説明

照明器取り付け装置

【課題】 高所での作業において、作業箇所を明るく照らすための照明を地上に設置した投光器から行うと夜間は周囲が明るすぎるという課題があった。また、バケット中に大形の照明器を具備させると、高所作業車自体が大型化するという課題があった。
【解決手段】 対向させた側板22、23に結合部41、42を設け、結合部に照明器保持部61、62を連結した照明器取り付け装置10で、バケットに設置されたサブブームにサーチライト状の照明器を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーチライトのような照明器具を可動式のアームに取り付ける照明器取り付け装置に関し、特に人間が乗り込むバケットにサブブームが設置された高所作業車のサブブームにサーチライトを取り付ける照明器取り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業車は、電柱に変電器を設置したり、電線を懸架するといった作業をする場合に、作業者を作業点まで持ち上げる機能を有する車である。通常は車の後部に伸縮自在なブームを有し、その伸縮ブームの先に作業者の乗るバケットが取り付けられている。
【0003】
さらに、近年は、このバケットの付近に、ウインチで伸縮させることができるサブブームを有する高所作業車もある(特許文献1参照)。このサブブームは、変電器を持ち上げる、懸架用の治具を取り付ける(特許文献2参照)、照明用の反射板を固定する(特許文献1参照)といった用途に利用される。
【0004】
このような高所での作業は、夜間に行われる場合もあるが、昼間で行う場合であっても、手元や作業点を明るく照らす必要があり、照明装置を有する場合が多い。
【0005】
夜間での高所作業では、安全性を高めるために、高所にいる作業者や、作業者の近傍を明るくするために、地面に投光器を設置したり、その投光器の光を反射する反射板をバケット上部に配設したりする(特許文献3参照)。
【0006】
また、バケット内部に照明器を配設したプラットフォーム型高所作業装置(特許文献4参照)も提案されている。これは、比較的広いバケット内に大形の照明器を配置することで、作業対象物をより明るく照明することができる。
【特許文献1】実開平04−038844号公報
【特許文献2】実開平06−073081号公報
【特許文献3】実開平02−113203号公報
【特許文献4】特開2004−035224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
照明器が明るくなることで、高所での作業の視認性は高くなった。しかし、夜間の作業では、その照明が明るすぎるという課題が生じた。特に、人家の近所で行う作業では、地面に設置した投光器からの光が大変明るく、快適な睡眠の妨害になる場合があった。
【0008】
一方、特許文献4のようにバケット内に強力な照明器を設けるのは、バケットが大きくなり、それに従って、伸縮ブームおよびその起動装置も大形化するため、高所作業車自体が大形になるという課題が生じた。
【0009】
そこで、照射範囲が限定されるようなスポットライトのような照明器をサブブームに取り付けて利用することが考えられる。しかし、サブブームは、変圧器等の重量物を持ち上げるといった利用法以外にも利用されるため、照明器は速やかに脱着可能であることが望まれる。もちろん、高所での作業に利用するため、落下のおそれがないようにサブブームに強固に連結されることが求められる。また、照射範囲が限定されるとはいえ、業務用のスポットライトは数kgの重量はある。従って、このような照明器を速やかに脱着させるには、脱着が容易であることが必要である。
【0010】
本発明は上記のような課題に鑑み想到されたもので、サブブームに簡単容易でしかも脱着可能に照明器を固定することのできる照明器取り付け装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑み、明るすぎることもなく、また比較的小さなバケットでも利用できる照明機能を実現するためのものである。すなわち、本発明は、比較的小型の照明器具をサブブームに取り付けることの出来る照明器取り付け装置を提供する。
より具体的には、内側面同士を所定の距離で対向し固定させた一対の側板と、前記一対の側板のうち少なくとも一方の側板の外側面に設けた結合部と、前記結合部に結合された照明器保持部とを有し、前記一対の側板は、一方の端に設けられた同軸状の貫通孔と他方の端の外側面に回転軸が垂直に設けられたローラを有する照明器取り付け装置を提供する。
【0012】
また、より詳しくは、本発明の照明器取り付け装置において、前記一対の側板は、固定ロッドで固定されており、前記同軸状の貫通孔から前記ローラ方向における前記固定ロッドと前記同軸状の貫通孔との距離は、取り付けられるサブブーム上面と取り付け用貫通孔との距離と等しい照明器取り付け装置である。
【0013】
また、さらに詳しくは、前記ローラの径の半分は、前記回転軸から前記側板の近接する隅までの距離より大きい照明器取り付け装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の照明器取り付け装置は、所定の距離で対向させ固定した側板に、同軸状の貫通孔を穿設し、この貫通孔とサブブームに穿設された貫通孔を重ねて取り付けピンで連結するようにしたので、照明器を簡単で確実にサブブームに連結することができるという効果を得ることができる。
【0015】
また、側板に穿設された連結用孔の反対側にローラを配設したので、ウインチドラムカバーに照明器取り付け装置を置き、サブブームに固定ロッドが当接するまで押当て、サブブームと照明器取り付け装置を取り付けピンで連結しさえすれば、サブブームを繰り出すだすことで、照明器取り付け装置はウインチドラムカバー上で姿勢を変え、所定の位置に配置させることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1を用いて本発明の照明器取り付け装置の構成を簡単に示す。図1(a)は、正面図であり、図1(b)は側面図を示す。図1(c)は本発明の照明器取り付け装置で取り付けられる照明器100である。
【0017】
本発明の照明器取り付け装置10は、一対の側板21、22と結合部41、42と、ローラ51、52と、照明器保持部61、62を含む。さらに、取り付けピン71を含んでもよい。なお、本発明の照明器取り付け装置には充電型サーチライトの照明器100を取り付けるものとして説明する。しかし、取り付ける照明器はこの照明器に限定されるものではない。
【0018】
一対の側板21、22は、本発明の照明器取り付け装置10の本体11を構成する。形状的に特に限定されるものではないが、長方形若しくは台形を基本とするのが作製が容易である。図1(b)の側板22は、台形を基本として、貫通孔35とローラ52は底辺側に配置されている。それぞれの隅は円弧状の加工が施されている。また、照明器保持部62が結合された結合部42は、側板22のほぼ中央部上部に曲線で形成されたコブ状の部分に配置されている。また、固定ロッド27、28は台形の上辺隅に配置されている。
【0019】
これらの側板は内側面23、24を対向させた状態で、かつ所定の距離25だけ離された状態で固定される。側板同士は、内側面同士が向き合う空間に非干渉部26が形成されるように固定されるのであれば、固定方法に制限はない。図1では、固定ロッド27、28で側板21、22を固定する状態を示す。
【0020】
固定ロッドとは両先端部にネジ溝を切ったロッドである。側板同士は、対応する位置に穿孔される。そしてロッドは穿設された孔にネジ溝を通したうえで側板間に挟まれ、ネジ29、30で固定されることで、側板同士は所定の距離25を保った状態で固定される。
【0021】
ここで、非干渉部26が形成されるとは、側板の端31から固定ロッドまでの距離32が確保されていることを言う。本発明の照明器取り付け装置10は、この距離の長さ分だけサブブームを抱いて固定される。言い換えると、固定ロッドは側板の端31から所定の距離32だけ離れた位置に配設される。ただし、取り付けピン71はこの非干渉部26内に配置される。この取り付けピン71によってサブブームと照明器取り付け装置10は連結されるからである。
【0022】
結合部41、42は、側板21、22の外側面33、34に設けられる。結合部41、42には、照明器保持部61、62が結合される。従って、照明器保持部61は、結合部41を介して側板21、22に連結される。なお、図1では、結合部41、42は、外側面33と34の両側に設けた状態を示しているが、どちらか一方だけでもよい。
【0023】
図1(b)を参照して、結合部41、42は側板21、22の外側面33、34の端31から所定の距離44だけ離れた部分に配設される。この距離44は、照明器保持部62の下半分の長さ64よりも長い。後述するが、側板21、22の端31が、ウインチドラムカバーと面一になるので、取り付け距離44が照明器保持部62の下半分の長さ64より短いと、ウインチドラムカバーに当たるからである。
【0024】
結合部41、42は内部に回転可能な連結軸を有しており、照明器保持部61、62は符号46で示す方向に回転することができる。一方、結合部41、42にはブレーキ手段も設けられている。ブレーキ手段とは、結合された照明器具保持部61、62の連結軸の回転を妨げる力を常に働かせることのできる仕組みを指す。従って、照明器保持部61、62は結合部41、42を回転軸として回転することができるだけでなく、回転の途中の任意の角度で照明器保持部を保持しておくことができる。
【0025】
結合部41、42には、照明器保持部61、62が結合される。照明器保持部61、62は照明器100を固定する。照明器保持部61、62の形状は特に限定されるものではないが、軽量で照明器100を確実に固定できるという観点から、バンド状の金具が好適に利用できる。なお、結合部の詳細は図4を用いて、また照明器保持部の詳細は図5を用いてそれぞれ後述する。
【0026】
側板21、22には、一方の端に同軸状の貫通孔35、36が設けられる。同軸状の貫通孔とは、側板21の外側面33から内側面23を通過し、側板22の内側面24から外側面34に抜ける孔であって、それらの孔の中心が側板22、23の内側面上の共通の基準点から見て同じ位置にあるものをいう。例えば固定ロッド27を基準点と見て、貫通効35、36の中心は同じ位置にある。
【0027】
言い換えると、側板22、23の内側面に垂直に穿設された貫通孔同志であって、その中心が一致する孔同士である。それぞれの孔の径は異なっていても良いが、同じであることが望ましい。
【0028】
この孔はサブブームに設けられた固定用の孔と重ねられ、これらの孔に取り付けピン71を差し込むことで、サブブームと照明器取り付け装置10は枢動可能に連結される。すなわち、貫通孔35、36は照明器取り付け装置をサブブームに連結する連結用孔と呼んでもよい。また、取り付けピン71は、サブブーム上で照明器取り付け装置10が枢動する際の枢軸となる。
【0029】
従って、これらの連結用孔35、36は、側板21、22の非干渉部26に配設される。この連結用孔の配設位置は、サブブームに穿設された貫通孔の位置に依存する。すなわち、固定ロッド27、28から連結用孔35、36までの距離は、サブブームの貫通孔の配設位置に等しくなるように設けなければならない。
【0030】
図1(b)と(d)を参照して、さらに詳しく説明する。図1(d)はサブブーム102を示す。サブブームの詳細は図2で説明する。サブブームの先端には滑車103が配置されている。サブブーム102には照明器取り付け装置を取り付けるための貫通孔112が穿設されている。
【0031】
本発明の照明器取り付け装置は、サブブームに容易に取り付けることができるようにするために、取り付けピン71が挿入される連結用孔35、36と固定ロッド27との間の距離81と、サブブーム上面105から取り付け用貫通孔112までの距離106を等しくする。なお、この距離81は、連結用孔からローラに向かう方向での距離とよぶ。これに対して距離82は、連結用孔から固定ロッドへ向かう方向の距離と呼ぶ。
【0032】
このようにすることで、サブブームの上面105に対して垂直方向から照明器取り付け装置を連結することができる。このようにすることで、サブブームに隣接するウインチドラムカバーを利用して照明器取り付け装置を容易にサブブームに連結させることができる。
【0033】
なお、連結用孔35、36と固定ロッド27の縦方向の距離82も、サブブーム上面105から取り付け用貫通孔112までの距離106と同じであれば好適であるが、少なくとも、長さ82の方が長いことが望ましい。また、連結用孔の穿設位置は、照明器と干渉しない場所であることも必要である。
【0034】
側板21、22にはまた、貫通孔と反対の端に同軸状のローラ51、52が配設される。同軸状のローラとは、ローラの回転軸の中心軸が側板22、23の内側面上の共通の基準点から見て同じ位置にあるものをいう。例えば固定ロッド27を基準点と見て、ローラ51、52の回転軸は同じ位置にある。このローラは後述するようにサブブームの伸縮によって、ウインチドラムカバー上を転がり、照明器取り付け装置10のサブブームへの連結を容易にする。
【0035】
次に本発明の照明器取り付け装置の利用形態を説明する。
【0036】
図2は、本発明の照明器取り付け装置10がサブブーム102に取り付けられた状態を示す。図2(a)は、ウインチドラムカバーを側面から見た図であり、図2(b)は上方から見た図である。また、図2(c)乃至(g)は、サブブームが繰り出される過程を示す。
【0037】
図2(a)、(b)を参照して、サブブーム102は、先端に滑車103が設けられたアームである。サブブーム102は、高所作業車のバケット104に取り付けられたウインチによってウインチドラムカバー105からの繰り出し長さLLを変えることが出来る。
【0038】
このサブブーム102は、ウインチカバー107から所定長繰り出されたところで、固定され、ウインチと滑車を用いて地上からの荷物を吊り上げたり、サブブーム102に取り付けられた照明器で作業場所を照明するという用途に使われる。
【0039】
サブブーム102には、固定する際に利用する貫通孔がいくつか穿設されており、照明器取り付け装置10は、この貫通孔と連結用孔に取り付けピンを貫通させることで連結する。図1(d)で示したように、取り付け用に用いるサブブームの貫通孔を符号112で表す。
【0040】
次にこのサブブームに照明器取り付け装置を連結する際の手順を説明する。まず、ウインチドラムカバー107の上に照明器取り付け装置10を、側板の内側面の間にサブブームを挟むように配置する。この時、固定ロッド27がサブブーム上面105に当接するまで、照明器取り付け装置10をサブブームに近づける。
【0041】
固定ロッド27がサブブームの上面に当接すると、連結用孔35、36は、サブブームの取り付け用貫通孔112に重なるので、取り付けピン71を挿入し、照明器取り付け装置とサブブームを連結する。固定ロッド27から連結用孔35、36までの距離81とサブブーム上面105から取り付け用貫通孔112までの距離106を同じにしておいたからである。図2(a)、(b)はこの状態を示している。
【0042】
なお、この際に取り付けピンの直径より貫通孔の内径を大きくしておくことで、サブブームに対して照明器取り付け装置は、枢動可動状態で連結させることができる。
【0043】
図2(c)乃至(g)は、サブブーム102が繰り出される際の照明器取り付け装置の姿勢の変化を示す。サブブーム102が繰り出されるに従い、貫通孔35、36の反対の端に配設されたローラ51、52がウインチドラムカバー107上を滑らかに走行し、所定の位置図2(f)に配置される。この状態で、照明器取り付け装置はサブブームに連結されている。しかも、取り付けピンが、サブブームの貫通孔と照明器取り付け装置の側板に穿設された連結用孔を貫通しているので、照明器取り付け装置がサブブームから落下することはない。
【0044】
使用者は、格納状態(図2(a))からサブブーム上に姿勢を変えた状態(図2(f))までの間に、照明器100を点灯させ、照明器100の角度を調整し、サブブームを所望長LLだけ繰り出す(図2(g))。そして、ウインチの角度θを調整することで、所望の位置を照明器100で照らすことができる。
【0045】
次に照明器取り付け装置の各構成要素の詳細な説明を行う。
【0046】
図3に、サブブーム102と照明器取り付け装置10を連結する取り付けピン71を示す。図3(a)は、照明器取り付け装置10によって照明器100がサブブームに連結されている状態を上方から見た図である。また図3(b)は側方から見た図である。
【0047】
照明器取り付け装置10はサブブーム102に穿設された固定用孔112に連結される。サブブーム102はウインチでウインチドラムカバー107から繰り出したり、繰り入れられる。従って、所定の繰り出し長さの状態でウインチに固定する必要がある。そこで、サブブーム上にはこのような固定用孔が予め穿設されている。もちろん、本発明の照明器取り付け装置を連結するために別途穿設された貫通孔を利用してもよい。
【0048】
図3(c)は、サブブームに照明器取り付け装置の本体である側板が、取り付けピンで連結されている状態を拡大した断面図を示す。本体側板の内側面は所定間隔25だけ離れて対向されているが、その幅は、サブブームの幅113より長い必要がある。対向した内側面の間にサブブームが抱かれるからである。
【0049】
取り付けピン71は、一方の先端が90度倒れた状態で固定することができる。そのため、側板の貫通孔とサブブームの貫通孔を重ねた孔に取り付けピンを挿入し、先端を倒すことで、側板とサブブームを連結することができる。
【0050】
図4(a)に、連結部41の詳細な構成を示す。連結部41は、側板に溶接されたブレーキケース141とブレーキ軸142を有する支持金具143から構成される。ブレーキケース141はブレーキケース141の内径より小さい孔のあいた仕切り144を有する筒状である。ブレーキケースが溶接された側板側は貫通孔145が穿設されている。ナットを止めるためである。
【0051】
支持金具143のブレーキ軸142は、ブレーキケース141の外側面34側から、スラスト軌道輪145、皿バネ146、スラスト軌道輪147を貫いて、仕切り144に差し込まれる。そして、内側面側からスラスト軌道輪148、スラストベアリング149、スラスト軌道輪150を挟んでロック付きナット151で固定される。
【0052】
ここで、皿バネ146は、反りの方向が異なるものを相対向させて配置させることで、仕切りの外鍔面154と、ブレーキ軸の根元面152との間に、定常的に反発力を生じさせる。この反発力で、支持金具は回転方向にブレーキがかかり、所望の角度で止めることができる。
【0053】
図4(b)および(c)には、支持金具141の先には照明器保持部61が連結される状態を示す。なお、照明器100は点線で示した。
【0054】
図5に照明器保持部61の詳細を示す。照明器100は、小型とはいえ、数kgの重量がある。また、作業環境が屋外であり、風や木や電線、電信柱と言った異物との接触があり得る。そのため、照明器を強固に固定する必要がある。
【0055】
図5(a)を参照して、半円状のバンド部材161、162で照明器を挟持し、ネジ164、165で固定する照明器保持部61を示す。図5(b)は本体11の半分を上方から見た図である。このバンド部材161、162の幅166は、照明器100の本体溝の幅99より短く作製される。そして、バンド部材161、162を照明器の本体溝に嵌合させ、ボルト163、164で係止することで、照明器100を保持する。
【0056】
また、図5(c)を参照して、照明器保持部には、液密の延長スイッチ168と充電口の防水フタ169を設けることができる。これらは、作業環境が屋外であるため、雨水や湿気の影響から照明器を保護するために設けられるものである。
【0057】
図6に延長スイッチ168と充電口防止フタ169の詳細を示す。照明器保持部にネジ止めしたアーム170、171に延長スイッチ168と充電口防水フタ169は固定される。延長スイッチ168は、両端が開放された筒状のシリンダ201とピストン202から構成されている。シリンダ201の一方の先端にはOリング203が配設される。またピストンの先端にもOリング204が設けられており、シリンダの内壁との間で液密を確保する。
【0058】
Oリングが配設されたシリンダ201は、照明器100のスイッチ98を覆い、Oリングと照明器のスイッチ周辺の平面部97との間で液密を確保する。この2箇所の液密が確保されることで、照明器のスイッチ98の部分は防水される。
【0059】
ピストン202の反対側からピストンを押すとシリンダ内でピストンが照明器のスイッチ98を押し、照明器は点灯する。図では、ピストンの押し部にはゴム205を配設した状態を示す。
【0060】
スイッチの反対側にある充電口96にも防水のためのフタ169を設ける。防水フタは底部にOリング206を配設した袋ナットである。照明器保持部に固定されたアーム171に固定された六角ナット210がこの袋ナットを締め付けることで、充電口の液密を確保することができる。
【0061】
図6(b)を参照して、充電口防水フタ169は、充電時には取り外し、充電アダプタを差し込んで照明器を充電する。このように充電口防水フタ169を取り外し可能な構成にしたので、照明器を照明器取り付け装置10に装着したままで充電することができる。
【0062】
なお、ここでは、照明器には、ノック式のスイッチと、スイッチの反対側に設けられた充電口96を有するものとして、説明を行ったが、照明器のスイッチの位置や形状と充電口の位置や有無に関しては、特に制限されるものではない。従って、利用する照明器に適用するように、延長スイッチや充電口のフタは形状や位置を変化させてもよい。
【0063】
図7を参照して、ローラ51、52の詳細を説明する。
【0064】
図7(a)を参照して、ローラ51、52は、側板21、22に溶接されたハウジング221、222と、ハウジングに挿入された回転軸223、224と、回転軸の周りを回転するローラ225、226から構成される。ハウジングは絞りの部分227、228で内径が異なる筒状部材である。内径が大きい方を側板の外側面に溶接する。ただし、ハウジングと側板上でハウジングの内径を重なる部分は貫通孔231、232が形成される。
【0065】
回転軸223、224はそれぞれ側板21、22の外側面33、34に設けられるが、それぞれの軸の中心は一致させるのが望ましい。回転軸の中心が同じであれば、同一の径のローラを利用することができるからである。
【0066】
また、回転軸223、224は側板21、22の外側面33、34に垂直に設けられるのが望ましい。回転軸が垂直でないと、図2のようにウインチドラムカバーの上を滑らかに移動できないからである。
【0067】
回転軸には、先頭にウレタンが付いたボルト233、234が、内側面23、24側から座金235、皿バネ236、座金237を貫き挿入される。ボルトのウレタン部分243、244はハウジング221、222内に挿入される。回転軸は外側面33、34側からハウジングに挿入され、ボルト233、234で固定される。この回転軸の周囲には固体潤滑剤を埋設した無給油ブシュと呼ばれる筒状のすべり軸受け247、248が配設され、その外側にローラ51、52が配置される。回転軸の先端にはローラ止め251、252が施される。
【0068】
以上の構成により、ローラ51、52は無給油ブシュ247、248によって回転軸223、224の周囲を回転することができる。また、先頭にウレタンが付いたボルト233、234は、座金235、237と皿バネ236によってブレーキがかかる。従ってボルトの緩みは防止される。
【0069】
また、図7(b)を参照して、ローラ止め251、252を回転させるとハウジングの内径に設けられたネジ山253、254に沿って回転軸が内側面22、23側に突出する。すなわち、照明器取り付け装置をサブブームに取り付けた状態で、ローラ止めを回転させると、ボルトの先頭のウレタンがサブブームを押すので、照明器取り付け装置をサブブームに固定することができる。
【0070】
これは、サブブームを繰り戻して、照明器取り付け装置を収納する必要がない場合に、好適に利用できる固定態様である。
【0071】
図7(c)には、サブブーム102に照明器取り付け装置を使って照明器を連結した態様を上方から見た図を示す。ローラに近いロッドは、サブブームが繰り出される際にサブブーム表面に当接するので、衝撃吸収用の緩衝材255を巻きつけておいても良い。具体的にはウレタンカラーなどが好適に用いることができる。
【0072】
図8には、側板22とローラ52及び回転軸224の関係を模式的に示す。側板23、ローラ51、回転軸223等は記載を省略した。図2の説明のように、ローラ52はウインチドラムカバー上を走行する。また、サブブームの繰り出しによって符号22´のように姿勢を変化させる。従って回転軸224は、側板22のローラが配設されている側の隅280が、ローラ52の径より内側にくるように設けなければならない。隅280がローラ52の径より大きいと、姿勢を変化させる過程で、サブブーム上面105に当接してしまうからである。なお、この隅280は、回転軸に近接する隅とも言う。
【0073】
なお、本実施の形態の説明では、本体11は2つの平板を対向させ、ロッドで固定した場合について説明を行ったが、内側面23、24が平面であれば、外側面33、34は平面でなくてもよい。また、これら2つの内側面23、24を形成するのに、ロッドでの固定に限定されるものではなく、内側面23、24を有する本体11を一体形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、サブブームを装備した高所作業車に好適に利用できるだけでなく、取り付け用に利用できる貫通孔を有する柱や梁に照明器を固定する場合にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の照明器取り付け装置の構成を示す図である。
【図2】サブブームに照明器を取り付けて使用する形態を示す図である。
【図3】本体をサブブームに連結する対応を示す図である。
【図4】結合部の詳細な構成を示す図である。
【図5】照明器保持部の詳細を示す図である。
【図6】照明器保持部の延長スイッチと充電口のフタを示す図である。
【図7】本体に設けられたローラを示す図である。
【図8】ローラの回転軸の配置位置を説明する図である。
【符号の説明】
【0076】
10 照明器取り付け装置
11 本体
21、22 側板
23、24 内側面
25 内側面間の距離
26 溝部
41,42 結合部
51、52 ローラ
61、62 照明器保持部
71 取り付けピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側面同士を所定の距離で対向し固定させた一対の側板と、
前記一対の側板のうち少なくとも一方の側板の外側面に設けた結合部と、
前記結合部に結合された照明器保持部とを有し、
前記一対の側板は、
一方の端に設けられた同軸状の連結用孔と
他方の端の外側面に回転軸が垂直に設けられたローラを有する照明器取り付け装置。
【請求項2】
前記一対の側板は、固定ロッドで固定されており、前記同軸状の連結用孔から前記ローラ方向における前記固定ロッドと前記同軸状の連結用孔との距離は、取り付けられるサブブーム上面と取り付け用貫通孔との距離と等しい請求項1に記載された照明器取り付け装置。
【請求項3】
前記ローラの径の半分は、前記回転軸から前記側板の近接する隅までの距離より大きい請求項1または2の何れかの請求項に記載された照明器取り付け装置。
【請求項4】
前記結合部は、
前記側板に接合され、仕切りを有するブレーキケースと
前記側板の外側面側から前記ブレーキケースに挿入され、前記仕切りから前記側板の内側面側でナット止めされたブレーキ軸を有する支持金具と、
前記支持金具と前記前記仕切りの間に配置された、スラスト軌道輪と皿バネと軌道輪と、
前記仕切りと前記ナットの間に配置されたスラスト軌道輪と、スラストベアリングと、スラスト軌道輪からなるブレーキ手段を有する請求項1乃至3に記載された照明器取り付け装置。
【請求項5】
前記照明器保持部には、Oリングと、シリンダと前記シリンダの内面に接するOリングを有するピストンからなる液密の延長スイッチが設けられた請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載された照明器取り付け装置。
【請求項6】
前記ローラの軸には、前記側板の前記外側面から前記内側面に向かい、前記内側面から突き出るネジを有する請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載された照明器取り付け装置。
【請求項7】
前記ネジの頭部はウレタン製である請求項6に記載された照明器取り付け装置。
【請求項8】
取り付けピンを有する請求項1乃至7の何れかの請求項に記載された照明器取り付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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