説明

焼却プラントの燃え殻を排出するスラグ除去装置

【課題】焼却プラントの燃え殻を排出するスラグ除去装置を提供する。
【解決手段】槽6は、溝幅を形成する2つの側壁及び槽底部14を有する槽ハウジング8を有し、焼却プラントの燃焼室から排出する燃え殻を集める。槽から燃え殻を押出す少なくとも2つのプッシュラム42aと、2つのシャフトベアリング36aに回転可能に取付けられ、かつ、シリンダピストンユニット48と協働する少なくとも1つの駆動レバー44及び少なくとも2つのプッシュラムに連結される少なくとも2つの出力レバー40aを配置して回転可能とするシャフト38とを含む。シリンダピストンユニットは、プッシュラムが後退位置と伸長位置との間で前後に移動するように設計される。駆動レバーは出力レバーの間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に従う焼却プラントの燃え殻を排出するスラグ除去装置、及び、廃棄物焼却プラント用のスラグ除去装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
序論に述べられたタイプのスラグ除去装置は、特に、廃棄物焼却の分野ですでに長い間公知であり、焼却の過程では、さらに焼却できなく、燃え殻(スラグ)を焼却プラントから排出するのに役立つ。
【0003】
一般的に、スラグ除去装置は、ドロップシャフトを含み、ドロップシャフトを介して、燃え殻が燃焼室から水で満たされた槽へ落下する。これにより、燃え殻は、プッシュラムを用いて排出シュート又は排出路に押出され、その結果、投棄可能な形態で前方へ運ぶことができる。
【0004】
スラグ除去装置の一例は、例えば、特許文献1に記載されている。槽底部上に落すスラグを排出シュートの中へ押出す排出ピストンは、その後端で1つあるいは複数のスラストクランクに関節で連結され、スラストクランクは、シャフト上に回転可能に確実に着座され、シャフトは、槽の側壁にベアリングで回転可能に取付けられる。側壁から突出するシャフトの両端にシャフトレバーアームが確実な方法で回転可能に配置され、このレバーアームは、油圧ピストンシリンダユニットと互いに協働する。
【0005】
そのような実施形態の欠点は、例えば、搬送に多大な労力を要するスラグが、槽の断面に不均一に分散されているとき、シャフトに相当な寸法を必要とする負荷トルクが発生する。更に、このスラグ除去装置において、それぞれのベアリングに作用するモーメント力は、比較的大きいが、このベアリングは、最適な力の伝達に適していない。
【0006】
ほとんどの場合、レバーアームは、着脱可能でなければならないので、例えば、特許文献1に従うように、力の流れが側壁に配置されたベアリングを通るスラグ除去装置は、通常、キー溝が設けられている。しかしながら、シャフト又はレバーアームの付随的な弱点の結果として、その機械的安定性が低下する。更に、キー溝、又は、対応するキーの取付は、比較的複雑で、高価である。
【0007】
更に、スラグ除去装置は、例えば、特許文献2に記載され、これによれば、2つのプッシュロッドが、ジョイントを用いてレバー上に回転可能に取付けられている。このレバーは、2つのアームレバーとして構成され、そのアーム間にピボットシャフトが配置される。特許文献1とは対照的に、特許文献2によれば、ジョイントは、槽の水溜の中に浸るのを防止されている。しかしながら、シャフトの負荷トルクの発生についての問題は、依然として残る。
【0008】
従って、本発明は、装置が負荷トルクの発生を防ぎ、プッシュラムへの最適な力の伝達を可能にする序論で述べたタイプの装置を提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第2539615号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0363645号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明は、請求項1に記載のスラグ除去装置によって実現される。実施形態の利点は、従属請求項に表される。
【0011】
請求項1に従うスラグ除去装置は、焼却プラントの燃焼室から排出された燃え殻を集めるための槽と、槽から燃え殻を押出す少なくとも2つのプッシュラムとを含む。
【0012】
プッシュラムのそれぞれは、出力レバーに連結される。出力レバーは、2つのシャフトベアリングに回転可能に取付けられるシャフト上に確実な方法で回転可能に配置される。
【0013】
また、シャフト上に駆動レバーが配置され、この駆動レバーは、シリンダピストンユニットと協働する。後者は、プッシュラムが後退位置と伸長位置との間で前後に移動するように設計される。
【0014】
本発明に従って駆動レバーは、2つの出力レバーの間に配置される。駆動レバーが側壁を越えて突出するシャフトの端部に配置された公知のスラグ除去装置と対称的に、本発明の構造は、搬送に多大な労力を要する燃え殻がある場合でも確実に役立つことができ、シャフトに負荷トルクがかからないようにすることができる。更に、本発明の駆動部及び出力レバーの構造は、シリンダピストンユニットからプッシュラムへの最適な力の伝達を可能にすることができ、これは、公知のスラグ除去装置とは異なり、とりわけ、力の流れがシャフトベアリングを介して流れないことに関連している。本発明に従って実現できる最適な力の伝達、すなわち、負荷トルクの減少の結果として、シャフトは、比較的細い寸法にすることができる。
【0015】
特に、本発明に従うスラグ除去装置が、それと協働する単一の駆動レバー及び単一のシリンダピストンユニットを含むとき、負荷トルクの最適な減少、すなわち、排除を得ることができる。これは、特にこの実施形態に対して、様々なシリンダピストンユニットの調整、すなわち、これらが作動中に平行に作動していることの監視が完全に不要になり、それによって、非常に簡単、かつ、効率的な作動を可能にするという利点をもたらす。
【0016】
最適な力の伝達を目的として、駆動レバーは、望ましくは出力レバーの間に対称的に配置される。
【0017】
望ましくは、スラグ除去装置は、2つの出力レバーを有している。また、出力レバーの数は、より多くてもよいが、しかしながら、特に好ましくは、偶数の駆動レバーとし、これにより、出力レバーの間に対称的に駆動レバーを配置することが可能になる。
【0018】
一般に、シャフトは、少なくとも槽幅を超えて延び、シャフトベアリングは、側壁に配置される。望ましくは、駆動レバーは、シャフトベアリングの略中間に配置され、これにより、シャフトベアリングに作用する力は、両方のシャフトベアリングに均等に分配される。
【0019】
本発明は、槽ハウジングに着脱可能に取付けられた軸受台に、シャフトを取付けられるようにし、槽ハウジングは、その上に配置されるシャフト又はレバーへのアクセスを非常に容易にする。更に、本発明は、少なくとも1つの駆動レバー及び出力レバーをシャフトに溶接できるようにし、これによって、非常に高い機械的安定性が確保される。
【0020】
シャフトの取外し、すなわち、それに取付けられたレバーの取外しは、軸受台の取外しによって非常に容易に実現でき、例えば、特許文献1に従う従来のスラグ除去装置に必要とされたシャフトの分割、又は、複雑なキー溝は、本発明によって不要にすることができる。
【0021】
上述のように、一般的に、スラグ除去装置は、ドロップシャフトを有し、このドロップシャフトを通って燃え殻が槽の中に落下する。一般的に、プッシュラムは、その後退位置においてドロップシャフトの(排出方向から見て)後方に位置する領域に配置される。好ましくは、この位置でプッシュラムの端面は、排出方向に面したドロップシャフトの後壁と少なくとも略同じ垂直平面に位置する。
【0022】
また、通常、シリンダピストンユニット及び駆動レバーは、ドロップシャフトの(排出方向から見て)後方に位置する領域に配置される。
【0023】
特に望ましい駆動配置は、作動中に、シリンダピストンユニット、すなわち、そこから発生する力のベクトルが、水平に対して、20°未満、好ましくは10°未満、特に好ましくは5°未満の角度に向けられたとき、得られ、これは、その結果により、シリンダピストンユニットからプッシュラムへの最適な力の伝達効率が得られるからである。ここで、水平方向は、ドロップシャフトの方向に対して直角に延びる槽の縦軸に対応する。
【0024】
シリンダピストンユニットが、たとえ略水平方向に向けられていても、これを槽内部から切り離された空間に確実に配置するために、特に望ましい実施形態に従う槽は、少なくとも一部が、縦方向に延びる互いに分離した2つの槽溝の形で存在し、シリンダピストンユニット、及び/又は、駆動レバーは、少なくとも一部が槽溝の間の空間に配置される。シリンダピストンユニット及び駆動レバーは、排出方向から見て、略ドロップシャフトの後方に位置する領域に配置されるので、望ましい実施形態に従う槽は、この領域だけでは、槽溝の形でのみ存在する。排出方向において、これらの槽溝は、槽溜の中に開口し、この槽溜により槽溝が互いに流体連通される。
【0025】
ドロップシャフトの開口の真下に配置されて燃え殻が集められる水が満たされた前記槽溜から、内部空間、すなわち、その中に少なくとも一部が配置されたシリンダピストンユニット又は駆動レバーが、仕切り板によって分離される。結局、この内部空間は、垂直な縦軸に面した槽溝のこれら溝壁及び仕切り板によって、槽内から隔離されている。
【0026】
空間内のシリンダピストンユニットの配置により、下方からの非常に容易な取外しを可能にすることができる。
【0027】
本発明の更なる実施形態に従って、側壁の一方には、真水管路及び注入装置を含む第1ウォータタンクが配置され、側壁の他方には、汚水管路及びオーバーフロー装置を含む第2ウォータタンクが配置される。駆動レバーが側壁から突出したシャフトの端部に配置された従来技術とは異なり、本発明に従うと、ウォータタンクは、前記ウォータタンクの配置及び寸法を考慮する必要がある駆動構造を有することなく、側壁に取付けることができる。むしろ、上述の構造は、シリンダピストンユニット、特に、その(油圧)シリンダをウォータタンクの外側に配置することができ、これは、本発明の他の望ましい実施形態に対応するものである。
【0028】
ウォータタンクは、蓋を有し、この蓋は、望ましくは、ウォータホースを用いて内部を容易に清掃できる大きさである。一般的に、両方のウォータタンクは、水を流すために、それらの下部の領域に配置されるスリットを有する。注入は、2つのウォータタンクの1つに行われ、注入装置を介して調節される。
【0029】
序論で述べたように、特に、廃棄物の焼却では、非常に不均一な燃え殻が生じ、これは、従来の駆動構造で上述の負荷トルクを生じるので、本発明のスラグ除去装置は、特に、廃棄物の焼却プラントに適している。従って、本発明は、更に廃棄物焼却プラント用のスラグ除去装置の使用方法に関連する。
【0030】
廃棄物焼却プラント用のスラグ除去装置の一般的な槽幅は、約2mから2.5mの範囲である。しかしながら、より大きな槽幅は、好ましくは約3.2mまで考えられる。一般的に、槽の中へのドロップシャフトの開口は、槽の縦方向において約1m〜1.5mの大きさを有する。用途及び目的に従って、寸法は、本発明の知識を取得した当業者によって容易に適応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】プッシュラムが後退位置にある本発明に従うスラグ除去装置の縦断面図である。
【図2】プッシュラムが伸長位置にある図1に従うスラグ除去装置の縦断面図である。
【図3】本発明に従うスラグ除去装置の駆動装置を含む部分の斜視図である。
【図4】本発明に従うスラグ除去装置の詳細を示す斜め下方から見た斜視図である。
【図5】本発明に従うスラグ除去装置の詳細を示す斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、添付の図面を参照して詳細に説明される。
図1に示すスラグ除去装置2は、一般的に、焼却プラントの燃焼室(図示せず)の排出領域に配置される。不燃性の燃え殻(スラグ)が燃焼室の燃焼火格子から垂直に延びるドロップシャフト4の中に落下し、このドロップシャフト4は、燃焼室の排出方向にファンネル状に広がっている。
【0033】
ドロップシャフト4は、水で満たされた槽6の中に開口し、この槽6は、適当な支柱7を有する支持構造上に配置され、ドロップシャフト4の方向に対して直角の縦方向に延ばされている。ドロップシャフト6を通って落ちる燃え殻は、この槽6で収集される。この槽6は、2つの側壁10a,10b及び槽底部14を含んでいる槽ハウジング8を有し、2つの側壁10a,10bは、槽幅を形成し、垂直な平面の縦方向にそれぞれ平行に延び、槽底部14は、ドロップシャフト口12の下方でアーチ状に形成されている。槽6の側壁10a,10bには、それぞれ閉止可能な開口部16が設けられ、この開口部16は、清掃目的のために槽内部へのアクセスを可能にする。
【0034】
排出方向、すなわち、スラグ除去装置の出口方向において、槽6は、上向きの排出路20を有する排出シュート18に接合する。
【0035】
ドロップシャフト4は、(排出方向から見て)前壁22及び後壁24を有する。特に、図4に示されるように、ドロップシャフト4の(排出方向から見て)後方に位置する領域において、槽6は、分離した2つの槽溝26a,26bの形状となっており、これらの槽溝26a,26bは、斜め下方に延び、ドロップシャフト4の直下に配置される槽溜28の中に開口する。
【0036】
槽溝26a,26bは、それぞれ一方では、槽6の側壁10a,10bによって区切られ(長手方向の中心面から離れたそれぞれの側で)、他方では、長手方向の中心面に対向して、それに平行に延びる溝壁30a,30bによって区切られている。槽溝26a,26b間、すなわち、溝壁30a,30b間には、空間32が形成されている。この空間32は、仕切り板34によって槽溜28から隔離されている。図示の実施形態では、この仕切り板34は、特に、図1及び2からわかるように、垂直領域34’及び隣接する水平領域34’’を有する。
【0037】
ドロップシャフト4の後方の領域において、軸受台の形のシャフトベアリング36a,36bは、適当な締結手段を用いて側壁10a,10bにそれぞれ着脱可能に締結される。これらのシャフトベアリング36a,36bには、シャフト38が回転可能に取付けられ、このシャフト38は、槽幅を超えて延びる。
【0038】
シャフト38上には、2つの出力レバー40a、40bが回転可能に確実に取付けられ、これら出力レバー40a、40bは、プッシュラム42a、42bに関節でそれぞれ連結されている。出力レバー40a、40bの中間には、駆動レバー44がシャフト38上に確実な取付方法で回転可能に配置され、駆動レバー44は、シャフト38から離れた端部によってシリンダピストンユニット48のピストン46に連結されている。一般的に、駆動レバー44及び出力レバー40a、40bの両方は、シャフト38に溶接される。
【0039】
特に、図3から明らかなように、駆動レバー44は、出力レバー40a、40bの中間でシャフト38上に配置され、槽6の垂直長手方向の中心面でシリンダピストンユニット48と共に延びる。
【0040】
例えば、図4からわかるように、シリンダピストンユニット48は、槽溝26a,26b間の空間32に配置され、軸50を介して溝壁30a,30bに取付けられる。ピストン46が後退したとき、シリンダピストンユニット48は、略水平、すなわち、槽6の縦軸に平行に配置される。
【0041】
以下に更に詳細に説明するように、スラグ除去装置の作動中に、シリンダピストンユニット48のピストン46の伸長によりシャフト38にトルクが付与され、シリンダピストンユニット48は、駆動レバー44により、水平から外れて容易に回動可能であり、それによって、プッシュラム42a,42bは、出力レバー40a、40bにより図1に示される後退位置から図2に示される伸長位置へ移動される。
【0042】
プッシュラム42a,42bは、屈曲部を有し、この屈曲部によりフロントアーム部52とリアアーム部54とに分けられている。図示の実施形態では、プッシュラム42a,42bの自由端には、プッシュシールド56が装着され、このプッシュシールド56は、端面58及びカバー60を有し、カバー60は、端面の平面に対して斜めの平面に沿って後方へ延び、フロントアーム部52上に配置される。
【0043】
図示の実施形態において、更に、プッシュシールド56の端面58の下縁には、スライドシュー61が配置され、このスライドシュー61は、槽底部14により形成される摺動路62上に置かれる。
【0044】
更に、槽6は、フラップ64を有し、フラップ64の自由端64’は、カバー60上に置かれ、この自由端の反対側に位置するフラップ64の縁部64’’は、ドロップシャフト4の後壁24の底縁部24’上に位置している。プッシュラム42a,42bの後退位置において、ドロップシャフト4の端面58、フラップ64及び後壁24は、略同じ垂直面に位置する。
【0045】
特に、図3に示されるように、更に、プッシュシールド56は、それぞれの側に、槽6のそれぞれ側壁10a,10bに対応して追加的なカバー板66a,66bを有する。
【0046】
駆動装置によるプッシュラム42a,42bの移動は、特に、図1及び2に見ることができる。ここで、シリンダピストンユニット48のピストン46の伸長により駆動レバー44を用いてシャフト38にトルクが付与され、それによって、プッシュラム42a,42bは、出力レバー40a,40bを用いて後退位置から伸長位置に移動される。このとき、槽6内に収集された燃え殻は、槽6から排出シュート18の中へ、すなわち、排出路20上に押出される。
【0047】
前進動作中、すなわち、排出方向へのプッシュラム42a,42bの動作中、ひいては、プッシュシールド56の動作中に、フラップ64は、上方に回動すると、その自由端64’をカバー60上に隙間なく接触させる。ドロップシャフト4内にある燃え殻は、それらのカバー60又はフラップ64上に堆積する。
【0048】
端面58の(排出方向から見て)後方に位置する空間の中への燃え殻の侵入は、カバー60又は付加的なカバープレート66a,66bによって効果的に阻止される。同様に、フラップ54は、燃え殻が万一フラップ64の後方に位置する空間の中へ、ひいては、槽溝26a,26bの中へ入ろうとするのを阻止する。
【0049】
伸長位置から後退位置へのプッシュラム42a,42bの後方移動中に、槽底部14は、槽溜28の領域で、上方から落下する燃え殻を受け入れるために再び開かれる。このとき、フラップ64は、カバー60上に堆積した燃え殻をカバーの先端から押出して、溝底部14の端面58の前方に堆積させる。燃え殻は、後退位置にあるプッシュラム42a,42bの端面58の前方にあるので、すなわち、閉鎖効果により、排出シュート18内にある燃え殻は、後方に滑ることが防止される。
【0050】
プッシュラム42a,42bの新たなストロークによって排出シュート18から押出された燃え殻は、更なる使用のために、又は、投棄のために最終的に運び出される。
【0051】
特に図4に示されるように、排出方向から離れる方向に面した槽6の端部領域だけが、槽溝26a,26bの形となっており、図示の実施形態では、槽溝26a,26bは、略長方形の断面を有している。槽溝26a,26b間に形成されて、シリンダピストンユニット48を取囲む空間32は、一方では、長手方向の中心面に対向する溝壁30a,30bによって、他方では、仕切り板34によって、水で満たされた槽から分離されている。仕切り板34の垂直領域34’は、垂直面に沿って延び、排出方向から見て、ドロップシャフト4の後壁24の垂直面の後方に延びる。
【0052】
ドロップシャフト4の後方に位置する槽6の領域、及び、空間32は、特に、図5に示されるように、カバーフード68によって覆われる。これは、開口部70を備え、開口部70は、槽溝26a,26b、及び、空間32の両方を上方からアクセスできるようにする。
【0053】
更に、真水管路及び注入装置を含む第1ウォータタンクを側壁10a又は10bの一方に、また、汚水管路及びオーバーフロー装置を含む第2ウォータタンクを側壁10b又は10aの他方に配置するようにしてもよい。
【0054】
本発明に従う出力レバー40a,40bに関する駆動レバー44の図示の構造は、プッシュラム42a,42bに最適な力を伝達できるようにする。本発明によれば、特に、2つのシリンダピストンユニットがあるときに生じ得るような負荷トルクを効果的に回避することができる。また、軸受台の使用は、シャフト38の比較的簡単な取付及び取外しを可能にする。本発明に従い、出力レバー40a,40b及び駆動レバー44をシャフト38に溶接することにより、高価なキー溝を不要にすることが期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却プラントの燃え殻を排出するためのスラグ除去装置であって、
槽幅を形成する2つの側壁(10a,10b)及び溝底部(14)を含む槽ハウジング(8)を有し、焼却プラントの燃焼室から排出された燃え殻を集めるための槽(6)と、
前記槽(6)から燃え殻を押出すための少なくとも2つのプッシュラム(42a,42b)と、
2つのシャフトベアリング(36a,36b)に回転可能に取付けられ、かつ、シリンダピストンユニット(48)と協働する少なくとも1つの駆動レバー(44)、及び、少なくとも2つの前記プッシュラム(42a又は42b)にそれぞれ連結される少なくとも2つの出力レバー(40a、40b)を配置して回転可能とするシャフト(38)と、
前記プッシュラム(42a,42b)が後退位置と伸長位置との間で前後に移動するように設計された前記シリンダピストンユニット(48)とを備え、
前記駆動レバー(44)は、2つの前記出力レバー(40a、40b)の間に配置されることを特徴とするスラグ除去装置。
【請求項2】
単一の前記駆動レバー(44)及び単一の前記シリンダピストンユニット(48)を含むことを特徴とする請求項1に記載のスラグ除去装置。
【請求項3】
前記駆動レバー(44)は、前記出力レバー(40a、40b)の間に対称的に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラグ除去装置。
【請求項4】
前記シャフト(38)は、少なくとも前記槽幅を超えて延び、前記シャフトベアリング(36a,36b)は、前記側壁(10a,10b)に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスラグ除去装置。
【請求項5】
前記駆動レバー(44)は、前記シャフトベアリング(36a,36b)の略中間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスラグ除去装置。
【請求項6】
作動中、前記シリンダピストンユニット(48)は、水平に対して、20°未満、好ましくは10°未満、特に好ましくは5°未満の角度に向けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスラグ除去装置。
【請求項7】
前記槽(6)は、少なくとも一部が互いに分離した2つの槽溝(26a,26b)の形で構成され、前記シリンダピストンユニット(48)、及び/又は、前記駆動レバー(44)は、少なくとも一部が前記槽溝(26a,26b)の間の空間(32)内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のスラグ除去装置。
【請求項8】
前記槽溝(26a、26b)は、槽溜(28)の中に開口し、該槽溜(28)よって、前記槽溝(26a、26b)が互いに流体連通されていることを特徴とする請求項7に記載のスラグ除去装置。
【請求項9】
前記シャフトベアリング(36a,36b)は、前記槽ハウジング(8)に着脱可能に取付けられる軸受台として構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のスラグ除去装置。
【請求項10】
前記駆動レバー(44)は、前記シャフト(38)に溶接されていること特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のスラグ除去装置。
【請求項11】
前記出力レバー(40a、40b)は、前記シャフト(38)に溶接されていること特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のスラグ除去装置。
【請求項12】
前記側壁(10a又は10b)の一方には、真水管路及び注入装置を含む第1ウォータタンクが配置され、前記側壁(10a又は10b)の他方には、汚水管路及びオーバーフロー装置を含む第2ウォータタンクが配置されていること特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のスラグ除去装置。
【請求項13】
前記シリンダピストンユニット(48)のシリンダは、前記ウォータタンクの外側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載のスラグ除去装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のスラグ除去装置の廃棄物焼却プラントへの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−44522(P2013−44522A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185557(P2012−185557)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(511110924)ヒタチ ゾウセン イノバ アーゲー (2)
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ZOSEN INOVA AG
【Fターム(参考)】