説明

焦点調節装置および撮像装置

【課題】光学系の焦点検出を効率化し、焦点検出に要する時間を短縮できる焦点調節装置を提供する。
【解決手段】焦点調節光学系213を駆動することで焦点状態を変化させる駆動手段231と、像のコントラストに関する評価値を検出することで光学系の焦点検出を行う焦点検出手段170と、焦点調節光学系の駆動可能な速度のうち最大の速度である最大駆動速度を取得する取得手段170と、駆動手段に、焦点調節光学系を所定の範囲および速度で駆動させる第1の駆動動作、または第1の駆動動作と異なる第2の駆動動作を行なわせる制御手段170とを備え、制御手段は、第1の駆動動作を行った結果、所定の範囲において評価値のピークが検出されない場合に、最大駆動速度と、第1の駆動動作における焦点調節光学系の駆動速度である第1の駆動速度とを比較し、該比較結果に基づき、駆動手段に、第1の駆動動作に続いて第2の駆動動作を行なわせるかを決定することを特徴とする焦点調節装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調節装置および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、フォーカスレンズをサーチ駆動させながら、光学系による像のコントラストに関する焦点評価値を取得することにより、光学系の焦点状態を検出する焦点調節装置が知られている。たとえば、特許文献1では、光学系の焦点距離に応じて、焦点評価値を取得する際における、フォーカスレンズのサーチ駆動の態様を異ならせる技術が提案されている。具体的には、上記特許文献1では、光学系の焦点距離が比較的長い場合には、光学系の焦点調節可能範囲も比較的広いと判断し、焦点検出可能な速度でサーチ駆動を行う第1のサーチ駆動を行った後に、第1のサーチ駆動よりもサーチ速度の速い第2のサーチ駆動を行なうことにより、焦点評価値を取得する際における、サーチ駆動に要する時間の短縮を図っている。そして、その一方で、光学系の焦点距離が比較的短い場合には、光学系の焦点調節可能範囲も比較的狭いと判断し、この場合には、サーチ速度の速い第2のサーチ駆動を行なう必要はないため、焦点検出可能な速度でサーチ駆動を行う第1のサーチ駆動のみを行なう構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−249966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、光学系の焦点距離から、光学系の焦点調節可能範囲を判断し、これに基づいて、フォーカスレンズのサーチ駆動の態様を決定するものであるため、次のような問題が生じる場合があった。すなわち、使用するレンズ鏡筒の種類によっては、光学系の焦点距離が比較的長い場合でも、光学系の焦点調節可能範囲が比較的狭い場合もあり、この場合に、上記特許文献1においては、光学系の焦点距離が比較的長いために、光学系の焦点調節可能範囲は比較的広いと判断され、第2のサーチ駆動、および第2のサーチ駆動に続いて、焦点検出可能な速度でサーチ駆動を行う第3のサーチ駆動が行われてしまい、その結果、サーチ駆動に要する時間が長くなってしまう場合があった。また、使用するレンズ鏡筒の種類によっては、光学系の焦点距離が比較的短い場合でも、光学系の焦点調節可能範囲が比較的広い場合もあり、この場合に、上記特許文献1においては、光学系の焦点距離が比較的短いために、光学系の焦点調節可能範囲が比較的狭いと判断され、焦点検出可能な速度でサーチ駆動を行う第1のサーチ駆動のみが行われてしまい、その結果、サーチ駆動に要する時間が長くなってしまう場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、光学系の焦点検出を効率化し、焦点検出に要する時間を短縮できる焦点調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明に係る焦点調節装置は、焦点調節光学系(213)を駆動することで、光学系の焦点状態を変化させる駆動手段(231)と、異なる複数の焦点状態において、前記光学系による像のコントラストに関する評価値を検出することで、前記光学系の焦点検出を行う焦点検出手段(170)と、前記焦点調節光学系の駆動可能な速度のうち最大の速度である最大駆動速度を取得する取得手段(170)と、前記駆動手段に、前記焦点調節光学系を所定の範囲および速度で駆動させる第1の駆動動作、または、前記第1の駆動動作と異なる第2の駆動動作を行なわせる制御手段(170)と、を備え、前記制御手段は、前記第1の駆動動作を行った結果、前記所定の範囲において、前記評価値のピークが検出されない場合に、前記最大駆動速度と、前記第1の駆動動作における前記焦点調節光学系の駆動速度である第1の駆動速度とを比較し、該比較結果に基づいて、前記駆動手段に、前記第1の駆動動作に続いて、前記第2の駆動動作を行なわせるか否かを決定することを特徴とする。
【0008】
[2]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御手段(170)は、前記第1の駆動動作を行った結果、前記所定の範囲において、前記評価値のピークが検出されない場合に、前記最大駆動速度と前記第1の駆動速度とが、最大駆動速度×k1≧第1の駆動速度(但し、0<k1≦1である。)の関係を満たす場合に、前記駆動手段に、前記第1の駆動動作に続いて、前記第2の駆動動作を行なわせるように構成することができる。
【0009】
[3]上記焦点調節装置に係る発明において、前記第1の駆動動作と、前記第2の駆動動作とは、前記焦点調節光学系(213)の駆動速度、および前記焦点調節光学系の駆動範囲が、互いに異なるように構成することができる。
【0010】
[4]上記焦点調節装置に係る発明において、前記第2の駆動動作における前記焦点調節光学系(213)の駆動速度である第2の駆動速度は、前記第1の駆動動作における前記第1の駆動速度よりも、速度が速いように構成することができる。
【0011】
[5]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御手段(170)は、前記第2の駆動動作を行わせないと判断した場合に、駆動範囲を拡大して、前記第1の駆動動作を、前記駆動手段(231)に行わせるように構成することができる。
【0012】
[6]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御手段(170)は、前記第2の駆動動作を行わせると判断した場合に、前記第2の駆動動作に続いて、前記第2の駆動動作とは異なる第3の駆動動作を、前記駆動手段(231)に行わせるように構成することができる。
【0013】
[7]本発明に係る焦点調節装置は、焦点調節光学系(213)を駆動することで、光学系の焦点状態を変化させる駆動手段(231)と、異なる複数の焦点状態において、前記光学系による像のコントラストに関する評価値を検出することで、前記光学系の焦点検出を行う焦点検出手段(170)と、前記焦点検出手段により所定の範囲において前記評価値のピークが検出できない場合に、前記焦点調節光学系(213)の駆動速度を、現在の駆動速度よりも速い速度に変更するように、前記駆動手段に指示する制御手段(170)と、前記制御手段により前記焦点調節光学系の駆動速度の変更指示が行われた場合に、前記変更指示前の前記焦点調節光学系の駆動速度である指示前駆動速度と、前記変更指示後の前記焦点調節光学系の駆動速度である指示後駆動速度とを比較し、該比較結果に基づき、前記指示後駆動速度が、合焦位置を検出できる速度であるか否かを判断する判断手段(170)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
[8]上記焦点調節装置に係る発明において、前記判断手段(170)は、前記指示前駆動速度と前記指示後駆動速度とが、指示後駆動速度≧指示前駆動速度×k2(但し、k2≧1である。)の関係を満たす場合に、前記指示後駆動速度は、合焦位置を検出できない速度であると判断するように構成することができる。
【0015】
[9]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御手段(170)は、前記指示後駆動速度が合焦位置を検出できない速度であると判断された場合に、前記指示後駆動速度で前記光学系の焦点検出を行わせた後、前記焦点調節光学系(213)の駆動速度を、合焦位置を検出できる速度に変更するように、前記駆動手段(231)に指示するように構成することができる。
【0016】
[10]本発明に係る撮像装置は、上記焦点調節装置を備えることを特徴とする。
【0017】
[11]本発明に係る撮像装置は、上記焦点調節装置と、前記焦点調節光学系(231)を有するレンズ鏡筒(200)と、を備え、前記取得手段(170)は、前記レンズ鏡筒から、前記最大駆動速度を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光学系の焦点検出を効率化し、焦点検出に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、第1実施形態に係るカメラ1の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャート(その1)である。
【図3】図3は、第1実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャート(その2)である。
【図4】図4は、第1実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのグラフである。
【図5】図5は、第1実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのグラフである。
【図6】図6は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャート(その1)である。
【図7】図7は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャート(その2)である。
【図8】図8は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのグラフである。
【図9】図9は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
≪第1実施形態≫
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係るカメラ1を示すブロック図であり、本発明の撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0021】
本実施形態のカメラ1は、図1に示すように、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とから構成される。
【0022】
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213,214、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0023】
フォーカスレンズ213は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って駆動可能に設けられ、フォーカスレンズ用エンコーダ261によってその位置が検出されつつ、フォーカスレンズ駆動モータ231によってその位置が調節される。
【0024】
このフォーカスレンズ213の光軸L1に沿う駆動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒200に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ213を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ231によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ213が光軸L1に沿って直進駆動することになる。なお、レンズ鏡筒200にはフォーカスレンズ213以外のレンズ211,212,214が設けられているが、ここではフォーカスレンズ213を例に挙げて本実施形態を説明する。
【0025】
上述したようにレンズ鏡筒200に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ213は光軸L1方向に直進駆動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ231がレンズ鏡筒200に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ231と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ231の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ213が光軸L1の何れかの方向へ直進駆動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ231の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ213は光軸L1の逆方向へ直進駆動することになる。
【0026】
フォーカスレンズ213の位置はフォーカスレンズ用エンコーダ261によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ213の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒200に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0027】
本実施形態のフォーカスレンズ用エンコーダ261としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の駆動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0028】
フォーカスレンズ213は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ100側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に駆動することができる。ちなみに、フォーカスレンズ用エンコーダ261で検出されたフォーカスレンズ213の現在位置情報は、レンズ制御部250を介して後述するカメラ制御部170へ送出される。そして、フォーカスレンズ213の位置情報に基づいて算出されたフォーカスレンズ213の駆動量が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して送出され、これに基づいて、フォーカスレンズ駆動モータ231は駆動する。
【0029】
また、本実施形態において、レンズ制御部250は、カメラ制御部170の指示により、フォーカスレンズ213を所定のレンズ駆動速度で駆動させるため、レンズ駆動速度に応じた駆動パルス信号を、フォーカスレンズ駆動モータ231に送信する。また、レンズ制御部250は、レンズ制御部250が備えるメモリ(不図示)に、フォーカスレンズ213が駆動可能な速度のうち最大の速度である最大駆動速度を記憶している。
【0030】
ズームレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、ズームレンズ用エンコーダ260によってその位置が検出されつつ、ズームレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。ズームレンズ212の位置は、例えば、撮影者によりレンズ鏡筒200のズーム環(不図示)が回されることによって変化し、それに応じて光学系の焦点距離が変わることとなる。そして、ズームレンズ用エンコーダ230で検出されたズームレンズ212の位置情報は、レンズ制御部250へ送信される。なお、ズームレンズ212の移動機構は、上述のフォーカスレンズ213の移動機構と同様とすればよく、さらに、ズームレンズ用エンコーダ260も、上述のフォーカスレンズ用エンコーダ261と同様のものを用いることができる。
【0031】
絞り220は、光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して絞り駆動部240に送出されることにより行われる。また、カメラボディ100に設けられた操作部150を介したマニュアル操作により設定された開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250に入力される。絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
【0032】
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および位相差式AF検出モジュール160へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮像位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回動に合わせて回転するサブミラー122とを備える。図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮像位置にある状態を二点鎖線で示す。
【0033】
ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮像位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0034】
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137に導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を、固定ミラー140を介して、位相差式AF検出モジュール160へ導く。
【0035】
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ137および位相差式AF検出モジュール160へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ213の焦点状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタンを全押しするとミラー系120が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データを図示しないメモリに保存する。
【0036】
クイックリターンミラー121で反射された被写体からの光束(光軸L2)は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0037】
測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮像画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。測光センサ137で検出された信号はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御に用いられる。
【0038】
一方、カメラボディ100には、被写体からの光束を受光する撮像素子110が、光軸L1上であって、撮影光学系の予定焦点面に設けられている。撮像素子110は二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどのデバイスから構成され、受光した光信号を画像信号に変換する。撮像素子110により出力された画像信号は、カメラ制御部170に送信され、画像データに変換されてメモリに保存される。また、本実施形態において、撮像素子110により出力された画像信号は、カメラ制御部170に送信され、コントラスト方式の焦点検出、およびスルー画像の出力に用いられる。なお、図示していないが、撮像素子110の撮像面の前方には、赤外光をカットするための赤外線カットフィルタ、および画像の折り返しノイズを防止するための光学的ローパスフィルタが配置されている。
【0039】
位相差式AF検出モジュール160は、一対の開口が形成された絞りマスク(不図示)、および一対のラインセンサ(不図示)を有する。位相差式AF検出モジュール160は、光学系からの光束を、一対の絞りマスクにより分割した後、一対のラインセンサに結像させる。そして、位相差式AF検出モジュール160は、ラインセンサに再結像された像の像ズレ量を求め、この像ズレ量に基づいて、デフォーカス量を算出する。そして、デフォーカス量に応じたフォーカスレンズ213の駆動量が、カメラ制御部170を介して、レンズ制御部250に送信され、フォーカスレンズ駆動モータ231が駆動する。
【0040】
カメラ制御部170は、メモリ、CPUその他の周辺部品から構成され、撮像素子110から送信された画像信号を取得する。そして、カメラ制御部170は、撮像素子110から送信された画像信号に基づいて、スルー画像および撮像画像の生成を行う。また、第1実施形態では、カメラ制御部170は、撮像素子110から送信された画像信号に基づいて、焦点検出を行うためのサーチ動作を実行する。サーチ動作は、焦点調節可能範囲において、フォーカスレンズ213を所定のサーチ速度で駆動させることにより、複数の像面において取得した画像信号に基づいて、複数の像面における焦点評価値を算出し、算出した焦点評価値に基づいて、合焦位置を検出する一連の処理である。さらに、第1実施形態では、カメラ制御部170は、このサーチ動作において、後述するように、フォーカスレンズ213の最大駆動速度を、レンズ制御部250から取得するとともに、サーチ動作のサーチ速度を算出し、フォーカスレンズ213の最大駆動速度と、サーチ動作のサーチ速度とを比較することで、該比較結果に基づいて、サーチ動作の動作態様を異ならせるものである。
【0041】
操作部150は、例えば、シャッターレリーズボタン、カメラ1の各種動作モードを設定するためのモード設定スイッチなどを備えている。シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。また、モード設定スイッチは、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行える。操作部150により設定されたシャッターレリーズボタンのスイッチSW1,SW2、各種モードの情報は、カメラ制御部170へ送信される。
【0042】
液晶モニタ180は、カメラボディ100の背面に設けられ、撮像素子110により得られた画像信号に基づくスルー画像を、液晶モニタ180が備えるディスプレイに表示する。
【0043】
次に、図2および図3を参照して、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図2および図3は、カメラ1の動作例を示すフローチャートである。
【0044】
まず、ステップS101では、撮像素子110により、撮影光学系からの光束の受光が行われ、スルー画像表示用の撮影が行われる。そして、撮像素子110により出力された画像信号が、カメラ制御部170により受信され、スルー画像が生成される。カメラ制御部170により生成されたスルー画像は、液晶モニタ180に送信され、液晶モニタ180が備えるディスプレイに表示される。
【0045】
ステップS102では、カメラ制御部170により、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたか否かの判断が行われる。第1スイッチSW1がオンであると判断された場合はステップS103へ進み、第1スイッチSW1がオンではないと判断された場合はステップS101に戻り、第1スイッチSW1がオンされるまで、スルー画像の表示が行われる。
【0046】
ステップS103では、カメラ制御部170により、フォーカスレンズ213を所定の初期レンズ位置まで駆動させる初期駆動が行われる。なお、初期駆動における初期レンズ位置は、特に限定されず、例えば、カメラボディ側の端部または被写体側の端部であってもよく、撮影シーンによって決定される位置であってもよい。また、ステップS103においては、初期駆動を行うことなく、フォーカスレンズ213を現在の位置のままとしてもよい。
【0047】
ステップS104では、カメラ制御部170により、フォーカスレンズ213が駆動可能な速度のうち最大の速度である最大駆動速度Vmax_lnsの取得が行われる。具体的には、カメラ制御170は、レンズ制御部250から、レンズ制御部250のメモリに記憶された最大駆動速度Vmax_lnsを取得する。ここで、取得された最大駆動速度Vmax_lnsは、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく速度である。ステップS104では、カメラ制御部170は、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく最大駆動速度Vmax_lnsを、像面移動速度に基づく最大駆動速度Vmax_imgに変換する。具体的には、カメラ制御部170は、最大駆動速度Vmax_lnsとともに、レンズ制御部250から、像面移動係数(フォーカスレンズ213の駆動に伴う像面移動速度/フォーカスレンズ213の実際の駆動速度)を含むレンズ情報を取得する。そして、カメラ制御部170は、レンズ制御部250から取得したレンズ情報に基づいて、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_lnsを、像面移動速度に基づく最大駆動速度Vmax_imgに変換する。
【0048】
そして、ステップS105では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作の第1サーチ速度Vの算出が行われる。ここで、第1サーチ動作とは、所定のサーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、後述する第1サーチ速度Vで駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、合焦位置の検出を行う一連の処理をいう。また、第1サーチ速度Vとは、第1サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させる像面移動速度に基づく速度であり、例えば、合焦位置を検出できる速度とすることができる。例えば、カメラ制御部170は、合焦位置を検出できる焦点評価値の取得間隔が像面移動量で200μm〜300μm程度であり、焦点評価値を算出するための時間間隔が1/60秒である場合には、第1サーチ動作の第1サーチ速度Vを、300×60=18000(μm/秒)=18(mm/秒)として算出することができる。このように算出された第1サーチ速度Vは、レンズ制御部250に送信され、レンズ制御部250により駆動パルス信号に変換された後、フォーカスレンズ駆動モータ231に送信されることにより、第1サーチ動作において第1サーチ速度Vでフォーカスレンズ213が駆動されることとなる。なお、絞り200を絞ると焦点深度は深くなるため、合焦位置を検出できる焦点評価値の取得間隔が大きくなる場合があり、この場合、第1サーチ速度Vを、さらに速い速度として算出することができる。
【0049】
ステップS106では、カメラ制御部170により、ステップS104で取得された最大駆動速度Vmax_imgと、ステップS105で算出された第1サーチ速度Vとに基づいて、下記式(1)の関係を満たすか否か判断される。
最大駆動速度Vmax_img×k1≧第1サーチ速度V(但し、0<k1≦1)・・・(1)
ここで、k1は、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが、上記式(1)を満たせば、最大駆動速度Vmax_imgが、第1サーチ速度Vよりも十分に速い速度であると判断できる値であり、例えば、0.8〜0.9とすることができる。フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが、上記式(1)の関係を満たす場合はステップS107に進み、一方、上記式(1)の関係を満たさない場合にはステップS109に進む。
【0050】
ステップS107では、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが上記式(1)を満たしており、最大駆動速度Vmax_imgが、第1サーチ速度Vよりも十分に速いと判断されているため、カメラ制御部170により、第2サーチ動作の実行を許可する処理が行われる。ここで、第2サーチ動作とは、第1サーチ範囲において第1サーチ動作で合焦位置を検出できない場合に、第1サーチ範囲よりも広い第2サーチ範囲を速くサーチするために、第1サーチ動作に引き続いて行われるものであり、第2サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第1サーチ速度Vよりも速い第2サーチ速度Vで駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う処理である。第2サーチ速度Vは、第2サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させる像面移動速度に基づく速度であり、最大駆動速度Vmax_img以下の速度に設定される。また、第2サーチ速度Vは、焦点評価値のピークの存在を検出できる速度とすればよく、必ずしも、合焦位置を検出できる速度とする必要はない。例えば、カメラ制御部170は、第2サーチ速度Vを、50〜100(mm/秒)として算出することができる。そして、ステップS108では、第1サーチ動作に引き続いて、第2サーチ動作を実行するため、カメラ制御部170は、第1サーチ動作を行うサーチ範囲を、第1サーチ範囲に限定する。
【0051】
一方、ステップS106において、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが、上記式(1)の関係を満たさないと判断された場合は、ステップS109に進む。ステップS109では、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが、上記式(1)の関係を満たしておらず、第1サーチ速度Vと最大駆動速度Vmax_imgとが同程度の速度であると判断されているため、カメラ制御部170により、第2サーチ動作の実行を禁止する処理が行われる。そして、ステップS110では、第1サーチ動作に引き続いて、第2サーチ動作が実行されないため、カメラ制御部170は、第1サーチ動作のサーチ範囲を、第1サーチ範囲に限定せずに、焦点調節可能範囲の全域に設定する。
【0052】
ステップS111では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作が実行される。具体的には、カメラ制御部170は、ステップS108またはステップS110で設定されたサーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第1サーチ速度Vで駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得する。そして、カメラ制御部170は、取得した複数の焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う。なお、焦点評価値を算出する方法は、特に限定されず、例えば、撮像素子110から受信した画像信号を、高周波フィルタで処理し、フィルタ処理した画像信号を積算処理することで、焦点評価値を算出することができる。
【0053】
ステップS112では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作において合焦位置が検出されたか否か判断される。具体的には、カメラ制御部170は、第1サーチ動作において焦点評価値のピークが検出された場合には、検出された焦点評価値のピークの位置を合焦位置と判断し、合焦位置が検出されたと判断する。ステップS112において、合焦位置が検出されたと判断された場合は、ステップS113に進み、検出された合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる。一方、ステップS112において、合焦位置が検出されていないと判断された場合は、ステップS114に進む。
【0054】
ステップS114では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作のサーチ範囲全域において、第1サーチ動作が実行されたか否か判断される。ここで、ステップS108において、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定されている場合は、カメラ制御部170は、第1サーチ範囲の全域において第1サーチ動作が実行されたか否かを判断する。また、ステップS110において、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定されなかった場合は、カメラ制御部170は、第1サーチ範囲を含む焦点調節可能範囲の全域において、第1サーチ動作が実行されたか否か判断する。第1サーチ動作のサーチ範囲の全域において、第1サーチ動作が実行された場合は、第1サーチ動作により合焦位置が検出できなかったものと判断され、図3に示すステップS115に進む。一方、第1サーチ動作のサーチ範囲の全域において、第1サーチが実行された場合は、ステップS111に戻り、引き続き、第1サーチ動作が完了していないサーチ範囲において、合焦位置の検出が行われる。
【0055】
図3に示すステップS115では、カメラ制御部170により、第2サーチが許可されている否かの判断が行われる。具体的には、カメラ制御部170は、ステップS107において第2サーチ動作が許可されたか否かを判断する。第2サーチ動作が許可されている場合は、ステップS116に進み、一方、第2サーチ動作が許可されていない場合は、ステップS122に進む。
【0056】
ステップS116では、カメラ制御部170により、第2サーチ動作が実行される。具体的には、カメラ制御部170は、第2サーチ速度Vで、フォーカスレンズ213を駆動させるように、レンズ制御部250に指示を行う。レンズ制御部250は、カメラ制御部170からの指示に基づき、フォーカスレンズ213を駆動するための駆動パルス信号を生成し、生成した駆動パルス信号をフォーカスレンズ駆動モータ231に送信することにより、フォーカスレンズ213を第2サーチ速度Vで駆動させる。そして、カメラ制御部170は、第2サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第2サーチ速度Vで駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した複数の焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う。なお、上述したように、第2サーチ速度Vは最大駆動速度Vmax_img以下の速度に設定されるため、カメラ制御部170は、第2サーチ速度Vでフォーカスレンズ213を駆動させるように指示を行うことで、第2サーチ動作において、フォーカスレンズ213を、第2サーチ速度Vで駆動させることができる。
【0057】
ステップS117では、カメラ制御部170により、第2サーチ動作において焦点評価値のピークが検出されたか否か判断される。焦点評価値のピークが検出されたと判断された場合は、第2サーチ動作に続いて、第3サーチ動作を実行するため、ステップS119に進み、一方、焦点評価値のピークが検出されないと判断された場合は、ステップS118に進む。
【0058】
ステップS118では、第2サーチ範囲の全域において第2サーチ動作が実行されたか否か判断される。第2サーチ範囲の全域において第2サーチ動作が実行された場合は、第2サーチ動作により焦点評価値のピークが検出できなかったものとして、ステップS122に進む。一方、第2サーチ範囲の全域において第2サーチ動作が実行されていない場合は、ステップS116に戻り、引き続き、焦点評価値の検出が行われていない第2サーチ範囲において、第2サーチ動作が実行される。
【0059】
一方、ステップS117において、焦点評価値のピークが検出されたと判断された場合はステップS119に進む。ステップS119では、カメラ制御部170により、第3サーチ動作が実行される。第3サーチ動作とは、第2サーチ動作で焦点評価値のピークが検出された場合に、第2サーチ動作で検出された焦点評価値のピーク位置の周辺において合焦位置を検出するため、第2サーチ動作に引き続いて行わるものであり、後述する第3サーチ速度Vで、フォーカスレンズ213を駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う処理である。また、第3サーチ速度Vは、第3サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させる像面移動速度に基づく速度であり、第1サーチ速度Vと同様に、合焦位置を検出できる速度とすることができる。
【0060】
ステップS120では、カメラ制御部170により、第3サーチ範囲において、第3サーチ動作により、合焦位置が検出されたか否か判断される。具体的には、カメラ制御部170は、第3サーチ動作において焦点評価値のピークを検出できた場合には、検出された焦点評価値のピークを合焦位置と判断し、合焦位置が検出されたと判断する。第3サーチ動作により合焦位置が検出されたと判断された場合は、図2に示すステップS113に進み、検出された合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる。一方、第3サーチ動作により合焦位置が検出されないと判断された場合は、ステップS121に進む。
【0061】
ステップS121では、カメラ制御部170により、第3サーチ範囲の全域において第3サーチ動作が実行されたか否か判断される。第3サーチ範囲の全域において第3サーチ動作が実行された場合は、第3サーチ動作により合焦位置が検出できなかったものとして、ステップS122に進む。一方、第3サーチ範囲の全域において第3サーチ動作が実行されていない場合は、ステップS119に戻り、引き続き、第3サーチ動作が実行されていない第3サーチ範囲において、合焦位置の検出が行われる。
【0062】
一方、ステップS115で第2サーチ動作が許可されていないと判断された場合、ステップS118で第2サーチ動作により焦点評価値のピークが検出されなかったと判断された場合、または、ステップS121で第3サーチ動作により合焦位置が検出されなかったと判断された場合は、ステップS122に進む。ステップS122では、カメラ制御部170により、フォーカスレンズ213が、所定の位置に駆動されるとともに、合焦位置を検出できなかった旨の表示が、例えば、透過型液晶表示器132や液晶モニタ180に表示される。なお、ステップS122において、フォーカスレンズ213が駆動する所定の位置は、特に限定されず、例えば、予め決められた位置でもよいし、焦点評価値が最大となる位置でもよいし、或いは、現在の位置のままとしてもよい。そして、ステップS122が終了した後は、図2に示すステップS101に戻り、再度、上述した処理が繰り返される。
【0063】
以上のように、第1実施形態のカメラ1は動作する。ここで、図4および図5は、本実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのグラフである。以下、図4および図5を参照して、第1実施形態に係るカメラ1の動作を説明する。
【0064】
まず、図4に示す例について説明する。図4に示す例では、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが同程度の速度であるため、第1サーチ動作に続いて第2サーチ動作を実行しない場面を示している。図4に示す例では、まず、初期駆動が行われた後(ステップS103)、所定のサーチ範囲において第1サーチ動作が実行される(ステップS111)。ここで、図4に示す例では、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが同程度の速度であり、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが、上記式(1)の関係、すなわち、最大駆動速度Vmax_img×k1≧第1サーチ速度V(但し、0<k1≦1)の関係を満たしていない(ステップS106=NO)。そのため、図4に示す例では、第1サーチ動作に続く第2サーチ動作が禁止される(ステップS109)とともに、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定されず(ステップS110)、焦点調節可能範囲の全域に設定される。その結果、図4に示す例では、第1サーチ範囲を含む拡大されたサーチ範囲において、第1サーチ動作が実行される(ステップS111)。そして、図4に示す例では、第1サーチ動作により、合焦位置が検出され(ステップS112=YES)、検出された合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる(ステップS113)。
【0065】
このように、第1実施形態では、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが同程度の速度となる場合に、第1サーチ動作に続く第2サーチ動作を禁止し、焦点調節可能範囲の全域において第1サーチ動作のみを行うものである。従来のように、光学系の焦点距離が比較的長い場合に、光学系の焦点調節可能範囲が比較的広いと判断し、第2サーチ動作を実行する構成では、次の問題があった。すなわち、従来では、焦点調節可能範囲が狭く、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが同程度の速度である場合であっても、焦点距離が長いと判断されれば、第2サーチ動作および第3サーチ動作が実行され、焦点検出に要する時間が長くなるという問題があった。これに対して、第1実施形態では、図4に示すように、最大駆動速度Vmax_imgと第1サーチ速度Vとが同程度の速度となる場合に、第2サーチ動作を禁止し、第1サーチ動作のみを行うことで、焦点検出に要する時間を短縮することができる。
【0066】
次に、図5に示す例について説明する。図5に示す例では、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度Vよりも十分に速い速度であるため、第1サーチ動作に続いて第2サーチ動作を実行する場面を示している。図5に示す例では、初期駆動が行われた後(ステップS103)、所定のサーチ範囲において第1サーチ動作が行われる(ステップS111)。ここで、図5に示す例では、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度Vよりも十分に速く、上記式(1)の関係を満たしている(ステップS106=YES)。そのため、図5に示す例では、第1サーチ動作に続く第2サーチ動作が許可される(ステップS107)とともに、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定される(ステップS108)こととなる。そのため、図5に示すように、第1サーチ動作で合焦位置を検出できない場合に(ステップ114=YES)、第1サーチ範囲よりも広い第2サーチ範囲において、第1サーチ速度Vよりも十分に速い第2サーチ速度Vで、第2サーチ動作が実行される(ステップS116)。そして、図5に示す例では、第2サーチ動作において焦点評価値のピークが検出されたため(ステップS117=YES)、第2サーチ動作に続いて第3サーチ動作が実行され(ステップS119)、第3サーチ動作で検出された合焦位置に、合焦駆動が行われる(ステップS113)。
【0067】
このように、第1実施形態では、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度Vよりも十分に速い場合に、第1サーチ動作に引き続いて、第2サーチ動作を実行するものである。従来のように、光学系の焦点距離が比較的短い場合に、光学系の焦点調節可能範囲が比較的狭いと判断し、第1サーチ動作のみを行う構成では、次の問題があった。すなわち、従来では、焦点調節可能範囲が広く、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度Vよりも十分に速い場合でも、焦点距離が短いと判断されれば、第1サーチ動作のみが実行され、焦点検出に時間がかかるという問題があった。これに対して、第1実施形態では、図5に示すように、最大駆動速度Vmax_imgが第1サーチ速度Vよりも十分に速い場合に、第1サーチ動作に続いて、第2サーチ動作を実行することで、焦点検出に要する時間を短縮することができる。
【0068】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。第2実施形態では、図1に示すカメラ1において、図6および図7に示すように、カメラ1が動作すること以外は、第1実施形態と同様である。以下において、図6および図7を参照して、第2実施形態に係るカメラ1の動作について説明する。なお、図6および図7は第2実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0069】
まず、図6に示すステップS201〜S203では、第1実施形態のステップS101〜S103と同様に、第1スイッチSW1がオンされるまで、スルー画像の表示が行われ(ステップS201,S202)、第1スイッチSW1がオンされた場合に、フォーカスレンズ213を初期レンズ位置に駆動させる初期駆動が行われる(ステップS203)。
【0070】
ステップS204では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に設定される。ここで、第1サーチ動作とは、所定のサーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、後述する第1サーチ速度V1_imgに対応する速度で駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、合焦位置の検出を行う一連の処理をいう。また、第1サーチ速度V1_imgとは、第1サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させた際の像面移動速度に基づく速度であり、合焦位置を検出できる速度とされる。
【0071】
そして、ステップS205では、ステップS204で設定された第1サーチ範囲において、カメラ制御部170により、第1サーチ動作が実行される。具体的には、カメラ制御部170は、第1サーチ動作の実行の指示と、第1サーチ速度V1_imgとを、レンズ制御部250に送信する。レンズ制御部250は、カメラ制御部170から受信した第1サーチ速度V1_imgに基づき、第1サーチ速度V1_imgに対応するフォーカスレンズ213の駆動速度を算出し、算出した駆動速度に基づいて、フォーカスレンズ213を駆動するための駆動パルス信号を生成する。そして、レンズ制御部250は、生成した駆動パルス信号をフォーカスレンズ駆動モータ231に送信することにより、フォーカスレンズ213を第1サーチ速度V1_imgに対応する速度で駆動させる。このように、カメラ制御部170は、第1サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第1サーチ速度V1_imgに対応する速度で駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、合焦位置の検出を行う。
【0072】
ステップS206では、カメラ制御部170により、第1サーチ範囲において、第1サーチ動作により、合焦位置が検出されたか否かの判断が行われる。カメラ制御部170は、第1実施形態と同様に、第1サーチ動作において焦点評価値のピークが検出された場合には、検出された焦点評価値のピークの位置を合焦位置と判断し、合焦位置が検出されたと判断する。そして、合焦位置が検出されたと判断された場合は、ステップS207に進み、合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる。一方、合焦位置が検出されなかったと判断された場合は、ステップS208に進む。
【0073】
ステップS208では、カメラ制御部170により、第1サーチ範囲の全域において、第1サーチ動作が実行されたか否かの判断が行われる。第1サーチ範囲の全域において、第1サーチ動作が実行されていない場合は、ステップS205に戻り、引き続き、第1サーチ動作が実行されていないサーチ範囲において第1サーチ動作が実行される。一方、第1サーチ範囲の全域において、第1サーチ動作が実行された場合は、第1サーチ範囲において、第1サーチ動作により合焦位置が検出できなかったものと判断され、ステップS209に進む。
【0074】
ステップS209では、カメラ制御部170により、後述するステップS216において、第1サーチ動作のサーチ範囲の限定が解除されたか否かの判断が行われる。第1サーチ動作のサーチ範囲が第1サーチ範囲に限定されていないと判断された場合は、焦点調節可能範囲の全域で合焦位置を検出できなかったものとして、ステップS210に進み、所定のレンズ位置にフォーカスレンズ213が駆動されるとともに、合焦位置を検出できなかった旨の表示が、例えば、透過型液晶表示器132や液晶モニタ180に表示される。一方、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲に限定されていると判断された場合は、ステップS211に進む。
【0075】
ステップS211では、カメラ制御部170により、第1サーチ動作における第1サーチ速度V1_lnsの測定が行われる。ここで、第1サーチ速度V1_lnsとは、第1サーチ動作において、フォーカスレンズ213の駆動させた際のフォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく速度である。本実施形態において、カメラ制御部170は、カメラ制御部250を介して、フォーカスレンズ用エンコーダ261から、第1サーチ動作を実行している際のフォーカスレンズ213の位置情報を、所定の時間間隔で取得し、所定の時間間隔で取得したフォーカスレンズ213の位置情報に基づいて、第1サーチ動作における第1サーチ速度V1_lnsを算出する。そして、ステップS212では、カメラ制御部170により、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく第1サーチ速度V1_lnsから、像面移動速度に基づく第1サーチ速度V1_imgへの変換が行われる。具体的には、カメラ制御部170は、レンズ制御部250から、像面移動係数を含むレンズ情報を取得し、取得したレンズ情報に基づいて、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づく第1サーチ速度V1_lnsを、像面移動速度に基づく第1サーチ速度V1_imgに変換する。
【0076】
ステップS213では、第1サーチ動作により合焦位置を検出することができなかったため、カメラ制御部170により、第2サーチ動作を実行するための指示が行われる。ここで、第2サーチ動作とは、第1サーチ動作で合焦位置が検出できない場合に、第1サーチ範囲よりも広い第2サーチ範囲を速くサーチするために、第1サーチ動作に引き続いて行われるものであり、第2サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い第2サーチ速度V2_imgに基づく速度で駆動させながら、焦点評価値のピークの検出を行う処理である。また、第2サーチ速度V2_imgは、第2サーチ動作においてフォーカスレンズ213を駆動させた際の像面移動速度に基づく速度であり、第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度とされる。そのため、第2サーチ速度V2_imgは、通常、合焦位置を検出できない速度となることとなる。
【0077】
ステップS214では、カメラ制御部170により、第2サーチ動作の実行指示後の実際のサーチ速度Vs_imgの算出が行われる。ここで、ステップS213において第2サーチ動作の実行が指示されると、フォーカスレンズ駆動モータ231は、フォーカスレンズ213を、カメラ制御部170から指示された第2サーチ速度V2_lnsで駆動させようとする。しかしながら、例えば、フォーカスレンズ213の最大駆動速度が、カメラ制御部170により指示された第2サーチ速度V2_lnsよりも遅い速度である場合などに、第2サーチ速度V2_lnsでフォーカスレンズを駆動できない場合がある。そのため、ステップS214において、カメラ制御部170は、第2サーチ動作の実行指示後に、フォーカスレンズ213が実際に駆動したサーチ速度Vs_lnsを測定する。また、第2実施形態において、カメラ制御部170は、フォーカスレンズ213の位置情報とともに、レンズ制御部250から、像面移動係数を含むレンズ情報を取得する。そして、カメラ制御部170は、レンズ制御部250から取得したレンズ情報に基づいて、フォーカスレンズ213の実際の駆動速度に基づくサーチ速度Vs_lnsを、像面移動速度に基づくサーチ速度Vs_imgに変換する。なお、以下においては、第2サーチ動作の実行指示後のサーチ速度Vs_imgでのサーチ動作を、変更指示後サーチ動作として説明する。
【0078】
ステップS215では、カメラ制御部170により、ステップS212で得た第1サーチ速度V1_imgと、ステップS214で得た変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとの比較が行われ、第1サーチ速度V1_imgと、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、下記式(2)の関係を満たすか否かの判断が行われる。
変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_img≧第1サーチ速度V1_img×k2(但し、k2≧1) ・・・(2)
なお、上記k2は、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たす場合に、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ速度V1_imgに比べて、十分に速い速度であると判断できる値であり、これにより、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが、合焦位置を検出できない速度であると判断できる値である。第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たさないと判断された場合は、ステップS216に進み、一方、上記式(2)の関係を満たすと判断された場合は、ステップS218に進む。
【0079】
ステップS216では、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たさないと判断されているため、カメラ制御部170は、変更指示後サーチ動作におけるサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ動作における第1サーチ速度V1_imgと同じ速度であるか、または少しだけ速い速度であるため、変更指示後サーチ動作が、合焦位置を検出できる速度で焦点検出を行うものであると判断し、変更指示後サーチ動作を第1サーチ動作として扱う。すなわち、カメラ制御部170は、合焦指示後サーチ動作を、合焦位置を検出できる速度で焦点検出を行うサーチ動作として扱う。そして、ステップS217では、変更指示後サーチ動作が第1サーチ動作として扱われており、第1サーチ範囲以外のサーチ範囲においても第1サーチ動作を実行するため、ステップS204で限定された第1サーチ動作のサーチ範囲が解除され、第1サーチ動作のサーチ範囲が、第1サーチ範囲よりも広い範囲、例えば、焦点調節可能範囲の全域に拡大される。ステップS217で、第1サーチ動作のサーチ範囲の限定が解除された後は、ステップS205に戻り、第1サーチ範囲以外のサーチ範囲において、第1サーチ動作が実行される。
【0080】
一方、ステップS215において、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たすと判断された場合は、ステップS218に進む。ステップS218では、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たすと判断されているため、カメラ制御部170は、変更指示後サーチ動作におけるサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ動作における第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度であるため、変更指示後サーチ動作が、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うものであると判断し、変更指示後サーチ動作を第2サーチ動作として扱う。すなわち、カメラ制御部170は、変更指示後サーチ動作を、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うサーチ動作として扱う。
【0081】
図7に示すステップS219では、変更指示後サーチ動作が、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うものであると判断され、変更指示後サーチ動作が第2サーチ動作として扱われているため、カメラ制御部170により、第2サーチ範囲において、第2サーチ動作が実行される。具体的には、カメラ制御部170は、第2サーチ速度V2_imgで、フォーカスレンズ213を駆動させるように、レンズ制御部250に指示を行う。レンズ制御部250は、カメラ制御部170の指示に基づき、フォーカスレンズ213を駆動するための駆動パルス信号を生成し、生成した駆動パルス信号をフォーカスレンズ駆動モータ231に送信することにより、フォーカスレンズ213を第2サーチ速度V2_imgで駆動させる。そして、カメラ制御部170は、第2サーチ範囲において、フォーカスレンズ213を、第2サーチ速度V2_imgで駆動させながら、複数の像面において焦点評価値を取得し、取得した焦点評価値に基づいて、焦点評価値のピークの検出を行う。
【0082】
ステップS220〜S224では、第1実施形態のステップS117〜121と同様の処理が行われる。すなわち、第2サーチ動作において焦点評価値のピークを検出した場合に(ステップS220=YES)、検出した焦点評価値のピークを含む所定のサーチ範囲を、合焦位置を検出できる速度でサーチする第3サーチ動作の実行が指示され、第3サーチが実行される(ステップS222)。第3サーチ動作で合焦位置が検出された場合に(ステップS223=YES)、検出された合焦位置にフォーカスレンズ213を駆動させる合焦駆動が行われる(ステップS207)。一方、第2サーチ動作において焦点評価値のピークを検出できなかった場合(ステップS221=YES)、および第3サーチ動作において合焦位置を検出できなかった場合(ステップS224=YES)は、フォーカスレンズ213が、所定の位置に駆動されるとともに、合焦位置を検出できなかった旨の表示が、例えば、透過型液晶表示器132や液晶モニタ180に表示される(ステップS210)。
【0083】
以上のように、第2実施形態のカメラ1は動作する。ここで、図8および図9は、第2実施形態に係るカメラ1の動作を説明するためのグラフである。以下、図8および図9を参照して、第2実施形態に係るカメラ1の動作を説明する。
【0084】
まず、図8に示す例について説明する。図8に示す例では、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが同程度の速度であり、変更指示後サーチ動作が第1サーチ動作として扱われる場面例を示している。図8に示す例では、像面位置Pから第1サーチ動作が実行される(ステップS205)。具体的には、フォーカスレンズ212を駆動させながら、異なる複数の像面(像面位置P,P,P,P,P,P)において焦点評価値が取得され、取得された焦点評価値に基づいて、焦点評価値がピークとなる合焦位置の検出が行われる。図8に示すように、図8に示す例では、像面位置Pから像面位置Pまでの第1サーチ範囲において、第1サーチ動作により、合焦位置を検出することができない(ステップS208=YES)ため、像面位置Pにおけるフォーカスレンズ213の位置情報と、像面位置Pにおけるフォーカスレンズ213の位置情報とを、カメラ制御部250を介して、フォーカスレンズ用エンコーダ261から取得し、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgを算出する(ステップS211)。また、第1サーチ動作により、合焦位置を検出することができなかったため、第1サーチ動作に続けて、第2サーチ動作を実行するための指示が行われる(ステップS213)。これにより、図8に示す例では、フォーカスレンズ213が駆動され、像面位置Pから像面位置Pにかけて、変更指示後サーチ動作が実行される。図8に示す例では、例えば、像面位置Pにおけるフォーカスレンズ213の位置情報と、像面位置Pにおけるフォーカスレンズ213の位置情報とを、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ用エンコーダ261から取得し(ステップS211)、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgを算出する(ステップS212)。そして、カメラ制御部170は、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係、すなわち、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_img≧第1サーチ速度V×k2(但し、k2≧1)の関係を満たしているか判断する(ステップS215)。図8に示す例では、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが同程度の速度となっているため、上記式(2)の関係を満たしていないと判断される(ステップS215=NO)。そのため、変更指示後サーチ動作は、合焦位置を検出できる速度で焦点検出を行うものであると判断され、変更指示後サーチ動作が、第1サーチ動作として扱われる(ステップS216)。そして、図8に示す例では、第1サーチ動作のサーチ範囲が拡大され(ステップS217)、拡大されたサーチ範囲において、第1サーチ動作が実行されることとなる。
【0085】
次に、図9に示す例について説明する。図9に示す例では、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度であり、変更指示後サーチ動作が第2サーチ動作として扱われる場面を示している。図9に示す例では、図8に示す例と同様に、像面位置Pから像面位置Pまでの第1サーチ範囲において、第1サーチ動作で合焦位置を検出することができない(ステップS208=YES)ため、第1サーチ動作に続けて、第2サーチ動作を実行するための指示が行われる(ステップS213)。図9に示す例では、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度であり、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが、上記式(2)の関係を満たしていると判断される(ステップS215=YES)。そのため、変更指示後サーチ動作は、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うものであると判断され、変更指示後サーチ動作が第2サーチ動作として扱われる(ステップS218)。これにより、図9に示す例では、第1サーチ動作に引き続いて、第2サーチ動作が実行されることとなる。なお、図8および図9に示す例では、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgを算出する際に、像面位置Pから像面位置Pまでの速度ではなく、像面位置Pから像面位置Pまでの速度を算出している。これは、像面位置Pから像面位置Pまでの速度は、第2サーチ動作の実行指示によりフォーカスレンズの駆動速度が変化された直後でなく、安定した変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgを求めることができるためである。
【0086】
このように、第2実施形態では、第1サーチ動作の第1サーチ速度V1_imgと、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとを比較し、第1サーチ速度V1_imgと変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgとが同程度の速度であると判断した場合には、変更指示後サーチ動作は、合焦位置を検出できる速度で焦点検出を行うものであると判断し、変更指示後サーチ動作を第1サーチ動作として扱い、第2サーチ動作の指示後においても、第2サーチ動作を実行せずに、第1サーチ動作のみを実行する。一方、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ速度V1_imgよりも十分に速い速度であると判断した場合には、変更指示後サーチ動作は、合焦位置を検出できない速度で焦点検出を行うものであると判断し、変更指示後サーチ動作を第2サーチ動作として扱い、第2サーチ動作の指示後に、第1サーチ動作に続いて、第2サーチ動作を行うものである。これにより、第2実施形態によれば、フォーカスレンズ213の最大駆動速度Vmax_lnsを取得できない場合であっても、変更指示後サーチ動作のサーチ速度Vs_imgが、第1サーチ速度V1_imgであるか、あるいは、第2サーチ速度V2_imgであるかを判断することができ、この判断結果に基づいて、第1サーチ範囲において第1サーチ動作で合焦位置が検出できなかった場合に、引き続いて、第1サーチ動作のまま合焦位置の検出を行うか、あるいは、第1サーチ動作よりも速い速度で合焦位置を検出する第2サーチ動作を実行するかを決定することにより、焦点検出をより効率的に行うことができる。
【0087】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0088】
例えば、上述した第1実施形態では、フォーカスレンズ213の駆動速度に基づく最大駆動速度Vmax_lnsを、像面移動速度に基づく最大駆動速度Vmax_imgに変換することにより、像面移動速度に基づく最大駆動速度Vmax_imgと、像面移動速度に基づく第1サーチ速度Vとを比較しているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、像面移動速度に基づく第1サーチ速度Vを、フォーカスレンズ213の駆動速度に基づく第1サーチ速度に変換することにより、フォーカスレンズ213の駆動速度に基づく最大駆動速度Vmax_lnsと、フォーカスレンズ213の駆動速度に基づく第1サーチ速度とを比較する構成としてもよい。
【0089】
また、上述した第1実施形態では、ステップS111の後に、ステップS106からステップS110を行う構成としてもよい。すなわち、ステップS111で第1サーチ動作を行いながら、第1サーチ速度Vを実際に測定することで、最大駆動速度Vmax_imgと、測定した第1サーチ速度とを比較し、第2サーチ動作を許可するか否かを判断する構成としてもよい。
【0090】
また、上述した実施形態において、カメラ1は、位相差式AF検出モジュール160を備えているが、この構成に限定されるものではなく、位相差式AF検出モジュール160を備えない構成としてもよい。
【0091】
なお、本実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、一眼レフデジタルカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…カメラ
100…カメラボディ
110…撮像素子
130…操作部
170…カメラ制御部
180…液晶モニタ
200…レンズ鏡筒
212…ズームレンズ
213…フォーカスレンズ
220…絞り
231…フォーカスレンズ駆動モータ
240…絞り駆動部
250…レンズ制御部
261…フォーカスレンズ用エンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点調節光学系を駆動することで、光学系の焦点状態を変化させる駆動手段と、
異なる複数の焦点状態において、前記光学系による像のコントラストに関する評価値を検出することで、前記光学系の焦点検出を行う焦点検出手段と、
前記焦点調節光学系の駆動可能な速度のうち最大の速度である最大駆動速度を取得する取得手段と、
前記駆動手段に、前記焦点調節光学系を所定の範囲および速度で駆動させる第1の駆動動作、または、前記第1の駆動動作と異なる第2の駆動動作を行なわせる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1の駆動動作を行った結果、前記所定の範囲において、前記評価値のピークが検出されない場合に、前記最大駆動速度と、前記第1の駆動動作における前記焦点調節光学系の駆動速度である第1の駆動速度とを比較し、該比較結果に基づいて、前記駆動手段に、前記第1の駆動動作に続いて、前記第2の駆動動作を行なわせるか否かを決定することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点調節装置において、
前記制御手段は、前記第1の駆動動作を行った結果、前記所定の範囲において、前記評価値のピークが検出されない場合に、前記最大駆動速度と前記第1の駆動速度とが、最大駆動速度×k1≧第1の駆動速度(但し、0<k1≦1である。)の関係を満たす場合に、前記駆動手段に、前記第1の駆動動作に続いて、前記第2の駆動動作を行なわせることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の焦点調節装置において、
前記第1の駆動動作と、前記第2の駆動動作とは、前記焦点調節光学系の駆動速度、および前記焦点調節光学系の駆動範囲が、互いに異なることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項4】
請求項3に記載の焦点調節装置において、
前記第2の駆動動作における前記焦点調節光学系の駆動速度である第2の駆動速度は、前記第1の駆動動作における前記第1の駆動速度よりも、速度が速いことを特徴とする焦点調節装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の焦点調節装置において、
前記制御手段は、前記第2の駆動動作を行わせないと判断した場合に、駆動範囲を拡大して、前記第1の駆動動作を、前記駆動手段に行わせることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の焦点調節装置において、
前記制御手段は、前記第2の駆動動作を行わせると判断した場合に、前記第2の駆動動作に続いて、前記第2の駆動動作とは異なる第3の駆動動作を、前記駆動手段に行わせることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項7】
焦点調節光学系を駆動することで、光学系の焦点状態を変化させる駆動手段と、
異なる複数の焦点状態において、前記光学系による像のコントラストに関する評価値を検出することで、前記光学系の焦点検出を行う焦点検出手段と、
前記焦点検出手段により所定の範囲において前記評価値のピークが検出できない場合に、前記焦点調節光学系の駆動速度を、現在の駆動速度よりも速い速度に変更するように、前記駆動手段に指示する制御手段と、
前記制御手段により前記焦点調節光学系の駆動速度の変更指示が行われた場合に、前記変更指示前の前記焦点調節光学系の駆動速度である指示前駆動速度と、前記変更指示後の前記焦点調節光学系の駆動速度である指示後駆動速度とを比較し、該比較結果に基づき、前記指示後駆動速度が、合焦位置を検出できる速度であるか否かを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする焦点調節装置。
【請求項8】
請求項7に記載の焦点調節装置において、
前記判断手段は、前記指示前駆動速度と前記指示後駆動速度とが、指示後駆動速度≧指示前駆動速度×k2(但し、k2≧1である。)の関係を満たす場合に、前記指示後駆動速度は、合焦位置を検出できない速度であると判断することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の焦点調節装置において、
前記制御手段は、前記指示後駆動速度が合焦位置を検出できない速度であると判断された場合に、前記指示後駆動速度で前記光学系の焦点検出を行わせた後、前記焦点調節光学系の駆動速度を、合焦位置を検出できる速度に変更するように、前記駆動手段に指示することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の焦点調節装置を備えた撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載の焦点調節装置と、
前記焦点調節光学系を有するレンズ鏡筒と、を備える撮像装置において、
前記取得手段は、前記レンズ鏡筒から、前記最大駆動速度を取得することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−32569(P2012−32569A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171457(P2010−171457)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】