説明

照明器具

【課題】光源基台に対する光学基台の位置ずれを防止した照明器具において、光源基台や光学基台の破損及び湾曲を防ぐ。
【解決手段】照明器具1は、複数のLED22を有する光源基台2と、各LED22に対向した複数のレンズ32を有する光学基台3と、光源基台2と光学基台3とを収容する筐体4と、を備える。光源基台2及び光学基台3は、それぞれ両基台2、3の位置決めに用いられる被ガイド部23、34を有する。被ガイド部23、34は、共に筐体4のガイド部41に係合する。このとき、被ガイド部23はガイド部41の当たり部42に当たることなく通過するのに対し、被ガイド部34は当たり部42に当接される。これにより、光源基台2と光学基台3とを互いに接触させずに筐体4を介して配置できるので、両基台2、3が接触することで引き起こされ得る両基台2、3の破損や湾曲を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light emitting diode)等の固体発光素子と光学部材とを組み合わせた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からLEDとレンズ等の光学部材とを組み合わせた照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような照明器具は、図10に示されるように、LED10を有する光源基台20と、LED10に対向して設けられたレンズ30を有する光学基台40と、を備える。光源基台20は、そのLED10実装面に複数の凹部50を有する。各々の凹部50には、光学基台40の光入射面側に設けられた凸部60がそれぞれ嵌合する。これにより、光源基台20に対する光学基台40の位置ずれが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−230984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような照明器具では、光源基台20の凹部50に光学基台40の凸部60が直接に嵌合するので、その際の摩擦や圧力により光源基台20及び光学基台40が破損したり湾曲したりし易い。また、光源基台20を構成する材料の熱膨張率と光学基台40を構成する材料の熱膨張率とに差がある場合には、LED10の発光に伴って生じた熱による熱膨張により、光源基台20や光学基台40が破損したり湾曲したりする虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、光源基台に対する光学基台の位置ずれの防止を図った照明器具において、光源基台や光学基台の破損や湾曲を軽減することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明器具は、複数の光源を有する光源基台と、前記複数の光源の各々に対向して設けられた複数の光学部材を有する光学基台と、前記光源基台と光学基台とを収容する筐体と、を備え、前記光源基台及び光学基台は、それぞれ該基台の位置決めに用いられる被ガイド部を有し、前記筐体は、前記被ガイド部と係合するガイド部を有し、前記ガイド部は、前記光源基台と光学基台とが接触しないようにするための当たり部を有し、前記光学基台の被ガイド部は、前記当たり部に当接される被当たり部を有することを特徴とする。
【0007】
前記光源基台の被ガイド部と前記光学基台の被ガイド部は、前記ガイド部を共有することが好ましい。
【0008】
前記ガイド部は、3つ以上設けられていることが好ましい。
【0009】
前記ガイド部は凹形状の溝から成り、前記被ガイド部は該溝に係合する凸形状とされることが好ましい。
【0010】
前記当たり部はガイド部に設けられた段から成り、前記被当たり部は光学基台の被ガイド部の一部から成ることが好ましい。
【0011】
本照明器具は、前記光学基台を移動させることで該光学基台と前記光源基台との距離を変えて配光を可変とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光源基台及び光学基台を筐体に収容したとき、両基台の位置精度を低下させることなく両基台を互いに接触させずに配置できるので、両基台の破損や湾曲を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る照明器具の分解斜視図。
【図2】上記照明器具の斜視図。
【図3】図2のI−I線断面図。
【図4】上記照明器具の上面図。
【図5】(a)は上記照明器具を構成する光源基台の上面図、(b)は(a)のI−I線断面図。
【図6】(a)は上記照明器具を構成する筐体の上面図、(b)は(a)のI−I線断面図。
【図7】上記照明器具を構成する光学基台を斜め下方から見た図。
【図8】上記光学基台を構成するレンズの断面図。
【図9】(a)は上記レンズと光源とを近接させた状態における照明器具の断面図、(b)は(a)の状態において同光源から出射された光の光路を示す図。
【図10】従来の照明器具の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る照明器具について、図1乃至図9を参照して説明する。図1乃至図6に示されるように、照明器具1は、光源基台2と、光源基台2の発光面側に設けられ照明器具1の軸線方向に移動可能な光学基台3と、光源基台2と光学基台3とを収容する筐体4と、光源基台2で生じた熱を放熱する放熱部5と、を備える。
【0015】
光源基台2は、円盤形状の配線基板21と、配線基板21上に実装された光源となる複数のLED22と、を有する。LED22には、例えば、白色光を発する白色LEDが用いられる。各々のLED22の光軸は、それぞれ軸線に対して平行となっている。また、光源基台2は、その外周に自身の位置決めに用いられる複数の被ガイド部23を有する。各々の被ガイド部23は、軸線と直交する方向に突出した凸形状とされ、90度ずつ角度を隔てて配設されている。被ガイド部23は、筐体4に設けられたガイド部41(詳細後述)に係合する。なお、配線基板21上に実装されるLED22の数及び配線基板21上におけるLED22の配置は、図例のものに限定されない。また、被ガイド部23の数は、本実施形態のものに限定されず任意の数設けられればよいが、円盤形状の光源基台2を安定に保持するために少なくとも3つ以上設けられる。
【0016】
配線基板21は、高い熱伝導率を有する材料、例えば、アルミニウム等の金属、ガラスエポキシ等の樹脂、又はセラミック等の無機材料を母材として構成される。配線基板21は、そのLED22実装面に高い光反射率を有する光反射部材を有する。光反射部材は、例えば、銀やアルミニウムにより構成される。また、配線基板21は、LED22への給電を担う配線パターンを有する。この配線パターンは、配電線を介してスイッチやマイコン等を備えた調光装置に接続されている。調光装置は、商用電源からLED22への電力供給を調節することによりLED22をオン/オフ制御及び調光制御する。
【0017】
光学基台3は、円盤形状とされ、LED22からの光が入射する面にレンズアレイ31(図1においてドットで示す)を有する。レンズアレイ31は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、又はガラス等の透光性材料により構成され、各々のLED22に対向して設けられた複数のレンズ32と、レンズ32間に位置する平坦部と、から成る。各々のレンズ32の光軸は、それぞれ対向するLED22の光軸と一致している。また、光学基台3は、レンズアレイ31を保持する円筒形状のレンズホルダ33と、レンズホルダ33の外周に設けられ光学基台3の位置決めに用いられる複数の被ガイド部34と、を有する。レンズホルダ33及び被ガイド部34は共に、例えば、アルミニウム等の金属やポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂により構成される。各々の被ガイド部34は、それぞれ軸線と平行に伸びる凸形状とされ、光源基台2の被ガイド部23に対応する位置に設けられている。被ガイド部34は、筐体4のガイド部41に係合される。被ガイド部34の下端部は、ガイド部41の一部に設けられた当たり部42(詳細後述)と当接する被当たり部35を有する。なお、光学基台3は、全体が透光性材料により一体成型されてもよい。
【0018】
筐体4は、有底筒状とされ、熱伝導率が高い材料、例えば、アルミニウムにより構成される。筐体4は、その内周に光出射面側の端部から軸線と平行に伸びる凹形状の直線溝から成る複数のガイド部41を有する。各々のガイド部41は、90度ずつ角度を隔てて配設されている。ガイド部41は、その筐体4の底面側の端部に、段から成り光源基台2と光学基台3とが接触しないようにするための当たり部42を有する。当たり部42は、光源基台2の被ガイド部23とは当接しない位置関係に構成されている。従って、被ガイド部23をガイド部41に係合させて光源基台2を筐体4に収容したとき、光源基台2は、当たり部42に当たることなく通過して筐体4の底面に配置される。これに対し、光学基台3の被ガイド部34は被当たり部35を介して当たり部42に当接されるので、被ガイド部34をガイド部41に係合させて光学基台3を筐体4に収容したとき、光学基台3は、当たり部42よりも筐体4の底面側に達し得ない。また、筐体4は、その側壁の一部を筐体4の中心部に向かって貫通したネジ溝43と、ネジ溝43に螺合するネジ44と、を有する。ネジ44は、ネジ締めすることで筐体4に収容された光学基台3を筐体4に固定する。なお、当たり部42は、段に限定されず、光源基台2の被ガイド部23とは当接しないが光学基台3の被ガイド部34とは当接する構成とされていればよい。また、ネジ溝43及びネジ44は、本実施形態においては筐体4の1カ所に設けられているが、筐体4の複数箇所に設けられてもよい。
【0019】
放熱部5は、熱伝導率の高いアルミニウムや銅により構成され、複数の平板状フィン51を有する。放熱部5は、高い熱伝導率を有する接着剤、例えば、放熱シリコーン接着剤により筐体4の底面に密着して固定されている。
【0020】
光学基台3を構成するレンズ32は、図7、図8に示されるように、光入射面側が小径となった逆円錐台形状とされ、その光入射面に凹部32aを有する。凹部32aは、レンズ32とLED22とが近接したときにLED22を収容する。凹部32aは、LED22と対向する第1の光入射面32bと、凹部32aの側面を構成する第2の光入射面32cと、を有する。また、レンズ32は、第2の光入射面32cから入射した光を全反射する光反射面32dと、光を出射する光出射面32eと、を有する。
【0021】
上記のように構成された本実施形態の照明器具1の作用を、上述の図に更に図9(a)(b)を加えて説明する。上記図3は、光源基台2と光学基台3との距離Dが大きい状態を示す。この状態から距離Dを小さくして照射する光の配光を変化させるには、ネジ44を緩めて光学基台3を軸線方向に移動可能とし、光学基台3を光源基台2側に移動させた後、ネジ44を締めて光学基台3を筐体4に固定する。これにより、図9(a)に示されるように、距離Dが小さい状態となる。このとき、光学基台3の光源基台2側への移動は、被当たり部35が当たり部42に当接された時点で規制されるので、光学基台3が移動し過ぎて光源基台2と接触することはない。また、光源基台2及び光学基台3は、それぞれの被ガイド部23、34が筐体4のガイド部41に係合しているので、筐体4内において回転しない。そのため、各々のレンズ32は、各LED22に対向した状態でLED22に近づき、LED22と接触することなく凹部32aにLED22を収容する。
【0022】
距離Dを小さくした状態では、LED22の側方にもレンズ32が配置される。そのため、図9(b)に示されるように、LED22から出射された光(光路を破線矢印で示す)の殆どはレンズ32に入射する。このとき、LED22から出射されて第1の光入射面32bに入射した光は、そこで屈折され、更に光出射面32eにおいて屈折されて出射される。また、LED22から出射されて第2の光入射面32cに入射した光は、そこで屈折された後、光反射面32dにより全反射され、更に光出射面32eにおいて屈折されて出射される。この場合、レンズ32から出射される光は、配光角の大きいものとなる。上記と同様の動作で距離Dを調整し、レンズ32の焦点位置にLED22を配置した場合には、レンズ32から出射される光は配光角の小さいものとなる。
【0023】
なお、本実施形態においては、光源基台2の被ガイド部23と光学基台3の被ガイド部34が筐体4のガイド部41を共有している構成を示したが、被ガイド部23、34が、それぞれ専用のガイド部41に係合する構成とされてもよい。
【0024】
上述のように、本実施形態の照明器具1によれば、光源基台2及び光学基台3が筐体4に収容されるとき、筐体4に当たり部42が設けられているので、両基台2、3が互いに接触しない。そのため、従来のように光源基台2や光学基台3が破損したり湾曲したりすることが軽減される。また、光源基台2及び光学基台3は共に筐体4内において回転しないので、光源基台2に対する光学基台3の位置ずれが防止される。また、光源基台2及び光学基台3をそれぞれ構成する材料の熱膨張率差に起因する破損や湾曲を考慮する必要がなくなるので、従来よりも幅広い材料で両基台2、3を作製することができる。
【0025】
また、ガイド部41、被ガイド部23、34、当たり部42及び被当たり部35が単純な構造から構成されているので、安価かつ簡便に照明器具1を製造することができる。また、距離Dを任意に調整することで、照射する光の配光を連続的に変化させることができる。また、配線基板21、筐体4及び放熱部5が熱伝導率の高い材料から構成されているので、LED22の発光に伴って生じた熱を効率良く外界へ放熱することができ、異常な温度上昇を防いでLED22の寿命を延ばすことができる。
【0026】
また、配線基板21のLED22実装面に光反射部材が設けられているので、レンズ32の光出射面32eで全反射されて照明器具1の内部方向へ戻ってきた光を、光反射部材により反射して再び照明器具1の外部方向へ向かわせることができる。これにより、照明器具1の光取り出し効率が向上する。
【0027】
また、光源基台2と光学基台3とが離れている場合、LED22から出射された光の一部は、レンズ32に入射せずレンズアレイ31の平坦部に直接入射することがある。このような光は、レンズ32によって配光制御されないので、照射むらを引き起こしたりグレアとなる可能性がある。そこで、この平坦部に光を拡散する光拡散材を添加したり、光を拡散する光学処理を施してもよい。これにより、平坦部に入射した光を種々の方向に拡散して、照射むらやグレアの発生を低減することができる。なお、平坦部に成される加工は、上記のものに限定されず、例えば、光を遮光する遮光部材を設けたり、光を遮光する光学処理を施してもよい。
【0028】
なお、本発明に係る照明器具は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、ガイド部及び被ガイド部の形状は、本実施形態のものに限定されず、例えば、ガイド部が凸形状で被ガイド部が凹形状とされてもよいし、ガイド部が柱で被ガイド部がその柱に嵌る孔とされてもよい。また、光学部材は、凹部を有するレンズに限定されず、例えば、反射板から構成されてもよい。この場合、反射板は、例えば、絞り加工を施したアルミニウム反射板にアルマイト処理を施したものや、成形した樹脂表面にアルミニウム膜等を成膜したものとされる。また、光源は、白色LEDに限定されず、他色のLEDから構成されてもよいし、有機EL等から構成されてもよい。また、光学基台を筐体に固定する部材は、ネジに限定されず、例えば、留め金から構成されてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 照明器具
2 光源基台
22 LED(光源)
23 (光源基台の)被ガイド部
3 光学基台
32 レンズ(光学部材)
34 (光学基台の)被ガイド部
35 被当たり部
4 筐体
41 ガイド部
42 当たり部
D 光学基台と光源基台との距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を有する光源基台と、
前記複数の光源の各々に対向して設けられた複数の光学部材を有する光学基台と、
前記光源基台と光学基台とを収容する筐体と、を備え、
前記光源基台及び光学基台は、それぞれ該基台の位置決めに用いられる被ガイド部を有し、
前記筐体は、前記被ガイド部と係合するガイド部を有し、
前記ガイド部は、前記光源基台と光学基台とが接触しないようにするための当たり部を有し、
前記光学基台の被ガイド部は、前記当たり部に当接される被当たり部を有することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記光源基台の被ガイド部と前記光学基台の被ガイド部は、前記ガイド部を共有することを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記ガイド部は、3つ以上設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記ガイド部は凹形状の溝から成り、前記被ガイド部は該溝に係合する凸形状とされることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記当たり部はガイド部に設けられた段から成り、前記被当たり部は光学基台の被ガイド部の一部から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記光学基台を移動させることで該光学基台と前記光源基台との距離を変えて配光を可変とすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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