説明

照明付天井埋込換気扇

照明付天井埋込換気扇において、照明部からの光を室内に導くように反射する反射面を有する照明用カバーと照明部の周囲との間における空気の通過を制限する制限部材が備えられ、照明用カバーの下端部と室内側開口部の縁部との間に吸気用隙間が形成された構成を採用する。これにより、吸気用隙間を通して本体筐体内に導入された空気を送風機によりダクト内へ排気するとともに、送風機などにて発生した音の指向性が照明用カバー内にて増強されて室内側へ伝達されることが制限部材により抑制でき、室内に伝達される騒音を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種換気扇に関するものであり、特に、一種照明付天井埋込換気扇の騒音削減構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照明付天井埋込換気構造としては、例えば、ダウンライトを用いた構造が知られている。従来の照明付天井埋込換気構造の例を図7に示す(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7に示すように、従来の照明付天井埋込換気構造108は、天井101に窪み部(凹部)102を設け、防湿カバー104で囲われた電球105をこの窪み部102内にゴムパッキン103を介して配置するとともに、窪み部102の周壁の一部に換気口106を形成して、この換気口106にダクト107を接続した構造を有している。
【0004】
このような照明付天井埋込換気構造108では、ダウンライトとしての機能を実現しながら、室内換気の機能を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57−68426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の照明付天井埋込換気構造108では、窪み部102を円錐台形筒状に形成して窪み部102の内壁面を反射面とし、電球105からの光を窪み部102の内壁面にて下方、すなわち室内側に向けて反射するような構成が採用されている。このような構成が採用されていることにより照明付天井埋込換気構造108においてダウンライトとしての機能を高めることができる。
【0007】
しかしながら、窪み部102が円錐台形筒状に形成されていることにより、この形状がいわゆるメガホン(megaphone)となり、照明付天井埋込換気構造108にて発生する送風音や送風機などの運転音の指向性が増強されて室内に伝達する、あるいはこのような音をより遠くへ伝えてしまうという課題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、室内に伝達される騒音を抑制することができる照明付天井埋込換気扇を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0010】
本発明の第1態様によれば、本体筐体と、本体筐体内に配置された送風機および照明器具とを有する照明付天井埋込換気扇であって、
本体筐体は、送風機の吹出口に接続されるとともにダクトに連通する第1開口部と、室内に連通するように本体筐体の下部に形成された第2開口部とを有し、
照明器具は、照明部と、照明部の周囲を囲むように本体筐体内に配置されて、照明部からの光を、第2開口部を通して室内に導くように反射する反射面を有する照明用カバーと、照明部の周囲と照明用カバーとの間における空気の通過を制限する制限部材とを備え、
照明用カバーの下端部と第2開口部の縁部との間に吸気用隙間が形成され、第2開口部および吸気用隙間を通して本体筐体内に導入された空気が、送風機により第1開口部を通してダクト内へ排気される、照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、照明器具は、本体筐体の第2開口部に対する照明用カバーの高さ位置を調整する調整機構を有し、調整機構により照明用カバーの高さ位置を調整することで、吸気用隙間の大きさを調整する、第1態様に記載の照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、照明用カバーは照明部の側部周囲全体を覆うように筒状に形成されるとともに照明用カバーの下端部は上端部よりも大きく形成され、照明用カバーの上端部および下端部の少なくともいずれか一方が実質的に封止されるように制限部材が配置されている、第1態様に記載の照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、照明用カバーは上端部の開口よりも下端部の開口が大きくなるような大略円錐台形状もしくは多角錐台形状の筒状に形成され、下端部の開口を実質的に封止する蓋部材が制限部材として配置されている、第3態様に記載の照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0014】
本発明の第5態様によれば、照明用カバーの下端部に対して、蓋部材が着脱自在に設けられている、第4態様に記載の照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0015】
本発明の第6態様によれば、照明用カバーの下端部の周囲に突出する鍔部が形成されている、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0016】
本発明の第7態様によれば、本体筐体内面において、少なくとも送風機の吸込口と対向する位置に吸音材が配置されている、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0017】
本発明の第8態様によれば、本体筐体は、第2開口部から離間された位置に形成されて、室内と連通する第3開口部をさらに有し、第2開口部および吸気用隙間を通して本体筐体内に導入された空気とともに、第3開口部を通して本体筐体内に導入された空気が、送風機により第1開口部を通してダクト内へ排気される、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0018】
本発明の第9態様によれば、本体筐体と、本体筐体内に配置された送風機および照明器具とを有する照明付天井埋込換気扇であって、
本体筐体は、送風機の吹出口に接続されるとともにダクトに連通する第1開口部と、本体筐体の下部に形成された第2開口部とを有し、
天井開口部に設けられた開口部材により構成される室内側吸込口と、本体筐体の第2開口部とが連通されるように、本体筐体が天井内に設置され、
照明器具は、照明部と、照明部の周囲を囲むように本体筐体内に配置されて、照明部からの光を、第2開口部および開口部材を通して室内に導くように反射する反射面を有する照明用カバーと、照明部の周囲と照明用カバーとの間における空気の通過を制限する制限部材とを備え、
照明用カバーの下端部と開口部材の縁部との間に吸気用隙間が形成され、開口部材および吸気用隙間を通して本体筐体内に導入された空気が、送風機により第1開口部を通してダクト内へ排気される、照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0019】
本発明の第10態様によれば、照明器具は、天井開口部に対する照明用カバーの高さ位置を調整する調整機構を有し、調整機構により照明用カバーの高さ位置を調整することで、吸気用隙間の大きさを調整する、第9態様に記載の照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0020】
本発明の第11態様によれば、本体筐体と、本体筐体内に配置された送風機および照明器具とを有する照明付天井埋込換気扇であって、
本体筐体は、送風機の吹出口に接続されるとともにダクトに連通する第1開口部と、室内に連通するように本体筐体の下部に形成された第2開口部とを有し、
照明器具は、照明部と、照明部の周囲を囲むように本体筐体内に配置されて、照明部からの光を、第2開口部を通して室内に導くように反射する反射面を有する照明用カバーと、照明部の周囲と照明用カバーとの間における空気の通過を制限する制限部材とを備え、
照明用カバーの下端部が第2開口部より室内に向けて突出するように、照明用カバーが第2開口部を貫通して配置され、
照明用カバーの下端部と第2開口部の縁部との間に吸気用隙間が形成され、吸気用隙間および第2開口部を通して本体筐体内に導入された空気が、送風機により第1開口部を通してダクト内へ排気される、照明付天井埋込換気扇を提供する。
【0021】
本発明の第12態様によれば、照明器具は、本体筐体の第2開口部に対する照明用カバーの高さ位置を調整する調整機構を有し、調整機構により照明用カバーの高さ位置を調整することで、吸気用隙間の大きさを調整する、第11態様に記載の照明付天井埋込換気扇を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、照明付天井埋込換気扇において、照明部からの光を室内に導くように反射する反射面を有する照明用カバーと照明部の周囲との間における空気の通過を制限する制限部材が備えられ、照明用カバーの下端部と室内側開口部の縁部との間に吸気用隙間が形成された構成が採用されている。したがって、吸気用隙間を通して本体筐体内に導入された空気を送風機によりダクト内へ排気するとともに、送風機の運転音などの音の指向性が照明用カバー内にて増強されて室内側へ伝達されることが制限部材により抑制できる。よって、室内に伝達される騒音を抑制できる照明付天井埋込換気扇を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる照明付天井埋込換気扇の斜視図
【図2】実施の形態1の照明付天井埋込換気扇の断面図
【図3A】照明用カバーにおける制限部材の配置例を示す模式図
【図3B】照明用カバーにおける制限部材の配置例を示す模式図
【図3C】照明用カバーにおける制限部材の配置例を示す模式図
【図4】本発明の実施の形態2の照明付天井埋込換気扇の断面図
【図5】本発明の実施の形態3の照明付天井埋込換気扇の断面図
【図6】本発明の実施の形態4の照明付天井埋込換気扇の断面図
【図7】従来の照明付天井埋込換気構造を示す断面図
【図8】本発明の実施の形態4の照明付天井埋込換気扇の斜視図
【図9】照明器具の斜視図
【図10】照明器具の分解図
【図11】照明器具の高さ調整の説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかる照明付天井埋込換気扇1の斜視図を図1に示し、断面図(一部断面図)を図2に示す。
【0026】
図1および図2に示すように、照明付天井埋込換気扇1は、大略箱体状の本体筐体10と、この本体筐体10内に配置された送風機20および照明器具30とを備えている。
【0027】
本体筐体10は、送風機20の吹出口に接続される第1開口部11と、天井2に形成された天井開口部3を通して室内に連通する第2開口部12とを有している。本体筐体10の側部に形成された第1開口部11はダクト接続部13に接続され、ダクト接続部13を介してダクト14に連通されている。なお、図1および図2では、本体筐体10の側部に第1開口部11が形成され、下部に第2開口部12が形成された例について示しているが、第1開口部11が本体筐体10の上部に形成されるような場合であっても良い。
【0028】
送風機20は、ファン21と、ファン21を回転駆動するモータ22と、ファン21を囲むように配置されたファンケーシング23とを備えており、本体筐体10の上部内壁に固定されている。送風機20の吸込口は本体筐体10の内部に開口されており、吸込口を通して送風機20内に取り込まれた本体筐体10内の空気が、吹出口、第1開口部11、およびダクト接続部13を通してダクト14内に排気される。送風機20の形式としては、例えばシロッコファン等の遠心式送風機を例として説明するが、このような排気機能を実現できるその他の形式の送風機を採用しても良い。
【0029】
照明器具30は、ランプ(照明部)31と、ランプ31の周囲を囲む照明用カバー32と、ランプ31および照明用カバー32を本体筐体10の内壁に脱着可能に固定するランプ装着具33とを備えている。ランプ31および照明用カバー32は、本体筐体10の第2開口部12と互いの中心位置が鉛直方向において実質的に一致するように中心軸P上に配置されている。ランプ装着具33は、ランプ31および照明用カバー32を脱着可能に固定する機能の他に、ランプ31に対して給電するための機能をも備えている。なお、ランプ31としては、いわゆる電球の他に、蛍光灯やLEDを用いても良い。また、ランプ31に換えて電熱器を用い、カバー32により電熱器を覆うような構成を採用しても良い。また、ランプ31および照明用カバー32と本体筐体10の第2開口部12との配置関係は、互いの中心位置が鉛直方向において実質的に一致するような場合に限られない。第2開口部12を通してランプ31の光が室内側に照射されるような配置関係であれば良い。
【0030】
照明用カバー32は、大略円錐台形状の筒状に形成されるとともに、照明用カバー32の下端部32bの径寸法が上端部32aの径寸法よりも大きくなるように形成されている。また、照明用カバー32は、その内側に配置されるランプ31の発光部分の側部周囲全体を覆うような長さ寸法(上下方向寸法)にて形成されている。照明用カバー32とランプ31との間には互いに接触しないような隙間が確保されている。
【0031】
照明用カバー32の内周面はランプ31からの光を、第2開口部12に向けて(すなわち下方に向けて)反射する反射面32cとなっている。照明用カバー32がこのような反射面32cを有していることにより、ランプ31からの光が直接光および反射光となって室内を効率的に照らすことができる。
【0032】
照明器具30は、照明用カバー32の下端部32bにおける開口を封止する蓋(蓋部材)34を備えている。蓋34は、ランプ31の接触しないように照明用カバー32の下端部32bに脱着可能に取り付けられており、ランプ31を交換する際などに照明用カバー32から蓋34が取り外される。
【0033】
天井開口部3には環状の部材であるフランジ35(開口部材)が取り付けられている。このフランジ35は、化粧用部材としての役目を担っており、フランジ35により天井開口部3の下部周縁および内周面が覆われて室内から天井開口部3が直接見えないようにされている。また、このフランジ35は、その一端が本体筐体10に係合され、他端がフランジ35に係合された付勢部材(例えばワイヤー状のバネ)36を介して天井開口部3の下部周縁を上方に向けて付勢した状態で取り付けられている。フランジ35を天井開口部3から離脱させる際には、この付勢部材36によりフランジ35が落下することが防止される。なお、図1は、天井開口部3よりフランジ35が離脱された状態を示している。
【0034】
図2に示すように、照明用カバー32の下端部32bと本体筐体10の第2開口部12の縁部、より詳細にはフランジ35の内縁部との間には環状の吸気用隙間Sが設けられている。フランジ35が配置された天井開口部3より導入された室内空気は、この環状の吸気用隙間Sをおよび第2開口部12を通して本体筐体10内に導入されように、室内空気の導入路が形成されている。
【0035】
また、照明用カバー32の下端部32bには、周囲に向けて突出するように形成された環状の鍔部37が形成されている。
【0036】
このような構成の照明付天井埋込換気扇1では、ランプ31を点灯させると、ランプ31からの光が蓋34および天井開口部3(フランジ35の開口部)を通して室内へ導入されるとともに、ランプ31の側部周面からの光が、照明用カバー32の反射面32cにて下方へ向けて反射され、この反射光が蓋34および天井開口部3を通して室内へ導入される。これにより、照明付天井埋込換気扇1がダウンライトとして機能する。
【0037】
送風機20のモータ22によりファン21を回転駆動させると、天井開口部3および環状の吸気用隙間Sを通して室内空気が本体筐体10内に導入される。吸気用隙間Sでは、照明用カバー32の下端部32bに環状の鍔部37が形成されていることにより、照明用カバーの下端部32bにて発生する風切り音などが低減される。本体筐体10内に導入された空気は、ファンケーシング23内に取り込まれて、送風機20から第1開口部11およびダクト接続部13を通してダクト14へと排気される。これにより、照明用天井埋込換気扇1が換気扇として機能する。
【0038】
ここで、ランプ31を囲むように配置された照明用カバー32は、その筒状の下端部32bが蓋34により封止されている。これにより、ランプ31と照明用カバー32との間は空気の通過が制限された状態となっている。そのため、大略円錐台形筒状の照明用カバー32がメガホンとなることにより本体筐体10内に配置された送風機20の駆動による送風音やモータ22の運転音の指向性が増強されて室内側に伝播されることが抑制される。特に、照明用カバー32は、ランプ31からの光の反射面32cを有する必要があるため、その形状として大略円錐台形筒状に形成されることが多い。このような形状では、照明用カバー32がいわゆるメガホンとなる可能性が高い。このように照明用カバー32において、空気の通過を制限する蓋34を設けることにより、本体筐体10内にて発生する音がその指向性が増強された状態にて室内側に伝わることを効果的に抑制できる。
【0039】
上述の説明では、照明用カバー32の下端部32bを封止する蓋34を設けるような場合を例として説明したが、このような場合についてのみ限定されるものではない。照明用カバー32とランプ31との間において空気の通過を制限できるような部材(制限部材)を設けることにより、蓋34を設ける場合と同様な効果を得ることができる。例えば、図3Aに示す照明器具30の模式図に示すように、照明用カバー32において、下端部32bを開放させて上端部32aを封止するような制限部材41を設けても良い。また、図3Bに示すように、照明用カバー32の上端部32aを開放させて下端部32bを封止するような制限部材42を設けても良い。さらに、図3Cに示すように、照明用カバー32の上端部32aを封止する制限部材41と下端部32bを封止する制限部材42とを共に設けても良い。
【0040】
また、このような制限部材は、照明用カバー32とランプ31との間において空気の通過を制限する機能が発揮できるような構成を有していれば良く、全体として空気の通過が制限されていれば空気の通過を完全に遮断する構成のみに限られない。例えば、ランプ31の取り付けや電源供給のために必要な開口が制限部材に設けられるような場合であっても、全体として空気の通過が制限されていれば良い。
【0041】
また、照明用カバー32は大略円錐台形筒状の形状を有するものの他に、大略多角推台形筒状の形状や半球形状を有するような場合であっても良い。さらに、制限部材が照明用カバー32と一体的に形成されているような場合であっても良い。
【0042】
また、吸気用隙間Sは、照明用カバー32の下端部32bの周囲に形成されていれば良く、照明用カバー32の下端部32bとフランジ35との間、下端部32bと第2開口部12との間、あるいは下端部32bと天井開口部3との間のいずれかに形成されていれば良い。
【0043】
また、吸気用隙間Sの寸法(面積)は、送風機20の仕様(風量、静圧など)、ランプ31および照明用カバー32の大きさ、天井開口部3の大きさなどを考慮して設計的に決定すれば良い。
【0044】
(実施の形態2)
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の実施の形態2にかかる照明付天井埋込換気扇51の構成を図4に示す。図4に示す実施の形態2の照明付天井埋込換気扇51では、天井2に天井開口部3とは別に開口部4を追加して設けるとともに本体筐体10に第3開口部15を設けて、開口部4および第3開口部15からも室内空気を導入可能な構成としている。このような構成では、要求されるような吸気用隙間Sの寸法(面積)を確保できない場合に、不足分の吸気面積を確保するこができる。
【0045】
また、図4に示すように、送風機20の吸込口に対向する本体筐体10の内壁面に吸音材16が配置されている。このように吸音材16を配置することで、送風機20から発生する音の一部を吸収させて低減することができる。吸音材を本体筐体10の内壁面全体に配置しても良い。なお、このような吸音材としては、多孔質材料や繊維材料など音吸収効果あるいは音反射抑制を有する材料を用いることができ、例えばフェルト材などが用いられる。
【0046】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3にかかる照明付天井埋込換気扇61の構成を図5に示す。図5に示す実施の形態3の照明付天井埋込換気扇61のように、本体筐体62の下部全体が開口される構成を採用することもできる。本体筐体62の側部にはダクト連結部13に接続される第1開口部63が形成され、本体筐体62の下部全体が第2開口部64として形成されている。このような構成では、天井開口部3に取り付けられたフランジ35により室内側からの吸込口が画定されているため、図1および図2に示す実施の形態1の照明付天井埋込換気扇1と実質的に同様な効果を得ることができる。
【0047】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4にかかる照明付天井埋込換気扇71の構成を図6に示す。図6に示す実施の形態4の照明付天井埋込換気扇71では、照明用カバー72の下端部72bが、本体筐体10の第2開口部12、天井開口部3、およびフランジ35を通して室内側に突出するように配置されている点で、上記それぞれの実施の形態とは異なる構成を有している。
【0048】
このような構成では、室内側に突出して配置された(すなわち天井2よりも下方に配置された)照明用カバー72の下端部72bと、フランジ35(あるいは第2開口部12)の内縁との間に、環状の吸気用隙間Sが形成されている。室内空気は、この吸気用隙間Sを通して本体筐体10内に導入され、送風機20によりダクト14へ排気される。照明用カバー72の下端部72bには、周囲に向けて突出する環状の鍔部73が形成されている。なお、このような鍔部73は、室内側から、吸気用隙間Sを見え難くするような化粧効果も有している。
【0049】
大略円錐台形筒状の照明用カバー72は、その上端部72aが封止部材74により封止されるように形成されている。したがって、ランプ31と照明用カバー72との間における空気の通過が制限されており、本体筐体10内にて発生した音がその指向性が増強された状態にて室内側へ伝達することが抑制される。
【0050】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5にかかる照明付天井埋込換気扇81の構成を図8に示す。図8に示す実施の形態5の照明付天井埋込換気扇81は、実施の形態1の照明付天井埋込換気扇1とは照明器具90の構成が相違しており、その他の構成については実質的に類似している。以下、照明器具90の構成を中心に説明する。また、照明器具90の斜視図を図9に示し、分解図を図10に示す。
【0051】
図8〜図10に示すように、照明器具90は、渦巻き型蛍光灯電球であるランプ91と、ランプ91を囲む照明用カバー92と、ランプ装着具93と、蓋94とを備えている。さらにランプ装着具93は、ランプ91および照明用カバー92の高さ位置を変更可能に調整する調整機構82を備えている。
【0052】
主に、図9および図10に示すように、調整機構82は、照明用カバー92の上端部92aに取り付けられる大略円盤状の係合部材83と、ランプ装着具93のケーシング85内に配置され、係合部材83を常時下方に向けて付勢するバネ部材84とを備えている。また、ランプ91はランプソケット95に取り外し可能に装着され、係合部材83は、ランプソケット95を介して、照明用カバー92にねじ止めなどにより固定されている。そのため、ランプ91および照明用カバー92は係合部材83とともに一体的に、ランプ装着具93のケーシング85に対して中心軸P周りに回動可能とされている。
【0053】
ランプ装着具93のケーシング85の円筒状の周面には、高さ位置が異なる2種類の係合孔として、第1係合孔85aと、第1係合孔85aよりも低い高さ位置に位置する第2係合孔85bとが形成されている。一方、大略円盤状の係合部材83の周縁には、ランプ装着具93のケーシング85における第1係合孔85aおよび第2係合孔85bのいずれかに選択的に係合される係合爪83aが形成されている。ランプ91および照明用カバー92とともに係合部材83を中心軸P周りに回動させて、第1係合孔85aおよび第2係合孔85bのいずれかに係合爪83aを選択的に係合させることで、ランプ91および照明用カバー92の高さ位置を変更することができる。また、係合部材83は、バネ部材84により常時下方に向けて付勢されているため、第1係合孔85aまたは第2係合孔85bと係合爪83aとの係合状態が維持され、ランプ91および照明用カバー92の高さ位置が保持される。
【0054】
ここで、このような調整機構82によるランプ91および照明用カバー92の高さ位置の調整について、図11に示す模式図を用いて説明する。
【0055】
まず、図11(A)では、照明器具90において、係合爪83aが第2係合孔85bと係合された状態にある。この状態では、バネ部材84の付勢力により、ランプ91および照明用カバー92が下方の高さ位置に位置されて、照明器具90の長さがL1とされている。
【0056】
一方、図11(B)では、照明器具90において、係合爪83aが第1係合孔85aと係合された状態にある。この状態では、ランプ91および照明用カバー92は上方の高さ位置に位置されて、照明器具90の長さがL2(L2<L1)とされる。
【0057】
このように照明器具90に調整機構82を備えさせることにより、例えば、図11(A)、(B)に示すように、天井2の厚さが異なるような場合に、天井開口部3あるいは第2開口部12に対するランプ91および照明用カバー92の高さ位置(すなわち、照明用カバー92の下端部92aの高さ位置)を調整機構82により調整して、吸気用隙間Sを適切な大きさに調整することができる。
【0058】
また、天井2の厚さが同じであるような場合であっても、ランプ91および照明用カバー92の高さ位置を調整機構82により調整して、吸気用隙間Sを通過する空気量を調整することもできる。
【0059】
本実施の形態5では、照明器具90がフランジ35と分離されているため、フランジ35に対するランプ91および照明用カバー92の高さ位置が調整可能となるものである。調整機構82により、ランプ91および照明用カバー92を上方に移動させることで、吸気用隙間Sをより大きく設定できる。
【0060】
また、本実施の形態5では、調整機構82として、回動する円盤状の係合部材83を用いた構成について一例として説明したが、鉛直方向に配置された状態にて本体筐体10に固定されたボルトに照明器具90を支持させて、ボルトに螺合したナットを回動させることで、照明器具90の支持高さの調整が行われるような機構など、高さを調整できる様々な機構を採用することができる。
【0061】
また、本実施の形態5では、調整機構82により照明用カバー92および蓋94を、フランジ35の上端よりも上方に位置させることが可能な構成について説明したが、上述の実施の形態1から3においても同様な構成を採用することができる。
【実施例1】
【0062】
実施の形態1の照明付天井埋込換気扇1において、照明用カバー32とランプ31との間において空気の通過が制限され、かつ吸気用隙間Sを通して室内空気が本体筐体10内に導入される構成(実施例)と、吸気用隙間Sが存在しないように照明用カバーを構成し、照明用カバーとランプとの間を通して室内空気が導入される構成(比較例)とで、運転中の騒音測定を行った。なお、送風機としては、風量80CFMのシロッコ型送風機を用いた。
【0063】
外部からの音が遮断された測定室内にて、照明付天井埋込換気扇から水平横方向に1m離れた左右2箇所、および下方に1m離れた下方1箇所の合計3点にて騒音測定を行った。なお、暗騒音は15.1dBであった。
【0064】
比較例の照明付天井埋込換気扇では、左測定点:36.4dB、右測定点:36.8dB、下測定点:39.8dBであるのに対して、実施例の照明付天井埋込換気扇では、左測定点:35.0dB、右測定点:35.3dB、下測定点:38.6dBであった。
【0065】
この騒音測定結果から、実施例の照明付天井埋込換気扇では、比較例に比して騒音抑制効果が高いことがわかる。実施例では、吸気用隙間Sが設けられているため、比較例に比して圧力損失を低減できること、および、照明用カバーがメガホンとなり音の指向性が増強されることが抑制されることにより、実施例にて騒音低減が可能となったものと考えられる。
【0066】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0067】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0068】
1 照明付天井埋込換気扇
2 天井
3 天井開口部
10 本体筐体
11 第1開口部
12 第2開口部
13 ダクト接続部
14 ダクト
20 送風機
21 ファン
22 モータ
23 ファンケーシング
30 照明器具
31 ランプ
32 照明用カバー
32a 上端部
32b 下端部
32c 反射面
33 ランプ装着具
34 蓋
35 フランジ
36 付勢部材
S 吸気用隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、本体筐体内に配置された送風機および照明器具とを有する照明付天井埋込換気扇であって、
本体筐体は、送風機の吹出口に接続されるとともにダクトに連通する第1開口部と、室内に連通するように本体筐体の下部に形成された第2開口部とを有し、
照明器具は、照明部と、照明部の周囲を囲むように本体筐体内に配置されて、照明部からの光を、第2開口部を通して室内に導くように反射する反射面を有する照明用カバーと、照明部の周囲と照明用カバーとの間における空気の通過を制限する制限部材とを備え、
照明用カバーの下端部と第2開口部の縁部との間に吸気用隙間が形成され、第2開口部および吸気用隙間を通して本体筐体内に導入された空気が、送風機により第1開口部を通してダクト内へ排気される、照明付天井埋込換気扇。
【請求項2】
照明器具は、本体筐体の第2開口部に対する照明用カバーの高さ位置を調整する調整機構を有し、調整機構により照明用カバーの高さ位置を調整することで、吸気用隙間の大きさを調整する、請求項1に記載の照明付天井埋込換気扇。
【請求項3】
照明用カバーは照明部の側部周囲全体を覆うように筒状に形成されるとともに照明用カバーの下端部は上端部よりも大きく形成され、照明用カバーの上端部および下端部の少なくともいずれか一方が実質的に封止されるように制限部材が配置されている、請求項1に記載の照明付天井埋込換気扇。
【請求項4】
照明用カバーは上端部の開口よりも下端部の開口が大きくなるような大略円錐台形状もしくは多角錐台形状の筒状に形成され、下端部の開口を実質的に封止する蓋部材が制限部材として配置されている、請求項3に記載の照明付天井埋込換気扇。
【請求項5】
照明用カバーの下端部に対して、蓋部材が着脱自在に設けられている、請求項4に記載の照明付天井埋込換気扇。
【請求項6】
照明用カバーの下端部の周囲に突出する鍔部が形成されている、請求項1から5のいずれか1つに記載の照明付天井埋込換気扇。
【請求項7】
本体筐体内面において、少なくとも送風機の吸込口と対向する位置に吸音材が配置されている、請求項1から5のいずれか1つに記載の照明付天井埋込換気扇。
【請求項8】
本体筐体は、第2開口部から離間された位置に形成されて、室内と連通する第3開口部をさらに有し、第2開口部および吸気用隙間を通して本体筐体内に導入された空気とともに、第3開口部を通して本体筐体内に導入された空気が、送風機により第1開口部を通してダクト内へ排気される、請求項1から5のいずれか1つに記載の照明付天井埋込換気扇。
【請求項9】
本体筐体と、本体筐体内に配置された送風機および照明器具とを有する照明付天井埋込換気扇であって、
本体筐体は、送風機の吹出口に接続されるとともにダクトに連通する第1開口部と、本体筐体の下部に形成された第2開口部とを有し、
天井開口部に設けられた開口部材により構成される室内側吸込口と、本体筐体の第2開口部とが連通されるように、本体筐体が天井内に設置され、
照明器具は、照明部と、照明部の周囲を囲むように本体筐体内に配置されて、照明部からの光を、第2開口部および開口部材を通して室内に導くように反射する反射面を有する照明用カバーと、照明部の周囲と照明用カバーとの間における空気の通過を制限する制限部材とを備え、
照明用カバーの下端部と開口部材の縁部との間に吸気用隙間が形成され、開口部材および吸気用隙間を通して本体筐体内に導入された空気が、送風機により第1開口部を通してダクト内へ排気される、照明付天井埋込換気扇。
【請求項10】
照明器具は、天井開口部に対する照明用カバーの高さ位置を調整する調整機構を有し、調整機構により照明用カバーの高さ位置を調整することで、吸気用隙間の大きさを調整する、請求項9に記載の照明付天井埋込換気扇。
【請求項11】
本体筐体と、本体筐体内に配置された送風機および照明器具とを有する照明付天井埋込換気扇であって、
本体筐体は、送風機の吹出口に接続されるとともにダクトに連通する第1開口部と、室内に連通するように本体筐体の下部に形成された第2開口部とを有し、
照明器具は、照明部と、照明部の周囲を囲むように本体筐体内に配置されて、照明部からの光を、第2開口部を通して室内に導くように反射する反射面を有する照明用カバーと、照明部の周囲と照明用カバーとの間における空気の通過を制限する制限部材とを備え、
照明用カバーの下端部が第2開口部より室内に向けて突出するように、照明用カバーが第2開口部を貫通して配置され、
照明用カバーの下端部と第2開口部の縁部との間に吸気用隙間が形成され、吸気用隙間および第2開口部を通して本体筐体内に導入された空気が、送風機により第1開口部を通してダクト内へ排気される、照明付天井埋込換気扇。
【請求項12】
照明器具は、本体筐体の第2開口部に対する照明用カバーの高さ位置を調整する調整機構を有し、調整機構により照明用カバーの高さ位置を調整することで、吸気用隙間の大きさを調整する、請求項11に記載の照明付天井埋込換気扇。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2013−508940(P2013−508940A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551493(P2012−551493)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際出願番号】PCT/CN2011/080333
【国際公開番号】WO2012/092786
【国際公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【出願人】(508123423)広東松下環境系統有限公司 (6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】