説明

照明光学系

【課題】 光源からの光を高効率に利用し、照度の均一性が高い照明光束が得られる照明光学系が求められている。
【解決手段】 被照明面の法線方向に対する入射光線の偏差角によって変化する照明光の被照明面での強度分布において、照明光学系の光軸と偏光分離面の法線の両者に平行な断面を第1断面、照明光学系の光軸と平行で第1断面と垂直な断面を第2断面とするとき、第2断面におけるピーク値の半値となる角度幅が、第1断面におけるピーク値の半値となる角度幅よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射型画像表示装置に用いられる照明光学系および投射表示光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタ型ディスプレイ(投射型画像表示装置)は、一般に、液晶表示パネルやマイクロミラーアレイデバイスパネルを光変調素子としてスイッチングに利用して、光の透過と遮断または偏向を制御して選択された光パターンをスクリーンに投射することで、スクリーン上に映像を表示する。
【0003】
光変調素子に液晶表示パネルやマイクロミラーアレイデバイスパネルを用いたプロジェクタにおいては、光源からの光を高効率で利用することと、スクリーン上での照度むらを低減することが重要となる。
【0004】
改善手段としては、2枚の2次元配列されたレンズアレイから構成されるオプティカルインテグレータが知られている。オプティカルインテグレータは、光源からの光束を第1のレンズアレイによって複数の光束に分割し、第2レンズアレイによりこれらの光束を拡大しながら光変調素子の表示領域に重畳結像させるものである(特許文献1参照)。
【0005】
この方法においては、分割後の照度むらが小さい光束を重畳するため均一性の高い照射光が得られ、スクリーン上での照度むらが大幅に改善される。また、第1レンズアレイの各開口を光変調素子の表示領域と相似の矩形とすれば、分割後の光束は表示領域にもれなく照射されるため、照射光の効率が向上し、光源からの光の利用効率を向上する。
【0006】
また、他の改善手段としては、光源からの光をカライドスコープに導光し、光線のベクトルをミキシングすることによって、カライドスコープの光出射端面での光強度分布を均一化させ、この像を結像レンズによって光変調素子として用いているマイクロミラーアレイデバイスに共役結像させるものがある。
【0007】
カライドスコープを用いる場合には、自然放射の光源からの光を、直線偏光状態に変換する手段を用いると、光学系が複雑になるため、一般的には実施されていない。
【0008】
この方法においても、均一性の高い照射光が得られ、スクリーン上での照度むらが大幅に改善される。
【特許文献1】特開平11−64848号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、2枚のレンズアレイからなるオプティカルインテグレータやカライドスコープを用いた光強度分布の均一化方法を用いる場合、光変調素子を照明する光束が大きな収束角を有する。このため、光変調パネルが反射型液晶表示パネルやマイクロミラーアレイデバイスの場合、照明光を導く光路を形成するための空間的な制限があり、TIRプリズムで導く場合には全反射最小角の制限がある。また、偏光ビームスプリッターで導く場合には、S波の反射率の入射角度依存性による制限が生じてしまうため、光変調素子への照明光束は平行光束に近いことが望まれる。
【0010】
さらに、光変調素子が透過型液晶表示パネルであり、この透過型液晶表示パネルによってレッド、グリーン、ブルーの三原色の光の変調を行う場合、変調光をダイクロイックミラーまたはダイクロイックプリズムで合成する際、変調光が平行光束から逸脱するほどダイクロイック膜での反射・透過波長領域のカット波長が変化し、色のにごりや、投射画像の位置による色再現性の偏差が発生する。
【0011】
また、光変調素子が、透過型、反射型に限らず、ツイステッドネマティック液晶(TNLC)である場合、この液晶表示パネルへの照明光束の入射角がパネルの法線方向から傾くほど、また液晶表示パネル面内で液晶分子のラビング方向から傾くほど、液晶表示パネルを通過することによる理想的な光波長の位相差である、0またはπからのずれが大きく生じてしまう。したがって、光変調のコントラストが低下してしまう。
【0012】
そこで、本発明は、光源からの光を高効率に利用し、照度の均一性が高い照明光束が得られる照明光学系を提供すること、さらにはより明るく濃淡コントラストの高い投射画像が得られる投射表示光学系を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の照明光学系は、光源からの照明光束で被照明面を照明する照明光学系であって、光源と被照明面との間に配置された偏光分離面を備えている。被照明面の法線方向に対する入射光線の偏差角によって変化する照明光の被照明面での強度分布において、照明光学系の光軸と偏光分離面の法線の両者に平行な断面を第1断面、照明光学系の光軸と平行で第1断面と垂直な断面を第2断面とするとき、第2断面におけるピーク値の半値となる角度幅が、第1断面におけるピーク値の半値となる角度幅よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光源からの光を高効率に利用し、照度の均一性が高い照明光束が得られる照明光学系を実現することができる。
【0015】
このため、これらの照明光学系を投射表示光学系の照明部として用いることにより、明るく濃淡コントラストの高い投射画像が得られる投射表示光学系を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1には、本発明の実施例1である照明光学系の構成を示している。この図において、100は光源となるガス励起発光源で、高圧水銀ランプやメタルハライドランプまたはクセノンランプ等が用いられる。
【0018】
光源100は、パラボリック反射ミラー101と組合せられて概ね平行な可視光ビームを生成するが、得られる平行ビームをなるべくダイバージェンス(発散角)の少ない質の高いコリメート光束にするために、ガスの電子励起領域を限定するよう放電ギャップは極力狭く設計され、点光源発光に近い光源になっている。
【0019】
また、より点光源に近い発光源を得るために、放電ギャップに交流バイアスをかけて電極の双方向から電子放射して2点の点光源を形成するのではなく、発光効率およびエネルギー変換効率が減少するものの、直流バイアスをかけて陰極電極側に高輝度の点光源を発生させる場合もある。
【0020】
このガス励起光源100とパラボリック反射ミラー101からなるランプユニットから放射された光束のうち可視光外の紫外線は、紫外線カットフィルター102によってカットされる。紫外線は、レンズの材料となる光学ガラスや光学薄膜を励起したり劣化させることも長期的には発生するが、特に光変調パネルに液晶素子を用いる場合には、有機材料である液晶ポリマーが紫外線によって分解変質されるので、これを防止するのが主な目的である。
【0021】
次に、紫外線カットフィルター102を通過した可視光光束は、光束の所定領域に配されたシャッフリングプリズム(光強度変換手段)103と反射ミラー104に入射し、偏向および反射される。ここで用いられているシャッフリングプリズム103は、対向頂角プリズムを反射ミラー104の反射面で折り返した形状を有しており、このシャッフリングプリズム103の作用については、図4を用いて後述する。
【0022】
次に、シャッフリングプリズム103を通過し、反射ミラー104によって反射した光束は、第1シリンドリカルレンズ105に入射する。第1シリンドリカルレンズ105は、図中の水平方向においてのみ屈折力を有するもので、光束の進行方向にもう1つ配置されている第2シリンドリカルレンズ110と対になってビームコンプレッサを形成している。
【0023】
したがって、第1シリンドリカルレンズ105に入射する光束に、図中水平方向においては光束が圧縮され、アフォーカル状態で光変調パネル112に導かれる。
【0024】
第1シリンドリカルレンズ105を通過した光束は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106に入射する。この第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106は、図中の垂直方向においてのみ屈折力を有する複数のシリンドリカルレンズを有し、入射する光束を該シリンドリカルレンズの個数分に分割し、個々に焦線を結ばせる。その後、各分割光束は、シリンドリカルコンデンサーレンズ109によって再び所定幅に設定された平行光束に変換される。
【0025】
ここで、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106とシリンドリカルコンデンサーレンズ109の主平面間隔は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106の焦点距離とシリンドリカルコンデンサーレンズ109の焦点距離の和に設定されている。これにより、光束は上記のように平行光束に再変換される。
【0026】
さらにシリンドリカルコンデンサーレンズ109は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106の光軸線が各アレイの光軸線に対して偏心しているため、シリンドリカルコンデンサーレンズ109の焦線の位置で、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106の各アレイの通過した光束を重ね合わせる。これにより、オプティカルインテグレート(光束の分割および再合成)操作が成される。
【0027】
上記シリンドリカルコンデンサーレンズ109の焦線の位置が光変調パネル112の変調面となる。
【0028】
また、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー107の焦線の位置は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106の各シリンドリカルレンズの瞳位置に設定されている。第2シリンドリカルアレイホモジナイザー107とシリンドリカルコンデンサーレンズ109のタンデムレンズ構成で、シリンドリカルアレイホモジナイザー106の各シリンドリカルレンズの瞳と光変調パネル112の変調面が光学的に共役関係となっている。このため、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106の各シリンドリカルレンズの瞳が図中の垂直方向において光変調パネル112の変調面に結像される。
【0029】
ガス励起光源100とパラボリック反射ミラー101からなるランプユニットから放射された光束は、完全な平行光とはならず、若干のダイバージェンスを有している。第2シリンドリカルアレイホモジナイザー107は、このダイバージェンス分の光束広がりを修正するために、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106の各シリンドリカルレンズの瞳を通過した光束を確実に光変調パネル112の変調面に導く。
【0030】
第2シリンドリカルアレイホモジナイザー107を通過した光束は、偏光変換素子アレイ108に入射する。ここで用いている偏光変換素子アレイ108は、一般に液晶プロジェクタで用いるPS変換素子と呼ばれるものと同様であり、ランプユニットから放射した光を、偏光ビームスプリッタを重ね合わせたアレイで、片側、たとえば図中の垂直方向に平行な偏光成分に変換する。すなわち、偏光変換素子アレイ108は、図中垂直方向の偏光成分は偏光分離膜(図示せず)を通過させ、偏光分離膜で反射した図中の水平偏光成分はとなりの偏光ビームスプリッタアレイの偏光分離膜で再度反射させて光路をアレイのピッチ分だけシフトさせ、偏光変換素子アレイ108を射出する直前で半波長位相差板(図示せず)で偏光方向を90度変換して図中の垂直方向の直線偏光として出射させる。こうして偏光変換素子アレイ108を通過した光束はすべて図中の垂直方向の直線偏光の光となる。
【0031】
偏光変換素子アレイ108を通過した光束は、シリンドリカルコンデンサーレンズ109に入射し、上述したように、このシリンドリカルコンデンサーレンズ109の焦線位置にある光変調パネル112の変調面に図中の垂直方向で重ね合わされてインテグレートされる。
【0032】
シリンドリカルコンデンサーレンズ109を通過した光束は、第2シリンドリカルレンズ110に入射する。上述したように、シリンドリカルレンズ110は図中の水平方向のみに屈折力を有するもので、第1シリンドリカルレンズ105と対になってビームコンプレッサを形成する。これにより、図中の水平方向において光束が圧縮され、アフォーカル状態で光変調パネル112に導かれる。
【0033】
さらに、この第2シリンドリカルレンズ110によって、第1シリンドリカルレンズ105の瞳と光変調パネル112の変調面とが光学的に共役関係に配置されており、第1シリンドリカルレンズ105の瞳は図中の水平方向において光変調パネル112の変調面に結像される。
【0034】
第2シリンドリカルレンズ110は、上記シリンドリカルアレイホモジナイザー107と同様に、ガス励起光源100とパラボリック反射ミラー101からなるランプユニットから放射された光束のダイバージェンス分の光束広がりを修正して、第1シリンドリカルレンズ105の瞳を通過した光束を確実に光変調パネル112の変調面に導くために設けられている。
【0035】
シリンドリカルレンズ110を通過した光束は、ダミー偏光ビームスプリッタ111に入射する。このダミーはダイクロイックプリズムまたはミラーとしてもかまわない。ただし、ダミーが偏光ビームスプリッタの場合でも、ダイクロイックプリズムの場合でも、光束の偏向方向は図中の水平方向に設定する。
【0036】
以上のように、本実施例の照明光学系を通過した光束は、光変調パネル112に導かれる。本実施例の照明特性については後述する。
【実施例2】
【0037】
図2には、本発明の実施例2である照明光学系の構成を示している。図2において、200は光源となるガス励起発光源で、高圧水銀ランプやメタルハライドランプまたはクセノンランプ等が用いられる。光源200はパラボリック反射ミラー201と組み合せられて概ね平行な可視光ビームを生成する。光源200は、得られる平行ビームをなるべくダイバージェンス(発散角)の少ない質の高いコリメート光束にするために、ガスの電子励起領域を限定するよう放電ギャップは極力狭く設計され、点光源発光に近い光源になっている。また、より点光源に近い発光源を得るために、放電ギャップに交流バイアスをかけて電極の双方向から電子放射して2点の点光源を形成するのではなく、発光効率およびエネルギー変換効率が減少するものの、直流バイアスをかけて陰極電極側に高輝度の点光源を発生させる場合もある。
【0038】
このガス励起光源200とパラボリック反射ミラー201からなるランプユニットから放射された光束のうち可視光外の紫外線は、紫外線カットフィルター202によってカットされる。紫外線は、レンズの材料となる光学ガラスや光学薄膜を励起したり劣化させることも長期的には発生するが、特に光変調パネルに液晶素子を用いる場合には、有機材料である液晶ポリマーが紫外線によって分解変質するので、これを防止するのが主な目的である。
【0039】
紫外線カットフィルター202を通過した可視光光束は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206に入射する。第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206は、図中の垂直方向においてのみ屈折力を有する複数のシリンドリカルレンズを有し、入射する光束を該シリンドリカルレンズの個数分に分割し、個々に焦線を結ばせる。その後、各分割光束は、シリンドリカルコンデンサーレンズ209によって再び所定幅に設定された平行光束に変換される。
【0040】
ここで、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206とシリンドリカルコンデンサーレンズ209の主平面間隔は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206の焦点距離とシリンドリカルコンデンサーレンズ209の焦点距離の和に設定されている。これにより、光束は上記のように平行光束に再変換される。
【0041】
さらに、シリンドリカルコンデンサーレンズ209は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206の光軸線が各アレイの光軸線に対して偏心しているため、シリンドリカルコンデンサーレンズ209の焦線の位置で、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206の各アレイの通過した光束を重ね合わせる。これにより、オプティカルインテグレート操作がなされる。そして、シリンドリカルコンデンサーレンズ209の焦線の位置が光変調パネル212の変調面となる。
【0042】
第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206を通過した光束は、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー207を通過する。この第2シリンドリカルアレイホモジナイザー207の焦線の位置は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206の各シリンドリカルレンズの瞳位置に設定されている。第2シリンドリカルアレイホモジナイザー207とシリンドリカルコンデンサーレンズ209のタンデムレンズ構成で、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206の各シリンドリカルレンズの瞳と光変調パネル212の変調面とが光学的に共役関係とされている。このため、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206の各シリンドリカルレンズの瞳は、図中の垂直方向において光変調パネル212の変調面に結像される。
【0043】
ガス励起光源200とパラボリック反射ミラー201からなるランプユニットから放射された光束は完全な平行光とはならず、ダイバージェンスを有している。このため、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー207は、このダイバージェンス分の光束広がりを修正するために、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206の各シリンドリカルレンズの瞳を通過した光束を確実に光変調パネル212の変調面に導く。
【0044】
第2シリンドリカルアレイホモジナイザー207を通過した光束は、偏光変換素子アレイ208に入射する。偏光変換素子アレイ208は、一般に液晶プロジェクタで用いられているPS変換素子と呼ばれるものと同様であり、ランプユニットから放射した光を、偏光ビームスプリッタを重ね合わせたアレイで、片側、たとえば図中の垂直方向に平行な偏光成分のみに変換するものである。すなわち、図中の垂直方向の偏光成分は偏光分離膜を通過させ、偏光分離膜で反射した図中水平偏光成分はとなりの偏光ビームスプリッタアレイの偏光分離膜で再度反射して光路をアレイのピッチ分だけシフトさせ、偏光変換素子アレイを出射する直前で半波長位相差板(図示せず)で偏光方向を90度変換して図中の垂直方向の直線偏光として出射させる。こうして、偏光変換素子アレイ208を通過した光束はすべて図中の垂直方向の直線偏光となる。
【0045】
偏光変換素子アレイ208を通過した光束は、第1シリンドリカルレンズ205に入射する。第1シリンドリカルレンズ205は、図中の水平方向においてのみ屈折力を有するもので、光束の進行方向にもう1つ配置されている第2シリンドリカルレンズ210と対になってビームコンプレッサを形成している。したがって、第1シリンドリカルレンズ205に入射する光束は、図中の水平方向においては圧縮され、基本的にはアフォーカル状態で光変調パネル212に導かれる。但し、本実施例においては、ビームコンプレッサに瞳ディストーション収差を所定量だけ意図的に持たせており、この瞳ディストーション収差によって光変調パネル212の変調面の光強度分布を均一または任意の分布に制御している。このビームコンプレッサによる瞳ディストーション収差の作用については、図5を用いて後述する。
【0046】
第1シリンドリカルレンズ205を通過した光束は、シリンドリカルコンデンサーレンズ209に入射し、上述したようにこのシリンドリカルコンデンサーレンズ209によって、シリンドリカルコンデンサーレンズ209の焦線位置にある光変調パネル212の変調面に図中の垂直方向で重ね合わされてインテグレートされる。
【0047】
シリンドリカルコンデンサーレンズ209を通過した光束は、第2シリンドリカルレンズ210に入射する。上述したように、第2シリンドリカルレンズ210は図中の水平方向のみに屈折力を有するもので、第1シリンドリカルレンズ205と対になってビームコンプレッサを形成している。これにより、図中の水平方向において光束が圧縮され、アフォーカル状態で光変調パネル212に導かれる。
【0048】
さらに、この第2シリンドリカルレンズ210によって、第1シリンドリカルレンズ205の瞳と光変調パネル212の変調面とが概ね光学的な共役関係(ビームコンプレッサに収差を意図的に持たせているために光学的共役関係は精度的に粗くなる)に配置されている。このため、第1シリンドリカルレンズ205の瞳は、図中の水平方向において光変調パネル212の変調面に結像される。
【0049】
第2シリンドリカルレンズ210は、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー207の役割と同様に、ガス励起光源200とパラボリック反射ミラー201からなるランプユニットから放射された光束のダイバージェンス分の光束広がりを修正して、第1シリンドリカルレンズ205の瞳を通過した光束を確実に光変調パネル212の変調面に導くために配置されている。
【0050】
シリンドリカルレンズ210を通過した光束は、ダミー偏光ビームスプリッタ211に入射する。このダミーはダイクロイックプリズム又はミラーとしてもかまわない。但し、ダミーが偏光ビームスプリッタの場合でも、ダイクロイックプリズムの場合でも、光束の偏向方向は図中の水平方向に設定する。
【0051】
以上のように、本実施例の照明光学系を通過した光束は、光変調パネル212に導かれる。本実施例の照明特性については後述する。
【0052】
(オプティカルインテグレータについて)
次に、上記実施例1,2の照明光学系に用いられているオプティカルインテグレータについて、図3を用いて説明する。
【0053】
図3中に配置されている各オプティクスにおいて、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306は実施例1では第1シリンドリカルアレイホモジナイザー106に、実施例2では第1シリンドリカルアレイホモジナイザー206に相当する。また、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー307は、実施例1では第2シリンドリカルアレイホモジナイザー107に、実施例2では第2シリンドリカルアレイホモジナイザー207に相当する。
【0054】
さらに、シリンドリカルコンデンサーレンズ309は、実施例1ではシリンドリカルコンデンサーレンズ109に、実施例2ではシリンドリカルコンデンサーレンズ209に相当する。
【0055】
これら、第1および第2シリンドリカルアレイホモジナイザーとシリンドリカルコンデンサーレンズによってオプティカルインテグレータが構成される。
【0056】
なお、図3中の光変調パネル312は、実施例1では光変調パネル112に、実施例2では光変調パネル212に相当する。
【0057】
第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306に導かれ、オプティカルインテグレート方向に略コリメートされた、図3に矢印で示す光束は、各シリンドリカルレンズの瞳によって図中の縦方向に分割され、各焦線上に集光する。第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の焦線の位置は、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー307の瞳位置の近傍にあり、矢印で示される入射光束が完全にコリメート光である理想的な光束である場合に、この光束が第2シリンドリカルアレイホモジナイザー307によってほとんど屈折力を受けないように配されている。
【0058】
第2シリンドリカルアレイホモジナイザー307を通過した各光束は、シリンドリカルコンデンサーレンズ309に導かれる。各光束の光軸はシリンドリカルコンデンサーレンズ309の光軸からシフトしているため、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の各シリンドリカルレンズの瞳によって分割された各光束の光軸はシリンドリカルコンデンサーレンズ309の焦線の位置にて集合することとなる。
【0059】
また、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306とシリンドリカルコンデンサーレンズ309の主平面距離は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の焦点距離とシリンドリカルコンデンサーレンズ309の焦点距離の和の距離に設定されているので、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の各シリンドリカルレンズの瞳によって分割された各光束は、シリンドリカルコンデンサーレンズ309を通過することで、図の断面方向に対して平行光となる。
【0060】
また、平行光の幅は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の焦点距離に対するシリンドリカルコンデンサーレンズ309の焦点距離の比で拡大されるよう設定されている。
【0061】
一方、光変調パネル312の光変調面は、シリンドリカルコンデンサーレンズ309の焦線の位置に配置されている。これにより、光変調パネル312の変調面でオプティカルインテグレート操作が行われ、照明光学系に入射した光束は、入射時の光強度分布に関わらず、略均一な光強度分布に変換されて光変調パネル312の変調面に照射される。
【0062】
次に、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー307の機能について説明する。図3中に矢印で示される入射光束は完全にコリメートされたものではない。特に、レーザではなく、ガス励起発光の光源を用いている本実施例においては、励起発光領域は小さくても0.1mmオーダーの有限領域を有しているため、コリメートレンズやパラボリック反射ミラーを用いても、完全なコリメートビームを得ることは不可能であり、上記入射光束にはダイバージェンス(発散角)が必ず含まれる。
【0063】
このダイバージェンス誤差による光変調パネル312の照明領域の外形ボケを補正するために、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー307が設けられている。
【0064】
図3を用いて説明すると、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の各シリンドリカルレンズの瞳で分割された光束は、その瞳の全域からダイバージェンス成分を有しているため、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の各シリンドリカルレンズの瞳像を、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー307とシリンドリカルコンデンサーレンズ309の再合成系によって、光変調パネル312の変調面に投影結像させている。
【0065】
第2シリンドリカルアレイホモジナイザー307の各シリンドリカルレンズの光入射側の焦線の位置は、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の各シリンドリカルレンズの瞳位置に設定されている。第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の各シリンドリカルレンズの瞳で分割された光束のダイバージェンス成分は、図3中に細かい点線で示されており、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の各シリンドリカルレンズの瞳で分割された光束は、第2シリンドリカルアレイホモジナイザー307を通過することで図中の断面方向において平行光に変換され、さらにシリンドリカルコンデンサーレンズ309によってこのシリンドリカルコンデンサーレンズ309の焦線面に集光する。
【0066】
つまり、第1シリンドリカルアレイホモジナイザー306の各アレイの瞳像は、光変調パネル312の変調面にオプティカルインテグレートされた状態で重ね合わさって結像する。このことにより、光変調パネル312の変調面は、図3の断面方向において、エッジの鋭く立った光強度分布で照明される。
【0067】
(シャッフリングプリズムについて)
次に、上記実施例1の照明光学系に組み込まれている、光強度変換オプティクスとしてのシャッフリングプリズムについて、図4を用いて説明する。
【0068】
図4中に配されている各オプティクスについて、シャッフリングプリズム303は、実施例1のシャッフリングプリズム103に相当する。また、第1シリンドリカルレンズ305は実施例1の第1シリンドリカルレンズ105に相当し、第2シリンドリカルレンズ310は実施例1の第2シリンドリカルレンズ110に相当する。なお、光変調パネル312は、実施例1の光変調パネル112に相当する。
【0069】
略コリメートされた、図4に矢印で示す光束の一部がシャッフリングプリズム303を通過する。シャッフリングプリズム303は、対向する各面が互いに平行となるように配置された構造を有し、平行平板の合成形態とみることができるものである。図4中に粗い点線は、紙面に対して垂直方向でシャッフリングプリズム303の上下を通過する光束を示しており、細かい点線はシャッフリングプリズム303の内部を通過する光束を示している。
【0070】
シャッフリングプリズム303に入射した光束は、対向する平行面によって図4中の上下方向にシフトし、矢印で示されている入射光束の図4中の紙面断面方向において、中心から上側半分の光束は、上端の光束が中心に変位する。このようにシャッフリングプリズム303の厚みが設定されている。
【0071】
すなわち、入射光束の上半分の光束はシフトして下半分の光束に、入射光束の下半分の光束はシフトして上半分の光束に入れ換えられたかたちで射出する。言い換えると、図中の矢印で示される入射光束は、シャッフリングプリズム303を通過する部分においてのみ、中央部と端部とが反転し、かつ図の紙面中において上下が反転した光束として射出する。
【0072】
シャッフリングプリズム303から射出した光束は、第1シリンドリカルレンズ305に導かれる。この第1シリンドリカルレンズ305と次に配置されている第2シリンドリカルレンズ310とでアフォーカルな凸凸ペアのビームコンプレッサが形成されている。
【0073】
ビームコンプレス倍率は、入射光束の幅が光変調パネル312の有効幅にほぼ一致するように設定されている。
【0074】
第1シリンドリカルレンズ305と第2シリンドリカルレンズ310の主平面間隔は、第1シリンドリカルレンズ305の焦点距離と第2シリンドリカルレンズ305の焦点距離の和の距離に設定されている。このため、図4中の紙面断面において、略平行光として入射した光束は、コンプレス倍率の逆数分だけ角倍率が与えられた略平行光として射出され、光変調パネル312に照射される。
【0075】
一方、第2シリンドリカルレンズ310はまた別の機能をも有している。図4中に矢印で示した入射光束は完全にコリメートされたものではない。特にレーザではなく、ガス励起発光の光源を用いている本実施例においては、励起発光領域は小さくても0.1mmオーダーの有限領域を有しているため、コリメートレンズやパラボリック反射ミラーを用いても、完全なコリメートビームを得ることは不可能で、上記入射光束にはダイバージェンス(発散角)が必ず含まれる。
【0076】
このダイバージェンス誤差による光変調パネル312の照明領域の外形ボケを補正する機能を第2シリンドリカルレンズ310は有している。
【0077】
第1シリンドリカルレンズ305は、その瞳の全域からダイバージェンス成分を有した光束を通過させるため、この第1シリンドリカルレンズ305の瞳像を、第2シリンドリカルレンズ310によって、光変調パネル312の変調面に投影結像させている。
【0078】
第2シリンドリカルレンズ310の光入射側の結像共役線の位置は第1シリンドリカルレンズ305の瞳位置に、第2シリンドリカルレンズ310の光射出側の結像共役線の位置は光変調パネル312の変調面に設定されている。第1シリンドリカルレンズ305の瞳光束のダイバージェンス成分は、図4中に細かい点線で示される光束であり、第1シリンドリカルレンズ305の瞳で分割された各光束は、第2シリンドリカルレンズ310を通過することで図4中の断面方向において光変調パネル312の変調面に集光することとなる。
【0079】
つまり、第2シリンドリカルレンズ310の瞳像が、光変調パネル312の変調面に転送結像される。
【0080】
ここで、光変調パネルが、このシャッフリングプリズムと図3で説明したオプティカルインテグレータとの組み合わせによって、どのような光強度分布で照明されるかを図6および図7を用いて説明する。
【0081】
図6および図7には、実施例1の照明光学系による光変調パネル上での光強度分布の形成プロセスを示している。図6(a)および図7(a)は、ガス励起光源とパラボリック反射ミラーからなるランプユニットから放射された光束の断面プロファイルを示しており、図6(a)においては明るい部分ほど光強度が高いことを示している。また、図7(a)において、実線のグラフは図6(a)における縦(Y)方向の中心(0mm)における横(X)方向断面での光強度分布を、点線のグラフは図6(a)における横(X)方向の中心(0mm)における縦(Y)方向断面での光強度分布をそれぞれ示している。
【0082】
図6(a)および図7(a)に示す光束の光強度分布は、シャッフリングプリズムと反射ミラーとによって、光束の中央部分においてその中心部と端部の分布が反転し、かつ左右の分布も反転されて、図6(b)および図7(b)に示す光束の断面プロファイルに変換される。図6(b)において横線で区切られた領域は、オプティカルインテグレータによって分割積分される領域であり、最終的に図6(c)および図7(c)に示す光変調パネルの変調面での光強度分布が得られる。
【0083】
図6(c)および図7(c)から分かるように、光変調パネルの変調面に入射する照明光束の光強度分布は、強度が高く、かつほぼフラット(均一)な分布となっている。
【0084】
ただし、当然のことながら、シャッフリングプリズムのオプティカルインテグレート方向での厚みや配置数や光束シフト移動量などを所定値に設計することによって、光変調パネルの変調面での光線密度分布は目的に合わせて変えることが可能である。したがって、光変調パネルの変調面に入射する照明光束の光強度分布は、光強度変換オプティクスの作用する方向に対して、意図的に所定の分布を持たせることができる。
【0085】
次に、上記実施例2の照明光学系に組み込まれている光強度分布を変換するオプティクスについて、図5を用いて説明する。
【0086】
図5中の各オプティクスにおいて、第1シリンドリカルレンズ405は実施例2の第1シリンドリカルレンズ205に相当し、第2シリンドリカルレンズ410は実施例2の第2シリンドリカルレンズ210に相当する。なお、光変調パネル412は実施例2の光変調パネル212に相当する。
【0087】
略コリメートされた、図5に矢印で示す光束は第1シリンドリカルレンズ405に入射する。この第1シリンドリカルレンズ405と次に配されている第2シリンドリカルレンズ410とで、アフォーカルな凸凸ペアのビームコンプレッサが形成されており、ビームコンプレス倍率は入射光束の幅が光変調パネル412の有効幅にほぼ一致するように設定されている。
【0088】
第1シリンドリカルレンズ405と第2シリンドリカルレンズ410の主平面間隔は、第1シリンドリカルレンズ405の焦点距離と第2シリンドリカルレンズ405の焦点距離の和の距離に設定されている。このため、図5中の紙面断面において、略平行光として入射した光束はコンプレス倍率の逆数分だけ角倍率が与えられた略平行光で射出し、光変調パネル412に照射される。
【0089】
一方、第2シリンドリカルレンズ410はまた別の機能をも有している。図5中に矢印で示した入射光束は完全にコリメートされたものではない。特にレーザではなく、ガス励起発光の光源を用いている本実施例においては、励起発光領域は小さくても0.1mmオーダーの有限領域を有しているため、コリメートレンズやパラボリック反射ミラーを用いても、完全なコリメートビームを得ることは不可能で、上記入射光束にはダイバージェンス(発散角)が必ず含まれる。
【0090】
このダイバージェンス誤差による光変調パネル412の照明領域の外形ボケを補正する機能を第2シリンドリカルレンズ410は有する。
【0091】
第1シリンドリカルレンズ405は、その瞳の全域からダイバージェンス成分を有している光束を通過させるため、この第1シリンドリカルレンズ405の瞳像を第2シリンドリカルレンズ410によって、光変調パネル412の変調面に投影結像させている。
【0092】
第2シリンドリカルレンズ410の光入射側の結像共役線の位置は第1シリンドリカルレンズ405の瞳位置に、第2シリンドリカルレンズ410の光射出側の結像共役線の位置は光変調パネル412の変調面に設定されている。第1シリンドリカルレンズ405の瞳光束のダイバージェンス成分は、図5中に細かい点線で示され、第1シリンドリカルレンズ405の瞳で分割された各光束は第2シリンドリカルレンズ410を通過することで図中断面方向において光変調パネル412の変調面に集光する。つまり、第2シリンドリカルレンズ410の瞳像が光変調パネル412の変調面に転送結像される。
【0093】
さらに、第1シリンドリカルレンズ405と第2シリンドリカルレンズ410で構成されるビームコンプレッサは、アフォーカル光学系であり、このビームコンプレッサによる瞳転送の収差として、アフォーカルでの球面収差とも称される、瞳ディストーション収差が意図的に付与されている。第1シリンドリカルレンズ405と第2シリンドリカルレンズ410のシリンドリカル面の曲率は小さく、光軸からずれるにつれて収差が付与されるように設計されている。図5中に粗い点線で示すように、光軸近傍の光線は、第2シリンドリカルレンズ410を通過した後、図5の紙面断面において、若干の発散光束に変換される。
【0094】
一方、光軸から離れた瞳外側の光線は、第2シリンドリカルレンズ410を通過した後、図5の紙面断面において、若干の収束光束に変換されている。このように発散収束の変化が滑らかに連続的に付与されているため、図5の紙面断面における光変調パネル412の変調面において、中央部の光線密度が薄くなり、端部の光線密度が濃くなり、光変調パネル412の変調面を照明する光強度分布は、ガス励起光源とパラボリック反射ミラーからなるランプユニットからの矢印で示される入射光束の光強度分布に、上述した光線密度分布がかけ合わされた分布となる。
【0095】
ここで、光変調パネルが、この光強度変換オプティクスと図3で説明したオプティカルインテグレータとの組み合わせによって、どのような光強度分布で照明されるかを図8および図9を用いて説明する。
【0096】
図8および図9には、実施例2の照明光学系による光変調パネル上での光強度分布の形成プロセスを示している。図8(a)および図9(a)は、ガス励起光源とパラボリック反射ミラーからなるランプユニットから放射された光束の断面プロファイルを示しており、図8(a)においては明るい部分ほど光強度が高いことを示している。また、図9(a)において、実線のグラフは図8(a)における縦(Y)方向の中心(0mm)における横(X)方向断面での光強度分布を、点線のグラフは図8(a)における横(X)方向の中心(0mm)における縦(Y)方向断面での光強度分布をそれぞれ示している。
【0097】
図8(a)および図9(a)に示す光束の光強度分布は、図8(a)にて横線で区切られた領域ごとにオプティカルインテグレータによって分割積分され、図8(b)に示す、上述したビームコンプレッサーの瞳ディストーション収差による光変調パネルの変調面での光線密度分布が、光強度変換オプティクスの方向にかけ合わされて、図8(c)および図9(c)に示す光変調パネルの変調面での光強度分布が得られる。
【0098】
図8(c)および図9(c)から分かるように、光変調パネルの変調面に入射する照明光束の光強度分布は、強度が高く、かつほぼフラット(均一)な分布となっている。
【0099】
ただし、当然のことながら、ビームコンプレッサの瞳ディストーション収差を所定値に設計することによって、光変調パネルの変調面での光線密度分布は目的に合わせてかえることが可能である。したがって、光変調パネルの変調面に入射する照明光束の光強度分布は、光強度変換オプティクスの作用する方向に対して、意図的に所定の分布を持たせることができるものである。
【0100】
次に、以上説明してきた照明光学系によって得られる特性について、図10および図11を用いて説明する。
【0101】
図11は、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによりオプティカルインテグレート操作された照明光束の光変調パネルの変調面等の被照明面への光線入射角度分布を示している。図11(a)において、外周が方位角360度方向で、放射軸が被照明面の法線(垂直入射軸)に対する仰角を示している。この図の場合、外周が20度の仰角で示されている。また、図11(b),(c)はそれぞれ、図11(a)におけるB−B断面およびC−C断面での光強度分布を示している。
【0102】
一方、図10は本実施例の照明光学系によって得られる照明光束の光変調パネルの変調面等の被照明面への光線入射角度分布を示している。図10(a)において、外周が方位角360度方向で、放射軸が被照明面のへの光線入射角度分布を示している。この図の場合、外周が20度ごとの仰角で示されている。また、図10(b),(c)はそれぞれ、図10(a)におけるB−B断面およびC−C断面での光強度分布を示している。
【0103】
図10(a)と図11(a)との比較から分かるように、被照明面に対して照射される光束は、被照明面において略均一な光強度分布が両者共に得られるが、光束の入射角度特性においては大きな違いが生じる。
【0104】
すなわち、図11(a)に示すように、2次元フライアイレンズアレイのペアによりオプティカルインテグレート操作された照明光束は、被照明面に対して方位角的に2軸対称な光線分布となる。
【0105】
これに対し、本実施例の場合、図10(a)に示すように、図中の縦方向のオプティカルインテグレート方向(B−B方向)においては同様の仰角を有するが、光強度変換オプティクスの作用する方向(C−C方向)においては、オプティカルインテグレートによる光束の重ね合わせ操作を伴わないため、ランプユニットから放射された光束のダイバージェンス角度に対して、ビームコンプレッサのコンプレス倍率による角倍率に依存する仰角を有することとなる。したがって、被照明面へ光線入射角度は、光強度変換オプティクスの作用する方向において非常に小さく抑えることが可能となる。
【0106】
具体的には、被照明面の法線方向に対する入射光線の偏差角によって変化する照明光の被照明面での強度分布において、被照明面における互いに直交する2軸(B−B軸およびC−C軸)方向のそれぞれでピーク値Pの半値(1/2P)となる角度幅の比α:βが、2:1以上のアスペクト比を有する照明方法を用いているものである。
【0107】
より詳細には、B−B軸におけるピーク値の半値となる角度幅が、C−C軸におけるピーク値の半値となる角度幅の2倍以上である。また、B−B軸方向におけるピーク値の半値となる角度幅の最大値が、C−C軸方向におけるピーク値の半値となる角度幅の最大値の2倍以上であるようにしてもよい。
【0108】
以下、このような特性によって、この照明光学系を用いた投射型画像表示装置の性能がどのような影響(利点)を受けるかについて説明する。
【実施例3】
【0109】
図12には、本発明の実施例3である投射型画像表示装置の全光学系を示している。
【0110】
この図において、1は上記実施例1,2で説明した照明光学系を模式的に示したものである。なお、照明光学系1内の左側の図は、右側に示した照明光学系1を矢印D方向から見た図である。
【0111】
2は反射型液晶変調パネル(以下、液晶変調パネルという)である。3は光変調パネルドライバであり、不図示のパーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオ、DVDプレーヤ等の画像情報供給装置からの外部ビデオ入力信号を液晶変調パネル2を駆動する駆動信号に変換する。液晶変調パネル2は入力された駆動信号に応じた原画を液晶により形成し、液晶変調パネル2に入射した照明光束を変調する。
【0112】
10は偏光ビームスプリッタであり、照明光学系1からの照明光であって、図の紙面に垂直な方向に偏光した直線偏光を偏光分離面で反射(S偏光を反射)し、液晶変調パネル2に導く。
【0113】
液晶変調パネル2に入射した照明光(図の紙面に垂直な方向の直線偏光)は、液晶変調パネル2に配列された画素の変調状態に応じて偏光の位相差が付与され、図の紙面に水平な方向の成分は偏光ビームスプリッタ10の偏光分離面をP偏光で通過し、紙面に垂直な方向の成分は偏光ビームスプリッタ10の偏光分離面をS偏光で反射して照明光学系1の方向へ戻る。
【0114】
偏光ビームスプリッタ10の偏光分離面をP偏光で通過した成分は、そのまま投射レンズ4の入射瞳によって捕らえられる。液晶変調パネル2の変調面と光拡散スクリーン5の拡散面とが投射レンズ4によって光学的に共役に関係付けられているため、液晶変調パネル2の変調面に形成された原画の像(ビデオ信号に対応した画像)が光拡散スクリーン5に投射表示される。
【0115】
ここで、偏光ビームスプリッタ10は、マックニール型の一般的に用いる偏光ビームスプリッタであり、ブリュースター角を用いたS偏光とP偏光の偏光分離面を有する。この偏光ビームスプリッタ10では、光線の入射角の、偏光分離面に対して45度からの偏差量が増大していくと、急激にS偏光とP偏光の分離精度が劣化する。実際にS偏光とP偏光の分離精度が50対1程度に保てるのは、45度からの偏差量が±3度程度である。
【0116】
このため、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータを照明光学系に用いると、図11(a)に示したような入射角度分布の光束が偏光ビームスプリッタ10に入射するため、光線の入射角が偏光分離面に対して45度からの偏差量が±3度以上になる光束のうちP偏光がある比率で反射し、S偏光がある比率で透過するという不具合が発生する。
【0117】
したがって、液晶変調パネル2に配列された画素の変調状態に応じて偏光の位相差が付与されるが、スクリーンで黒の表示をするために図12の紙面に垂直な方向に偏光した直線偏光(変調光)を液晶変調パネル2が射出しても、偏光ビームスプリッタ10の偏光分離面に対して45度から3度以上傾いた光束においては、S偏光がある比率で透過してしまい、投射レンズ4を介して光拡散スクリーン5に転送されてしまい、黒がグレーとなって、照度コントラストが劣化してしまう。
【0118】
液晶変調パネル2の偏光変調特性に関しても、液晶変調パネル2としてツイステッドネマティック液晶を用いている場合には、液晶変調パネル2に方位角が斜め45度方向から入射する光に対して偏光位相差変調を精度良くできないという特性を根本的に有しているため、略軸対称な方位角から照明を行う従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータの場合には、液晶の偏光変調が不充分となり、上記偏光ビームスプリッタ10の入射角依存特性の場合と同様に、黒がグレーの表示となり、照度コントラストが劣化してしまう。
【0119】
これに対し、本実施例の投射型画像表示装置では、実施例1,2の照明光学系1を用いることにより、図10(a)に示したような入射角度分布の光束が得られるため、偏光ビームスプリッタ10への入射においては、光線入射角が偏光分離面に対して45度からの偏差量が±3〜4度以内程度に収まるため、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータを用いた場合に生ずる、偏光分離が液晶変調パネルの画素の変調状態に対応しない偏光分離エラーによる照度コントラストの劣化がほとんど解消される。
【0120】
また、液晶変調パネル2に関しても、液晶の偏光変調が不充分となる方位角からの照明光束成分がほぼ皆無となるため、上記偏光ビームスプリッタ10の入射角依存特性の場合と同様に、照度コントラストの劣化がほとんど解消される。
【実施例4】
【0121】
図13には、本発明の実施例4である投射型画像表示装置の全光学系を示している。
【0122】
この図において、1は上記実施例1,2で説明した照明光学系を模式的に示したものである。なお、照明光学系1内の左側の図は、右側に示した照明光学系1を矢印D方向から見た図である。なお、本実施例では、偏光変換素子アレイ108,208を照明光学系1に含んでいる必要はない。
2Mはミラーアレイ光偏向変調パネル(以下、ミラー変調パネルという)である。3は光変調パネルドライバであり、不図示のパーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオ、DVDプレーヤ等の画像情報供給装置からの外部ビデオ入力信号をミラー変調パネル2Mを駆動する駆動信号に変換する。ミラー変調パネル2Mは入力された駆動信号に応じて各マイクロミラー画素を偏向駆動し、ミラー変調パネル2Mに入射した照明光束を偏向変調する。
【0123】
11は全反射チルトプリズムであり、照明光学系1からの照明光を全反射面を介して反射し、ミラー変調パネル2Mをその法線に対して斜めから照明する。このときミラー変調パネル2M内に配されているマイクロミラー画素は、ミラー変調パネル2Mの法線と照明光の光軸とを含む面内で偏向する。
【0124】
ミラー変調パネル2Mに入射した照明光は、ミラー変調パネル2Mの各マイクロミラー画素の変調状態に応じて反射方向が制御され、黒変調時には投射レンズ4の瞳領域以外に反射光を導くように偏向変調され、白変調時には投射レンズ4の瞳領域内に反射光を導くように偏向変調される。また、白変調時には、全反射チルトプリズム11の全反射面に対して入射角が垂直方向に偏向されているため、全反射面を通過し、エアーギャップを介して配置された光路長補正のプリズム12を通過して、そのまま投射レンズ4の入射瞳によって捕らえられる。
【0125】
ミラー変調パネル2Mの変調面と光拡散スクリーン5の拡散面とが投射レンズ4によって光学的に共役に関係付けられているため、変調光は光拡散スクリーン5に投射されて、ビデオ信号に対応した画像が光拡散スクリーン5に表示される。
【0126】
ここで、全反射チルトプリズム11の全反射面は、照明光束の収束角が小さいほど、ミラー変調パネル2Mに対して垂直に近い光束で照明することが可能となる。また、照明光束の収束角が小さいほど、ミラー変調パネル2Mのマイクロミラー画素の偏向角度を小さくして変調が可能となるため、デバイス的にも、光学系全体の配置制限や、大きさ的にもラチチュードが広く設計できる。このため、装置自体を低コストで製造することができる。
【0127】
したがって、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータを照明光学系に用いると、図11(a)に示したような入射角度分布の光束が照明収束角となるために上記のメリットが得られにくい。
【0128】
これに対し、実施例1,2の照明光学系1を用いることによって、図10(a)に示したような入射角度分布の光束が得られるため、上記メリットを得ることができる。
【実施例5】
【0129】
図14には、本発明の実施例5である投射型画像表示装置の全光学系を示している。
【0130】
この図において、1は上記実施例1,2で説明した照明光学系を模式的に示したものである。なお、照明光学系1内の左側の図は、右側に示した照明光学系1を矢印D方向から見た図である。
【0131】
2R,2G,2Bはそれぞれ、レッド用、グリーン用およびブルー用の透過型液晶変調パネル(以下、液晶変調パネルという)である。3は光変調パネルドライバであり、不図示のパーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオ、DVDプレーヤ等の画像情報供給装置からの外部ビデオ入力信号を液晶変調パネル2R,2G,2Bを駆動するための駆動信号に変換する。液晶変調パネル2R,2G,2Bは入力された駆動信号に応じた原画を液晶により形成し、液晶変調パネル2R,2G,2Bに入射した照明光束を変調する。
【0132】
20は照明光学系1からの図の紙面に垂直な方向に偏光した直線偏光としての照明光のうち、レッド色光成分を反射し、シアン色光成分を透過するレッド分離ダイクロイックミラーである。レッド分離ダイクロイックミラー20によって反射されたレッド色光成分は、ミラー22によってレッド用液晶変調パネル2Rに導かれる。
【0133】
一方、レッド分離ダイクロイックミラー20を透過したシアン色光成分のうちイエロー光成分であるグリーン色光成分は、イエロー分離ダイクロイックミラー21によって反射され、グリーン用液晶変調パネル2Gに導かれる。
【0134】
そして、イエロー分離ダイクロイックミラー21を透過したブルー色光成分は、2つのミラー23,24によってブルー用液晶変調パネル2Bに導かれる。なお、グリーン分離ダイクロイックミラー21を透過したブルー色光成分の光路には、光路長を延長するために、フーリエ変換レンズ25,26によるキャッツアイ光学系で瞳をブルー用液晶変調パネル2Bに転送するように構成されている。
【0135】
こうして各液晶変調パネル2R,2G,2Bは、対応する色光成分で照明される。
【0136】
各液晶変調パネル2R,2G,2Bに入射した各色照明光(図の紙面に垂直な方向に偏光した直線偏光)は、各液晶変調パネル2R,2G,2Bに配列された画素の変調状態に応じて偏光の位相差が付与される。
【0137】
各液晶変調パネル2R,2G,2Bから射出した変調光は、色合成プリズムとしてのクロスダイクロイックプリズム13の各色光成分の入射面に貼りつけられた検光子(図示せず)に入射する。ここでは、図の紙面に垂直な方向に偏光した変調光成分は検光子を透過し、紙面の水平方向に偏光した変調光成分は検光子に吸収されて熱として消失する。
【0138】
そして、各検光子を透過した各色変調光成分(図の紙面に対して垂直な方向に偏光した変調光成分)はクロスダイクロイックプリズム13に入射する。
【0139】
クロスダイクロイックプリズム13はS偏光に対して、レッド色光を反射し、グリーン色およびブルー色光を透過するレッド反射ダイクロイック膜とブルー色光を反射してグリーン色とレッド色光を透過するブルー反射ダイクロイック膜とをクロス状に配したものである。
【0140】
このクロスダイクロイックプリズム13を用いることによって、レッド色の画像光(変調光)はレッド反射用ダイクロイック膜で反射して投射レンズ4の方向に向かい、ブルー色の画像光はブルー反射用ダイクロイック膜で反射して投射レンズ4の方向に向かう。また、グリーン色の画像光は、両ダイクロイック膜を透過して投射レンズ4の方向に向かう。
【0141】
なお、液晶変調パネル2R,2G,2Bは、各パネルの所定の画素が相対的に精度良く光拡散スクリーン5上で重なるように調整又はメカ的若しくは電気的に補償されている。
【0142】
クロスダイクロイックプリズム13によって合成された各色光成分は、投射レンズ4の入射瞳によって捕らえられる。各液晶変調パネル2Gの変調面と光拡散スクリーン5の拡散面とは、投射レンズ4によって光学的に共役に関係付けられている。このため、クロスダイクロイックプリズム13によって合成された各色光成分は光拡散スクリーン5に転送され、これによりビデオ信号に対応する画像が光拡散スクリーン5に投射表示される。
【0143】
なお、色合成プリズムとしては、上述したクロスダイクロイックプリズム13以外に、3P(ピース)プリズムや4Pプリズムを用いてもかまわない。
【0144】
ここで、液晶変調パネル2R,2G,2Bを照明する側に用いられているダイクロイックミラー20,21や、変調光を色合成するクロスダイクロイックプリズム13内に配されているダイクロイック膜は、光線の入射角の、ダイクロイック膜に対して45度からの偏差量が増大していくと、分離波長が鈍角側では短波長側に、鋭角側では長波長側にシフトする特性を持っている。
【0145】
このため、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアーによるオプティカルインテグレータを照明光学系に用いると、図11(a)に示したような入射角度分布の光束がダイクロイック膜に入射するため、光線の入射角がダイクロイック膜に対して45度からずれるに従い、波長帯域が異なる光束が混在することとなる。この場合、ランプユニットが黒体輻射のようななだらかな放射エネルギー波長分布特性を有しているのであれば、ダイクロイック膜に入射する角度が45度を中心に対称となるため、平均カット波長は変化しないこととなるが、ガス励起発光を用いた電子励起放射のランプユニットを用いる場合は、放射エネルギー波長分布として輝線が主体となる波長スペクトル分布を有するため、平均カット波長は重心で変化することとなる。
【0146】
したがって、ダイクロイック膜による色合成が適切に行われず、投射画像の色再現性が不自然となる。
【0147】
また、透過型液晶変調素子である液晶変調パネル2R,2G,2Bの偏光変調特性に関しても、液晶変調素子としてツイステッドネマティック液晶を用いている場合には、透過型液晶の方位角が斜め45度方向から入射する光に対して、偏光位相差変調の精度を良くすることができない特性を根本的に有しているため、略軸対称な方位角から照明を行う従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータを用いる場合には、液晶の偏光変調が不充分となる。これにより、黒がグレーの表示となり、照度コントラストが劣化する。
【0148】
これに対して、上記実施例1,2の照明光学系1を用いることによって、図10(a)に示したような入射角度分布の光束が得られ、ダイクロイック膜への入射においては、光線入射角のダイクロイック膜に対して45度からの偏差量が±3〜4度以内程度に収まるため、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータを用いた場合に生ずる、ダイクロイック膜の平均カット波長が重心で変化することによる不適切な色合成がほとんど解消される。
【0149】
また、各液晶変調パネル2R,2G,2Bの偏光変調特性に関しても、液晶の偏光変調が不充分となる方位角からの照明光束成分がほぼ皆無となるため、照度コントラストの劣化がほとんど解消される。
【実施例6】
【0150】
図15には、本発明の実施例6である投射型画像表示装置の全光学系を示している。
【0151】
この図において、1は上記実施例1,2で説明した照明光学系を模式的に示したものである。なお、照明光学系1内の左側の図は、右側に示した照明光学系1を矢印D方向から見た図である。
【0152】
2R,2G,2Bはそれぞれ、レッド用、グリーン用およびブルー用の反射型液晶変調パネル(以下、液晶変調パネルという)である。3は光変調パネルドライバであり、不図示のパーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオ、DVDプレーヤ等の画像情報供給装置からの外部ビデオ入力信号を液晶変調パネル2R,2G,2Bを駆動するための駆動信号に変換する。液晶変調パネル2R,2G,2Bは入力された駆動信号に応じた原画を液晶により形成し、液晶変調パネル2R,2G,2Bに入射した照明光束を反射するとともに変調する。
【0153】
照明光学系1からの図の紙面に垂直な方向に偏光した直線偏光としての照明光は、マゼンタ色光成分を反射し、グリーン色光成分を透過するマゼンタ分離ダイクロイックミラー30によってまずマゼンタ色光成分が反射される。
【0154】
反射されたマゼンタ色光成分は、ブルー色光の偏光にπの位相差を与えるブルークロスカラー偏光子34に入射する。これにより、図の紙面に平行な方向に偏光した直線偏光であるブルー色光成分と、紙面に垂直な方向に偏光した直線偏光であるレッド色光成分とが生成される。
【0155】
これらブルー色光成分とレッド色光成分は、偏光ビームスプリッタ33に入射し、P偏光であるブルー色光成分は偏光分離膜を透過してブルー用液晶変調パネル2Bに導かれる。また、S偏光であるレッド色光成分は偏光分離膜で反射してレッド用液晶変調パネル2Rに導かれる。
【0156】
一方、マゼンタ分離ダイクロイックミラー30を透過したグリーン色光成分は、光路長を補正するためのダミーガラス36を通過して偏光ビームスプリッタ31に入射する。
【0157】
偏光ビームスプリッタ31に入射したS偏光であるグリーン色光成分は、偏光ビームスプリッタ31の偏光分離膜で反射して、グリーン用液晶変調パネル2Gに導かれる。
【0158】
こうして各液晶変調パネル2R,2G,2Bは、対応する色光成分で照明される。
【0159】
各液晶変調パネル2R,2G,2Bに入射した各色照明光(図の紙面に垂直な方向に偏光した直線偏光)は、各液晶変調パネル2R,2G,2Bに配列された画素の変調状態に応じて偏光の位相差が付与される。
【0160】
各液晶変調パネル2R,2G,2Bから射出した変調光のうち照明光と同じ方向の偏光成分は、照明光路とは逆の順番で光路を辿ってランプユニット側に戻り、照明光の偏光方向に対して直交する偏光方向を有する成分に関しては以下のようにして投射レンズ4に至る。
【0161】
すなわち、レッド用液晶変調パネル2Rによる変調光は、偏光方向が図の紙面に平行なP偏光となり、偏光ビームスプリッタ33の偏光分離膜を透過する。次に、レッド色の偏光にπの位相差を与えるレッドクロスカラー偏光子35を通過して、図の紙面に垂直な方向に偏光している直線偏光としてのレッド色光成分に変換される。
【0162】
そして、S偏光となったレッド色光成分は、偏光ビームスプリッタ32に入射し、偏光分離膜で反射して投射レンズ4に向かう。
【0163】
また、ブルー用液晶変調パネル2Bによる変調光は、偏光方向が図の紙面に垂直なS偏光となり、偏光ビームスプリッタ33の偏光分離膜で反射して、レッドクロスカラー偏光子35をこの偏光子35の作用を受けずに透過して、偏光ビームスプリッタ32に入射する。
【0164】
S偏光であるブルー色光成分は、偏光ビームスプリッタ32の偏光分離膜で反射して、投射レンズ4の方向に向かう。
【0165】
さらに、グリーン用液晶変調パネル2Gによる変調光は、偏光方向が図の紙面に平行なP偏光となり、偏光ビームスプリッタ31の偏光分離膜を透過して、光路長を補正するためのダミーガラス37を透過し、偏光ビームスプリッタ32に入射する。P偏光であるグリーン色光成分は、偏光ビームスプリッタ32の偏光分離膜を透過して、投射レンズ4の方向に向かう。
【0166】
なお、液晶変調パネル2R,2G,2Bは、各パネルの所定の画素が相対的に精度良く光拡散スクリーン5上で重なるように調整又はメカ的若しくは電気的に補償されている。
【0167】
偏光ビームスプリッタ32によって合成された各色光成分は、投射レンズ4の入射瞳によって捕らえられる。各液晶変調パネル2Gの変調面と光拡散スクリーン5の拡散面とは、投射レンズ4によって光学的に共役に関係付けられている。このため、偏光ビームスプリッタ32によって合成された各色光成分は、光拡散スクリーン5に転送され、これによりビデオ信号に対応する画像が光拡散スクリーン5に投射表示される。
【0168】
ここで、液晶変調パネル2R,2G,2Bを照明する光路に用いられているダイクロイックミラー30のダイクロイック膜は、光線の入射角のダイクロイック膜に対して45度からの偏差量が増大していくと、分離波長が鈍角側では短波長側に、鋭角側では長波長側にシフトする特性を持っている。
【0169】
このため、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアーによるオプティカルインテグレータを照明光学系に用いると、図11(a)に示したような入射角度分布の光束がダイクロイック膜に入射するため、光線入射角がダイクロイック膜に対して45度からずれるに従い、波長帯域が異なった光束が混在することとなる。
【0170】
ここで、光源であるランプユニットが黒体輻射のようななだらかな放射エネルギー波長分布特性を有しているのであれば、ダイクロイック膜に入射する角度が45度に対して対称となるため、平均カット波長は変化しない。しかし、本実施例のように、ガス励起発光を用いた電子励起放射のランプユニットにおいては、放射エネルギー波長分布は、輝線が主体となる波長スペクトル分布を有するため、平均カット波長は重心で変化することとなる。したがって、ダイクロイック膜による色分離が不適切となって、投射画像の色再現性が不自然となる不具合が生じてしまう。
【0171】
また、液晶変調パネル2R,2G,2Bを照明する光路や、色合成光路に用いられている偏光ビームスプリッタ31,32,33は、マックニール型の一般的な偏光ビームスプリッタであり、ブリュースター角を用いたS偏光とP偏光の偏光分離面を有するため、光線入射角の偏光分離面に対して45度からの偏差量が増大していくと、急激にS偏光とP偏光の分離精度が劣化する。
【0172】
実際に、S偏光とP偏光の分離精度が50対1程度に保てるのは、45度からの偏差量が±3度程度である。このため、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータを用いると、図11(a)に示したような入射角度分布の光束が偏光ビームスプリッタ31,32に入射し、また、液晶変調パネル2R,2G,2Bでそれぞれ反射偏光変調を受けてから偏光ビームスプリッタ31,32,33に入射するため、光線入射角の偏光分離面に対して45度からの偏差量が±3度以上になる光束のうちP偏光がある比率で反射し、S偏光がある比率で透過するという不具合が発生する。
【0173】
したがって、反射型液晶表示素子からなる各液晶変調パネル2R,2G,2Bに入射した照明光は、各液晶変調パネル2R,2G,2Bに配列された画素の変調状態に応じて偏光の位相差が付与されるが、各色で黒の表示をするために位相差を変化させない光を各液晶変調パネル2R,2G,2Bが変調しても、偏光ビームスプリッタ31〜33の偏光分離面に対して45度から3度以上傾いた光束においては、S偏光がある比率で透過し、かつP偏光がある比率で反射して、投射レンズ4を介して光拡散スクリーン5に転送されてしまい、黒がグレーとなって照度コントラストが劣化する。
【0174】
また、各液晶変調パネル2R,2G,2Bの偏光変調特性に関しても、液晶変調パネルとしてツイステッドネマティック液晶を用いている場合には、反射型液晶変調パネルの方位角が斜め45度方向から照明入射される光に対して、偏光位相差変調パネル2R,2G,2Bが精度良く変調できないという特性を根本的に有しているため、略軸対称な方位角から照明を行う従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータを用いる場合には、液晶の偏光変調が不充分となり、上記偏光ビームスプリッタ31〜33の入射角依存特性の場合と同様に、黒がグレーの表示となり、照度コントラストが劣化する。
【0175】
これらの不具合に対して、本実施例の照明光学系1を用いることによって、図10(a)に示したような入射角度分布の光束が得られるため、ダイクロイックミラー30への入射においては、光線入射角のダイクロイック膜に対して45度からの偏差量が±3〜4度以内程度に収まるため、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータを用いた場合に生ずる、ダイクロイック膜による色分離において、平均カット波長が重心で変化することによる不適切な色合成がなされ、投射画像の色再現性が不自然となることがほとんど解消される。
【0176】
また、偏光ビームスプリッタ31〜33への入射においては、光線入射角の偏光分離面に対して45度からの偏差量が±3〜4度以内程度に収まるため、従来の2次元フライアイレンズアレイのペアによるオプティカルインテグレータを用いた場合に生ずる、液晶変調パネルに配された画素の変調状態に応じない偏光波分離エラーによる照度コントラストの劣化がほとんど解消される。
【0177】
また、反射型液晶変調パネルの入射角に依存する偏光位相差変調の不具合に関しても、液晶の偏光変調が不充分となる方位角からの照明光束成分がほぼ皆無となるため、照度コントラストの劣化がほとんど解消される。
【0178】
また、上記各実施例の投射型画像表示装置においては、投射レンズ4に関しての利点も生ずる。すなわち、液晶変調パネルの長辺方向に偏光分離方向を設定したり、波長分離方向を設定したりすることで、投射レンズ4の投射画角が大きくなる方向に、図10(a)に示した横方向の照明角度分布が狭い方向を設定することが可能となるため、投射レンズ4のビネッテイングと呼ばれる開口喰が発生する方向に通過する光束の幅が狭くなる。つまり、投射レンズ4の瞳開口喰による光束のけられを軽減する効果があり、光拡散スクリーン5に投影した画像領域の端部における光量減少を防止して、均一な光強度分布の投射画像を得ることができる。
【0179】
なお、上記実施例4〜6では、反射型のスクリーンを用いて画像表示システムを構成したが、スクリーンは反射型であっても透過型であってもよい。特に、所定の拡散性を有するものを用いれば、スクリーン5を直視して画像を認識する投射型画像表示装置として機能するものである。
【0180】
さらに、以上説明した各実施例は、以下に示す各発明を実施した場合の例でもあり、下記の各発明は上記各実施例に様々な変更や改良が加えられて実施されるものである。
【0181】
〔発明1〕 概ねテレセントリックな照明光束で被照明面を照明する照明光学系であって、前記被照明面の法線方向に対する入射光線の偏差角によって変化する照明光の前記被照明面での強度分布において、前記被照明面における第1の軸方向におけるピーク値の半値となる角度幅(の最大値)が、前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向におけるピーク値の半値となる角度幅(の最大値)の2倍以上であることを特徴とする照明光学系。
【0182】
〔発明2〕 概ね平行光束として入射した照明光束を光学的に操作する照明光学系であって、前記照明光束の進行方向に略直交する断面上での第1の軸方向について、光束の分割および再合成操作を行うオプティカルインテグレータと、前記断面上での前記第1の軸方向に対して直交する第2の軸方向について、光強度分布の変換操作を行う光強度変換手段とを有することを特徴とする照明光学系。
【0183】
〔発明3〕 前記照明光束は、有限外形を有し、かつ略ガウシアンプロファイル強度分布を有することを特徴とする発明2に記載の照明光学系。
【0184】
〔発明4〕 前記照明光束の進行方向に略直交する断面の外形が略矩形である光束を生成し、この略矩形の領域において略均一な光強度分布を生成することを特徴とする発明2に記載の照明光学系。
【0185】
〔発明5〕 前記照明光束の進行方向に略直交する断面の外形が略矩形である光束を生成し、この略矩形の領域において前記光強度変換手段によって光強度分布に滑らかな変化を持たせることを特徴とする発明2に記載の照明光学系。
【0186】
〔発明6〕 前記光強度変換手段によって得られる光強度分布が、前記略矩形の領域の中心から離れるに従って光強度が高くなる分布を持つことを特徴とする発明5に記載の照明光学系。
【0187】
〔発明7〕 前記略矩形の領域の中心から離れるに従って光強度が高くなる分布が、この照明光学系から射出した光束を被投射面に投射する投射レンズの開口喰による光転送効率の減衰を補正する分布であることを特徴とする発明6に記載の照明光学系。
【0188】
〔発明8〕 前記オプティカルインテグレータによるインテグレート方向の光路中に、光束を所定の偏光方向を有する直線偏光に変換する偏光変換素子が設けられていることを特徴とする発明2に記載の照明光学系。
【0189】
〔発明9〕 前記光強度変換手段は、入射した光束の一部に対して中央と端部とを反転するシャッフリング操作を行うことを特徴とする発明2に記載の照明光学系。
【0190】
〔発明10〕 前記光強度変換手段は、入射した光束の所定の一次元方向に対して瞳にディストーション収差を付与するアフォーカル光学系であることを特徴とする発明2に記載の照明光学系。
【0191】
〔発明11〕 発明1に記載の照明光学系と、この照明光学系から射出した光束を、2次元配列された画素群により変調する空間光変調素子と、この空間光変調素子により変調された光束を被投射面に投射する投射レンズとを有することを特徴とする投射表示光学系。
【0192】
〔発明12〕 前記空間光変調素子がマイクロミラーアレイデバイス又は反射型液晶変調素子であることを特徴とする発明11に記載の投射表示光学系。
【0193】
〔発明13〕 前記空間光変調素子が反射型液晶変調素子であり、前記照明光学系から前記反射型液晶変調素子までの光路中に少なくとも1つの偏光分離手段が配置されており、この偏光分離手段による分離面内方向に対して垂直な方向が、前記被照明面における互いに直交する2軸方向のうち前記光強度分布のピーク値の半値となる角度幅が大きい方向に一致していることを特徴とする発明11に記載の投射表示光学系。
【0194】
〔発明14〕 前記空間光変調素子が反射型液晶変調素子であり、前記照明光学系から前記反射型液晶変調素子までの光路中に少なくとも1つ以上の波長選択性偏向素子が配置されており、この偏向素子による偏向面内方向に対して垂直な方向が、前記被照明面における互いに直交する2軸方向のうち前記光強度分布のピーク値の半値となる角度幅が大きい方向に一致していることを特徴とする発明11に記載の投射表示光学系。
【0195】
〔発明15〕 前記空間光変調素子が複数の透過型液晶変調素子であり、前記複数の透過型液晶変調素子から前記投射レンズまでの光路中に、前記各液晶変調素子によって変調された光束を合成する波長選択性又は偏光方向選択性の偏向素子が配置されており、この偏向素子による偏向面内方向に対して垂直な方向が、前記被照明面における互いに直交する2軸方向のうち前記光強度分布のピーク値の半値となる角度幅が大きい方向に一致していることを特徴とする発明11に記載の投射表示光学系。
【0196】
〔発明16〕 発明2から10のいずれか1項に記載の照明光学系と、この照明光学系から射出した光束を、2次元配列された画素群により変調する空間光変調素子と、この空間光変調素子により変調された光束を被投射面に投射する投射レンズとを有することを特徴とする投射表示光学系。
【0197】
〔発明17〕 前記空間光変調素子がマイクロミラーアレイデバイス又は反射型液晶変調素子であることを特徴とする発明16に記載の投射表示光学系。
【0198】
〔発明18〕 前記空間光変調素子が反射型液晶変調素子であり、前記照明光学系から前記反射型液晶変調素子までの光路中に少なくとも1つの偏光分離手段が配置されており、この偏光分離手段による分離面内方向に対して垂直な方向が、前記オプティカルインテグレータによる光束の分割および再合成操作を行う方向に一致していることを特徴とする発明16に記載の投射表示光学系。
【0199】
〔発明19〕 前記空間光変調素子が反射型液晶変調素子であり、前記照明光学系から前記反射型液晶変調素子までの光路中に少なくとも1つ以上の波長選択性偏向素子が配置されており、この偏向素子による偏向面内方向に対して垂直な方向が、前記オプティカルインテグレータによる光束の分割および再合成操作を行う方向に一致していることを特徴とする発明16に記載の投射表示光学系。
【0200】
〔発明20〕 前記空間光変調素子が複数の透過型液晶変調素子であり、前記複数の透過型液晶変調素子から前記投射レンズまでの光路中に、前記各液晶変調素子によって変調された光束を合成する波長選択性又は偏光方向選択性の偏向素子が配置されており、この偏向素子による偏向面内方向に対して垂直な方向が、前記オプティカルインテグレータによる光束の分割および再合成操作を行う方向に一致していることを特徴とする発明16に記載の投射表示光学系。
【0201】
〔発明21〕 発明11から20のいずれか1項に記載の投射表示光学系を備えたことを特徴とする投射型画像表示装置。
【0202】
〔発明22〕 発明21に記載の投射型画像表示装置と、前記被投射面を形成するスクリーンとを有し、前記スクリーンでの所定の指向性を有した拡散反射光又は拡散透過光によって投射画像を観察させることを特徴とする画像表示システム。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】本発明の実施例1である照明光学系の概略構成図。
【図2】本発明の実施例2である照明光学系の概略構成図。
【図3】上記実施例1,2の照明光学系に組み込まれるオプティカルインテグレータの機能を説明する概略図。
【図4】上記実施例1の照明光学系に組み込まれる光強度変換オプティクスの機能を説明する概略図。
【図5】上記実施例2の照明光学系に組み込まれる光強度変換オプティクスの機能を説明する概略図。
【図6】上記実施例1の照明光学系により略均一な光強度分布を生成する過程を説明する図。
【図7】上記実施例1の照明光学系により略均一な光強度分布を生成する過程を説明する図。
【図8】上記実施例2の照明光学系により略均一な光強度分布を生成する過程を説明する図。
【図9】上記実施例2の照明光学系により略均一な光強度分布を生成する過程を説明する図。
【図10】上記実施例1,2の照明光学系による光変調パネルへの光照射角度分布を示す図。
【図11】従来の2次元オプティカルインテグレータを用いた照明光学系による光変調パネルへの光照射角度分布を示す図。
【図12】本発明の実施例3である投射型画像表示装置の構成を示す概略図。
【図13】本発明の実施例4である投射型画像表示装置の構成を示す概略図。
【図14】本発明の実施例5である投射型画像表示装置の構成を示す概略図。
【図15】本発明の実施例6である投射型画像表示装置の構成を示す概略図。
【符号の説明】
【0204】
1 照明光学系
2,2R,2G,2B 液晶変調パネル
3 光変調パネルドライバ
4 投射レンズ
5 光拡散スクリーン
10 偏光ビームスプリッタ
11 全反射チルトプリズム
13 クロスダイクロイックプリズム
20,21 ダイクロイックミラー,
22,23,24 ミラー
25,26 フーリエ変換レンズ
27,28,29 検光子
30 ダイクロイックミラー
31〜33 偏光ビームスプリッタ
34 ブルークロスカラー偏光子
35 レッドクロスカラー偏光子
36,37 ダミーガラス
100,200 ガス励起発光源
101,201 パラボリック反射ミラー
102,202 紫外線カットフィルター
103 シャッフリングプリズム
104 反射ミラー
105,205,305,405 第1シリンドリカルレンズ
106,206,306 第1シリンドリカルアレイホモジナイザー
107,207,307 第2シリンドリカルアレイホモジナイザー
108,208 偏光変換素子アレイ
109,209,309 シリンドリカルコンデンサーレンズ
110,210,310,410 第2シリンドリカルレンズ
111 ダミー偏光ビームスプリッタ
112,212,312,412 光変調パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの照明光束で被照明面を照明する照明光学系であって、
前記光源と前記被照明面との間に配置された偏光分離面を備えており、
前記被照明面の法線方向に対する入射光線の偏差角によって変化する照明光の前記被照明面での強度分布において、前記照明光学系の光軸と前記偏光分離面の法線の両者に平行な断面を第1断面、前記照明光学系の光軸と平行で前記第1断面と垂直な断面を第2断面とするとき、前記第2断面におけるピーク値の半値となる角度幅が、前記第1断面におけるピーク値の半値となる角度幅よりも大きいことを特徴とする照明光学系。
【請求項2】
空間光変調素子と、
光源からの照明光束を用いて前記空間光変調素子を照明する、請求項1に記載の照明光学系と、
前記空間光変調素子により変調された光束を被投射面に投射する投射レンズとを有することを特徴とする投射表示光学系。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−152286(P2008−152286A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36743(P2008−36743)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【分割の表示】特願2003−34422(P2003−34422)の分割
【原出願日】平成15年2月12日(2003.2.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】