説明

照明制御端末

【課題】 仕様の変更が容易な照明制御端末を提供する。
【解決手段】 照明制御端末たる調光操作卓1を、伝送路を介して調光器に接続されるメインモジュール3と、それぞれメインモジュール3に接続されるサブモジュール4とで構成した。各サブモジュール4はそれぞれ使用者によって操作される操作部を有する。操作部の種類が互いに異なる複数種類のサブモジュール4を必要に応じて着脱し、又はサブモジュール4の配置を変更することにより、容易に仕様を変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、それぞれ1乃至複数個の照明負荷を制御する1乃至複数個の負荷側端末と、各負荷側端末に対して照明負荷の制御を指示する制御信号を出力する照明制御端末とを備える照明制御システムに用いられる照明制御端末が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の照明制御端末として、図6に示すように、複数個の照明負荷Lに接続され各照明負荷Lをそれぞれ点灯・消灯及び調光制御する負荷側端末としての調光器2に接続される調光操作卓1が、舞台やスタジオの照明に用いられている。
【0004】
調光操作卓1と調光器2とは伝送路(図示せず)を介して互いに接続されている。調光操作卓1は、図7に示すように、それぞれ使用者によって操作されるスイッチやフェーダ等の操作手段を複数個備える操作部11と、操作部11に加えられた操作に応じた制御信号を生成する制御信号生成部12と、制御信号生成部12で生成された制御信号を伝送路を介して調光器2に送信する伝送部13とを有し、調光器2は伝送路を介して調光操作卓1から受信された制御信号に応じて各照明負荷Lをそれぞれ制御する。
【0005】
また、調光操作卓1は、各照明負荷Lを個別に制御する個別制御の他、予め選択された複数個の照明負荷L(いわゆるパッチ)に対して共通の制御を行うグループ制御や、予め選択された複数個の照明負荷Lの光出力を予め照明負荷L毎に設定された一定値とすることで特定の照明シーンを実現するパターン制御や、予め設定されたタイムスケジュールに沿って複数のパターン制御を順に実行するチェイス制御などを可能とするため、照明負荷Lと操作手段との対応関係やパターン制御・チェイス制御の内容が格納される記憶部14を備える。また、操作部11には、照明負荷Lの個数や上記各種制御に応じた数の操作手段が設けられている。パターン制御やチェイス制御の内容の入力は、例えば個別制御用の操作手段やパターン制御用の操作手段を用いて行われる。
【特許文献1】特開2002−289378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、照明制御端末において、個別に制御する照明負荷の個数や行われる制御の種別が多いと、それだけ多くの操作手段が必要になる。操作性を確保して誤操作を防ぐためには各操作手段にそれぞれ一定の面積を確保する必要があるから、操作手段の個数が多いと調光操作卓1が大型化する。
【0007】
しかし、例えば、個々の照明負荷Lに対応した個別制御用の操作手段がパターン制御やチェイス制御の内容を入力するときにのみ用いられる場合には、入力されたパターン制御やチェイス制御を行う段階では個別制御用の操作手段は不要となる。また、個別制御を行う場合であっても、照明負荷Lの数が個別制御用の操作手段の数に対して少ない場合、個別制御用の操作手段の一部は不要となる。このように、個々の場面で実際に使用される操作手段はそれぞれ異なる。そして、不要な操作手段は、邪魔になり、あるいは使用者の混乱を招き、操作性の低下に繋がる。
【0008】
また、操作性の向上のためには、操作される頻度が高い操作手段が、使用者の近くなど操作しやすい位置に配置されることが望ましいが、どの操作手段の操作される頻度が高いかも場面によって異なる。
【0009】
従来は、すべての操作手段が一体の調光操作卓1に設けられていたため、個別に制御可能な照明負荷Lの最大数や、制御の種類や、操作手段の配置といった仕様の変更が不可能であった。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、仕様の変更が容易な照明制御端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、それぞれ1乃至複数個の照明負荷を制御する1乃至複数個の負荷側端末と、各負荷側端末に対して照明負荷の制御を指示する制御信号を出力する照明制御端末とを備える照明制御システムに用いられる照明制御端末であって、メインモジュールと、それぞれメインモジュールに接続された少なくとも1個のサブモジュールとを備え、各サブモジュールは、それぞれ、使用者によって操作される少なくとも1個の操作手段を有する操作部と、操作部に加えられた操作に応じた操作信号を生成する操作信号生成部と、操作信号生成部から出力された操作信号をメインモジュールに送信する通信部と、操作部及び通信部をそれぞれ保持するとともに操作信号生成部を収納したハウジングとを個々に有し、メインモジュールは、サブモジュールの通信部との間で通信を行う通信部と、サブモジュールから送信され通信部に受信された操作信号に応じて制御信号を生成する制御信号生成部と、制御信号生成部によって生成された制御信号を負荷側端末に出力する制御信号出力部と、通信部及び制御信号出力部をそれぞれ保持するとともに制御信号生成部を収納したハウジングとを有することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、必要に応じてサブモジュールを着脱することにより、容易に仕様を変更することができる。また、状況に応じて、不要なサブモジュールを取り外すことや、操作される頻度が高いサブモジュールをより操作しやすい位置に配置するなど各サブモジュールの配置を適宜変更することで、操作性を向上することできる。さらに、使用頻度の低いサブモジュールを複数の照明制御システムで共用することで、設備コストを低減することができる。また、サブモジュールに故障が発生した場合には、故障が発生したサブモジュールを交換するだけで復旧することができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、各操作手段にはそれぞれ固有の識別番号が付され、操作信号には操作された操作手段の識別番号が含まれることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、制御信号生成部が、例えば操作信号において操作手段の状態を示す部分のみにより操作手段を識別する場合に比べ、より多くの操作手段を識別することができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、メインモジュールは、制御信号生成部が制御信号を生成する際にその制御信号による制御後の各照明負荷の状態を演算するとともに演算の結果を示す表示用信号を生成して通信部から所定のタイミングで全てのサブモジュールに送信させる演算部を有し、各サブモジュールは、それぞれ、表示用信号に基づいて少なくとも1個の照明負荷の状態を表示する表示部を有することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、使用者は表示部を参照することで照明負荷の状態を把握することができる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、各サブモジュールは、それぞれ、通信部がメインモジュールの通信部と通信可能か通信不可能かを判定する接続判定部を有し、操作信号生成部は、接続判定部による判定が通信不可能であるときに、操作部の全ての操作手段の状態を示す操作信号を生成して通信部から送信させ、メインモジュールの通信部は、操作信号が受信されたときに、操作信号を送信したサブモジュールへ所定の確認信号を送信し、接続判定部は、通信不可能と判定しているときに通信部に確認信号が受信されれば判定を通信可能に切り替え、通信可能と判定しているときに操作信号の送信後所定時間が経過しても確認信号が受信されなければ判定を通信不可能に切り替えることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、新たに接続されたサブモジュールの操作部の状態に応じて照明負荷を制御することができる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、メインモジュールの通信部は1個のレセプタクルを有し、各サブモジュールはそれぞれ2個のレセプタクルを有し、メインモジュールと各サブモジュールとはそれぞれレセプタクルに接続されるプラグが両端に設けられたケーブルを介してディジーチェーン形に接続され、各サブモジュールは、それぞれ、メインモジュール側に接続される一方のレセプタクルを、他方のレセプタクルと通信部との一方に択一的に接続する切替手段を有し、切替手段は、操作信号が送信されるときに上記一方のレセプタクルと通信部とを接続する状態に切り替わり、操作信号の送信が完了したときにレセプタクル同士を接続する状態に切り替わることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、ハブを用いてメインモジュールと各サブモジュールとをスター形に接続する場合に比べ、必要なケーブルの本数が少なくなる。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、複数個のレセプタクルを有するハブを備え、メインモジュールの通信部と各サブモジュールの通信部とはそれぞれレセプタクルを有し、メインモジュールと各サブモジュールとは、それぞれ、レセプタクルに接続されるプラグが両端に設けられたケーブルを介してハブに接続され、各サブモジュールの通信部はそれぞれハブを介してメインモジュールの通信部に接続されることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、請求項5の発明に比べ、サブモジュールの除去が容易となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、照明制御端末が、メインモジュールとサブモジュールとで構成されているので、必要に応じてサブモジュールを着脱することにより容易に仕様を変更することができる。また、状況に応じて、不要なサブモジュールを取り外すことや、操作される頻度が高いサブモジュールをより操作しやすい位置に配置するなど各サブモジュールの配置を適宜変更することで、操作性を向上することできる。さらに、使用頻度の低いサブモジュールを複数の照明制御システムで共用することで、設備コストを低減することができる。また、サブモジュールに故障が発生した場合には、故障が発生したサブモジュールを交換するだけで復旧することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施形態1)
本実施形態における照明制御端末である調光操作卓1は、図1に示すように、メインモジュール3と、それぞれディジーチェーン形にメインモジュール3に接続された少なくとも1個(図では3個)のサブモジュール4とを備える。メインモジュール3とサブモジュール4、及び、互いに隣接するサブモジュール4間は、それぞれケーブル6を介して接続されている。各ケーブル6の両端には、それぞれ、メインモジュール3と各サブモジュール4とにそれぞれ設けられたレセプタクル51に対して着脱自在に接続されてコネクタ5を構成するプラグ(図示せず)が設けられている。各サブモジュール4の電源は、メインモジュール3とは別途に供給されるようにしてもよいし、メインモジュール3からケーブル6を介して供給されるようにしてもよい。なお、照明システムにおいて本実施形態と共に用いられる調光器2や照明器具Lの構成は図6で説明した従来例と共通であるので、これらについては図示並びに詳細な説明を省略する。
【0026】
各サブモジュール4は、それぞれ、図2に示すように、使用者によって操作される少なくとも1個の操作手段(図示せず)を有する操作部41と、操作部41に加えられた操作に応じた操作信号を生成する制御部42と、メインモジュール2に接続され制御部42によって生成された操作信号をメインモジュール2に送信する通信部43と、制御部42を収納したハウジング(図示せず)とを個々に有する。つまり、制御部42が請求項における操作信号生成部である。通信部43には、ケーブル6に設けられたプラグとともにコネクタ5を構成するレセプタクル51が2個ずつ設けられている。サブモジュール4のハウジングは、操作手段とレセプタクル51とをそれぞれ露出させて操作部41と通信部43とをそれぞれ保持する。レセプタクル51の一方は直接又は他のサブモジュール4を介してメインモジュール3に接続され、レセプタクル51の他方は他のサブモジュール4に接続される。
【0027】
また、各サブモジュール4は、それぞれ、メインモジュール3に接続されるレセプタクル51を他方のレセプタクル51と通信部43との一方に択一的に接続する切替手段としての切替スイッチ45を備える。具体的に説明すると、切替スイッチ45は制御部42によって制御され、通常はレセプタクル51同士を接続した状態を維持し、操作信号が送信されるときに通信部43側へ接続を切り替え、後述する確認信号が通信部43に受信されたときにレセプタクル51同士を接続した状態に戻る。これにより、各サブモジュール4の通信部43は、それぞれ、操作信号の送信を開始してから確認信号の受信が完了するまでの期間のみ直接又は他のサブモジュール4を介してメインモジュール3に接続され、それ以外は他のサブモジュール4をメインモジュール3に接続しつつ自身の通信部43はメインモジュール3から切り離された状態を維持する。
【0028】
ここで、操作手段としては、例えば、調光のような連続的な制御には、スライダやノブのような操作用のハンドルを有する直線操作形や回転形の可変抵抗器からなるフェーダやエンコーダを用いることができ、照明負荷Lのオンオフのような切替制御には、押しボタンスイッチやトグルスイッチなどのスイッチを用いることができる。操作手段としては、上記の他、液晶モニタなどの表示装置に表示されたボタンやスライダをタッチパネルやマウスによって操作する周知の入力装置を用いてもよい。
【0029】
メインモジュール3は、図3に示すように、サブモジュール4と同様の操作部31と、着脱自在なコネクタ5とケーブル6とを介してサブモジュール4に接続された通信部33と、操作部31の操作手段に加えられた操作や通信部32に受信された操作信号に応じて制御信号を生成する制御部32と、制御部32によって生成された制御信号を伝送路を介して調光器2に送信する制御信号出力部としての伝送部35と、制御部32を収納したハウジング(図示せず)とを有する。通信部33には、サブモジュール4の通信部43と同様のレセプタクルが1個設けられている。メインモジュール3のハウジングは、伝送部35において伝送路が接続される部位と操作手段とレセプタクルとをそれぞれ露出させて操作部31と通信部33と伝送部35とをそれぞれ保持する。
【0030】
調光器2は、伝送路を介してメインモジュール3から受信された制御信号に応じて照明負荷Lを制御する。
【0031】
以下、メインモジュール3及びサブモジュール4の動作を具体的に説明する。
【0032】
サブモジュール4の制御部42は、操作部41の各操作手段の状態を定期的に記憶するとともに各操作手段の状態をそれぞれ前回記憶された状態と比較しており、比較の結果、いずれかの操作手段の状態が変化していたとき、すなわち操作手段が操作されていたときに、その操作手段の変化後の状態を示す操作信号を生成して通信部43から送信させる。つまり、制御部42が請求項における操作信号生成部である。操作信号において、操作手段の状態は、例えば操作手段が可変抵抗器からなる場合にはその両端電圧によって表され、操作手段がスイッチからなる場合にはそのオンオフに応じた電圧で表される。操作手段が可変抵抗器からなる場合のように操作手段の状態が連続的な量で表される場合、操作信号において、操作手段の状態は、アナログ信号で表現されてもよいし、デジタル信号に変換されてもよい。
【0033】
メインモジュール2の制御部32は、通信部33に操作信号が受信されると、所定の確認信号を通信部33からサブモジュール4へ送信させる。そして、サブモジュール4の制御部42は、操作信号の送信後、所定時間内に確認信号が通信部43に受信されなければ、操作信号を通信部43から再度送信させる。
【0034】
また、メインモジュール3の制御部32は、操作部31の各操作手段の状態を定期的に記憶するとともに各操作手段の状態をそれぞれ前回記憶された状態と比較しており、比較の結果、いずれかの操作手段の状態が変化していたとき、その操作手段の変化後の状態に応じた制御信号を生成して伝送部35から伝送路を介して調光器2へ送信させる。また、通信部33に操作信号が受信されたときには、制御部32は、既に述べたように確認信号を通信部33からサブモジュール4へ送信させるとともに、受信された操作信号に応じた制御信号を生成して伝送部35から伝送路を介して調光器2へ送信させる。調光器2は、受信された制御信号に基づいて各照明負荷Lをそれぞれ制御する。
【0035】
ここで、サブモジュール4の各操作手段にはそれぞれ固有の識別番号が割り当てられており、操作信号には、操作された操作手段の識別番号が含まれる。また、照明負荷Lは予め付された回路番号(いわゆる制御チャンネル)毎に制御されるものであって、メインモジュール3の制御部32において、各操作手段はそれぞれ少なくとも1個の回路番号に対応付けられており、制御信号は、操作された操作手段に対応する回路番号に属する照明負荷Lを対象として操作の内容に応じた点灯・消灯や調光といった制御を行うように調光器2に指示するものである。操作手段の識別番号は、操作手段の種別毎に予め決定された変更不可能なものであってもよいし、識別番号が入力される識別番号設定部をメインモジュール3や各サブモジュール4に設けて使用者が設定可能としてもよい。また、操作手段の識別番号と照明負荷Lの回路番号との対応関係が入力される関係設定部をメインモジュール3に設けてもよい。
【0036】
また、操作手段には、個別制御を行わせる個別制御用のもの、グループ制御を行わせるグループ制御用のもの、パターン制御を行わせるパターン制御用のもの、チェイス制御の実行や停止を指示するチェイス制御用のものなどがある。操作手段のうち、パターン制御用のものと、個別制御用やグループ制御用のものと、チェイス制御用のものとは、互いに異なるサブモジュール4に設けられている。さらに、サブモジュール4には、パターン制御やチェイス制御の内容を入力・編集するためのものがあり、このサブモジュール4の操作部41に特定の操作を行ったときに出力される操作信号により、個別制御用の操作手段やパターン制御用の操作手段を用いてパターン制御やチェイス制御の内容を入力・編集することが可能となるように、メインモジュール3の動作モードを切り替えることができる。メインモジュール3には、入力されたパターン制御やチェイス制御の内容が格納される記憶部36が設けられている。
【0037】
また、メインモジュール3は、制御部32によって制御されて操作手段に対応した照明負荷Lの状態を表示する表示部34を備える。照明負荷Lの状態とは、点灯・消灯の別や、調光比などであって、表示部34としては、例えば操作手段の近傍に配置された発光ダイオードとその駆動回路とからなり該操作手段に対応する照明負荷Lが点灯しているときに発光ダイオードを点灯させるものや、デジタル表示盤とその駆動回路とからなり操作手段が対応付けられた照明負荷Lの回路番号を表示するものや、液晶モニタを用いるものなどが考えられ、これらの複数を組み合わせて用いてもよい。メインモジュール3の制御部32は、制御信号を送信させる際に、送信される制御信号による制御が行われた後の各照明負荷Lの状態を演算し、この演算結果に基づいて表示部34を制御し、少なくとも自らが有する操作部31の操作手段に対応する各照明負荷Lの状態を表示させる。また、パターン制御用の操作手段やチェイス制御用の操作手段を有する場合には、どのパターン制御が実行されているかや、どのチェイス制御のどの段階が実行されているかが表示部34に表示されるようにしてもよい。
【0038】
また、各サブモジュール4は、それぞれ表示部44を備える。サブモジュール4の表示部44は、例えば、スイッチのオンオフやエンコーダに加えられた操作量などの操作手段の状態や、操作手段に対応する照明負荷Lの回路番号を表示するものである。
【0039】
上記のようなメインモジュール3及びサブモジュール4の各構成はそれぞれ周知技術で実現可能であるので、詳細な図示及び説明は省略する。
【0040】
上記構成によれば、メインモジュール3に接続するサブモジュール4を追加・除去又は変更することにより、調光操作卓1の仕様を容易に変更することができる。
【0041】
従って、例えば、演出を検討するときなど各照明負荷Lを個別に制御したいときは操作手段を多く有する個別制御用のサブモジュール4を使用し、演劇のように一定のタイムスケジュールで照明負荷Lが制御される場合にはチェイス制御用のサブモジュール4を使用し、ライブコンサートなどでアドリブやアンコールに応じたパターン制御を臨機応変に行いたいときはパターン制御用のサブモジュール4を使用し、不要なサブモジュール4は取り外すことができる。また、個別制御を行う場合には、個別に制御される照明負荷Lの数(使用される回路番号の個数)に応じて、用いる個別制御用のサブモジュール4の大きさや個数を適宜調整することができる。
【0042】
また、状況に応じて、不要なサブモジュール4を取り外すことや、操作される頻度が高いサブモジュール4をより操作しやすい位置に配置するなど各サブモジュール4の配置を適宜変更することで、操作性を向上することできる。
【0043】
さらに、使用頻度の低いサブモジュール4を複数の照明制御システムで共用することで、設備コストを低減することができる。
【0044】
また、サブモジュール4において故障が発生した場合には、故障が発生したサブモジュール4を交換するだけで復旧することができる。
【0045】
さらに、サブモジュール4はメインモジュール3に固定されていないから、設置される空間の形状に合わせてメインモジュール3に対するサブモジュール4の位置を適宜調整することにより、空間を有効に利用することができる。
【0046】
(実施形態2)
本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であるので、共通する部分については同じ符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0047】
本実施形態では、メインモジュール3とサブモジュール4との接続の形態が実施形態1と異なり、図4に示すように各サブモジュール4をそれぞれハブHを介してメインモジュール3に接続するいわゆるスター形としている。ハブHは複数個(図では8個)のレセプタクル51を有する。図4の例では、メインモジュール3が接続されたハブHにさらに別のハブH’を接続し、このハブH’にもサブモジュール4を接続している。ハブH,H’はそれぞれ周知のスイッチングハブであって、通常は全てのサブモジュール4をメインモジュール3に接続し、あるサブモジュール4から操作信号が入力されてからそのサブモジュール4に確認信号が出力されるまでの期間には他のサブモジュール4からの操作信号の入力を遮断する。サブモジュール4においては、図5に示すように、ハブH,H’の使用に伴って不要となった一方のレセプタクル51や切替スイッチ45を省いている。
【0048】
また、メインモジュール3の制御部32は、表示部34を制御する際の演算によって得られた演算結果を記憶部36に格納するとともに、定期的に、上記演算結果に基づいて各照明負荷Lの状態を示す表示用信号を生成して通信部32から全てのサブモジュール4へ送信させている。つまり、メインモジュール3の制御部32は請求項における演算部でもある。サブモジュール4の制御部42は、通信部43に表示用信号が受信されると、受信された表示用信号に基づいて表示部44を制御し、少なくとも自らが有する操作部41の操作手段に対応する各照明負荷Lの状態を表示させる。。
【0049】
このように、表示用信号が定期的に送信されることにより、例えば制御信号を出力するときにのみ表示用信号を送信する場合と違い、制御信号が出力されない期間に新たな副制御ブロック4が接続された場合でも、新たな副制御ブロック4では表示部44に適切な表示が行われる。
【0050】
さらに、本実施形態におけるサブモジュール4の制御部42は、通信部43がメインモジュール3の通信部33と通信可能か通信不可能かを判定する接続判定部でもある。具体的に説明すると、電源が投入された直後は、制御部42は通信不可能であると判定する。そして、通信不可能であると判定している状態で、通信部43に表示用信号が受信される(つまり、サブモジュール4が新たにメインモジュール3に接続される)と、制御部42は、操作部41が有する全ての操作手段について、操作手段の状態を示す操作信号を通信部43からメインモジュール3へ送信させる。この操作信号に応じてメインモジュール3から出力される制御信号により、新たに接続されたサブモジュール4の操作部41における各操作手段の状態に応じて照明負荷Lが制御される。上記操作信号に対する確認信号が通信部43に受信されると、制御部42は通信不可能から通信可能に判定を切り替える。その後、操作信号が所定の回数送信されても確認信号が通信部43に受信されない(つまり、操作信号が所定の回数送信される期間にわたって確認信号が受信されない)ことがあれば、制御部42は再び通信可能から通信不可能に判定を切り替える。上記所定の回数は1回であってもよいが、操作信号の送受信を確実に行うためには2回以上とすることが望ましい。
【0051】
上記構成によれば、実施形態1と同様の効果があるほか、実施形態1に比べて次のような利点がある。すなわち、実施形態1のようなディジーチェーン形では、途中に位置するサブモジュール4を取り外すと、取り外されるサブモジュール4を介してメインモジュール3に接続されていたサブモジュール4がメインモジュール3から切り離されてしまうから、改めて接続作業を行う必要がある。これに対し、本実施形態のようなスター形ではこのようなことがないから、実施形態1のようなディジーチェーン形よりも、本実施形態のようなスター形のほうが、サブモジュール4の除去が容易という利点がある。
【0052】
なお、ハブHはメインモジュール3とサブモジュール4とのいずれかに一体化してもよい。
【0053】
また、周知の多重伝送の技術を用いれば、実施形態1では切替スイッチ45を省略することができ、本実施形態ではスイッチングハブに代えて通常のハブを用いることができるが、実施形態1のような切替スイッチ45や本実施形態のようなスイッチングハブを用いたほうが構成が簡単になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す説明図である。
【図2】同上におけるサブモジュールを示すブロック図である。
【図3】同上におけるメインモジュールを示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態2の構成を示す説明図である。
【図5】同上におけるサブモジュールを示すブロック図である。
【図6】調光操作卓の使用の態様を示す説明図である。
【図7】従来の調光操作卓を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
1 調光操作卓
2 調光器
3 メインモジュール
4 サブモジュール
32 制御部
33 通信部
34 表示部
35 伝送部
41 操作部
42 制御部
43 通信部
44 表示部
45 切替スイッチ
51 レセプタクル
6 ケーブル
H ハブ
L 照明負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ1乃至複数個の照明負荷を制御する1乃至複数個の負荷側端末と、各負荷側端末に対して照明負荷の制御を指示する制御信号を出力する照明制御端末とを備える照明制御システムに用いられる照明制御端末であって、
メインモジュールと、それぞれメインモジュールに接続された少なくとも1個のサブモジュールとを備え、
各サブモジュールは、それぞれ、使用者によって操作される少なくとも1個の操作手段を有する操作部と、操作部に加えられた操作に応じた操作信号を生成する操作信号生成部と、操作信号生成部から出力された操作信号をメインモジュールに送信する通信部と、操作部及び通信部をそれぞれ保持するとともに操作信号生成部を収納したハウジングとを個々に有し、
メインモジュールは、サブモジュールの通信部との間で通信を行う通信部と、サブモジュールから送信され通信部に受信された操作信号に応じて制御信号を生成する制御信号生成部と、制御信号生成部によって生成された制御信号を負荷側端末に出力する制御信号出力部と、通信部及び制御信号出力部をそれぞれ保持するとともに制御信号生成部を収納したハウジングとを有することを特徴とする照明制御端末。
【請求項2】
各操作手段にはそれぞれ固有の識別番号が付され、操作信号には操作された操作手段の識別番号が含まれることを特徴とする請求項1記載の照明制御端末。
【請求項3】
メインモジュールは、制御信号生成部が制御信号を生成する際にその制御信号による制御後の各照明負荷の状態を演算するとともに演算の結果を示す表示用信号を生成して通信部から所定のタイミングで全てのサブモジュールに送信させる演算部を有し、
各サブモジュールは、それぞれ、表示用信号に基づいて少なくとも1個の照明負荷の状態を表示する表示部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明制御端末。
【請求項4】
各サブモジュールは、それぞれ、通信部がメインモジュールの通信部と通信可能か通信不可能かを判定する接続判定部を有し、操作信号生成部は、接続判定部による判定が通信不可能であるときに、操作部の全ての操作手段の状態を示す操作信号を生成して通信部から送信させ、
メインモジュールの通信部は、操作信号が受信されたときに、操作信号を送信したサブモジュールへ所定の確認信号を送信し、
接続判定部は、通信不可能と判定しているときに通信部に確認信号が受信されれば判定を通信可能に切り替え、通信可能と判定しているときに操作信号の送信後所定時間が経過しても確認信号が受信されなければ判定を通信不可能に切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の照明制御端末。
【請求項5】
メインモジュールの通信部は1個のレセプタクルを有し、各サブモジュールはそれぞれ2個のレセプタクルを有し、メインモジュールと各サブモジュールとはそれぞれレセプタクルに接続されるプラグが両端に設けられたケーブルを介してディジーチェーン形に接続され、
各サブモジュールは、それぞれ、メインモジュール側に接続される一方のレセプタクルを、他方のレセプタクルと通信部との一方に択一的に接続する切替手段を有し、
切替手段は、操作信号が送信されるときに上記一方のレセプタクルと通信部とを接続する状態に切り替わり、操作信号の送信が完了したときにレセプタクル同士を接続する状態に切り替わることを特徴とする請求項1記載の照明制御端末。
【請求項6】
複数個のレセプタクルを有するハブを備え、
メインモジュールの通信部と各サブモジュールの通信部とはそれぞれレセプタクルを有し、
メインモジュールと各サブモジュールとは、それぞれ、レセプタクルに接続されるプラグが両端に設けられたケーブルを介してハブに接続され、各サブモジュールの通信部はそれぞれハブを介してメインモジュールの通信部に接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の照明制御端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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