説明

照明付電子機器

【課題】構成を簡素化でき、小型化を促進できるとともに、発光ダイオードから射出された光の視認性を向上できる照明付電子機器を提供すること。
【解決手段】光が透過可能に構成された表示パネル8の外縁部85Aは、透光部材4と、発光ダイオード71との間に配置されているので、発光ダイオード71から射出された光は、表示パネル8の外縁部85Aを透過し、透光部材4から外部に射出される。従って、表示パネル8における画像が表示される領域である表示領域のすぐ外側が光ることとなるので、使用者は、表示パネル8の表示領域から視線をあまり動かすことなく、発光ダイオード71から射出された光を視認することができ、発光ダイオード71から射出された光の視認性を向上できる。また、透光部材4と表示パネル8の外縁部85Aを挟んで対向する従来デッドスペースであった位置に、発光ダイオード71を設けたので、機器の小型化を促進できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明付電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルなどを備えて構成される表示パネルと、警告などを報知するための発光ダイオードとを備えた防水型の照明付電子機器が知られている。このような電子機器では、一般的に、発光ダイオードは表示パネルから離れた位置に配置される。(例えば特許文献1の図8参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−200909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の電子機器では、発光ダイオードが表示パネルから離れた位置に配置されているので、発光ダイオードを、表示パネルを覆う風防ガラスとは別の風防ガラスで覆わなければならず、その分構成が複雑となり、製造コストが増加するという問題がある。また、発光ダイオードが表示パネルから離れた位置に配置されるため、発光ダイオードの設置スペースを表示パネルとは別に確保する必要があり、機器が大型化してしまうという問題がある。加えて、表示パネルから離れた位置で発光ダイオードが警告等の報知を行うので、視認性がよくないという問題もある。
【0005】
ここで、構成が複雑になるという課題に対しては、従来、表示パネルおよび発光ダイオードを収納するケースを半透明のプラスッチックで構成したものが知られている。このような電子機器では、発光ダイオードから射出された光がケースを透過するので、発光ダイオードを覆う風防ガラスが不要となり、構成を簡素化できる。
【0006】
しかしながら、このような電子機器では、ケースを半透明のプラスチックで構成するため、ケースの色が制約され、質感に劣る外観デザインになってしまうという問題があった。加えて、このような電子機器では、表示パネルや回路基板等の耐光性の確保のため、ケース内面に金属蒸着膜を形成しなければならない場合があるという問題や、ガラス繊維入りの樹脂を使用できず、強度的に不利であるという問題もあり、用途が限られていた。
【0007】
本発明の目的は、構成を簡素化でき、小型化を促進できるとともに、発光ダイオードから射出された光の視認性を向上できる照明付電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明付電子機器は、開口が形成されたケースと、前記ケース内部に配置された表示パネルと、前記開口を閉塞し、前記表示パネルを覆う透光部材と、前記ケースの内部に配置された発光ダイオードとを備え、前記表示パネルの外縁部は、前記透光部材と前記発光ダイオードとの間に配置され、前記発光ダイオードからの射出光が透過可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、通常、例えば液晶パネルから構成された表示パネルは、画像表示領域の周囲に画像が表示されない縁部分が設けられている。
本発明によれば、この縁部分であり、発光ダイオードからの射出光が透過可能に構成された表示パネルの外縁部が、透光部材と発光ダイオードとの間に配置されているので、発光ダイオードから射出された光は、表示パネルの外縁部を透過し、透光部材から外部に射出される。従って、表示パネルにおける画像が表示される領域である表示領域のすぐ外側が光ることとなるので、使用者は、表示パネルの表示領域から視線をあまり動かすことなく、発光ダイオードから射出された光を視認することができる。よって、発光ダイオードから射出された光の視認性を向上させることができる。なお、「表示パネルの外縁部は、透光部材と発光ダイオードとの間に配置され」とは、透光部材側から表示パネルを見た平面視で、少なくとも発光ダイオードの一部が表示パネルの外縁部と重なっている状態、および発光ダイオードが完全に外縁部と重なっている状態の両方の状態を指す。
また、発光ダイオードは、表示パネルの外縁部を透光部材と挟む位置に配置されているので、1枚の透光部材で表示パネルおよび発光ダイオードを共に覆うことができ、構成を簡素化できる。そのうえ、表示パネルを覆う透光部材、および発光ダイオードを覆う透光部材それぞれをシールする必要がなく、1枚の透光部材だけをシールすればよいので、防水性能を向上できる。
加えて、表示パネル外縁部を透光部材と挟む位置は、従来特に何も配置されることがなく、デッドスペースとなっていたが、本発明では、このデッドスペースに発光ダイオードを設けたので、機器の小型化を促進できる。
【0010】
本発明の照明付電子機器では、前記表示パネルは、液晶を密封封入する一対の透明基板と、前記透明基板の両面側に配置される一対の偏光板とを備え、前記透明基板は、前記一対の偏光板の側縁から平面方向に突出する突出部を備え、前記発光ダイオードは、前記発光ダイオードの光軸が前記突出部を通る位置に配置されていることが好ましい。
【0011】
ここで、透明基板に偏光板から突出する突出部が形成される本発明の表示パネルの例としては、例えば、透明基板よりも一回り小さいサイズの偏光板を備えた表示パネルを挙げることができる。
本発明によれば、発光ダイオードは、光軸が透明基板の突出部を通る位置に配置されているので、発光ダイオードから射出された光を突出部を通して良好に取り出すことができる。
【0012】
本発明の照明付電子機器には、前記発光ダイオードからの射出光が透過可能に構成された前記表示パネルの前記外縁部と、前記ケースとの間には隙間が形成され、前記隙間には、前記発光ダイオードからの射出光の一部が入射し、当該隙間を通過した後に、前記透光部材から外部へ射出されることが好ましい。
【0013】
ここで、図5は、本発明の一実施形態である照明付電子時計の要部の拡大断面図である。図5において、2はケース、4は透光部材、8は表示パネル、71は発光ダイオード、85Aは、発光ダイオード71からの射出光が透過可能に構成された表示パネル8の外縁部である。
本発明によれば、図5に示すように、表示パネル8の外縁部85Aと、ケース2との間には隙間100が形成されているので、発光ダイオード71から射出された光は、様々な経路を辿って透光部材4から外部へ射出される。
すなわち、発光ダイオード71から射出された光のうち、一部の光L1は、表示パネル8の外縁部85Aを透過し、若干減衰された後に透光部材4へ入射し、当該透光部材4から外部へ射出される。
また、一部の光L2,L3は、表示パネル8の外縁部85Aの内側を通り、減衰された後に透光部材4へ入射し、当該透光部材4から外部へ射出される。
また、一部の光L4,L5は、表示パネル8に入射せずに、表示パネル8の外縁部85Aとケース2との間に形成された隙間100に入射した後に、透光部材4へ入射し、当該透光部材4から外部へ射出される。具体的には、隙間100に入射した光のうち、一部の光L4は、そのまま当該隙間100を通過した後に透光部材4へ入射し、外部へ射出される。また、一部の光L5は、表示パネル8の外縁部85Aの側面で反射した後に透光部材4へ入射し、外部へ射出される。そのほか、隙間100に入射した光のうち、一部の光は、図示を省略するが、表示パネル8の外縁部85Aの側面から表示パネル8内に入射し、当該表示パネル8を透過し、若干減衰された後に、透光部材4に入射し、当該透光部材4から外部へ射出される。
このように、本発明によれば、表示パネル8の外縁部85Aと、ケース2との間に隙間100が形成されているので、発光ダイオード71から射出された光は、減衰率の異なる様々な経路を経て外部へ射出されることとなり、おぼろげな光艶を形成することできる。
【0014】
本発明の照明付電子機器では、前記透光部材において、前記ケースの外側から見た平面視で前記発光ダイオードと重なる位置には、半透明部が形成されていることが好ましい。
【0015】
ここで、「半透明部」とは、光を透過するが、その程度が少なく、具体的には、半透明部を通しては、表示パネルの縁(外縁部)を視認できない程度の透明性を有する部分のことをいう。「半透明部」は、例えば、透光部材の内面または外面に印刷を施すことで形成してもよいし、透光部材がガラスから構成されていた場合、透光部材の内面または外面をエッチングし、すりガラス状にすることで形成してもよい。また、透光部材の内面や外面に半透明部を形成するだけでなく、発光ダイオードと平面視で重なる位置における透光部材(例えばガラス)そのものが半透明状に構成されていてもよい。さらに、「半透明部」は、半透明な部材が透光部材内部に埋没されて形成されていてもよい。
本発明によれば、透光部材において、ケースの外側から当該透光部材を見た平面視(より詳しくは、ケースの外側において、透光部材と略直交する側から当該透光部材を見た平面視)で、発光ダイオードと重なる位置には半透明部が形成されているので、発光ダイオードからの光を抑えることができ、柔らかな光を演出することができる。従って、良好な視認性を得ることができる。
【0016】
本発明の照明付電子機器では、前記透光部材において、画像を形成可能な前記表示パネルの表示領域と前記ケースの外側から見た平面視で重なる領域、および前記半透明部が形成された領域を除いた領域には、光が透過できない不透明部が形成されていることが好ましい。
【0017】
ここで、「不透明部」とは、透光部材に形成された光が透過できない部分を意味する。「不透明部」は、例えば、透光部材の内面に印刷を施すことで形成してもよいし、透光部材の内面にシールを貼り付けることで形成してもよい。また、透光部材(例えばガラス)そのものが不透明状に構成されていてもよい。さらに、「不透明部」は、不透明な部材が透光部材内部に埋没されて形成されていてもよい。
本発明によれば、透光部材において、ケースの外側から当該透光部材を見た平面視で表示パネルの表示領域と重なる領域以外の領域には、半透明部および不透明部が形成されているので、使用者からは、透光部材を通して表示パネルの表示領域しか視認することができない。従って、表示パネルの縁など器機内部を隠すことができ、外観意匠を向上できる。
【0018】
本発明の照明付電子機器では、前記半透明部および前記不透明部は、前記透光部材の内面または外面に形成されていることが好ましい。
【0019】
本発明によれば、半透明部および不透明部は、透光部材の内面または外面に、印刷が施されたり、シールが貼り付けられたり、エッチングが施されたりして形成されるので、半透明部および不透明部を容易に形成できる。
特に、半透明部および不透明部を例えば印刷などにより透光部材の内面に形成した場合には、半透明部および不透明部が剥げるなどして劣化することを抑制できる。
【0020】
本発明の照明付電子機器では、前記半透明部は、前記透光部材に印刷が施されて形成されていることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、半透明部を透光部材に印刷を施して形成するので、半透明部を容易に適宜のデザインに形成することができ、半透明部の外観意匠および視認性を向上できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、構成を簡素化でき、小型化を促進できるとともに、発光ダイオードから射出された光の視認性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る照明付電子時計1の斜視図、図2は、時計1の分解斜視図である。
【0024】
〔1.全体構成〕
照明付電子機器としての照明付電子時計1は、図1および図2に示すように、樹脂製のケース2と、表示パネル8および発光ダイオード71(図3参照)を有しケース2内部に収納される表示モジュール3と、表示パネル8を覆う透光部材としての風防ガラス4とを備えている。表示モジュール3には、電気ケーブル72を介して図示しない物理量計測センサ(例えば、脈拍、温度、湿度等を検出)が接続されている。本実施形態の時計1は、表示パネル8に脈拍や時刻を表示するとともに、発光ダイオード71で警告等の報知を行う多機能時計となっている。
【0025】
〔2.ケースの構成〕
ケース2は、図1に示すように、時計1の上面の一部および側面を構成するケース本体21と、時計1の底面を構成する裏蓋22とから構成されている。
ケース本体21は筒状に形成されており、図2に示すように、ケース本体21の上面および下面には、それぞれ開口部211,212が形成されている。ケース本体21の内周面には、当該内周面から内側に向かって突出する鍔部213が形成されている。鍔部213は、ケース本体21の内周面に沿って形成されている。鍔部213には、平面視コ字状の切欠部214が形成されている。切欠部214は、詳しくは後述する発光ダイオード71の上方に形成されている。詳述すると、切欠部214は、風防ガラス4側から見た平面視で発光ダイオード71と重なる位置に形成されている。
【0026】
ケース本体21の上面に形成された開口部211には、パッキンP(図4参照)を介して風防ガラス4が嵌め込まれている。風防ガラス4は、鍔部213に支持されている。ケース本体21の側面には、複数の操作ボタン215が配設されている。また、ケース本体21の側面には、電気ケーブル72を通すための貫通孔216が形成されている。
裏蓋22は、ケース本体21の下面にパッキンP(図4参照)を介してねじ固定され、開口部212を閉塞している。
【0027】
〔3.表示モジュールの全体構成〕
図3は、表示モジュール3の分解斜視図である。
表示モジュール3は、図3に示すように、回路ケース5と、回路ケース5に取り付けられるパネル枠6と、これらパネル枠6および回路ケース5に挟持される回路基板7と、パネル枠6に保持されるバックライトBと、バックライトB上に設置されパネル枠6に保持される表示パネル8と、パネル枠6および回路ケース5に嵌め込まれて表示パネル8を押さえる押さえ部材9とを備えて構成されている。表示モジュール3は、図2に示すように、略直方体状の外形を有している。
【0028】
〔4.回路ケースおよび回路基板の構成〕
回路ケース5は、図示しない電池を保持する。電池は回路基板7に接続され、時計1の各部に電力を供給する。
図3に示すように、回路基板7の長辺側には、発光ダイオード71が実装されている。また、回路基板7には、図示しない物理量計測センサが電気ケーブル72を介して接続される。
【0029】
〔5.パネル枠の構成〕
パネル枠6の長辺側には、図3に示すように、それぞれ、表示パネル8およびバックライトBを保持するための保持部61A,61Bが立設されている。保持部61A、およびパネル枠6の底面において、発光ダイオード71の上方(発光ダイオード71から風防ガラス4に向かう方向)に位置する領域(風防ガラス4側から見た平面視で発光ダイオード71と重なる位置)には、孔63および切欠部62が形成されている。すなわち、パネル枠6の底面において、発光ダイオード71の上方に位置する領域には、孔63が形成されている。発光ダイオード71は、この孔63の中に配置される(図4参照)。また、保持部61Aにおいて、発光ダイオード71の上方に位置する領域には、切欠部62が形成されている。保持部61Aの中央部には、挿入口66が形成されている。パネル枠6には、表示パネル8と回路基板7とを導通する一対のコネクタ64、およびバックライトBと回路基板7とを導通するコネクタ65が嵌め込まれる。
【0030】
バックライトBは、EL(Electro Luminescence)パネルを備えて構成されている。バックライトBには、保持部61A側に突出する接続部B1が形成されている。バックライトBは、この接続部B1がパネル枠6の挿入口66に挿入され、コネクタ65に接続されることで、回路基板7に接続される。また、バックライトBは、パネル枠6の孔63を塞がないように、保持部61B側に寄せられて設置される。
【0031】
〔6.表示パネルの構成〕
図4は、時計1の要部を示す断面図である。
表示パネル8は、半透過型の液晶パネルであり、図4に示すように、液晶パネルガラス81と、液晶パネルガラス81の上面側に設けられた上偏光板82と、液晶パネルガラス81の下面側に設けられた下偏光板83と、下偏光板83の下面側に設けられたハーフミラー84とを備えて構成されている。すなわち、表示パネル8は、バックライトB側から、ハーフミラー84、下偏光板83、液晶パネルガラス81、および上偏光板82が積層されて構成されている。これらハーフミラー84、偏光板82,83、および液晶パネルガラス81は、図3に示すように、それぞれ略矩形状に形成されている。
【0032】
偏光板82,83およびハーフミラー84は、図3に示すように、液晶パネルガラス81より一回り小さく形成されている。すなわち、偏光板82,83およびハーフミラー84は、短辺および長辺が共に液晶パネルガラス81より短く形成されている。これにより、液晶パネルガラス81の長辺側両外縁部には、偏光板82,83(およびハーフミラー84)の側縁から平面方向に突出する突出部85A,85Bが形成され、短辺側の両外縁部には、同様に偏光板82,83の側縁から平面方向に突出する突出部85Cが形成されている。液晶パネルガラス81は、短辺側に形成されたこの突出部85Cがコネクタ64に接続されることで、回路基板7に接続される。
【0033】
ハーフミラー84は、図4に示すように、バックライトB側から入射する光を透過させ、風防ガラス4側(液晶パネルガラス81)から入射する光を反射する。
下偏光板83は、バックライトBから射出され、ハーフミラー84を透過する光、および風防ガラス4側から入射し、ハーフミラー84で反射される光のうち、一方向の偏光光のみを透過させ、一方向と直交する他方向の偏光光を吸収する。
【0034】
液晶パネルガラス81は、図4に示すように、対向配置された一対の透明基板811,812内に液晶が密封封入された構成を有している。液晶パネルガラス81は、前述したように、コネクタ64を介して回路基板7と接続しており、回路基板7からの駆動信号に応じて、液晶の配向状態を制御し、下偏光板83を透過した偏光光の偏光方向を変調させる。なお、透明基板811,812は、ガラスから構成されていてもよいし、プラスチックから構成されていてもよい。
【0035】
上偏光板82は、液晶パネルガラス81から射出された光のうち、他方向の偏光光のみを透過させ、一方向の偏光光を吸収する。
すなわち、液晶パネルガラス81が制御され、表示パネル8に入射する光が表示パネル8を透過する、若しくは遮断されることで、表示パネル上に所定の画像が形成される。
【0036】
ここで、図4に示すように、液晶パネルガラス81に形成された長辺側の突出部85Aは、風防ガラス4と発光ダイオード71との間に配置されている。すなわち、発光ダイオード71は、突出部85Aの下方(突出部85Aから裏蓋22に向かう方向)で、かつ光軸Gが、風防ガラス側4から見た平面視で突出部85Aを通る位置に配置されている。ところで、表示パネル8の突出部85A下方は、従来、特に何も配置されることのないデッドスペースであった。この点、本実施形態では、このデッドスペースに発光ダイオード71を配置したので、発光ダイオード71専用の設置スペースを不要にでき、時計1の小型化を促進できる。
また、発光ダイオード71が表示パネル8の突出部85A下方に配置されているので、風防ガラス4を大型化させることなく、1枚の風防ガラス4で表示パネル8および発光ダイオード71を共に覆うことができ、構成を簡素化できる。
【0037】
〔7.押さえ部材の構成〕
図3に示すように、押さえ部材9は、枠部91、および枠部91から垂下する複数の係止部92を備えて構成されている。押さえ部材9は、枠部91が表示パネル8の上に被せられるとともに、係止部92が回路ケース5に係止されることにより設置される。この際、枠部91は、表示パネル8の各突出部85A,85B,85Cを押さえる。すなわち、枠部91からは上偏光板82が露出することになる(図2参照)。
【0038】
枠部91において、風防ガラス4側から見た平面視で発光ダイオード71と重なる位置には、図3に示すように、平面視コ字状の切欠部93が形成されている。図4に示すように、表示パネル8の突出部85Aと、この切欠部93およびパネル枠6の切欠部62との間には隙間100が形成されている。隙間100は、突出部85Aの側方、かつ風防ガラス4側から見た平面視で、発光ダイオード71の一部と重なる位置に形成されている。
【0039】
〔8.風防ガラスの構成〕
風防ガラス4の内面には、図2に示すように、外周縁に沿って内面印刷部41が形成されている。内面印刷部41は、風防ガラス4の内面に印刷が施されて形成されている。内面印刷部41のケース2からの幅T1は、風防ガラス4が設置された際に、当該内面印刷部41が上偏光板82の若干内側まで被さる幅に形成されている。すなわち、内面印刷部41は、風防ガラス4の内面から、表示パネル8の表示領域(上偏光板82の若干内側の領域)とケース2の外側から見た平面視(より詳しくは、ケース2の外側において、風防ガラス4と略直交する側から当該風防ガラス4を見た平面視)で重なる領域を除いた領域に形成されている。
この内面印刷部41は、ケース2の外側から見た平面視で発光ダイオード71と重なる位置に形成された半透明部42と、内面印刷部41から半透明部42の領域を除いた領域である不透明部43とから構成されている。
【0040】
半透明部42は、白色、かつ半透明に構成されている。ここで、半透明とは、具体的には、半透明部42を通しては、半透明部42の下方に配置された鍔部213や押さえ部材9を視認できない程度の透明性を意味する。半透明部42は、図2に示すように、ケース2からの幅T2が、不透明部43のケース2からの幅T1よりも小さくされており、不透明部43に周囲を取り囲まれている。
不透明部43は、黒色、かつ光が透過不可能に構成されている。
【0041】
以上のように、本実施形態の時計1では、風防ガラス4の内面において、風防ガラス4の内面から、表示パネル8の表示領域(上偏光板82の若干内側の領域)とケース2の外側から見た平面視で重なる領域を除いた領域には、内面印刷部41が形成されているので、風防ガラス4からは表示パネル8の表示領域のみが視認され、鍔部213や押さえ部材9等が視認されることがないので、良好な外観意匠を得ることができる。
【0042】
図5は、時計1の要部を示す拡大断面図である。
ここで、半透明部42には、図5に示すように、発光ダイオード71から射出され、液晶パネルガラス81の突出部85Aを透過し若干減衰された光L1と、液晶パネルガラス81および上偏光板82を透過し減衰された光L2と、ハーフミラー84、偏光板82,83、および液晶パネルガラス81を透過して非常に減衰された光L3とが入射する。
【0043】
また、半透明部42には、発光ダイオード71から射出され、表示パネル8に入射せずに隙間100を通過してくる光L4や、発光ダイオード71から射出され、隙間100に入射し、表示パネル8の突出部85Aの側面で反射した光L5も入射してくる。さらに、半透明部42には、図示しないが、発光ダイオード71から射出され、隙間100に入射し、表示パネル8の突出部85Aの側面から液晶パネルガラス81に入射し、当該液晶パネルガラス81および上偏光板82を透過した光も入射してくる。
【0044】
これら半透明部42に入射した光L1〜L5は、当該半透明部42を透過した後に、風防ガラス4に入射し、風防ガラス4から時計1の外側へ射出される。これにより、半透明部42は光り、使用者に警告等が報知される。
このように、本実施形態の時計1では、発光ダイオード71が表示パネル8の突出部85A下方に配置されているので、表示パネル8の表示領域のすぐ外側に配置された半透明部42を光らせることができる。よって、使用者は、表示領域から視線をあまり動かすことなく半透明部42を視認することができ、半透明部42の視認性を良好なものとすることができる。また、半透明部42には、発光ダイオード71から射出され、減衰率の異なる様々な経路を経た光L1〜L5が入射するので、おぼろげな光艶を形成することができる。
【0045】
加えて、半透明部42は、半透明に構成されているので、発光ダイオード71のまぶしい光輝を抑えて柔らかな光を演出できる。よって、より良好な視認性を得ることできる。そのうえ、半透明部42は白色に形成されているので、半透明部42から射出される光がより柔らかな色合いとなり、一層良好な視認性を得ることできる。
また、半透明部42は印刷によって形成されているので、適宜のデザインを容易に形成することができ、より一層良好な外観意匠および視認性を得ることができる。
【0046】
〔9.本実施形態による効果〕
本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)表示パネル8の外縁部85Aは、風防ガラス4と発光ダイオード71との間に配置されている。すなわち、発光ダイオード71は、従来デッドスペースであった表示パネル8の外縁部85Aの下方(表示パネル8の外縁部85Aから裏蓋22に向かう方向)に配置されているので、表示モジュール3、ひいては時計1の小型化を促進できる。また、これにより、風防ガラス4を大型化させることなく、1枚の風防ガラス4で表示パネル8および発光ダイオード71を共に覆うことができるので、構成を簡素化できる。加えて、1枚の風防ガラス4の周囲だけをシールすればよいので、防水性能を向上できる。
【0047】
(2)表示パネル8の外縁部には、液晶パネルガラス81が偏光板82,83(およびハーフミラー84)の側縁から平面方向に突出した部分である突出部85Aが形成されている。発光ダイオード71は、光軸Gがこの突出部85Aを通る位置に配置されているので、当該発光ダイオード71から射出された光は、主に突出部85Aを透過して、風防ガラス4から外部に射出される。従って、発光ダイオード71から射出された光を十分に取り出すことができる。
【0048】
(3)発光ダイオード71は、表示パネル8の外縁部(突出部85A)下方に配置されている。また、風防ガラス4の内面において、ケース2の外側から見た平面視で発光ダイオード71と重なる位置には、半透明部42が形成されている。従って、発光ダイオード71は、表示パネル8の表示領域のすぐ外側に配置された半透明部42を光らせることができるので、使用者は、表示領域から視線をあまり動かすことなく半透明部42を視認することができ、半透明部42の視認性を良好なものとすることができる。
【0049】
(4)風防ガラス4の内面において、ケース2の外側から見た平面視で発光ダイオード71と重なる位置には半透明部42が形成されているので、発光ダイオード71のまぶしい光輝を抑えて柔らかな光を演出することができる。よって、良好な外観意匠を得ることができる。
【0050】
(5)表示パネル8の突出部85Aと、パネル枠6に形成された切欠部62および押さえ部材9の切欠部93との間には、隙間100が形成されている。この隙間100は、表示パネル8の突出部85Aの側方、かつ風防ガラス4側から見た平面視で発光ダイオード71の一部と重なる位置に形成されている。従って、半透明部42には、図5に示すように、発光ダイオード71から射出され、表示パネル8の突出部85Aを透過し、若干減衰された光L1と、液晶パネルガラス81および偏光板82を透過し減衰された光L2と、ハーフミラー84、偏光板82,83、および液晶パネルガラス81を透過して相当減衰された光L3と、隙間100を通過し、減衰されていない光L4と、隙間100に入射し、表示パネル8の突出部85Aの側面で反射し、あまり減衰されていない光L5等とが入射するので、おぼろげな光艶を形成することができ、半透明部42の視認性を向上できる。
【0051】
(6)半透明部42は印刷によって形成されているので、適宜のデザインを容易に形成することができ、より良好な外観意匠および視認性を得ることができる。
【0052】
(7)風防ガラス4の内面において、風防ガラス4の内面から表示パネル8の表示領域(上偏光板82の若干内側の領域)とケース2の外側から見た平面視で重なる領域を除いた領域には、内面印刷部41が形成されているので、内面印刷部41の下方に配置された鍔部213や押さえ部材9等を隠すことができ、一層良好な外観意匠を得ることができる。
【0053】
〔10.本発明の変形例〕
以上、本発明の実施形態について具体的に示したが、前記各実施形態に限らず、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々の改良、変形が可能である。
例えば、前記実施形態では、透光部材はガラス(風防ガラス4)から構成されていたが、透光部材はプラスチックなどの樹脂から構成されていてもよい。
【0054】
前記実施形態では、半透明部42は、風防ガラス4に印刷が施されることによって形成れていたが、風防ガラス4がエッチングされ、すりガラス状にされることで形成されていてもよい。また、半透明部は、半透明な部材が、樹脂等から構成された透光部材に埋没されて形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
前記実施形態では、不透明部43は、風防ガラス4に印刷が施されることによって形成されていたが、シールなどが貼られて形成されていてもよく、内部からの光を遮ることができればよい。また、不透明部は、不透明な部材が、樹脂等から構成された透光部材に埋没されて形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
【0055】
前記実施形態では、半透明部42および不透明部43は、風防ガラス4の内面に形成されていたが、半透明部および不透明部43は、風防ガラス4の外面に形成されていてもよい。
前記実施形態では、表示パネル8の突出部85Aの側方、かつ風防ガラス4から見た平面視で発光ダイオード71の一部と重なる位置に、隙間100が形成されていたが、隙間は、発光ダイオード71から射出されて当該隙間に入射した光が、当該隙間を通過した後に、風防ガラス4に入射し、当該風防ガラス4から外部へ射出されるならば、隙間は、風防ガラス4から見た平面視で発光ダイオード71と重ならない位置に形成されていてもよい。また、隙間は形成されていなくともよく、発光ダイオードからの射出光が、全て表示パネル8の外縁部85Aを通って風防ガラス4に入射するように時計1が構成されていてもよい。
【0056】
表示パネルは、液晶パネルから構成されることに限られず、プラズマパネルやEL(Electro Luminescence)パネルから構成されていてもよい。
本発明を適用し得る各種照明付電子機器としては、時計のほかに、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)や、携帯電話、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、プリンタ、パーソナルコンピュータなどを例示できる。
【0057】
なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明付電子時計の斜視図。
【図2】前記実施形態の時計の分解斜視図。
【図3】前記実施形態の表示モジュールの分解斜視図。
【図4】前記実施形態の時計の要部を示す断面図。
【図5】前記実施形態の時計の要部を示す拡大断面図。
【符号の説明】
【0059】
1…照明付電子時計(照明付電子機器)、4…風防ガラス(透光部材)、8…表示パネル、42…半透明部、43…不透明部、71…発光ダイオード、82…上偏光板(偏光板)、83…下偏光板(偏光板)、85A…突出部(表示パネルの外縁部)、100…隙間、811,812…透明基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成されたケースと、
前記ケース内部に配置された表示パネルと、
前記開口を閉塞し、前記表示パネルを覆う透光部材と、
前記ケースの内部に配置された発光ダイオードとを備え、
前記表示パネルの外縁部は、前記透光部材と前記発光ダイオードとの間に配置され、前記発光ダイオードからの射出光が透過可能に構成されている
ことを特徴とする照明付電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の照明付電子機器において、
前記表示パネルは、液晶を密封封入する一対の透明基板と、前記透明基板の両面側に配置される一対の偏光板とを備え、
前記透明基板は、前記一対の偏光板の側縁から平面方向に突出する突出部を備え、
前記発光ダイオードは、前記発光ダイオードの光軸が前記突出部を通る位置に配置されている
ことを特徴とする照明付電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明付電子機器において、
前記発光ダイオードからの射出光が透過可能に構成された前記表示パネルの前記外縁部と、前記ケースとの間には隙間が形成され、
前記隙間には、前記発光ダイオードからの射出光の一部が入射し、当該隙間を通過した後に、前記透光部材から外部へ射出される
ことを特徴とする照明付電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の照明付電子機器において、
前記透光部材において、前記ケースの外側から見た平面視で前記発光ダイオードと重なる位置には、半透明部が形成されている
ことを特徴とする照明付電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の照明付電子機器において、
前記透光部材において、画像を形成可能な前記表示パネルの表示領域と前記ケースの外側から見た平面視で重なる領域、および前記半透明部が形成された領域を除いた領域には、光が透過できない不透明部が形成されている
ことを特徴とする照明付電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の照明付電子機器において、
前記半透明部および前記不透明部は、前記透光部材の内面または外面に形成されている
ことを特徴とする照明付電子機器。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれかに記載の照明付電子機器において、
前記半透明部は、前記透光部材に印刷が施されて形成されている
ことを特徴とする照明付電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−203487(P2008−203487A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38920(P2007−38920)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】