照明制御システム
【課題】人が単に通過するにすぎないとき、人か進入したことや通り抜けたことを判断して無駄なエネルギー消費を抑えてエネルギー負荷を適切に減少して省エネルギーに資すること。
【解決手段】室内を分割した単位区画を照明領域とする照明装置と、単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、各照明装置の調光出力をそれぞれ制御するコントローラと、から構成される照明制御システムにおいて、コントローラは、高精度人体検知センサから人が滞在する旨の信号を受信した照明領域の照明装置の調光出力を、所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行うこととした。
【解決手段】室内を分割した単位区画を照明領域とする照明装置と、単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、各照明装置の調光出力をそれぞれ制御するコントローラと、から構成される照明制御システムにおいて、コントローラは、高精度人体検知センサから人が滞在する旨の信号を受信した照明領域の照明装置の調光出力を、所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行うこととした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス、病院、博物館等の大きな空間において、人の滞在/不在/進入/退去を検知する人体検知センサの出力に基づいて調光出力を適正に制御する照明制御システム、特に人の移動時における最適な照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、従来の焦電型人検知センサのように、人が一定時間静止すると不在判定となる誤動作の発生を防止するとともに、人の退去後は直ちに照明、空調等の運転を適正制御して、エネルギー負荷を適切に減少して省エネルギーに資することができる、パーソナル空間に適した安価なエネルギー負荷制御システムを提案した(特許文献1)。
【0003】
このエネルギー負荷制御システムは、
室内をパーソナル空間として分割した単位区画をエネルギー負荷対象領域とする機器類と、前記機器類のエネルギー負荷を制御するコントローラと、前記単位区画に略対応してその検知範囲とされた、前記単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、から構成されるエネルギー負荷制御システムにおいて、
前記高精度人体検知センサは、前記エネルギー負荷対象領域を所要の精度で検知し得る3個以上の複数個の素子を備えた多素子型サーモパイルアレイと、前記複数個の素子のそれぞれに集光する集光部が形成された単位赤外線集光体を、前記エネルギー負荷対象領域をほぼもれなく検知可能とするために複数個一体的に備えた集合赤外線集光体と、からなる赤外線検出部、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部、及び、前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部から構成し、
前記コントローラは、前記高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段、前記高精度人体検知センサからの信号を演算処理して前記機器類のエネルギー負荷を制御する演算処理手段から構成して、
前記高精度人体検知センサから人が滞在する旨の信号を受信したエネルギー負荷対象領域の機器類の出力を増大し、人が滞在しない旨の信号を受信したエネルギー負荷対象領域の機器類の出力を減少する制御を行うようにしたものである。
【0004】
以下、先の発明の高精度人体検知センサの機能について簡単に説明する。
≪高精度人体検知センサの機能≫
この高精度人体検知センサは、図4に示すように、進入状態と退去状態を検知するのみならず、静止した滞在状態をも検知し続けることができるものである。
この結果、検知エリア内で人が長い間全く動かないで完全に静止状態を続けていても、滞在していると判断することができる。
そしてこの高精度人体検知センサは、人体の不在/滞在/進入/退去状態及び人体動作検知状態を判別し、静止人体の長時間にわたる検出および完全静止人体の検出ができるものである。
【0005】
この高精度人体検知センサは、遠赤外線量により人の存在を検出するため、図3に示すように、人の在/不在情報および人の状態(進入/滞在/退去/不在)を高精度かつ速やかに判断する。
【0006】
ここで、上記した各状態の意味するところについて説明する。
不在状態とは、検知エリア内に人体が存在しない状態を意味し、退去状態より移行し、進入状態に移行する。
進入状態とは、不在状態から検知エリア内に人体が進入した状態を意味し、不在状態より移行し、滞在状態または不在状態に移行する。
滞在状態とは、検知エリア内に人体が滞在し、静止または大きな動きのない状態を意味し、進入状態/退去状態/人体動作検知状態より移行し、人体動作検知状態へ移行する。
人体動作検知状態とは、上記滞在状態にあり、かつ、人体が動いている状態を意味し、滞在状態より移行し、退去状態または滞在状態へ移行する。
退去状態とは、滞在状態にあった人体が検知エリアから退去した状態を意味し、人体動作検知状態から移行し、滞在状態または不在状態へ移行する。
【0007】
このときのセンサの出力情報は、図3に示されるように、アルゴリズムにおける状態のうち、不在状態時では不在信号が出力され、それ以外の進入状態/滞在状態/人体動作検知状態/退去状態では、滞在信号が出力される。
【0008】
この高精度人体検知センサは、以上の状態遷移をして上記滞在/不在信号出力をするものであるが、このセンサを用いて照明制御した場合、該当する調光制御エリアに人が進入したとき、図4に示されるように、高精度人体検知センサの出力と連動する照明の調光出力値が瞬間的にアップすることとされている。
照明装置をこのように制御すると、人が当該調光制御エリア内を単に通過するにすぎない通り抜け時においては、不必要に照明する照明過多となってエネルギーを無駄に消費することとなり省エネルギー上問題がある。
【0009】
のみならず、人が通り抜けた調光制御エリアに隣接する調光制御エリアにおいて執務や作業をする者は、人が該当するエリアに進入した時点で照明装置が急激に明るくなり、また人が当該エリアから退去した時点で急激に照度が落とされることとなり、執務者等に不快感を与え、結果として業務に対する集中力を阻害し業務の円滑な遂行に支障をきたす恐れがある。
【0010】
そこで、人が調光制御エリアに進入した時点で照明装置が急激に明るくなることを防止する技術として、人体から放射される熱線を検知する人体検知センサと、発光ダイオードからなる光源と、前記人体検知センサにより人体が検知されたとき、前記光源を通常より明るさの低い低点灯状態を経て通常点灯状態となるよう点灯制御する制御手段を備えた熱線センサ付ライト(特許文献2)や、発光ダイオード等からなる光源と、検知エリアで人を検知する人検知センサと、上記人検知センサにより人を検知すると、上記光源の点灯出力を徐々に上げ、上記光源の照射エリア内に人が存在している間で通常の点灯状態となるべく制御する制御部とを備えた照明装置(特許文献3)が知られている。
【0011】
しかし、これら従来技術はいずれも、単独のライトまたは照明装置に関する発明であり、急な増光による進入者の眩しさを低減すことを目標とするものであって、室内を分割した区画を照明領域とする照明装置と、前記区画を検知範囲として区画毎に配設された高精度人体検知センサと、前記各照明装置の調光出力をそれぞれ制御するコントローラとから構成される照明制御システムに関する発明ではない。
【0012】
従来技術の上記した限定的な目的のため、これらの単独のライト乃至は照明装置は、一旦人の存在を検知すると最終的な明るさまで照度を上げるものであって、人が単に通過するのみで所定の照度に達するまで徐々にこれをアップし、人が退去しても増光過程で照度を下げる制御に転ずることができないので、無駄なエネルギー消費を抑えることができず、省エネルギーを実現する上で問題となる。
【0013】
他方、実際のオフィスにおける執務者の作業状況からすると、照度変動を知覚しない範囲で人工照明の制御を行うことで、変動による不快感の発生を防ぐことができるという知見に基づき、変動時間を設けて連続的に照度を変動させる場合は、明るさの変動比を0.8〜1.3の範囲とすれば執務者はほとんど明るさの変化を知覚することができないという研究成果が公表されている(非特許文献1)。
【0014】
しかしながら、この照明制御は照度の増加率が一定に保たれているので、進入した人がその場に滞在・着座して執務し始めたとき、執務に適した適正照度に到達するまでにかなりの時間を要し、不安感を与えるばかりでなく円滑な業務の推進に好ましくない影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−257611号公報
【特許文献2】特開2001−210478号公報
【特許文献3】特開2010−040266号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】照明学会誌 第85巻 第5号 オフィス照明環境における明るさの変動知覚に関する研究
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上述した種々の課題を解決するために創作されたもので、人が単に通過するにすぎないとき、人が進入したことを判断して緩やかに増光制御するとともに、人が通り抜けたことを判断して緩やかに減光制御して無駄なエネルギー消費を抑えて省エネルギーを実現可能とし、また、執務中の者が照度変動を知覚しない範囲で人工照明の増光・減光制御を行うことで、照度変動による不快感の発生を防ぐことができ、進入した人がその場に滞在・着座して執務し始めたとき、短時間に執務に適した適正照度まで増光して適正に照明制御して、エネルギー負荷を適切に減少して省エネルギーに資することができる、照明制御システムを安価に提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に係る発明は、室内を分割した単位区画を照明領域とする照明装置と、前記単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、前記各照明装置の調光出力をそれぞれ制御するコントローラと、から構成される照明制御システムにおいて、前記高精度人体検知センサは、前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、から構成され、前記コントローラは、前記高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、前記高精度人体検知センサからの信号を演算処理して前記照明装置の調光出力を制御する演算処理手段と、から構成され、前記高精度人体検知センサから人が滞在する旨の信号を受信した照明領域の照明装置の調光出力を、所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行うようにした。
【0019】
請求項2に係る発明は、所定の区画を照明領域とする一群の照明装置と、前記区画をさらに分割した単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御するコントローラと、から構成される照明制御システムにおいて、前記高精度人体検知センサは、前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、から構成され、前記コントローラは、1つの照明制御エリア内の複数の高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、1つの照明制御エリア内のいずれかの高精度人体検知センサから入力された信号が人の存在を示す存在時間を累計して計測するタイマと、高精度人体検知センサから入力された信号を演算処理して一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、から構成され、人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサがあるセンサから該センサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動したとき、前記タイマは、前記他のセンサの人の存在時間を前記あるセンサの人の存在時間を加算して計測して、人が存在することを示す信号を受信した照明領域の一群の照明装置の調光出力を、前記タイマの計測時間が所定時間に達するかまたは調光出力値が所定値に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記所定時間または前記所定値に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行うことを特徴としている。
【0020】
請求項3に係る発明は、所定の区画を照明領域とする一群の照明装置と、前記区画をさらに分割した単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御するコントローラと、から構成される照明制御システムにおいて、前記高精度人体検知センサは、前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、から構成され、前記コントローラは、前記複数の高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、人が存在することを示す信号を送信する高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他の検知領域のセンサに移動したとき、あるセンサの最後の調光出力値を書き換え保存する共有出力値記憶手段と、前記高精度人体検知センサから入力された信号を演算処理して前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、から構成され、人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動した場合、他のセンサに基づく調光出力値と前記共有出力値記憶手段に保存されている共有出力値とを比較し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より大きいとき、共有出力値を出力し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より小さいとき、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、照明装置の調光出力を、所定時間に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、所定時間に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する照明制御を行うこととしたから、無駄な電力エネルギーの消費を節減し、在席中の執務者に不快感を与えることなく、進入した者が着座したときは執務に適した適正照度まで速やかに増光することができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、所定の区画を照明領域とする一群の照明装置の調光出力を、前記区画をさらに分割した単位区画毎に配設された複数の高精度人体検知センサの個々の検出出力に基づいて一括して調光制御する1つのコントローラを備えたので、コントローラの設置台数を削減した上で広い区画を一括して正確に照明制御することができる。
また、1つの照明制御エリア内のいずれかの高精度人体検知センサから入力された信号が人の存在を示す存在時間を累計して計測するタイマをコントローラのみに内蔵し、ソフトウェアを重複して走らせる必要をなくしたので、ハードウェア資源を効率的に駆使することができる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、コントローラは、人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動した場合、他のセンサに基づく調光出力値と前記共有出力値記憶手段に保存されている共有出力値とを比較し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より大きいとき、共有出力値を出力し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より小さいとき、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大するから、図12〜14に示された円滑な照明制御を着実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施例1の照明制御システムの構成図である。
【図2】図2は、高精度人体検知センサの機能ブロック図である。
【図3】図3は、高精度人体検知センサ出力の状態遷移を示す図である。
【図4】図4は、人の移動時における高精度人体検知センサの検知状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1の通り抜け時における照明制御例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例1の滞在時における照明制御例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1の照明制御手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施例2の照明制御システムの構成図である。
【図9】図9は、本発明の実施例2の通り抜け時における照明制御例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2の滞在時における照明制御例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施例2の照明制御手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施例3の通り抜け時における照明制御例を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施例3の滞在例1における照明制御例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施例3の滞在例2における照明制御例を示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施例3のセンサ出力制御手順を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の実施例3の照明制御手順を示すフローチャートである。
【実施例1】
【0025】
1または複数の照明装置は、室内を細かく分割した単位区画を照明領域〈以下「照明エリア」という。〉としていて、高精度人体検知センサは破線で示される上記単位区画を検知領域〈以下「検知エリア」という。〉として単位区画毎に配設されている。
また、コントローラは、上記した単位区画を照明エリアとする各照明装置の調光出力をそれぞれ制御〈以下実線で示すその範囲を「調光制御エリア」という。〉するものである。
要するに、検知エリアと照明エリアと調光制御エリアとは同一の領域であり、コントローラは、調光制御エリア毎に設けられてそれぞれの調光制御エリアを独立して制御するものである。
本実施例の照明制御システムの構成は、図1に示されるように、照明装置と高精度人体検知センサとコントローラとから構成されている。
【0026】
この高精度人体検知センサは本発明者らが開発したものであり、その詳細は特開2010−256045号公報に記載されているが、その概要は図2に示されているように、検知エリアを所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して検知エリア内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、コントローラとの情報の送受信を行う入出力部とから構成されている。
ここで、人が通り抜けている際は増光/減光制御の傾きを緩やかに行い、当該エリア内に滞在した場合は、増光/減光制御の傾きを急激にして、速やかに適正照度に点灯させる制御を行う。
そのため、高精度人体検知センサの状態判定(進入/滞在/退去/不在)をもとにこの制御を行う場合、高精度人体検知センサ(以下「人検知センサ」という。)の状態判定が進入状態であった場合は増光/減光制御の傾きを緩やかに行い、状態判定が滞在状態となった場合は増光/減光制御の傾きを急激にして、速やかに適正照度に点灯させることができる。
【0027】
しかしながら、エリア内進入後に軽作業を続けて動き続けた場合は、人検知センサが静止状態・安定状態(動きのない状態,検出値の変動がない状態)を検出できないため、アルゴリズム上の状態は進入状態が継続することになる。
そのため、このような場合にアルゴリズム上の状態にしたがって通り抜け制御を行うと、進入状態(=通り抜け)と判断し続けることから、照明は低照度を維持してしまうか、あるいは緩やかな傾きのまま適正照度まで増光してしまうことになるので、人検知センサの状態判定(進入/滞在/退去/不在)のみで通り抜け制御を行うと、適正な照明制御を実行することはできないことに注意を要する。
なお、コントローラは、図示を省略する、人検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、人検知センサからの信号を演算処理して照明装置の調光出力を制御する演算処理手段とから構成されている。
【0028】
この照明制御システムは、人検知センサから人が滞在する旨の信号を受信した照明エリアの照明装置の調光出力を、所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で、緩やかに連続して増大する。
ここで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内とは、上記非特許文献1に開示されている、実際のオフィスにおける執務者の作業状況からして、明るさの変動を知覚しない範囲で人工照明の照度変動制御を行うことによってその変動による不快感の発生を防ぐことができるという知見に基づき、変動時間を設けて連続的に照度を変動させる場合は、明るさの変動比を0.8〜1.3の範囲とすれば執務者はほとんど明るさの変化を知覚することができないという事実を踏まえて、例えば250lx程度の低照度点灯を初期照度として、これを約8秒間で約1.3倍の照度に上げることを上限とすればよい。
【0029】
所定時間は、例えば1.8m平方を単位区画として、その区画に人が進入後即退去、いわゆる通り抜けるまでの時間3〜4秒程度に設定するとよい。
そして4秒間で増光する割合を15%程度とすれば、隣接する照明エリアに在席する執務者は人が進入した検知エリアの明るさが増していることについて知覚することはない。
なお、本実施例においては所定時間に達するまで緩やかに増光することとしているが、これに代えて増光する割合から求めた所定照度を用いることも可能である。
また、人検知センサから入力された信号が人が存在することを示す存在時間を計測するタイマは、このシステム例ではコントローラと人検知センサのいずれに備えることとしてもよい。
【0030】
このエリアを人が通り抜けた場合は、図5に示すように人の進入(滞在)とともに緩やかに増光し、所定時間(t)あるいは所定照度(傾き変化点)(α)に達する前に通り抜けてしまう(不在となる)ため、高照度となることなく低照度点灯に戻る。本実施例においては、減光の割合は増光のそれと同じとしているが、減光の割合を増光のそれより小さくしてもよい。
【0031】
一方、人があるエリアに進入した後着座した場合は、図6に示すように、上記した所定時間または所定照度に達した後に、執務に適した適正照度、例えば700〜800まで急激に増光する制御を行うものである。
これにより、人が当該エリアに進入し滞在して執務に就こうとしたとき、着座してから長い時間待たされることなく程よい時間に適正照度(高照度点灯)まで増光させることができる。
【0032】
他方、当該エリアに隣接するエリアに着座し続けている執務者にとっては、その隣のエリアの一瞬の急激な増光に対しては、急激な増光・減光の繰り返しとは異なり然程の不快感を覚えることなく順応することができる。
以上のことから、人検知センサ1台にコントローラ1台を対応させて照明装置を制御する場合、通り抜け制御を確実に行うことができ、また、人が検知エリア内に進入後着座した場合は、所定時間経過後に急激に増光処理することにより適正照度の点灯に速やかに移行することができる。
【0033】
次いで、図7のフローチャートに基づいて本実施例の制御手順を説明する。
このフローチャートは、単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された人検知センサ毎に順次実行されるサブルーチンを示している。
すなわち、コントローラは所定時間置きに順次人検知センサをポーリングして該人検知センサの検出値を入力して以下の処理を実行する。
【0034】
電源投入時人検知センサのいずれもが人の存在を検知していないとして、タイマの時間t1をゼロ、コントローラの調光出力値を例えば250lx程度の低照度に初期設定する(ステップ100)。
コントローラは検知エリアに人が進入・滞在しているか否か継続的にウォッチングしており、人の存在を検知するまで無限ループを実行している。
そして、人検知センサが人を検知(ステップ101)したとき、コントローラまたは人検知センサに内蔵されているタイマをカウントアップし始め(ステップ102)、照明装置の調光出力を、上記したオフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚しない範囲で照度を上げる増光処理を行う(ステップ103)。
その後、当該検知エリアに人が滞在し続けているか否か判断し(ステップ104)、滞在しているときはタイマが所定時間、上記例では4秒、に達していないことを条件として(ステップ105)ステップ102に戻って増光処理を所定時間に達するまで、無限ループを繰り返し実行する。
【0035】
上記した増光処理を繰り返し実行した結果所定時間に達したとき、上記図6の照度を示す右側の急な傾きで示すように、増光割合である増光率を執務者が明るさの変動を知覚しない範囲を慮外とする急激な照度のアップを図る増光率に変更して(ステップ106)、照度が例えば700〜800lxの設定した適正照度に達するまで増光処理を継続して、人が当該検知エリアに進入し、滞在を継続する場合、最終的には執務に適した適正照度に増光して維持する。
【0036】
一方、増光処理中に人が通り抜けた場合、すなわち緩やかなあるいは急激な増光処理を実行中のステップ104あるいはステップ108において、当該検知エリアに人が存在する状態から存在しない状態に変化した場合の制御内容について説明する。
緩やかな増光処理を実行中、このフローチャートのステップ104において、当該検知エリアに進入した人が退去したと判断されたとき、タイマをカウントダウンした上で、タイマがゼロに戻るまで減光処理を繰り返し実行する(ステップ111〜114)。
また、急激な増光処理を実行中のステップ108において、当該検知エリアに進入した人が退去したと判断されたときは、照明装置の照度が例えば250lx程度の低照度になるまで減光処理を繰り返し実行する(ステップ115〜117)。
なお、減光処理ループ実行中のステップ113あるいはステップ116において人が検知されたときは、ステップ102あるいはステップ107に戻って再度増光処理を実行する。
【0037】
この照明制御は、単位区画を調光制御エリアとするコントローラが、同じ単位区画を検知エリアとする人検知センサの検知信号に基づいて、同じ単位区画を照明エリアとする照明装置を他のコントローラや他の人検知センサの信号とは独立して照明制御するものである(図7参照)。
【実施例2】
【0038】
本実施例の照明装置は、室内を分割した実線で示される区画を照明エリアとする4つの照明装置からなる一群の照明装置であり、人検知センサは、例えば上記区画をさらに細分割した破線で示される単位区画を検知エリアとして単位区画毎に丸1から丸4まで全部で4つ配設され、一台のコントローラが、上記一群の照明装置の調光出力を各人検知センサの出力に基づいて一括して制御するものである(図8参照)。
【0039】
人検知センサは、上記実施例1と同様の構成である。
また、コントローラは、1つの照明制御エリア内の複数の人検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、1つの照明制御エリア内のいずれかの人検知センサから入力された信号が人が存在することを示すとき、各人検知センサの存在時間を累計して計測するタイマと、各人検知センサから入力された信号を演算処理して一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、から構成されている。
【0040】
照明制御システムは、人が存在することを示す信号を送信する人検知センサが、ある人検知センサから該センサが編入されている照明制御エリアと同一の照明制御エリア内の他の人検知センサに移動したとき、前記タイマは、前記他の人検知センサの人の存在時間を前記ある人検知センサの人の存在時間を引き継ぐべく加算・累計して計測するものである。
【0041】
そして、人が存在することを示す信号を受信した検知エリアが編入される照明エリアの一群の照明装置の調光出力を、前記タイマの計測時間が所定時間に達するかまたは調光出力値が所定値に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記所定時間または前記所定値に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行う。
【0042】
上記のオフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内の定義は、実施例1と同義である。
もちろん、4つの検知エリアのすべての人検知センサが人の存在を検知しないときあるいは検知しなくなったときは、コントローラは一群の照明装置が低照度になるまで減光制御する。
なお、本実施例においても所定時間に達するまで緩やかに増光することとしているが、これに代えて実施例1と同様、増光する割合から求めた所定照度を用いることも可能である。
【0043】
コントローラが立ち上げられた初期状態では、一群の照明装置は低照度照明が点灯され、人検知センサが人の存在を検知するまでこの照度が維持される。
【0044】
人が隣接する検知エリアを通り抜けて、人がある検知エリアに進入して当該検知エリアの人検知センサが滞在情報を出力した後に、新たに他の人検知センサにて滞在情報を出力した場合、コントローラは、ある人検知センサの滞在情報出力時間を他の人検知センサの滞在情報出力時間として引き継ぐこととしている。
すなわち、他の人検知センサの滞在情報出力時間は、ある人検知センサの滞在情報出力時間を加算・累計してカウントされたものである。
【0045】
このように人検知センサ間において、滞在情報出力時間の引き継ぎ方式を採用し、人検知センサ同士を時間的に連携させることによって、複数台の人検知センサの集合である検出エリア全体で、所定時間である緩やかな傾きの保持時間(t1)を一連のものとしてカウントすることができ、増光/減光の繰り返しや傾き変化点を超過して高照度となることを防止することができる。
なお、連携設定した人検知センサの全てが不在情報を出力することとなった場合は、低照度点灯状態まで減光する。
またこの制御の場合は、時間的に連携するセンサ台数の多寡、換言すれば制御エリアの大きさにより、最適な傾き保持時間(t1)を設定する必要がある。
ここで、進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3⇒退去の順序で通り抜けた際の制御を図9に示す。
人が通り抜けた際に,センサ丸1〜丸4全体での滞在情報検出時間が緩やかな傾きの保持時間(t1)を超過しなかったため,照明は高照度となることなく,低照度点灯に復帰する(通り抜け制御)。
【0046】
また,人が進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3と移動後、丸3に滞在した場合の制御を図10に示す。
センサ丸1とセンサ丸2のエリアを人が通り抜けた際の滞在情報検出時間が、センサ丸3の滞在情報検出時間に引き継がれ、緩やかな傾きで増光される所定時間(t1)に加算して累計的に計時されるため、センサ丸3のエリアに滞在後照明は速やかに増光され、進入後滞在した者に苛立ち感を覚えさせることなく短時間に適正照度点灯状態となる一方、既存の執務者は徐々に増光されて明るさの変動を知覚することはなく、また急激な増光も一瞬に行われることから、不快感を覚えさせることはない。
なお、所定時間については、例えば3つの検知エリアを通過するのに充分な時間である10秒前後を設定することができ、状況に応じてこれを延長しまたは短縮すればよい。
【0047】
次いで、図11のフローチャートに基づいて本実例の制御手順を説明する。
このフローチャートは、単位区画を検知領域として単位区画毎に1つずつ配設された複数の人検知センサを対象として、各人検知センサについて順次実行されるサブルーチンを示している。
【0048】
電源投入時人検知センサのいずれもが人の存在を検知していないとして、タイマの時間t1をゼロ、コントローラの調光出力値を例えば250lx程度の低照度に初期設定する(ステップ200)。
コントローラは調光制御エリア内の検知エリアのいずれかに人が進入・滞在しているか否か継続的にウォッチングしており、人の存在を検知するまで無限ループを実行している。
そして、調光制御エリア内の複数の人検知センサのうちのいずれかが人を検知(ステップ201)したとき、各調光制御エリアに1台設置されたコントローラに1台内蔵されているタイマをカウントアップし始め(ステップ202)、照明装置の調光出力を、上記したオフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚しない範囲で照度を上げる増光処理を行う(ステップ203)。
その後、人が滞在することを検知していた人検知センサが人を検知し続けているか否か判断し(ステップ204)、当該検知エリアに人が滞在しているときはタイマが所定時間、上記例では10秒、に達していないことを条件として(ステップ205)ステップ202に戻って増光処理を所定時間に達するまで、無限ループを繰り返し実行して緩やかに増光する。
【0049】
人が検知エリア丸1から検知エリア丸2に通り抜けたとき、タイマは、人検知センサ丸2の滞在情報検出時間を、それ自体の検出時間に人検知センサ丸1の検出時間を加算してカウントアップする点が、本実施例の特徴である。
【0050】
上記した増光処理とタイマのカウントアップを繰り返し実行した結果所定時間に達したとき、上記図10の照度を示す右側の急な傾きで示すように、増光の割合である増光率を執務者が明るさの変動を知覚しない範囲を慮外とする急激な照度のアップを図る増光率に変更して(ステップ206)、照度が例えば700〜800lxの設定した適正照度に達するまで増光処理を継続して、人が当該検知エリアに進入し、滞在を継続する場合、最終的には適正照度に増光して維持する。
【0051】
一方、増光処理中に人が調光制御エリア内に滞在しないで通り抜けた場合、すなわち緩やかなあるいは急激な増光処理を実行中のステップ204あるいはステップ215において、当該調光制御エリアに人が存在する状態から存在しない状態に変化した場合の制御内容について説明する。
緩やかな増光処理を実行中、このフローチャートのステップ204において、当該調光制御エリアに進入した人が当該エリア外に退去したと判断されたとき、タイマをカウントダウンした上で、調光制御エリア内に人が滞在しないことを条件として(ステップ213)、タイマがゼロに戻るまで減光処理を実行する(ステップ211〜214)。なお、減光処理中に調光制御エリア内のいずれかの人検知センサが人を検知したときは、ステップ202にリターンして再度増光処理を実行する。
【0052】
また、急激な増光処理を実行中のステップ207において、当該検知エリアに進入した人が退去したと判断されたときは、調光制御エリア内に人が滞在しないことを条件として(ステップ216)、照明装置の照度が例えば250lx程度の低照度になるまで減光処理を実行する(ステップ215)。なお、減光処理中に調光制御エリア内のいずれかの人検知センサが人を検知したときは、ステップ207にリターンして再度増光処理を実行する。
【0053】
この照明制御は、複数の検知エリアを1つの調光制御エリアとするコントローラが、同じ調光制御エリア内の複数の人検知センサの検知信号に基づいて、同じ区画を照明エリアとする一群の照明装置を他のコントローラとは独立して一括して照明制御するものである。
【実施例3】
【0054】
この実施例の一群の照明装置の調光出力値すなわち照度は、各人検知センサの個々の滞在情報にしたがって人検知センサ毎に個別に設定される点に特徴があるが、調光出力値が所定時間あるいは所定照度に達するまで緩やかな傾きにて増光され、その後は急な傾きにて増光されるにおいては、実施例1、実施例2と同じである。
この実施例は、ある人検知センサの検出情報により制御していた調光出力値を共有化する、すなわち共有出力値を保存することにより、同じ調光制御エリアに属する他の人検知センサが人が滞在することを知らせる検知情報を出力したとき、当該他の人検知センサの調光出力値と保存されていた共有出力値を比較して、いずれか大きい値を優先して調光制御を行う。これにより、増光/減光の繰り返しを防止するとともに、人が進入してから適正照度点灯となる時間(t1+t2+・・・)を最小化することができる。
【0055】
上記機能の要旨を箇条書きにすると、
・新たに滞在状態となった他の人検知センサの調光出力値<共有出力値の場合、共有出力値を調光出力値として保持する。
・新たに滞在状態となった他の人検知センサの調光出力値≧共有出力値の場合、新たな人検知センサの調光出力値を採用する。
ということになる。
【0056】
ここで、他の実施例と同様に、進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3⇒退去の順序で通り抜けた際の調光制御を図12に示す。
先ず、初期状態においては全ての人検知センサが不在状態を出力しているため、共有出力値は低照度点灯とされている。その後人が検知エリア丸1に進入したことに伴い、人検知センサ丸1が滞在情報を出力するが、人検知センサ丸1に基づく調光出力値/照度が共有出力値(低照度)より大きいため、人検知センサ丸1に基づく調光出力値が優先されて、人検知センサ丸1の滞在情報にしたがいコントローラにて設定される調光出力値/照度は緩やかに上昇する。
【0057】
その後人が検知エリア丸1から丸2に移動すると、人検知センサ丸1が不在情報を出力するとともに、このときの調光出力値(図12のδ)を共有出力値として共有出力値記憶メモリーに保存する。
そして新たに人検知センサ丸2が滞在情報を出力することとなる。
このときの人検知センサ丸2の滞在情報に基づく調光出力値は、増光を開始したばかりでほぼ低照度であるから、人検知センサ丸2の調光出力値/照度<共有出力値となる。このため、照明装置の調光出力値/照度は共有出力値(図12のδ)を維持する。
【0058】
次に、人検知センサ丸2が不在情報を出力すると同時に人検知センサ丸3が滞在情報を出力することとなるが、このときも人検知センサ丸3の滞在情報に基づく調光出力値/照度<共有出力値となるため、一群の照明装置の調光出力値/照度は共有出力値(図12のδ)を維持することとなる。
その後、人検知センサ丸3が不在情報を出力することとなり、1つの調光制御エリア内で連携している全ての人検知センサが不在情報を出力することとなったため、人検知センサ丸3に伴う調光出力値/照度にしたがって、照明装置は減光され最終的には低照度の点灯に調光制御される。
【0059】
また、人が検知エリア丸1に進入⇒そのまま丸1に滞在した場合の調光制御を図13に示す。
人が検知エリア丸1に進入してから所定時間t1に達するまで当該エリアに滞在するときは傾き変化点の照度αとなるまで傾きaで増光制御し、さらに当該検知エリア丸1に滞在し続けるときは適正照度βとなるまで傾きbにて増光制御する。
つまりこの実施例は、人が進入してから適正照度点灯となるまでの時間(t1+t2)を、各人検知センサの検知エリア単位で設定しているのである。
【0060】
さらに、人が進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3(滞在)と移動した場合の照明制御を図14に示す。
この例では、共有出力値記憶手段に保存されている共有出力値である人検知センサ丸1に基づく調光出力値が、新たに検知された人検知センサ丸2に基づく調光出力値より大きいので、この値が優先的に採用されてこの図の最も下方に示す水平線で示される調光出力値にて調光制御される。
そして、丸3の人検知センサの検知エリアにて滞在している間に、丸3の人検知センサに基づく調光出力値が上記した共有出力値を上回り、再び執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内の傾きaで増光制御され、人を検知してから所定時間(t1)経過後、執務に適した適正照度まで急激に増大する傾きbで調光制御されて適正照度に達する。
人が検知エリア丸1に進入⇒そのまま丸1に滞在した場合あるいは人が進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3(滞在)と移動した場合のいずれの場合も、滞在後は速やかに適正照度まで増光され、通り抜け時以外の長時間滞在を検出した場合においても調光制御が正常に行われることが理解できる。
【0061】
このように、本実施例の通り抜け制御では、1つの照明制御エリア内の複数の人検知センサの現在と過去の出力情報に基づく調光出力値を比較して処理することにより、照度の頻繁な増光/減光や急激な高照度点灯による周辺執務者への不快感を与えたり無駄なエネルギー消費を生じることなく、的確な照明の制御を行うことができる。
【0062】
以上のようにこの実施例は、人が進入してから適正照度点灯となるまでの時間(t1+t2+・・・)を、各人検知センサの検知エリア単位で設定している。
このため、上記適正照度となるまでの時間は、調光制御エリアの広さ、すなわち人検知センサの連携台数、によらず一定であることから,センサ1台程度の狭いエリアからセンサ数十台分の広いエリアまで、的確な通り抜け制御を行うことができる。
【0063】
次いで、図15と図16のフローチャートに基づいて制御手順を説明する。
図15のフローチャートは、単位区画を検知領域として単位区画毎に1つずつ配設された複数の人検知センサを対象として、人検知センサを個々に特定して並行して実行されるセンササブルーチンを示している。
ここでは、人検知センサ丸1を例にして説明する。
【0064】
電源投入時人検知センサのいずれもが人の存在を検知していないので、タイマの時間t1をゼロ、コントローラの調光出力値を例えば250lx程度の低照度に初期設定する(ステップ300)。
コントローラは調光制御エリア内の検知エリアの全てを個々に特定して、各エリアに人が進入・滞在しているか否か同時並行的に、所定時間継続的にウォッチング(ステップ301)しており、人検知センサ毎に人の存在を検知するまで無限ループを実行している。
そして、例えば人検知センサ丸1が人を検知した(ステップ301YES)とき、各調光制御エリアに1台設置されたコントローラに人検知センサの台数に応じて内蔵され、人検知センサ丸1用に設定されたタイマをカウントアップし始め(ステップ302)、一群の照明装置の調光出力を、上記したオフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚しない範囲、すなわち図13の時間t1に対応する傾きaで照度を上げる増光処理を行う(ステップ303)。
その後、人が滞在することを検知していた人検知センサ丸1が人を検知し続けているか否か判断し(ステップ304)、当該検知エリアに人が滞在し続けているときはタイマが所定時間、上記例では10秒、に達していないことを条件として(ステップ305)ステップ302に戻って増光処理を所定時間に達するまで、無限ループを繰り返し実行して上記の傾きaで緩やかに増光するように調光出力値を再設定していく。
【0065】
上記した増光処理とタイマのカウントアップを繰り返し実行した結果所定時間に達したとき、上記図13の照度を示す右側の傾きbで示すように、増光割合である増光率を執務者が明るさの変動を知覚しない範囲を慮外とする急激な照度のアップを図る増光率に変更して(ステップ306)、照度が例えば700〜800lxの設定した適正照度に達するまで増光処理を継続(ステップ307〜309)して、人が当該検知エリアに進入し滞在を継続するときは、最終的には適正照度に増光してその調光出力値・照度を維持する(ステップ310)。
【0066】
一方、増光処理中に人が退去して通り抜けた場合、すなわち緩やかなあるいは急激な増光処理を実行中のステップ304あるいはステップ308において、当該検知エリアに人が存在する状態から存在しない状態に変化した場合の制御内容について説明する。
緩やかな増光処理を実行中、このフローチャートのステップ304において、当該検知エリアに進入した人が当該エリア外に退去したと判断されたとき、タイマをカウントダウン(ステップ311)した上で、当該検知エリア内に人が滞在しないことを条件として(ステップ313)、タイマがゼロに戻るまで減光処理を実行する(ステップ311〜314)。なお、減光処理中に当該人検知センサ丸1が人を再度検知した(ステップ313NO)ときは、ステップ302にリターンして再度増光処理を実行する。
【0067】
また、急激な増光処理を実行中のステップ308において、当該検知エリアに進入した人がエリア外に退去したと判断されたときは、当該検知エリア内に人が滞在しないことを条件として(ステップ316)、照明装置の照度が例えば250lx程度の低照度になるまで減光処理を続行する(ステップ315)。
なお、減光処理中に当該人検知センサ丸1が人を再度検知した(ステップ316)ときは、ステップ307にリターンして再度増光処理を実行する。
【0068】
このセンササブルーチンの調光出力処理によって得られた照度情報は、後述する次の調光制御サブルーチンの情報として活用される。
【0069】
次いで、図16を参照して、一群の照明装置に対して一括して行う調光制御サブルーチンについて説明する。
電源投入時人検知センサのいずれもが人の存在を検知していないので、各人検知センサについてタイマの時間t1をゼロ、コントローラの調光出力値を例えば250lx程度の低照度に初期設定する(ステップ400)。
次いで、調光制御エリア内の全ての人検知センサを対象として、滞在情報を出力する人検知センサがあるか否か調べる(ステップ401)。
【0070】
例えば人検知センサ丸1が滞在情報を出力したとき(ステップ401YES)、その人検知センサ丸1が不在状態となるまで、上記したセンササブルーチンを実行して得られた人検知センサ丸1に基づいた調光出力値により、一群の照明装置を点灯する(ステップ402、403の無限ループ)。
つまり、人検知センサ丸1に基づく調光出力値は、上記したセンササブルーチンの実行により時々刻々変化しており、ステップ402ではコントローラがこの値を用いて調光制御する。
【0071】
その後人検知センサ丸1が不在となったとき(ステップ403YES)は、その時の調光出力値を共有出力値記憶メモリーに照度Aとして保存(ステップ404)し、人検知センサ丸1の他に滞在となった人検知センサがないか確認する(ステップ405)。他に滞在となった人検知センサがない(全センサが不在)ときは、低照度となるまで上記センササブルーチンを実行して設定された人検知センサ丸1の調光出力値により調光制御する。
低照度となったときは、ステップ400にリターンする。
【0072】
一方、ステップ408において低照度となる前に他の人検知センサ、例えば人検知センサ丸2と丸4が滞在となったときは、新たに滞在状態となった人検知センサ丸2と丸4に基づく調光出力値のうち大きい方の調光出力値を照度Bとして定義する(ステップ406)。
上記した不在となった人検知センサ丸1に基づく照度Aと、新たに滞在を検知した人検知センサに基づく照度Bとを比較する(ステップ407)。
その結果、照度Bが照度Aより小さいとき(ステップ408NO)は、ステップ404に戻って、今まで滞在を検知していた人検知センサ丸1に基づく照度Aにて調光制御し、一方、照度Bが照度Aを上回ったとき(ステップ408YES)は、ステップ402に戻って新たに滞在を検知した人検知センサについて上記センササブルーチンで設定された調光出力値(照度B)にて調光制御する。
つまり、人検知センサ丸2または丸4の調光出力値(照度B)が、共有出力値記憶メモリーに保存されていた共有出力値(照度A)を上回るまでは、ステップ404〜408の無限ループを実行して照度Aによる調光制御を継続する。
このことにより、図14の調光出力値を表すグラフの水平線で示されるように、新たな人検知センサの調光出力値が照度Aよりも大きくなるまでは、照度が一定に保たれ乱高下することを防止している。
【0073】
そして人検知センサ丸2または丸4に基づく調光出力値が共有出力値を上回った後(照度B>照度A)においては、一群の照明装置は人検知センサ丸2または丸4に基づく調光出力値が優先されて照度Bにて調光制御される(ステップ402〜403の無限ループへ移行)。
この結果、図14の調光出力値を表すグラフの水平線に続く傾きaで増光し、所定時間(t1)経過後急激な傾きbにて適正照度まで増光する。
【0074】
ステップ405において、人検知センサ丸2または丸4に基づく調光出力値(照度B)が共有出力値記憶メモリーに保存していた共有出力値(照度A)を上回る前に、全ての人検知センサが不在となったとき(ステップ405NO)は、照度が低照度になるまで減光処理を実行(ステップ404〜410NOの無限ループ)し、照度が低照度になったらステップ400にリターンする。
【0075】
以上説明したセンササブルーチンと調光制御サブルーチンとは、本実施例では同時並行で実行することとしている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス、病院、博物館等の大きな空間において、人の滞在/不在/進入/退去を検知する人体検知センサの出力に基づいて調光出力を適正に制御する照明制御システム、特に人の移動時における最適な照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、従来の焦電型人検知センサのように、人が一定時間静止すると不在判定となる誤動作の発生を防止するとともに、人の退去後は直ちに照明、空調等の運転を適正制御して、エネルギー負荷を適切に減少して省エネルギーに資することができる、パーソナル空間に適した安価なエネルギー負荷制御システムを提案した(特許文献1)。
【0003】
このエネルギー負荷制御システムは、
室内をパーソナル空間として分割した単位区画をエネルギー負荷対象領域とする機器類と、前記機器類のエネルギー負荷を制御するコントローラと、前記単位区画に略対応してその検知範囲とされた、前記単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、から構成されるエネルギー負荷制御システムにおいて、
前記高精度人体検知センサは、前記エネルギー負荷対象領域を所要の精度で検知し得る3個以上の複数個の素子を備えた多素子型サーモパイルアレイと、前記複数個の素子のそれぞれに集光する集光部が形成された単位赤外線集光体を、前記エネルギー負荷対象領域をほぼもれなく検知可能とするために複数個一体的に備えた集合赤外線集光体と、からなる赤外線検出部、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部、及び、前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部から構成し、
前記コントローラは、前記高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段、前記高精度人体検知センサからの信号を演算処理して前記機器類のエネルギー負荷を制御する演算処理手段から構成して、
前記高精度人体検知センサから人が滞在する旨の信号を受信したエネルギー負荷対象領域の機器類の出力を増大し、人が滞在しない旨の信号を受信したエネルギー負荷対象領域の機器類の出力を減少する制御を行うようにしたものである。
【0004】
以下、先の発明の高精度人体検知センサの機能について簡単に説明する。
≪高精度人体検知センサの機能≫
この高精度人体検知センサは、図4に示すように、進入状態と退去状態を検知するのみならず、静止した滞在状態をも検知し続けることができるものである。
この結果、検知エリア内で人が長い間全く動かないで完全に静止状態を続けていても、滞在していると判断することができる。
そしてこの高精度人体検知センサは、人体の不在/滞在/進入/退去状態及び人体動作検知状態を判別し、静止人体の長時間にわたる検出および完全静止人体の検出ができるものである。
【0005】
この高精度人体検知センサは、遠赤外線量により人の存在を検出するため、図3に示すように、人の在/不在情報および人の状態(進入/滞在/退去/不在)を高精度かつ速やかに判断する。
【0006】
ここで、上記した各状態の意味するところについて説明する。
不在状態とは、検知エリア内に人体が存在しない状態を意味し、退去状態より移行し、進入状態に移行する。
進入状態とは、不在状態から検知エリア内に人体が進入した状態を意味し、不在状態より移行し、滞在状態または不在状態に移行する。
滞在状態とは、検知エリア内に人体が滞在し、静止または大きな動きのない状態を意味し、進入状態/退去状態/人体動作検知状態より移行し、人体動作検知状態へ移行する。
人体動作検知状態とは、上記滞在状態にあり、かつ、人体が動いている状態を意味し、滞在状態より移行し、退去状態または滞在状態へ移行する。
退去状態とは、滞在状態にあった人体が検知エリアから退去した状態を意味し、人体動作検知状態から移行し、滞在状態または不在状態へ移行する。
【0007】
このときのセンサの出力情報は、図3に示されるように、アルゴリズムにおける状態のうち、不在状態時では不在信号が出力され、それ以外の進入状態/滞在状態/人体動作検知状態/退去状態では、滞在信号が出力される。
【0008】
この高精度人体検知センサは、以上の状態遷移をして上記滞在/不在信号出力をするものであるが、このセンサを用いて照明制御した場合、該当する調光制御エリアに人が進入したとき、図4に示されるように、高精度人体検知センサの出力と連動する照明の調光出力値が瞬間的にアップすることとされている。
照明装置をこのように制御すると、人が当該調光制御エリア内を単に通過するにすぎない通り抜け時においては、不必要に照明する照明過多となってエネルギーを無駄に消費することとなり省エネルギー上問題がある。
【0009】
のみならず、人が通り抜けた調光制御エリアに隣接する調光制御エリアにおいて執務や作業をする者は、人が該当するエリアに進入した時点で照明装置が急激に明るくなり、また人が当該エリアから退去した時点で急激に照度が落とされることとなり、執務者等に不快感を与え、結果として業務に対する集中力を阻害し業務の円滑な遂行に支障をきたす恐れがある。
【0010】
そこで、人が調光制御エリアに進入した時点で照明装置が急激に明るくなることを防止する技術として、人体から放射される熱線を検知する人体検知センサと、発光ダイオードからなる光源と、前記人体検知センサにより人体が検知されたとき、前記光源を通常より明るさの低い低点灯状態を経て通常点灯状態となるよう点灯制御する制御手段を備えた熱線センサ付ライト(特許文献2)や、発光ダイオード等からなる光源と、検知エリアで人を検知する人検知センサと、上記人検知センサにより人を検知すると、上記光源の点灯出力を徐々に上げ、上記光源の照射エリア内に人が存在している間で通常の点灯状態となるべく制御する制御部とを備えた照明装置(特許文献3)が知られている。
【0011】
しかし、これら従来技術はいずれも、単独のライトまたは照明装置に関する発明であり、急な増光による進入者の眩しさを低減すことを目標とするものであって、室内を分割した区画を照明領域とする照明装置と、前記区画を検知範囲として区画毎に配設された高精度人体検知センサと、前記各照明装置の調光出力をそれぞれ制御するコントローラとから構成される照明制御システムに関する発明ではない。
【0012】
従来技術の上記した限定的な目的のため、これらの単独のライト乃至は照明装置は、一旦人の存在を検知すると最終的な明るさまで照度を上げるものであって、人が単に通過するのみで所定の照度に達するまで徐々にこれをアップし、人が退去しても増光過程で照度を下げる制御に転ずることができないので、無駄なエネルギー消費を抑えることができず、省エネルギーを実現する上で問題となる。
【0013】
他方、実際のオフィスにおける執務者の作業状況からすると、照度変動を知覚しない範囲で人工照明の制御を行うことで、変動による不快感の発生を防ぐことができるという知見に基づき、変動時間を設けて連続的に照度を変動させる場合は、明るさの変動比を0.8〜1.3の範囲とすれば執務者はほとんど明るさの変化を知覚することができないという研究成果が公表されている(非特許文献1)。
【0014】
しかしながら、この照明制御は照度の増加率が一定に保たれているので、進入した人がその場に滞在・着座して執務し始めたとき、執務に適した適正照度に到達するまでにかなりの時間を要し、不安感を与えるばかりでなく円滑な業務の推進に好ましくない影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−257611号公報
【特許文献2】特開2001−210478号公報
【特許文献3】特開2010−040266号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】照明学会誌 第85巻 第5号 オフィス照明環境における明るさの変動知覚に関する研究
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上述した種々の課題を解決するために創作されたもので、人が単に通過するにすぎないとき、人が進入したことを判断して緩やかに増光制御するとともに、人が通り抜けたことを判断して緩やかに減光制御して無駄なエネルギー消費を抑えて省エネルギーを実現可能とし、また、執務中の者が照度変動を知覚しない範囲で人工照明の増光・減光制御を行うことで、照度変動による不快感の発生を防ぐことができ、進入した人がその場に滞在・着座して執務し始めたとき、短時間に執務に適した適正照度まで増光して適正に照明制御して、エネルギー負荷を適切に減少して省エネルギーに資することができる、照明制御システムを安価に提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に係る発明は、室内を分割した単位区画を照明領域とする照明装置と、前記単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、前記各照明装置の調光出力をそれぞれ制御するコントローラと、から構成される照明制御システムにおいて、前記高精度人体検知センサは、前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、から構成され、前記コントローラは、前記高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、前記高精度人体検知センサからの信号を演算処理して前記照明装置の調光出力を制御する演算処理手段と、から構成され、前記高精度人体検知センサから人が滞在する旨の信号を受信した照明領域の照明装置の調光出力を、所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行うようにした。
【0019】
請求項2に係る発明は、所定の区画を照明領域とする一群の照明装置と、前記区画をさらに分割した単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御するコントローラと、から構成される照明制御システムにおいて、前記高精度人体検知センサは、前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、から構成され、前記コントローラは、1つの照明制御エリア内の複数の高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、1つの照明制御エリア内のいずれかの高精度人体検知センサから入力された信号が人の存在を示す存在時間を累計して計測するタイマと、高精度人体検知センサから入力された信号を演算処理して一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、から構成され、人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサがあるセンサから該センサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動したとき、前記タイマは、前記他のセンサの人の存在時間を前記あるセンサの人の存在時間を加算して計測して、人が存在することを示す信号を受信した照明領域の一群の照明装置の調光出力を、前記タイマの計測時間が所定時間に達するかまたは調光出力値が所定値に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記所定時間または前記所定値に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行うことを特徴としている。
【0020】
請求項3に係る発明は、所定の区画を照明領域とする一群の照明装置と、前記区画をさらに分割した単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御するコントローラと、から構成される照明制御システムにおいて、前記高精度人体検知センサは、前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、から構成され、前記コントローラは、前記複数の高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、人が存在することを示す信号を送信する高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他の検知領域のセンサに移動したとき、あるセンサの最後の調光出力値を書き換え保存する共有出力値記憶手段と、前記高精度人体検知センサから入力された信号を演算処理して前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、から構成され、人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動した場合、他のセンサに基づく調光出力値と前記共有出力値記憶手段に保存されている共有出力値とを比較し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より大きいとき、共有出力値を出力し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より小さいとき、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、照明装置の調光出力を、所定時間に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、所定時間に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する照明制御を行うこととしたから、無駄な電力エネルギーの消費を節減し、在席中の執務者に不快感を与えることなく、進入した者が着座したときは執務に適した適正照度まで速やかに増光することができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、所定の区画を照明領域とする一群の照明装置の調光出力を、前記区画をさらに分割した単位区画毎に配設された複数の高精度人体検知センサの個々の検出出力に基づいて一括して調光制御する1つのコントローラを備えたので、コントローラの設置台数を削減した上で広い区画を一括して正確に照明制御することができる。
また、1つの照明制御エリア内のいずれかの高精度人体検知センサから入力された信号が人の存在を示す存在時間を累計して計測するタイマをコントローラのみに内蔵し、ソフトウェアを重複して走らせる必要をなくしたので、ハードウェア資源を効率的に駆使することができる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、コントローラは、人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動した場合、他のセンサに基づく調光出力値と前記共有出力値記憶手段に保存されている共有出力値とを比較し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より大きいとき、共有出力値を出力し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より小さいとき、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大するから、図12〜14に示された円滑な照明制御を着実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施例1の照明制御システムの構成図である。
【図2】図2は、高精度人体検知センサの機能ブロック図である。
【図3】図3は、高精度人体検知センサ出力の状態遷移を示す図である。
【図4】図4は、人の移動時における高精度人体検知センサの検知状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1の通り抜け時における照明制御例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例1の滞在時における照明制御例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1の照明制御手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施例2の照明制御システムの構成図である。
【図9】図9は、本発明の実施例2の通り抜け時における照明制御例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2の滞在時における照明制御例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施例2の照明制御手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施例3の通り抜け時における照明制御例を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施例3の滞在例1における照明制御例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施例3の滞在例2における照明制御例を示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施例3のセンサ出力制御手順を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の実施例3の照明制御手順を示すフローチャートである。
【実施例1】
【0025】
1または複数の照明装置は、室内を細かく分割した単位区画を照明領域〈以下「照明エリア」という。〉としていて、高精度人体検知センサは破線で示される上記単位区画を検知領域〈以下「検知エリア」という。〉として単位区画毎に配設されている。
また、コントローラは、上記した単位区画を照明エリアとする各照明装置の調光出力をそれぞれ制御〈以下実線で示すその範囲を「調光制御エリア」という。〉するものである。
要するに、検知エリアと照明エリアと調光制御エリアとは同一の領域であり、コントローラは、調光制御エリア毎に設けられてそれぞれの調光制御エリアを独立して制御するものである。
本実施例の照明制御システムの構成は、図1に示されるように、照明装置と高精度人体検知センサとコントローラとから構成されている。
【0026】
この高精度人体検知センサは本発明者らが開発したものであり、その詳細は特開2010−256045号公報に記載されているが、その概要は図2に示されているように、検知エリアを所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、該信号処理部から入力された信号をデータ処理して検知エリア内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、コントローラとの情報の送受信を行う入出力部とから構成されている。
ここで、人が通り抜けている際は増光/減光制御の傾きを緩やかに行い、当該エリア内に滞在した場合は、増光/減光制御の傾きを急激にして、速やかに適正照度に点灯させる制御を行う。
そのため、高精度人体検知センサの状態判定(進入/滞在/退去/不在)をもとにこの制御を行う場合、高精度人体検知センサ(以下「人検知センサ」という。)の状態判定が進入状態であった場合は増光/減光制御の傾きを緩やかに行い、状態判定が滞在状態となった場合は増光/減光制御の傾きを急激にして、速やかに適正照度に点灯させることができる。
【0027】
しかしながら、エリア内進入後に軽作業を続けて動き続けた場合は、人検知センサが静止状態・安定状態(動きのない状態,検出値の変動がない状態)を検出できないため、アルゴリズム上の状態は進入状態が継続することになる。
そのため、このような場合にアルゴリズム上の状態にしたがって通り抜け制御を行うと、進入状態(=通り抜け)と判断し続けることから、照明は低照度を維持してしまうか、あるいは緩やかな傾きのまま適正照度まで増光してしまうことになるので、人検知センサの状態判定(進入/滞在/退去/不在)のみで通り抜け制御を行うと、適正な照明制御を実行することはできないことに注意を要する。
なお、コントローラは、図示を省略する、人検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、人検知センサからの信号を演算処理して照明装置の調光出力を制御する演算処理手段とから構成されている。
【0028】
この照明制御システムは、人検知センサから人が滞在する旨の信号を受信した照明エリアの照明装置の調光出力を、所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で、緩やかに連続して増大する。
ここで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内とは、上記非特許文献1に開示されている、実際のオフィスにおける執務者の作業状況からして、明るさの変動を知覚しない範囲で人工照明の照度変動制御を行うことによってその変動による不快感の発生を防ぐことができるという知見に基づき、変動時間を設けて連続的に照度を変動させる場合は、明るさの変動比を0.8〜1.3の範囲とすれば執務者はほとんど明るさの変化を知覚することができないという事実を踏まえて、例えば250lx程度の低照度点灯を初期照度として、これを約8秒間で約1.3倍の照度に上げることを上限とすればよい。
【0029】
所定時間は、例えば1.8m平方を単位区画として、その区画に人が進入後即退去、いわゆる通り抜けるまでの時間3〜4秒程度に設定するとよい。
そして4秒間で増光する割合を15%程度とすれば、隣接する照明エリアに在席する執務者は人が進入した検知エリアの明るさが増していることについて知覚することはない。
なお、本実施例においては所定時間に達するまで緩やかに増光することとしているが、これに代えて増光する割合から求めた所定照度を用いることも可能である。
また、人検知センサから入力された信号が人が存在することを示す存在時間を計測するタイマは、このシステム例ではコントローラと人検知センサのいずれに備えることとしてもよい。
【0030】
このエリアを人が通り抜けた場合は、図5に示すように人の進入(滞在)とともに緩やかに増光し、所定時間(t)あるいは所定照度(傾き変化点)(α)に達する前に通り抜けてしまう(不在となる)ため、高照度となることなく低照度点灯に戻る。本実施例においては、減光の割合は増光のそれと同じとしているが、減光の割合を増光のそれより小さくしてもよい。
【0031】
一方、人があるエリアに進入した後着座した場合は、図6に示すように、上記した所定時間または所定照度に達した後に、執務に適した適正照度、例えば700〜800まで急激に増光する制御を行うものである。
これにより、人が当該エリアに進入し滞在して執務に就こうとしたとき、着座してから長い時間待たされることなく程よい時間に適正照度(高照度点灯)まで増光させることができる。
【0032】
他方、当該エリアに隣接するエリアに着座し続けている執務者にとっては、その隣のエリアの一瞬の急激な増光に対しては、急激な増光・減光の繰り返しとは異なり然程の不快感を覚えることなく順応することができる。
以上のことから、人検知センサ1台にコントローラ1台を対応させて照明装置を制御する場合、通り抜け制御を確実に行うことができ、また、人が検知エリア内に進入後着座した場合は、所定時間経過後に急激に増光処理することにより適正照度の点灯に速やかに移行することができる。
【0033】
次いで、図7のフローチャートに基づいて本実施例の制御手順を説明する。
このフローチャートは、単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された人検知センサ毎に順次実行されるサブルーチンを示している。
すなわち、コントローラは所定時間置きに順次人検知センサをポーリングして該人検知センサの検出値を入力して以下の処理を実行する。
【0034】
電源投入時人検知センサのいずれもが人の存在を検知していないとして、タイマの時間t1をゼロ、コントローラの調光出力値を例えば250lx程度の低照度に初期設定する(ステップ100)。
コントローラは検知エリアに人が進入・滞在しているか否か継続的にウォッチングしており、人の存在を検知するまで無限ループを実行している。
そして、人検知センサが人を検知(ステップ101)したとき、コントローラまたは人検知センサに内蔵されているタイマをカウントアップし始め(ステップ102)、照明装置の調光出力を、上記したオフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚しない範囲で照度を上げる増光処理を行う(ステップ103)。
その後、当該検知エリアに人が滞在し続けているか否か判断し(ステップ104)、滞在しているときはタイマが所定時間、上記例では4秒、に達していないことを条件として(ステップ105)ステップ102に戻って増光処理を所定時間に達するまで、無限ループを繰り返し実行する。
【0035】
上記した増光処理を繰り返し実行した結果所定時間に達したとき、上記図6の照度を示す右側の急な傾きで示すように、増光割合である増光率を執務者が明るさの変動を知覚しない範囲を慮外とする急激な照度のアップを図る増光率に変更して(ステップ106)、照度が例えば700〜800lxの設定した適正照度に達するまで増光処理を継続して、人が当該検知エリアに進入し、滞在を継続する場合、最終的には執務に適した適正照度に増光して維持する。
【0036】
一方、増光処理中に人が通り抜けた場合、すなわち緩やかなあるいは急激な増光処理を実行中のステップ104あるいはステップ108において、当該検知エリアに人が存在する状態から存在しない状態に変化した場合の制御内容について説明する。
緩やかな増光処理を実行中、このフローチャートのステップ104において、当該検知エリアに進入した人が退去したと判断されたとき、タイマをカウントダウンした上で、タイマがゼロに戻るまで減光処理を繰り返し実行する(ステップ111〜114)。
また、急激な増光処理を実行中のステップ108において、当該検知エリアに進入した人が退去したと判断されたときは、照明装置の照度が例えば250lx程度の低照度になるまで減光処理を繰り返し実行する(ステップ115〜117)。
なお、減光処理ループ実行中のステップ113あるいはステップ116において人が検知されたときは、ステップ102あるいはステップ107に戻って再度増光処理を実行する。
【0037】
この照明制御は、単位区画を調光制御エリアとするコントローラが、同じ単位区画を検知エリアとする人検知センサの検知信号に基づいて、同じ単位区画を照明エリアとする照明装置を他のコントローラや他の人検知センサの信号とは独立して照明制御するものである(図7参照)。
【実施例2】
【0038】
本実施例の照明装置は、室内を分割した実線で示される区画を照明エリアとする4つの照明装置からなる一群の照明装置であり、人検知センサは、例えば上記区画をさらに細分割した破線で示される単位区画を検知エリアとして単位区画毎に丸1から丸4まで全部で4つ配設され、一台のコントローラが、上記一群の照明装置の調光出力を各人検知センサの出力に基づいて一括して制御するものである(図8参照)。
【0039】
人検知センサは、上記実施例1と同様の構成である。
また、コントローラは、1つの照明制御エリア内の複数の人検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、1つの照明制御エリア内のいずれかの人検知センサから入力された信号が人が存在することを示すとき、各人検知センサの存在時間を累計して計測するタイマと、各人検知センサから入力された信号を演算処理して一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、から構成されている。
【0040】
照明制御システムは、人が存在することを示す信号を送信する人検知センサが、ある人検知センサから該センサが編入されている照明制御エリアと同一の照明制御エリア内の他の人検知センサに移動したとき、前記タイマは、前記他の人検知センサの人の存在時間を前記ある人検知センサの人の存在時間を引き継ぐべく加算・累計して計測するものである。
【0041】
そして、人が存在することを示す信号を受信した検知エリアが編入される照明エリアの一群の照明装置の調光出力を、前記タイマの計測時間が所定時間に達するかまたは調光出力値が所定値に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記所定時間または前記所定値に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行う。
【0042】
上記のオフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内の定義は、実施例1と同義である。
もちろん、4つの検知エリアのすべての人検知センサが人の存在を検知しないときあるいは検知しなくなったときは、コントローラは一群の照明装置が低照度になるまで減光制御する。
なお、本実施例においても所定時間に達するまで緩やかに増光することとしているが、これに代えて実施例1と同様、増光する割合から求めた所定照度を用いることも可能である。
【0043】
コントローラが立ち上げられた初期状態では、一群の照明装置は低照度照明が点灯され、人検知センサが人の存在を検知するまでこの照度が維持される。
【0044】
人が隣接する検知エリアを通り抜けて、人がある検知エリアに進入して当該検知エリアの人検知センサが滞在情報を出力した後に、新たに他の人検知センサにて滞在情報を出力した場合、コントローラは、ある人検知センサの滞在情報出力時間を他の人検知センサの滞在情報出力時間として引き継ぐこととしている。
すなわち、他の人検知センサの滞在情報出力時間は、ある人検知センサの滞在情報出力時間を加算・累計してカウントされたものである。
【0045】
このように人検知センサ間において、滞在情報出力時間の引き継ぎ方式を採用し、人検知センサ同士を時間的に連携させることによって、複数台の人検知センサの集合である検出エリア全体で、所定時間である緩やかな傾きの保持時間(t1)を一連のものとしてカウントすることができ、増光/減光の繰り返しや傾き変化点を超過して高照度となることを防止することができる。
なお、連携設定した人検知センサの全てが不在情報を出力することとなった場合は、低照度点灯状態まで減光する。
またこの制御の場合は、時間的に連携するセンサ台数の多寡、換言すれば制御エリアの大きさにより、最適な傾き保持時間(t1)を設定する必要がある。
ここで、進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3⇒退去の順序で通り抜けた際の制御を図9に示す。
人が通り抜けた際に,センサ丸1〜丸4全体での滞在情報検出時間が緩やかな傾きの保持時間(t1)を超過しなかったため,照明は高照度となることなく,低照度点灯に復帰する(通り抜け制御)。
【0046】
また,人が進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3と移動後、丸3に滞在した場合の制御を図10に示す。
センサ丸1とセンサ丸2のエリアを人が通り抜けた際の滞在情報検出時間が、センサ丸3の滞在情報検出時間に引き継がれ、緩やかな傾きで増光される所定時間(t1)に加算して累計的に計時されるため、センサ丸3のエリアに滞在後照明は速やかに増光され、進入後滞在した者に苛立ち感を覚えさせることなく短時間に適正照度点灯状態となる一方、既存の執務者は徐々に増光されて明るさの変動を知覚することはなく、また急激な増光も一瞬に行われることから、不快感を覚えさせることはない。
なお、所定時間については、例えば3つの検知エリアを通過するのに充分な時間である10秒前後を設定することができ、状況に応じてこれを延長しまたは短縮すればよい。
【0047】
次いで、図11のフローチャートに基づいて本実例の制御手順を説明する。
このフローチャートは、単位区画を検知領域として単位区画毎に1つずつ配設された複数の人検知センサを対象として、各人検知センサについて順次実行されるサブルーチンを示している。
【0048】
電源投入時人検知センサのいずれもが人の存在を検知していないとして、タイマの時間t1をゼロ、コントローラの調光出力値を例えば250lx程度の低照度に初期設定する(ステップ200)。
コントローラは調光制御エリア内の検知エリアのいずれかに人が進入・滞在しているか否か継続的にウォッチングしており、人の存在を検知するまで無限ループを実行している。
そして、調光制御エリア内の複数の人検知センサのうちのいずれかが人を検知(ステップ201)したとき、各調光制御エリアに1台設置されたコントローラに1台内蔵されているタイマをカウントアップし始め(ステップ202)、照明装置の調光出力を、上記したオフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚しない範囲で照度を上げる増光処理を行う(ステップ203)。
その後、人が滞在することを検知していた人検知センサが人を検知し続けているか否か判断し(ステップ204)、当該検知エリアに人が滞在しているときはタイマが所定時間、上記例では10秒、に達していないことを条件として(ステップ205)ステップ202に戻って増光処理を所定時間に達するまで、無限ループを繰り返し実行して緩やかに増光する。
【0049】
人が検知エリア丸1から検知エリア丸2に通り抜けたとき、タイマは、人検知センサ丸2の滞在情報検出時間を、それ自体の検出時間に人検知センサ丸1の検出時間を加算してカウントアップする点が、本実施例の特徴である。
【0050】
上記した増光処理とタイマのカウントアップを繰り返し実行した結果所定時間に達したとき、上記図10の照度を示す右側の急な傾きで示すように、増光の割合である増光率を執務者が明るさの変動を知覚しない範囲を慮外とする急激な照度のアップを図る増光率に変更して(ステップ206)、照度が例えば700〜800lxの設定した適正照度に達するまで増光処理を継続して、人が当該検知エリアに進入し、滞在を継続する場合、最終的には適正照度に増光して維持する。
【0051】
一方、増光処理中に人が調光制御エリア内に滞在しないで通り抜けた場合、すなわち緩やかなあるいは急激な増光処理を実行中のステップ204あるいはステップ215において、当該調光制御エリアに人が存在する状態から存在しない状態に変化した場合の制御内容について説明する。
緩やかな増光処理を実行中、このフローチャートのステップ204において、当該調光制御エリアに進入した人が当該エリア外に退去したと判断されたとき、タイマをカウントダウンした上で、調光制御エリア内に人が滞在しないことを条件として(ステップ213)、タイマがゼロに戻るまで減光処理を実行する(ステップ211〜214)。なお、減光処理中に調光制御エリア内のいずれかの人検知センサが人を検知したときは、ステップ202にリターンして再度増光処理を実行する。
【0052】
また、急激な増光処理を実行中のステップ207において、当該検知エリアに進入した人が退去したと判断されたときは、調光制御エリア内に人が滞在しないことを条件として(ステップ216)、照明装置の照度が例えば250lx程度の低照度になるまで減光処理を実行する(ステップ215)。なお、減光処理中に調光制御エリア内のいずれかの人検知センサが人を検知したときは、ステップ207にリターンして再度増光処理を実行する。
【0053】
この照明制御は、複数の検知エリアを1つの調光制御エリアとするコントローラが、同じ調光制御エリア内の複数の人検知センサの検知信号に基づいて、同じ区画を照明エリアとする一群の照明装置を他のコントローラとは独立して一括して照明制御するものである。
【実施例3】
【0054】
この実施例の一群の照明装置の調光出力値すなわち照度は、各人検知センサの個々の滞在情報にしたがって人検知センサ毎に個別に設定される点に特徴があるが、調光出力値が所定時間あるいは所定照度に達するまで緩やかな傾きにて増光され、その後は急な傾きにて増光されるにおいては、実施例1、実施例2と同じである。
この実施例は、ある人検知センサの検出情報により制御していた調光出力値を共有化する、すなわち共有出力値を保存することにより、同じ調光制御エリアに属する他の人検知センサが人が滞在することを知らせる検知情報を出力したとき、当該他の人検知センサの調光出力値と保存されていた共有出力値を比較して、いずれか大きい値を優先して調光制御を行う。これにより、増光/減光の繰り返しを防止するとともに、人が進入してから適正照度点灯となる時間(t1+t2+・・・)を最小化することができる。
【0055】
上記機能の要旨を箇条書きにすると、
・新たに滞在状態となった他の人検知センサの調光出力値<共有出力値の場合、共有出力値を調光出力値として保持する。
・新たに滞在状態となった他の人検知センサの調光出力値≧共有出力値の場合、新たな人検知センサの調光出力値を採用する。
ということになる。
【0056】
ここで、他の実施例と同様に、進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3⇒退去の順序で通り抜けた際の調光制御を図12に示す。
先ず、初期状態においては全ての人検知センサが不在状態を出力しているため、共有出力値は低照度点灯とされている。その後人が検知エリア丸1に進入したことに伴い、人検知センサ丸1が滞在情報を出力するが、人検知センサ丸1に基づく調光出力値/照度が共有出力値(低照度)より大きいため、人検知センサ丸1に基づく調光出力値が優先されて、人検知センサ丸1の滞在情報にしたがいコントローラにて設定される調光出力値/照度は緩やかに上昇する。
【0057】
その後人が検知エリア丸1から丸2に移動すると、人検知センサ丸1が不在情報を出力するとともに、このときの調光出力値(図12のδ)を共有出力値として共有出力値記憶メモリーに保存する。
そして新たに人検知センサ丸2が滞在情報を出力することとなる。
このときの人検知センサ丸2の滞在情報に基づく調光出力値は、増光を開始したばかりでほぼ低照度であるから、人検知センサ丸2の調光出力値/照度<共有出力値となる。このため、照明装置の調光出力値/照度は共有出力値(図12のδ)を維持する。
【0058】
次に、人検知センサ丸2が不在情報を出力すると同時に人検知センサ丸3が滞在情報を出力することとなるが、このときも人検知センサ丸3の滞在情報に基づく調光出力値/照度<共有出力値となるため、一群の照明装置の調光出力値/照度は共有出力値(図12のδ)を維持することとなる。
その後、人検知センサ丸3が不在情報を出力することとなり、1つの調光制御エリア内で連携している全ての人検知センサが不在情報を出力することとなったため、人検知センサ丸3に伴う調光出力値/照度にしたがって、照明装置は減光され最終的には低照度の点灯に調光制御される。
【0059】
また、人が検知エリア丸1に進入⇒そのまま丸1に滞在した場合の調光制御を図13に示す。
人が検知エリア丸1に進入してから所定時間t1に達するまで当該エリアに滞在するときは傾き変化点の照度αとなるまで傾きaで増光制御し、さらに当該検知エリア丸1に滞在し続けるときは適正照度βとなるまで傾きbにて増光制御する。
つまりこの実施例は、人が進入してから適正照度点灯となるまでの時間(t1+t2)を、各人検知センサの検知エリア単位で設定しているのである。
【0060】
さらに、人が進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3(滞在)と移動した場合の照明制御を図14に示す。
この例では、共有出力値記憶手段に保存されている共有出力値である人検知センサ丸1に基づく調光出力値が、新たに検知された人検知センサ丸2に基づく調光出力値より大きいので、この値が優先的に採用されてこの図の最も下方に示す水平線で示される調光出力値にて調光制御される。
そして、丸3の人検知センサの検知エリアにて滞在している間に、丸3の人検知センサに基づく調光出力値が上記した共有出力値を上回り、再び執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内の傾きaで増光制御され、人を検知してから所定時間(t1)経過後、執務に適した適正照度まで急激に増大する傾きbで調光制御されて適正照度に達する。
人が検知エリア丸1に進入⇒そのまま丸1に滞在した場合あるいは人が進入⇒丸1⇒丸2⇒丸3(滞在)と移動した場合のいずれの場合も、滞在後は速やかに適正照度まで増光され、通り抜け時以外の長時間滞在を検出した場合においても調光制御が正常に行われることが理解できる。
【0061】
このように、本実施例の通り抜け制御では、1つの照明制御エリア内の複数の人検知センサの現在と過去の出力情報に基づく調光出力値を比較して処理することにより、照度の頻繁な増光/減光や急激な高照度点灯による周辺執務者への不快感を与えたり無駄なエネルギー消費を生じることなく、的確な照明の制御を行うことができる。
【0062】
以上のようにこの実施例は、人が進入してから適正照度点灯となるまでの時間(t1+t2+・・・)を、各人検知センサの検知エリア単位で設定している。
このため、上記適正照度となるまでの時間は、調光制御エリアの広さ、すなわち人検知センサの連携台数、によらず一定であることから,センサ1台程度の狭いエリアからセンサ数十台分の広いエリアまで、的確な通り抜け制御を行うことができる。
【0063】
次いで、図15と図16のフローチャートに基づいて制御手順を説明する。
図15のフローチャートは、単位区画を検知領域として単位区画毎に1つずつ配設された複数の人検知センサを対象として、人検知センサを個々に特定して並行して実行されるセンササブルーチンを示している。
ここでは、人検知センサ丸1を例にして説明する。
【0064】
電源投入時人検知センサのいずれもが人の存在を検知していないので、タイマの時間t1をゼロ、コントローラの調光出力値を例えば250lx程度の低照度に初期設定する(ステップ300)。
コントローラは調光制御エリア内の検知エリアの全てを個々に特定して、各エリアに人が進入・滞在しているか否か同時並行的に、所定時間継続的にウォッチング(ステップ301)しており、人検知センサ毎に人の存在を検知するまで無限ループを実行している。
そして、例えば人検知センサ丸1が人を検知した(ステップ301YES)とき、各調光制御エリアに1台設置されたコントローラに人検知センサの台数に応じて内蔵され、人検知センサ丸1用に設定されたタイマをカウントアップし始め(ステップ302)、一群の照明装置の調光出力を、上記したオフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚しない範囲、すなわち図13の時間t1に対応する傾きaで照度を上げる増光処理を行う(ステップ303)。
その後、人が滞在することを検知していた人検知センサ丸1が人を検知し続けているか否か判断し(ステップ304)、当該検知エリアに人が滞在し続けているときはタイマが所定時間、上記例では10秒、に達していないことを条件として(ステップ305)ステップ302に戻って増光処理を所定時間に達するまで、無限ループを繰り返し実行して上記の傾きaで緩やかに増光するように調光出力値を再設定していく。
【0065】
上記した増光処理とタイマのカウントアップを繰り返し実行した結果所定時間に達したとき、上記図13の照度を示す右側の傾きbで示すように、増光割合である増光率を執務者が明るさの変動を知覚しない範囲を慮外とする急激な照度のアップを図る増光率に変更して(ステップ306)、照度が例えば700〜800lxの設定した適正照度に達するまで増光処理を継続(ステップ307〜309)して、人が当該検知エリアに進入し滞在を継続するときは、最終的には適正照度に増光してその調光出力値・照度を維持する(ステップ310)。
【0066】
一方、増光処理中に人が退去して通り抜けた場合、すなわち緩やかなあるいは急激な増光処理を実行中のステップ304あるいはステップ308において、当該検知エリアに人が存在する状態から存在しない状態に変化した場合の制御内容について説明する。
緩やかな増光処理を実行中、このフローチャートのステップ304において、当該検知エリアに進入した人が当該エリア外に退去したと判断されたとき、タイマをカウントダウン(ステップ311)した上で、当該検知エリア内に人が滞在しないことを条件として(ステップ313)、タイマがゼロに戻るまで減光処理を実行する(ステップ311〜314)。なお、減光処理中に当該人検知センサ丸1が人を再度検知した(ステップ313NO)ときは、ステップ302にリターンして再度増光処理を実行する。
【0067】
また、急激な増光処理を実行中のステップ308において、当該検知エリアに進入した人がエリア外に退去したと判断されたときは、当該検知エリア内に人が滞在しないことを条件として(ステップ316)、照明装置の照度が例えば250lx程度の低照度になるまで減光処理を続行する(ステップ315)。
なお、減光処理中に当該人検知センサ丸1が人を再度検知した(ステップ316)ときは、ステップ307にリターンして再度増光処理を実行する。
【0068】
このセンササブルーチンの調光出力処理によって得られた照度情報は、後述する次の調光制御サブルーチンの情報として活用される。
【0069】
次いで、図16を参照して、一群の照明装置に対して一括して行う調光制御サブルーチンについて説明する。
電源投入時人検知センサのいずれもが人の存在を検知していないので、各人検知センサについてタイマの時間t1をゼロ、コントローラの調光出力値を例えば250lx程度の低照度に初期設定する(ステップ400)。
次いで、調光制御エリア内の全ての人検知センサを対象として、滞在情報を出力する人検知センサがあるか否か調べる(ステップ401)。
【0070】
例えば人検知センサ丸1が滞在情報を出力したとき(ステップ401YES)、その人検知センサ丸1が不在状態となるまで、上記したセンササブルーチンを実行して得られた人検知センサ丸1に基づいた調光出力値により、一群の照明装置を点灯する(ステップ402、403の無限ループ)。
つまり、人検知センサ丸1に基づく調光出力値は、上記したセンササブルーチンの実行により時々刻々変化しており、ステップ402ではコントローラがこの値を用いて調光制御する。
【0071】
その後人検知センサ丸1が不在となったとき(ステップ403YES)は、その時の調光出力値を共有出力値記憶メモリーに照度Aとして保存(ステップ404)し、人検知センサ丸1の他に滞在となった人検知センサがないか確認する(ステップ405)。他に滞在となった人検知センサがない(全センサが不在)ときは、低照度となるまで上記センササブルーチンを実行して設定された人検知センサ丸1の調光出力値により調光制御する。
低照度となったときは、ステップ400にリターンする。
【0072】
一方、ステップ408において低照度となる前に他の人検知センサ、例えば人検知センサ丸2と丸4が滞在となったときは、新たに滞在状態となった人検知センサ丸2と丸4に基づく調光出力値のうち大きい方の調光出力値を照度Bとして定義する(ステップ406)。
上記した不在となった人検知センサ丸1に基づく照度Aと、新たに滞在を検知した人検知センサに基づく照度Bとを比較する(ステップ407)。
その結果、照度Bが照度Aより小さいとき(ステップ408NO)は、ステップ404に戻って、今まで滞在を検知していた人検知センサ丸1に基づく照度Aにて調光制御し、一方、照度Bが照度Aを上回ったとき(ステップ408YES)は、ステップ402に戻って新たに滞在を検知した人検知センサについて上記センササブルーチンで設定された調光出力値(照度B)にて調光制御する。
つまり、人検知センサ丸2または丸4の調光出力値(照度B)が、共有出力値記憶メモリーに保存されていた共有出力値(照度A)を上回るまでは、ステップ404〜408の無限ループを実行して照度Aによる調光制御を継続する。
このことにより、図14の調光出力値を表すグラフの水平線で示されるように、新たな人検知センサの調光出力値が照度Aよりも大きくなるまでは、照度が一定に保たれ乱高下することを防止している。
【0073】
そして人検知センサ丸2または丸4に基づく調光出力値が共有出力値を上回った後(照度B>照度A)においては、一群の照明装置は人検知センサ丸2または丸4に基づく調光出力値が優先されて照度Bにて調光制御される(ステップ402〜403の無限ループへ移行)。
この結果、図14の調光出力値を表すグラフの水平線に続く傾きaで増光し、所定時間(t1)経過後急激な傾きbにて適正照度まで増光する。
【0074】
ステップ405において、人検知センサ丸2または丸4に基づく調光出力値(照度B)が共有出力値記憶メモリーに保存していた共有出力値(照度A)を上回る前に、全ての人検知センサが不在となったとき(ステップ405NO)は、照度が低照度になるまで減光処理を実行(ステップ404〜410NOの無限ループ)し、照度が低照度になったらステップ400にリターンする。
【0075】
以上説明したセンササブルーチンと調光制御サブルーチンとは、本実施例では同時並行で実行することとしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を分割した単位区画を照明領域とする照明装置と、
前記単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、
前記各照明装置の調光出力をそれぞれ制御するコントローラと、
から構成される照明制御システムにおいて、
前記高精度人体検知センサは、
前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、
該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、
該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、
前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、
から構成され、
前記コントローラは、
前記高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、
前記高精度人体検知センサからの信号を演算処理して前記照明装置の調光出力を制御する演算処理手段と、
から構成され、
前記高精度人体検知センサから人が滞在する旨の信号を受信した照明領域の照明装置の調光出力を、所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行う照明制御システム。
【請求項2】
所定の区画を照明領域とする一群の照明装置と、
前記区画をさらに分割した単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、
前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御するコントローラと、
から構成される照明制御システムにおいて、
前記高精度人体検知センサは、
前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、
該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、
該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、
前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、
から構成され、
前記コントローラは、
1つの照明制御エリア内の複数の高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、
1つの照明制御エリア内のいずれかの高精度人体検知センサから入力された信号が人の存在を示す存在時間を累計して計測するタイマと、
高精度人体検知センサから入力された信号を演算処理して一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、
から構成され、
人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサがあるセンサから該センサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動したとき、前記タイマは、前記他のセンサの人の存在時間を前記あるセンサの人の存在時間を加算して計測して、人が存在することを示す信号を受信した照明領域の一群の照明装置の調光出力を、前記タイマの計測時間が所定時間に達するかまたは調光出力値が所定値に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記所定時間または前記所定値に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行う照明制御システム。
【請求項3】
所定の区画を照明領域とする一群の照明装置と、
前記区画をさらに分割した単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、
前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御するコントローラと、
から構成される照明制御システムにおいて、
前記高精度人体検知センサは、
前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、
該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、
該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、
前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、
から構成され、
前記コントローラは、
前記複数の高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、
人が存在することを示す信号を送信する高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他の検知領域のセンサに移動したとき、あるセンサの最後の調光出力値を書き換え保存する共有出力値記憶手段と、
前記高精度人体検知センサから入力された信号を演算処理して前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、
から構成され、
人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動した場合、他のセンサに基づく調光出力値と前記共有出力値記憶手段に保存されている共有出力値とを比較し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より大きいとき、共有出力値を出力し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より小さいとき、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行う照明制御システム。
【請求項1】
室内を分割した単位区画を照明領域とする照明装置と、
前記単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、
前記各照明装置の調光出力をそれぞれ制御するコントローラと、
から構成される照明制御システムにおいて、
前記高精度人体検知センサは、
前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、
該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、
該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、
前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、
から構成され、
前記コントローラは、
前記高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、
前記高精度人体検知センサからの信号を演算処理して前記照明装置の調光出力を制御する演算処理手段と、
から構成され、
前記高精度人体検知センサから人が滞在する旨の信号を受信した照明領域の照明装置の調光出力を、所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行う照明制御システム。
【請求項2】
所定の区画を照明領域とする一群の照明装置と、
前記区画をさらに分割した単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、
前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御するコントローラと、
から構成される照明制御システムにおいて、
前記高精度人体検知センサは、
前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、
該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、
該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、
前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、
から構成され、
前記コントローラは、
1つの照明制御エリア内の複数の高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、
1つの照明制御エリア内のいずれかの高精度人体検知センサから入力された信号が人の存在を示す存在時間を累計して計測するタイマと、
高精度人体検知センサから入力された信号を演算処理して一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、
から構成され、
人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサがあるセンサから該センサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動したとき、前記タイマは、前記他のセンサの人の存在時間を前記あるセンサの人の存在時間を加算して計測して、人が存在することを示す信号を受信した照明領域の一群の照明装置の調光出力を、前記タイマの計測時間が所定時間に達するかまたは調光出力値が所定値に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記所定時間または前記所定値に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行う照明制御システム。
【請求項3】
所定の区画を照明領域とする一群の照明装置と、
前記区画をさらに分割した単位区画を検知領域として単位区画毎に配設された高精度人体検知センサと、
前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御するコントローラと、
から構成される照明制御システムにおいて、
前記高精度人体検知センサは、
前記検知領域を所要の精度で検知し得る赤外線検出部と、
該赤外線検出部から入力されたアナログ信号の処理を行う信号処理部と、
該信号処理部から入力された信号をデータ処理して前記検知領域内に人が存在するか否か判定する演算処理部と、
前記コントローラとの情報の送受信を行う入出力部と、
から構成され、
前記コントローラは、
前記複数の高精度人体検知センサとの情報の送受信を行う入出力手段と、
人が存在することを示す信号を送信する高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他の検知領域のセンサに移動したとき、あるセンサの最後の調光出力値を書き換え保存する共有出力値記憶手段と、
前記高精度人体検知センサから入力された信号を演算処理して前記一群の照明装置の調光出力を一括して制御する演算処理手段と、
から構成され、
人が存在することを示す信号を送信する前記高精度人体検知センサが、あるセンサからそのセンサの照明領域と同一の領域内の他のセンサに移動した場合、他のセンサに基づく調光出力値と前記共有出力値記憶手段に保存されている共有出力値とを比較し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より大きいとき、共有出力値を出力し、共有出力値が他のセンサに基づく調光出力値より小さいとき、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達するまで、オフィスにおける執務者が明るさの変動を知覚することができない明るさ変動比の範囲内で緩やかに連続して増大し、前記他の検知領域における滞在または照度が所定時間または所定照度に達した後、執務に適した適正照度まで急激に増大する制御を行う照明制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−89548(P2013−89548A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231447(P2011−231447)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000220907)東光電気株式会社 (73)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000220907)東光電気株式会社 (73)
【Fターム(参考)】
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