20,21,22をピストン14と一体に設ける。この係止受け部19,20,21,22は、ピストン14の後方に延長したピストン延長部材23に孔を形成することで設けられており、ピストン延長部材23はピストン14の外側に上面窓孔13に対向するように一体に設けられた後方へ向かう、トリガー係止受け部19,20,21,22は、1回目の投薬をする前にトリガー16が係止する第1のトリガー係止受け部19、同様に1〜3回目の注射をする前にトリガー16が係止する第2のトリガー係止受け部20、第3のトリガー係止受け部21、第4のトリガー係止受け部22を備えるものであり、これら第1〜4のトリガー係止受け部19,20,21,22は、ピストン14の上部に設けたピストン延長部材23の後部より前部に向かって間隔をおいて配置されている。また、ピストン延長部材23はピストン14の後方に突設され、ばねケース8の内周面の上部に摺動可能に設けられると共に、内側はコイルばね15に臨んでいる。そして、ばねケース8に起伏方向に回動するトリガー16と、ピストン14が接続されたピストン延長部材23に設けられトリガー16が選択的に係止する第1のトリガー係止受け部19、第2のトリガー係止受け部20、第3のトリガー係止受け部21、第4のトリガー係止受け部22によって、ばねケース8とピストン14との間に、ばねケース8とピストン14とを、選択的に固定、非固定となるように着脱自在に接続するばね保持部材・ピストン接続手段24が設けられている。
【0035】
また、ケース本体6の前部にピストン14を、各ストロークA,B、C,Dに対応させて停止させるピストン14のピストンストッパー28,29,30,31を設ける。このピストン14のピストンストッパー28,29,30,31は、ケース本体6の前部に中心軸線9と同一状に回動自在に外嵌された短円筒形のピストンストッパーリング26によって形成され、その前端26Fはケース本体6の前側板27に回動自在に係止される。一方、ピストンストッパーリング26の後端26Bには、ピストン14を、初期状態から第1のストロークAに対応させて停止させる第1のピストンストッパー28、第1のストロークAに続く第2のストロークBに対応させて停止させる第2のピストンストッパー29、第2のストロークBに続く第3のストロークCに対応させて停止させる第3のピストンストッパー30、第3のストロークCに続く第4のストロークDに対応させて停止させる第4のピストンストッパー31を有するもので、これらはピストン14の外周に外側に向けて突設したピストン突起10が選択的に係止するものであり、次の長さ関係を有する。ピストンストッパーリング26の前端から第1のピストンストッパー28までの長さを第1の長さE、同様に前端から第2のピストンストッパー29、前側板27から第3のピストンストッパー30、前端から第4のピストンストッパー31までの長さを第2の長さF、第3の長さG、第4の長さHとしたとき、第1の長さE、第2の長さF、第3の長さG、第4の長さHの順に短くなっており、そして第1の長さEと第2の長さFの差は、第2のストロークBと等しく、同様に、第2の長さFと第3の長さGの差は、第3のストロークCと等しく、第3の長さGと第4の長さHの差は、第4のストロークDと等しく形成されている。
【0036】
そして、ピストン突起10は左右2箇所に設けられており、このためピストンストッパーでは第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31、第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31のように断続する段状となって円環状に配置されている。
【0037】
尚、このピストンストッパー28,29,30,31は投薬するごとに手動で回転させることでピストン14を所定位置で停止させることができるが、実施例では後述するように前後方向に操作する操作体32の後退運動に連動してピストンストッパーリング26を前後運動―回転運動変換手段33を介して、ピストンストッパーリング26を1/8回転ごとに自動的に回転できるようになっており、このようにすることでピストン突起10が、第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31に選択的に係止できるようになっている。尚、ピストンストッパーリング26の回転角度は、ピストンストッパーの数によって適宜変更される。
【0038】
前記操作体32は、外周を片手で握ることができ、中心軸線9と同軸状のほぼ円筒形の握り部32Bを有し、ケース本体6の後部を外嵌するようにして中心軸線9と同一線状となって前後方向に往復動できるように設けたものであり、操作体32の内周面における左右方向、さらに左右方向に直交する他方にはばねケース8を滑るように摺動するための摺動部材34が設けられている。また、操作体32の内周面にはトリガー16を押圧操作する起動部たる小突起32Aが設けられている。
【0039】
そして、操作体32とばねケース8との間に、インパクトギャップ確保手段であるばね保持部材後退接続手段35を介在する。このばね保持部材後退接続手段35は、ケース本体6に対して操作体32を後方へ移動させたときに、ケース本体6に対してばねケース8を共に後退させて第2〜4回の投薬する前ごとに、プランジャー4とピストン14との間に、インパクト用空隙である第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLを形成するためのものである。尚、シリンジ3内の空気抜きのためにピストン14をプランジャー4に押圧するために第1のギャップIが形成されるようになっている。また、第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLは同じ長さでもよいが、衝撃力を一定に保つためにコイルバネ15のばね定数などの関係から、第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLを順次大きくするようにしてもよい。そして、第2のギャップJは、第2のストロークB、第1の長さEと第2の長さFの差に等しく、また第3のギャップKは、第3のストロークC、第2の長さFと第3の長さGの差に等しく、さらに第4のギャップLは、第4のストロークD、第3の長さGと第4の長さHの差に等しく形成されている。
【0040】
このばね保持部材後退接続手段35は、操作体32の左右両側とばねケース8の左右両側間に左右一対に設けられている。尚、概略断面図では説明上図の下側に図示している。
【0041】
このばね保持部材後退接続手段35は、操作体32の左右両側の内周面に内外方向に回動する爪片36が設けられており、操作体32を後退させたときにこの爪片36が後部左右窓孔12を貫通してばねケース8の左右側面の外周に設けた溝状の爪係止受け部37,38,39,40に順次係止することで、ばねケース8、さらにはピストン14を操作体32と共に後退できるようになっている。爪片36は操作体32に軸方向が上下方向の第2の軸36Aを介して梃子状となって回動自在に設けられていると共に、先鋭な後端36Bがばねケース8の外周面に付勢して圧接するように、爪片36はばね36Sで付勢されている。一方、ばねケース8の左右側面には、後端8Bから前端8Fに向かって爪片36が選択的に係止可能な第1の爪片係止受け部37、第2の爪片係止受け部38、第3の爪片係止受け部39、第4の爪片係止受け部40が間隔をおいて設けられている。そして、操作体32に設けた爪片36とばねケース8に設けられ爪片36が選択的に係止する第1の爪片係止受け部37、第2の爪片係止受け部38、第3の爪片係止受け部39、第4の爪片係止受け部40によって、操作体32を後方に移動したときのみ、該移動に伴ってばねケース8を、第1の爪片係止受け部37、第2の爪片係止受け部38、第3の爪片係止受け部39、第4の爪片係止受け部40に対応して順次後退できるようになっている。
【0042】
さらに、ばね保持部材後退接続手段35によってケース本体6に対して後退させたばねケース8をその状態で着脱自在に接続して固定状態とするフック式保持手段である機枠本体・ばね保持部材接続手段41について説明する。ケース本体6の後端6B側の周面にフック42が回動自在に設けられ、このフック42は軸方向が左右方向に向かう第3の軸43を介して梃子状に設けられており、その前端42Fは前向きで内側に向いており、このフック42の前端42Fは後部上面窓孔13を貫通してばねケース8の上面に設けた溝状のフック係止受け部44,45,46、47に選択的に係止される。一方、第3の軸43の後方に配置されるフック42の後部は外側に向かっている。フック42係止受け部は中心軸線9に沿って後側より前側に向かって第1のフック係止受け部44、第2のフック係止受け部45、第3のフック係止受け部46、第4のフック係止受け部47が間隔をおいて配置されている。尚、フック42は前端42Fが常時内側に付勢されるようにスプリング42Sが設けられている。
【0043】
尚、実施例では操作体32をケース本体6に対して前進さらに後退させることで、フック42を、第1のフック係止受け部44、第2のフック係止受け部45、第3のフック係止受け部46、第4のフック係止受け部47に自動的に順次係止できるようになっている。この自動化機構は、フック42の前端にガイドピン48が、中心軸線9と離間状態で直交するように左右に突設しており、一方操作体32の後部に前記ガイドピン48に対向するように駆動部であるフック誘導爪片49を設ける。フック誘導爪片49は中心軸線9と離間状態で直交し、ガイドピン48よりもやや外側に配置された第4の軸50を介して起伏方向に回動可能に設けられており、そして、フック誘導爪片49は常時その後端が斜め状態で内側に向くように、ばね49Sによって付勢されるようになっており、操作体32を前進させたときにはフック誘導爪片49の後端49Bはガイドピン48の外側を乗り越え(図37,38,39)、その後に操作体32を後退させたときには第1のフック係止受け部44に入り込んで係止状態にあるフック42と一体のガイドピン48の内側に入り込んでフック42の前端42Fを持ち上げることで(図40,41)、フック42を第1のフック係止受け部44との係止状態を解除し、さらなる操作体32の後退によってフック42が第2のフック係止受け部45に入り込んで係止状態になるようになっている。
【0044】
実施例の前後運動−回転運動変換手段33は、図24〜26に示すようにケース本体6の前端6F外周に回動可能に外嵌されたピストンストッパーリング26と、このピストンストッパーリング26の後部に配置される押さえリング51と、操作体32に連結されてピストンストッパーリング26を1/8回転ごとに回動させる回転駆動用リング52を備えている。ピストンストッパーリング26はケース本体6の外周に回動自在に外嵌する円筒部を円周方向に16等分したとき、1〜2等分箇所、3〜4等分箇所、5〜6等分箇所、7〜8等分箇所、9〜10等分箇所、11〜12等分箇所、13〜14等分箇所、15〜16等分箇所の後端に対応して第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31、第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31が設けられ、さらに前端26Fと後端26Bとの中間外周面にそれぞれの等分箇所に対応して後方へ突設する第1の回転三角歯53を設ける。さらに、第1の回転三角歯53の外周における第1、5、9、13等分箇所に前後方向に向かって第2の回転三角歯54を設け、第2の回転三角歯54の頂部後方は中心軸線9と平行で1等分側が一様に傾斜している。これら三角歯などは適宜変更実施される。
【0045】
また、押さえリング51の外周面は第1の回転三角歯53の外周面と同一面状に形成されるものであって、押さえリング51も中心軸線9を中心として16等分された箇所の2等分ごとに後方に突設して第1の回転三角歯53に噛合可能な中間三角歯55を設ける。さらに、押さえリング51の外周に中間突起56を設ける。この中間突起56はひとつ置きごとに中間三角歯55の頂部からやや後退した箇所から後端に中心軸線9と平行に設けられている。
【0046】
回転駆動用リング52は、外周を16等分したうちの1,2等分箇所、3,4等分箇所、5,6等分箇所・・・に前方が先鋭な駆動側三角歯57が設けられると共に、この駆動側三角歯57の頂部の後方は中心軸線9と平行に1等分側が形成されているものであって、この2等分目の内周面に中間突起56が摺動自在な駆動側溝58が中心軸線9と平行に形成されている。そして、この回転駆動用リング52の後端52Bと操作体32の前部、具体的には摺動部材34の前部とが棒状連結部材59によって連結している。
【0047】
したがって、前後運動ー回転運動変換手段33においては、図26に示す状態では第1のピストンストッパー28が前部左右窓孔11に臨んでおり、この第1のピストンストッパー28にピストン14に設けたピストン突起10が係止することで、ピストン14が停止状態になっており、この状態ではピストンストッパーリング26と押さえリング51の第1の回転三角歯53と中間三角歯55がかみ合っている。そして、投薬の動作のために操作体32が前方へ移動すると、それに連動して回転駆動用リング52も前方へ移動する。
【0048】
その後、図27に示すようにピストンストッパーリング26の第2の回転三角歯54と回転駆動用リング52の駆動側三角歯57が接触する。そして、図28に示すように、回転駆動用リング52はさらに前方へ移動してくるため、第2の回転三角歯54と駆動側三角歯57の傾斜によって、直線運動は回転運動に変換され、ピストンストッパーリング26に伝えられる。またピストンストッパーリング26へ伝えられた回転運動は第1の回転三角歯53、中間三角歯55にも作用する。そして、ピストンストッパーリング26が回転すると、押さえリング51が後方へ移動するように、回転運動を直線運動へと再変換する。つまり、回転駆動用リング52の前方への直線運動は、ピストンストッパーリング26を回転させると共に、押さえリング51を後方に直線運動させるという作用をもたらす。
【0049】
図29に示すように、押さえリング51は、中間三角歯55がピストンストッパーリング26の第1の回転三角歯53の頂部を超えるまでは後方へ移動する。そして、図30に示すようにピストンストッパーリング26が回転していくと、動作の途中で第1の回転三角歯53が中間三角歯55の頂部を超える。この時、コイルばね15の弾性力によって回転駆動用リング52は前方へ推し戻される。この時、第1の回転三角歯53、中間三角歯55が噛み合うように力が働くため、ピストンストッパーリング26はその効力によりさらに回転する。ここで第2の回転三角歯54、駆動側三角歯57の接触が終わり、直後に第2の回転三角歯54における中心軸線9と平行な部位と、駆動側三角歯57における中心軸線9と平行な部位が接触する。このような状態では第2のピストンストッパー29が前部左右窓孔11に臨んでいる。
【0050】
次に図31に示すように、その後も回転駆動用リング52は前方へ移動していき、第1の回転三角歯53、中間三角歯55が完全に噛み合うまで動作が続く、この時には操作体32の前方移動操作によってトリガー16が作動されたことで薬液の投与は終了している。
【0051】
このようにして投与が完了した後は、次の噴射のために操作体32を初期位置に戻す。この動作で回転駆動用リング52も後方に移動するが、その際も第2の回転三角歯54における中心軸線9と平行な部位と、駆動側三角歯57における中心軸線9と平行な部位54A,57Aは接触したままである。そして、図33に示すように、前記一対の部位の接触が終わる位置まで回転駆動用リング52が移動すると、押さえリング51はコイルばね15によって前方へ押し出される。この時、第1の回転三角歯53と駆動側三角歯57の傾斜が完全に噛み合うようにピストンストッパーリング26が回転する。このような動作で1回の噴射の動作と次回噴射時のための予備動作が完了する。
【0052】
次に前記構成についてその説明する。
【0053】
図1に示す初期状態にあっては一点鎖線で示す様にピストン14が前側に配置されてばねが伸張状態にあり、この初期状態より実線で示す様にピストン14を後退させると共に、コイルばね15を圧縮する。このような準備行程では、予めケース本体6に設けられたフック42が第1のフック係止受け部44に係止しており、そして取り付け孔7に押し込み棒(図示せず)を挿入することで、ピストン14を後退させると共にコイルばね15をほぼ最大限圧縮し、さらにピストン14と一体のピストン突起10が後退することで、第4のトリガー係止受け部22、第3のトリガー係止受け部21、第2のトリガー係止受け部20を超えてトリガー16が第1のトリガー係止受け部19に係止している。尚、この際、握り操作体32はトリガー16とフック42との間に配置されている。また、ばね保持部材後退接続手段35の爪片36は第1の爪片係止受け部37より後方に位置している。さらに、前部左右窓孔11には第1のピストンストッパー28があらわれるようになっている。
【0054】
次に図2に示す第1行程のように図1の準備行程の完了後に、ケース本体6にシリンジ3を装着する。このシリンジ3の取り付け状態は、シリンジ3の後端3Bより後方に突設しているプランジャー4をケース本体6に差し込むようにするものであって、実施例ではピストン14とプランジャー4の間には第1のギャップIが形成されている。
【0055】
そして、図3に示す第2行程のように操作体32を前方に摺動して移動すると小突起32Aがトリガー16の前部16Fを内側に押圧することで、後部16Bが持ち上がり、トリガー16と第1のピストンストッパー28との係止が解除される。この解除に伴ってコイルばね15が少し伸張してピストン14が第1のギャップIを前進してプランジャー4に衝突した後にこのプランジャー4を前向きに押圧する。このようなピストン14が前進する際、前部左右窓孔11には第1のピストンストッパー28があらわれており、ピストン14の前進時にピストン突起10が第1のピストンストッパー28に係止することで、プランジャー4を押圧したピストン14自体も第1のピストンストッパー28の位置に対応して停止する。また、小突起32Aからの押圧が解除されたトリガー16が第2のトリガー係止受け部20に係止される。そして、ピストン14がプランジャー4に接したときから第1のピストンストッパー28により停止するまでの間ピストン14がプランジャー4を押圧することで、ノズル5より第1回目の薬液を噴出することができる。
【0056】
次に図4に示す第3行程のように第2回目の注射を行う準備として、操作体32をケース本体6に対して後退させると、このケース本体6の後退に伴いフック誘導爪片49がガイドピン48を押し上げてフック42が第1のフック係止受け部44より離脱する。また操作体32を後退させることで、爪片36が第1の爪片係止受け部37に係止して操作体32の後退に伴ってばねケース8をピストン14と共に後退させる。このばねケース8の後退中にあってはフック42の先端がばねケース8の外周を摺動した後にフック42の先端が第2のフック係止受け部45に係止することで、ばねケース8、ひいてはばねケース8にトリガー16、第2のトリガー係止受け部20を介して一体化されているピストン14がプランジャー4の後端4Bよりインパクト用の第2のギャップJが形成される。尚、この状態ではコイルばね15は、圧縮状態であって十分な圧縮力を有している。
【0057】
また、操作体をケース本体6に対して後退させると、フック誘導爪片49がフック42のガイドピン48を乗り越え、また、爪片36はいったん第1の爪片係止受け部37を通過する。この操作体32の前進操作は棒状連結部材59、前進運動ー回転運動変換手段33を介してピストンストッパーリング26を1/8回転させることで、前部左右窓孔11には第2のピストンストッパー29があらわれるようになっている。
【0058】
次に図5に示す第4行程のように、シリンジ3のノズル5を皮膚60に押し当てた状態で、操作体32を前進させると小突起32Aがトリガー16の前端を内側に押圧することで、トリガー16と第2のトリガー16係止部との係止が解除されることで、コイルばね15が伸張することでピストン14は第2のギャップJを一瞬で前進して図4に示した位置のプランジャー4の後端に衝突してプランジャー4を前進させることでノズル5より薬液を噴出し、薬液を皮膚60側に拡散させる。
【0059】
このようにしてプランジャー4を前進させたピストン14は、ピストン突起10が第2のピストンストッパー29に係止することで停止状態となり、また、トリガー16が第3のトリガー係止受け部21に係止される。
【0060】
この後、同様に図6〜9に示す第5〜8行程のようにして、インパクト用の第3のギャップK、第4のギャップLを有して2〜4回目の薬液の噴出を行う。
【0061】
すなわち、図6の第5行程では、操作体32を後退させることで、フック42を第2のフック係止受け部45より係止解除してから第3のフック係止受け部46に係止する。この間に、第2の爪片係止受け部38を脱した爪片36が第3の爪片係止受け部39に係止して操作体32の後退に伴ってばねケース8をピストン14と共に後退させて、インパクト用の第3のギャップKが形成される。さらに、操作体32を後退させることで前部左右窓孔11には第3のピストンストッパー30があらわれるようになっている。尚、トリガー16は第3のトリガー係止受け部21に係止されており、コイルばね15は圧縮状態にあり、圧縮力を有している。
【0062】
図7の第6行程では、操作体32を前進させることにより、小突起32Aがトリガー16の前端を押圧して、トリガー16と第3のトリガー16係止部との係止状態が解除され、コイルばね15が伸張することでピストン14は第3のギャップKを一瞬で前進して図6に示した位置のプランジャー4の後端に衝突してプランジャー4を前進させることでノズル5より薬液を噴出し、薬液を皮膚60側に拡散させる。
【0063】
このようにしてプランジャー4を前進させたピストン14は、ピストン突起10が第3のピストンストッパー30に係止することで停止状態となり、また、トリガー16が第3のトリガー係止受け部21に係止される。
【0064】
図8の第7行程では、操作体32を後退させることで、フック42を第3のフック係止受け部46より係止解除してから第4のフック係止受け部47に係止する。この間に、第3の爪片係止受け部39を脱した爪片36が第4の爪片係止受け部40に係止して操作体32の後退に伴ってばねケース8をピストン14と共に後退させて、インパクト用の第4のギャップLが形成される。さらに、操作体32を後退させることで前部左右窓孔11には第4のピストンストッパー31があらわれるようになっている。尚、トリガー16は第4のトリガー係止受け部22に係止されている。尚、この状態ではコイルばね15は、圧縮状態であって圧縮力が残存している。
【0065】
図9の第8行程では、操作体32を前進させることにより、小突起32Aがトリガー16の前端を押圧して、トリガー16と第4のトリガー16係止部との係止状態が解除され、コイルばね15が伸張することでピストン14は第4のギャップLを一瞬で前進して図8に示した位置のプランジャー4の後端に衝突してプランジャー4をシリンジ3の奥側まで前進させることでノズル5より薬液を噴出し、薬液を皮膚60側に拡散させる。
【0066】
このようにしてプランジャー4を前進させたピストン14は、ピストン突起10が第4のピストンストッパー31に係止することで停止状態となり、また、トリガー16の後端はばねケース8の外周に接している。
【0067】
この後、空になったシリンジ3をケース本体6の取り付け孔7より取り外して、再び図1、2に示すように新たなシリンジ3を取り付け孔7に装着して再び使用するものである。
【0068】
以上のように、前記実施例では、コイルばね15はばねケース8に設けられると共に、該ばねケース8とピストン14との間にばね保持部材・ピストン接続手段24が介在し、かつばねケース8はケース本体6に対して摺動可能に設けられ、かつ機枠本体・ばね保持部材接続手段41を設けたことによって、1回コイルばね15を圧縮した後にプランジャー4を押圧するときに、予めピストン14とプランジャー4との間に各回ごとにインパクト用の第1のギャップI、第2のギャップJ、第3のギャップKを形成することができるので、薬液を分散して投与することができる。したがって、投薬ごとにバネを圧縮する必要はなく駆動装置2にセットされた無針注射器1を携帯することで、例えば食事時に直ちに薬液を投与することなどができる。
【0069】
また、ケース本体6にピストン14のピストンストッパー28,29,30、31を設け、このピストンストッパー28,29,30、31はピストン14の前進方向に対応して設けられると共に、ピストン14はピストンストッパー28,29,30、31に選択的に停止対応することにより、1回バネを圧縮した後にピストン14を断続的に前進せしめて、薬液を投与することができる。
【0070】
さらに、ケース本体6に操作体32を設け、この操作体32にばねケース8と着脱可能なばね保持部材後退接続手段35を設けたことで、操作体32を操作することで、ばねケース8を後退せしめて第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLを形成することができる。
【0071】
また、ばね保持部材・ピストン接続手段24においては、トリガー16を、第2のトリガー係止受け部20、第3のトリガー係止受け部21、第4のトリガー係止受け部22に選択的に係止することで、確実に投薬することができる。
【0072】
さらに、機枠本体・ばね保持部材接続手段41においては、ケース本体6にフック42を設け、ばねケース8にフック42が係止可能な複数の第1のフック係止受け部44、第2のフック係止受け部45、第3のフック係止受け部46、第4のフック係止受け部47を設け、フック42は複数のフック係止受け部44,45,46、47に選択的に係止することで、第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLを確実に確保することができる。
【0073】
また、ピストンストッパー28,29,30、31はピストン14に設けられたピストン突起10の移動路である前部左右窓孔11に配置され、ピストン突起10が選択的に係止するピストンストッパー28,29,30,31であることによって、ピストン14を直接停止せしめて誤動作がないようにすることができる。
【0074】
さらに、操作体32に、ばね保持部材・ピストン接続手段25の起動部たる小突起32Aを設けると共に、機枠本体・ばね保持部材接続手段41の駆動部であるフック誘導爪片49を設けたことで、操作体32によってばね保持部材・ピストン接続手段25、機枠本体・ばね保持部材接続手段41を操作することができる。
【0075】
また、操作体32は、握り部32Bを備えてケース本体6を摺動自在に設けられていることで、操作体32の前後移動によって操作を簡単に行うことができる。
【0076】
しかも、圧縮されたコイルばね15の弾力の一部によってコイルばね15を一部伸張させピストン14を前進させてプランジャー4に衝突させた後、コイルばね15をピストン14と共に後退させてプランジャー4とピストン14との間にインパクト用の第2のギャップJを形成した後、再び残っているコイルばね15の弾力によってコイルばね15を伸張させてピストン14を前進させてプランジャー4に衝突させることで、投薬ごとにバネを圧縮する必要はなく、分割投薬ができる。
【0077】
また、コイルばね15をピストン14と共に繰り返し後退させてピストン14をプランジャー4に複数回衝突させることで、複数回の分割投薬を行うことができる。
【実施例2】
【0078】
図43は実施例2を示しており、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施例2においては、ケース本体6の前側の左右に溝70を中心軸線9に沿って複数間隔をおいて設け、この溝70の適所にストッパー本体71の左右両側に設けられたピストンストッパーピン72を取り付けると共に、ピストンストッパーピン72の内側をケース本体6の内側に突設しておくことで、ピストン14の前進、ひいてはプランジャー4の押し出しを所定長さに設定することができる。
【0079】
このようなストッパー本体71を所定の溝70に差し替えて手動でピストンストッパーを設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように本発明に係る無針注射器の駆動装置は、各種の用途に適用できる。また、プランジャーの押圧回数は4回に限定されず複数回であればよいなど各種の変形が可能である。さらに、ばねはコイルバネに限らず空気ばねなどでよい。
【符号の説明】
【0081】
1 無針注射器
2 駆動装置
3 シリンジ
3B 後端
4 プランジャー
4B 後端
6 ケース本体(機枠本体)
8F 前端
11 前部左右窓孔(移動路)
15 コイルばね(ばね)
16 トリガー
20,21,22 トリガー係止受け部
24 ばね保持部材・ピストン接続手段
25 ばね保持部材・ピストン接続手段
28,29,30、31 ピストンストッパー
32 操作体
32A 小突起(起動部)
32B 握り部
35 ばね保持部材後退接続手段
42 フック
44,45,46,47 フック係止受け部
41 機枠本体・ばね保持部材接続手段
49 フック誘導爪片(駆動部)
I,J,K ギャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病のインスリン注射や美容整形のプラセンタ注射のような皮下注射などに利用する無針注射器の駆動装置及び無針注射器の駆動装置の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無針注射器は、微小なノズルを先端に設けたシリンジに薬液を収容すると共に、シリンジ内にプランジャーを摺動自在に設けられ、そして、投薬時には、シリンジの基端にばね式駆動装置が装着される。このばね式駆動装置は、バネのエネルギーを用いてプランジャーを押圧して薬液を、皮膚に当てたノズルより噴出するものであった。(例えば特許文献1,2)。
【0003】
ところで、無針注射した薬液の皮膚内の拡散についての研究成果として、薬液が皮膚を貫通するまでの時間はばねケース内のピストンとプランジャーの隙間に依存している。すなわち、ピストンとプランジャーとの隙間を有することで、ばね力に付勢されたピストンは、プランジャー側に衝撃力を付与し、この衝撃力によって薬液が皮膚内で拡散する要件が重要であることが判明している。(例えば非特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−533342号公報
【特許文献2】特開平4−51966号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】橋本 毅:無針注射器の噴射特性における可動部等価質量の影響(2009.3)
【非特許文献2】小西 寛人:分割注射のできる無針注射器の試作,日本機械学会2008年度年次大会 講演論文集,Vol.2,pp19-20(2008.8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術においては、一度の薬液充填につき一回しか薬液を投与できず、また、シリンジは一回の注射ごとに使い捨ててしまう。そのため、長期間或いは長時間の外出時にはシリンジを複数個携帯しなければならない。また、毎回の薬液の充填にはシリンジ内に空気が入らないようにしなければならないので、慎重な作業が必要である。さらには、ばねの圧縮には強い力が必要であり、それを1回の注射ごとに行うことは煩雑な操作であった。
【0007】
また、無針注射器による薬液投与にあっては、上述のようにピストンによってプランジャー側に衝撃力を付与し、この衝撃力によって薬液が皮膚内で拡散することが重要である。
【0008】
解決しようとする問題点は、一度の薬液充填とばね力のチャージ(負荷)で、注射を数回に分割して投与できるようにする点である。また、このような分割投与であっても、それぞれの投与の際にピストンによってプランジャー側に衝撃力を付与できるようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、ノズルを前端に設けると共にプランジャーを摺動可能に設けた無針注射器のシリンジを前部に取り付ける機枠本体と、この機枠本体に設けられ前記プランジャーに対向して前側に移動可能に設けられて前記プランジャーを押圧可能なピストンと、前記機枠本体に設けられて前記ピストンを前方へ押圧するばねとを備え、圧縮された前記ばねを伸張させピストンを前進させて前記プランジャーを押圧する無針注射器の駆動装置において、
前記ばねは、ばね保持部材に設けられると共に、該ばね保持部材と前記ピストンとの間に着脱可能なばね保持部材・ピストン接続手段を介在し、かつ前記ばね保持部材は前記機枠本体に対して後方に摺動可能に設けられ、かつ前記機枠本体と前記ばね保持部材の間に着脱可能な機枠本体・ばね保持部材接続手段を設けたことを特徴とする無針注射器の駆動装置である。
【0010】
請求項2の発明は、前記機枠本体に前記ピストンの複数のピストンストッパーを設け、これらピストンストッパーは前記ピストンの前進方向に対応して設けられると共に、前記ピストンは前記複数のピストンストッパーに選択的に停止対応することを特徴とする請求項1記載の無針注射器の駆動装置である。
【0011】
請求項3の発明は、前記機枠本体に操作体を設け、この操作体に前記ばね保持部材と着脱可能なばね保持部材後退接続手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の無針注射器の駆動装置である。
【0012】
請求項4の発明は、ばね保持部材・ピストン接続手段は、前記機枠本体に投薬操作用のトリガーを設け、前記ピストンと一体なピストン延長部材に前記トリガーが係止可能な複数のトリガー係止受け部を設け、前記トリガーは前記複数のトリガー係止受け部に選択的に係止することを特徴とする請求項3に記載の無針注射器の駆動装置である。
【0013】
請求項5の発明は、前記機枠本体・ばね保持部材接続手段は、前記機枠本体にフックを設け、前記ばね保持部材に前記フックが係止可能な複数のフック係止受け部を設け、前記フックは前記複数のフック係止受け部に選択的に係止することを特徴とする請求項4に記載の無針注射器の駆動装置である。
【0014】
請求項6の発明は、前記複数のピストンストッパーは、前記ピストンに設けられたピストン突起の移動路に配置され、該ピストン突起が選択的に係止することを特徴とする請求項2記載の無針注射器の駆動装置である。
【0015】
請求項7の発明は、前記操作体に、前記ばね保持部材・ピストン接続手段の起動部を設けると共に、前記機枠本体・ばね保持部材接続手段の駆動部を設けたことを特徴とする請求項3記載の無針注射器の駆動装置である。
【0016】
請求項8の発明は、前記操作体は、握り部を備えて前記機枠本体を摺動自在に設けられていることを特徴とする請求項7記載の無針注射器の駆動装置である。
【0017】
請求項9の発明は、ノズルを前端に設けると共にプランジャーを摺動可能に設けた無針注射器のシリンジを前部に取り付ける機枠本体と、この機枠本体に設けられ前記プランジャーに対向して前側に移動可能に設けられて前記プランジャーを押圧可能なピストンと、前記機枠本体に設けられて前記ピストンを前方へ押圧するばねとを備え、圧縮された前記ばねを伸張させピストンを前進させて前記プランジャーを押圧する無針注射器の駆動装置の駆動方法において、圧縮された前記ばねの弾力の一部によって前記ばねを一部伸張させ前記ピストンを前進させて前記プランジャーに衝突させた後、前記ばねを前記ピストンと共に後退させて前記プランジャーと前記ピストンとの間にインパクト用ギャップを形成した後、再び残っている前記ばねの弾力によって前記ばねを伸張させて前記ピストンを前進させて前記プランジャーに衝突させることを特徴とする無針注射器の駆動装置の駆動方法である。
【0018】
請求項10の発明は、前記ばねを前記ピストンと共に繰り返し後退させて前記ピストンを前記プランジャーに複数回衝突させることを特徴とする請求項9記載の無針注射器の駆動装置の駆動方法である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、予めピストンとプランジャーとの間に各回ごとにインパクト用のギャップを形成することができるので、薬液を分散して投与することができる
請求項2の発明によれば、1回バネを圧縮した後にピストンを断続的に前進せしめて、薬液を投与することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、操作体を操作することで、ばね保持部材を後退せしめてギャップを形成することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、トリガーをトリガー係止受け部に選択的に係止することで、確実に投薬することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、フックはフック係止受け部に選択的に係止することで、ギャップを確実に確保することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、ピストンストッパーによって、ピストンを直接停止せしめて誤動作がないようにすることができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、操作体によってばね保持部材・ピストン接続手段、機枠本体・ばね保持部材接続手段を操作することができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、操作体の前後移動によって操作を簡単に行うことができる。
【0026】
請求項9の発明によれば、ばね保持部材を後退させ、そして残っているばねの弾力によってばねを伸張させてピストンを前進させてプランジャーに衝突させることで、投薬ごとにバネを圧縮する必要はなく、分割投薬ができる。
【0027】
請求項10の発明によれば、複数回の分割投薬を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1を示す準備行程を示す概略図である。
【図2】同第1行程を示す概略図である。
【図3】同第2行程を示す概略図である。
【図4】同第3行程を示す概略図である。
【図5】同第4行程を示す概略図である。
【図6】同第5行程を示す概略図である。
【図7】同第6行程を示す概略図である。
【図8】同第7行程を示す概略図である。
【図9】同第8行程を示す概略図である。
【図10】同初期状態の全体縦断面図である。
【図11】同初期状態の全体平断面図である。
【図12】同第1行程の全体縦断面図である。
【図13】同第1行程の全体平断面図である。
【図14】同第2行程の全体縦断面図である。
【図15】同第2行程の全体平断面図である。
【図16】同第3行程の全体縦断面図である。
【図17】同第3行程の全体平断面図である。
【図18】同第4行程の全体縦断面図である。
【図19】同第4行程の全体平断面図である。
【図20】同第7行程の全体縦断面図である。
【図21】同第7行程の一部切り欠き全体平面図である。
【図22】同第8行程の全体縦断面図である。
【図23】同第8行程の全体平断面図である。
【図24】同全体の分解斜視図である。
【図25】同前進運動―回転運動変換機構の分解斜視図である。
【図26】同前進運動―回転運動変換機構の第1行程の斜視図である。
【図27】同前進運動―回転運動変換機構の第2行程の斜視図である。
【図28】同前進運動―回転運動変換機構の第3行程の斜視図である。
【図29】同前進運動―回転運動変換機構の第4行程の斜視図である。
【図30】同前進運動―回転運動変換機構の第5行程の斜視図である。
【図31】同前進運動―回転運動変換機構の第6行程の斜視図である。
【図32】同前進運動―回転運動変換機構の第7行程の斜視図である。
【図33】同前進運動―回転運動変換機構の第8行程の斜視図である。
【図34】同ばね保持部材後退接続手段の第1行程の平断面図である。
【図35】同ばね保持部材後退接続手段の第2行程の平断面図である。
【図36】同ばね保持部材後退接続手段の第3行程の平断面図である。
【図37】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第1行程の正面図である。
【図38】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第2行程の正面図である。
【図39】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第3行程の正面図である。
【図40】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第4行程の正面図である。
【図41】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第5行程の正面図である。
【図42】同機枠本体・ばね保持部材接続手段の第6行程の正面図である。
【図43】本発明の実施例2を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0030】
図1〜42に示す実施例1の無針注射器1の駆動装置2は、例えばインスリン注射に利用するためのものであり、通常インスリン注射は一日に朝食時、昼食時及び夕食時の3回行なうものなので、3回注射ができるものを示している。尚、実際にはシリンジ3を装着した後にシリンジ3内の空気抜きのために最初にわずかにシリンジ3内のプランジャー4を押圧する必要があるので、プランジャー4を押圧する回数としては、空気抜きのためのプランジャー4の初期位置からの第1のストロークA、第1回の投薬となる第1のストロークA後からの第2のストロークB、第2回の投薬となる第2のストロークB後からの第3のストロークC、第3回の投薬となる第3のストロークC後の第4のストロークDの4回のものを示している。
【0031】
無針注射器1は薬液(図示せず)を収容した筒状のシリンジ3の前端にノズル5が設けられると共に、シリンジ3の後端3Bにプランジャー4が摺動自在に突設している。このシリンジ3の後端3Bを接続する駆動装置2の機枠本体であるケース本体6は、円筒状であってその前端6Fの面にシリンジ3の取り付け孔7が設けられ、このシリンジ3の取り付け孔7をプランジャー4が貫通するようになっている。また、ケース本体6の後端6Bは後述するばねケース8が出没できるように開口している。さらにケース本体6の中心軸線9に沿って設けられる周面の前部の左右に後述するピストン突起10の移動路を形成するために前部左右窓孔11、またケース本体6の左右面には後部左右窓孔12(図1〜9においては説明のためケース本体6の下部に図示している。)、周面後部の左右方向に対して直交する一方、図上では上面に後部上面窓孔13が、中心軸線9に沿ってそれぞれ形成されている。
【0032】
ケース本体6内には、該ケース本体6の中心軸線9上に、該中心軸線9に沿って摺動してプランジャー4の後端4Bを押圧可能なピストン14が設けられており、このピストン14は押圧面が中心軸線9と直交する円板状であって、ピストン14の後方にはばね、実施例ではコイルばね15が設けられおり、このコイルばね15によってピストン14、ひいてはプランジャー4を前方へ押圧できるようになっている。
【0033】
ケース本体6の後部に、コイルばね15を収容するばね保持部材としてのばねケース8を内蔵する。このばねケース8は中心軸線9と同軸上の円筒状であって、その外周面はケース本体6の内周面に摺動できるようになっていると共に、この外周面の上部の一部は後部上面窓孔13に臨み、外周面の左右部の一部は後部左右窓孔12に臨むようになっている。またばねケース8の前端8Fは開口していると共に、後端8Bはコイルばね15の後端15Bが当接して固定するように後板部により閉塞している。尚、実施例ではばねケース8の中心軸線9方向の全長は、ケース本体6の全長のほぼ半分の長さに形成されている。
【0034】
さらに、ピストン14をプランジャー4を押圧するための引き金であるトリガー16をばねケース8の上部に設ける。このトリガー16はばねケース8の前側に後部上面窓孔13に常時あらわれるように装着されているものであって、後部16Bが内側向き(中心軸線9側)で前部16Fが外側向き(中心軸線9と反対側)な梃子状であって、その中間部は中心軸線9と長手方向が直交方向にある第1の軸18を介して起伏自在に設けられている。そして、トリガー16が選択的に係止するトリガー係止受け部19,20,21,22をピストン14と一体に設ける。この係止受け部19,20,21,22は、ピストン14の後方に延長したピストン延長部材23に孔を形成することで設けられており、ピストン延長部材23はピストン14の外側に上面窓孔13に対向するように一体に設けられた後方へ向かう、トリガー係止受け部19,20,21,22は、1回目の投薬をする前にトリガー16が係止する第1のトリガー係止受け部19、同様に1〜3回目の注射をする前にトリガー16が係止する第2のトリガー係止受け部20、第3のトリガー係止受け部21、第4のトリガー係止受け部22を備えるものであり、これら第1〜4のトリガー係止受け部19,20,21,22は、ピストン14の上部に設けたピストン延長部材23の後部より前部に向かって間隔をおいて配置されている。また、ピストン延長部材23はピストン14の後方に突設され、ばねケース8の内周面の上部に摺動可能に設けられると共に、内側はコイルばね15に臨んでいる。そして、ばねケース8に起伏方向に回動するトリガー16と、ピストン14が接続されたピストン延長部材23に設けられトリガー16が選択的に係止する第1のトリガー係止受け部19、第2のトリガー係止受け部20、第3のトリガー係止受け部21、第4のトリガー係止受け部22によって、ばねケース8とピストン14との間に、ばねケース8とピストン14とを、選択的に固定、非固定となるように着脱自在に接続するばね保持部材・ピストン接続手段24が設けられている。
【0035】
また、ケース本体6の前部にピストン14を、各ストロークA,B、C,Dに対応させて停止させるピストン14のピストンストッパー28,29,30,31を設ける。このピストン14のピストンストッパー28,29,30,31は、ケース本体6の前部に中心軸線9と同一状に回動自在に外嵌された短円筒形のピストンストッパーリング26によって形成され、その前端26Fはケース本体6の前側板27に回動自在に係止される。一方、ピストンストッパーリング26の後端26Bには、ピストン14を、初期状態から第1のストロークAに対応させて停止させる第1のピストンストッパー28、第1のストロークAに続く第2のストロークBに対応させて停止させる第2のピストンストッパー29、第2のストロークBに続く第3のストロークCに対応させて停止させる第3のピストンストッパー30、第3のストロークCに続く第4のストロークDに対応させて停止させる第4のピストンストッパー31を有するもので、これらはピストン14の外周に外側に向けて突設したピストン突起10が選択的に係止するものであり、次の長さ関係を有する。ピストンストッパーリング26の前端から第1のピストンストッパー28までの長さを第1の長さE、同様に前端から第2のピストンストッパー29、前側板27から第3のピストンストッパー30、前端から第4のピストンストッパー31までの長さを第2の長さF、第3の長さG、第4の長さHとしたとき、第1の長さE、第2の長さF、第3の長さG、第4の長さHの順に短くなっており、そして第1の長さEと第2の長さFの差は、第2のストロークBと等しく、同様に、第2の長さFと第3の長さGの差は、第3のストロークCと等しく、第3の長さGと第4の長さHの差は、第4のストロークDと等しく形成されている。
【0036】
そして、ピストン突起10は左右2箇所に設けられており、このためピストンストッパーでは第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31、第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31のように断続する段状となって円環状に配置されている。
【0037】
尚、このピストンストッパー28,29,30,31は投薬するごとに手動で回転させることでピストン14を所定位置で停止させることができるが、実施例では後述するように前後方向に操作する操作体32の後退運動に連動してピストンストッパーリング26を前後運動―回転運動変換手段33を介して、ピストンストッパーリング26を1/8回転ごとに自動的に回転できるようになっており、このようにすることでピストン突起10が、第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31に選択的に係止できるようになっている。尚、ピストンストッパーリング26の回転角度は、ピストンストッパーの数によって適宜変更される。
【0038】
前記操作体32は、外周を片手で握ることができ、中心軸線9と同軸状のほぼ円筒形の握り部32Bを有し、ケース本体6の後部を外嵌するようにして中心軸線9と同一線状となって前後方向に往復動できるように設けたものであり、操作体32の内周面における左右方向、さらに左右方向に直交する他方にはばねケース8を滑るように摺動するための摺動部材34が設けられている。また、操作体32の内周面にはトリガー16を押圧操作する起動部たる小突起32Aが設けられている。
【0039】
そして、操作体32とばねケース8との間に、インパクトギャップ確保手段であるばね保持部材後退接続手段35を介在する。このばね保持部材後退接続手段35は、ケース本体6に対して操作体32を後方へ移動させたときに、ケース本体6に対してばねケース8を共に後退させて第2〜4回の投薬する前ごとに、プランジャー4とピストン14との間に、インパクト用空隙である第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLを形成するためのものである。尚、シリンジ3内の空気抜きのためにピストン14をプランジャー4に押圧するために第1のギャップIが形成されるようになっている。また、第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLは同じ長さでもよいが、衝撃力を一定に保つためにコイルバネ15のばね定数などの関係から、第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLを順次大きくするようにしてもよい。そして、第2のギャップJは、第2のストロークB、第1の長さEと第2の長さFの差に等しく、また第3のギャップKは、第3のストロークC、第2の長さFと第3の長さGの差に等しく、さらに第4のギャップLは、第4のストロークD、第3の長さGと第4の長さHの差に等しく形成されている。
【0040】
このばね保持部材後退接続手段35は、操作体32の左右両側とばねケース8の左右両側間に左右一対に設けられている。尚、概略断面図では説明上図の下側に図示している。
【0041】
このばね保持部材後退接続手段35は、操作体32の左右両側の内周面に内外方向に回動する爪片36が設けられており、操作体32を後退させたときにこの爪片36が後部左右窓孔12を貫通してばねケース8の左右側面の外周に設けた溝状の爪係止受け部37,38,39,40に順次係止することで、ばねケース8、さらにはピストン14を操作体32と共に後退できるようになっている。爪片36は操作体32に軸方向が上下方向の第2の軸36Aを介して梃子状となって回動自在に設けられていると共に、先鋭な後端36Bがばねケース8の外周面に付勢して圧接するように、爪片36はばね36Sで付勢されている。一方、ばねケース8の左右側面には、後端8Bから前端8Fに向かって爪片36が選択的に係止可能な第1の爪片係止受け部37、第2の爪片係止受け部38、第3の爪片係止受け部39、第4の爪片係止受け部40が間隔をおいて設けられている。そして、操作体32に設けた爪片36とばねケース8に設けられ爪片36が選択的に係止する第1の爪片係止受け部37、第2の爪片係止受け部38、第3の爪片係止受け部39、第4の爪片係止受け部40によって、操作体32を後方に移動したときのみ、該移動に伴ってばねケース8を、第1の爪片係止受け部37、第2の爪片係止受け部38、第3の爪片係止受け部39、第4の爪片係止受け部40に対応して順次後退できるようになっている。
【0042】
さらに、ばね保持部材後退接続手段35によってケース本体6に対して後退させたばねケース8をその状態で着脱自在に接続して固定状態とするフック式保持手段である機枠本体・ばね保持部材接続手段41について説明する。ケース本体6の後端6B側の周面にフック42が回動自在に設けられ、このフック42は軸方向が左右方向に向かう第3の軸43を介して梃子状に設けられており、その前端42Fは前向きで内側に向いており、このフック42の前端42Fは後部上面窓孔13を貫通してばねケース8の上面に設けた溝状のフック係止受け部44,45,46、47に選択的に係止される。一方、第3の軸43の後方に配置されるフック42の後部は外側に向かっている。フック42係止受け部は中心軸線9に沿って後側より前側に向かって第1のフック係止受け部44、第2のフック係止受け部45、第3のフック係止受け部46、第4のフック係止受け部47が間隔をおいて配置されている。尚、フック42は前端42Fが常時内側に付勢されるようにスプリング42Sが設けられている。
【0043】
尚、実施例では操作体32をケース本体6に対して前進さらに後退させることで、フック42を、第1のフック係止受け部44、第2のフック係止受け部45、第3のフック係止受け部46、第4のフック係止受け部47に自動的に順次係止できるようになっている。この自動化機構は、フック42の前端にガイドピン48が、中心軸線9と離間状態で直交するように左右に突設しており、一方操作体32の後部に前記ガイドピン48に対向するように駆動部であるフック誘導爪片49を設ける。フック誘導爪片49は中心軸線9と離間状態で直交し、ガイドピン48よりもやや外側に配置された第4の軸50を介して起伏方向に回動可能に設けられており、そして、フック誘導爪片49は常時その後端が斜め状態で内側に向くように、ばね49Sによって付勢されるようになっており、操作体32を前進させたときにはフック誘導爪片49の後端49Bはガイドピン48の外側を乗り越え(図37,38,39)、その後に操作体32を後退させたときには第1のフック係止受け部44に入り込んで係止状態にあるフック42と一体のガイドピン48の内側に入り込んでフック42の前端42Fを持ち上げることで(図40,41)、フック42を第1のフック係止受け部44との係止状態を解除し、さらなる操作体32の後退によってフック42が第2のフック係止受け部45に入り込んで係止状態になるようになっている。
【0044】
実施例の前後運動−回転運動変換手段33は、図24〜26に示すようにケース本体6の前端6F外周に回動可能に外嵌されたピストンストッパーリング26と、このピストンストッパーリング26の後部に配置される押さえリング51と、操作体32に連結されてピストンストッパーリング26を1/8回転ごとに回動させる回転駆動用リング52を備えている。ピストンストッパーリング26はケース本体6の外周に回動自在に外嵌する円筒部を円周方向に16等分したとき、1〜2等分箇所、3〜4等分箇所、5〜6等分箇所、7〜8等分箇所、9〜10等分箇所、11〜12等分箇所、13〜14等分箇所、15〜16等分箇所の後端に対応して第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31、第1のピストンストッパー28、第2のピストンストッパー29、第3のピストンストッパー30、第4のピストンストッパー31が設けられ、さらに前端26Fと後端26Bとの中間外周面にそれぞれの等分箇所に対応して後方へ突設する第1の回転三角歯53を設ける。さらに、第1の回転三角歯53の外周における第1、5、9、13等分箇所に前後方向に向かって第2の回転三角歯54を設け、第2の回転三角歯54の頂部後方は中心軸線9と平行で1等分側が一様に傾斜している。これら三角歯などは適宜変更実施される。
【0045】
また、押さえリング51の外周面は第1の回転三角歯53の外周面と同一面状に形成されるものであって、押さえリング51も中心軸線9を中心として16等分された箇所の2等分ごとに後方に突設して第1の回転三角歯53に噛合可能な中間三角歯55を設ける。さらに、押さえリング51の外周に中間突起56を設ける。この中間突起56はひとつ置きごとに中間三角歯55の頂部からやや後退した箇所から後端に中心軸線9と平行に設けられている。
【0046】
回転駆動用リング52は、外周を16等分したうちの1,2等分箇所、3,4等分箇所、5,6等分箇所・・・に前方が先鋭な駆動側三角歯57が設けられると共に、この駆動側三角歯57の頂部の後方は中心軸線9と平行に1等分側が形成されているものであって、この2等分目の内周面に中間突起56が摺動自在な駆動側溝58が中心軸線9と平行に形成されている。そして、この回転駆動用リング52の後端52Bと操作体32の前部、具体的には摺動部材34の前部とが棒状連結部材59によって連結している。
【0047】
したがって、前後運動ー回転運動変換手段33においては、図26に示す状態では第1のピストンストッパー28が前部左右窓孔11に臨んでおり、この第1のピストンストッパー28にピストン14に設けたピストン突起10が係止することで、ピストン14が停止状態になっており、この状態ではピストンストッパーリング26と押さえリング51の第1の回転三角歯53と中間三角歯55がかみ合っている。そして、投薬の動作のために操作体32が前方へ移動すると、それに連動して回転駆動用リング52も前方へ移動する。
【0048】
その後、図27に示すようにピストンストッパーリング26の第2の回転三角歯54と回転駆動用リング52の駆動側三角歯57が接触する。そして、図28に示すように、回転駆動用リング52はさらに前方へ移動してくるため、第2の回転三角歯54と駆動側三角歯57の傾斜によって、直線運動は回転運動に変換され、ピストンストッパーリング26に伝えられる。またピストンストッパーリング26へ伝えられた回転運動は第1の回転三角歯53、中間三角歯55にも作用する。そして、ピストンストッパーリング26が回転すると、押さえリング51が後方へ移動するように、回転運動を直線運動へと再変換する。つまり、回転駆動用リング52の前方への直線運動は、ピストンストッパーリング26を回転させると共に、押さえリング51を後方に直線運動させるという作用をもたらす。
【0049】
図29に示すように、押さえリング51は、中間三角歯55がピストンストッパーリング26の第1の回転三角歯53の頂部を超えるまでは後方へ移動する。そして、図30に示すようにピストンストッパーリング26が回転していくと、動作の途中で第1の回転三角歯53が中間三角歯55の頂部を超える。この時、コイルばね15の弾性力によって回転駆動用リング52は前方へ推し戻される。この時、第1の回転三角歯53、中間三角歯55が噛み合うように力が働くため、ピストンストッパーリング26はその効力によりさらに回転する。ここで第2の回転三角歯54、駆動側三角歯57の接触が終わり、直後に第2の回転三角歯54における中心軸線9と平行な部位と、駆動側三角歯57における中心軸線9と平行な部位が接触する。このような状態では第2のピストンストッパー29が前部左右窓孔11に臨んでいる。
【0050】
次に図31に示すように、その後も回転駆動用リング52は前方へ移動していき、第1の回転三角歯53、中間三角歯55が完全に噛み合うまで動作が続く、この時には操作体32の前方移動操作によってトリガー16が作動されたことで薬液の投与は終了している。
【0051】
このようにして投与が完了した後は、次の噴射のために操作体32を初期位置に戻す。この動作で回転駆動用リング52も後方に移動するが、その際も第2の回転三角歯54における中心軸線9と平行な部位と、駆動側三角歯57における中心軸線9と平行な部位54A,57Aは接触したままである。そして、図33に示すように、前記一対の部位の接触が終わる位置まで回転駆動用リング52が移動すると、押さえリング51はコイルばね15によって前方へ押し出される。この時、第1の回転三角歯53と駆動側三角歯57の傾斜が完全に噛み合うようにピストンストッパーリング26が回転する。このような動作で1回の噴射の動作と次回噴射時のための予備動作が完了する。
【0052】
次に前記構成についてその説明する。
【0053】
図1に示す初期状態にあっては一点鎖線で示す様にピストン14が前側に配置されてばねが伸張状態にあり、この初期状態より実線で示す様にピストン14を後退させると共に、コイルばね15を圧縮する。このような準備行程では、予めケース本体6に設けられたフック42が第1のフック係止受け部44に係止しており、そして取り付け孔7に押し込み棒(図示せず)を挿入することで、ピストン14を後退させると共にコイルばね15をほぼ最大限圧縮し、さらにピストン14と一体のピストン突起10が後退することで、第4のトリガー係止受け部22、第3のトリガー係止受け部21、第2のトリガー係止受け部20を超えてトリガー16が第1のトリガー係止受け部19に係止している。尚、この際、握り操作体32はトリガー16とフック42との間に配置されている。また、ばね保持部材後退接続手段35の爪片36は第1の爪片係止受け部37より後方に位置している。さらに、前部左右窓孔11には第1のピストンストッパー28があらわれるようになっている。
【0054】
次に図2に示す第1行程のように図1の準備行程の完了後に、ケース本体6にシリンジ3を装着する。このシリンジ3の取り付け状態は、シリンジ3の後端3Bより後方に突設しているプランジャー4をケース本体6に差し込むようにするものであって、実施例ではピストン14とプランジャー4の間には第1のギャップIが形成されている。
【0055】
そして、図3に示す第2行程のように操作体32を前方に摺動して移動すると小突起32Aがトリガー16の前部16Fを内側に押圧することで、後部16Bが持ち上がり、トリガー16と第1のピストンストッパー28との係止が解除される。この解除に伴ってコイルばね15が少し伸張してピストン14が第1のギャップIを前進してプランジャー4に衝突した後にこのプランジャー4を前向きに押圧する。このようなピストン14が前進する際、前部左右窓孔11には第1のピストンストッパー28があらわれており、ピストン14の前進時にピストン突起10が第1のピストンストッパー28に係止することで、プランジャー4を押圧したピストン14自体も第1のピストンストッパー28の位置に対応して停止する。また、小突起32Aからの押圧が解除されたトリガー16が第2のトリガー係止受け部20に係止される。そして、ピストン14がプランジャー4に接したときから第1のピストンストッパー28により停止するまでの間ピストン14がプランジャー4を押圧することで、ノズル5より第1回目の薬液を噴出することができる。
【0056】
次に図4に示す第3行程のように第2回目の注射を行う準備として、操作体32をケース本体6に対して後退させると、このケース本体6の後退に伴いフック誘導爪片49がガイドピン48を押し上げてフック42が第1のフック係止受け部44より離脱する。また操作体32を後退させることで、爪片36が第1の爪片係止受け部37に係止して操作体32の後退に伴ってばねケース8をピストン14と共に後退させる。このばねケース8の後退中にあってはフック42の先端がばねケース8の外周を摺動した後にフック42の先端が第2のフック係止受け部45に係止することで、ばねケース8、ひいてはばねケース8にトリガー16、第2のトリガー係止受け部20を介して一体化されているピストン14がプランジャー4の後端4Bよりインパクト用の第2のギャップJが形成される。尚、この状態ではコイルばね15は、圧縮状態であって十分な圧縮力を有している。
【0057】
また、操作体をケース本体6に対して後退させると、フック誘導爪片49がフック42のガイドピン48を乗り越え、また、爪片36はいったん第1の爪片係止受け部37を通過する。この操作体32の前進操作は棒状連結部材59、前進運動ー回転運動変換手段33を介してピストンストッパーリング26を1/8回転させることで、前部左右窓孔11には第2のピストンストッパー29があらわれるようになっている。
【0058】
次に図5に示す第4行程のように、シリンジ3のノズル5を皮膚60に押し当てた状態で、操作体32を前進させると小突起32Aがトリガー16の前端を内側に押圧することで、トリガー16と第2のトリガー16係止部との係止が解除されることで、コイルばね15が伸張することでピストン14は第2のギャップJを一瞬で前進して図4に示した位置のプランジャー4の後端に衝突してプランジャー4を前進させることでノズル5より薬液を噴出し、薬液を皮膚60側に拡散させる。
【0059】
このようにしてプランジャー4を前進させたピストン14は、ピストン突起10が第2のピストンストッパー29に係止することで停止状態となり、また、トリガー16が第3のトリガー係止受け部21に係止される。
【0060】
この後、同様に図6〜9に示す第5〜8行程のようにして、インパクト用の第3のギャップK、第4のギャップLを有して2〜4回目の薬液の噴出を行う。
【0061】
すなわち、図6の第5行程では、操作体32を後退させることで、フック42を第2のフック係止受け部45より係止解除してから第3のフック係止受け部46に係止する。この間に、第2の爪片係止受け部38を脱した爪片36が第3の爪片係止受け部39に係止して操作体32の後退に伴ってばねケース8をピストン14と共に後退させて、インパクト用の第3のギャップKが形成される。さらに、操作体32を後退させることで前部左右窓孔11には第3のピストンストッパー30があらわれるようになっている。尚、トリガー16は第3のトリガー係止受け部21に係止されており、コイルばね15は圧縮状態にあり、圧縮力を有している。
【0062】
図7の第6行程では、操作体32を前進させることにより、小突起32Aがトリガー16の前端を押圧して、トリガー16と第3のトリガー16係止部との係止状態が解除され、コイルばね15が伸張することでピストン14は第3のギャップKを一瞬で前進して図6に示した位置のプランジャー4の後端に衝突してプランジャー4を前進させることでノズル5より薬液を噴出し、薬液を皮膚60側に拡散させる。
【0063】
このようにしてプランジャー4を前進させたピストン14は、ピストン突起10が第3のピストンストッパー30に係止することで停止状態となり、また、トリガー16が第3のトリガー係止受け部21に係止される。
【0064】
図8の第7行程では、操作体32を後退させることで、フック42を第3のフック係止受け部46より係止解除してから第4のフック係止受け部47に係止する。この間に、第3の爪片係止受け部39を脱した爪片36が第4の爪片係止受け部40に係止して操作体32の後退に伴ってばねケース8をピストン14と共に後退させて、インパクト用の第4のギャップLが形成される。さらに、操作体32を後退させることで前部左右窓孔11には第4のピストンストッパー31があらわれるようになっている。尚、トリガー16は第4のトリガー係止受け部22に係止されている。尚、この状態ではコイルばね15は、圧縮状態であって圧縮力が残存している。
【0065】
図9の第8行程では、操作体32を前進させることにより、小突起32Aがトリガー16の前端を押圧して、トリガー16と第4のトリガー16係止部との係止状態が解除され、コイルばね15が伸張することでピストン14は第4のギャップLを一瞬で前進して図8に示した位置のプランジャー4の後端に衝突してプランジャー4をシリンジ3の奥側まで前進させることでノズル5より薬液を噴出し、薬液を皮膚60側に拡散させる。
【0066】
このようにしてプランジャー4を前進させたピストン14は、ピストン突起10が第4のピストンストッパー31に係止することで停止状態となり、また、トリガー16の後端はばねケース8の外周に接している。
【0067】
この後、空になったシリンジ3をケース本体6の取り付け孔7より取り外して、再び図1、2に示すように新たなシリンジ3を取り付け孔7に装着して再び使用するものである。
【0068】
以上のように、前記実施例では、コイルばね15はばねケース8に設けられると共に、該ばねケース8とピストン14との間にばね保持部材・ピストン接続手段24が介在し、かつばねケース8はケース本体6に対して摺動可能に設けられ、かつ機枠本体・ばね保持部材接続手段41を設けたことによって、1回コイルばね15を圧縮した後にプランジャー4を押圧するときに、予めピストン14とプランジャー4との間に各回ごとにインパクト用の第1のギャップI、第2のギャップJ、第3のギャップKを形成することができるので、薬液を分散して投与することができる。したがって、投薬ごとにバネを圧縮する必要はなく駆動装置2にセットされた無針注射器1を携帯することで、例えば食事時に直ちに薬液を投与することなどができる。
【0069】
また、ケース本体6にピストン14のピストンストッパー28,29,30、31を設け、このピストンストッパー28,29,30、31はピストン14の前進方向に対応して設けられると共に、ピストン14はピストンストッパー28,29,30、31に選択的に停止対応することにより、1回バネを圧縮した後にピストン14を断続的に前進せしめて、薬液を投与することができる。
【0070】
さらに、ケース本体6に操作体32を設け、この操作体32にばねケース8と着脱可能なばね保持部材後退接続手段35を設けたことで、操作体32を操作することで、ばねケース8を後退せしめて第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLを形成することができる。
【0071】
また、ばね保持部材・ピストン接続手段24においては、トリガー16を、第2のトリガー係止受け部20、第3のトリガー係止受け部21、第4のトリガー係止受け部22に選択的に係止することで、確実に投薬することができる。
【0072】
さらに、機枠本体・ばね保持部材接続手段41においては、ケース本体6にフック42を設け、ばねケース8にフック42が係止可能な複数の第1のフック係止受け部44、第2のフック係止受け部45、第3のフック係止受け部46、第4のフック係止受け部47を設け、フック42は複数のフック係止受け部44,45,46、47に選択的に係止することで、第2のギャップJ、第3のギャップK、第4のギャップLを確実に確保することができる。
【0073】
また、ピストンストッパー28,29,30、31はピストン14に設けられたピストン突起10の移動路である前部左右窓孔11に配置され、ピストン突起10が選択的に係止するピストンストッパー28,29,30,31であることによって、ピストン14を直接停止せしめて誤動作がないようにすることができる。
【0074】
さらに、操作体32に、ばね保持部材・ピストン接続手段25の起動部たる小突起32Aを設けると共に、機枠本体・ばね保持部材接続手段41の駆動部であるフック誘導爪片49を設けたことで、操作体32によってばね保持部材・ピストン接続手段25、機枠本体・ばね保持部材接続手段41を操作することができる。
【0075】
また、操作体32は、握り部32Bを備えてケース本体6を摺動自在に設けられていることで、操作体32の前後移動によって操作を簡単に行うことができる。
【0076】
しかも、圧縮されたコイルばね15の弾力の一部によってコイルばね15を一部伸張させピストン14を前進させてプランジャー4に衝突させた後、コイルばね15をピストン14と共に後退させてプランジャー4とピストン14との間にインパクト用の第2のギャップJを形成した後、再び残っているコイルばね15の弾力によってコイルばね15を伸張させてピストン14を前進させてプランジャー4に衝突させることで、投薬ごとにバネを圧縮する必要はなく、分割投薬ができる。
【0077】
また、コイルばね15をピストン14と共に繰り返し後退させてピストン14をプランジャー4に複数回衝突させることで、複数回の分割投薬を行うことができる。
【実施例2】
【0078】
図43は実施例2を示しており、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施例2においては、ケース本体6の前側の左右に溝70を中心軸線9に沿って複数間隔をおいて設け、この溝70の適所にストッパー本体71の左右両側に設けられたピストンストッパーピン72を取り付けると共に、ピストンストッパーピン72の内側をケース本体6の内側に突設しておくことで、ピストン14の前進、ひいてはプランジャー4の押し出しを所定長さに設定することができる。
【0079】
このようなストッパー本体71を所定の溝70に差し替えて手動でピストンストッパーを設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように本発明に係る無針注射器の駆動装置は、各種の用途に適用できる。また、プランジャーの押圧回数は4回に限定されず複数回であればよいなど各種の変形が可能である。さらに、ばねはコイルバネに限らず空気ばねなどでよい。
【符号の説明】
【0081】
1 無針注射器
2 駆動装置
3 シリンジ
3B 後端
4 プランジャー
4B 後端
6 ケース本体(機枠本体)
8F 前端
11 前部左右窓孔(移動路)
15 コイルばね(ばね)
16 トリガー
20,21,22 トリガー係止受け部
24 ばね保持部材・ピストン接続手段
25 ばね保持部材・ピストン接続手段
28,29,30、31 ピストンストッパー
32 操作体
32A 小突起(起動部)
32B 握り部
35 ばね保持部材後退接続手段
42 フック
44,45,46,47 フック係止受け部
41 機枠本体・ばね保持部材接続手段
49 フック誘導爪片(駆動部)
I,J,K ギャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを前端に設けると共にプランジャーを摺動可能に設けた無針注射器のシリンジを前部に取り付ける機枠本体と、この機枠本体に設けられ前記プランジャーに対向して前側に移動可能に設けられて前記プランジャーを押圧可能なピストンと、前記機枠本体に設けられて前記ピストンを前方へ押圧するばねとを備え、圧縮された前記ばねを伸張させピストンを前進させて前記プランジャーを押圧する無針注射器の駆動装置において、
前記ばねは、ばね保持部材に設けられると共に、該ばね保持部材と前記ピストンとの間に着脱可能なばね保持部材・ピストン接続手段を介在し、かつ前記ばね保持部材は前記機枠本体に対して後方に摺動可能に設けられ、かつ前記機枠本体と前記ばね保持部材の間に着脱可能な機枠本体・ばね保持部材接続手段を設けたことを特徴とする無針注射器の駆動装置。
【請求項2】
前記機枠本体に前記ピストンの複数のピストンストッパーを設け、これらピストンストッパーは前記ピストンの前進方向に対応して設けられると共に、前記ピストンは前記複数のピストンストッパーに選択的に停止対応することを特徴とする請求項1記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項3】
前記機枠本体に操作体を設け、この操作体に前記ばね保持部材と着脱可能なばね保持部材後退接続手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項4】
ばね保持部材・ピストン接続手段は、前記機枠本体に投薬操作用のトリガーを設け、前記ピストンと一体なピストン延長部材に前記トリガーが係止可能な複数のトリガー係止受け部を設け、前記トリガーは前記複数のトリガー係止受け部に選択的に係止することを特徴とする請求項3に記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項5】
前記機枠本体・ばね保持部材接続手段は、前記機枠本体にフックを設け、前記ばね保持部材に前記フックが係止可能な複数のフック係止受け部を設け、前記フックは前記複数のフック係止受け部に選択的に係止することを特徴とする請求項4に記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項6】
前記複数のピストンストッパーは、前記ピストンに設けられたピストン突起の移動路に配置され、該ピストン突起が選択的に係止することを特徴とする請求項2記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項7】
前記操作体に、前記ばね保持部材・ピストン接続手段の起動部を設けると共に、前記機枠本体・ばね保持部材接続手段の駆動部を設けたことを特徴とする請求項3記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項8】
前記操作体は、握り部を備えて前記機枠本体を摺動自在に設けられていることを特徴とする請求項7記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項9】
ノズルを前端に設けると共にプランジャーを摺動可能に設けた無針注射器のシリンジを前部に取り付ける機枠本体と、この機枠本体に設けられ前記プランジャーに対向して前側に移動可能に設けられて前記プランジャーを押圧可能なピストンと、前記機枠本体に設けられて前記ピストンを前方へ押圧するばねとを備え、圧縮された前記ばねを伸張させピストンを前進させて前記プランジャーを押圧する無針注射器の駆動装置の駆動方法において、圧縮された前記ばねの弾力の一部によって前記ばねを一部伸張させ前記ピストンを前進させて前記プランジャーに衝突させた後、前記ばねを前記ピストンと共に後退させて前記プランジャーと前記ピストンとの間にインパクト用ギャップを形成した後、再び残っている前記ばねの弾力によって前記ばねを伸張させて前記ピストンを前進させて前記プランジャーに衝突させることを特徴とする無針注射器の駆動装置の駆動方法。
【請求項10】
前記ばねを前記ピストンと共に繰り返し後退させて前記ピストンを前記プランジャーに複数回衝突させることを特徴とする請求項9記載の無針注射器の駆動装置の駆動方法。
【請求項1】
ノズルを前端に設けると共にプランジャーを摺動可能に設けた無針注射器のシリンジを前部に取り付ける機枠本体と、この機枠本体に設けられ前記プランジャーに対向して前側に移動可能に設けられて前記プランジャーを押圧可能なピストンと、前記機枠本体に設けられて前記ピストンを前方へ押圧するばねとを備え、圧縮された前記ばねを伸張させピストンを前進させて前記プランジャーを押圧する無針注射器の駆動装置において、
前記ばねは、ばね保持部材に設けられると共に、該ばね保持部材と前記ピストンとの間に着脱可能なばね保持部材・ピストン接続手段を介在し、かつ前記ばね保持部材は前記機枠本体に対して後方に摺動可能に設けられ、かつ前記機枠本体と前記ばね保持部材の間に着脱可能な機枠本体・ばね保持部材接続手段を設けたことを特徴とする無針注射器の駆動装置。
【請求項2】
前記機枠本体に前記ピストンの複数のピストンストッパーを設け、これらピストンストッパーは前記ピストンの前進方向に対応して設けられると共に、前記ピストンは前記複数のピストンストッパーに選択的に停止対応することを特徴とする請求項1記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項3】
前記機枠本体に操作体を設け、この操作体に前記ばね保持部材と着脱可能なばね保持部材後退接続手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項4】
ばね保持部材・ピストン接続手段は、前記機枠本体に投薬操作用のトリガーを設け、前記ピストンと一体なピストン延長部材に前記トリガーが係止可能な複数のトリガー係止受け部を設け、前記トリガーは前記複数のトリガー係止受け部に選択的に係止することを特徴とする請求項3に記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項5】
前記機枠本体・ばね保持部材接続手段は、前記機枠本体にフックを設け、前記ばね保持部材に前記フックが係止可能な複数のフック係止受け部を設け、前記フックは前記複数のフック係止受け部に選択的に係止することを特徴とする請求項4に記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項6】
前記複数のピストンストッパーは、前記ピストンに設けられたピストン突起の移動路に配置され、該ピストン突起が選択的に係止することを特徴とする請求項2記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項7】
前記操作体に、前記ばね保持部材・ピストン接続手段の起動部を設けると共に、前記機枠本体・ばね保持部材接続手段の駆動部を設けたことを特徴とする請求項3記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項8】
前記操作体は、握り部を備えて前記機枠本体を摺動自在に設けられていることを特徴とする請求項7記載の無針注射器の駆動装置。
【請求項9】
ノズルを前端に設けると共にプランジャーを摺動可能に設けた無針注射器のシリンジを前部に取り付ける機枠本体と、この機枠本体に設けられ前記プランジャーに対向して前側に移動可能に設けられて前記プランジャーを押圧可能なピストンと、前記機枠本体に設けられて前記ピストンを前方へ押圧するばねとを備え、圧縮された前記ばねを伸張させピストンを前進させて前記プランジャーを押圧する無針注射器の駆動装置の駆動方法において、圧縮された前記ばねの弾力の一部によって前記ばねを一部伸張させ前記ピストンを前進させて前記プランジャーに衝突させた後、前記ばねを前記ピストンと共に後退させて前記プランジャーと前記ピストンとの間にインパクト用ギャップを形成した後、再び残っている前記ばねの弾力によって前記ばねを伸張させて前記ピストンを前進させて前記プランジャーに衝突させることを特徴とする無針注射器の駆動装置の駆動方法。
【請求項10】
前記ばねを前記ピストンと共に繰り返し後退させて前記ピストンを前記プランジャーに複数回衝突させることを特徴とする請求項9記載の無針注射器の駆動装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公開番号】特開2012−55641(P2012−55641A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204867(P2010−204867)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(304027279)国立大学法人 新潟大学 (310)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(304027279)国立大学法人 新潟大学 (310)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]