説明

照明器具

【課題】保管時や持ち運び時には保護部材を用いなくても発光面を保護することができ、使用時には複数方向からの照明を可能として照明範囲の自由度を高くすることができる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、筐体12に有機EL素子からなる面発光装置13が組み込まれた照明ユニット11を複数備えている。各照明ユニット11は、他の照明ユニット11と分離可能に一体化するためのマグネット15を備えており、各照明ユニット11は発光面14が他の照明ユニット11の発光面14と対向した状態で連結されている。また、各照明ユニット11は、棒材により形成された支持部材16を備えており、支持部材16は筐体12を、発光面14の仰角・俯角方向の角度を調節可能に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に係り、詳しくは面発光型の照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
机上や手元など所望の部分を照明する照明器具として、白熱電球や蛍光灯などを光源として用いた照明器具が使用されている。また、これらの照明器具には、撮影等において人物を照明する用途もある。しかし、これらの照明器具は光源からの発熱が大きく、光源を直視するとまぶしいという問題点があった。また、所定の方向に向けて照明を行うためには、リフレクタ等の部品が必要で照明器具の小型化には限界があった。
【0003】
白熱電球や蛍光灯を光源として用いた照明器具のこれらの問題点を解消するために、エレクトロルミネッセンス(以下、適宜ELと略す)素子を光源として用いたスタンド形照明器具が開示されている(特許文献1参照)。EL素子からなる光源は、発熱が少なく、直視してもまぶしくない。また、EL素子自体を、例えば、1mm以下と極めて薄くできるため照明器具の小型化が容易である。特許文献1に記載の照明器具は、図9に示すように、平板状の2枚の光源支持板41の一辺がヒンジ42を介して回動自在に連結された照明器具本体40と、各光源支持板の連結部を介して対向する面に発光面を各光源支持板と反対側に向けて配置した薄板状のEL素子からなる面発光部43とを備えている。この照明器具は、使用時には2枚の光源支持板41を所定の角度で交差させて照明器具本体40を自立させ、光源支持板41の開き角度を調節することで、面発光部43の光が照射される範囲を調節して照明を行う。照明未使用時には光源支持板41を折り畳み、保管や持ち運びを行う。
【特許文献1】特開2001−325805号公報(明細書の段落[0009]、[0011]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の照明器具は、連結された複数の光源支持板41を所定の角度に開き、連結部の軸が載置面に対して垂直となるようにして照明器具本体40を自立させて照明を行う構成であり、連結部の軸を載置面と平行にした状態で面発光部43を傾けて照明を行うことは考えられていないため、照明範囲の自由度が低い。また、前記照明器具は複数の面発光部43を備えているが、複数の光源支持板41は連結されており、光源支持板41の回動可能範囲よりも離れた場所にある対象を照明する際には、前記複数の面発光部43が一つの光源として作用するため、1方向からしか照明を行うことができない。
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、保管時や持ち運び時には保護部材を用いなくても発光面を保護することができ、使用時には複数方向からの照明を可能として照明範囲の自由度を高くすることができる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、筐体内に面発光装置が組み込まれた照明ユニットを複数備え、前記各照明ユニットは前記面発光装置の発光面が他の照明ユニットに覆われる状態で前記他の照明ユニットと分離可能に一体化するための連結手段を備えている。
【0007】
この発明では、使用時には複数の照明ユニットを分離して使用するため、一つの対象に1方向からだけでなく複数方向からの照明を行うことができ、照明範囲の自由度が高くなる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記各照明ユニットは、発光面が他の照明ユニットの発光面と対向した状態で連結される。この発明では、複数の照明ユニットは、各発光面同士を対向させた状態で他の照明ユニットと連結される。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記各照明ユニットは、棒材又は板材により形成された支持部材を備え、前記支持部材は前記筐体を前記発光面の仰角・俯角方向の角度を調節可能に支持する。ここで、「仰角・俯角」とは、照明ユニットの発光面が水平な載置面に対して垂直となっているときを基準として、発光面が上側に向くときが仰角を意味し、発光面が下側に向くときが俯角を意味する。この発明では、筐体と支持部材とのなす角度を調節して仰角・俯角方向の照明角度を調節することができ、照明範囲の自由度がより高くなる。
【0010】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記照明ユニットを1対備え、各照明ユニットは同一の構成であり、各発光面が対向するように連結される。この発明では、同一の構成を有する照明ユニットを使用しているため、異なる構成を有する照明ユニットの組み合わせで照明器具を構成する場合に比較して、照明器具の製造が容易である。
【0011】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記面発光装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子である。この発明では、面発光装置の薄型化が容易である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保管時や持ち運び時には、保護部材を用いなくても発光面を保護することができ、使用時には複数方向からの照明を可能として照明範囲の自由度を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した照明器具の第1の実施形態を図1〜図3に従って説明する。図1(a)は一つの照明ユニットの概略斜視図、図1(b)は連結された二つの照明ユニットからなる照明器具の側面図、図2は支持部材の取り付け部の概略分解斜視図、図3(a)及び図3(b)は照明器具の使用時における概略斜視図である。
【0014】
図1(b)に示すように、照明器具10は、二つの照明ユニット11より構成されている。この二つの照明ユニット11は、同一の構成を有している。以下に照明ユニット11について説明する。
【0015】
図1(a)に示すように、照明ユニット11は、筐体12と、筐体12に組み込まれた有機EL素子からなる面発光装置13とを備えている。筐体12は、底部と反対側が開放された筐体本体12aと、開口部12cを有する蓋部12bとで構成されており、筐体12の長手方向に沿った一端には膨出部12d(図1(b),図2参照)が形成されている。(以下、膨出部12dが形成された側を筐体12の下端とする。)面発光装置13は、片面に発光面14を備えており、その発光面14が蓋部12bの開口部12cと対向するように筐体本体12aに組み込まれている。なお、蓋部12bは、面発光装置13の縁に設けられた有機EL素子の図示しない配線等を隠す役割も有している。
【0016】
また、照明ユニット11は、他の照明ユニットと分離可能に一体化するための連結手段として、蓋部12bの四角にマグネット15を備えている。各マグネット15は、筐体12の長手方向に対して右側に配置されるものと左側に配置されるものとで異なる磁極を表面に向けて、かつ、筐体12の表面と面一となるように、筐体12に取り付けられている。例えば、図1(a)において、蓋部12bの右上角と右下角に取り付けられたマグネット15はS極が表面に現れており、蓋部12bの左上角と左下角に取り付けられたマグネット15はN極が表面に現れている。
【0017】
さらに、照明ユニット11は、棒材により形成された支持部材16を備えている。支持部材16は、筐体12の長手方向と平行に延びる長い部分16aと、長い部分16aの両端にあって、長い部分16aと直角に延びる短い部分16bとで構成されており、筐体12の側面に回動可能に取り付けられている。筐体12の膨出部12dの両端面には、図2に示すように、雄ねじ部が形成された円柱状の凸部19が設けられている。リング部16cの孔は凸部19の直径とほぼ同じ大きさに形成されている。また、支持部材16の両端部には、扁平なリング部16cが形成されている。支持部材16は、リング部16cを凸部19にはめ、スプリングワッシャ17を介して円筒状のナット18で締め付けることによって筐体12に取り付けられている。ナット18の締め付け力は、支持部材16の回動を許容し、かつ、支持部材16が筐体12に対して任意の角度をなす位置で保持可能な大きさに設定されている。なお、凸部19の一方には、その内側にACアダプタのプラグを差し込むためのコネクタ20が設けられている。
【0018】
次に、前記のように構成された照明器具10の作用を説明する。照明器具10は、照明未使用時には、二つの照明ユニット11が各発光面14を対向させた状態で連結され、一体化される(図1(b)参照)。同一の構成を有する二つの照明ユニット11を、上下の向きをそろえて各発光面14が対向する状態で接触させると、異なる磁極のマグネット15が接触することになる。従って、マグネット15の磁力により二つの照明ユニット11は連結され、一体化される。
【0019】
保管時に、各照明ユニット11に設けられた支持部材16を、例えば、図1(b)に示すように、筐体12の側面に沿う位置で保持すれば収納スペースは小さくなる。また、照明器具10は、図1(b)に示すような状態で持ち運ぶこともできるが、それ以外に、例えば、二つの照明ユニット11を一体化させ、各支持部材16を筐体12と180度の角をなす位置に保持して、支持部材16を掴んで持ち運びを行うこともできる。
【0020】
照明使用時には、照明器具10は、二つの照明ユニット11に分離して使用する。この時、各照明ユニット11に設けられたコネクタ20にACアダプタが連結されて電源が供給される。各照明ユニット11は、筐体12が支持部材16によって支持された状態で照明を行う。支持部材16には一定の圧力がかかっており、支持部材16は筐体12に対して任意の角度をなす位置で保持される。筐体12と支持部材16とのなす角度を調節することで、仰角・俯角方向の照明角度を調節する。ここで、「仰角・俯角」とは、照明ユニット11の発光面14が水平な載置面に対して垂直となっているときを基準として、発光面14が上側に向くときが仰角を意味し、発光面14が下側に向くときが俯角を意味する。照明角度の調節は、支持部材16を固定しながら筐体12を回動させるか、又は、筐体12を固定しながら支持部材16を回動させて行う。
【0021】
図3(a)は、仰角方向へ照明を行う場合を示している。二つの照明ユニット11を離れた場所に配置し、各照明ユニット11の発光面14を仰角方向に向けて一つの対象を2方向から照明する。各照明ユニット11は、例えば、机上などの載置面に支持部材16の長い部分16aと筐体12の膨出部12dとが接するように載置される。支持部材16は、長い部分16aが発光面の後ろにあって、発光面14の背面と載置面とのなす角度が鋭角となる位置で保持される。膨出部12dが載置面に接するように照明ユニット11を載置すると、照明角度の調節を行う際に、膨出部12dの円弧面が円滑に載置面に接することとなる。照明器具10を用いた仰角方向への照明の例として、例えば、スタジオで人物等を撮影する際に人物の顔を照明する場合等が挙げられる。
【0022】
図3(b)は、俯角方向へ照明を行う場合を示している。二つの照明ユニット11を離れた場所に配置し、各照明ユニット11の発光面14を俯角方向に向けて一つの対象を2方向から照明する。この場合も、各照明ユニット11は、載置面に支持部材16の長い部分16aと筐体12の膨出部12dとが接するように載置される。支持部材16は、長い部分16aが発光面14の前にあって、発光面14と載置面とのなす角度が鋭角となる位置で保持される。
【0023】
照明を行う際の、二つの照明ユニット11の間隔や、各照明ユニット11の照明角度はそれぞれ自由に変更することが可能であり、所望の部分を最も効果的に照明できる位置に調節される。また、照明角度の調節を繰り返し行うと、ナット18が緩み支持部材16が筐体12を支持できなくなる場合がある。この場合、ナット18を締め直すことで、支持部材16が再び筐体12を支持できる状態にすることができる。
【0024】
また、照明器具10は、各照明ユニット11を載置面に載置して照明を行う以外にも、スタンドに取り付けられたクランプやフック等の照明補助器具を使用して、各照明ユニット11が支持部材16で保持された状態で様々な位置からの照明を行うことも可能であり、さらに照明範囲の自由度が高くなる。この場合、特許文献1に記載の照明器具と異なり、支持部材16を前記照明補助器具で保持することで、発光面14や筐体12を傷つけることなく照明を行うことができる。
【0025】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1)複数の照明ユニット11からなる照明器具10は、保管や持ち運びなどの照明未使用時には、各発光面14が他の照明ユニット11で覆われる状態で分離可能に連結され、一体化される。従って、別途保護部材を用いなくても、照明器具10の構成だけで発光面14を保護することができる。
【0026】
(2)複数の照明ユニット11からなる照明器具10は、照明未使用時には、各発光面14が対向する状態で連結される。従って、筐体12の発光面14と反対側の部分については形状や構成に制限を受けず、自由な形にすることができる。
【0027】
(3)複数の照明ユニット11からなる照明器具10は、使用時には各照明ユニット11が独立した状態で照明を行う。従って、一つの対象に、1方向からだけでなく複数方向からの照明を行うことができ、照明範囲の自由度が高くなる。また、面発光装置13として有機EL素子を用いているため、光源を直視してもまぶしくなく、人物を照らす用途での照明としても好適に使用できる。
【0028】
(4)二つの照明ユニット11は、同一の構成を有する。従って、異なる構成を有する照明ユニットの組み合わせで照明器具を作成する場合に比較して、照明器具10の製造が容易となる。
【0029】
(5)照明器具10を構成している各照明ユニット11は、棒材により形成された支持部材16を備え、その支持部材16は筐体12を発光面14の仰角・俯角方向の角度を調節可能に支持する。従って、各照明ユニット11は、仰角・俯角方向への照明を行うことができ、照明範囲の自由度が高くなる。
【0030】
(6)照明器具10を構成している各照明ユニット11の筐体12には、棒材により形成された支持部材16が回動可能に取り付けられており、支持部材16は筐体12に対して任意の角度をなす位置で保持される。従って、各照明ユニット11は、筐体12と支持部材16とのなす角度を調節することで、仰角・俯角方向の照明角度を自由に変化させることができ、照明範囲の自由度が高くなる。
【0031】
(7)各照明ユニット11に設けられた支持部材16は、筐体12の厚みより細い棒材で、コの字型に形成されている。従って、二つの照明ユニット11を連結させた際に、連結を妨げることなく、支持部材16を筐体12の側面に沿う位置で保持することができ、収容スペースを小さくすることができる。
【0032】
(8)各照明ユニット11に設けられた支持部材16は、スプリングワッシャ17を介してナット18で締め付けることによって筐体12に取り付けられている。従って、照明角度の調節機構を、ラチェット方式を用いた照明角度の調節機構に比較して簡単にすることができる。
【0033】
(9)各照明ユニット11に設けられた支持部材16は、ほぼ360度の範囲で回動可能に筐体12に取り付けられている。従って、二つの照明ユニット11が連結された状態で、支持部材16を筐体12と180度の角度をなすような位置で保持することができ、これを掴むことで持ち運びが容易となる。
【0034】
(10)各照明ユニット11は、他の照明ユニット11との連結手段としてマグネット15を備えている。従って、連結手段の構成を、フックを使用する場合に比較して簡単にすることができる。
【0035】
(11)照明ユニット11を構成する筐体12の蓋部12bの四角に設けられたマグネット15は、左側と右側で異なる磁極が表面に現れるように取り付けられている。従って、同一の構成を有する照明ユニット11を、上下の向きを同じにして、発光面14を対向させた状態で連結させることができる。
【0036】
(12)各照明ユニット11に設けられた連結手段としてのマグネット15は、筐体12の表面と面一となるように、筐体12に組み込まれている。このため、二つの照明ユニット11を連結した際に、連結面に隙間を開けることなく照明ユニットを一体化することができる。従って、保管時や持ち運び時に、発光面14上に埃やごみが進入するのを防ぐことができる。
【0037】
(13)照明ユニット11を構成している筐体12には、膨出部12dが設けられている。従って、照明ユニット11を膨出部12dが載置面に接するように載置すると、照明角度を調節する際に、膨出部12dの円弧面が円滑に載置面に接することとなり、筐体12の回動をスムーズに行うことができる。
【0038】
(14)面発光装置13には有機EL素子が用いられているため、面発光装置13の薄型化が容易で、かつ、無機EL素子に比較して駆動電圧を低くすることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を図4、図5に従って説明する。第2の実施形態は、一つの照明ユニットに対して、それよりも小さい複数の照明ユニットを、発光面を対向させて連結する点が、前記第1の実施形態と異なっている。前記第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
図4は、照明器具の概略斜視図であり、図5は、照明器具の使用時における概略斜視図である。
図4、図5に示すように、照明器具21は、一つの照明ユニット11と、それよりも小さい照明ユニット22a,22bとを備えている。
【0040】
照明ユニット11は、連結手段として、前記第1の実施形態で示したマグネット15と異なる形状のマグネット15を、蓋部12bに備えている。マグネット15は、筐体12の左端から4分の1の位置と、右端から4分の1の位置にそれぞれ上下一箇所ずつ、筐体12の表面と面一となるように取り付けられている。
【0041】
照明ユニット22aと照明ユニット22bは基本的な構成は同一で、支持部材の配置が互いに対称となっている点が異なっている。ここでは、照明ユニット22aについて説明する。照明ユニット22aは、筐体24と、筐体24に組み込まれた面発光装置13とを備えている。筐体24は、筐体12とほぼ同様の構成を有しており、筐体本体24aと、開口部24cを有する蓋部24bとを備え、横の長さが筐体12の2分の1であり、縦の長さは筐体12と等しい。筐体24の長手方向に沿った一端には膨出部24dが形成されている。面発光装置13の発光面14は開口部24cと対向している。
【0042】
また、照明ユニット22aは、連結手段として強磁性体製の被吸着片23(例えば鉄片)を、蓋部24bの上部中心と、蓋部24bの下部中心とに備えている。さらに、照明ユニット22aは、棒材で形成されたL字型の支持部材25を備えている。支持部材25の基端には支持部材16の端部と同様にリング部が形成されており、筐体24の一方の側面に回動可能に取り付けられている。支持部材25が取り付けられた筐体24の側面と反対側の側面は平坦になっている。
【0043】
次に、前記のように構成された照明器具21の作用を説明する。照明未使用時には、照明器具21を構成する三つの照明ユニット11,22a,22bは、上下の向きをそろえて、照明ユニット11の発光面14に照明ユニット22a,22bの発光面14が対向するように連結され、一体化される。この時、互いに対称な照明ユニット22a,22bは、照明ユニット11の発光面14が完全に隠れるように、筐体24の平坦な側面同士が接した状態になっている。また、照明ユニット11のマグネット15と、照明ユニット22a,22bの被吸着片23とが対向することで、各照明ユニット11,22a,22bは磁力により連結され、一体化される。各照明ユニット11,22a,22bに設けられた支持部材16,25を、例えば、各筐体12,24の側面に沿う位置で保持することで、保管スペースを小さくすることができる。
【0044】
使用時には、例えば、図5に示すように、中央に照明ユニット11を配置し、その左右に照明ユニット22a,22bを配置して一つの対象に3方向から照明を行う。第2の実施形態では、各照明ユニット11,22a,22bの支持の仕方と角度調節の仕方は前記第1の実施形態の場合と異なっている。仰角方向への照明は、筐体12,24に形成された膨出部12d,24dを上にして発光面14が仰角方向を向くように照明ユニット11,22a,22bを載置する。また、俯角方向への照明は、筐体12,24に形成された膨出部12d,24dを上にして発光面14が俯角方向を向くように照明ユニット11,22a,22bを載置する。
【0045】
なお、前記第1の実施形態と同様に膨出部12d,24dが載置面に接するように照明ユニット11,22a,22bを載置して照明を行うことも可能である。これら三つの照明ユニット11,22a,22bの間隔や照明角度はそれぞれ独立に、自由な設定が可能であり、一つの照明ユニットを消して、2方向からの照明を行うこともできる。
【0046】
この第2の実施形態においては、第1の実施形態の効果(1)〜(3),(5)〜(10),(12)〜(14)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(15)一つの照明ユニット11と、全体で照明ユニット11と同じ大きさとなる二つの照明ユニット22a,22bとからなる照明器具21は、使用時には3つの照明ユニット11,22a,22bに分離して照明を行う。従って、1方向からだけでなく、3方向からの照明が可能となる。また、照明ユニット11をメイン照明とし、照明ユニット22a,22bを補助照明とすると、これらメイン照明及び補助照明の照明方向を仰角方向と俯角方向との異なる状態で使用しても違和感がなく、照明範囲の自由度は第1の実施形態に比較してさらに高くなる。
【0047】
(16)照明器具21は、照明未使用時には、照明ユニット22a,22bが各筐体24の平坦な面を接触させた状態で、照明ユニット11と連結される。従って、照明ユニット22a,22bの隙間からの埃やごみの進入を防ぐことができる。
【0048】
なお、実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように構成してもよい。
○ 面発光装置13は、有機EL素子に限らず無機EL素子でもよい。無機EL素子を用いた場合でも、前記実施形態1の(14)の効果を除き、各実施形態と同様の効果を有する。
【0049】
○ 支持部材は、照明未使用時において筐体の側面に沿う位置で保持される構成に限らず、少なくともその一部が筐体の周縁部に収納されるようにしてもよい。収納するための構成として、例えば、図6(a)に示すように、筐体12の一部に切り欠き部26を設けてもよい。また、支持部材16全体が筐体12に収納されるように、筐体12に溝部を設けてもよい。
【0050】
○ 照明ユニットを動作させるための電源として、ACアダプタからの電源に代えて、電池を使用してもよい。電池は、例えば、筐体12に設けられた膨出部12dに収納するようにしてもよい。また、ACアダプタからの電源と電池のどちらでも動作できるようにしてもよい。
【0051】
○ 他の照明ユニットと分離可能に一体化するための連結手段として、マグネットに代えて、フック機構を用いてもよい。例えば、図6(b)に示すように、筐体12にはフック28と、他の照明ユニットのフックをかけるための穴27と、フックを解除するためのレバー29とが設けられる。この照明ユニットを連結する際は、同じ連結手段を有する二つの照明ユニットを上下の向きを逆にして連結する。また、一方の照明ユニットにフックのみを、他方の照明ユニットにフックをかける穴のみを設けて、それらを組み合わせるようにしてもよい。
【0052】
○ 他の照明ユニットと分離可能に一体化するための連結手段として、凸部と凹部との嵌めあわせを用いてもよい。この場合、各筐体にはお互いに嵌めあうことができ、かつ、その嵌めあった状態を保持することのできる形状の凸部と凹部が設けられる。
【0053】
○ 他の照明ユニットと分離可能に一体化するための連結手段として、凸部(あり)と溝部(あり溝)との組み合わせを用いてもよい。例えば、図7に示すように、各照明ユニット11に凸部(あり)30と溝部(あり溝)31を設け、一方の照明ユニット11の凸部30に他方の照明ユニット11の溝部31が嵌りあうように、スライドさせて連結する。また、凸部30と溝部31の形は、お互いに嵌めあうことができれば自由な形にしてもよい。なお、一方の照明ユニットに凸部のみを、他方の照明ユニットに溝部のみを設けて、それらを組み合わせるようにしてもよい。
【0054】
○ 第2の実施形態における連結手段としての被吸着片23は、強磁性体製であれば鉄片でなくてもよい。また他の実施形態においても連結手段は、磁極の異なるマグネットの組み合わせに限らず、マグネットと強磁性体製の被吸着片の組み合わせを用いてもよい。この場合、筐体の蓋部の一部に被吸着片を設けてもよいし、筐体の蓋部全体が強磁性体製であってもよい。
【0055】
○ 連結手段としてマグネットを用いる場合、各筐体に取り付けられたマグネットは、筐体の表面と面一となっている場合に限らず、筐体の表面より突出していてもよいし、筐体の表面に露出していなくてもよい。
【0056】
○ 他の照明ユニットと分離可能に一体化するための連結手段は、各照明ユニット同士が発光面を覆う状態で連結することができ、その状態を保持することができれば、筐体のどの位置に設けてもよい。
【0057】
○ 照明器具は、三つ以上の同じ大きさの照明ユニットから構成されていてもよい。例えば、図8に示すように、三つの同じ大きさの照明ユニット11からなる照明器具32とし、一つの照明ユニット11は他の照明ユニット11の発光面14と反対側に連結される。この場合、少なくとも一つの照明ユニット11は筐体の両面に連結手段を備えており、筐体は両面に他の照明ユニットが連結可能な形状に構成される。
【0058】
○ 筐体に組み込まれた面発光装置は、片面に発光面を備えた構成に限らず、両面に発光面を備えていてもよい。
○ 照明器具を構成する各照明ユニットは、発光面が複数の発光部を備えていてもよい。
【0059】
○ 照明器具を構成する複数の照明ユニットは、発光面を保護することが可能であれば同じ大きさでなくてもよい。
○ 照明ユニットを構成する筐体の形状は、四角形に限らず、例えば、三角形や五角形以上の多角形、あるいは楕円形等であってもよい。また、筐体に膨出部が設けられていなくてもよい。
【0060】
○ 支持部材を取り付けるナットの形状は、円筒状に限らず、例えば、多角形等であってもよい。
○ 照明角度の調節機構は、スプリングワッシャとナットによる機構に限らず、例えば、ラチェット機構であってもよい。
【0061】
○ 支持部材は棒材を用いる以外にも、板材を用いて形成してもよい。例えば、板材として筐体の厚みとほぼ同じ幅の板材を使用して、棒材と同様な形(コの字型、L字型)に形成してもよい。
【0062】
○ 筐体に取り付けられた支持部材は、360度の範囲で回動可能に限らず、例えば180度の範囲で回動可能であってもよい。
○ 支持部材の形状は、コの字型やL字型に限らず、筐体となす角度の調節が可能で、かつ筐体を支持できる機能を備えていれば、例えば、まっすぐな棒や板材であってもよい。
【0063】
○ 支持部材の取り付け位置は、筐体側面の上端部と下端部に限らず、例えば、筐体側面の中央部であってもよいし、筐体の背面であってもよい。
○ 照明器具を構成する各照明ユニットは、支持部材を備えていなくてもよい。この場合、各照明ユニットは、補助部材等に立て掛けた状態で使用する。
【0064】
○ 照明器具の構成に、第2の実施形態で示した、一つの照明ユニット11とその照明ユニット11の発光面を複数の照明ユニット22a,22bで覆う構成を採用する場合、複数の照明ユニットの数は二つに限らず、三つ以上であってもよい。この場合、連結の際に二つの照明ユニットではさまれる照明ユニットについては、支持部材の取り付け位置は筐体の背面となる。
【0065】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項2に記載の発明において、前記照明器具は、一つの照明ユニットと、該照明ユニットの発光面を覆う複数の照明ユニットとより構成される。
【0066】
(2)請求項3に記載の発明において、前記支持部材は、回動可能で、かつ、回動範囲内で前記筐体に対して任意の角度をなす位置に保持可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(a)は第1の実施形態における一つの照明ユニットの概略斜視図、(b)は二つの照明ユニットが一体化された状態の照明器具の側面図。
【図2】第1の実施形態における支持部材の取り付け部の概略分解斜視図。
【図3】(a)は第1の実施形態において、仰角方向に照明時の照明器具の概略斜視図、(b)は俯角方向に照明時の照明器具の概略斜視図。
【図4】第2の実施形態における照明器具の概略斜視図。
【図5】第2の実施形態において、仰角方向に照明時の照明器具の概略斜視図。
【図6】(a)は別の実施形態における照明ユニットの部分概略斜視図、(b)は別の実施形態における照明ユニットの部分概略正面図。
【図7】別の実施形態における照明器具の概略側面図。
【図8】別の実施形態における照明器具の部分概略斜視図。
【図9】従来技術の照明器具の概略斜視図。
【符号の説明】
【0068】
10,21,32…照明器具、11,22a,22b…照明ユニット、12,24…筐体、13…面発光装置、14…発光面、15…連結手段としてのマグネット、16,25…支持部材、23…連結手段としての被吸着片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に面発光装置が組み込まれた照明ユニットを複数備え、前記各照明ユニットは前記面発光装置の発光面が他の照明ユニットに覆われる状態で前記他の照明ユニットと分離可能に一体化するための連結手段を備えていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記各照明ユニットは、発光面が他の照明ユニットの発光面と対向した状態で連結される請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記各照明ユニットは、棒材又は板材により形成された支持部材を備え、前記支持部材は前記筐体を前記発光面の仰角・俯角方向の角度を調節可能に支持する請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記照明ユニットを1対備え、各照明ユニットは同一の構成であり、各発光面が対向するように連結される請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記面発光装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−147428(P2006−147428A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337925(P2004−337925)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】