説明

照明器具

【課題】メンテナンス作業の簡素化を図ることができ、作業効率を良好にすることが可能な照明器具を提供する。
【解決手段】本発明は、器具本体1と、光源部4と、光源部4の光を出射するフロント部材開口と、光源部4を点灯制御する点灯装置5とを有するフロント部材2と、フロント部材開口が設けられた前面壁上に形成された貫通孔に挿通されるとともに、器具本体1にフロント部材2を着脱可能に取付ける取付具3とを備えた照明器具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光源部及びこの光源部を点灯制御する点灯装置を備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、バスや鉄道車両等の車両における車内灯に用いられる照明器具は、車両の天井面(被設置部)に設置される器具本体を備えており、この器具本体に直管形蛍光ランプ等の光源部や、光源部を点灯制御する点灯装置が配設されている。
このような照明器具において、光源部や点灯装置の修理、交換等のメンテナンスが必要な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−296774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような照明器具において、メンテナンス作業を行う場合には、器具本体、すなわち、照明器具全体を被設置部から取外し、光源部や点灯装置の修理、交換等を行わなければならない。このため、メンテナンス作業が煩雑となり、作業効率の低下を招くという課題が生じる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、メンテナンス作業の簡素化を図ることができ、作業効率を良好にすることが可能な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による照明器具は、器具本体を備えている。また、光源部と、光源部の光を出射するフロント部材開口と、光源部を点灯制御する点灯装置とを有するフロント部材と、フロント部材開口が設けられた前面壁上に形成された貫通孔に挿通されるとともに、器具本体にフロント部材を着脱可能に取付ける取付具とを具備している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、メンテナンス作業の簡素化を図ることができ、作業効率を良好にすることが可能な照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る照明器具を示す斜視図である。
【図2】同照明器具の取付状態を示す斜視図である。
【図3】同照明器具における器具本体の背面側を示す平面図である。
【図4】同照明器具におけるフロント部材の背面側を示す斜視図である。
【図5】同照明器具におけるカバーを前面側から見て示す斜視図である。
【図6】同照明器具におけるカバーを背面側から見て示す斜視図である。
【図7】同照明器具におけるカバーの部分的な拡大斜視図である。
【図8】同照明器具における一部を拡大して示す斜視図である。
【図9】同照明器具において、器具本体へフロント部材を取付ける状態を示す説明図である。
【図10】同照明器具において、器具本体を前面側から見て示す一部斜視図である。
【図11】同照明器具において、フロント部材の位置決め状態を背面側から見て示す一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図1乃至図11を参照して説明する。本実施形態では、バスや電車等の車両における車内灯として用いられる照明器具を示している。
【0010】
図1は、照明器具の斜視図を示し、図2は、器具本体が被設置部に取付けられている状態において、フロント部材の取付状態を示す斜視図を示し、図3は、器具本体の背面側を示し、図4は、フロント部材の背面側を示している。また、図5乃至図7は、カバーを示し、図8は、照明器具の前面側における一部拡大斜視図を示し、図9は、器具本体へフロント部材を取付ける状態を拡大して示している。
【0011】
さらに、図10及び図11は、フロント部材が仮止め手段によって器具本体に位置決めされる状態を示しており、図10は、器具本体を前面側から見て示す一部斜視図、図11は、フロント部材の位置決め状態を背面側から見て示す一部斜視図である。なお、各図において同一部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
図1乃至図4に示すように、照明器具は、車両の天井面等の被設置部Cに取付けられる器具本体1と、この器具本体1に着脱可能に取付けられるフロント部材2と、このフロント部材2を器具本体1に取付ける取付具3とを備えている。また、フロント部材2には、光源部4、この光源部4を点灯制御する点灯装置5、光源部4を覆う透光性のカバー6が取付けられ配設されている。したがって、フロント部材2には、これら光源部4、点灯装置5及びカバー6が配設されてユニット化されている。
【0013】
図2、図3及び図9に代表して示すように、器具本体1は、溶融亜鉛めっき鋼板等の金属板によって長尺状に形成されていて、長手方向に沿う両側には、前面側へ階段状に折曲された折曲側壁11が形成されている。
【0014】
また、器具本体1の長手方向の両端部には、一対の固定片12aを有する略コ字状の取付金具12が設けられている。具体的には、取付金具12は、固定片12aが折曲側壁11にねじ止めされて取付けられている。この取付金具12には、後述する取付具3が挿通する円形の挿通孔12bが形成されており、また、取付金具12の背面側には、S字状に形成された線材からなる係止手段13が取付ねじによって装着されている。
このような係止手段13の装着状態においては、係止手段13は挿通孔12bを横断するように配置されるようになる。
【0015】
さらに、両側の折曲側壁11には、長手方向に所定の間隔を空けて一対の仮止め手段14が取付けられている。この仮止め手段14は、図10の参照を加えて示すように、略く字状に折曲形成され、背面側からねじ止めされて取付けられた弾性片である。この弾性片は、器具本体1の幅方向にやや広がった形態をなして、その幅方向に弾性変形可能な構成となっている。
【0016】
なお、仮止め手段14の個数は、設計に応じ適宜選定することができる。この場合、仮止め手段14が係合する後述の嵌合孔23aは、仮止め手段14の個数に応じて形成される。
【0017】
図1、図2及び図4に代表して示すように、フロント部材2は、金属板によって概略箱状に形成され、器具本体1と同様に長尺状をなしている。フロント部材2は、前面壁21、背面壁22、側面壁23及び端面壁24を有している。
【0018】
前面壁21は、横長の略長方形状の主面21a及びこの主面21aと連続した傾斜面21bとから構成されている。そして、主面21aには、光源部4及びカバー6が配設される横長の長方形状の開口21c、すなわち、フロント部材開口が形成されている。
また、主面21aの両端部側には、貫通孔21d(図4及び図9を併せて参照)が形成されて取付具3が挿通するようになっている。
【0019】
側面壁21は、前面壁21から突出するように設けられて、箱状の空間を形成しており、この箱状の空間には、前面壁と略平行に設けられた背面壁22が設けられている。
【0020】
図4に示すように、背面壁22は、横長の長方形状をなしていて、長手方向の両端部には、前記貫通孔21dと対向するとともに、前記取付金具12と対向する矩形状の開口22aが形成されている。また、この開口22aの内側近傍には、ねじ貫通孔22bが形成されている。このねじ貫通孔22bには、カバー6をフロント部材2に背面側から取付けるための取付ねじ22cが挿通するようになっている。また、背面壁22における前面壁21側には、光源部4が設けられているとともに、背面壁22における光源部4が設けられている前面壁21側とは反対側、すなわち、他方面側には、点灯装置5が取付けられている。
【0021】
次に、側面壁23の内側には、前記器具本体1に設けられた仮止め手段14としての弾性片が嵌合する略四角形状の嵌合孔23aが形成されている。したがって、後述するように、この嵌合孔23aに仮止め手段14が係合することにより、フロント部材2が器具本体1に仮止めされ位置決めされるようになっている。
【0022】
図1及び図2に示すように、光源部4は、複数の長方形状の基板と、この基板に実装された光源としての複数のLEDとから構成されるLEDモジュールである。この基板は、長手方向に並べられて配設されている。
【0023】
基板には、絶縁材、例えばガラスエポキシ又は紙フェノール等が用いられ、表面側には銅箔で形成された配線パターンが施されている。また、適宜レジスト層が施されるようになっている。なお、基板の材料は、金属製とする場合には、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたべース板の一面に絶縁層が積層された金属製のべース基板を適用するのが好ましい。
【0024】
LEDは、表面実装型のLEDパッケージである。概略的にはセラミックスや合成樹脂で形成された本体に配設されたLEDチップと、このLEDチップを封止するエポキシ系樹脂やシリコーン樹脂等のモールド用の透光性樹脂とから構成されている。
【0025】
LEDチップは、青色光を発光する青色のLEDチップである。透光性樹脂には、蛍光体が混入されており、白色光を出射できるようにするために、青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。
【0026】
なお、LEDは、LEDチップを直接基板に実装するようにしてもよく、また、砲弾型のLEDを実装するようにしてもよく、実装方式や形式は、格別限定されるものではない。
このように構成された光源部4は、フロント部材2における背面壁22の前面側に取付けられて配設されるようになっている。
【0027】
点灯装置5は、前述したように、フロント部材2の背面壁22に取付けられている。点灯装置5は、箱状のケース内に回路部品を収容して構成されており、商用交流電源ACに接続されて、この交流電源ACを受けて直流出力を生成するものである。点灯装置5は、例えば、全波整流回路の出力端子間に平滑コンデンサを接続し、この平滑コンデンサに直流電圧変換回路及び電流検出手段を接続して構成されている。なお、点灯装置5は、外部の直流電源DCに接続されて、直流電源DCを受けて、LEDに直流出力を供給する形態であってもよい。したがって、点灯装置5は、LEDモジュールに接続されており、その直流出力をLEDに供給し、LEDを点灯制御するようになっている。
【0028】
図1、図2、図5乃至図6に示すように、カバー6は、透光性を有し、側断面が半円形状をなして長尺状に形成され、光源部4を覆うようになっている。カバー6は、透明のアクリル樹脂等によって形成されていて、その表面側には、ガラス繊維紙が貼着されている。これによりカバー6は、光を拡散する機能を有するようになっている。
【0029】
また、カバー6の両端部における半円形状の開放側には、金属製の取付板61が設けられている。この取付板61には、取付ねじ22cがねじ込まれるねじ穴61aが形成されている。
【0030】
このように構成されたカバー6は、フロント部材2の開口21cに配置され、図4に示すように、背面側からフロント部材2のねじ貫通孔22bを挿通し、カバー6のねじ穴61aにねじ込まれる取付ねじ22cによって取付けられる。
【0031】
取付具3は、フロント部材2を器具本体1に取付ける止めねじ部材であり、図9に代表して示すように、円形状の頭部31と、この頭部31から延出する円筒状の軸部32有している。頭部31には、直径方向に操作溝31aが形成されている。この操作溝31aは、例えば、コインが挿入できる幅寸法を有しており、したがって、操作溝31aにコインを挿入し取付具3を回動操作できるようになっている。
【0032】
また、軸部32には、直径方向であって軸方向に沿って導入スリット32aが形成されており、さらに、この導入スリット32aの端部から連続するように周方向に係止スリット32bが形成されている。
次に、主として図2、図9乃至図11を参照して照明器具の設置状態及び器具本体1へのフロント部材2の取付状態について説明する。
【0033】
図2に示すように、器具本体1は、被設置部Cに図示しない取付ボルト等によって、その背面側が被設置部Cに当接するように取付けられる。また、被設置部Cの背面側から器具本体1に形成された貫通孔を介して導出される電源線が点灯装置5に接続される。
【0034】
この器具本体1が被設置部Cに取付けられた状態において、フロント部材2を器具本体1に取付ける。具体的には、フロント部材2を両手で支え、背面側を器具本体1に向けて押し上げる。このとき、図10及び図11に代表して示すように、器具本体1の折曲側壁11には、仮止め手段14が設けられており、この仮止め手段14がフロント部材2の側面壁23に押圧されて内側に弾性変形し、その後、弾性復帰して嵌合孔23aに嵌入して係合する。このため、フロント部材2は、器具本体1に仮止めされ位置決めされて保持されるようになる。
【0035】
また、この状態においては、器具本体1に取付けられている取付金具12がフロント部材2の背面壁22に形成された開口22aに挿入されて嵌合し、同時に係止手段13が挿入される位置関係になる(図9参照)。
【0036】
フロント部材2の仮止め状態において、取付具3によってフロント部材2を器具本体1に固定的に取付ける。図9に示すように、取付具3の軸部32をフロント部材2の前面壁21側から貫通孔21dを挿通させ、さらに、取付金具12に形成された挿通孔12bを挿通させ、導入スリット32aに線材からなる係止手段13を導入させる。
【0037】
続いて、コイン等を用いて、取付具3の頭部31における操作溝31aにコイン等を挿入し取付具3を所定の角度回動操作して、係止手段13が係止スリット32bに係合するように操作する。このような取付具3の操作をフロント部材2の両端部の2箇所において行うことにより、フロント部材2は、器具本体1に取付けられる。
【0038】
この場合、フロント部材2は、器具本体1に予め位置決めされるので取付作業が行いやすく、また、取付具3の回動操作は、ドライバ等の格別な工具を用いることなく行えるので、作業性が良好となる。
【0039】
照明器具の設置状態において、点灯装置5に電力が供給されると、光源部4におけるLEDモジュールに通電されLEDは発光する。LEDから出射された光は、カバー6の前面側及び両端側を透過して、つまり、略全周を透過して拡散され、所定範囲に照射される。
【0040】
また、LEDの発光に伴い熱が発生する。この熱は、基板を介してフロント部材2における背面壁22へ伝導され、さらに、フロント部材2全体に伝導されて放熱される。
【0041】
以上のような照明器具の構成によれば、光源部4や点灯装置5の修理、交換等のメンテナンス作業を行う場合、器具本体1を被設置部から取外すことなく、フロント部材2を器具本体1から取外すことによって作業を行うことができる。つまり、フロント部材2には、光源部4、カバー6及び点灯装置5が配設されてユニット化されているため、このフロント部材2を取外すことにより、これら部品の修理、交換等のメンテナンス作業を行うことが可能となる。なお、カバー6を備えることが好ましいが、カバー6は、必須の構成要素ではない。
【0042】
換言すれば、本実施形態の照明器具は、被設置部に取付けられる器具本体1と、この器具本体1に着脱可能に取付けられるフロント部材2とで2部品化されているので、メンテナンス作業の簡素化を図ることができ、作業効率を良好なものとすることができる。
また、フロント部材2の着脱に際し、取付具3の操作は、工具を用いることなく行うことができるので、作業性が良好となる。
さらに、器具本体1にフロント部材2を取付ける場合、フロント部材2は、予め位置決めされるので取付作業が行いやすいという効果を奏することができる。
以上のように本実施形態によれば、メンテナンス作業の簡素化を図ることができ、作業効率を良好にすることが可能な照明器具を提供することができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、取付具は、上記実施形態の止めねじ部材の構成に限らない。器具本体にフロント部材を着脱可能に取付けることができる部材であればよい。
【符号の説明】
【0044】
1・・・器具本体、2・・・フロント部材、
3・・・取付具、4・・・光源部(LEDモジュール)、
5・・・点灯装置、6・・・カバー、
12・・・取付金具、13・・・係止手段、
14・・・仮止め手段、21・・・前面壁、
21c・・・フロント部材開口、21d・・・貫通孔、
22・・・背面壁、22a・・・背面壁開口、
23・・・側面壁、31・・・頭部、
32・・・軸部、32a・・・導入スリット、
32b・・・係止スリット、C・・・被設置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と;
光源部と、光源部の光を出射するフロント部材開口と、光源部を点灯制御する点灯装置とを有するフロント部材と;
フロント部材開口が設けられた前面壁上に形成された貫通孔に挿通されるとともに、器具本体にフロント部材を着脱可能に取付ける取付具と;
を具備することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
フロント部材は、フロント部材開口と貫通孔とを有する前面壁と、前面壁から突出して設けられるとともに箱状の空間を形成する側面壁と、前面壁と側面壁とにより形成された箱状の空間に前面壁と略平行に設けられる背面壁とを備え、
光源部は背面壁の前面壁側に設けられるとともに、点灯装置は背面壁の光源部が設けられる他方面側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
器具本体に設けられる係止手段と;
係止手段を挿通させるとともに背面壁に設けられる背面壁開口と;を具備し、
取付具は、頭部と、頭部から延出するとともに直径方向であって軸方向に沿って形成された導入スリットと導入スリットの端部から連続するように周方向に形成された係止スリットとを有する筒状の軸部とを備え、
取付具の軸部を貫通孔に挿通させ、背面壁開口に挿通された係止手段を導入スリットに導入するとともに係止スリットに係合することにより、フロント部材は器具本体に対して固定されることを特徴とする請求項2に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−243392(P2012−243392A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108846(P2011−108846)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】