照明器具
【課題】グレア及び全光束低下を抑制しつつ配光特性を制御できるとともに、拡散シートの交換のみで簡便に照射範囲を変更できる構造を有する照明器具を提供すること。
【解決手段】本発明の照明器具は、凹状部1aを有する反射板1と、反射板1の凹状部1aの底部に配置された光源2と、反射板1の出光領域に配置され、表面に凹凸構造3aが形成された拡散シート3とを備え、拡散シート3は、光源2からの光を入光する入光面、及び光源2からの光を出光する出光面を有し、入光面における光源からの入射光強度が最大となる領域が、拡散シート3において拡散角度が最大である領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明の照明器具は、凹状部1aを有する反射板1と、反射板1の凹状部1aの底部に配置された光源2と、反射板1の出光領域に配置され、表面に凹凸構造3aが形成された拡散シート3とを備え、拡散シート3は、光源2からの光を入光する入光面、及び光源2からの光を出光する出光面を有し、入光面における光源からの入射光強度が最大となる領域が、拡散シート3において拡散角度が最大である領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、特に発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止の観点から温室効果ガスである二酸化炭素の排出量削減が求められており、それに伴って省電力化に有効なLED光源や蛍光灯光源を有する照明器具が増えてきている。例えば、部分照明として使われることの多いダウンライトやスポットライトなどの照明器具は光源として白熱電球やミニクリプトン球が使われるケースが多いが、これらの光源は発光効率が低く、より高効率で省電力化が図れるLED光源や蛍光灯光源への移行が進んでいる。特にLED光源は、長寿命で廃棄物の削減が可能であるとともに、水銀などの有害物質を含まずに環境保全に貢献でき、また近年は発光効率の向上が著しいこともあり、LED光源を使用した照明器具の普及が急速に進んでいる。
【0003】
通常、ダウンライトやスポットライトなどは、光源から照射された光を有効活用するために、反射板の材質・形状や、バッフルと呼ばれる遮光板、レンズ、或いは乳白色の拡散カバーなどで配光特性を制御しており、使用目的に応じた所望の配光特性が得られるように設計されている。照明器具メーカーでは、光学部材を設計し、様々な配光特性を有するダウンライトやスポットライトなどを製造販売している。
【0004】
LED光源を使用した照明器具として、LEDに対してレンズが組み込まれた砲弾型LEDと拡散板とを組み合わせて使用する例が開示されている(特許文献1)。しかしながら、砲弾型LEDを用いて、配光特性を制御するためには用いる光源自体を変えることが必要であり、容易に配光特性を制御できない。
【0005】
これに対し、面状光源に対してプリズム板を2枚用い、プリズム板を回転することによって、容易な配光制御を可能とした例が開示されている(特許文献2)。しかしながら、この手法はプリズムの集光効果による配光制御を目的としたものであり、LEDのような指向性の強い点光源からの出光を十分に拡散させることができない。
【0006】
また、LED光源と配光制御用レンズとを備え、配光制御用レンズを可動とすることで手軽に配光制御可能な照明器具が開示されている(特許文献3)。また、LED光源上にフレネルレンズが賦形された照明カバーを配置することによって配光制御する例が開示されている(特許文献4)。いずれの構成もレンズによる集光効果により配光制御を行っている。このため、出射面のレンズにより、全反射によって透過率が低下し、それに伴って光源の全光束も低下するという問題がある。また、レンズによる配光制御のため、レンズ部を直視した際のグレアを抑制することはできない。
【0007】
さらに、レーザー加工による凹凸が賦形された照明用拡散板の例が開示されている(特許文献5)。ここでは、拡散板の表面に、様々な凹凸構造を組み合わせることによって、配光特性を制御する手法が示されている。しかしながら、凹凸構造の具体的な組み合わせ方が記載されておらず、また、反射板との組合せについても記載されていないため、用いる光源の指向性によっては全光束が低下してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−188002号公報
【特許文献2】特開2009−54322号公報
【特許文献3】特開2004−199891号公報
【特許文献4】特開2005−317557号公報
【特許文献5】特開2000−48613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記技術の他、従来の配光制御、及びグレア抑制技術として、照明器具の出光面に乳白色の拡散板を配置する手法がある。この手法ではグレアを抑制し、光を拡散させる効果があるが、それに伴って全光束が大幅に低下してしまうという問題があった。すなわち、配光特性を様々な形態に簡便に制御できるものではなく、また光の利用効率が低下してしまうために省エネの観点から好ましくなかった。また、通常は一度設置された照明器具の照射範囲を変えるためには、異なる配光特性を示す照明器具を用意し、照明器具本体を交換する必要があった。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、グレア及び全光束低下を抑制しつつ配光特性を制御できるとともに、拡散シートの交換のみで簡便に照射範囲を変更できる構造を有する照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、凹状部を有する反射板と、その底部に配置された光源を備えた照明器具において、該反射板の出光領域に所定の拡散角度を有する拡散シートを配置することにより上記の目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0012】
本発明の照明器具は、凹状部を有する反射板と、前記反射板の前記凹状部の底部に配置された光源と、前記反射板の出光領域に配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記光源からの光を入光する入光面、及び前記光源からの光を出光する出光面を有し、前記入光面における光源からの入射光強度が最大となる領域が、当該拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の照明器具は、凹状部を有する複数の反射板と、前記複数の反射板の前記凹状部の底部にそれぞれ配置された個々の光源と、前記複数の反射板の各出光領域を覆うように配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記複数の光源からの光を入光する入光面、及び前記複数の光源からの光を出光する出光面を有し、前記入光面における個々の光源からの入射光強度が最大となる領域が、当該拡散シートにおいて前記個々の光源に対してそれぞれ設けられた拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の照明器具は、凹状部を有する反射板と、前記反射板の前記凹状部の底部に配置された光源と、前記反射板の出光領域に配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記光源からの光を入光する入光面、及び前記光源からの光を出光する出光面を有し、前記光源の直上の領域が、前記拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の照明器具は、凹状部を有する複数の反射板と、前記複数の反射板の前記凹状部の底部にそれぞれ配置された個々の光源と、前記複数の反射板の各出光領域を覆うように配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記複数の光源からの光を入光する入光面、及び前記複数の光源からの光を出光する出光面を有し、前記個々の光源の直上の領域が、当該拡散シートにおいて前記個々の光源に対してそれぞれ設けられた拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の照明器具においては、前記拡散シートの前記凹凸構造が形成された領域における拡散角度が、0.1度から80度の範囲内であることが好ましい。
【0017】
本発明の照明器具においては、前記拡散シートの前記拡散角度が、光源から入射する光の強度が最大となる領域からの距離が長くなるにしたがって小さくなることが好ましい。
【0018】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、前記各光源直上を略中心とした同心円状に変化していることが好ましい。
【0019】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る直線を中心線とし、前記各中心線上からの距離に応じて変化していることが好ましい。
【0020】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る方向を長軸方向とし、前記各光源上を略中心とした同心楕円状に変化していることが好ましい。
【0021】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面を略中心とした前記各光源の略直上を通る円の前記各光源の略直上における接線を中心線とし、前記各中心線上からの距離に応じて変化していることが好ましい。
【0022】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る方向を短軸方向とし、前記各光源直上を略中心とした同心楕円状に変化していることが好ましい。
【0023】
本発明の照明器具においては、前記拡散シートは、前記反射板前方の出光領域において、ヘイズ値が10%以下である領域を有することが好ましい。
【0024】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートには、前記各光源の配置に対応して凹凸構造が形成され、前記拡散シートを回転及び/又はスライドさせることによって異なる凹凸構造形成領域を各光源に対応させ、配光特性の切り替えが可能であることが好ましい。
【0025】
本発明の照明器具においては、前記光源が発光ダイオードであることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、グレア及び全光束低下を抑制しつつ配光特性を制御できるとともに、拡散シートの交換のみで簡便に照射範囲を変更できる構造を有する照明器具を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る光透過性パネルにおける透過光強度と拡散角度との関係を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シートにおける拡散角度の定義を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る照明器具の断面構造の一例を示す概略図である。
【図4】(a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る照明器具の一例を示す斜視図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具の他の一例を示す斜視図である。
【図6】(a)〜(f)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形状に配置した場合に用いられる拡散シートの平面模式図であり、(g)〜(k)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの平面模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る照明器具の点灯時における出光面を直視した写真である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シートにおける拡散角度の、光源直上位置に対する分布を示す図である。
【図9】(a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シートにおける拡散角度の、光源直上位置に対する分布を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シート表面の凹凸構造を示す断面模式図である。
【図11】(a)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面概略図であり、(b)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートを示す平面模式図である。
【図12】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面概略図であり、(c)、(d)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面模式図である。
【図13】(a)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形形状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面模式図であり、(b)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面概略図である。
【図14】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形状に配置した場合に用いられる拡散シートの他の一例を示す平面模式図であり、(c)、(d)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの他の一例を示す平面模式図である。
【図15】(a)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形形状に配置した場合に用いられる拡散シートの他の一例を示す平面模式図であり、(b)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの他の一例を示す平面模式図である。
【図16】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる透明部を有する拡散シートを示す平面模式図である。
【図17】(a)〜(i)は、本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる透明部を有する拡散シートの一例を示す平面模式図である。
【図18】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形形状に配置した場合に用いられる異なる凹凸構造を有する拡散シートの平面模式図であり、(c)、(d)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる異なる凹凸構造を有する拡散シートの平面模式図である。
【図19】(a)、(b)は、本発明の実施例に係る照明器具における反射板前方の出光面における輝度の測定位置を示した図である。
【図20】(a)、(b)は、本発明の実施例に係る照明器具に用いられる拡散シートの平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る照明器具は、凹状部を有する反射板と、反射板の凹状部の底部に配置された光源と、表面に凹凸構造が形成され、光源からの光を入光する入光面、及び光源からの光を出光する出光面を有する拡散シートとを備える。この構成においては、光源からの光を拡散させ、全光線透過率の低下を抑えることを考慮して、拡散シートの凹凸構造を光源からの光の入光面側に配置することが好ましい。なお、本発明に係る照明器具において、グレアの抑制や、所望の配光特性を得るために、全光束低下及び集光効果の生じない範囲で出光面に凹凸構造を設けることができる。
【0029】
また、本発明に係る照明器具において、拡散シートは、反射板の出光領域に配置され、入光面における光源からの入射光強度が最大となる領域が、拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有する。光源からの入射光強度が最大となる領域において、拡散シートの拡散角度を最大とすることにより、照明器具を直視した際のグレアを効果的に抑制することができる。
【0030】
次に、図1及び図2を参照して光透過性パネルの拡散角度について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る光透過性パネルにおける透過光強度と拡散角度との関係を示す図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る照明装置に用いられる光透過性パネルにおける拡散角度の定義を示す模式図である。図1及び図2に示すように、光透過性パネルの入光領域に入射した入射光は、光透過性パネルの凹凸部によって拡散され、出光面側から透過光として出光する。このため、光透過性パネルから出光する透過光は、光透過性パネルの出光面に対する角度に応じて透過光強度が減衰される。
【0031】
本発明において、「拡散角度」とは、透過光強度がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう。この拡散角度は例えば、変角光度計(日本電色工業社製、GC 5000L)で、拡散シートの凹凸構造が形成された面(凹凸面)を入射面とし、凹凸面の法線方向に入射した光に対する透過光強度の角度分布を測定することによって求めることができる。ここで、拡散シートの法線方向とは、図2に示すように、拡散シートの凹凸面に対して垂直方向を指す。拡散シートの拡散角度が最大となる領域とは、前記変角光度計などで測定可能な最小領域である、約2mmφの範囲である。
【0032】
本発明に用いることができる照明器具としては、例えばダウンライト、スポットライト、シーリングライト、ライトアップ照明器具やライン照明器具などが挙げられる。例えば、東芝ライテック社製LEDD66003W−LS1、LEDD44003W−LS1、松下電工社製NNN21637、NNN21638などのダウンライト、東芝ライテック社製LEDS80000W−LS、LEDS−80002−LSなどのスポットライトなどが挙げられる。
【0033】
これら照明器具の配光特性は、主として照明器具を構成している反射板によって制御されているため、所望の配光特性を得るためには反射板の材質及び形状の設計が必要となるが、本発明に係る拡散シートが交換可能な構造を有する照明器具を用いれば、照明器具本体や反射板を交換することなく配光特性を変更することができる。
【0034】
また、従来のように反射板によって照明器具の配光特性を制御した場合、照明領域内からは光源或いは反射板を直視することになるため、非常にグレアが強く不快であるという問題があった。これらの照明器具に、照明器具から出光する光が入光する位置に拡散板を配置することによってグレアを抑制することが可能であるが、拡散板によって配光特性が変化したり、全光束が低下したりするため、省エネの観点からも好ましくなかった。
【0035】
本発明に係る照明器具において、拡散シートは、光源の直上の領域が、拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有する。光源の直上の領域とは、拡散シートの入光面と光源とを結ぶ垂直線上を含む領域を意味する。図3は、本発明に係る照明器具の断面構造の一例を示した概略図である。同図に示すように、本発明に係る照明器具は、光源としてのLED2と、LED2からの光を反射する反射板1と、反射板1で反射された光を拡散する拡散シート3を備えて構成される。反射板1は、断面視において略放物線状に形成された凹状部1aを有し、この凹状部1a内の底部1bにLED2が配置される。この場合の底部とは、凹状部1a斜面の傾斜角度が最小となる位置を含む領域を意味する。拡散シート3は、一方の主面に凹凸構造3aが形成され、この凹凸構造3aを有する主面がLED2からの入光面となるように、LED2と対向して配置されている。この構成において、拡散シート3の入光面に略垂直に光線が入射した場合に、拡散シート3から出光する光の拡散角度が光源の直上において最大となる。なお、凹凸構造3aは、LED2からの入光面の反対側に形成されていても良い。
【0036】
図4(a)〜図4(e)は、本発明の実施の形態に係る照明器具の一例を示す斜視図である。反射板1の凹状部1aの形状としては、半球状(図4(a))、半楕円体状(図4(b))、円錐状(図4(c))、多角錘状(図4(d))、円筒状(図4(e))や、これらの混合形状としても良い。特に、光源からの光を正面へ偏向させるために、断面形状が曲面を有する形状が好ましく、断面形状を略放物線状とするのがより好ましい。また、照明器具によって照射面の均一な照度を得るために、反射板1の縁形状は円形または楕円形とするのが好ましい。反射板1の材質としては、金属或いは金属蒸着からなる反射面や、白色樹脂などによる反射面としても良い。また、拡散シート3による配光特性を制御するためには、正反射率90%以上の鏡面からなる反射面とするのが好ましい。また、反射面には拡散性を高めるために、微細な凹凸構造が賦形されていても良い。上記以外にも、反射板1としては、光を反射させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネートなどの樹脂を発泡させて内部に空孔を形成し、シート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート、などを用いることができる。
【0037】
図5(a)、図5(b)は、本実施の形態に係る照明器具の他の一例を示す斜視図である。図5(a)、図5(b)に示すように、本実施の形態に係る照明器具は、図3の構造に示す拡散シート3、LED2及び反射板1の組み合せを、複数個有する形態としても用いることができ、それらの配置の仕方も任意に設計することができる。図5(a)は、円形の拡散シート3上にLED2を備えた反射板1を円状に6つ配置した例を示している。図5(b)は、長方形の拡散シート3上にLED2を備えた反射板1を直線状に6つ配置した例を示している。
【0038】
図6(a)から図6(k)は、本実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シート3の平面模式図を示したものである。本実施の形態に係る照明器具における拡散シート3について、照明器具の光源の配置に応じて、凹凸構造3aの形成領域の個数、形状や大きさなどを設計して用いる。図6(a)〜図6(f)には、光源が円状に配置された場合の拡散シート3の一例が示されている。例えば、光源が照明器具全体の出光面を中心とした円状に分布している場合、反射板1の凹状部の周縁部の正面像が円形であるならば、照射面において均一な照度を得るために凹凸構造3aの形成領域を円形(図6(a)、(b)、(c))、楕円形(図6(d)、(e))、あるいは円形と楕円形の組合せ(図6(f))とすることが好ましい。この場合、所望の配光特性を拡散シート3によって得るために、光源の数と凹凸構造3aの形成領域の数は異なっていても良い。
【0039】
また、光源が直線状に分布している場合も同様に、凹凸構造3aの形成領域を設計することができる。図6(g)〜図6(k)は、光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シート3の一例を示す平面模式図である。この場合、凹凸構造3aの形成領域は、円形(図6(g))、楕円形(図6(h)、(i)、(j))や、円形と楕円形の組合せ(図6(k))であることが好ましい。なお、図6(a)〜図6(k)ではLED光源が5個或いは6個の場合における拡散シート3の例を示しているが、光源の数や配置に応じて、拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域の面積及び配置は任意に設計可能である。
【0040】
このように、本実施の形態に係る照明装置において、複数の反射板1及びLED2を組み合わせて構成する場合には、複数の反射板1の各出光領域を覆うように拡散シート3を配置し、個々のLED2に対してそれぞれ凹凸構造3aの形成領域を設ける。すなわち、個々のLED2における出光領域の入射光強度が最大となる領域と、個々のLED2に対してそれぞれ設けられた凹凸構造3aの拡散角度が最大となる領域と、が重なる部分を有するように構成する。これにより、複数の反射板1及びLED2を用いた場合においてもグレア及び全光束低下を抑制しつつ配光特性を制御することができる。
【0041】
本発明に係る拡散シート3は、表面に多数の凹凸構造を有している。凹凸構造とは、例えば、表面に多数の突起部が設けられた構造である。突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物線状のいずれでもよく、各突起部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、突起部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。また、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっている擬似ランダム構造も、好ましく用いることができる。この擬似ランダム構造としては、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された、微細な3次元構造であることが好ましい。
【0042】
干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された3次元構造は、機械加工では困難であった20μm以下の微細な凹凸構造3aの形成に適している。特に、干渉露光によるスペックルパターンを用いて凹凸を形成する方法は、拡散シート3面内の領域において拡散角度を変えるような場合に、適した製法である。また、マイクロレンズのような等方形状や、レンチキュラーレンズのような異方形状も容易に形成することができる。
【0043】
本発明に係る拡散シート3の凹凸構造3aの形状は、照明器具の目的とする照射範囲の広さ及び形状に応じて任意に設計することができる。拡散シート3無しの状態で等方的な出光パターンを示す照明器具においては、照射範囲を円形或いは正方形とするためには凹凸構造3aを等方形状とすることが好ましく、また照射範囲を楕円形或いは長方形とするには凹凸構造3aを異方形状とすることが好ましい。この凹凸構造3aのピッチ及び高さは、人間の目の分解能以下、すなわち20μm以下とすることによって目立ちにくくなるため好ましく、特に、高さを変えて配光特性を制御し、グレアを抑制する手法がより好ましい。また凹凸構造は、グレア抑制の観点から、連続曲面により形成されている不規則な凹凸構造であることが好ましい。
【0044】
凹凸構造3aを表面に有し、拡散シート3面内の領域において拡散角度が変化するような拡散シート3は、具体的には次のようにして製造することができる。まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、拡散角度が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変えスペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度を制御し、異なる拡散角度をもつ凹凸構造3aを記録することができる。
【0045】
一般に、拡散角度は、スペックルの平均サイズ及び形状に依存する。スペックルが小さければ拡散角度が大きい。また、凹凸構造3aの単位構造は等方性のものに限らず、異方性のものを形成することもでき、両者の複合された凹凸構造3aとすることもできる。スペックルが横方向の長円形であれば、角度分布の形は縦方向の長円形となる。このように拡散角度が位置によって変化するようなサブマスタ型を作製する。このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。光透過性樹脂層に、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って光透過性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。拡散角度を位置によって変えたこの拡散シート3の詳細な製造方法については、特表2003−525472号公報に開示されている。また、拡散角度は凹凸構造3aのピッチ、高さ、アスペクト比を変えて制御しても構わない。
【0046】
本発明に係る照明器具において、拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域における拡散角度は、0.1度から80度の範囲内であることが好ましい。特に、配光特性を制御しつつ全光束低下を抑制するために、光源直上における拡散角度は10度から80度の範囲内であることが好ましく、20度から70度の範囲であることがより好ましい。
【0047】
本発明に係る照明器具において、拡散シート3の拡散角度は、光源から入射する光の強度が最大となる領域からの距離が長くなるに従って小さくなることが好ましい。照明器具の各部位における輝度には分布があるため、照明器具全体として所望の配光特性を得るためには、位置によって拡散角度の異なるような拡散シート3を用いることが効果的である。したがって、出光面において輝度が高い領域では拡散角度を高くし、領域からの距離が長くなるにしたがって拡散角度を小さくすることによって全光束の低下を抑制しつつ、配光特性を制御することが可能となる。
【0048】
図7は、本実施の形態に係る照明器具の点灯時における出光面を直視した写真である。図7においては、凹状の反射板1とその底部に配置したLED光源を直視した写真を示している。ここでは、光源から直接、照明器具前方に出射する光によって、円状に輝度が高くなる領域A1以外に、光源から出射した後、凹状の反射板1で反射することによって照明器具前方から出光する光によってリング状に輝度が高くなる領域A2が存在する。このような場合は、拡散シートにおいて、光源から入射する光の強度が最大となる領域からの距離に比例して拡散角度が小さくなるようし、さらに、リング状に輝度が高くなる領域A2に対応させて拡散角度を調整し、グレアを抑制することも可能である。
【0049】
本発明における拡散角度は、拡散シート3上の凹凸構造3aの形成領域において、図8(a)、(b)のように表される。例えば、図8(a)のように、拡散シート3上の凹凸構造3aの形成領域が円形の場合、光源の直上位置を中心として直径方向に拡散角度を測定する。同様に、図8(b)のように凹凸構造3aの形成領域が楕円形の場合、光源の直上位置を中心として楕円の長軸方向a、短軸方向bにそれぞれ拡散角度を測定する。
【0050】
図9(a)〜図9(e)は、本発明に係る照明器具に用いられる拡散シート3の拡散角度の光源直上位置に対する分布を示す図である。拡散角度は、光源からの距離に対して直線的に変化していたり(図9(a)、(d))、曲線的に変化していたり(図9(b)、(c))、或いは直線と曲線の混合状に変化していたり(図9(e))しても良い。拡散角度の分布は、照明器具の輝度分布や所望の配光特性を得るために、任意に設計することができる。
【0051】
拡散角度は、凹凸構造3aのピッチ、高さ、アスペクト比を変えて制御することができる。図10は、拡散シート3表面の凹凸構造を示す断面模式図である。凹凸構造3a断面の端部から端部までの距離をピッチw、ピッチwにおける凸部の高さをlとすると、アスペクト比はl/wとして表される。アスペクト比が高いほど、高拡散となり、また、ピッチが略一定の場合は凸部の高さが高いほど高拡散となる。特に、干渉露光法による凹凸形成においては、光学系を組み替えずに拡散角度を変えられることから、ピッチを略一定とすることが好ましい。
【0052】
次に、図11(a)、図11(b)を参照して複数の光源が同心円状(図11(a))または直線状(図11(b))に配列され、かつ拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域が円形である場合について説明する。この場合、拡散角度は、各光源上において光源の位置する点の略直上3b(以下、単に光源直上3bともいう)を中心とした同心円状に変化していることが好ましい。反射板1の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良く、特に、反射板の縁の形状が円形、或いは楕円形である場合、照明器具発光面の輝度は、光源位置直上を中心とした同心円状に分布しているため、効果的な配光特性制御とグレア抑制が可能となる。
【0053】
次に、図12〜図15を参照して、本実施の形態に係る照明器具の光源及び拡散シートの配置と凹凸構造3aの形成領域内の拡散角度の変化について説明する。まず、図12(a)〜図12(d)を参照して、複数の光源が同心円状(図12(a)、図12(b))や直線状(図12(c)、図12(d))に配列されている場合の一例について説明する。この場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の出光面の略中心点P1(以下、単に点P1ともいう)と各光源直上3bとを通る直線である各中心線L1(放射線)、L2上から、拡散シート3面内において、各中心線L1、L2との略直交方向D1への距離に応じて変化していることが好ましい。尚、図12(a)〜図12(d)に示すように、各配列における凹凸構造3aの形成領域の形状は、平面視において、円形形状である場合、及び矩形形状である場合であっても直交方向D1は略同一となる。反射板の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良い。
【0054】
次に、図13(a)、図13(b)を参照して複数の光源が同心円状または直線状に配列され、かつ拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域が楕円形である場合について説明する。この場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の出光面を中心とした点P1と各光源直上3bとを通る直線である各中心線L1(放射線)、L2を長軸方向とし、各光源直上3bを中心とした同心楕円状の方向D2への距離に応じて変化していることが好ましい。反射板の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良く、特に、反射板1の縁の形状が円形、或いは楕円形である場合により好ましく適用できる。
【0055】
次に、図14(a)〜図14(d)を参照して、複数の光源が同心円状や直線状に配列されている場合の他の一例について説明する。図14(a)、図14(b)に示すように、複数の光源が同心円状に配列されている場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の出光面を中心とした点P1と各光源直上3bとを通る円の光源直上における接線L3を中心線とし、各中心線(接線L3)上から拡散シート3面内において、接線L3との略直交方向D3への距離に応じて変化していることが好ましい。また、図14(c)、図14(d)に示すように、複数の光源が直線状に配列されている場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の略中心点P1と各光源直上3bとを通る直線である中心線L2から、拡散シート3面内において、各中心線L2との略平行方向D4への距離に応じて変化していることが好ましい。尚、図14(a)〜図14(d)に示すように、各配列における凹凸構造3aの形成領域の形状は、平面視において、円形形状である場合、矩形形状である場合のいずれにおいても方向D3及び方向D4は略同一方向となる。また、反射板の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良い。
【0056】
次に、図15(a)、図15(b)を参照して、複数の光源が同心円状または直線状に配列され、かつ拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域が楕円形である場合の他の一例について説明する。この場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の出光面を中心とした点P1と各光源直上3bとを通る直線である各中心線L1(放射線)、中心線L2を短軸方向とし、各光源直上3bを中心とした同心楕円状の方向D5への距離に応じて変化していることが好ましい。反射板1の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良く、特に、反射板の縁の形状が円形、或いは楕円形である場合により好ましく適用できる。
【0057】
拡散シート3は、凹状の反射板1前方の出光領域A3において、ヘイズ値が10%以下である領域を有することが好ましい。この領域は、光を実質的に拡散させない透明部分として存在し、ヘイズ値が5%以下であることがより好ましく、特に3%以下であることがさらに好ましい。尚、上記ヘイズ値は、例えば、JIS K7136に定める条件で測定することができる。
【0058】
次に、図16(a)、図16(b)を参照して、透明部分を有する拡散シート3を用いた場合の凹凸構造3a及び透明部分4の位置関係について説明する。図16(a)に示す例では、縁形状が円形の凹状の反射板1からの出光面上に、シート面内に6つの凹凸構造3aの形成領域を有する円形の拡散シート3が配置される。円形の拡散シート3面内には、円形形状の出光領域A3が、同心円状に6つ存在する。円形形状の出光領域A3内には、楕円形状の凹凸構造3aの形成領域が設けられ、この楕円形状の凹凸構造3aの形成領域の短軸方向の外側には微小な透明部分4(略三日月形状)が形成されている。
【0059】
同様に、図16(b)に示す例では、縁形状が円形の凹状の反射板1からの出光面上に、拡散シート3面内に6つの凹凸構造3aの形成領域を有する円形の拡散シート3が配置される。円形の拡散シート3面内には円形形状の出光領域A3が、同心円状に6つ存在する。円形形状の出光領域A3内には、円形状の凹凸構造3aの形成領域が設けられ、この円形形状の凹凸構造3aの形成領域の外側には微小な透明部分4(円環状)が形成されている。このように、出光領域A3内が光源からの光を拡散する凹凸構造3aの形成領域と、光源からの光を拡散させずに透過させる透明部分4と、に区分されることにより、全光束の低下を抑制しつつ、ビーム角を制御することができる。
【0060】
ここでいう光を実質的に拡散させない透明部分4とは、ヘイズ値が10%以下である領域のことを意味するが、上記範囲内に収まっていれば、反射防止処理などが施されていても良い。透明部分4の面積は、1/2ビーム角制御の観点から、各反射板の出光領域A3の面積の1%以上30%以下であることが好ましく、1%以上20%以下であることがより好ましい。また、グレア抑制の観点から、各反射板の出光領域A3の面積の1%以上30%以下であることが好ましく、1%以上10%以下であることがより好ましい。
【0061】
図17(a)〜図17(i)は、反射板1前方の出光領域A3において、透明部分4を有する拡散シート3の一例を示す平面模式図である。透明部分4の形状は、拡散シート3上の凹凸構造3aの形成領域の形状によって決まる。例えば、凹状の反射板の縁部の形状が円形の場合、凹凸構造3aの形成領域を円形とすると、透明部分4はリング形状となり(図17(a))、凹凸構造3aの形成領域を楕円形とすると、透明部分4は三日月形状となる(図17(b)、(c))。この他、凹凸構造3aの形成領域が長方形((図17(d)、(e))、多角形(図17(f))や、特殊な形状(図17(g)、(h))とすることにより、透明部分4の形状を設計することができる。さらに、図17(i)には、反射板の縁形状が楕円形であり、かつ拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域が円形の例が示されている。この場合、透明部分4の形状は三日月形状となる。以上に例を示したが、透明部分4の形状は、凹凸構造3aの形成領域の分布とともに、目的とする配光やグレアの解消度合いに応じて自在に設計可能である。
【0062】
本発明に係る照明器具においては、拡散シート3の交換により各光源に対応させて配光特性の切り替えが可能である。配光特性は、反射板1の素材や形状によって制御可能であるが、所定の反射板1を設置した後では、反射板1を追加設計したり、交換したりすることは手間及びコストがかかってしまうという問題があった。ここで、本発明に係る照明器具によれば、拡散シート3の交換によって容易に配光制御が可能であるという利便性がある。
【0063】
本発明に係る照明器具における拡散シート3は、各光源の位置に対応して凹凸構造が形成され、該拡散シート3を回転或いはスライドさせることによって、異なる凹凸構造形成領域を各光源に対応させ、配光特性の切り替えが可能であることが好ましい。図18(a)、(b)は、光源を円形形状に配置した場合に用いられる異なる凹凸構造を有する拡散シート3の平面模式図である。図18(a)(b)に示すように、この場合には、6個のLED2が円状に配列された照明器具に適用することができる、また、拡散シート3を回転させることにより、LED2上に位置する凹凸構造3aの形成領域を、拡散シート3の回転方向D6に対して、凹凸構造3aと凹凸構造3aとは異なる凹凸構造3a’との間で切り替えることができる。また、図18(c)、(d)は、光源を直線状に配置した場合に用いられる異なる凹凸構造を有する拡散シートの平面模式図である。この場合には、4個のLED2が直線状に配列された照明器具に適用することができる。この場合、拡散シート3をスライドさせることにより、LED2上に位置する凹凸構造3aの形成領域を、拡散シート3のスライド方向D7に対して、凹凸構造3aと凹凸構造3a’との間で切り替えることができる。尚、凹凸構造3aと凹凸構造3a’との切り替えは、拡散シート3の回転及びスライドを組み合わせて行ってもよい。
【0064】
本発明に係る照明器具に用いる光源としては、LED2であることが好ましい。本発明に係る照明器具においては、照明器具の照射側に、拡散シート3を組み合わせることで機能を発現する。特に、本発明に係る照明器具において、拡散シート3を用いない場合に、照明器具から照射される光が最大光度を示す方向と、該最大光度の1/2の光度を示す方向とのなす角度の2倍の角度(以下、1/2ビーム角)が0度から70度のものが好ましく用いられる。光源としては、白熱電球、蛍光灯やミニクリプトン球を用いることができ、より指向性が強く輝度の高いLEDを光源とすることが、配光特性を制御しやすくなるためより好ましい。特に、1/2ビーム角が50度以下であるものは、拡散シート3に入射する光の入射角の範囲が狭く、かつ法線入射に近くなって透過拡散光の制御がしやすくなるため、より好ましく、また、30度以下であるものはさらに好ましい。
【0065】
本発明に用いられる拡散シート3は、紫外線硬化樹脂による凹凸構造がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、或いはポリカーボネート等の基材シート上に転写された形態として用いることができる。また、拡散シート3を、透明な樹脂板やガラス板に粘着剤を介して、或いは熱転写などによって貼り合わせた形態として用いても良い。特に、照明器具として用いる場合には、強度を持たせるために、ポリカーボネートやアクリルを射出成形することによって作製した物が好ましい。
【0066】
本発明に用いられる拡散シート3は、凹凸構造3aが入光面と出光面の両面に形成されていても良く、また、凹凸構造3aを有する面の反対面に変角用プリズム形状を有していても良い。変角用プリズム形状を有することで、照射された光の進行方向を変えることができ、所望の照射方向を有効に照らすことができる。例えば、天井に取り付けたダウンライトで壁面の絵画を照らす場合や、壁面を照射するウォールウォッシャ用途として有効である。また、階段のような傾斜天井に取り付けた場合、照明器具の真下方向を照らすことができるため、階段を下りる際に、光源が直接目に入ることによるまぶしさを低減することができる。
【0067】
本発明に用いられる拡散シート3には、反射防止処理を目的として、凹凸構造3aを有する面の反対面に反射防止コーティングを施したり、微細な凹凸構造3aを賦形したりしても良く、それによって全光線透過率を向上させることができるため、全光束低下の抑制に繋がる。
【0068】
本発明に係る特定の凹凸構造3aを有する拡散シート3を組み合わせた照明器具を用いれば、容易に配光特性を変更できるとともに、拡散シート3の交換のみで簡便に照射範囲を変更することができるという利便性を兼ね備えたものとなる。
【0069】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
[ダウンライト]
東芝ライテック社製LEDダウンライト、LEDD−66003W−LS1を用いた。このダウンライトは、凹状部を有する反射板と反射板の凹状部の底部に配置されたLED光源とが図7のように6組配置され、光源の出光面側に、拡散カバー(フロスト加工アクリル板)が設けられたものである。拡散カバーにおいては、各LED光源直上が、光源からの入射光強度が最大となるが、面内で一様なフロスト加工がされている。
【0071】
[拡散シート]
スペックルパターンを制御して、種々の凹凸構造を有するマスタ型を作製した。次いで、そのマスタ形を用い、厚さ188μmのポリエステル樹脂フィルム上に紫外線硬化樹脂からなる凹凸構造を賦形し、本発明に係る照明器具に用いる拡散シートを作製した。
【0072】
[各種測定方法]
(1)1/2ビーム角
照明器具から出光される光の最大光度と、その軸光度の1/2の光度とのなす角度の2倍の角度を、1/2ビーム角とした。なお、光度は、照度計(日置電機社製、ルクスハイテスタ)を照明機器の出光面の中心位置を基準として水平距離で1m離して配置し、測定した照度値から換算して求めた。
【0073】
(2)全光束の測定
全光束は、2種の全光束測定システム(積分半球、積分全球)を用いて測定した。積分半球としては、1000mmφ積分半球(大塚電子社製、ハーフムーンシリーズ)を用い、照明器具を積分半球内部のバッフルを挟んで受光ファイバーと正対させて配置して測定した。また、積分全球としては、1000mmφ積分全球(Labsphere社製、CSLMS LED 4061)を用い、照明器具を積分全球の中心に、出光面を受光ファイバーと反対方向を向けた状態で配置して測定した。なお、全光束の測定値は、後述する比較例3の測定値を100%とする相対値で表した。
【0074】
(3)輝度測定
照明器具の出光面における輝度を、照明器具の出光面と輝度計(コニカミノルタセンシング社製、LS−110)を1000mm離れた位置に配置し、所定のスポット範囲において測定した。図19(a)、(b)は、各反射板前方の出光面における輝度の測定位置を示した図である。
【0075】
図19(a)のように、凹凸構造3aの形成領域が楕円形の場合は、出光領域A3の略中心に位置するスポット5と、凹凸構造3aの形成領域の長軸a上においてスポット5と隣接するスポット5aと、凹凸構造3aの形成領域の短軸b上においてスポット5と隣接するスポット5b、の3点における輝度を測定した。また、図19(b)のように、凹凸構造3aの形成領域が円形の場合は、出光領域A3の略中心に位置するスポット5と、凹凸構造3aの形成領域の半径上においてスポット5と隣接するスポット5’、の2点における輝度を測定した。上記結果は、グレアを判定する際に用いた。
【0076】
(4)グレアの判定
上記LEDダウンライト(LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を外して測定した各スポット(5、5a、5b、5’)における輝度値を基準として、割り返した値を輝度減衰度D(下記式(1)参照)とし、それを元にグレアを評価した。
輝度減衰度D=[各スポット(5、5a、5b、5’)における輝度値/下面カバーを外して測定した各スポット(5、5a、5b、5’)の輝度値]…式(1)
【0077】
グレアは光源直上と、反射板の縁周辺部の2領域に分け、光源直上においてはスポット5における輝度減衰度D、反射板の縁周辺部においてはスポット5a、5bにおける輝度減衰度Dの平均値、或いはスポット5’における輝度減衰度Dとした。なお、グレアは下記基準によって判定した。
◎: D≦0.2 グレアを殆ど感じない
○:0.2<D≦0.6 グレアをそれほど感じない
△:0.6<D≦0.8 ややグレアを感じる
×:0.8≦D グレアを強く感じる
【0078】
(5)総合評価
上記1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果を元に、下記表1に示す基準によって総合評価した。
【0079】
【表1】
【0080】
[実施例1]
実施例1の拡散シート3は、厚さ188μmのポリエステル基材上に、紫外線硬化樹脂で凹凸構造を賦形したものを用いた。図20(a)に実施例1で用いた拡散シートの平面模式図を示す。なお、図20(a)においては、62mmφの拡散シート3面内において、拡散シート3の中心から各LED光源を結ぶ直線方向を長軸方向D8としている。図20(a)に示すように、実施例1で用いた拡散シート3は、LED光源直上3bを中心とした楕円形状の凹凸構造3aの形成領域を6個有している。各凹凸構造3aの形成領域は、長軸が15mmφ、短軸が12mmφの楕円形状を有する。実施例1の拡散シート3は、反射板前方の出光領域A3において、光を拡散させない透明部分6が反射板前方の出光領域A3全体に対して約20%存在する。
【0081】
また、拡散シート3の各凹凸構造3aの形成領域の拡散角度は、LED光源直上に相当する光源直上3bを中心とした同心楕円状に分布している。各凹凸構造3aの形成領域において、拡散シート3のLED光源直上に相当する光源直上3bから長軸方向D8へ向けて測定した拡散角度θ1は最大の拡散角度が53度、最小の拡散角度が7度で図9(b)のように変化しており、短軸方向D9への拡散角度θ2は最大の拡散角度が53度、最小の拡散角度が4度で、図9(b)のように変化していた。
【0082】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例1の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に示す。
【0083】
[実施例2]
実施例2の拡散シート3は、実施例1と同等の凹凸構造3aの形成領域の面積及び配置を有し、拡散角度の分布のみが異なるものを用いた。拡散シート3の拡散角度は、各凹凸構造3aの形成領域において、拡散シート3のLED光源直上に相当する光源直上3bから長軸方向D8への拡散角度θ1は最大の拡散角度が56度、最小の拡散角度が2度で図9(b)のように変化しており、短軸方向D9への拡散角度θ2は最大の拡散角度が56度、最小の拡散角度が2度で、図9(b)のように変化していた。
【0084】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造3aの形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例2の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0085】
[実施例3]
実施例3の拡散シート3は、実施例1と同等の凹凸構造3aの形成領域の面積及び配置を有し、拡散角度の分布のみが異なるものを用いた。拡散シート3の拡散角度は、各凹凸形成部(凹凸構造3a)において、拡散シート3のLED光源直上に相当する光源直上3bから長軸方向D8への拡散角度θ1は最大の拡散角度が58度、最小の拡散角度が9度で図9(b)のように変化しており、短軸方向D9への拡散角度θ2は最大の拡散角度が58度、最小の拡散角度が7度で、図9(b)のように変化していた。
【0086】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造3aの形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例3の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0087】
[実施例4]
実施例4の拡散シート3は、厚さ188μmのポリエステル基材上に、紫外線硬化樹脂で凹凸構造を賦形したものを用いた。図20(b)に実施例4で用いた拡散シートの平面模式図を示す。図20(b)に示すように、実施例4で用いた拡散シート3は、62mmφの拡散シート3面内に直径R1が14mmφの凹凸構造3aの形成領域を6箇所有する。反射板前方の出光領域A3において、実施例4の拡散シート3は、実質的に光を拡散させない透明部分6が反射板前方の出光領域A3全体に対して約12%存在する。
【0088】
図20(b)に示す各凹凸構造3aの形成領域において、拡散シート3の光源直上3bに相当する位置から円周方向D10への拡散角度は、図9(c)のように変化しており、最大の拡散角度が55度、最小の拡散角度が18度であった。
【0089】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例4の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0090】
[実施例5]
実施例5の拡散シート3は、各凹凸構造3aの形成領域において拡散角度の分布が異なる以外は、実施例4と同等の拡散シート3を用いた。図20(b)に示す各凹凸構造3aの形成領域において、拡散シート3のLED光源直上に相当する位置から円周方向D10への拡散角度は、図9(c)のように変化しており、最大の拡散角度が60度、最小の拡散角度が11度であった。
【0091】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例5の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0092】
[実施例6]
実施例6の拡散シート3は、各凹凸構造3aの形成領域において拡散角度の分布が異なる以外は、実施例4と同等の拡散シート3を用いた。各凹凸構造3aの形成領域において、拡散角度は一様に55度であった。このように、実施例6の拡散シート3においては、各凹凸構造3aの形成領域において拡散角度の値は一様となり、周囲に光を拡散させない透明部分6が反射板前方の出光領域A3全体に対して約12%存在する。つまり、実施例6において本発明に係る拡散シートは、拡散角度が55度の凹凸構造3aの形成領域及び透明部分6の2種類の領域を有し、前記凹凸構造3aの形成領域はシート面内において最大拡散角度を示す領域と見なせる。このため、各凹凸構造3aの形成領域の全域の拡散角度が拡散シート3内で最大となる。
【0093】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造3a形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例6の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0094】
[比較例1]
上記LEDダウンライト(LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を、表面に樹脂ビーズが塗工された拡散シート(ツジデン社製、D123)に変更した以外は、実施例1と同様の構成とした。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0095】
[比較例2]
上記LEDダウンライト(LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を拡散板(粒径2μm、真比重1.35のシリコーン微粒子を内部に8,000ppm含有した、厚さ1.2mmのポリスチレン板)に変更した以外は、実施例1と同様の構成とした。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0096】
[比較例3]
上記LEDダウンライト(LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を透明アクリル板(厚さ1.5mm)に変更した以外は、実施例1と同様の構成とした。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0097】
[比較例4]
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0098】
【表2】
【0099】
表2より、比較例3の透明アクリル板使用時と比較し、フロスト加工アクリル板による全光束低下量は1%程度とごく僅かであったが、そのままの状態では目視によるグレアが見られ、やや不快であった(比較例4)。また、フロスト加工アクリル板の代わりとして、拡散板や市販の拡散シート3を配置することによりグレアが抑制され、1/2ビーム角を拡大させることが可能となるものの、全光束が10%以上低下してしまった(比較例1、比較例2)。
【0100】
ここで、本実施例に係る照明器具は、凹凸構造3aの形成領域を楕円形状として反射板前方の出光面領域において光を拡散させない透明部分を出光面全体の約20%有し、光源直上における拡散角度が最大となり、かつ拡散角度が同心楕円状に分布しているような拡散シート3について、凹凸構造3aが形成された面を光源からの光の入光面として配置することにより、グレアを抑制するとともに、全光束を殆ど低下させること無く、1/2ビーム角を拡大させることができた(実施例1〜実施例3)。
【0101】
また、本実施例に係る照明器具は、凹凸構造3aの形成領域を円形として反射板前方の出光面領域において光を拡散させない透明部分を出光面全体の約12%有し、光源直上における拡散角度が最大となり、同心円状に分布しているような拡散シート3について、凹凸構造3aが形成された面を光源からの光の入光面として配置することにより、グレアを解消するとともに、全光束低下を抑制しつつ、1/2ビーム角を拡大させることができた(実施例4、実施例5)。
【0102】
さらに、本実施例に係る照明器具は、凹凸構造3aの形成領域を円形として反射板前方の出光面領域において光を拡散させない透明部分6を出光面全体の約12%有し、凹凸構造3aの形成領域における拡散角度を一様にした拡散シート3について、凹凸構造3aが形成された面を光源からの入光面として配置することにより、グレアを解消するとともに、全光束低下を抑制しつつ、1/2ビーム角を拡大させることができた(実施例6)。
【0103】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における部材の材質、配置、形状などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る照明器具は、グレア及び全光束低下を抑制しつつ配光特性を制御することができ、更に拡散シートの交換のみで照射範囲を簡便に変更できる特徴を有していることから、照明分野、特にLED光源を有する照明分野への利用が期待できる。
【符号の説明】
【0105】
1 反射板
1a 凹状部
1b 底部
2 LED(光源)
3 拡散シート
3a 凹凸構造
3b 光源直上
4、6 透明部分
5 スポット
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、特に発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止の観点から温室効果ガスである二酸化炭素の排出量削減が求められており、それに伴って省電力化に有効なLED光源や蛍光灯光源を有する照明器具が増えてきている。例えば、部分照明として使われることの多いダウンライトやスポットライトなどの照明器具は光源として白熱電球やミニクリプトン球が使われるケースが多いが、これらの光源は発光効率が低く、より高効率で省電力化が図れるLED光源や蛍光灯光源への移行が進んでいる。特にLED光源は、長寿命で廃棄物の削減が可能であるとともに、水銀などの有害物質を含まずに環境保全に貢献でき、また近年は発光効率の向上が著しいこともあり、LED光源を使用した照明器具の普及が急速に進んでいる。
【0003】
通常、ダウンライトやスポットライトなどは、光源から照射された光を有効活用するために、反射板の材質・形状や、バッフルと呼ばれる遮光板、レンズ、或いは乳白色の拡散カバーなどで配光特性を制御しており、使用目的に応じた所望の配光特性が得られるように設計されている。照明器具メーカーでは、光学部材を設計し、様々な配光特性を有するダウンライトやスポットライトなどを製造販売している。
【0004】
LED光源を使用した照明器具として、LEDに対してレンズが組み込まれた砲弾型LEDと拡散板とを組み合わせて使用する例が開示されている(特許文献1)。しかしながら、砲弾型LEDを用いて、配光特性を制御するためには用いる光源自体を変えることが必要であり、容易に配光特性を制御できない。
【0005】
これに対し、面状光源に対してプリズム板を2枚用い、プリズム板を回転することによって、容易な配光制御を可能とした例が開示されている(特許文献2)。しかしながら、この手法はプリズムの集光効果による配光制御を目的としたものであり、LEDのような指向性の強い点光源からの出光を十分に拡散させることができない。
【0006】
また、LED光源と配光制御用レンズとを備え、配光制御用レンズを可動とすることで手軽に配光制御可能な照明器具が開示されている(特許文献3)。また、LED光源上にフレネルレンズが賦形された照明カバーを配置することによって配光制御する例が開示されている(特許文献4)。いずれの構成もレンズによる集光効果により配光制御を行っている。このため、出射面のレンズにより、全反射によって透過率が低下し、それに伴って光源の全光束も低下するという問題がある。また、レンズによる配光制御のため、レンズ部を直視した際のグレアを抑制することはできない。
【0007】
さらに、レーザー加工による凹凸が賦形された照明用拡散板の例が開示されている(特許文献5)。ここでは、拡散板の表面に、様々な凹凸構造を組み合わせることによって、配光特性を制御する手法が示されている。しかしながら、凹凸構造の具体的な組み合わせ方が記載されておらず、また、反射板との組合せについても記載されていないため、用いる光源の指向性によっては全光束が低下してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−188002号公報
【特許文献2】特開2009−54322号公報
【特許文献3】特開2004−199891号公報
【特許文献4】特開2005−317557号公報
【特許文献5】特開2000−48613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記技術の他、従来の配光制御、及びグレア抑制技術として、照明器具の出光面に乳白色の拡散板を配置する手法がある。この手法ではグレアを抑制し、光を拡散させる効果があるが、それに伴って全光束が大幅に低下してしまうという問題があった。すなわち、配光特性を様々な形態に簡便に制御できるものではなく、また光の利用効率が低下してしまうために省エネの観点から好ましくなかった。また、通常は一度設置された照明器具の照射範囲を変えるためには、異なる配光特性を示す照明器具を用意し、照明器具本体を交換する必要があった。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、グレア及び全光束低下を抑制しつつ配光特性を制御できるとともに、拡散シートの交換のみで簡便に照射範囲を変更できる構造を有する照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、凹状部を有する反射板と、その底部に配置された光源を備えた照明器具において、該反射板の出光領域に所定の拡散角度を有する拡散シートを配置することにより上記の目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0012】
本発明の照明器具は、凹状部を有する反射板と、前記反射板の前記凹状部の底部に配置された光源と、前記反射板の出光領域に配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記光源からの光を入光する入光面、及び前記光源からの光を出光する出光面を有し、前記入光面における光源からの入射光強度が最大となる領域が、当該拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の照明器具は、凹状部を有する複数の反射板と、前記複数の反射板の前記凹状部の底部にそれぞれ配置された個々の光源と、前記複数の反射板の各出光領域を覆うように配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記複数の光源からの光を入光する入光面、及び前記複数の光源からの光を出光する出光面を有し、前記入光面における個々の光源からの入射光強度が最大となる領域が、当該拡散シートにおいて前記個々の光源に対してそれぞれ設けられた拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の照明器具は、凹状部を有する反射板と、前記反射板の前記凹状部の底部に配置された光源と、前記反射板の出光領域に配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記光源からの光を入光する入光面、及び前記光源からの光を出光する出光面を有し、前記光源の直上の領域が、前記拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の照明器具は、凹状部を有する複数の反射板と、前記複数の反射板の前記凹状部の底部にそれぞれ配置された個々の光源と、前記複数の反射板の各出光領域を覆うように配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記複数の光源からの光を入光する入光面、及び前記複数の光源からの光を出光する出光面を有し、前記個々の光源の直上の領域が、当該拡散シートにおいて前記個々の光源に対してそれぞれ設けられた拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の照明器具においては、前記拡散シートの前記凹凸構造が形成された領域における拡散角度が、0.1度から80度の範囲内であることが好ましい。
【0017】
本発明の照明器具においては、前記拡散シートの前記拡散角度が、光源から入射する光の強度が最大となる領域からの距離が長くなるにしたがって小さくなることが好ましい。
【0018】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、前記各光源直上を略中心とした同心円状に変化していることが好ましい。
【0019】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る直線を中心線とし、前記各中心線上からの距離に応じて変化していることが好ましい。
【0020】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る方向を長軸方向とし、前記各光源上を略中心とした同心楕円状に変化していることが好ましい。
【0021】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面を略中心とした前記各光源の略直上を通る円の前記各光源の略直上における接線を中心線とし、前記各中心線上からの距離に応じて変化していることが好ましい。
【0022】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る方向を短軸方向とし、前記各光源直上を略中心とした同心楕円状に変化していることが好ましい。
【0023】
本発明の照明器具においては、前記拡散シートは、前記反射板前方の出光領域において、ヘイズ値が10%以下である領域を有することが好ましい。
【0024】
本発明の照明器具においては、複数の前記光源を備え、前記拡散シートには、前記各光源の配置に対応して凹凸構造が形成され、前記拡散シートを回転及び/又はスライドさせることによって異なる凹凸構造形成領域を各光源に対応させ、配光特性の切り替えが可能であることが好ましい。
【0025】
本発明の照明器具においては、前記光源が発光ダイオードであることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、グレア及び全光束低下を抑制しつつ配光特性を制御できるとともに、拡散シートの交換のみで簡便に照射範囲を変更できる構造を有する照明器具を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る光透過性パネルにおける透過光強度と拡散角度との関係を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シートにおける拡散角度の定義を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る照明器具の断面構造の一例を示す概略図である。
【図4】(a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る照明器具の一例を示す斜視図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具の他の一例を示す斜視図である。
【図6】(a)〜(f)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形状に配置した場合に用いられる拡散シートの平面模式図であり、(g)〜(k)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの平面模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る照明器具の点灯時における出光面を直視した写真である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シートにおける拡散角度の、光源直上位置に対する分布を示す図である。
【図9】(a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シートにおける拡散角度の、光源直上位置に対する分布を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シート表面の凹凸構造を示す断面模式図である。
【図11】(a)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面概略図であり、(b)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートを示す平面模式図である。
【図12】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面概略図であり、(c)、(d)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面模式図である。
【図13】(a)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形形状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面模式図であり、(b)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの一例を示す平面概略図である。
【図14】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形状に配置した場合に用いられる拡散シートの他の一例を示す平面模式図であり、(c)、(d)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの他の一例を示す平面模式図である。
【図15】(a)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形形状に配置した場合に用いられる拡散シートの他の一例を示す平面模式図であり、(b)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シートの他の一例を示す平面模式図である。
【図16】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる透明部を有する拡散シートを示す平面模式図である。
【図17】(a)〜(i)は、本発明の実施の形態に係る照明器具に用いられる透明部を有する拡散シートの一例を示す平面模式図である。
【図18】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る照明器具において光源を円形形状に配置した場合に用いられる異なる凹凸構造を有する拡散シートの平面模式図であり、(c)、(d)は、照明器具において光源を直線状に配置した場合に用いられる異なる凹凸構造を有する拡散シートの平面模式図である。
【図19】(a)、(b)は、本発明の実施例に係る照明器具における反射板前方の出光面における輝度の測定位置を示した図である。
【図20】(a)、(b)は、本発明の実施例に係る照明器具に用いられる拡散シートの平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る照明器具は、凹状部を有する反射板と、反射板の凹状部の底部に配置された光源と、表面に凹凸構造が形成され、光源からの光を入光する入光面、及び光源からの光を出光する出光面を有する拡散シートとを備える。この構成においては、光源からの光を拡散させ、全光線透過率の低下を抑えることを考慮して、拡散シートの凹凸構造を光源からの光の入光面側に配置することが好ましい。なお、本発明に係る照明器具において、グレアの抑制や、所望の配光特性を得るために、全光束低下及び集光効果の生じない範囲で出光面に凹凸構造を設けることができる。
【0029】
また、本発明に係る照明器具において、拡散シートは、反射板の出光領域に配置され、入光面における光源からの入射光強度が最大となる領域が、拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有する。光源からの入射光強度が最大となる領域において、拡散シートの拡散角度を最大とすることにより、照明器具を直視した際のグレアを効果的に抑制することができる。
【0030】
次に、図1及び図2を参照して光透過性パネルの拡散角度について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る光透過性パネルにおける透過光強度と拡散角度との関係を示す図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る照明装置に用いられる光透過性パネルにおける拡散角度の定義を示す模式図である。図1及び図2に示すように、光透過性パネルの入光領域に入射した入射光は、光透過性パネルの凹凸部によって拡散され、出光面側から透過光として出光する。このため、光透過性パネルから出光する透過光は、光透過性パネルの出光面に対する角度に応じて透過光強度が減衰される。
【0031】
本発明において、「拡散角度」とは、透過光強度がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう。この拡散角度は例えば、変角光度計(日本電色工業社製、GC 5000L)で、拡散シートの凹凸構造が形成された面(凹凸面)を入射面とし、凹凸面の法線方向に入射した光に対する透過光強度の角度分布を測定することによって求めることができる。ここで、拡散シートの法線方向とは、図2に示すように、拡散シートの凹凸面に対して垂直方向を指す。拡散シートの拡散角度が最大となる領域とは、前記変角光度計などで測定可能な最小領域である、約2mmφの範囲である。
【0032】
本発明に用いることができる照明器具としては、例えばダウンライト、スポットライト、シーリングライト、ライトアップ照明器具やライン照明器具などが挙げられる。例えば、東芝ライテック社製LEDD66003W−LS1、LEDD44003W−LS1、松下電工社製NNN21637、NNN21638などのダウンライト、東芝ライテック社製LEDS80000W−LS、LEDS−80002−LSなどのスポットライトなどが挙げられる。
【0033】
これら照明器具の配光特性は、主として照明器具を構成している反射板によって制御されているため、所望の配光特性を得るためには反射板の材質及び形状の設計が必要となるが、本発明に係る拡散シートが交換可能な構造を有する照明器具を用いれば、照明器具本体や反射板を交換することなく配光特性を変更することができる。
【0034】
また、従来のように反射板によって照明器具の配光特性を制御した場合、照明領域内からは光源或いは反射板を直視することになるため、非常にグレアが強く不快であるという問題があった。これらの照明器具に、照明器具から出光する光が入光する位置に拡散板を配置することによってグレアを抑制することが可能であるが、拡散板によって配光特性が変化したり、全光束が低下したりするため、省エネの観点からも好ましくなかった。
【0035】
本発明に係る照明器具において、拡散シートは、光源の直上の領域が、拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有する。光源の直上の領域とは、拡散シートの入光面と光源とを結ぶ垂直線上を含む領域を意味する。図3は、本発明に係る照明器具の断面構造の一例を示した概略図である。同図に示すように、本発明に係る照明器具は、光源としてのLED2と、LED2からの光を反射する反射板1と、反射板1で反射された光を拡散する拡散シート3を備えて構成される。反射板1は、断面視において略放物線状に形成された凹状部1aを有し、この凹状部1a内の底部1bにLED2が配置される。この場合の底部とは、凹状部1a斜面の傾斜角度が最小となる位置を含む領域を意味する。拡散シート3は、一方の主面に凹凸構造3aが形成され、この凹凸構造3aを有する主面がLED2からの入光面となるように、LED2と対向して配置されている。この構成において、拡散シート3の入光面に略垂直に光線が入射した場合に、拡散シート3から出光する光の拡散角度が光源の直上において最大となる。なお、凹凸構造3aは、LED2からの入光面の反対側に形成されていても良い。
【0036】
図4(a)〜図4(e)は、本発明の実施の形態に係る照明器具の一例を示す斜視図である。反射板1の凹状部1aの形状としては、半球状(図4(a))、半楕円体状(図4(b))、円錐状(図4(c))、多角錘状(図4(d))、円筒状(図4(e))や、これらの混合形状としても良い。特に、光源からの光を正面へ偏向させるために、断面形状が曲面を有する形状が好ましく、断面形状を略放物線状とするのがより好ましい。また、照明器具によって照射面の均一な照度を得るために、反射板1の縁形状は円形または楕円形とするのが好ましい。反射板1の材質としては、金属或いは金属蒸着からなる反射面や、白色樹脂などによる反射面としても良い。また、拡散シート3による配光特性を制御するためには、正反射率90%以上の鏡面からなる反射面とするのが好ましい。また、反射面には拡散性を高めるために、微細な凹凸構造が賦形されていても良い。上記以外にも、反射板1としては、光を反射させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネートなどの樹脂を発泡させて内部に空孔を形成し、シート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート、などを用いることができる。
【0037】
図5(a)、図5(b)は、本実施の形態に係る照明器具の他の一例を示す斜視図である。図5(a)、図5(b)に示すように、本実施の形態に係る照明器具は、図3の構造に示す拡散シート3、LED2及び反射板1の組み合せを、複数個有する形態としても用いることができ、それらの配置の仕方も任意に設計することができる。図5(a)は、円形の拡散シート3上にLED2を備えた反射板1を円状に6つ配置した例を示している。図5(b)は、長方形の拡散シート3上にLED2を備えた反射板1を直線状に6つ配置した例を示している。
【0038】
図6(a)から図6(k)は、本実施の形態に係る照明器具に用いられる拡散シート3の平面模式図を示したものである。本実施の形態に係る照明器具における拡散シート3について、照明器具の光源の配置に応じて、凹凸構造3aの形成領域の個数、形状や大きさなどを設計して用いる。図6(a)〜図6(f)には、光源が円状に配置された場合の拡散シート3の一例が示されている。例えば、光源が照明器具全体の出光面を中心とした円状に分布している場合、反射板1の凹状部の周縁部の正面像が円形であるならば、照射面において均一な照度を得るために凹凸構造3aの形成領域を円形(図6(a)、(b)、(c))、楕円形(図6(d)、(e))、あるいは円形と楕円形の組合せ(図6(f))とすることが好ましい。この場合、所望の配光特性を拡散シート3によって得るために、光源の数と凹凸構造3aの形成領域の数は異なっていても良い。
【0039】
また、光源が直線状に分布している場合も同様に、凹凸構造3aの形成領域を設計することができる。図6(g)〜図6(k)は、光源を直線状に配置した場合に用いられる拡散シート3の一例を示す平面模式図である。この場合、凹凸構造3aの形成領域は、円形(図6(g))、楕円形(図6(h)、(i)、(j))や、円形と楕円形の組合せ(図6(k))であることが好ましい。なお、図6(a)〜図6(k)ではLED光源が5個或いは6個の場合における拡散シート3の例を示しているが、光源の数や配置に応じて、拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域の面積及び配置は任意に設計可能である。
【0040】
このように、本実施の形態に係る照明装置において、複数の反射板1及びLED2を組み合わせて構成する場合には、複数の反射板1の各出光領域を覆うように拡散シート3を配置し、個々のLED2に対してそれぞれ凹凸構造3aの形成領域を設ける。すなわち、個々のLED2における出光領域の入射光強度が最大となる領域と、個々のLED2に対してそれぞれ設けられた凹凸構造3aの拡散角度が最大となる領域と、が重なる部分を有するように構成する。これにより、複数の反射板1及びLED2を用いた場合においてもグレア及び全光束低下を抑制しつつ配光特性を制御することができる。
【0041】
本発明に係る拡散シート3は、表面に多数の凹凸構造を有している。凹凸構造とは、例えば、表面に多数の突起部が設けられた構造である。突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物線状のいずれでもよく、各突起部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、突起部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。また、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっている擬似ランダム構造も、好ましく用いることができる。この擬似ランダム構造としては、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された、微細な3次元構造であることが好ましい。
【0042】
干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された3次元構造は、機械加工では困難であった20μm以下の微細な凹凸構造3aの形成に適している。特に、干渉露光によるスペックルパターンを用いて凹凸を形成する方法は、拡散シート3面内の領域において拡散角度を変えるような場合に、適した製法である。また、マイクロレンズのような等方形状や、レンチキュラーレンズのような異方形状も容易に形成することができる。
【0043】
本発明に係る拡散シート3の凹凸構造3aの形状は、照明器具の目的とする照射範囲の広さ及び形状に応じて任意に設計することができる。拡散シート3無しの状態で等方的な出光パターンを示す照明器具においては、照射範囲を円形或いは正方形とするためには凹凸構造3aを等方形状とすることが好ましく、また照射範囲を楕円形或いは長方形とするには凹凸構造3aを異方形状とすることが好ましい。この凹凸構造3aのピッチ及び高さは、人間の目の分解能以下、すなわち20μm以下とすることによって目立ちにくくなるため好ましく、特に、高さを変えて配光特性を制御し、グレアを抑制する手法がより好ましい。また凹凸構造は、グレア抑制の観点から、連続曲面により形成されている不規則な凹凸構造であることが好ましい。
【0044】
凹凸構造3aを表面に有し、拡散シート3面内の領域において拡散角度が変化するような拡散シート3は、具体的には次のようにして製造することができる。まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、拡散角度が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変えスペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度を制御し、異なる拡散角度をもつ凹凸構造3aを記録することができる。
【0045】
一般に、拡散角度は、スペックルの平均サイズ及び形状に依存する。スペックルが小さければ拡散角度が大きい。また、凹凸構造3aの単位構造は等方性のものに限らず、異方性のものを形成することもでき、両者の複合された凹凸構造3aとすることもできる。スペックルが横方向の長円形であれば、角度分布の形は縦方向の長円形となる。このように拡散角度が位置によって変化するようなサブマスタ型を作製する。このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。光透過性樹脂層に、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って光透過性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。拡散角度を位置によって変えたこの拡散シート3の詳細な製造方法については、特表2003−525472号公報に開示されている。また、拡散角度は凹凸構造3aのピッチ、高さ、アスペクト比を変えて制御しても構わない。
【0046】
本発明に係る照明器具において、拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域における拡散角度は、0.1度から80度の範囲内であることが好ましい。特に、配光特性を制御しつつ全光束低下を抑制するために、光源直上における拡散角度は10度から80度の範囲内であることが好ましく、20度から70度の範囲であることがより好ましい。
【0047】
本発明に係る照明器具において、拡散シート3の拡散角度は、光源から入射する光の強度が最大となる領域からの距離が長くなるに従って小さくなることが好ましい。照明器具の各部位における輝度には分布があるため、照明器具全体として所望の配光特性を得るためには、位置によって拡散角度の異なるような拡散シート3を用いることが効果的である。したがって、出光面において輝度が高い領域では拡散角度を高くし、領域からの距離が長くなるにしたがって拡散角度を小さくすることによって全光束の低下を抑制しつつ、配光特性を制御することが可能となる。
【0048】
図7は、本実施の形態に係る照明器具の点灯時における出光面を直視した写真である。図7においては、凹状の反射板1とその底部に配置したLED光源を直視した写真を示している。ここでは、光源から直接、照明器具前方に出射する光によって、円状に輝度が高くなる領域A1以外に、光源から出射した後、凹状の反射板1で反射することによって照明器具前方から出光する光によってリング状に輝度が高くなる領域A2が存在する。このような場合は、拡散シートにおいて、光源から入射する光の強度が最大となる領域からの距離に比例して拡散角度が小さくなるようし、さらに、リング状に輝度が高くなる領域A2に対応させて拡散角度を調整し、グレアを抑制することも可能である。
【0049】
本発明における拡散角度は、拡散シート3上の凹凸構造3aの形成領域において、図8(a)、(b)のように表される。例えば、図8(a)のように、拡散シート3上の凹凸構造3aの形成領域が円形の場合、光源の直上位置を中心として直径方向に拡散角度を測定する。同様に、図8(b)のように凹凸構造3aの形成領域が楕円形の場合、光源の直上位置を中心として楕円の長軸方向a、短軸方向bにそれぞれ拡散角度を測定する。
【0050】
図9(a)〜図9(e)は、本発明に係る照明器具に用いられる拡散シート3の拡散角度の光源直上位置に対する分布を示す図である。拡散角度は、光源からの距離に対して直線的に変化していたり(図9(a)、(d))、曲線的に変化していたり(図9(b)、(c))、或いは直線と曲線の混合状に変化していたり(図9(e))しても良い。拡散角度の分布は、照明器具の輝度分布や所望の配光特性を得るために、任意に設計することができる。
【0051】
拡散角度は、凹凸構造3aのピッチ、高さ、アスペクト比を変えて制御することができる。図10は、拡散シート3表面の凹凸構造を示す断面模式図である。凹凸構造3a断面の端部から端部までの距離をピッチw、ピッチwにおける凸部の高さをlとすると、アスペクト比はl/wとして表される。アスペクト比が高いほど、高拡散となり、また、ピッチが略一定の場合は凸部の高さが高いほど高拡散となる。特に、干渉露光法による凹凸形成においては、光学系を組み替えずに拡散角度を変えられることから、ピッチを略一定とすることが好ましい。
【0052】
次に、図11(a)、図11(b)を参照して複数の光源が同心円状(図11(a))または直線状(図11(b))に配列され、かつ拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域が円形である場合について説明する。この場合、拡散角度は、各光源上において光源の位置する点の略直上3b(以下、単に光源直上3bともいう)を中心とした同心円状に変化していることが好ましい。反射板1の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良く、特に、反射板の縁の形状が円形、或いは楕円形である場合、照明器具発光面の輝度は、光源位置直上を中心とした同心円状に分布しているため、効果的な配光特性制御とグレア抑制が可能となる。
【0053】
次に、図12〜図15を参照して、本実施の形態に係る照明器具の光源及び拡散シートの配置と凹凸構造3aの形成領域内の拡散角度の変化について説明する。まず、図12(a)〜図12(d)を参照して、複数の光源が同心円状(図12(a)、図12(b))や直線状(図12(c)、図12(d))に配列されている場合の一例について説明する。この場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の出光面の略中心点P1(以下、単に点P1ともいう)と各光源直上3bとを通る直線である各中心線L1(放射線)、L2上から、拡散シート3面内において、各中心線L1、L2との略直交方向D1への距離に応じて変化していることが好ましい。尚、図12(a)〜図12(d)に示すように、各配列における凹凸構造3aの形成領域の形状は、平面視において、円形形状である場合、及び矩形形状である場合であっても直交方向D1は略同一となる。反射板の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良い。
【0054】
次に、図13(a)、図13(b)を参照して複数の光源が同心円状または直線状に配列され、かつ拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域が楕円形である場合について説明する。この場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の出光面を中心とした点P1と各光源直上3bとを通る直線である各中心線L1(放射線)、L2を長軸方向とし、各光源直上3bを中心とした同心楕円状の方向D2への距離に応じて変化していることが好ましい。反射板の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良く、特に、反射板1の縁の形状が円形、或いは楕円形である場合により好ましく適用できる。
【0055】
次に、図14(a)〜図14(d)を参照して、複数の光源が同心円状や直線状に配列されている場合の他の一例について説明する。図14(a)、図14(b)に示すように、複数の光源が同心円状に配列されている場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の出光面を中心とした点P1と各光源直上3bとを通る円の光源直上における接線L3を中心線とし、各中心線(接線L3)上から拡散シート3面内において、接線L3との略直交方向D3への距離に応じて変化していることが好ましい。また、図14(c)、図14(d)に示すように、複数の光源が直線状に配列されている場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の略中心点P1と各光源直上3bとを通る直線である中心線L2から、拡散シート3面内において、各中心線L2との略平行方向D4への距離に応じて変化していることが好ましい。尚、図14(a)〜図14(d)に示すように、各配列における凹凸構造3aの形成領域の形状は、平面視において、円形形状である場合、矩形形状である場合のいずれにおいても方向D3及び方向D4は略同一方向となる。また、反射板の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良い。
【0056】
次に、図15(a)、図15(b)を参照して、複数の光源が同心円状または直線状に配列され、かつ拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域が楕円形である場合の他の一例について説明する。この場合、拡散シート3の拡散角度は、照明器具全体の出光面を中心とした点P1と各光源直上3bとを通る直線である各中心線L1(放射線)、中心線L2を短軸方向とし、各光源直上3bを中心とした同心楕円状の方向D5への距離に応じて変化していることが好ましい。反射板1の縁形状は、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などであっても良く、特に、反射板の縁の形状が円形、或いは楕円形である場合により好ましく適用できる。
【0057】
拡散シート3は、凹状の反射板1前方の出光領域A3において、ヘイズ値が10%以下である領域を有することが好ましい。この領域は、光を実質的に拡散させない透明部分として存在し、ヘイズ値が5%以下であることがより好ましく、特に3%以下であることがさらに好ましい。尚、上記ヘイズ値は、例えば、JIS K7136に定める条件で測定することができる。
【0058】
次に、図16(a)、図16(b)を参照して、透明部分を有する拡散シート3を用いた場合の凹凸構造3a及び透明部分4の位置関係について説明する。図16(a)に示す例では、縁形状が円形の凹状の反射板1からの出光面上に、シート面内に6つの凹凸構造3aの形成領域を有する円形の拡散シート3が配置される。円形の拡散シート3面内には、円形形状の出光領域A3が、同心円状に6つ存在する。円形形状の出光領域A3内には、楕円形状の凹凸構造3aの形成領域が設けられ、この楕円形状の凹凸構造3aの形成領域の短軸方向の外側には微小な透明部分4(略三日月形状)が形成されている。
【0059】
同様に、図16(b)に示す例では、縁形状が円形の凹状の反射板1からの出光面上に、拡散シート3面内に6つの凹凸構造3aの形成領域を有する円形の拡散シート3が配置される。円形の拡散シート3面内には円形形状の出光領域A3が、同心円状に6つ存在する。円形形状の出光領域A3内には、円形状の凹凸構造3aの形成領域が設けられ、この円形形状の凹凸構造3aの形成領域の外側には微小な透明部分4(円環状)が形成されている。このように、出光領域A3内が光源からの光を拡散する凹凸構造3aの形成領域と、光源からの光を拡散させずに透過させる透明部分4と、に区分されることにより、全光束の低下を抑制しつつ、ビーム角を制御することができる。
【0060】
ここでいう光を実質的に拡散させない透明部分4とは、ヘイズ値が10%以下である領域のことを意味するが、上記範囲内に収まっていれば、反射防止処理などが施されていても良い。透明部分4の面積は、1/2ビーム角制御の観点から、各反射板の出光領域A3の面積の1%以上30%以下であることが好ましく、1%以上20%以下であることがより好ましい。また、グレア抑制の観点から、各反射板の出光領域A3の面積の1%以上30%以下であることが好ましく、1%以上10%以下であることがより好ましい。
【0061】
図17(a)〜図17(i)は、反射板1前方の出光領域A3において、透明部分4を有する拡散シート3の一例を示す平面模式図である。透明部分4の形状は、拡散シート3上の凹凸構造3aの形成領域の形状によって決まる。例えば、凹状の反射板の縁部の形状が円形の場合、凹凸構造3aの形成領域を円形とすると、透明部分4はリング形状となり(図17(a))、凹凸構造3aの形成領域を楕円形とすると、透明部分4は三日月形状となる(図17(b)、(c))。この他、凹凸構造3aの形成領域が長方形((図17(d)、(e))、多角形(図17(f))や、特殊な形状(図17(g)、(h))とすることにより、透明部分4の形状を設計することができる。さらに、図17(i)には、反射板の縁形状が楕円形であり、かつ拡散シート3の凹凸構造3aの形成領域が円形の例が示されている。この場合、透明部分4の形状は三日月形状となる。以上に例を示したが、透明部分4の形状は、凹凸構造3aの形成領域の分布とともに、目的とする配光やグレアの解消度合いに応じて自在に設計可能である。
【0062】
本発明に係る照明器具においては、拡散シート3の交換により各光源に対応させて配光特性の切り替えが可能である。配光特性は、反射板1の素材や形状によって制御可能であるが、所定の反射板1を設置した後では、反射板1を追加設計したり、交換したりすることは手間及びコストがかかってしまうという問題があった。ここで、本発明に係る照明器具によれば、拡散シート3の交換によって容易に配光制御が可能であるという利便性がある。
【0063】
本発明に係る照明器具における拡散シート3は、各光源の位置に対応して凹凸構造が形成され、該拡散シート3を回転或いはスライドさせることによって、異なる凹凸構造形成領域を各光源に対応させ、配光特性の切り替えが可能であることが好ましい。図18(a)、(b)は、光源を円形形状に配置した場合に用いられる異なる凹凸構造を有する拡散シート3の平面模式図である。図18(a)(b)に示すように、この場合には、6個のLED2が円状に配列された照明器具に適用することができる、また、拡散シート3を回転させることにより、LED2上に位置する凹凸構造3aの形成領域を、拡散シート3の回転方向D6に対して、凹凸構造3aと凹凸構造3aとは異なる凹凸構造3a’との間で切り替えることができる。また、図18(c)、(d)は、光源を直線状に配置した場合に用いられる異なる凹凸構造を有する拡散シートの平面模式図である。この場合には、4個のLED2が直線状に配列された照明器具に適用することができる。この場合、拡散シート3をスライドさせることにより、LED2上に位置する凹凸構造3aの形成領域を、拡散シート3のスライド方向D7に対して、凹凸構造3aと凹凸構造3a’との間で切り替えることができる。尚、凹凸構造3aと凹凸構造3a’との切り替えは、拡散シート3の回転及びスライドを組み合わせて行ってもよい。
【0064】
本発明に係る照明器具に用いる光源としては、LED2であることが好ましい。本発明に係る照明器具においては、照明器具の照射側に、拡散シート3を組み合わせることで機能を発現する。特に、本発明に係る照明器具において、拡散シート3を用いない場合に、照明器具から照射される光が最大光度を示す方向と、該最大光度の1/2の光度を示す方向とのなす角度の2倍の角度(以下、1/2ビーム角)が0度から70度のものが好ましく用いられる。光源としては、白熱電球、蛍光灯やミニクリプトン球を用いることができ、より指向性が強く輝度の高いLEDを光源とすることが、配光特性を制御しやすくなるためより好ましい。特に、1/2ビーム角が50度以下であるものは、拡散シート3に入射する光の入射角の範囲が狭く、かつ法線入射に近くなって透過拡散光の制御がしやすくなるため、より好ましく、また、30度以下であるものはさらに好ましい。
【0065】
本発明に用いられる拡散シート3は、紫外線硬化樹脂による凹凸構造がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、或いはポリカーボネート等の基材シート上に転写された形態として用いることができる。また、拡散シート3を、透明な樹脂板やガラス板に粘着剤を介して、或いは熱転写などによって貼り合わせた形態として用いても良い。特に、照明器具として用いる場合には、強度を持たせるために、ポリカーボネートやアクリルを射出成形することによって作製した物が好ましい。
【0066】
本発明に用いられる拡散シート3は、凹凸構造3aが入光面と出光面の両面に形成されていても良く、また、凹凸構造3aを有する面の反対面に変角用プリズム形状を有していても良い。変角用プリズム形状を有することで、照射された光の進行方向を変えることができ、所望の照射方向を有効に照らすことができる。例えば、天井に取り付けたダウンライトで壁面の絵画を照らす場合や、壁面を照射するウォールウォッシャ用途として有効である。また、階段のような傾斜天井に取り付けた場合、照明器具の真下方向を照らすことができるため、階段を下りる際に、光源が直接目に入ることによるまぶしさを低減することができる。
【0067】
本発明に用いられる拡散シート3には、反射防止処理を目的として、凹凸構造3aを有する面の反対面に反射防止コーティングを施したり、微細な凹凸構造3aを賦形したりしても良く、それによって全光線透過率を向上させることができるため、全光束低下の抑制に繋がる。
【0068】
本発明に係る特定の凹凸構造3aを有する拡散シート3を組み合わせた照明器具を用いれば、容易に配光特性を変更できるとともに、拡散シート3の交換のみで簡便に照射範囲を変更することができるという利便性を兼ね備えたものとなる。
【0069】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
[ダウンライト]
東芝ライテック社製LEDダウンライト、LEDD−66003W−LS1を用いた。このダウンライトは、凹状部を有する反射板と反射板の凹状部の底部に配置されたLED光源とが図7のように6組配置され、光源の出光面側に、拡散カバー(フロスト加工アクリル板)が設けられたものである。拡散カバーにおいては、各LED光源直上が、光源からの入射光強度が最大となるが、面内で一様なフロスト加工がされている。
【0071】
[拡散シート]
スペックルパターンを制御して、種々の凹凸構造を有するマスタ型を作製した。次いで、そのマスタ形を用い、厚さ188μmのポリエステル樹脂フィルム上に紫外線硬化樹脂からなる凹凸構造を賦形し、本発明に係る照明器具に用いる拡散シートを作製した。
【0072】
[各種測定方法]
(1)1/2ビーム角
照明器具から出光される光の最大光度と、その軸光度の1/2の光度とのなす角度の2倍の角度を、1/2ビーム角とした。なお、光度は、照度計(日置電機社製、ルクスハイテスタ)を照明機器の出光面の中心位置を基準として水平距離で1m離して配置し、測定した照度値から換算して求めた。
【0073】
(2)全光束の測定
全光束は、2種の全光束測定システム(積分半球、積分全球)を用いて測定した。積分半球としては、1000mmφ積分半球(大塚電子社製、ハーフムーンシリーズ)を用い、照明器具を積分半球内部のバッフルを挟んで受光ファイバーと正対させて配置して測定した。また、積分全球としては、1000mmφ積分全球(Labsphere社製、CSLMS LED 4061)を用い、照明器具を積分全球の中心に、出光面を受光ファイバーと反対方向を向けた状態で配置して測定した。なお、全光束の測定値は、後述する比較例3の測定値を100%とする相対値で表した。
【0074】
(3)輝度測定
照明器具の出光面における輝度を、照明器具の出光面と輝度計(コニカミノルタセンシング社製、LS−110)を1000mm離れた位置に配置し、所定のスポット範囲において測定した。図19(a)、(b)は、各反射板前方の出光面における輝度の測定位置を示した図である。
【0075】
図19(a)のように、凹凸構造3aの形成領域が楕円形の場合は、出光領域A3の略中心に位置するスポット5と、凹凸構造3aの形成領域の長軸a上においてスポット5と隣接するスポット5aと、凹凸構造3aの形成領域の短軸b上においてスポット5と隣接するスポット5b、の3点における輝度を測定した。また、図19(b)のように、凹凸構造3aの形成領域が円形の場合は、出光領域A3の略中心に位置するスポット5と、凹凸構造3aの形成領域の半径上においてスポット5と隣接するスポット5’、の2点における輝度を測定した。上記結果は、グレアを判定する際に用いた。
【0076】
(4)グレアの判定
上記LEDダウンライト(LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を外して測定した各スポット(5、5a、5b、5’)における輝度値を基準として、割り返した値を輝度減衰度D(下記式(1)参照)とし、それを元にグレアを評価した。
輝度減衰度D=[各スポット(5、5a、5b、5’)における輝度値/下面カバーを外して測定した各スポット(5、5a、5b、5’)の輝度値]…式(1)
【0077】
グレアは光源直上と、反射板の縁周辺部の2領域に分け、光源直上においてはスポット5における輝度減衰度D、反射板の縁周辺部においてはスポット5a、5bにおける輝度減衰度Dの平均値、或いはスポット5’における輝度減衰度Dとした。なお、グレアは下記基準によって判定した。
◎: D≦0.2 グレアを殆ど感じない
○:0.2<D≦0.6 グレアをそれほど感じない
△:0.6<D≦0.8 ややグレアを感じる
×:0.8≦D グレアを強く感じる
【0078】
(5)総合評価
上記1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果を元に、下記表1に示す基準によって総合評価した。
【0079】
【表1】
【0080】
[実施例1]
実施例1の拡散シート3は、厚さ188μmのポリエステル基材上に、紫外線硬化樹脂で凹凸構造を賦形したものを用いた。図20(a)に実施例1で用いた拡散シートの平面模式図を示す。なお、図20(a)においては、62mmφの拡散シート3面内において、拡散シート3の中心から各LED光源を結ぶ直線方向を長軸方向D8としている。図20(a)に示すように、実施例1で用いた拡散シート3は、LED光源直上3bを中心とした楕円形状の凹凸構造3aの形成領域を6個有している。各凹凸構造3aの形成領域は、長軸が15mmφ、短軸が12mmφの楕円形状を有する。実施例1の拡散シート3は、反射板前方の出光領域A3において、光を拡散させない透明部分6が反射板前方の出光領域A3全体に対して約20%存在する。
【0081】
また、拡散シート3の各凹凸構造3aの形成領域の拡散角度は、LED光源直上に相当する光源直上3bを中心とした同心楕円状に分布している。各凹凸構造3aの形成領域において、拡散シート3のLED光源直上に相当する光源直上3bから長軸方向D8へ向けて測定した拡散角度θ1は最大の拡散角度が53度、最小の拡散角度が7度で図9(b)のように変化しており、短軸方向D9への拡散角度θ2は最大の拡散角度が53度、最小の拡散角度が4度で、図9(b)のように変化していた。
【0082】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例1の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に示す。
【0083】
[実施例2]
実施例2の拡散シート3は、実施例1と同等の凹凸構造3aの形成領域の面積及び配置を有し、拡散角度の分布のみが異なるものを用いた。拡散シート3の拡散角度は、各凹凸構造3aの形成領域において、拡散シート3のLED光源直上に相当する光源直上3bから長軸方向D8への拡散角度θ1は最大の拡散角度が56度、最小の拡散角度が2度で図9(b)のように変化しており、短軸方向D9への拡散角度θ2は最大の拡散角度が56度、最小の拡散角度が2度で、図9(b)のように変化していた。
【0084】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造3aの形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例2の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0085】
[実施例3]
実施例3の拡散シート3は、実施例1と同等の凹凸構造3aの形成領域の面積及び配置を有し、拡散角度の分布のみが異なるものを用いた。拡散シート3の拡散角度は、各凹凸形成部(凹凸構造3a)において、拡散シート3のLED光源直上に相当する光源直上3bから長軸方向D8への拡散角度θ1は最大の拡散角度が58度、最小の拡散角度が9度で図9(b)のように変化しており、短軸方向D9への拡散角度θ2は最大の拡散角度が58度、最小の拡散角度が7度で、図9(b)のように変化していた。
【0086】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造3aの形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例3の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0087】
[実施例4]
実施例4の拡散シート3は、厚さ188μmのポリエステル基材上に、紫外線硬化樹脂で凹凸構造を賦形したものを用いた。図20(b)に実施例4で用いた拡散シートの平面模式図を示す。図20(b)に示すように、実施例4で用いた拡散シート3は、62mmφの拡散シート3面内に直径R1が14mmφの凹凸構造3aの形成領域を6箇所有する。反射板前方の出光領域A3において、実施例4の拡散シート3は、実質的に光を拡散させない透明部分6が反射板前方の出光領域A3全体に対して約12%存在する。
【0088】
図20(b)に示す各凹凸構造3aの形成領域において、拡散シート3の光源直上3bに相当する位置から円周方向D10への拡散角度は、図9(c)のように変化しており、最大の拡散角度が55度、最小の拡散角度が18度であった。
【0089】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例4の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0090】
[実施例5]
実施例5の拡散シート3は、各凹凸構造3aの形成領域において拡散角度の分布が異なる以外は、実施例4と同等の拡散シート3を用いた。図20(b)に示す各凹凸構造3aの形成領域において、拡散シート3のLED光源直上に相当する位置から円周方向D10への拡散角度は、図9(c)のように変化しており、最大の拡散角度が60度、最小の拡散角度が11度であった。
【0091】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例5の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0092】
[実施例6]
実施例6の拡散シート3は、各凹凸構造3aの形成領域において拡散角度の分布が異なる以外は、実施例4と同等の拡散シート3を用いた。各凹凸構造3aの形成領域において、拡散角度は一様に55度であった。このように、実施例6の拡散シート3においては、各凹凸構造3aの形成領域において拡散角度の値は一様となり、周囲に光を拡散させない透明部分6が反射板前方の出光領域A3全体に対して約12%存在する。つまり、実施例6において本発明に係る拡散シートは、拡散角度が55度の凹凸構造3aの形成領域及び透明部分6の2種類の領域を有し、前記凹凸構造3aの形成領域はシート面内において最大拡散角度を示す領域と見なせる。このため、各凹凸構造3aの形成領域の全域の拡散角度が拡散シート3内で最大となる。
【0093】
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を取り外して、拡散シート3の凹凸構造3a形成面が光源からの光の入光面となるように配置し、実施例6の照明器具を作製した。1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0094】
[比較例1]
上記LEDダウンライト(LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を、表面に樹脂ビーズが塗工された拡散シート(ツジデン社製、D123)に変更した以外は、実施例1と同様の構成とした。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0095】
[比較例2]
上記LEDダウンライト(LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を拡散板(粒径2μm、真比重1.35のシリコーン微粒子を内部に8,000ppm含有した、厚さ1.2mmのポリスチレン板)に変更した以外は、実施例1と同様の構成とした。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0096】
[比較例3]
上記LEDダウンライト(LEDD−66003W−LS1)の下面カバー(フロスト加工アクリル板)を透明アクリル板(厚さ1.5mm)に変更した以外は、実施例1と同様の構成とした。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0097】
[比較例4]
LEDダウンライト(東芝ライテック社製、LEDD−66003W−LS1)の1/2ビーム角及び全光束を測定した後、出光面の輝度を測定して輝度減衰度Dを算出し、グレアの判定を行った。1/2ビーム角、全光束相対値、グレアの判定結果、及び総合評価を下記表2に併記する。
【0098】
【表2】
【0099】
表2より、比較例3の透明アクリル板使用時と比較し、フロスト加工アクリル板による全光束低下量は1%程度とごく僅かであったが、そのままの状態では目視によるグレアが見られ、やや不快であった(比較例4)。また、フロスト加工アクリル板の代わりとして、拡散板や市販の拡散シート3を配置することによりグレアが抑制され、1/2ビーム角を拡大させることが可能となるものの、全光束が10%以上低下してしまった(比較例1、比較例2)。
【0100】
ここで、本実施例に係る照明器具は、凹凸構造3aの形成領域を楕円形状として反射板前方の出光面領域において光を拡散させない透明部分を出光面全体の約20%有し、光源直上における拡散角度が最大となり、かつ拡散角度が同心楕円状に分布しているような拡散シート3について、凹凸構造3aが形成された面を光源からの光の入光面として配置することにより、グレアを抑制するとともに、全光束を殆ど低下させること無く、1/2ビーム角を拡大させることができた(実施例1〜実施例3)。
【0101】
また、本実施例に係る照明器具は、凹凸構造3aの形成領域を円形として反射板前方の出光面領域において光を拡散させない透明部分を出光面全体の約12%有し、光源直上における拡散角度が最大となり、同心円状に分布しているような拡散シート3について、凹凸構造3aが形成された面を光源からの光の入光面として配置することにより、グレアを解消するとともに、全光束低下を抑制しつつ、1/2ビーム角を拡大させることができた(実施例4、実施例5)。
【0102】
さらに、本実施例に係る照明器具は、凹凸構造3aの形成領域を円形として反射板前方の出光面領域において光を拡散させない透明部分6を出光面全体の約12%有し、凹凸構造3aの形成領域における拡散角度を一様にした拡散シート3について、凹凸構造3aが形成された面を光源からの入光面として配置することにより、グレアを解消するとともに、全光束低下を抑制しつつ、1/2ビーム角を拡大させることができた(実施例6)。
【0103】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における部材の材質、配置、形状などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る照明器具は、グレア及び全光束低下を抑制しつつ配光特性を制御することができ、更に拡散シートの交換のみで照射範囲を簡便に変更できる特徴を有していることから、照明分野、特にLED光源を有する照明分野への利用が期待できる。
【符号の説明】
【0105】
1 反射板
1a 凹状部
1b 底部
2 LED(光源)
3 拡散シート
3a 凹凸構造
3b 光源直上
4、6 透明部分
5 スポット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状部を有する反射板と、前記反射板の前記凹状部の底部に配置された光源と、前記反射板の出光領域に配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記光源からの光を入光する入光面、及び前記光源からの光を出光する出光面を有し、前記入光面における前記光源からの入射光強度が最大となる領域が、当該拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
凹状部を有する複数の反射板と、前記複数の反射板の前記凹状部の底部にそれぞれ配置された個々の光源と、前記複数の反射板の各出光領域を覆うように配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記複数の光源からの光を入光する入光面、及び前記複数の光源からの光を出光する出光面を有し、前記入光面における個々の光源からの入射光強度が最大となる領域が、当該拡散シートにおいて前記個々の光源に対してそれぞれ設けられた拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする照明器具。
【請求項3】
凹状部を有する反射板と、前記反射板の前記凹状部の底部に配置された光源と、前記反射板の出光領域に配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記光源からの光を入光する入光面、及び前記光源からの光を出光する出光面を有し、前記光源の直上の領域が、当該拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする照明器具。
【請求項4】
凹状部を有する複数の反射板と、前記複数の反射板の前記凹状部の底部にそれぞれ配置された個々の光源と、前記複数の反射板の各出光領域を覆うように配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記複数の光源からの光を入光する入光面、及び前記複数の光源からの光を出光する出光面を有し、前記個々の光源の直上の領域が、当該拡散シートにおいて前記個々の光源に対してそれぞれ設けられた拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする照明器具。
【請求項5】
前記拡散シートの前記凹凸構造が形成された領域における拡散角度が、0.1度から80度の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の照明器具。
【請求項6】
前記拡散シートの前記拡散角度が、光源から入射する光の強度が最大となる領域からの距離が長くなるにしたがって小さくなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の照明器具。
【請求項7】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、前記各光源直上を略中心とした同心円状に変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項8】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る直線を中心線とし、前記各中心線上からの距離に応じて変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項9】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る方向を長軸方向とし、前記各光源上を略中心とした同心楕円状に変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項10】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面を略中心とした前記各光源の略直上を通る円の前記各光源の略直上における接線を中心線とし、前記各中心線上からの距離に応じて変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項11】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る方向を短軸方向とし、前記各光源直上を略中心とした同心楕円状に変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項12】
前記拡散シートは、前記反射板前方の出光領域において、ヘイズ値が10%以下である領域を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の照明器具。
【請求項13】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートは、前記各光源の配置に対応して凹凸構造が形成され、前記拡散シートを回転及び/又はスライドさせることによって異なる凹凸構造形成領域を各光源に対応させ、配光特性の切り替えが可能であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の照明器具。
【請求項14】
前記光源が発光ダイオードであることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の照明器具。
【請求項1】
凹状部を有する反射板と、前記反射板の前記凹状部の底部に配置された光源と、前記反射板の出光領域に配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記光源からの光を入光する入光面、及び前記光源からの光を出光する出光面を有し、前記入光面における前記光源からの入射光強度が最大となる領域が、当該拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
凹状部を有する複数の反射板と、前記複数の反射板の前記凹状部の底部にそれぞれ配置された個々の光源と、前記複数の反射板の各出光領域を覆うように配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記複数の光源からの光を入光する入光面、及び前記複数の光源からの光を出光する出光面を有し、前記入光面における個々の光源からの入射光強度が最大となる領域が、当該拡散シートにおいて前記個々の光源に対してそれぞれ設けられた拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする照明器具。
【請求項3】
凹状部を有する反射板と、前記反射板の前記凹状部の底部に配置された光源と、前記反射板の出光領域に配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記光源からの光を入光する入光面、及び前記光源からの光を出光する出光面を有し、前記光源の直上の領域が、当該拡散シートにおいて拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする照明器具。
【請求項4】
凹状部を有する複数の反射板と、前記複数の反射板の前記凹状部の底部にそれぞれ配置された個々の光源と、前記複数の反射板の各出光領域を覆うように配置され、表面に凹凸構造が形成された拡散シートとを備え、前記拡散シートは、前記複数の光源からの光を入光する入光面、及び前記複数の光源からの光を出光する出光面を有し、前記個々の光源の直上の領域が、当該拡散シートにおいて前記個々の光源に対してそれぞれ設けられた拡散角度が最大となる領域と重なる部分を有することを特徴とする照明器具。
【請求項5】
前記拡散シートの前記凹凸構造が形成された領域における拡散角度が、0.1度から80度の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の照明器具。
【請求項6】
前記拡散シートの前記拡散角度が、光源から入射する光の強度が最大となる領域からの距離が長くなるにしたがって小さくなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の照明器具。
【請求項7】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、前記各光源直上を略中心とした同心円状に変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項8】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る直線を中心線とし、前記各中心線上からの距離に応じて変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項9】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る方向を長軸方向とし、前記各光源上を略中心とした同心楕円状に変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項10】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面を略中心とした前記各光源の略直上を通る円の前記各光源の略直上における接線を中心線とし、前記各中心線上からの距離に応じて変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項11】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートの前記拡散角度が、照明器具全体の出光面の略中心と前記各光源の略直上とを通る方向を短軸方向とし、前記各光源直上を略中心とした同心楕円状に変化していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項12】
前記拡散シートは、前記反射板前方の出光領域において、ヘイズ値が10%以下である領域を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の照明器具。
【請求項13】
複数の前記光源を備え、前記拡散シートは、前記各光源の配置に対応して凹凸構造が形成され、前記拡散シートを回転及び/又はスライドさせることによって異なる凹凸構造形成領域を各光源に対応させ、配光特性の切り替えが可能であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の照明器具。
【請求項14】
前記光源が発光ダイオードであることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図7】
【公開番号】特開2011−71093(P2011−71093A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124864(P2010−124864)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
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