説明

照明器具

【課題】ハロゲン電球35を用いながら、器具効率を確保できるとともに、小型化および低コスト化が可能な照明器具を提供する。
【解決手段】略直線円筒状のバルブ53の一端の封止部53aが放物ミラー38の後側となるように放物ミラー38の挿入孔38bにハロゲン電球35を挿入する。挿入孔38bの径寸法をφd、挿入孔38bに挿入するバルブ53の径寸法をφbとしたとき、0.42≦φb/φd<1.00を満たすように挿入孔38bの径寸法とバルブ53の径寸法との少なくともいずれか一方を設定する。器具効率を向上できるとともに、例えば強制冷却機構などを用いることなくハロゲン電球35の封止部53aを自然空冷して温度上昇を抑制でき、小型化および低コスト化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射体およびこの反射体の挿入孔に挿入されるハロゲン電球を備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば舞台、映画、あるいはスタジオなどの演出空間において使用され、映画あるいはテレビジョン番組などの撮影用途に用いるスポットライトなどの照明器具がある。このような照明器具として、軽量かつ安価で取り扱いが容易なハロゲン電球を光源とし、このハロゲン電球からの光を反射体である反射鏡(放物ミラー)により集光した光を照射するビームスポットライトが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3009005号公報(第7−9頁、図1および図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ハロゲン電球は発光効率が例えば放電灯などと比較して低いため、充分な器具効率を得ることが容易でないという問題点を有している。
【0005】
また、ハロゲン電球の過熱によりバルブの封止部においてクラックなどが生じないようにするためにファンなどの強制冷却機構を取り付けると、嵩張るとともにコスト増となるという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ハロゲン電球を用いながら、器具効率を確保できるとともに、小型化および低コスト化が可能な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の照明器具は、内部に形成された回転二次曲面状の反射面、および、この反射面の回転軸に沿って中央部に形成された円形状の挿入孔を備えた反射体と;一端に封止部を有し略直線円筒状に形成されたバルブ、および、このバルブ内に配置されたフィラメントを備え、このフィラメントが反射面の焦点位置でかつ封止部が反射体の外部となるように反射体の挿入孔に挿入されたハロゲン電球と;を具備し、挿入孔の径寸法をφd、バルブの径寸法をφbとしたとき、0.42≦φb/φd<1.00を満たしているものである。
【0008】
本発明および以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0009】
回転二次曲面とは、例えば放物面、あるいは楕円面などをいう。
【0010】
封止部は、例えばバルブの一端側を圧潰しバルブと異なる材質により形成された封止部材を気密に埋設することで構成される。
【0011】
フィラメントは、例えば二重コイル、あるいは三重コイルなどで形成されている。
【0012】
バルブは、例えば石英ガラスなどによって略直線円筒状に形成される。
【0013】
バルブの径寸法とは、封止部を除く部分での最大径寸法をいう。
【0014】
請求項2記載の照明器具は、請求項1記載の照明器具において、光軸と交差する方向に沿って反射体に取り付けられ、ハロゲン電球からの可視光を透過するとともに赤外光を反射する半透過部材を具備しているものである。
【0015】
半透過部材としては、例えば赤外線反射膜をハロゲン電球側にコーティングしたガラスなどが用いられる。
【0016】
請求項3記載の照明器具は、請求項1または2記載の照明器具において、バルブの内面近傍に沿って一部が配置され、フィラメントをバルブに保持する支持部材を具備しているものである。
【0017】
支持部材は、フィラメント、封止部の封止部材、および封止部から突出する端子ピンにそれぞれ電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の照明器具によれば、略直線円筒状のバルブの一端の封止部が反射体の外部となるように反射体の挿入孔にハロゲン電球を挿入するとともに、挿入孔の径寸法をφd、この挿入孔に挿入されるバルブの径寸法をφbとしたとき、0.42≦φb/φd<1.00を満たすように挿入孔の径寸法とバルブの径寸法との少なくともいずれか一方を設定することにより、器具効率を向上できるとともに、例えば強制冷却機構などを用いることなくハロゲン電球の封止部を自然空冷してその温度上昇を抑制でき、小型化および低コスト化が可能になる。
【0019】
請求項2記載の照明器具によれば、請求項1記載の照明器具の効果に加えて、ハロゲン電球からの可視光を透過するとともに赤外光を反射する半透過部材を光軸と交差する方向に沿って反射体に取り付けることにより、照射光から赤外光を除去するだけでなく、反射された赤外光がハロゲン電球のフィラメントに回帰することでフィラメントを加熱し、ハロゲン電球の発光効率をより高めることができる。
【0020】
請求項3記載の照明器具によれば、請求項1または2記載の照明器具の効果に加えて、フィラメントをバルブに保持する支持部材の一部をバルブの内面近傍に沿って配置することにより、照射光に発生する支持部材の影を低減し、良好な配光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態の照明器具の一部を示す縦断側面図である。
【図2】同上照明器具の縦断側面図である。
【図3】同上照明器具の正面図である。
【図4】同上照明器具の側面図である。
【図5】同上照明器具の背面図である。
【図6】同上照明器具の挿入孔の径寸法とバルブの径寸法との比とバルブの封止部温度および器具効率との関係を示すグラフである。
【図7】同上照明器具のハロゲン電球の配向特性を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は照明器具の一部を示す縦断側面図、図2は照明器具の縦断側面図、図3は照明器具の正面図、図4は照明器具の側面図、図5は照明器具の背面図、図6は照明器具の挿入孔の径寸法とバルブの径寸法との比とバルブの封止部温度および器具効率との関係を示すグラフ、図7は照明器具のハロゲン電球の配向特性を模式的に示す説明図である。
【0024】
図2ないし図5において、21は照明器具を示し、この照明器具21は、例えば舞台、映画、あるいはスタジオなどの演出空間において使用され、映画あるいはテレビジョン番組などの撮影用途に用いる(ビーム)スポットライトである。そして、この照明器具21は、器具本体22、この器具本体22をスタジオあるいは舞台などの天井に設置されるバトン(図示せず)に対して吊下げ支持する器具支持体23、および光照射範囲を制限するバンドア24を備えている。
【0025】
器具本体22は、筒状の本体部26、およびこの本体部26の前部に取り付けられた複数であって4つの保持体27を備えており、例えばアルミニウムなどの放熱性に優れた金属部材により形成されている。そして、この器具本体22は、第1方向としての光軸方向である前後方向(Z軸方向)に沿って長手状に形成されている。
【0026】
本体部26は、八角形筒状の第1の本体である後部本体31と、この後部本体31の前部に位置する円筒状の第2の本体である前部本体32と、これら後部本体31と前部本体32とを連結する連結部33とを一体に有している。そして、この本体部26の内部には、電球であるハロゲン電球35、このハロゲン電球35の位置を調整する電球位置調整装置36、ハロゲン電球35の点灯用の電源を供給する電源部37、ハロゲン電球35からの光を前方へ向けて反射させる反射体としての放物ミラー38、この放物ミラー38の前部に位置する半透過部材としてのガラス39、およびこのガラス39の前方に位置するレンズ40が配置されている。
【0027】
後部本体31は、前後方向に沿って軸方向を有しており、前部本体32と反対側である後端部が閉塞板42により閉塞されている。また、後部本体31の下部には取手43が前後両端にそれぞれ取り付けられている。さらに、後部本体31の下部の一側には、電源コード44が接続される端子部45が取り付けられている。そして、後部本体31の上部および下部の各側部には、放熱用の複数の開口46が形成されている。
【0028】
閉塞板42は、平板状に形成されており、器具本体22の後部に露出する後面が、器具本体22の後面を構成する平面状の取付面48となっている。
【0029】
また、前部本体32は、後部本体31の前方にこの後部本体31と同軸に形成されており、後部本体31の最大外形よりも大きい径寸法を有している。
【0030】
また、連結部33は、後部本体31側である後側から前部本体32側である前側へと徐々に拡径するように形成されている。さらに、この連結部33には、放熱用の複数の開口部51が放射状にそれぞれ形成されている。
【0031】
また、図1および図2に示すように、ハロゲン電球35は、例えば2kW程度の定格ランプ電力を有するものであり、長手状のバルブ53と、このバルブ53に収容されたフィラメント54とを備えている。
【0032】
バルブ53は、例えば石英ガラスなどの光透過性部材により、ハロゲン電球35の光軸方向に沿う略直線円筒状に形成されており、一端部(基端部)である後端側に封止部53aを有し、他端部(先端部)である前端側に排気チップオフ部53bを有する、いわゆる片封止形バルブとなっており、内部に不活性ガスおよびハロゲンガスが封入されている。すなわち、このバルブ53は、封止部53aを除くその他の部分の最大径寸法である径寸法φbが略一定に形成されている。
【0033】
封止部53aは、例えばバルブ53が圧潰されるとともに例えばモリブデン箔などのバルブ53と異なる材質により形成された封止部材である封止金属箔53c,53cが気密に埋設されることによって形成されている。これら封止金属箔53c,53cは、図示しない端子ピンとそれぞれ電気的に接続されている。
【0034】
排気チップオフ部53bは、バルブ53の内部を排気し、ハロゲンおよび不活性ガスを封入して、バルブ53を封止切った後に形成される部分である。
【0035】
また、フィラメント54は、例えば1つのコイルによって形成され、バルブ53の中心軸に沿って長手方向に配置されており、導電性を有する支持部材であるサポーター56,56によってバルブ53内に保持されている。
【0036】
各サポーター56は、封止部53aの位置で各封止金属箔53cを介して端子ピンと電気的に接続されている。これら端子ピンは、バルブ53の後端側からこのバルブ53の外部へと導出されており、各封止金属箔53cおよび各サポーター56とともにバルブ53の封止部53aに固定されている。また、各サポーター56は、バルブ53の内面近傍に沿って、すなわちフィラメント54からバルブ53の径方向に最大に離間された位置にて、光軸方向と略平行に配置されている。
【0037】
また、図1ないし図5に示すように、電球位置調整装置36は、ハロゲン電球35の端子ピンが挿入されて保持されるソケット60を有する保持部61、この保持部61をハロゲン電球35の光軸方向である前後方向(Z方向)、この前後方向に交差する左右方向(X方向)および上下方向(Y方向)などに移動可能とする移動機構62、および、使用者が操作する第1ないし第3の被操作部としての第1ないし第3の調整摘み67,68,69などを備えている。そして、この電球位置調整装置36は、支持体としての支持ブラケット70を介して器具本体22の後部本体31内の後端の下部に支持されており、この後部本体31内に収容されている。
【0038】
移動機構62は、各種の構成とすることができるが、例えばねじ送りなどによってソケット60とともに保持部61を移動可能としている。なお、この移動機構62によりハロゲン電球35(保持部61)を光軸方向である前後方向に移動可能な距離は、例えばフィラメント54の長さと同じ距離とする。
【0039】
第1ないし第3の調整摘み67,68,69は、それぞれ閉塞板42の取付面48にそれぞれ位置しており、回転操作可能となっている。
【0040】
また、図1および図2に示す放物ミラー38は、内部に回転二次曲面状の反射面である放物面38aを有しており、この放物面38aの中央部に、放物面38aの回転軸すなわちハロゲン電球35の光軸方向に沿ってハロゲン電球35が挿入される挿入孔38bが形成されている。そして、この放物ミラー38は、後側から前側へと徐々に拡開するように形成されており、器具本体22の後部本体31から連結部33を介して前部本体32の後端部近傍に亘って収容されている。
【0041】
挿入孔38bは、断面円形状に形成されており、ハロゲン電球35の封止部53aが放物ミラー38の外部、すなわち放物面38aと反対側である後側に突出し、ハロゲン電球35の排気チップオフ部53bおよびフィラメント54が放物ミラー38の放物面38a側である前側に位置するようにハロゲン電球35が挿入される通孔である。この挿入孔38bに挿入されたハロゲン電球35は、フィラメント54が放物面38aの焦点位置と重なるように位置が調整されている。
【0042】
ここで、挿入孔38bの径寸法φdとバルブ53の径寸法φbとの比φb/φdと、照明器具21の器具効率およびハロゲン電球35(封止部53a)の温度とには、図6に示すような関係がある。これは、各種の電球および反射体で測定しても一般に同様の傾向を有する。なお、器具効率とは、照射光全体に対する有効光の割合をいう。本実施の形態では、具体的に、照明器具21の前面から予め設定された所定距離、例えば5m離れた位置において、照明器具21からの照射光の照度Lがピークとなる位置P1(光軸と交差する位置(0°))から、その位置P1の周囲でピーク照度の所定の割合、例えば1/10となる位置P2(例えば光軸から7.8°の位置)までの範囲に含まれる照射光を有効光とする(図7)。また、図7において、ハロゲン電球35(封止部53a)の温度は、ハロゲン電球35の裸点灯時を100%として示している。
【0043】
すなわち、挿入孔38bの径寸法φdがバルブ53の径寸法φbと比較して小さいほど、ハロゲン電球35からの光を出射させるための放物ミラー38の放物面38aの面積が相対的に大きくなるので、照明器具21の器具効率が向上し、かつ、ハロゲン電球35から放出される熱が挿入孔38bから外部すなわち後側へと抜けにくくなるので、放物ミラー38による遮熱効果が向上する。したがって、照明器具21の器具効率は、挿入孔38bの径寸法φdとバルブ53の径寸法φbとの比φb/φdが小さいときに相対的に小さく、この比の増加にしたがって急激に増加した後、飽和状態、例えば本実施の形態では60%程度となり、この比が増加しても殆ど変化しなくなる。また、ハロゲン電球35(封止部53a)の温度は、挿入孔38bの径寸法φdとバルブ53の径寸法φbとの比φb/φdが大きいときに相対的に低く、この比の減少にしたがって急激に上昇した後、裸点灯時と略等しくなる。
【0044】
そして、本実施の形態では、挿入孔38bの径寸法φdが、バルブ53の径寸法φbとの比φb/φdが0.42以上で1.00未満(0.42≦φb/φd<1.00)となっている。すなわち、挿入孔38bの径寸法φdが、バルブ53の径寸法φbより大きく、かつ、2.38(≒1/0.42)倍以下となっている。換言すれば、バルブ53の径寸法φbが、挿入孔38bの径寸法φdの0.42倍以上1.00倍未満となっている。これらの数値は、照明器具21の器具効率の上昇の飽和点と、ハロゲン電球35(封止部53a)の温度上昇の変曲点、あるいはハロゲン電球35(封止部53a)の温度が予め設定された所定温度以下、例えば裸点灯時の25%程度以下となる点とのそれぞれに基づいて設定されている。すなわち、挿入孔38bの径寸法φdとバルブ53の径寸法φbとの比φb/φdが0.42以上でかつ1.00未満を満たすことにより、図6に示すように、照明器具21の器具効率が略飽和状態となるとともに、ハロゲン電球35(封止部53a)の温度を裸点灯時の25%以下に抑制することが可能になる。
【0045】
また、ガラス39は、放物ミラー38の前端部を覆って、すなわちハロゲン電球35の光軸方向と交差する方向に沿って取り付けられ、器具本体22の前部本体32に収容されている。さらに、このガラス39の例えば後側、すなわち放物ミラー38側には、ハロゲン電球35からの可視光を透過し赤外光(赤外線)を反射する赤外線反射膜39aが形成されている。
【0046】
また、レンズ40は、前側に凸状に湾曲して形成されており、取付ブラケット108を介して前部本体32の前端部を閉塞するように固定されている。さらに、このレンズ40の発光面である前面は、保護部材であるレンズ保護網109により保護されている。
【0047】
また、図2ないし図5に示す各保持体27は、例えば器具本体22の前部本体32の前端部の上下および左右の4箇所に取り付けられ、この前部本体32の前端部およびレンズ40よりも前方に突出している。さらに、これら保持体27の間には、バンドア24が回動可能に取り付けられるバンドア取付部111が着脱可能に保持されている。このバンドア取付部111は、レンズ40の前面を露出させるように枠状に構成されている。
【0048】
また、器具支持体23は、器具本体22の後部本体31の前端部の両側に取り付けられる軸部材113,114、これら軸部材113,114を介して回動可能に支持するアーム115を有し、アーム115によってスタジオあるいは舞台などのバトンに吊下げ支持されている。
【0049】
次に、照明器具21の動作を説明する。
【0050】
電源部37(図5)を介して電源コード44(図4)から給電されてフィラメント54から発光したハロゲン電球35からの光は、まず、図1および図2に示す放物ミラー38の放物面38aにより反射され、ガラス39へと向かう。そして、この反射光のうち、可視光はガラス39を通過した後、レンズ40を介して前方へと照射され、赤外光(赤外線)はガラス39の赤外線反射膜39aにより反射された後、放物ミラー38の放物面38aによりさらに反射されてハロゲン電球35のフィラメント54に回帰し、このフィラメント54を加熱して活性化させる。なお、照射面に対して光を照射する範囲は、バンドア24の開閉により調整される。
【0051】
また、使用者が第1の調整摘み67、第2の調整摘み68、あるいは第3の調整摘み69を適宜回動操作することで、ソケット60に取り付けられたハロゲン電球35が光軸方向である前後方向、左右方向、あるいは上下方向に移動し、ハロゲン電球35の位置が調整される。これらの位置調整を組み合わせることで、保持部61(ソケット60)とともにハロゲン電球35の放物ミラー38に対する位置を三次元的に調整できる。
【0052】
このように、上記一実施の形態では、略直線円筒状のバルブ53の一端の封止部53aが放物ミラー38の外部である後側に位置するように放物ミラー38の挿入孔38bにハロゲン電球35を挿入するとともに、挿入孔38bの径寸法φd、この挿入孔38bに挿入されるバルブ53の径寸法をφbとしたとき、0.42≦φb/φd<1.00を満たすように挿入孔38bの径寸法φdとバルブ53の径寸法φbとの少なくともいずれか一方を設定する。
【0053】
このため、光源であるハロゲン電球35の近傍の放物ミラー38の放物面38aの面積を確保して、ハロゲン電球35からの光を放物面38aで効果的に反射して効率よく出射させることができるとともに、放物ミラー38による遮熱効果を確保して、フィラメント54側からの熱を封止部53aに伝わりにくくし、封止部53aの過熱を防止でき、この封止部53aの過熱によってバルブ53を構成する部材と各封止金属箔53c、各サポーター56および各端子ピンなどを構成する部材との熱膨張率の相違などにより封止部53aが破損することなどを確実に防止できる。
【0054】
この結果、放電灯などと比較して発光効率が低いハロゲン電球35を用いながら、照明器具21の器具効率を向上できるとともに、例えばファンなどの強制冷却機構などを別途用いることなくハロゲン電球35の封止部53aを自然空冷してその温度上昇を抑制でき、強制冷却機構などに要するスペースやコストを削減できるため、小型化および低コスト化が可能になる。
【0055】
すなわち、放電灯などと比較して発光効率が低いというハロゲン電球35の欠点を補い、軽量かつ安価で取り扱いが容易というハロゲン電球35の利点を生かした照明器具21を提供できる。
【0056】
また、ハロゲン電球35からの可視光を透過するとともに赤外光(赤外線)を反射する赤外線反射膜39aを有するガラス39を光軸と交差する方向に沿って放物ミラー38に取り付けることにより、照射光から赤外光(赤外線)を除去するだけでなく、反射された赤外光(赤外線)がハロゲン電球35のフィラメント54に回帰することでフィラメント54を加熱してフィラメント54を活性化させ、ハロゲン電球35の発光効率をより高めることができる。
【0057】
しかも、ハロゲン電球35は、封止部53aが放物ミラー38の外部に位置しているため、回帰した赤外光(赤外線)が封止部53aを加熱することなくフィラメント54のみを効果的に加熱できる。
【0058】
さらに、赤外線反射膜39aをガラス39に設けることにより、例えば赤外線反射膜をバルブに施したハロゲン電球を、使用寿命を迎える度に交換する構成と比較して、ランニングコストの面で有利となる。
【0059】
また、フィラメント54をバルブ53の長手方向に沿って配置することにより、フィラメント54をバルブ53の長手方向に交差する方向に配置する場合と比較して、バルブ53の径寸法φbを抑制できるので、挿入孔38bの径寸法φを抑制でき、ハロゲン電球35の近傍の放物ミラー38の放物面38aの面積をより向上でき、ハロゲン電球35からの光を放物面38aでより効果的に反射してより効率よく出射させて照明器具21の器具効率をより向上できるとともに、放物ミラー38による遮熱効果をより向上でき、フィラメント54側からの熱を封止部53aにより伝わりにくくし、封止部53aの過熱をより確実に防止でき、かつ、ガラス39の赤外線反射膜39aによって反射されて回帰する赤外光(赤外線)をフィラメント54により確実に当てることができ、ハロゲン電球35の発光効率をより向上できる。
【0060】
特に、電球位置調整装置36の移動機構62によるハロゲン電球35の前後方向への移動可能な距離をフィラメント54の長さと等しくすることにより、ガラス39の赤外線反射膜39aによって反射されて回帰する赤外光(赤外線)が、前後方向のどの位置にハロゲン電球35を移動させてもフィラメント54に効果的に当てることができる。
【0061】
そして、フィラメント54をバルブ53に保持するサポーター56,56の一部をバルブ53の内面近傍に沿って配置することにより、照射光に発生するサポーター56,56の影を低減し、良好な配光を得ることができる。
【0062】
なお、上記一実施の形態において、電球位置調整装置36は、ハロゲン電球35を三次元的に移動させることができれば、任意に構成できる。
【符号の説明】
【0063】
21 照明器具
35 ハロゲン電球
38 反射体としての放物ミラー
38a 反射面である放物面
38b 挿入孔
39 半透過部材としてのガラス
53 バルブ
53a 封止部
54 フィラメント
56 支持部材であるサポーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成された回転二次曲面状の反射面、および、この反射面の回転軸に沿って中央部に形成された円形状の挿入孔を備えた反射体と;
一端に封止部を有し略直線円筒状に形成されたバルブ、および、このバルブ内に配置されたフィラメントを備え、このフィラメントが反射面の焦点位置でかつ封止部が反射体の外部となるように反射体の挿入孔に挿入されたハロゲン電球と;を具備し、
挿入孔の径寸法をφd、バルブの径寸法をφbとしたとき、
0.42≦φb/φd<1.00を満たしている
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
光軸と交差する方向に沿って反射体に取り付けられ、ハロゲン電球からの可視光を透過するとともに赤外光を反射する半透過部材
を具備していることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
バルブの内面近傍に沿って一部が配置され、フィラメントをバルブに保持する支持部材
を具備していることを特徴とする請求項1または2記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−51067(P2013−51067A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187354(P2011−187354)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】