説明

焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置

【課題】 産業廃棄物の焼却炉において、焼却物投入ホッパーのカバー部に産業廃棄物の中に含まれているテープ等の長尺物が引掛かり、これが原因で投入ホッパーのダンパーが動作異状を来すことがある。本発明は構成が簡潔で、効果的に投入ホッパーのカバー部に引っ掛かった長尺物を切断する装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 焼却物投入ホッパー10のカバー部11の外面にカバー部の幅方向に往復動可能な長尺テープ類引寄装置12を設置し、この長尺テープ類引寄装置12によって前記カバー部に垂れ下がった長尺物をカバー部11の端に寄せ集め、カバー部11の端に設けたカッター16によって切断し、切り落すようにした。
そして長尺テープ類引寄装置12は、長尺テープ類を前記カバー部11の外面を横方向に往復動可能な可動板121と、カバー部の外面に設けた可動板駆動軸122と、可動板駆動軸と並行して設けた可動板ガイド軸123とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は産業廃棄物の焼却炉において、焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投入クレーンによりピット(図3参照)からつかみ上げ、これを投入ホッパーの上方から投入ホッパーに落すとき、産業廃棄物の中には、樹脂テープ類や紐あるいは長尺の包装紙をロール状に巻いたものなど(以下長尺テープ類という)が混入しており、これら長尺テープ類が投入ホッパーのカバー部に長々と垂れ下る。するとこれら長尺テープ類が投入ホッパー下部のダンパーに挟まり、ダンパーの動作不良を生じ、焼却炉への投入が不可能になることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、投入ホッパーのカバー部に産業廃棄物の中に含まれる長尺テープ類が引掛かり、投入ホッパーの動作異状を来すことのない、構成が簡潔で作動の確実な長尺テープ類のカッター装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような課題を解決すべく、本発明は、焼却物投入ホッパーのカバー部外面にカバー部の幅方向に往復動可能な長尺テープ類引寄装置を設置し、前記引寄装置によって、前記カバー部に垂れ下がった長尺テープ類を、カバー部の端に寄せ集め、カバー部の端に設けたカッターによってこれを切断して切落すようにしたことを特徴とする。
【0005】
そして長尺テープ類のカッター装置の前記長尺テープ類引寄装置は、前記長尺テープ類を引寄せるための前記カバー部の外面を横方向に往復動可能な可動板と、前記カバー部の外面に設けた可動板駆動軸と、前記可動板駆動軸と並行して設けた可動板ガイド軸とからなることが好ましい。
【0006】
また、前記可動板駆動軸は、前記カバー部の片側に設けた正逆転可能なモータで回転駆動されるボールねじ軸であって、前記可動板は前記可動板に取付けたボールナットを、前記ボールねじ軸と噛み合せることで駆動され、かつ前記可動板に取付けたボール軸受けを介し前記可動板ガイド軸上を案内されてスムーズに横移動することが好ましい。
【0007】
そして、前記長尺テープ類のカッターは、前記カバー部の前記モータと対向する側に設けたチェーンソーであることが好ましい。
【0008】
そしてまた、前記チェーンソーは前記カバー部の側方位置に設けた端板に明けた窓孔を介し、前記長尺テープ類の切断位置と非切断位置との間を回動可能に設けられていることが好ましい。
【0009】
さらに、前記チェーンソーの回動は、前記カバー部の端板の側部に設けたシリンダによって行うことが好ましい。
【0010】
さらにまた、前記長尺テープ類引寄装置において、前記チェーンソーの駆動は、前記モータによって駆動される往復動可能な可動板の駆動と同期して駆動され、長尺テープ類が片側に引寄せられたところで、チェーンソーが45°回動して切断し、終ったならば元に戻るようにすると良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、焼却物投入ホッパーのカバー部外面に幅方向に往復動可能な長尺テープ類引寄装置を設置し、前記長尺テープ類引寄装置によって、前記カバー部に垂れ下がった長尺テープ類を、カバー部の片端に寄せ集め、カバー部の端に設けたカッターによって切断して切り落すようにした。
【0012】
このような構成にしたので、投入ホッパーのカバー部に産業廃棄物の中に含まれる長尺テープ類が引掛かっても、カッターで切断して下に切り落すので、垂れ下がりがなくなり、投入ホッパーに設けたダンパーが動作異状を来すことがなくなった。
【0013】
そして長尺テープ類の切断装置における前記長尺テープ類引寄装置は、前記長尺テープ類を前記カバー部の外面を横方向に往復動可能な可動板と、前記カバー部の外面に設けた可動板駆動軸と、前記可動板駆動軸と並行して設けた可動板ガイド軸とで構成した。
【0014】
このような構成であるので、可動板は可動板ガイド軸によってスムーズにガイドされ、長尺テープ類を可動板によってカバー部の片側から、他側に向って引寄せたのち、可動板とカバー部端部とでサンドイッチ状に圧縮した状態で、カッターによって切断することができる。
【0015】
このように極めて簡潔な構成で、投入ホッパーのダンパーの動作をトラブルなく作動させることが可能となった。
【0016】
また、前記可動板駆動軸は、前記カバー部の片側に設けた正逆転可能なモータで駆動されるボールねじ軸であって、前記可動板は可動板に取付けたボールナットを前記ボールねじ軸と噛み合せることで駆動され、かつ前記可動板に取付けたボール軸受けを介し、前記可動板ガイド軸上を案内されてスムーズに横移動するようにした。
【0017】
この構成により、長尺テープ類を引寄せる可動板がスムーズに作動するので、投入ホッパー部の作動の円滑化に効果的である。
【0018】
そして、前記カッターを、前記カバー部の片側に設けた前記モータと対向する側に設けたチェーンソーとした。
そして、前記チェーンソーは前記カバー部の側方位置に設けた端板に明けた窓孔を介し、前記長尺テープ類の切断位置と非切断位置との間を回動可能に設置した。
【0019】
さらに、前記チェーンソーの回動は、前記カバー部の端板の側部に設けたシリンダによって行い、切断位置と非切断位置の間を約45°に跨って回動可能にした。
この構成により切断の必要なときのみチェーンソーは現れ、必要のないときは、カバー部から離れるので、投入ホッパー部の作動に影響を及ぼすことがない。
【0020】
さらにまた、前記チェーンソーの駆動は、前記モータによって駆動される往復動可能な可動板の駆動と、同期して駆動されるようにしたので、長尺テープ類の引寄せと切断、そして切断後の原状復帰がスムーズに行われ、投入ホッパーの作動が極めてスムーズに行われるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態について図に基いて説明する。
本発明の実施の形態に係る焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置は、図1に示すように、カバー部11の幅方向に往復動可能な長尺テープ類引寄装置12を設置し、焼却物13の投入ホッパー10のカバー部11の外面、即ち投入クレーン15がピットP(図4)から焼却物をつかみ上げて投入ホッパー10に投入する際に通る側に、前記長尺テープ類引寄装置12によって前記カバー部11に引掛かって垂れ下がった長尺テープ類14をカバー部11の片側に寄せ集め、カバー部11の端に設けたカッター16によって切断し、投入ホッパー側から切断してピットP側に落下させるようにしたことを特徴とする。
【0022】
そして前記長尺物テープ類引寄装置12は、前記長尺テープ類14を前記カバー部11の外面で横方向に往復動可能な可動板121と、前記カバー部11の外側に設けた正逆回転可能なモータ17で駆動される可動板駆動軸122と、前記可動板駆動軸122と並行して設けた可動板ガイド軸123とで構成されている。
【0023】
前記可動板121を往復動させる可動板駆動軸121は、前記カバー部12の片側(図1の左側)に設けた正逆回転可能なモータ17で駆動されるボールねじ軸で構成されている。そして前記可動板121は該可動板121に取付けたボールナット124を前記可動板駆動軸122と噛み合せることで駆動され、かつ前記可動板121に取付けたボール軸受125を介し前記可動板ガイド軸123上を案内されて横移動するようになっている。
【0024】
そして、前記カッター16は、前記カバー部11の片側(図1左側)に設けた前記モータ17と対向する側に設けられたチェーンソー161である。このチェーンソー161は前記カバー部11の側方位置に明けた窓孔162を介して約45°回動し、前記長尺テープ類14の切断位置(図1)との非切断位置(図2(b))との間を回動して出没可能にした。即ち長方形の窓孔162から出たとき長尺テープ類を切断し、切断が終れば引込んで、邪魔にならない位置におかれる。
【0025】
前記チェーンソー151の回動は、前記カバー部11の端板の側部に設けたシリンダ163によって行い、レバー164を介し駆動し、切断位置と非切断位置の間を約45°に跨って回動可能になっている。
【0026】
なお、前記チェーンソーの駆動は、前記モータによって駆動される往復動可能な可動板の駆動と同期して駆動される。このように同期して駆動することによって、長尺テープ類の引寄せと切断、そして切断後の元の位置への原状復帰がスムーズに行われる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)はカバー部に設けた長尺テープ類のカッター装置の正面図、(b)は(a)の右側面図である。
【図2】(a)は図1のx矢視平面図、(b)はカッターの拡大図である。
【図3】投入ホッパー部の概略斜視図である。
【図4】焼却装置におけるホッパー部の位置を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0028】
10 投入ホッパー
11 カバー部
12 長尺テープ類引寄装置
121 可動板
122 可動板駆動軸
123 可動板ガイド軸
124 ボールナット

125 ボール軸受
13 焼却物
14 長尺テープ類
15 投入クレーン
16 カッター
161 チェーンソー
162 窓孔
17 モータ
P ピット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却物投入ホッパーのカバー部外面に、前記カバー部の幅方向に往復動可能に設けた長尺テープ類引寄装置を設置し、前記長尺テープ類引寄装置によって前記カバー部に垂れ下がった長尺テープ類をカバー部の片端に寄せ集め、カバー部の端に設けたカッターによって切断して切り落すようにしたことを特徴とする焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置。
【請求項2】
前記長尺テープ類引寄装置は、前記長尺テープ類を引寄せるための前記カバー部の外面で横方向に往復動可能な可動板と、前記カバー部の外面に設けた可動板駆動軸と、前記可動板駆動軸と並行して設けた可動板ガイド軸とからなる請求項1記載の焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置。
【請求項3】
前記可動板を駆動する可動板駆動軸は、前記カバー部の片側に設けた正逆転可能なモータで回転駆動されるボールねじ軸であって、該ボールねじ軸に対し、前記可動板に取付けたボールナットを噛み合せることで前記可動板を駆動し、かつ前記可動板は、前記可動板に取付けたボール軸受けを介し前記可動板ガイド軸上を案内されて横移動するようにした請求項1記載の焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置。
【請求項4】
前記カッターは、前記カバー部の前記モータと対向する側に設けたチェーンソーである請求項1記載の焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置。
【請求項5】
前記チェーンソーは前記カバー部の側方位置に設けた端板に明けた窓孔を介し、前記長尺テープ類の切断位置と非切断位置との間を回動可能に設けられた請求項4記載の焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置。
【請求項6】
前記チェーンソーの回動は、前記カバー部の端板の側部に設けたシリンダによって行うことを特徴とする請求項5記載の焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置。
【請求項7】
前記チェーンソーの駆動は、前記モータによって駆動される往復動可能な可動板の駆動と同期して駆動されることを特徴とする請求項6記載の焼却物投入ホッパーにおける長尺テープ類のカッター装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−286499(P2008−286499A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133914(P2007−133914)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(591284003)株式会社エコ計画 (8)
【Fターム(参考)】