説明

照明制御システム

【課題】複数の照明器具の点灯時の電源側電力のピーク値を抑制することが可能な照明制御システムを提供する。
【解決手段】直流電力が給電されて点灯される複数の照明器具6a〜6nと、これら照明器具の光出力をそれぞれ制御する複数の制御端末器4a〜4nと、照明器具を操作する一方、その操作状態を監視する壁スイッチ5と、各制御端末器および壁スイッチに信号線3を介して双方向通信可能に構成され、複数の照明器具をほぼ同時に点灯させる負荷要求を受けたときに、これら複数の照明器具を所要の待機時間を置いて順次点灯させる制御信号を信号線を介して制御端末器に送信する分散点灯手段2aを有する中央制御装置2と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明器具の光源としては、例えば白熱電球や蛍光ランプ等のように交流電力(AC)が給電されて点灯されるものが知られている。
【0003】
そして、これらAC給電の蛍光ランプを光源として具備している複数の照明器具をほぼ同時に点灯させる制御信号を、中央制御装置から信号線を介して複数の制御端末器に送信することにより、これら複数の照明器具をほぼ同時に一斉に点灯させる照明制御システムも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の照明制御システムでは、複数の照明器具がほぼ同時に一斉に点灯されるので、AC電源側から各照明器具に供給される電流の瞬時値のピーク値が急上昇する。しかも、点灯時に各照明器具に突入する突入電流は通常点灯時よりも多いので、電源側から照明器具側に供給される電流のピーク値は非常に大きい。このために、電源側の電圧変動も大きくなる。このために、ブレーカーがトリップする虞もあるので、AC電源側の電源容量の増大やブレーカーの電流容量の増大を図る必要があり、コスト増を招くという課題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、複数の照明器具の点灯時の電源側電力のピーク値を抑制することが可能な照明制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の照明制御システムは、直流電力が給電されて点灯される複数の照明器具と、これら照明器具の光出力をそれぞれ制御する複数の制御端末器と、を有している。
【0007】
また、本実施形態は、制御端末器と信号線を介して双方向通信可能に構成され、複数の照明器具をほぼ同時に点灯させる負荷要求を受けたときに、これら複数の照明器具を所要の待機時間を置いて順次点灯させる制御信号を信号線を介して制御端末器に送信する中央制御装置と、を具備している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る照明制御システムの全体構成を示すシステム構成図。
【図2】図1で示す中央制御装置の構成を示すブロック図。
【図3】図1で示す中央制御装置の分散点灯手段の制御プログラムのフローチャート。
【図4】(A)は通常運転時、中央制御装置から複数の制御信号が信号線上に、順次、直列伝送される状態の一部を示すタイミングチャート、(B)は分散点灯時、中央制御装置から複数の制御信号が信号線上に、順次、直列伝送される状態の一部を示すタイミングチャート。
【図5】図4(A),(B)で示す制御信号のフォーマットの構成の一例を示す図。
【図6】図1で示す制御端末器の構成を示すブロック図。
【図7】分散点灯時、4個の負荷回路をそれぞれ有する照明器具を、複数の制御端末器によりそれぞれON制御する場合のタイミングを示す図。
【図8】(A)は分散点灯時の電流分布図、(B)は従来の同時一斉点灯時の電流分布図。
【図9】第2の実施形態に係る照明制御システムの分散点灯時、複数の制御端末器によるON制御されるタイミングを示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0010】
(第1の実施形態)
図1に示すように照明制御システム1は、中央制御装置2に、信号線3を介して複数の制御端末器4a,4b,…,4nと、監視端末器の一例としての壁スイッチ5を、双方向シリアル(直列)通信可能に接続している。各制御端末器4a〜4nには、照明器具6a,6b,…,6nをそれぞれ点,消灯や調光等による光出力制御可能に接続している。図1では各制御端末器4a〜4nに、複数、例えば4台(4回路)の照明器具6a1,6a2,6a3,6a4、6b1,6b,6b3,6b4、6n1,6n2,6n3,6n4をそれぞれを接続しており、これら照明器具6a〜6nには電源としてはDC(直流)電源線7がそれぞれ接続されている。DC電源線7は電源装置8の蓄電池の一例であるバッテリ8aに接続されている。電源装置8は所要電圧の商用交流電源のAC(交流)を所要電圧の直流(DC)に変換してバッテリ8aに充電するAC/DC変換装置8bを具備している。なお、バッテリ8aは直流電源であればよく、例えば、太陽電池等の自然エネルギを蓄電したものでもよい。また、電気自動車(EV)に搭載されているバッテリや他のバッテリに置換可能である。
【0011】
また、1台の各制御端末器4a〜4nに接続される照明器具6a1〜6a4,6b1〜6b4,…,6n1〜6n4は、1台(6a1,6b1,…,6n1のいずれか1台)でもよく、1台以上であればよく、4台に限定されない。
【0012】
さらに、各制御端末器4a〜4nは、照明器具6a〜6nにそれぞれ組み込まれて、照明器具6a〜6nに一体に構成されてもよい。
【0013】
照明器具6a〜6nの光源は例えば蛍光ランプや発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネセンス(EL)等いずれでもよく、これら光源を点灯させる点灯装置を具備している。例えば蛍光ランプは、インバータ点灯装置を具備しており、バッテリ8aから供給されるDCをインバータ点灯装置により所定電圧のACに変換して点灯される。
【0014】
壁スイッチ5は各制御端末器4a〜4n、すなわち照明器具6a〜6nの光出力を、1台毎に個別に制御するための個別制御用操作部(図示省略)と、複数台毎にグループ制御するグループ制御用操作部(図示省略)と、ランプの点,消灯等の動作状態を赤や緑のランプの点灯により表示する動作状態表示部を具備している。この制御用操作部の操作時には、所要フォーマットの操作信号が出力され、これら操作信号(スイッチ入力)は信号線3を介して中央制御装置2により読み込まれる。
【0015】
図2に示すように中央制御装置2は、電源部9a、主制御部9b、主ADメモリ9c、待機時間設定部9dおよび送受信部9eを具備している。
【0016】
電源部9aは、例えば100Vの商用交流電源ACを受電して所要電圧(例えば24V)の直流(DC)に整流する整流器を有し、このDCを主制御部9b、送受信部9eおよび信号線3に給電する。
【0017】
主制御部9bは、例えばマイクロプロセッサ等からなり、分散点灯手段2aを具備している。分散点灯手段2aは、複数の照明器具6a〜6nをほぼ同時に一斉点灯させる負荷要求を受けたときに、これら複数の照明器具6a〜6nを同時に点灯させずに待機時間を置いて順次点灯させる。このような一斉点灯の負荷要求は、壁スイッチ5の図示省略の一斉点灯のボタンがON操作されたときや、図示省略のスケジューラからの負荷要求等がある。スケジューラは、予め所定の時刻で複数の照明器具6a〜6nをほぼ同時に一斉点灯させるスケジュールを記録してあり、その一斉点灯の所定の時刻が到来したときに、この負荷要求が点灯分散手段2aに与えられる。主ADメモリ9cは各制御端末器4a〜4nのアドレスをそれぞれ示す個別アドレスと、これら各制御端末器4a〜4nをグループ化したときのグループを示すグループアドレスを記憶している。
【0018】
待機時間設定部9dは、複数の制御端末器4a〜4nにより、複数の照明器具6a〜6nをほぼ同時に点灯させる一斉点灯の負荷要求があったときに、これら複数の制御端末器4a〜4nを同時に駆動させずに、予め設定した所定順に順次点灯させるために、その点灯を待機させる待機時間をそれぞれ設定する。すなわち、待機時間は、制御端末器4a〜4nが中央制御装置2からの制御信号Csを受信してから制御を実行するまで待機する時間であり、制御端末器4a〜4nの駆動(点灯)順番と関連付けて待機時間設定部9dに設定される。例えば待機時間がゼロの場合は、最初に点灯され、待機時間が2番目に短い場合は2番目に点灯され、以下、最長の場合は最後に点灯される。これにより、負荷要求が一斉点灯の場合の制御端末器4a〜4nの点灯制御順序が最初から最後まで順次設定される。
【0019】
主制御部9bは、壁スイッチ5からの操作信号を送受信部9eにより受信すると、この操作信号により操作されたスイッチ入力を解読し、この操作信号に対応した制御信号を生成し、この制御信号を送受信部9eにより信号線3上にシリアル(直列)伝送で伝送させる。
【0020】
図3は、分散点灯手段2aにより、中央制御装置2から各制御端末器4a〜4nに送受信部9eと信号線3を介して制御信号を直列伝送する場合の制御プログラムのフローチャートを示す。なお、このフローチャート中、Sに数字を付した記号はフローチャートの各ステップを示す。
【0021】
図3に示すように分散点灯手段2aは、まずS1で、中央制御装置2から信号線3上に伝送すべき制御信号があるか否かを判断する。すなわち、壁スイッチ5から複数の照明器具6a〜6nをほぼ同時に点灯させるように設定された点灯ボタン(図示省略)のオン操作信号、または、そのオン操作等を監視する監視信号等を送受信部9eにより受信したときや、スケジューラから複数の照明器具6a〜6nをほぼ同時に一斉点灯させる負荷要求を受けたとき等により、中央制御装置2から壁スイッチ5や制御端末器4a〜4n等の各種端末器に送信すべき制御信号があるか否かを繰返し判断する。
【0022】
S1でYesの場合、すなわち制御信号がある場合は、次のS2で、S1の制御信号よりも前に中央制御装置2から送信した制御信号が所要の制御端末器4a〜4nのいずれかのアドレス(例えば♯1)宛に送信した制御信号(制御端末用制御信号)であるか否かを判断する。S2でYesの場合、次のS3で、今回の制御信号が制御端末用制御信号か否か判断し、Noの場合は、S10へ進む。
【0023】
一方、S3でYesの場合は、制御端末器4a〜4nのいずれか宛てに送信された制御信号(制御端末用制御信号)が2回続いたことになるので、S4で、図4(B)で示すように前回の制御端末用制御信号(例えばアドレス♯1)よりも所要の待機時間W1を置くと共に、この第2回目のアドレス(例えばアドレス♯2)の制御端末器4a〜4nの1回路分の照明器具、例えば6a1,6b1,6n1のいずれか1台をON(点灯)させる第2回目(例えばアドレス♯2)の制御端末用制御信号を送受信部9eから信号線3へ送信する。
【0024】
次のS5では、同じアドレス(例えば♯2)の照明器具6bの4回路分(例えば6b1〜6bn)の制御端末用制御信号の送信を完了したか否か判断し、Noの場合は、再びS3に戻るループ制御を行い、4回路分の制御用端末制御信号の送信を完了したときは、再びスタートへ戻り、S1以下のステップを繰り返す。
【0025】
上記4回路分の制御信号は、図5で示す各制御信号Csのフォーマットの制御データフレームにおいて、4回路分の照明器具6a1〜6a4,6b1〜6b4,6n1〜6n4が順次点灯するように記録される。制御信号Csの1周期は20μsである。
【0026】
そして、上記図3のS2で、Noの場合、すなわち、前回に送信された制御用信号が制御端末用制御信号でない場合に、S6で、今回の制御信号が制御端末用制御信号であるか否か判断する。
【0027】
このS6で、Yesの場合は、前回と今回の2度、制御端末用制御信号の送信が続く場合がないので、次のS7で、待機時間W1を置かずに、1回路分の照明器具、例えば6a1,6b1,6n1のいずれか1台をON(点灯)させる第2回目の制御用端末制御信号を前回と同様に送信させる。
【0028】
この後、S8で、S5と同様、同じアドレスの照明器具6a〜6nの4回路分の制御端末用制御信号の送信が完了したか否か判断し、Noの場合は、S9へ戻るループ制御を行い、4回路分の制御信号の送信を完了させる。一方S8でYesの場合は、再びスタートへ戻り、S1以下のステップを繰り返す。
【0029】
そして、上記S3またはS6で、Noの場合は、今回まで制御端末用制御信号を送信していないので、すなわち、制御端末用制御信号が続いていないので、次のS10で、待機時間W1を置かずに、制御信号を信号線3上に送信し、その後、再びスタートへ戻り、S1以下を繰り返す。この制御信号は、動作しても大幅な突入電流の増加がない。例えば、監視端末の操作状態を表示する制御信号である。
【0030】
このように、分散点灯手段2aは、複数の照明器具6a〜6nを点灯させる制御信号を、制御端末用制御信号として時間的に連続して送信する場合は、時系列で隣り合う制御端末用制御信号間同士の間に待機時間W1〜Wnを置くので、これら複数の照明器具6a〜6nがほぼ同時刻で一斉に点灯せずに、待機時間W1〜Wnをそれぞれ置いて順次点灯し、分散点灯される。
【0031】
そして、図6に示すように各制御端末器4a〜4nは送受信部10a、端末制御部10b、ADメモリ10cおよび制御操作部10dを具備している。
【0032】
送受信部10aは、中央制御装置2の送受信部9eから信号線3上に送信された制御信号Csを受信し、端末制御部10bに与える受信機能と、送信機能を有する。この送信機能は制御信号Csのタイムスロットである信号返送期間よりなる応答データに、制御端末器4a〜4nの制御実行後の応答データを記録して中央制御装置2に返送させる機能である。
【0033】
端末制御部10bは、例えばマイクロプロセッサから構成され、ADメモリ10cを具備している。ADメモリ10cは各制御端末器4a〜4nにそれぞれ個別に与えられた個別アドレスと、これら制御端末器4a〜4nを所要数のグループにグループ化したときのグループアドレスとを記憶している。
【0034】
制御操作部10eは、例えばラッチングリレー等からなり、このラッチングリレーを制御信号Csの制御データに従って通電することにより、照明器具6a〜6nの点灯装置(図示しない)への給電を制御し、この照明器具6a〜6nを点灯または消灯する。ラッチングリレーは駆動時と復帰時に通電され、保持電流を通電せずに、その駆動状態と復帰状態を保持できる。
【0035】
そして、ラッチングリレーは、1台の制御端末器4a〜4n毎に複数個、例えば4個有し、これら4個のラッチングリレーにそれぞれ接続された、例えば4台の照明器具6a1〜6a4,6b1〜6b4,6n1〜6n4をそれぞれON(点灯)、OFF(消灯)制御する回路を例えば4回路有する。
【0036】
端末制御部10bは、制御信号Csを受けると、この制御信号Csのアドレスデータから個別アドレスまたはグループアドレスを読み出す一方、ADメモリ10cから自己の個別アドレスまたはグループアドレスを読み出し、制御信号Csの個別アドレスまたはグループアドレスと、自己の個別アドレスまたはグループアドレスと一致するか否か判断し、制御信号Csに含まれるアドレスと自己に記憶されたアドレスとが一致すると判断したときは、制御信号Csの制御データを実行するために制御操作部10eを駆動する。これにより、照明器具6a〜6nの点灯装置が制御されて点灯や消灯が行なわれ、光出力が制御される。
【0037】
そして、複数の制御端末器4a〜4nの各端末制御部10bにより受け取られる複数の端末制御用制御信号は、所定の待機時間W1〜Wnをそれぞれ置いているので、図7に示すように複数の制御端末器4a〜4nによりそれぞれ点灯される複数の照明器具6a〜6nは同時に点灯せずに、待機時間W1〜Wnを置いて順次点灯される。
【0038】
しかも、同じアドレスの複数の照明器具6a1〜6a4,6b1〜6b4,6n1〜6n4の4回路分も所要の待機時間を置いて順次点灯される。
【0039】
次に、この照明制御システム1の作用を説明する。
【0040】
図1で示す壁スイッチ5により複数の照明器具6a〜6nを同時に点灯させるための操作(例えば一斉点灯ボタンのON操作)が行なわれると、壁スイッチ5の各操作部に対応して予め設定されている複数のアドレスとともに、制御内容(例えば、点灯)を含んだ所定フォーマットの伝送信号が信号線3を介して中央制御装置2へ送信される。
【0041】
中央制御装置2は、その主ADメモリ9cに、壁スイッチ5のアドレスと照明器具6a〜6nの個別アドレスまたはグループアドレスとが対応して設定記憶させており、壁スイッチ5から伝送信号を受信すると、壁スイッチ5のアドレスに対応する照明器具6a〜6nを制御するための制御信号Csを送信する。このとき、壁スイッチ5のアドレスに対して照明器具6a〜6nの個別アドレスが設定されている場合には、壁スイッチ5の操作は照明器具を個別制御する。一方、壁スイッチ5のアドレスに対してグループアドレスが設定されている場合には壁スイッチ5の操作は照明器具をグループ制御する。
【0042】
壁スイッチ5の操作が複数の照明器具6a〜6nをほぼ同時に一斉点灯させる操作である場合には、中央制御装置2は図4(B)に示すように待機時間W1〜Wnを置いて、複数の制御信号Cs(制御端末用制御信号)を各制御端末器4a〜4nに信号線3を介して直列に送信する。各制御端末器4a〜4nは、各送受信部10aにより制御信号Csを待機時間Wを置いて、それぞれ受信し、制御信号Csの個別アドレスと自己の個別アドレスとが一致するか否か判断し、一致しない場合はこれで終了する。一方、個別アドレスが一致すると判断した場合には、制御データCDを実行する。これにより、制御操作部10dのラッチングリレーが各々の待機時間W1〜Wnを置いてONするので、複数の照明器具6a〜6nが図7に示すように待機時間を置いて順次点灯される。
【0043】
これにより、複数の照明器具6a〜6nのほぼ同時の一斉点灯を回避することができる。しかも、同じアドレスの複数の照明器具6a1〜6a4,6b1〜6b4,6n1〜6n4同士も待機時間を置いて順次点灯されるので、図8(A)に示すように1つのアドレス内の複数(例えば4回路)の照明器具6a1〜6a4,6b1〜6b4,6n1〜6n4の点灯時の電流を時間的に分散させることができる。
【0044】
このために、図8(B)に示すように複数の照明器具6a〜6nをほぼ同時に一斉点灯したときに電流が集中する瞬時値を低減し、分散させることができる。
【0045】
これにより、瞬時放電に弱く瞬時放電を繰り返すと劣化し易い蓄電池であるバッテリ8aの劣化を抑制し、電池寿命を延ばすことができる。
【0046】
また、待機時間W1〜Wnを1台の中央制御装置2側で設定し、その設定信号を信号線3を介して一斉に複数台の制御端末器4a〜4n側に送信するので、待機時間W1〜Wnの設定と更新作業の効率性を向上できる。
【0047】
そして、壁スイッチ5は、複数の照明器具6a〜6nの一斉点灯、または少なくともいずれかを点,消灯(ON/OFF)等の操作が行われたときに、その操作状態を緑や赤ランプの点灯により表示し、その監視状態を表示するが、これらランプの点灯は待機時間W1〜Wnを置かずに、ON(点灯)操作後、直ちに表示する。このために、複数の照明器具6a〜6nの順次点灯よりも逸早く、その操作状態が表示される見かけ上の速さを高めることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、分散点灯手段を第1の実施形態のように中央制御装置2側に設けず、各制御端末器4a〜4n側にそれぞれ設けた点に特徴がある。
【0049】
すなわち、中央制御装置2は、上記分散点灯手段を具備しておらず、壁スイッチ5やスケジューラ等から、複数の照明器具6a〜6nをほぼ同時に一斉点灯させる負荷要求があったときに、この一斉点灯信号を単に制御信号Csとして複数の制御端末器4a〜4nに信号線3上に直列に伝送する。
【0050】
図9に示すように各制御端末器4a〜4nは、中央制御装置2からの一斉点灯信号を受信したときに、その受信時から照明器具6a〜6nをそれぞれ点灯させるまでの待機時間W1,W2,…,Wnをそれぞれ異なるように設定しており、一斉点灯の制御信号Csにより指定されたアドレスと自己(制御端末器4a〜4n)のアドレスが一致しているときに、この制御信号Csの各々の受信時から各々の待機時間W1〜Wnを置いて順次点灯される。すなわち、複数の照明器具6a〜6nは待機時間W1〜Wnの短い順に順次点灯し、一斉点灯を回避することができる。このために、上記第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0051】
また、中央制御装置2は、第1の実施形態のように待機時間W1〜Wnをそれぞれ設定した制御信号Csを信号線3上に直列伝送する必要がなく、壁スイッチ5やスケジューラから複数の照明器具6a〜6nをほぼ同時に点灯させる一斉点灯の負荷要求を受けたときに、単に一斉点灯の制御信号Csを信号線3上に伝送するだけでよいので、信号線3上の通信量の減少を図ることができる。このために、信号線3上での制御信号Csの伝送速度の向上を図ることができるうえに、信号線3の信号伝送の空き時間の増大を図ることができる。
【0052】
以上、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…照明制御システム、2…中央制御装置、4a,4b,…,4n…制御端末器、5…壁スイッチ(監視端末器)、6a,6b,…,6n…照明器具、8a…バッテリ(蓄電池)、9…DC電源線、9b…主制御部、9d…待機時間設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力が給電されて点灯される複数の照明器具と;
これら照明器具の光出力をそれぞれ制御する複数の制御端末器と;
制御端末器と信号線を介して双方向通信可能に構成され、複数の照明器具をほぼ同時に点灯させる負荷要求を受けたときに、これら複数の照明器具を所要の待機時間を置いて順次点灯させる制御信号を信号線を介して制御端末器に送信する中央制御装置と;
を具備していることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
直流電力が給電されて点灯される複数の照明器具と;
これら照明器具の光出力をそれぞれ制御する複数の制御端末器と;
制御端末器と信号線を介して双方向通信可能に構成され、複数の照明器具をほぼ同時に点灯させる負荷要求を受けたときに、これら複数の照明器具を点灯させる制御信号を信号線を介して制御端末器に送信する中央制御装置と、を具備し;
制御端末器は、中央制御装置から点灯制御信号を受信したときに、各制御端末器毎にそれぞれ異なるように予め設定されている待機時間を置いて照明器具をそれぞれ点灯させる分散点灯手段を備えていることを特徴とする照明制御システム。
【請求項3】
照明器具を操作する一方、その操作状態を監視する監視端末器を有し;
中央制御装置は、監視端末器の操作状態を表示する制御信号を送信する場合は、待機時間を置かずに、送信するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の照明制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−4379(P2013−4379A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135703(P2011−135703)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】