説明

照明器具

【課題】照明器具のコストや大型化を抑えつつ、光の演出効果を得ることができる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、主照明として用いる蛍光ランプ13の天井面11側への配光を間接光として用いる器具である。この照明器具10は、間接光を任意形状に彩色することで光を演出する彩色手段18を蛍光ランプ13と天井面11との間に備えている。これにより、間接光のうち、彩色手段18を透過しない光と、彩色手段18を透過した光とのそれぞれの色(彩色)を異ならせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主照明として用いる放電灯の設置面側への配光を間接光として用いる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例1の照明器具100は、図4に示すように、主照明の役割を担う器具本体101が天井面102に設けられ、器具本体101に蛍光ランプ103,104を備え、蛍光ランプ103,104の外側に蛍光ランプ103と略同じ高さで演出用の発光ユニット(LED)105を備え、発光ユニット105の光出射面側に光拡散部材106を備えている。
【0003】
蛍光ランプ103,104を照射することで、蛍光ランプ103,104からの照射光が反射板107で反射され、反射された反射光が主として天井面とは反対側に配光される。
一方、演出用の発光ユニット105からの照射光が器具側面方向へ射出され、射出されたが光拡散部材106で拡散される
このように、主照明の役割を担う蛍光ランプ103,104とは別に、演出用の発光ユニット105を用いることで光の演出をおこなうことができる。
【0004】
すなわち、照明器具100によれば、発光ユニット105を動作させ、主照明とは異なる光色による演出効果を得ることで、屋内雰囲気を変化させることが可能である。
また、これらの発光ユニット105にそれぞれ赤緑青系色を個別に調光可能なLED(半導体素子)を用いることで、任意の光色を作り出すことが可能であり、演出効果を高めることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
つぎに、演出用の発光ユニット105を個別に用いる必要のない従来例2の照明器具について説明する。
従来例2の照明器具110は、図5(A),(B)に示すように、不透明な材料からなる箱体111内にランプ112がランプ固定金物113で取り付けられるとともに、フィン114が糸115で吊り下げられている。
箱体111は、吸気のための開口部116と、排気のための開口部117と、光を外部へ照射するためのスリット118とを備えている。フィン114は、例えばアルミ箔のように計量で風に揺れやすいもので作られている。
【0006】
照明器具110によれば、ランプ112による熱気の上昇気流でフィン114が揺れ動き、スリット118を透過する光がフィン114の動く影に影響され、揺らぎのある筋状の光となって灯光面に現れ、この光を用いて光の演出がおこなわれる(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
ついで、従来例3の照明器具について説明する。
従来例3の照明器具120は、図6に示すように、照明カバー(セード)121の表面に内側に窪んだ凹部122を形成し、この凹部122内で照射エリアから死角となる部位に蓄光層が配置されている。蓄光層は、蓄光材が配合され、所定の模様に形成されている。
この照明カバー121を用いることで点灯時と消灯時のイメージの差による演出効果が得られる(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−236782号公報
【特許文献2】登録実用新案第3089361号公報
【特許文献3】特開2004−199937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の照明器具100は、主光源としての蛍光ランプ103,104とは別に演出用の発光ユニット105を設け、それぞれの光源の制御をおこなう必要がある。
このため、照明器具100に複数の光源103,104,105と、それぞれの点灯装置が必要になり、照明器具100のコストを抑えることが難しいとされていた。
加えて、蛍光ランプ103の外側に発光ユニット105を設け、発光ユニット105の外側に光拡散部材106を設けるため、照明器具100が大型化してしまうという問題があった。
【0010】
また、特許文献2の照明器具110は、ランプ112による熱気の上昇気流と、箱体111に設けられた開口部116,117からの吸気及び排気とを動力源としてフィン114に揺れを生じさせている。よって、フィン114の動作は設置場所の温度や気密性などにより異なる。このため、照明器具110が設置される条件によっては意図した演出効果が得られない虞がある。
また、箱体111内にフィン114を設けるスペースを確保する必要があるため、箱体111の体積が大きくなり、主照明と同一箱体内への搭載が困難になるという課題があった。
【0011】
さらに、特許文献2の照明器具110は、箱体111に吸気口116・排気口117・灯光スリット118を設けているが、防虫・防滴の観点からすれば箱体111に穴を設けるのは好ましくない。
例えば、照明器具110を住宅用、特に天井面に設置して使用する照明器具として用いるにはメンテナンスがやり難いなどの大きな課題が発生してしまう。
【0012】
ところで、特許文献3の照明器具120は、照明カバー(セード)121に蓄光層を設けるだけである。よって、特許文献1の照明器具100のように、演出用の発光ユニット105を個別に設ける必要がなく、特許文献2の照明器具110のように、箱体111内にフィン114を設けるスペースを確保する必要がない。
【0013】
しかし、照明器具120が演出効果を発揮する状況は、「照明器具から僅かの限定的時間」であり、照明点灯中に演出を継続させることはできない。
このように、特許文献1〜3の照明器具においては、演出効果を得るために、複数の光源が必要であったり、器具の大型化を招くといった課題があった。
【0014】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、照明器具のコストや大型化を抑えつつ、光の演出効果を得ることができる照明器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、主照明として用いる放電灯の設置面側への配光を間接光として用いる器具において、前記間接光を任意形状に彩色することで光を演出する演出手段を前記放電灯と前記設置面との間に備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、主照明として用いる放電灯の設置面側への配光を間接光として用いる器具において、前記間接光を任意形状に遮光することで光を演出する演出手段を前記放電灯と前記設置面との間に備えたことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明は、演出手段のうち、少なくとも一部を変更可能としたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、主照明として用いる放電灯が平面螺旋形状の蛍光ランプであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、放電灯の間接光を任意形状に彩色する演出手段を放電灯と設置面との間に備えた。
よって、間接光のうち、演出手段を透過しない光と、演出手段を透過した光とのそれぞれの色(彩色)を異ならせることができる。このように、間接光の色を異ならせることで、間接光を演出した状態で設置面に投影することができる。
これにより、光を演出するために、主照明とは別の光源を用意する必要がなく、照明器具のコストや大型化を抑えつつ、光の演出効果を得ることができる。
【0020】
また、本発明では、放電灯の間接光を任意形状に彩色する遮光手段を放電灯と設置面との間に備えた。
よって、間接光のうち、遮光手段で遮光された部分が描くシルエットを設置面に投影させることができる。遮光手段で遮光された部分でシルエットを描くことで、光と影によるシンプルな演出をおこなうことができる。
これにより、光を演出するために、主照明とは別の光源を用意する必要がなく、照明器具のコストや大型化を抑えつつ、光の演出効果を得ることができる。
【0021】
壁面演出は、例えば、葉っぱ模様、幾何学模様、星空模様を天井面(設置面)などに描写したり、キャラクター模様を壁面(設置面)などに描写することが可能である。
【0022】
さらに、本発明では、演出手段のうち、少なくとも一部を変更可能とした。
これにより、ユーザが任意に演出手段を変更できるので、ユーザの好みに合わせて演出模様を実現でき、演出効果を高めることができる。
【0023】
また、本発明では、主照明として用いる放電灯を平面螺旋形状の蛍光ランプとすることで、環状の蛍光ランプと比較して面光源に近い形状とすることができる。
これにより、平面螺旋形状の蛍光ランプは、間接光で演出をおこなう光源として適している。
【0024】
さらに、平面螺旋形状の蛍光ランプを用いることで、環状の放電灯においては構造上避けられない光の中落ち(ランプ内径内が暗くなること)を解消することができる。
これにより、環状の放電灯を用いた場合と比較して、より明瞭な主照明を得るとともに演出効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る照明器具(第1実施形態)を示す断面図
【図2】本発明に係る照明器具(第2実施形態)を示す断面図
【図3】本発明に係る照明器具(第3実施形態)を示す断面図
【図4】従来例1の照明器具を示す断面図
【図5】(A)は従来例2の照明器具を示す斜視図、(B)は(A)に示す照明器具のA−A線断面図
【図6】従来例3の照明器具を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0027】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る照明器具10について説明する。
図1に示すように、照明器具10は、天井面(設置面)11に吊下げ手段12で所定間隔をおいて取り付けられる天井面吊下げ型器具である。
【0028】
照明器具10は、主照明として用いられる平面螺旋形状の蛍光ランプ(放電灯)13と、蛍光ランプ13の点灯を制御する点灯制御ブロック14と、点灯制御ブロック14を内包する放電点灯装置15と、器具外郭を構成する床側透光材16および天井側透光材17と、天井側透光材17上に設けられた彩色手段(演出手段)18とを備えている。
【0029】
この照明器具10は、天井面11から延ばされた給電線で給電され、蛍光ランプ13から照射された天井面11側への配光を間接光として用いる器具である。
【0030】
放電点灯装置15は、平面螺旋形状の蛍光ランプ13の外周に沿うような形状で配置されている。
よって、照明器具10の高さ寸法を低く抑え、照明器具10を薄型化できる。さらに、照明器具10の高さ寸法を低く抑えることで、床側透光材16および天井側透光材17に向かって発せられるランプ光が放電点灯装置15で遮られることはない。
【0031】
床側透光材16は、蛍光ランプ13の下方に、床面に対向するように設けられている。
天井側透光材17は、蛍光ランプ13の上方に、天井面11に対向するように設けられている。
床側透光材16および天井側透光材17は、それぞれ用途が異なるため、必ずしも同じ材質である必要はない。
【0032】
彩色手段18は、例えば、着色透光材で投光面19上に描かれた模様であり、蛍光ランプ13のランプ光を照射することで天井面11への演出効果として用いられる。
この彩色手段18は、天井側透光材17が全面透光材であることを活かして、例えばキャラクターの模様などを描くことも可能である。
【0033】
すなわち、彩色手段18は、蛍光ランプ13と天井面11との間に備えられ、蛍光ランプ13の間接光を任意形状に彩色する手段である。
この彩色手段18は、少なくとも一部をユーザが変更できるものである。
これにより、ユーザが任意に彩色手段18を変更できるので、ユーザの好みに合わせて演出模様を実現でき演出効果を高めることができる。
【0034】
第1実施形態の照明器具10によれば、蛍光ランプ13点灯することにより、床側透光材16を経て床面方向に照射される直射光(主照明)と、天井側透光材17を経て天井方向に照射される間接光を確保できる。
【0035】
ここで、天井側透光材17を経て天井方向に照射される間接光のうち、一部の間接光が彩色手段(着色透光材)18を経て彩色され、天井面11の投光面19に模様が描かれる。
例えば、彩色手段18として天井側透光材17にキャラクターの模様を描いた場合、天井面11にキャラクターの模様を表示することができる。
【0036】
よって、天井面11の投光面19に描く模様を、天井面11への演出効果として用いることができる。
これにより、光を演出するために、主照明としての蛍光ランプ13とは別の光源を用意する必要がなく、照明器具10のコストや大型化を抑えつつ、光の演出効果を得ることができる。
【0037】
つぎに、第2実施形態および第3実施形態を図2〜図3に基づいて説明する。なお、第2実施形態および第3実施形態において第1実施形態と同様の構成部材について同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る照明器具40について説明する。
図2に示すように、第2実施形態の照明器具40は、天井面11に吊下げ手段41で所定間隔をおいて取り付けられる天井面吊下げ型器具である。
【0039】
照明器具40は、主照明として用いられる環状の蛍光ランプ(放電灯)42と、蛍光ランプ42の点灯を制御する点灯制御ブロック43と、点灯制御ブロック43を内包する放電点灯装置44と、透過材にて構成された器具本体45と、器具本体45のうち天井面11に対向する上面部45a上に設けられた遮光手段(演出手段)46と、蛍光ランプ42を覆うセード47とを備えている。
【0040】
この照明器具40は、天井面11に設けられた給電装置48を通る吊下げ手段(吊下げ線)41によって、放電点灯装置44に給電するとともに、天井面11と一定の間隔をおいて保持されている。
【0041】
放電点灯装置44は、蛍光ランプ42の上方の天井面11側に配置されることで反射板の役割をも兼ねる部材である。
器具本体45は、天井面11に対向する上面部45aが透光材で形成されている。透光材で形成した上面部45aに遮光手段46が配置されている。
【0042】
遮光手段46は、上面部45aに遮光手段46が任意の形状に配置され、間接光を任意形状に遮光(遮断)することで、天井面11の投光面49へ投影されるシルエットを演出することが可能である。
シルエットによる壁面演出は、例えば、葉っぱ模様、幾何学模様、星空模様を描写したり、キャラクター模様を描写することが可能である。
【0043】
すなわち、遮光手段46は、蛍光ランプ42と天井面11との間に備えられ、蛍光ランプ42の間接光を任意形状に遮光する手段である。
この遮光手段46は、少なくとも一部をユーザが変更できるものである。
これにより、ユーザが任意に遮光手段46を変更できるので、ユーザの好みに合わせて演出模様を実現でき演出効果を高めることができる。
【0044】
第2実施形態の照明器具によれば、器具本体45の上面部45aを透光材で形成し、上面部45aに遮光手段46を配置することで、天井面11の投光面49にシルエットを投影することができる。
よって、天井面11の投光面49に投影されたシルエットを、天井面11への演出効果として用いることができる。
【0045】
これにより、光を演出するために、主照明としての蛍光ランプ42とは別の光源を用意する必要がなく、照明器具40のコストや大型化を抑えつつ、光の演出効果を得ることができる。
【0046】
なお、第2実施形態では、光源として環状の蛍光ランプ42を用いたが、第1実施形態と同様に平面螺旋形状の蛍光ランプを用いることで、天井面11側に照射される光を十分に確保(保護)できる。
【0047】
このように、環状の蛍光ランプ42に代えて平面螺旋形状の蛍光ランプを用いることで、環状の蛍光ランプ13と同様の演出効果が得られ、加えて、面光源の特色を活かして、光の中落ち(ランプ内径内が暗くなること)のない明瞭な主照明としての役割を果たすことができる。
【0048】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る照明器具50について説明する。
図3に示すように、第3実施形態の照明器具50は、演出効果を施す投光面を壁面(設置面)51に設定したものである。
【0049】
すなわち、第1実施形態の照明器具10および第2実施形態の照明器具40は、天井面11に投光面19,39が設けられている。そのため、演出効果を直接視認する機会が少なく、空間演出的な役割を担っていた。
【0050】
これに対して、照明器具50は、壁面51に投光面52が設定されているので、第1実施形態の照明器具10や第2実施形態の照明器具40と比べてユーザに視認しやすい演出効果が得られる。
【0051】
この照明器具50は、セード(透光材)53のうち斜面53aに遮光手段(演出手段)54が設けられている。この斜面53aは壁面51側に対向する面である。
よって、照明器具50の外形(外枠)50aよりさらに外側の投光面52に対して演出効果を発揮することが可能になり、ユーザに視認しやすい演出効果が得られる。
【0052】
これにより、光を演出するために、主照明としての蛍光ランプ13とは別の光源を用意する必要がなく、照明器具50のコストや大型化を抑えつつ、光の演出効果を得ることができる。
【0053】
なお、本発明に係る照明器具は、前述した実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、第1実施形態〜第3実施形態で示した照明器具10,40,50、天井面11、蛍光ランプ13,32、彩色手段18、遮光手段46,54および壁面51などの形状は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
10,40,50 照明器具
11 天井面(設置面)
13,32 蛍光ランプ(放電灯)
18 彩色手段(演出手段)
46,54 遮光手段(演出手段)
51 壁面(設置面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主照明として用いる放電灯の設置面側への配光を間接光として用いる照明器具において、
前記間接光を任意形状に彩色することで光を演出する演出手段を前記放電灯と前記設置面との間に備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
主照明として用いる放電灯の設置面側への配光を間接光として用いる照明器具において、
前記間接光を任意形状に遮光することで光を演出する演出手段を前記放電灯と前記設置面との間に備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の演出手段のうち、少なくとも一部を変更可能としたことを特徴とする照明器具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の主照明として用いる放電灯が平面螺旋形状の蛍光ランプであることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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