説明

煙突解体工法

【課題】多脚形集合煙突を容易に安全にかつ経済的に解体する煙突解体工法を提供する。
【解決手段】3脚形集合煙突1の中央部の地盤上にジャッキ5を設置し、ジャッキ5によるマストブロック3Aの吊り上げと連結とを繰り返し行うことによって、集合煙突1の中央部にマスト3を垂直に構築し、マスト3との固定箇所より下部の箇所において集合煙突1を切断し、切断した煙突部分を、切断位置において煙突片に切り取り、切り取った煙突片は、未切断の集合煙突1内に順次落とし込んで、集合煙突1の基部に形成した開口(O)から撤去し、上部煙突部分の解体が完了したら、残りの未切断の集合煙突1においても同様にして、マスト3の頂部との固定箇所より下部の箇所での集合煙突1の切断、切断位置における、ジャッキ5により煙突部分を順次下降させながらの煙突片の切り取り、煙突片の未切断の集合煙突1内への落とし込みを繰り返し行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、煙突解体工法、特に、多脚形集合煙突を容易に安全にかつ経済的に解体することが可能な煙突解体工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、火力発電所に設置されている多脚形集合煙突を解体するには、図8から図13に示すように、多脚形集合煙突21(この例では、3本の煙突21A、21B、21Cからなる3脚形集合煙突であり、以下、単に集合煙突という。)の外側に集合煙突21と近接して、クレーン本体23とクレーン本体23を支持するマスト24とから構成されるクライミングクレーン22を設置し、集合煙突21をその頂部から順次、ブロック単位で解体し、解体物ブロックをクライミングクレーン22により順次、地上に吊り下ろしていた。以下、この解体工法を従来解体工法という。
【0003】
なお、図8は、従来解体工法により集合煙突の外側にクライミングクレーンを設置した状態を示す正面図、図9は、図8のA−A線断面図、図10は、図8のB−B線断面図、図11は、図8のC−C線断面図、図12、図8のD−D線断面図、図13は、集合煙突頂部の平面図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2828430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来解体工法によれば、確実に集合煙突21を解体することは可能であるが、以下のような問題があった。
【0006】
(1)火力発電所に設置されている集合煙突21は、通常、100mを超える高さを有しているので、それに応じてマスト24を構成するマストブロック24Aを数多く継ぎ足してクライミングクレーン22を大型化する必要がある。この結果、クライミングクレーン22の専用基礎が不可欠であり、場合によっては杭打ちをして専用基礎を構築する必要がある。このように、クライミングクレーン22を大型化する必要性と専用基礎の設置の必要性とがあることからクライミングクレーン22の設置に莫大な費用がかかる。
【0007】
(2)クライミングクレーン22の振れ止めのために、マスト24と集合煙突21とを、図8から図12に示すように、連結部材25により連結する必要があるが、クライミングクレーン22は、集合煙突21の外側に設置し、しかも、集合煙突21の上部に行くほどマスト24と集合煙突21との間の距離が離れるので、連結部材25として標準品を使用することができず、新規に製作する必要がある。従って、費用がかかると共に、連結に時間がかかる。
【0008】
(3)集合煙突21の解体時には、集合煙突21に保守点検等のためにもともと構築されている既設のプラットホームに足場を設置して集合煙突21の切断作業を行うが、この作業は、大掛かりな工事であるので、プラットホームに設置する足場も大掛かりなものとなる。従って、足場の設置と撤去に時間がかかると共に、足場の設置と撤去作業は、高所作業となるので危険が伴う。なお、この例では、プラットホームは、第1から第8プラットホーム26Aから26Hまで構築され、足場27Aから27Hは、第1から第8プラットホーム26Aから26Hの間に全面的に設置されている。
【0009】
(4)クライミングクレーン22は、集合煙突21の外側に設置するので、風等の影響を受け易い。従って、このためのマスト24の補強と安全対策が不可欠である。
【0010】
(5)クライミングクレーン22により吊り下ろした解体物ブロックは、地上で運搬可能な大きさに解体し直す必要があるので、全体的にみると集合煙突21の解体に長時間を要する。
【0011】
(6)この種の集合煙突21は、鉄皮の内面にモルタル等を内張りしたものから構成されているので、地上では、鉄皮から内張り材を分離し、鉄皮と内張り材とに仕分けする作業が不可欠であるが、この作業に時間と手間がかかる。
【0012】
従って、この発明の目的は、多脚形集合煙突をクライミングクレーンを用いた従来解体工法に比べて容易に安全にかつ経済的に解体することが可能な煙突解体工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0014】
[1] 多脚形集合煙突の中央部の地盤上にジャッキを設置し、前記ジャッキによるマストブロックの吊り上げとマストブロック同士の連結とを繰り返し行うことによって、前記集合煙突の中央部にマストを垂直に構築し、前記マストの頂部を前記集合煙突の上部に固定し、前記マストとの固定箇所より下部の箇所において前記集合煙突を切断し、切断した煙突部分を、切断位置において煙突片に切り取り、前記煙突片の切り取りは、前記切断位置において行えるように、前記ジャッキにより前記煙突部分を前記切断位置まで順次下降させながら行い、切り取った前記煙突片は、未切断の前記集合煙突内に順次落とし込んで、前記集合煙突の基部に形成した開口から撤去し、このようにして上部煙突部分の解体が完了したら、残りの未切断の前記集合煙突においても、前記上部煙突部分におけると同様にして、前記マストの頂部との固定箇所より下部の箇所での前記集合煙突の切断、切断位置における、前記ジャッキにより煙突部分を順次下降させながらの煙突片の切り取り、前記煙突片の未切断の前記集合煙突内への落とし込みを繰り返し行うことに特徴を有するものである。
【0015】
[2] [1]に記載の煙突解体工法において、前記ジャッキは、センターホールジャッキからなっていることに特徴を有するものである。
【0016】
[3] [1]または[2]に記載の煙突解体工法において、前記煙突片の切り取り作業は、前記集合煙突に設置されている既設のプラットホームを利用して行うことに特徴を有するものである。
【0017】
[4] [1]から[3]の何れか1つに記載の煙突解体工法において、前記マストと前記集合煙突とは、前記集合煙突に設置されている既設のプラットホームを利用して固定することに特徴を有するものである。
【0018】
[5] [1]から[4]の何れか1つに記載の煙突解体工法において、前記開口に飛散防止カバーを併設することによって、前記集合煙突内を落下してくる前記煙突片の一部が前記開口から飛散することを防止することに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、多脚形集合煙突をクライミングクレーンを用いた従来解体工法に比べて容易に安全にかつ経済的に解体することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の煙突解体工法により集合煙突の内側に支柱を設置した状態を示す正面図である。
【図2】図1の集煙部の拡大図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】図1のC−C線断面図である。
【図6】図1のD−D線断面図である。
【図7】図1に示す集合煙突頂部の平面図である。
【図8】従来解体工法により集合煙突の外側にクライミングクレーンを設置した状態を示す正面図である。
【図9】図8のA−A線断面図である。
【図10】図8のB−B線断面図である。
【図11】図8のC−C線断面図である。
【図12】図8のD−D線断面図である。
【図13】図8に示す集合煙突頂部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の煙突解体工法の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、この発明の煙突解体工法により集合煙突の外側に支柱を設置した状態を示す正面図、図2は、図1の集煙部の拡大図、図3は、図1のA−A線断面図、図4は、図1のB−B線断面図、図5は、図1のC−C線断面図、図6は、図1のD−D線断面図、図7は、図1に示す集合煙突の頂部の平面図である。
【0023】
図1から図7において、1は、多脚形集合煙突であり、この例では、3本の煙突1A、1B、1Cからなる3脚形集合煙突(以下、単に集合煙突という。)である。集合煙突1の各煙突の基部には、後述する煙突片(P)の撤去用開口(O)が形成されている。2Aから2Hは、集合煙突1に構築されている保守点検用の第1から第8プラットホームである。各プラットホームは、煙突1A、1B、1Cを相互に連結する機能も有している。
【0024】
3は、集合煙突1の中央部に垂直に構築されたマストであり、この例では、3本のマスト部材4Aを連結部材4Bにより三角柱状に連結したものからなっている。マスト3は、複数個のマストブロック3Aを順次連結することにより構築されている。マスト3は、3本の煙突1A、1B、1Cにより囲まれるように、集合煙突1の中央部に垂直に構築されているので、前述した、集合煙突1の外側に設置されるクライミングクレーンに比べて風の影響を受けにくく、しかも、後述するガイド部材を介して集合煙突1に昇降可能に支持されるので、特別な補強手段は不要である。しかも、クライミングクレーンのように、マスト頂部に重量のあるクレーン本体を設置する必要がないので軽量ですむ。従って、マスト3の基礎は、クライミングクレーンのように大掛かりなものにする必要がないので、マスト3の構築費用は、安価ですむ。
【0025】
5は、マスト3を構築するためのジャッキであり、この例では、センターホールジャッキからなっている。ジャッキ5は、集合煙突1の中央部の地盤上に構築されたジャッキ架台6と、ジャッキ架台6の上部に取り付けられたジャッキ本体7と、ジャッキ本体7により引き上げ、引き下げられるPC鋼より線からなるストランド8とからなっている。
【0026】
上記センターホールジャッキとして、例えば、特許文献1(特許第2828430号公報)に記載されたものを使用すれば、吊り荷の吊り上げ、吊り下げが安定して確実に行える。
【0027】
センターホールジャッキは、ストランド8を把持および開放する上部および下部クランプとシリンダとを備え、例えば、上部クランプによりストランド8を把持し、この後、下部クランプによるストランド8の把持を解除し、この状態でシリンダを伸ばして、ストランド8に固定した吊り荷をシリンダのストローク分だけ持ち上げる。次に、下部クランプによりストランド8を把持し、上部クランプによるストランド8の把持を解除してシリンダを縮め、この後、上部クランプによりストランド8を把持し、次に、下部クランプによるストランド8の把持を解除し、この状態でシリンダを伸ばして、吊り荷をシリンダのストローク分だけさらに持ち上げる。この操作を繰り返し行って吊り荷を所定高さまで吊り上げるものである。吊り荷を吊り下げるには、吊り上げの場合と逆の操作を行う。
【0028】
図1に示すように、ジャッキ架台5は、第1プラットホーム2Aの高さまで構築され、ジャッキ架台5内にマスト3が構築されている。図3に示すように、マスト3は、ジャッキ架台5に取り付けたガイド部材9Aにより横振れすることなく昇降自在に支持されている。
【0029】
第2から第8プラットホーム2Bから2Hの各プラットホームにおいても、マスト3は、各プラットホームに取り付けたガイド部材によって支持されている。例えば、図4から図6に示すように、マスト3は、第3、第5、第6プラットホーム2C、2E、2Fに設けたガイド部材9C、9E、9Fにより昇降自在に支持されている。
【0030】
10は、煙突ブロック支持梁である。図1の煙突解体前の状態では、煙突ブロック支持梁10は、図2に示すように、マスト3の頂部に固定されていると共に、第8プラットホーム2Hの上部の集煙部11に固定されている。なお、煙突ブロック支持梁10の昇降に伴い、煙突ブロック支持梁10が煙突壁と干渉する場合には、干渉を避けるために、煙突ブロック支持梁10を水平方向に回転可能にしておく。
【0031】
12は、煙突1A、1B、1Cの基部の煙突片撤去用開口(O)に併設された飛散防止カバーである。集合煙突1は、前述したように、鉄皮の内面にモルタル等を内張りしたものから構成されているので、煙突片(P)の落下に伴い、開口(O)から内張り材等が飛散し、危険が伴う。飛散防止カバー12は、この危険を防止する。
【0032】
以上説明した、この発明の煙突解体工法によれば、以下のようにして、集合煙突が解体される。
【0033】
先ず、集合煙突1の中央部の地盤上にジャッキ架台6を第1プラットホーム2Aの高さまで構築する。そして、ジャッキ架台6の上部にジャッキ本体7を設置すると共に、ジャッキ架台6の内側にガイド部材9Aを取り付ける。さらに、ジャッキ架台6の上部に煙突ブロック支持梁10を仮置きする。
【0034】
このようにして、集合煙突1の中央部にジャッキ5を設置したら、図1および図3に示すように、ジャッキ架台6内にマストブロック3Aを搬入し、ジャッキ5のストランド8に取り付けられたジャッキアップ吊具(図示せず)を搬入したマストブロック3Aに固定する。次に、ジャッキ5によりマストブロック3Aを吊り上げ、吊り上げたマストブロック3Aの下方部に別のマストブロックを搬入し、マストブロック同士を連結する。この操作を繰り返し行って複数個のマストブロック3Aを、ジャッキ5の吊り上げ限界高さ、すなわち、第1プラットホーム2Aの高さまで吊り上げる。この後、上記ジャッキアップ吊具を最下段の支柱ブロックに付け替え、同様な操作を行ってマスト3を構築して行く。
【0035】
このようにして、最初のマストブロック3Aがジャッキ架台5に仮置きされた煙突ブロック支持梁10に当接したら、煙突ブロック支持梁10をマストブロック3Aに固定する。なお、煙突ブロック支持梁10の昇降に伴い、煙突ブロック支持梁10が煙突壁と干渉する場合には、干渉を避けるために、煙突ブロック支持梁10を水平方向に回転可能にしておく。
【0036】
このように、マストブロックの吊り上げとマストブロック同士の連結とを繰り返し行ってマスト3を構築して行き、煙突ブロック支持梁10が第8プラットホーム2Hを通過し、集煙部11に当接したら、煙突ブロック支持梁10を集煙部11に固定する。なお、構築されたマスト3は、各プラットホームに取り付けられたガイド部材によりガイドされるので、マスト3の昇降時に横振れは生じない。
【0037】
次に、第8プラットホーム2H上で集煙部11を切断し、切り離す。図1および図2において、切断位置をX−Xで示す。この後、図2に示すように、煙突1A、1B、1Cからそれぞれ所定面積、例えば、1m×1m角の大きさの煙突片(P)の切り取りを、各煙突の全周に亘って行う。この切り取り作業は、単に切断のみで良いので、第8プラットホーム2Hに大掛かりな足場を組む必要はない。第8プラットホーム2H以外のプラットホームにおいても同様である。
【0038】
切り取った煙突片(P)は、未切断の集合煙突1内に順次落とし込む。煙突1A、1B、1Cの内径は、1m以上あり、しかも、内径は、煙突全長に亘り変わらないので、煙突片(P)は、煙突の途中で引っ掛かることなく地上まで落下する。そして、落下した煙突片(P)は、集合煙突1の基部に形成した開口(P)から煙突外に撤去される。この際、飛散防止カバー12が開口(P)に併設されているので、煙突片(P)の内張り材が飛散するおそれはない。また、煙突片(P)の落下過程で、煙突片(P)を構成する鉄皮と内張り材とは分離するので、鉄皮と内張り材との仕分け作業が大幅に軽減される。しかも、煙突片(P)の面積は、小さいので運搬が容易に行え、再解体の必要はない。なお、上記煙突片(P)の切り取りと撤去作業を、煙突1A、1B、1C同時に行えば、解体作業が能率良く行える。
【0039】
このようにして、集煙部11の一周目の切り取りと撤去作業が完了したら、ジャッキ5を操作して、集煙部11を一段、下降させる。この後、同様な作業を行って、二周目以降の煙突片(P)の切り取りと落とし込みを行う。このような作業を煙突ブロック支持梁10が第8プラットホーム2H上に下降するまで繰り返し行う。
【0040】
煙突ブロック支持梁10より上部の集煙部11の解体は、集煙部11の周囲に足場を組んで、上部から所定の大きさに切断し、未切断の集合煙突1内に落とし込む。
【0041】
このようにして、集煙部11の解体が全て完了したら、煙突ブロック支持梁10を第8プラットホーム2Hに固定し、第7プラットホーム2G上で、集煙部11が解体された集合煙突1を切断し、切り離す。図1において、切断位置をY−Yで示す。そして、集煙部11の下部の解体におけると同様にして、切断した煙突部分に対して、煙突片(P)の切り取りと落とし込みを行う。
【0042】
以上の作業を、煙突ブロック支持梁10が第7プラットホーム2G上に下降するまで繰り返し行う。
【0043】
このようにして、第7プラットホーム2G上までの集合煙突の解体が完了したら、以下、同様にして、煙突ブロック支持梁10が第6から第2プラットホーム2Fから2Bを経て第1プラットホーム2A上に来るまで、上記作業を繰り返し行う。なお、集合煙突1の解体に伴い各プラットホームの解体も同時に行う。すなわち、プラットホームを切断し、煙突片(P)と同様に、未切断の集合煙突1内に落とし込む。
【0044】
このようにして、第1プラットホーム2A上部までの集合煙突1の解体が完了したら、第1プラットホーム2Aまでの煙突部分を解体する。この解体は、第1プラットホーム2Aの上部から残りの集合煙突1を切断し、吊り下ろすことによって行う。
【0045】
このようにして、集合煙突1の解体が完了する。
【0046】
なお、以上、一連の解体作業において、従来従来解体工法におけると同様に、運搬用エレベーターや落下物防護柵等の付帯設備を設置するが、説明は省略した。
【0047】
以上説明したように、この発明によれば、以下のような効果がもたらされる。
【0048】
(1)切り取った煙突片(P)を集合煙突1内に落とし込んで撤去するので、風雨の影響を受けず煙突片(P)の撤去が行え、しかも、揚重装置が不要である。
【0049】
(2)マスト用の大掛かりな基礎が不要であるので、マストの構築費用が安価ですむ。
【0050】
(3)作業用足場は、既存のプラットホームに簡単な足場を組んだもので済むので、足場の構築費用が安価ですみ、その撤去も容易に行える。
【0051】
(4)マストの振れ止めは、既存のプラットホームにガイド部材を取り付けることにより容易かつ確実に行えるので経済的である。
【0052】
(5)煙突片(P)の面積は小さいので、運搬が容易に行え、しかも、煙突片(P)の落下過程で鉄皮と内張り材とが分離するので、鉄皮と内張り材との仕分け作業が大幅に軽減される。従って、全体的にみると集合煙突1の解体が短時間に行える。
【0053】
(6)解体工事は、集合煙突の内側で行えるので、他の設備に影響を及ぼさない。
【符号の説明】
【0054】
1:集合煙突
1A、1B、1C:煙突
2Aから2H:第1から第8プラットホーム
3:マスト
3A:マストブロック
4A:マスト部材
4B:連結材
5:ジャッキ
6:ジャッキ架台
7:ジャッキ本体
8:ストランド
9A、9C、9E、9G:ガイド部材
10:煙突ブロック支持梁
11:集煙部
12:飛散防止カバー
21:集合煙突
22:クライミングクレーン
23:クレーン本体
24:マスト
25:連結部材
26Aから26H:プラットホーム
27Aから27H:足場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多脚形集合煙突の中央部の地盤上にジャッキを設置し、前記ジャッキによるマストブロックの吊り上げとマストブロック同士の連結とを繰り返し行うことによって、前記集合煙突の中央部にマストを垂直に構築し、前記マストの頂部を前記集合煙突の上部に固定し、前記マストとの固定箇所より下部の箇所において前記集合煙突を切断し、切断した煙突部分を、切断位置において煙突片に切り取り、前記煙突片の切り取りは、前記切断位置において行えるように、前記ジャッキにより前記煙突部分を前記切断位置まで順次下降させながら行い、切り取った前記煙突片は、未切断の前記集合煙突内に順次落とし込んで、前記集合煙突の基部に形成した開口から撤去し、このようにして上部煙突部分の解体が完了したら、残りの未切断の前記集合煙突においても、前記上部煙突部分におけると同様にして、前記マストの頂部との固定箇所より下部の箇所での前記集合煙突の切断、切断位置における、前記ジャッキにより煙突部分を順次下降させながらの煙突片の切り取り、前記煙突片の未切断の前記集合煙突内への落とし込みを繰り返し行うことを特徴とする煙突解体工法。
【請求項2】
前記ジャッキは、センターホールジャッキからなっていることを特徴とする、請求項1に記載の煙突解体工法。
【請求項3】
前記煙突片の切り取り作業は、前記集合煙突に設置されている既設のプラットホームを利用して行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の煙突解体工法。
【請求項4】
前記マストと前記集合煙突とは、前記集合煙突に設置されている既設のプラットホームを利用して固定することを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の煙突解体工法。
【請求項5】
前記開口に飛散防止カバーを併設することによって、前記集合煙突内を落下してくる前記煙突片の一部が前記開口から飛散することを防止することを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の煙突解体工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−52306(P2012−52306A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193753(P2010−193753)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000204000)太平電業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】