説明

無鉛ハンダに於ける鉛含有量の微量定量分析試薬液と比色方法。

【課題】 従来ハンダ中の鉛含有量を調べる場合原子吸光光度計を用いた分析が主体であり、分析精度も高く信頼性もある為RoHS指令でも分析データは原子吸光光度計によるICPデータが要求される。しかしこれには高価な原子吸光光度計が必要で測定に時間と多額の費用が掛かり、リアルタイムで実装ライン中のハンダ槽の鉛の含有量を調べる事は無理である。
【解決手段】 本試験ではTPPS試薬の濃度変更により最適な濃度として見つけた0.04%濃度のTPPS試薬溶液が1ml入った2mlサイズのディスポチューブ(5本以上)とアルミラミ袋に入った鉛含有量0.05%〜0.1%のそれぞれのスタンダードハンダを準備する。同時に同条件で試薬液の入ったディスポチューブにサンプルと適切に選んだ3種のスタンダードを入れ超音波振動で反応を加速させる。それぞれのディスポチューブ内の試薬液の色比較を行いハンダ中の鉛含有はの判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環境問題で重要視されるRoHS指令対象六物質の一つである鉛の含有量を基板実装等の製造ラインのハンダ槽に於いて簡便にリアルタイムで管理できるという特徴を持ち、本発明により電気業界に於ける実装ライン中の無鉛ハンダ槽へのパーツのリード線等から溶出流入する鉛による鉛含有量増加の危険性の簡易管理を容易にし、これにより環境破壊の抑制に役立と確信されるものであり、無鉛ハンダの管理以外の他分野への応用も有用である。
【背景技術】
【0002】
RoHS指令で六物質に関して電気製品の製造に関する材料は必ずと言っても過言で無い様にICPデータの提出が要求される昨今、ハンダ中の鉛含有量などを調べる方法としては次に上げる四種及び簡便法一種が在る、原子吸光分析・ICP発光分析・発光分光分析・蛍光X線分析と精度は落ちるが簡便と言われているマルコム製の熱分析装置があります。しかしこの一番安価なマルコム製の機械ですらライン配備には価格も精度も操作性もまだまだ問題が多く、RoHS指令では分析データとしてはICPデータを要求される。しかし、この分析方法をライン管理に使用するには時間と費用が掛かりすぎる為不適切である、リアルタイムで実装ライン中のハンダ槽の鉛の含有量を調べられ、簡単で費用が掛からないものが必要であった。
【非特許文献1】 同仁化学研究所の製品紹介中のTPPS試薬の性質・規格等
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上に述べた従来の測定方法では、分析に費用と時間が掛かり実用的ではなかった、
【0004】
本発明は、昨今のRoHS指令による対象六物質の管理が厳しくなり分析に時用と費用が掛かっている問題を解決しようとするものであり、基板実装ライン中のハンダ槽に於ける鉛含有量の定量分析法として、リアルタイム化と低価格化の実現を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、本発明は上記目的を達成するために、pH調整したカルボン酸の水溶液で液色の変化が見やすい濃度としたTPPS試薬を用い特殊なキレート剤等で錫イオン及び銅イオン等をブロックし鉛以外の妨害イオンの影響を排除し、0.1%未満の無鉛ハンダに於いて0.01%オーダーの精度で鉛含有量を比色定量分析に成功した、この比色試薬液を使用する事により一般的な試験方法とは異なり簡単な試薬液色の変化で鉛含有量を直接定量する試薬液にしたものである。
【0006】
また、比色試薬液の鉛との反応速度を速める方法は加熱等数種類が考えられるが、超音波振動が最も有効と判断した、故に超音波振動を利用する超音波反応加速が基板実装ラインに於けるハンダ槽の鉛含有量の簡易測定方法には必要不可欠であり、ISO管理の観点からも試薬液の色変化をデータに残す必要がある。分光光度計により透過光の波長分布の変化を数値化すれば管理可能となる比色方法で、高速・低コスト・高精度の簡易分析方法を構成した。
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明のTPPS調整試薬はRoHS指令等の環境規制で悩む電気業界に於いて実装基板のハンダ付けラインのハンダ槽の鉛含有量管理が簡単かつ高精度で出来るものを提供できる。
【0008】
比色試薬液と鉛との反応速度を速める方法として超音波振動による反応加速があり、基板実装ライン中のハンダ槽の鉛の含有量の分析時間を短縮する上で多大な効果を発揮した。
【0009】
試験片の表面からの鉛イオンの溶出を加速するには温度よりも超音波振動が有効である事から溶出速度は試験片と試薬液の境膜(液側)厚みを薄くする事が重要で、これにより高度な技術の分析機器のみならず化学分析の有用性が見直された。
【0010】
常にスタンダードとの比色を徹底しサンプル片の加工精度と比色精度の高い測定器の利用によってはもう一桁下のオーダーの分析値まで見極められる測定方法である事も充分に発見された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
採取したサンプルを熱間圧延により20ミクロン程度の箔とし、これを15mm×50mmの大きさにカットし、これをpH2〜pH4(特にpH3が最良)に調整した主鎖の炭素数が5以下のカルボン酸(安全性と安定性からもクエン酸を選択)の水溶液で0.02%〜0.08%(色変化の視認性からも0.04%が最良)の濃度としたTPPS試薬1mlが入った2ml容量の円筒形フタ付きディスポチューブに入れて超音波振動を15分〜30分間与える。同様の処置をした鉛含有量既知の3種のスタンダード箔の入った調整TPPS試薬液の色変化を比較する。ディスポチューブ内の試薬液の色は鉛含有量0(ブランク=試験片無し)でコバルトブルーを呈し、試験片中の鉛含有量が0.05%あたりで緑に変化し、0.1%を超えると黄褐色を呈する。TPPS試薬液の製造に当たっては特殊なキレート剤等で錫イオン及び銅イオン等を、ブロックする事、pHの調整、試薬液の濃度が重要である。
【0012】
又、試薬液の色変化反応を100倍以上に促進するには、超音波洗浄機を利用して超音波を15分間加えることで促進効果が発揮する。更にこの結果を数値にまとめる際の数値化技術には分光器を使った比色計で判定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH調整したカルボン酸の水溶液で液色の変化が見やすい濃度としたTPPS試薬を用い特殊なキレート剤等で錫イオン及び銅イオン等をブロックし鉛以外の妨害イオンの影響を排除し、0.1%未満の無鉛ハンダに於いて0.01%オーダーの精度で鉛含有量を比色定量分析に成功した、この比色試薬液を使用する事により一般的な試験方法とは異なり簡単な試薬液色の変化で鉛含有量を直接定量する試薬液。
【請求項2】
請求項1の試験において比色試薬液の鉛との反応速度を速める方法は加熱等数種類が考えられるが、超音波振動が最も有効と判断した、故に超音波振動を利用する超音波反応加速が基板実装ラインに於けるハンダ槽の鉛含有量の簡易測定方法には必要不可欠であり、ISO管理の観点からも試薬液の色変化をデータに残す必要がある。分光光度計により透過光の波長分布の変化を数値化すれば管理可能となる比色方法。

【公開番号】特開2007−51995(P2007−51995A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269118(P2005−269118)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(505348740)ジー・ダブル・インターナショナル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】