説明

焼菓子類

【課題】 保存性が良好であるにもかかわらず、ソフトでしっとりした食感で、風味や保型性が良好な焼菓子類を提供すること。
【解決手段】 水分活性が0.6〜0.75であり、且つ水分含量が9.3〜15質量%であって、好ましくはゲル化剤と乳蛋白質と水とで構成される複合体を混練した生地を焼成することにより得られた焼菓子類。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存性が良好であるにもかかわらず、ソフトでしっとりした食感で、風味や保型性が良好な焼菓子類に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトな食感と長期貯蔵寿命を有するソフトクッキーとして、特許文献1があげられる。
特許文献1には、ソフトな食感と長期貯蔵寿命を有するソフトクッキーとして、少なくとも6重量%の水分含有率および約0.7未満の水分活性であるソフトクッキーが開示されている。しかし、特許文献1に具体的に記載されている水分活性と水分含有率では、ソフトさやしっとりした食感が乏しいものであった。
【特許文献1】特開平1−231842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、保存性が良好であるにもかかわらず、ソフトでしっとりした食感で、風味や保型性が良好な焼菓子類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を、水分活性が0.6〜0.75であり、且つ水分含量が9.3〜15質量%であることを特徴とする焼菓子類を提供することにより達成したものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、保存性が良好であるにもかかわらず、ソフトでしっとりした食感で、風味や保型性が良好な焼菓子類が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の焼菓子類について詳述する。
本発明の焼菓子類の水分活性は、0.6〜0.75、好ましくは0.62〜0.73、さらに好ましくは0.65〜0.7である。焼菓子類の水分活性が0.6よりも低いと、しっとりとした食感が感じられず、パサパサとした食感となるのでので好ましくない。焼菓子類の水分活性が0.75よりも高いと、保存性が悪くなるため好ましくない。
上記の焼菓子類の水分活性の測定方法としては、特に制限はないが、例えばNOVASINA社製測定機「AW−SPRINT TH−500」(測定温度は25℃)により測定することができる。
【0007】
本発明の焼菓子類の水分含量は、9.3〜15質量%であり、好ましくは9.5〜14質量%、さらに好ましくは10〜13質量%である。焼菓子類の水分含量が9.3質量%よりも低いと、しっとりとした食感が感じられず、パサパサとした食感となるのでので好ましくない。焼菓子類の水分含量が15質量%よりも高いと、保存性が悪くなるため好ましくない。
上記の焼菓子類の水分含量の測定方法としては、特に制限はないが、例えばKett社社製測定機「FD−230」により測定することができる。
【0008】
本発明の焼菓子類は、上記の水分活性と水分含量とする必要があり、例えば、ゲル化剤と乳蛋白質と水とで構成される複合体(以下、複合体という)を焼菓子類生地に混練し、該生地を焼成することにより実現することができる。
【0009】
上記複合体を構成するゲル化剤としては、特に制限はないが、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ペクチン、LMペクチン、HMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、タラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上が用いられる。
上記複合体中の上記ゲル化剤の含有量は、好ましくは0.1〜3質量%、さらに好ましくは0.2〜2.5質量%、最も好ましくは0.25〜2.3質量%である。ゲル化剤の含有量が0.1質量%よりも少ない複合体を混練した焼菓子類は、しっとりした食感を感じにくく、ゲル化剤の含有量が3質量%よりも多い複合体を混練した焼菓子類は、口中でべとつきやすく、また口溶けが悪くなりやすい。
【0010】
上記ゲル化剤として、好ましくはアルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、LMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガムの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのがよく、さらに好ましくはアルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、LMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナンの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのがよく、最も好ましくはアルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、LMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナンの中から選ばれた1種または2種以上(以下、ゲル化剤Aという)と、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガムの中から選ばれた1種または2種以上(以下、ゲル化剤Bという)を併用して用いるのがよい。
上記のゲル化剤Aとゲル化剤Bとを併用する場合、ゲル化剤A:ゲル化剤Bの重量比率を好ましくは1:0.01〜1、さらに好ましくは1:0.02〜0.5、最も好ましくは1:0.03〜0.3とする。
【0011】
上記ゲル化剤のアルギン酸やアルギン酸塩(アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム)は、低粘性のもの、中粘性のもの、高粘性のものの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記の低粘性のアルギン酸や低粘性のアルギン酸塩とは、その1質量%水溶液をB型粘度計でpH7、25℃、30rpmの条件下で測定したときの粘度が、1mPa・s以上10mPa・s未満のものである。
上記の中粘性のアルギン酸や中粘性のアルギン酸塩とは、上記と同じ条件で粘度を測定したときの粘度が、10〜100mPa・sのものである。
上記の高粘性のアルギン酸や高粘性のアルギン酸塩とは、上記と同じ条件で粘度を測定したときの粘度が、100mPa・sを超えるものである。
【0012】
上記複合体中の水の含有量は、好ましくは30〜98質量%、さらに好ましくは35〜90質量%、最も好ましくは40〜90質量%である。なお、ここでいう水とは、水道水や天然水などの水や、牛乳、液糖などの水分を含有する食品中の水分も含めたものである。水の含有量が30質量%よりも少ない複合体を混練した焼菓子類は、口中でべとつきやすく、また口溶けが悪くなりやすい。また水の含有量が98質量%よりも多い複合体を混練した焼菓子類は、しっとり感を感じにくい食感となりやすい。
【0013】
上記複合体を構成する乳蛋白質としては、特に制限されるものではないが、例えば、ホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。本発明では乳蛋白質として、ホエイ蛋白質のみ、カゼイン蛋白質のみ、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との併用のいずれでもよいが、ホエイ蛋白質とカゼイン蛋白質を併用するのが好ましい。
【0014】
上記カゼイン蛋白質としては、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼイン、κ−カゼインの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材であるアルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼイン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0015】
上記ホエイ蛋白質としては、ラクトアルブミン、βラクトグロブリン、血清アルブミン、免疫グロブリン、プロテオースペプトンの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材として、乳清蛋白質、ホエイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱乳糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC及び/又はWPI)等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
上記複合体中の乳蛋白質の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.5〜15質量%、最も好ましくは0.5〜5質量%である。乳蛋白質の含有量が0.5質量%よりも少ないと、複合体を用いた焼菓子類がソフトとなりにくい。
【0017】
上記乳蛋白質としては、上記カゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白質の両方を含有する食品素材を用いることも好ましく、斯かる食品素材として、例えば、生乳、牛乳、加糖練乳、加糖脱脂れん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン(TMP)、脱脂粉乳、全粉乳、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム、醗酵乳等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0018】
特に本発明では上記カゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白質の両方を含有する食品素材であり、乳由来のリン脂質を含有する食品素材(以下、リン脂質含有食品素材という)を用いるのが好ましい。このリン脂質含有食品素材は、乳固形分中のリン脂質の含有量が、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、一層好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5〜40質量%であることが望ましい。
上記リン脂質含有食品素材は、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。但し、溶剤を用いて濃縮した食品素材は、風味上の問題から本発明において用いないのが好ましい。
【0019】
上記リン脂質含有食品素材は、乳由来のリン脂質を含有する乳原料である牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳から製造されたものが好ましく、特に牛乳から製造されたものが好ましい。
上記リン脂質含有食品素材としては、具体的には、クリームからバターを製造する際に生じる水相成分(バターミルク)や、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられる。
【0020】
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
【0021】
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
【0022】
本発明では、上記のクリームからバターを製造する際に生じる水相成分(バターミルク)や、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を、さらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたものなどを用いることも可能である。但し、乳由来のリン脂質は、高温加熱するとその機能が低下するため、加熱する際の温度は、100℃未満であることが好ましい。さらに、溶剤を用いて濃縮したものは、風味上の問題から用いないことが好ましい。
【0023】
また、本発明では、上記リン脂質含有食品素材中のリン脂質の一部又は全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできる。該リゾ化物は、上記リン脂質含有食品素材をそのままリゾ化したものであってもよく、また上記リン脂質含有食品素材を濃縮した後にリゾ化したものであってもよい。また、得られたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧乾燥処理等を施してもよい。
【0024】
上記リン脂質含有食品素材中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すればよい。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
【0025】
上記リン脂質含有食品素材における乳固形分中のリン脂質の定量は、例えば以下のような方法にて行うことができる。但し、抽出方法等については食品素材の形態等によって適正な方法が異なるため、この定量方法に限定されるものではない。
まず、上記リン脂質含有食品素材の脂質をFolch法を用いて抽出する。図1にFolch法のフローを示す。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて食品素材の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(食品素材−食品素材の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
【0026】
また、上記リン脂質含有食品素材は、該食品素材を溶解した水溶液とし、これに乳酸菌を添加して、乳酸醗酵を行い、乳酸醗酵物としてもよい。乳酸醗酵物とすることにより、良好な風味を焼菓子類に付与することができる。
上記乳蛋白質として上記リン脂質含有食品素材を用いる場合、該食品素材を乳固形分として、好ましくは0.1〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜7質量%、最も好ましくは0.9〜4質量%を上記複合体中に含有させるのがよい。
【0027】
本発明で用いる複合体には、乳化剤、糖類・甘味料、金属イオン封鎖剤、ゼラチン、セルロースやセルロース誘導体、澱粉類、油脂類、穀類、無機塩、有機酸塩、キモシン等の蛋白質分解酵素、トランスグルタミナーゼ、ラクターゼ(β−ガラクトシダーゼ)、グルコアミラーゼ等の糖質分解酵素、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、直鎖デキストリン・分枝デキストン・環状デキストン等のデキストリン類、卵製品、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他各種食品素材全般、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤等を配合してもよい。
【0028】
上記乳化剤としては、レシチン、酵素処理レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。本発明で用いる複合体では、風味や、消費者の間に広まっている天然志向に応える観点から、レシチンや酵素処理レシチン以外の合成乳化剤を用いないことが好ましく、さらに好ましくは上記乳化剤を用いないことが望ましい。
【0029】
上記糖類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、デキストリン等が挙げられる。また、上記甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、アスパルテーム等が挙げられる。本発明で用いる複合体ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記糖類や上記甘味料の含有量は、上記複合体中、糖類や甘味料の総量で好ましくは0〜30質量%とする。
【0030】
上記金属イオン封鎖剤は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン等を封鎖するものであり、その具体例としては、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ウルトラポリリン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム等の各種リン酸塩、並びにクエン酸、酒石酸等の有機酸塩類、及び炭酸塩等の無機塩類が挙げられる。本発明で用いる複合体ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記金属イオン封鎖剤の含有量は、上記複合体中、好ましくは0〜1質量%とする。
また、上記ゼラチンの含有量は、上記複合体中、好ましくは0〜1.5質量%とする。
【0031】
上記セルロースやセルロース誘導体としては、微小繊維状セルロース、結晶セルロース、粉末セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースがあげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記澱粉類としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチ米澱粉などの澱粉や、澱粉をアミラーゼ等の酵素で処理したもの、アセチル化アジピン酸架橋澱粉・アセチル化リン酸架橋澱粉・アセチル化酸化澱粉・オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム・ヒドロキシプロピル澱粉・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉・リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉・リン酸化澱粉・酸化澱粉・酢酸澱粉等、澱粉に対し酸処理やアルカリ処理・エステル化・アセチル化・リン酸架橋化・加熱・湿熱等の化学的・物理的処理を行った化工澱粉、更にこれら化工澱粉を水に溶け易い様にあらかじめ加熱処理により糊化させた澱粉が挙げられる。本発明で用いる複合体ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記のセルロースやセルロース誘導体及び澱粉類の含有量は、上記複合体中、セルロースやセルロース誘導体及び澱粉類の総量で好ましくは0〜5質量%とする。
【0032】
また、本発明で用いる複合体は、油脂と混合乳化して、水中油型乳化物、油中水型乳化物、或いは二重乳化物として用いることもできる。本発明では好ましくは水相が外相となる乳化状態である、水中油型乳化物や二重乳化物の複合体を用いるのがよい。
上記油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、サル脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂や、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等が挙げられる。本発明では、これらの油脂の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記油脂の含有量は、上記複合体中、好ましくは0〜70質量%、さらに好ましくは0〜65質量%、最も好ましくは0〜60質量%である。
【0033】
本発明で用いる複合体のpHは特に制限はないが、好ましくは2.5〜7、さらに好ましくは3〜7、最も好ましくは3.5〜7の範囲である。
【0034】
次に本発明で用いる複合体の製造方法の一例について説明する。
まず、水に乳蛋白質、ゲル化剤を添加し混合し、必要によりその他の成分を添加し、水相とする。また別途必要により、油脂とその他の成分を添加した油相を用意し、上記水相と混合し、乳化する。
そして、乳化後、必要に応じて加熱殺菌を行なう。該加熱殺菌の方法としては、インジェクション式、インフュージョン式、マイクロ波等の直接加熱方式、又は、バッチ式、プレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式があり、UHT、HTST、LTLT等の60〜160℃の加熱処理を行なえば良い。
【0035】
次に、均質化機にて均質化する。均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、ホモゲナイザー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられる。この均質化処理は、2段式ホモゲナイザーを用いて、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行なっても良い。
均質化後、必要に応じて冷却しても良い。冷却方法は、例えば、ボーテーター、コンビネーター、パーフェクター等の急冷可塑化機にて急冷可塑化処理を行う方法でも良く、チューブラー式、掻取式等の熱交換機によって冷却する方法でも良い。別の方法として、適当な容器に充填した後に、水浴、氷浴、冷蔵庫、冷凍庫等で冷却する方法も挙げられる。
【0036】
このようにして得られた本発明で用いる複合体は、5℃における硬さが好ましくは5〜300g/cm2 、さらに好ましくは10〜250g/cm2 、最も好ましくは20〜200g/cm2 である。
なお上記の硬さは、フドーレオメーター(不動工業(株)製)にてテーブルスピード2cm/分でカード測定用のプランジャー(No.1)が、5cmの複合体に1cm進入したときの応力値を示している。
【0037】
上記複合体を、焼菓子類生地で用いる穀粉類100質量部に対し、好ましくは70〜220質量部、さらに好ましくは80〜200質量部、最も好ましくは90〜190質量部混練した焼菓子類生地を焼成するこにより、本発明の焼菓子類を得ることができる。
上記焼菓子類生地で用いる穀粉類としては、特に限定されるものではないが、小麦粉、薄力粉、中力粉、強力粉、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等をあげることができ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのがよい。本発明では、好ましくは薄力粉、全粒粉、デュラム粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉の中から選ばれた1種または2種以上を用いるのが良い。
【0038】
上記焼菓子類生地は、上記の複合体や穀粉類の他に、糖類、甘味料、乳製品、油脂類、膨張剤、卵類、水、食塩、澱粉類、乳化剤、調味料、香辛料、着香料、着色料、ココア、チョコレート、ナッツ類、ヨーグルト、チーズ、抹茶、紅茶、コーヒー、豆腐、黄な粉、豆類、野菜類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、果物、ハーブ、肉類、魚介類、保存料、日持ち向上剤などの材料を適宜用いることができる。
【0039】
上記糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、デキストリン等を用いることができる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
上記甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、アスパルテーム等を用いることができる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
【0040】
上記乳製品としては、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等を用いることができる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
【0041】
上記油脂類としては、マーガリン、ショートニング、バター、粉末油脂、液状油などを用いることができる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
上記膨張剤としては、炭酸水素ナトリウムや炭酸アンモニウムなどの炭酸塩や、これらに、酒石酸、酒石酸水素ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、第一リン酸カルシウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、フマル酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸アンモニウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸アンモニウム、焼ミヨウバンなどの中から選ばれた1種または2種以上を添加したり、さらに澱粉類を添加したものを用いることができる。また市販のベーキングパウダーを用いることもできる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
上記卵類としては、全卵、生卵黄、殺菌全卵、殺菌卵黄、加塩全卵、加塩卵黄、加糖全卵、加糖卵黄などを用いることができる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
【0042】

本発明の焼菓子類は、例えば次のようにして製造される。焼菓子類生地で用いる穀粉類100質量部に対し、好ましくはゲル化剤と乳蛋白質と水とで構成される複合体を70〜220質量部及び必要によりその他の材料を混練して焼菓子類生地とする。得られた焼菓子類生地を焼成することにより焼菓子類を得る。この際、焼成手段としては、直火による焼成、オーブンによる焼成、電子レンジによる焼成、蒸し焼き等が挙げられる。本発明では、上記焼菓子類生地を冷蔵または冷凍して保存した後、これを焼成して本発明の焼菓子類としてもよい。また、本発明の焼菓子類を冷蔵または冷凍してもよく、食する際に焼菓子類を電子レンジで解凍調理することも可能である。
【0043】
本発明の焼菓子類としては、カッチングソフトビスケット、ロータリービスケット、ワイヤーカットビスケット、デポジットクッキー、サンドクッキー、各種サンドクッキー、各種包餡クッキー、チョコ複合クッキー、その他のクッキー等、様々なタイプをあげることができる。
【実施例】
【0044】
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
なお下記複合体1〜4の硬さは、フドーレオメーター(不動工業(株)製)にてテーブルスピード2cm/分でカード測定用のプランジャー(No.1)が、5cmの複合体に1cm進入したときの応力値を示すものである。
【0045】
製造例1(複合体1の製造)
ナチュラルチーズ15質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)3質量部及びホエイパウダー3質量部を水66.8質量部に加え、よく撹拌した。これをプレート式熱交換器にて85℃で3分間加熱殺菌し、乳酸菌スターターを接種し乳酸醗酵を行った。得られた乳酸醗酵物(pH5.3)にサラダ油10質量部、LMペクチン2質量部及びグアーガム0.2質量部を加え、これを掻取式熱交換器にて90℃で180秒間加熱殺菌し、55℃に冷却した。次いで、イズミフードマシナリ製2段式ホモゲナイザーにて1段目20MPa、2段目2MPaの均質化圧力にて均質化後、ポリエチレン袋に密封して静置し、5℃に冷却して、本発明で用いる「ゲル化剤と乳蛋白質と水とで構成される複合体1(水中油型乳化物)」を得た。
得られた複合体1の乳蛋白質の含有量は1.3質量%、ゲル化剤の含有量は2.2質量%、水の含有量は76.9質量%、pH6.2であった。
得られた複合体1を5℃で18時間調温した後に測定した硬さは50g/cm2 であった。
【0046】
製造例2(複合体2の製造)
クリームチーズ20質量部、ホエイパウダー4質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)2.5質量部、乳糖1.5質量部及びミルクプロテインコンセントレート1.3質量部を水45.6質量部に加え、よく撹拌し、プレート式熱交換器で90℃4分間殺菌した。これを35℃に調温して乳酸菌スターターを添加し、7時間調温して乳酸発酵物を得た。これにLMペクチン1質量部、ローカストビーンガム0.1質量部、クエン酸ナトリウム0.5質量部及び食塩0.5質量部を加え、さらにサラダ油20質量部及びタピオカ由来化工澱粉3質量部を加え、よく撹拌した。これを掻取式熱交換器にて85℃で3分間加熱殺菌し、掻取式熱交換器にて60℃に冷却し、イズミフードマシナリ製2段式ホモゲナイザーにて1段目20MPa、2段目1MPaの均質化圧力にて均質化後、ポリエチレン袋に密封して静置し、5℃に冷却して、本発明で用いる「ゲル化剤と乳蛋白質と水とで構成される複合体2(水中油型乳化物)」を得た。
得られた複合体2の乳蛋白質の含有量は2.4質量%、ゲル化剤の含有量は1.1質量%、水の含有量は55.8質量%、pHは5.1であった。
得られた複合体2を5℃で18時間調温した後に測定した硬さは120g/cm2 であった。
【0047】
製造例3(複合体3の製造)
ホエイパウダー2.5質量部、トータルミルクプロテイン1.5質量部、水飴30質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量4.89質量%)5質量部、大豆油10質量部及び水39.2質量部を混合し、45℃に加熱し、イズミフードマシナリ製2段式ホモゲナイザーにて1段目100MPa、2段目0MPaの均質化圧力にて均質化を行い、水中油型乳化物(1)を調製した。この水中油型乳化物(1)に、中粘性アルギン酸ナトリウム(1質量%水溶液の粘度が30mPa・s)0.5質量部、菜種油10質量部、乳酸0.3質量部及び澱粉1質量部を添加し、配合槽で混合し、水中油型乳化物(2)を調製した。これを掻取式熱交換器にて90℃で5分間加熱殺菌し、掻取式熱交換器にて45℃に冷却した。次いで、イズミフードマシナリ製2段式ホモゲナイザーにて1段目2MPa、2段目10MPaの均質化圧力にて均質化後、ポリエチレン袋に密封して静置し、5℃に冷却して、本発明で用いる「ゲル化剤と乳蛋白質と水とで構成される複合体3(水中油型乳化物)」を得た。
得られた複合体3の乳蛋白質の含有量は2.5質量%、ゲル化剤の含有量は0.5質量%、水の含有量は50.3質量%、pHは5.1であった。
得られた複合体4を5℃で18時間調温した後に測定した硬さは30g/cm2 であった。
【0048】
製造例4(複合体4の製造)
pH5.1の発酵乳76.7質量部及びクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)3質量部を混合し、これにナタネ硬化油(融点15℃) 10質量部、アルギン酸ナトリウム1.2質量部、ローカストビーンガム0.1質量部、タピオカ由来化工澱粉2質量部、メタリン酸ナトリウム0.5質量部、ゼラチン1質量部、乳糖5質量部及び食塩0.5質量部を加えた後よく撹拌した。これをプレート式熱交換器にて85℃で3分間加熱殺菌し、60℃に冷却して、イズミフードマシナリ製2段式ホモゲナイザーにて1段目15MPa、2段目3MPaの均質化圧力にて均質化後、ポリエチレン袋に密封して静置し、5℃に冷却して、本発明で用いる「ゲル化剤と乳蛋白質と水とで構成される複合体4(水中油型乳化物)」を得た。
得られた複合体4の乳蛋白質の含有量は2.3質量%、ゲル化剤の含有量は1.3質量%、油脂の含有量は15.2質量%、水の含有量は71質量%、pHは5.9であった。
得られた複合体4を5℃で18時間調温した後に測定した硬さは200g/cm2 であった。
【0049】
実施例1
マーガリン120質量部を溶解後、砂糖120質量部を混合し、上記複合体1を90質量部、全卵60質量部及び食塩0.5質量部をさらに混合し均一にした後、薄力粉70質量部、α化馬鈴薯澱粉20質量部、α化ワキシーコーンスターチ10質量部及びベーキングパウダー1質量部を軽く混合した。得られた生地を室温で15分間放置した後、ワイヤーカット成形をした。この成形生地を180℃で18分間焼成して、焼き菓子を得た。得られた焼き菓子は、水分活性が0.65、水分含量が11質量%でありながら、ソフトでしっとりとした食感で、風味良好に仕上がり、保型性も良好であった。
【0050】
実施例2
上記複合体1の代わりに上記複合体2を70質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、焼き菓子を得た。得られた焼き菓子は、水分活性が0.65、水分含量が10質量%でありながら、ソフトでしっとりとした食感で、風味良好に仕上がり、保型性も良好であった。
【0051】
実施例3
上記複合体1の代わりに上記複合体3を130質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、焼き菓子を得た。得られた焼き菓子は、水分活性が0.7、水分含量が13質量%でありながら、ソフトでしっとりとした食感で、風味良好に仕上がり、保型性も良好であった。
【0052】
実施例4
上記複合体1の代わりに上記複合体4を130質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、焼き菓子を得た。得られた焼き菓子は、水分活性が0.69、水分含量が13質量%でありながら、ソフトでしっとりとした食感で、風味良好に仕上がり、保型性も良好であった。
【0053】
比較例1
マーガリン133質量部を溶解後、砂糖120質量部及び乳糖6.5質量部を混合し、全卵60質量部、食塩1.2質量部、水70質量部、発酵乳99.7質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)3.9質量部をさらに混合し均一にした後、薄力粉70質量部、アルギン酸ナトリウム1.6質量部、ローカストビーンガム0.1質量部、タピオカ由来化工澱粉2.6質量部、メタリン酸ナトリウム0.7質量部、ゼラチン1.3質量部を軽く混合した。得られた生地を室温で15分間放置した後、ワイヤーカット成形をした。この成形生地を180℃で18分間焼成して、焼き菓子を得た。得られた焼き菓子は、水分活性が0.56、水分含量が7質量%であり、ソフトでしっとりとした食感には仕上がらず、パサパサとした食感であり、実施例4の焼き菓子と比較して保型性が悪く、ワイヤーカット成形生地が流れたような形状となってしまった。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】リン脂質含有食品素材の脂質を抽出するためのFolch法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分活性が0.6〜0.75であり、且つ水分含量が9.3〜15質量%であることを特徴とする焼菓子類。
【請求項2】
ゲル化剤と乳蛋白質と水とで構成される複合体を焼菓子類生地に混練し、該生地を焼成することにより得られた請求項1記載の焼菓子類。
【請求項3】
上記複合体が、ゲル化剤0.1〜3質量%、乳蛋白質0.5質量%以上、水30〜98質量%で構成されるものである請求項2記載の焼菓子類。
【請求項4】
上記複合体が、合成乳化剤を含有しないものである請求項2または3記載の焼菓子類。
【請求項5】
上記焼菓子類生地で用いる穀粉類100質量部に対し、上記複合体を70〜220質量部混練した請求項2〜4のいずれかに記載の焼菓子類。

【図1】
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【公開番号】特開2006−81516(P2006−81516A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272492(P2004−272492)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000000387)旭電化工業株式会社 (987)
【Fターム(参考)】