説明

照明装置、露光装置、露光方法、およびデバイス製造方法

【課題】照明対象を照明する照明光を均一な照度に調整できるようにして、高品質な照明を実現すること。
【解決手段】照明光出射ユニット11と、照明光導光ユニット31と、を備える照明装置10であって、照明光導光ユニットは、ロッドインテグレータ32が照明光を入射されるように配置されており、照明光出射ユニットは、複数本の照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2をロッドインテグレータ32に入射して照明領域の全体を照明するとともに、調整用分岐レーザ光Ls1をロッドインテグレータ32に入射して照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2による照明領域の一部を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の照明領域を照明する照明技術、露光技術、及びこの露光技術を用いるデバイス製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や液晶表示素子等を製造する際に利用されるフォトリソグラフィ技術では、マスク(レチクル又はフォトマスク等)に形成されたパターンをレジスト等の感光性材料が塗布された基板に投影し、基板上に微細なパターンを形成するために、マスクに対して設定される所定の照明領域をほぼ均一な照度で照明することが求められている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−337462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなフォトリソグラフィ技術では、基板上に形成するパターンの更なる微細化または高精度化の要求に伴い、マスクを照明する照明光の照度均一性の向上が必要となる。
【0005】
そこで、本発明の態様は、所定の照明領域を照明する照明光の照度均一性を向上できる照明装置、露光装置、露光方法、およびデバイス製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、互いに対向する側面対を有し、該側面対間で反射した光を出射するロッドインテグレータと、該ロッドインテグレータから出射した光を所定の照明領域に照射する導光光学系とを備える照明装置であって、前記照明領域の全体を照明するように第1の光を前記ロッドインテグレータに入射させる第1入射部と、前記第1の光によって照明される前記照明領域の一部を照明するように第2の光を前記ロッドインテグレータに入射させる第2入射部と、を備える照明装置が提供される。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、マスクに形成されたパターンを介した光を基板に照射して該基板を露光する露光装置であって、前記パターンを照明する上記の本発明の一態様にかかる照明装置を備えたことを特徴とする露光装置が提供される。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、マスクに形成されたパターンを介した光を基板に照射して該基板を露光する露光方法であって、上記の本発明の一態様にかかる照明装置を用いて前記パターンを照明することを含む露光方法が提供される。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、基板に電子デバイスを形成するデバイス製造方法であって、上記の本発明の一態様にかかる露光方法を用いて前記基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、所定の照明領域を照明する照明光の照度均一性を向上できる照明装置、露光装置、露光方法、およびデバイス製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る露光装置を示す図であり、その概略全体構成を示す斜視図である。
【図2】照明光学系と投影光学系の一部の構成を示す立面図である。
【図3】マスクの構成を示す平面図である。
【図4】照明光学系の一部による視野と投影光学系の一部による像野の関係を示す平面図である。
【図5】照明光の調整を説明する光学系の配置図である。
【図6】照明光学系の一系統毎の照明装置における照明光出射ユニットの光分岐部の構成を示す構成図である。
【図7】照明光学系の一系統毎の照明装置における照明光出射ユニットと照明光導光ユニットの一部構成を示す図であり、(a)はその一方向から見た正面図、(b)はその一方向に対する直交方向から見た側面図である。
【図8】要部構成を示す拡大図である。
【図9】(a)は照明光出射ユニットと照明光導光ユニットの一部構成を示す平面図であり、(b)は照明光のロッドインテグレータの幅方向における照度分布を示すグラフである。
【図10】効果を説明するグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態に係る露光装置を示す図であり、その照明光学系の一系統毎の照明装置における照明光出射ユニットの光分岐部の構成を示す構成図である。
【図12】(a)は照明光出射ユニットと照明光導光ユニットの一部構成を示す平面図であり、(b)は照明光のロッドインテグレータの幅方向における照度分布を示すグラフである。
【図13】第1、第2実施形態の変形例に係る露光装置における照明光学系と投影光学系の一部の構成を示す立面図である。
【図14】本発明の実施形態に係るデバイス製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図10は本発明の第1実施形態に係る露光装置を示す図である。
【0013】
図1において、露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型の投影露光装置であり、照明光をマスクMのパターン(照明対象)に照射して照明する照明装置IUと、マスクMを保持して移動するマスクステージ(不図示)と、マスクMのパターンの拡大像をプレートP(露光対象)上に投影する複数の反射屈折型の投影光学系PL1〜PL7を含む投影光学装置PLと、プレートPを保持して移動するプレートステージ(不図示)と、マスクステージおよびプレートステージを駆動するリニアモータ等を含む駆動機構(不図示)と、この駆動機構等の動作を統括的に制御する主制御系(不図示)と、を備えている。
【0014】
露光装置100は、図示することは割愛するが、マスクホルダを介してマスクステージ上にマスクMが吸着保持されており、マスクステージの位置はマスク側のレーザ干渉計によって計測されている。また、プレートPは、プレートホルダを介して移動鏡150を備えるプレートステージ上に吸着保持されており、移動鏡150を介してプレートステージの位置がプレート側のレーザ干渉計によって計測されている。このマスク側およびプレート側のレーザ干渉計の計測値に基づいて、主制御系(不図示)が駆動機構を介してマスクステージ(マスクM)およびプレートステージ(プレートP)の位置、姿勢および速度等を制御する。ここで、本実施形態のプレートPは、一例として、液晶表示パネル(電子デバイス)製造用のフォトレジスト(感光材料)が塗布された1.9×2.2m角、2.2×2.4m角、2.4×2.8m角、または2.8×3.2m角等の矩形の平板状のガラスプレートであり、他の一例としては、一辺の長さ又は対角長が500mmより大きいガラスプレートである。なお、プレートPとしては、薄膜磁気ヘッド製造用のセラミックス基板または半導体素子製造用の円形の半導体ウェハ等も適用可能である。
【0015】
なお、この露光装置100の説明においては、図1中に設定したXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。このXYZ直交座標系は、X軸およびY軸がプレートPに対して平行となるように設定されており、Z軸がプレートPに対して直交する方向に設定されている。また、図1中のXYZ座標系は、一例として、XY平面が水平面に対して平行に設定されて、Z軸が鉛直方向に設定されている。この実施形態では、マスクMおよびプレートPを同期させて移動させる方向(走査方向)をX方向に設定している。
【0016】
また、露光装置100は、照明装置IUの各部分照明光学系IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7毎に照明光をマスクM上の対応する照明領域に照射して均一に照明する。なお、図1では、部分照明光学系IL2、IL4は、部分照明光学系IL1、IL3、IL5、IL7の背面側に位置しており、その位置関係のみ矢印により指し示している。
【0017】
投影光学装置PLの投影光学系PL1、PL2、PL3、PL4、PL5、PL6、PL7は、照明装置IUの部分照明光学系IL1〜IL7によってそれぞれ照明されるマスクMのパターンの一部の像、すなわち、マスクM上に形成される複数の照明領域内のパターンの像を、プレートP上にそれぞれ投影し、プレートPの上面(露光面、感光面)上に結像する。
【0018】
走査方向に直交する非走査方向(Y方向)に沿って並ぶ第1列の部分照明光学系IL1、IL3、IL5、IL7に対応する同第1列の投影光学系PL1、PL3、PL5、PL7は、それぞれマスクMのパターン面が配置される面(第1面)上の非走査方向に沿った視野V1、V3、V5、V7を持ち、プレートPの上面が配置される面(第2面)上の非走査方向に沿って所定間隔で配列された像野(投影領域)I1、I3、I5、I7にマスクMのパターンの像をそれぞれ形成する。同様に、非走査方向に沿って並ぶ第2列の部分照明光学系IL2、IL4、IL6に対応する同第2列の投影光学系PL2、PL4、PL6は、それぞれ第1面上の非走査方向に沿った視野V2、V4、V6を持ち、第2面上の非走査方向に沿って所定間隔で配列された像野(投影領域)I2、I4、I6(I2、I4は不図示)にマスクMのパターンの像をそれぞれ形成する。この第1列の投影光学系と第2列の投影光学系との間には、プレートPの位置合わせを行うために用いる計測系としてのオフアクシスのアライメント系152と、マスクMおよびプレートPのフォーカス位置(Z方向の位置)を合わせるために用いる計測系としてのオートフォーカス系154とが配置されている。
【0019】
投影光学装置PLの投影光学系PL1〜PL7は、マスクMとプレートPとの間に配置されて、後述する照明装置IUの部分照明光学系IL1〜IL7により均一に照明されるマスクM上のそれぞれの視野(ここでは照明領域に等しい)内の拡大像である一次像をプレートP上の像野内に形成する反射屈折型の投影光学系である。
【0020】
投影光学系PL1を一例にして詳細に説明すると、図2に示すように、この投影光学系PL1は、マスクMとプレートPとの間の光路中に配置される凹面反射鏡CCMと、マスクMと凹面反射鏡CCMとの間の光路中に配置されたZ軸に平行な光軸AX11を持つ第1レンズ群G1と、第1レンズ群G1と凹面反射鏡CCMとの間の光路中に配置される第2レンズ群G2と、第2レンズ群G2とプレートPとの間の光路中に配置されて、第2レンズ群G2から+Z方向に進行する光を−X方向に偏向させて光軸AX11を横切る光軸AX12に沿わせる第1偏向部材FM1と、第1偏向部材FM1とプレートPとの間の光路中に配置されて、第1偏向部材FM1から−X方向に進行する光を−Z方向に偏向させる第2偏向部材FM2と、第2偏向部材FM2とプレートPとの間の光路中に配置されて、第1レンズ群G1の光軸AX11と平行な光軸AX13を有する第3レンズ群G3と、を備えている。第2レンズ群G2および凹面反射鏡CCMの光軸は、第1レンズ群G1の光軸AX11と共通である。すなわち、投影光学系PL1は、凹面反射鏡CCMを用いた軸外れ光学系であり、第1、第2レンズ群G1、G2を通過したマスクMを介する光は、その凹面反射鏡CCMで再度反射した後に、第1、第2偏向部材FM1、FM2を介して第3レンズ群G3を介してプレートP上に、マスクMの視野V1を投影して像野I1に像を形成する。なお、凹面反射鏡CCMと第2レンズ群G2との間の光路中の凹面反射鏡CCMの反射面の近傍には、投影光学系PL1のプレートP側の開口数を決定するための開口絞りASが備えられており、開口絞りASは、マスクM側およびプレートP側が略テレセントリックとなるように位置決めされている。この開口絞りASの位置は投影光学系PL1の瞳面とみなすことができる。
【0021】
また、投影光学系PL1は、凹面反射鏡CCMを用いた軸外れ光学系による有効な結像光束として、第1、第3レンズ群G1、G3の各レンズでは光軸AX11、AX13に対して−X方向側の半面内を通過するようになっており、このために、より大型のレンズから構成される第3レンズ群G3の各レンズでは、結像光束が通過しない部分である光軸AX13から+X方向側の半分を切断している。
【0022】
ところで、露光装置100にセットされるマスクMは、図3に示すように、非走査方向(Y方向)に沿って配置されて、図1の投影光学系PL1〜PL7の台形状(円弧状、または端部が三角形状等でもよい、以下同様)の視野V1〜V7が位置決めされる7列の列パターン部M10〜M16を備えている。視野V1〜V7が台形状であるのは、継ぎ誤差を低減するために、視野V1〜V7の両端部に対応するパターンの像をプレートP上に重ねて露光するためであり、そのために、列パターン部M10〜M16の両端部には交互に同じパターンが形成されている。ここで、交互に同じパターンが形成されるのは、投影光学系PL1〜PL7の結像特性として、走査方向(X方向)に関しては正立像が結像され、非走査方向(Y方向)に関しては倒立像が結像されるからである。ただし、Y方向の両端部の視野V1、V7の内側のエッジ部の像は重ねては露光されない部分であるため(非走査方向には倒立像となるため)、視野V1、V7のY方向の一方の端部は、X軸に平行な直線状となっている。なお、マスクM上の視野V1、V2等を規定するために、一例として、後述の照明視野絞り(図2では不図示)およびリレー光学系(導光光学系)33が配置されている。
【0023】
図4は、第1列の投影光学系PL1、PL3のマスクM上の視野V1、V3およびプレートP上の像野(投影領域)I1、I3と、第2列の投影光学系PL2のマスクM上の視野V2およびプレートP上の像野I2の関係を示す平面図である。投影光学系PL1〜PL3は、視野V1、V2、V3内のパターンをX方向に正立で、Y方向に倒立で拡大した像を像野I1、I2、I3内に形成する。視野V1および像野I1は、それぞれ光軸AX11、AX13から−X方向に外れており、視野V2および像野I2は、それぞれ光軸AX21、AX23から+X方向に外れている。このため、第3レンズ群G3を構成するレンズの形状を凹面反射鏡CCM側の半分を切り落とした回転非対称にしても、像野I1、I2に向かう結像光束にケラレが生じない。
【0024】
また、第1列の視野V1、V3等の中心VC1等を結ぶY軸に平行な直線と、第2列の視野V2等の中心VC2等を結ぶY軸に平行な直線とのX方向(走査方向)の間隔をLnとし、同様に、第1列の像野I1、I3等の中心IC1等を結ぶY軸に平行な直線と、第2列の像野I2等の中心IC2等を結ぶY軸に平行な直線とのX方向の間隔をLpとし、各投影光学系PL1,PL2,PL3の投影倍率をβとすると、間隔LnとLpとの間には式(A)の関係が成立する。
Lp=Ln×|β| ・・・(A)
【0025】
これにより、露光装置100では、図3に示すように、第1列の投影光学系用の列パターン部M10、M12等と、第2列の投影光学系用の列パターン部M11、M13等とをX方向の同じ位置に形成して、マスクオフセットMOを0にしておいても、その投影像をプレートP上で正確に繋ぎ合わせて露光できる。
【0026】
ただし、間隔Lnと間隔Lpとが以下の式(B)の関係を満足する場合、以下の式(C)で求められるマスクオフセットMOの分だけ、図3の2点鎖線の位置21A〜21Cで示すように、第1列の視野V1、V3等用の列パターン部M10、M12等と、第2列の視野V2、V4等用の列パターン部M11、M13等との間にX方向のオフセットを設ける必要がある。
Lp<Ln×|β| ・・・(B)
MO=Ln−Lp/|β| ・・・(C)
【0027】
したがって、この露光装置100では、走査露光時に、マスクMのパターンをプレートP上に投影露光した状態で、例えば、マスクMを矢印SM1(図2参照)で示す+X方向に速度VMで移動するのに同期して、プレートPが矢印SP1で示す+X方向に速度VM×|β|で移動することになる。これによって、図3のマスクMの列パターン部M10〜M16の拡大倍率βの像を繋ぎ合わせたパターンがプレートP上に露光される。なお、マスクMおよびプレートPを−X方向に走査することも可能である。
【0028】
照明装置IUは、各部分照明光学系IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7毎に、図5〜図7に示すようにレーザ光Lbを出射するレーザ光源10と、このレーザ光源10が出射するレーザ光Lbを分岐レーザ光Lm、Lsに分岐させて所定位置に出射する照明光出射ユニット11と、この照明光出射ユニット11が出射する分岐レーザ光Lm、Lsを受け取って均一な照度の照明光Lに調整しつつ照射位置まで導光しマスクM(照明対象)に照射する照明光導光ユニット31と、をそれぞれ備えて構築されている。なお、本実施形態で照明光Lで照明する照明領域は、一方向(Y方向)に長尺な形状に設定されており、これに対応するように、後述するロッドインテグレータ32の出射端面32bが一方向(Y方向)に長尺な矩形形状に形成されている。レーザ光源10、照明光出射ユニット11および照明光導光ユニット31は、その照明領域および出射端面32bの少なくとも長手方向における照明光の照度が均一になるように構成されている。
【0029】
なお、図6に示す照明光出射ユニット11は、レーザ光源10が出射するレーザ光Lbを不図示の光ファイバで導光した後に後述の光分岐部12に入射するようにしてもよい。
【0030】
ここで、一般的な照明装置としては、レーザ光のビーム内における強度分布が存在するとともに、光ファイバやレンズ等の光学部品の組立誤差に加えて、その光学部品の透過率のムラなどが要因となって照明領域や露光視野内の光量分布に照度ムラ(光量分布の不均一)が出現する場合がある。露光装置100では、プレートPにおける均一な露光処理を保証する必要があることから、光学部品の組立誤差や透過率分布等の影響も考慮してマスクMやプレートPにおける照度分布が均一になるように調整する必要がある。
【0031】
このため、例えば、図5に示すように、照明光導光ユニット31では、照明光出射ユニット11から分岐レーザ光Lmをロッドインテグレータ32に入射して照明対象に照明光Lとして照射する際の照明光Lの光学的特性を適切に調整するための機構を備えており、この調整機構により照明領域内におけるテレセントリシティや照度ムラ(光量の不均一)を必要な品質内になるように調整可能としている。なお、図5において、インプットレンズ群16の第1、第2レンズ16a、16bは、後述する光ファイバ13、14の出射口13b、14bとロッドインテグレータ32の入射端面32aとがほぼ共役となるように配置されており(図7(a)参照)、その倍率は一例として0.5倍に設定されている。また、ロッドインテグレータ32の出射端面32bの近傍には、マスクMの視野V1〜V7に応じた視野絞り41(図7参照)が配置されており、リレー光学系33によって視野絞り41の像が一例として2倍の投影倍率でマスクM上に結像するように設定されている。
【0032】
リレー光学系33は、ロッドインテグレータ32とマスクMとの間に、照明リレーレンズ42およびコンデンサレンズ43と、照明リレーレンズ42の下流側に配置される光学素子の平行平面板44a,44bと、照明リレーレンズ42の上流側に配置される補正レンズ45と、コンデンサレンズ43の下流側に配置される補正フィルタ46と、が備えられている。平行平面板44aは、リレー光学系33の光軸に対してY軸回りに傾斜角が調整され、平行平面板44bは、リレー光学系33の光軸に対してX軸回りに傾斜角が調整され、それぞれ照明光Lのコンデンサレンズ43への入射位置をシフトさせることにより、マスクMに対する照明光Lの傾斜テレセントリシティを調整する。ここで、傾斜テレセントリシティとは、視野内で同じ傾斜を有するテレセントリシティの成分である。補正レンズ45は、適宜交換されることにより、照明光Lの光軸対称のテレセントリシティを調整する。補正フィルタ46は、光軸周りに回転されることにより、光軸を含む断面内で2次関数に従うような、所謂、2次照度ムラを調整する。また、光軸を含む断面内で1次関数に従うような、所謂、1次照度ムラが出現した場合には、インプットレンズ群16の第1、第2レンズ16a、16bのロッドインテグレータ32の入射端面32aに対する組付位置や姿勢を調整して偏心させることにより、その1次照度ムラを調整する。なお、このインプットレンズ群16の第1、第2レンズ16a、16bは、後述する第3レンズ16cと同様の調整機構に支持させて偏心の程度を容易に調整可能にしてもよい。
【0033】
一方、照明光出射ユニット11では、後述するように、レーザ光Lmを、光ファイバ13,14を介してロッドインテグレータ32に導入している。また、照明光導光ユニット31では、ロッドインテグレータ32がマスクMの視野V1〜V7の形状(図3を参照)に対応して厚板形状に形成されていることから、入射端面32aから入射されるレーザ光Lmの光束は、大対向面32c間では複数回の全反射が繰り返されて厚さ方向(X方向)には均一な光量の照明光Lに調整されるものの、小対向面32d間では十分な全反射が繰り返されないために、幅方向(Y方向)には光ファイバ13,14の影響による照度ムラが残ってしまう場合がある。このために、例えば、図9(b)に示すように、ロッドインテグレータ32の幅方向に照度ムラ(照度の窪み)LIが局所的に出現してしまう場合がある。
【0034】
この図9(b)に示すような規則性のない照度ムラLIは、上述の平行平面板44a,44b、補正レンズ45および補正フィルタ46などだけでは、十分に均一な照度に調整することが難しい。また、光軸を含む断面内で4次関数に従うような、所謂、4次照度ムラが発生する場合にも、上記の調整機構では十分に均一な照度に調整することが難しい。なお、その4次照度ムラが発生する場合の調整機構は、後述する第2実施形態において説明し、本実施形態では、図9(b)に示す局所的に光量の足りない照度ムラLIを解消して均一な照度に調整する調整機構を説明する。
【0035】
本実施形態では、図9(c)に示すように、照度ムラLIが生じている部分に対して、照度ムラLIを打ち消す(補正する)ようなレーザ光Ls1を照射することにより照明光Lの全体の光量分布を均一化するようになっている。
【0036】
そのために、照明光出射ユニット11は、図6に示すように、レーザ光源10が出射するレーザ光Lbを部分照明光学系IL1〜IL7毎に2系統の照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2と1系統の調整用分岐レーザ光Ls1に分岐する光分岐部12と、この光分岐部12からの分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1をそれぞれ受け取って照明光導光ユニット31のロッドインテグレータ32の入射端面32a近傍まで導光する光ファイバ13〜15と、その光ファイバ13〜15が導光する分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1をロッドインテグレータ32の入射端面32aに入射させるインプットレンズ群16と、を備えている。
【0037】
光分岐部12は、レーザ光源10の出射口10aに対面するファイバリレーレンズ21aと、レーザ光Lbを分岐した分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1を入射する各光ファイバ13〜15の一端側の入射口13a〜15a毎に配置されるファイバリレーレンズ21bと、このファイバリレーレンズ21a、21bの間の光路上に配置される1/2波長板17と偏光ビームスプリッタ18の2組の分岐セットと、を含む。
【0038】
光分岐部12は、1/2波長板17がレーザ光の偏光面を回転させた後に、偏光ビームスプリッタ18がその偏光面の回転角に応じてレーザ光の一部を反射するとともに一部を透過する。前段の1/2波長板17と偏光ビームスプリッタ18の分岐セットは、レーザ光源10の出射口10aから出射されたレーザ光Lbの一部を分岐レーザ光Lm1として分岐し、その残部のうちのさらに一部を、後段の1/2波長板17と偏光ビームスプリッタ18の分岐セットが分岐レーザ光Lm2として分岐し、その残部が分岐レーザ光Ls1とされる。分岐レーザ光Lm1,Lm2,Ls1は、それぞれ入射口13a,14a,15aから光ファイバ13,14,15に入射される。ここで、光分岐部12は、1/2波長板17の回転角を調整することにより偏光ビームスプリッタ18で反射または透過させる分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1の光量の比率を調整することができる。すなわち、光分岐部12が光量調整機構を構成している。
【0039】
光ファイバ13〜15は、上述したように一端側の入射口13a〜15aが光分岐部12により分岐された分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1を入射するように配置されている。この光ファイバ13、14の他端側の出射口13b、14bは、図7に示すように、部分照明光学系IL1〜IL7毎に配置される照明光導光ユニット31のロッドインテグレータ32の入射端面32aにその両端側で対面するように配置されている。また、光ファイバ15の他端側の出射口15bは、その入射端面32aの中央で対面するように配置されている。
【0040】
インプットレンズ群16は、光ファイバ13〜15の他端側の出射口13b〜15bと照明光導光ユニット31のロッドインテグレータ32の入射端面32aとの間に配列されている。光ファイバ13、14の出射口13b、14b側には、その出射口13b、14bから出射される照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2をロッドインテグレータ32の入射端面32a上または入射端面32aの近傍に集光してロッドインテグレータ32に入射させる第1、第2レンズ16a、16bが配置されている。また、光ファイバ15の出射口15b側には、その出射口15bから出射される調整用レーザ光Ls1をロッドインテグレータ32の入射端面32a上および入射端面32aの近傍に集光させることなくロッドインテグレータ32に入射させる第3レンズ16cが配置されている。
【0041】
照明光導光ユニット31は、図7に示すように、入射端面32aから入射される分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1を照明光Lとして出射端面32bから出射するロッドインテグレータ32と、そのロッドインテグレータ32の出射端面32bから出射される照明光LをマスクMに照射するリレー光学系(導光光学系)33と、を含む。
【0042】
ロッドインテグレータ32は、入射端面32aと出射端面32bの長尺辺側に位置して対面する大対向面32cと、入射端面32aと出射端面32bの短尺辺側に位置して対面する小対向面32dと、を備えており、部分照明光学系IL1〜IL7で照明するマスクMの視野V1〜V7が一方向に長い照明領域に設定されているために、その照明領域の全面を均一に照明可能に出射端面32bを長尺にする厚板形状の光学素子に透明材料により作製されている。
【0043】
ロッドインテグレータ32は、中心軸CX32に対して平行な2つの対向面32c(側面対)および2つの対向面32d(側面対)のそれぞれの間で入射光の光束の一部を複数回全反射させつつ出射することにより光束の光強度を平均化させて出射端面32bにおいて均一な照度の照明光Lを出射するようになっており、本実施形態では、入射端面32aから入射される分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1の光束を大対向面32cと小対向面32dのそれぞれで全反射し、特に、大対向面32c間では対面間隔が短いため、対面間隔の長い小対向面32d間よりも多く繰り返し全反射して出射端面32bから出射する。なお、ロッドインテグレータ32の中心軸CX32は、2つの大対向面32c間の中心であり且つ2つの小対抗面32d間の中心をなす軸に相当する。
【0044】
インプットレンズ群16の第1、第2レンズ16a、16bは、光ファイバ13、14の出射口13b、14bからの照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2を、ロッドインテグレータ32の入射端面32aの中心軸CX32からY方向に均等に離隔する2箇所に焦点位置を一致させて集光し入射させている。その照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2の光束は、図9(a)に示すように、ロッドインテグレータ32の入射端面32aで交差した後に広がってロッドインテグレータ32内に入射されることになって、大対向面32c間や小対向面32d間で繰り返し全反射されることにより出射端面32b全体で均一な照度の照明光Lとして出射される。本実施形態のロッドインテグレータ32では、一例として、大対向面32cと小対向面32dの対面間隔を10mm:100mmとされており、大対向面32c間のX方向では小対向面32d間のY方向よりも概略10倍の反射回数となる。このため、X方向については十分に平均化されて照度分布が均一になるが、Y方向では照度分布が均一になり難い場合がある。
【0045】
インプットレンズ群16の第3レンズ16cは、光ファイバ15の出射口15bからの調整用分岐レーザ光Ls1を集光させることなくロッドインテグレータ32の入射端面32aの中央付近から入射させている。その調整用分岐レーザ光Ls1の光束は、図9(a)に示すように、例えば、ロッドインテグレータ32の入射端面32a以降で交差することなく、ロッドインテグレータ32内を透過して、少なくとも小対向面32d間で全反射されることなく(全反射が0回)、照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2による照明領域内の狙った領域に容易に照射可能な形態で出射端面32bから出射されるように設定されている。すなわち、照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2が第1の光を構成してロッドインテグレータ32の出射端面(第1端面)32bの全体を照明するように入射端面(第2端面)32aに入射されている。調整用分岐レーザ光Ls1が第2の光を構成してロッドインテグレータ32の出射端面32bの一部を照明するように入射端面32aに入射されている。この照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2が照明する照明領域内の一部を調整用分岐レーザ光Ls1が照明するように構成されている。照明光導光ユニット31は、ロッドインテグレータ32の出射端面32aを照明領域に投影する。また、レーザ光源10がレーザ光(第3の光)を出射する出射部を構成する。光分岐部12から導光して光ファイバ13、14から出射される照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2をロッドインテグレータ32の入射端面32aに入射するインプットレンズ群16の第1、第2レンズ16a、16bまでで第1入射部を構成する。同様に、光ファイバ15から出射される調整用分岐レーザ光Ls1をロッドインテグレータ32の入射端面32aに入射するインプットレンズ群16の第3レンズ16cまでが第2入射部を構成する。
【0046】
なお、このロッドインテグレータ32の出射端面32bとマスクM上に設定される照明領域とはリレー光学系33によって光学的に共役関係にあり、マスクMとプレートPとも投影光学装置PLによって光学的に共役関係にあるため、そのロッドインテグレータ32の出射端面32bに調整用分岐レーザ光Ls1を照射して照明光の照度均一性を向上させる効果は、マスクM上の照明領域のみならずプレートP上の露光像野I1〜I7にも同様に反映される。
【0047】
ところで、この光ファイバ15やインプットレンズ群16の第3レンズ16cは、照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2による照明光LがマスクMの視野V1〜V7内を十分に高品質な均一光量で照明可能な場合には、分岐レーザ光Lbのすべてを照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2に分岐するように調整して調整用分岐レーザ光Ls1を無用にすればよく、また、光ファイバ15やインプットレンズ群16の第3レンズ16cを取り付けないようにしてもよい。
【0048】
照明光出射ユニット11は、光ファイバ13〜15の出射口13b〜15bとインプットレンズ群16の第1〜第3レンズ16a〜16cを装置フレーム側に組み付けて所定方向に分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1を出射するようになっており、そのうちの光ファイバ15の出射口15bとインプットレンズ群16の第3レンズ16cは、図8に示すように、共通の筐体51a内に組み付けられている。筐体51aは、装置フレーム側に固定した固定部材55に、任意の角度・位置に調整して支持させることができるようになっている。
【0049】
具体的に、筐体51aには、ロッドインテグレータ32の中心軸CX32の延長線の側方に延在して先端側に凸球形状の球部52aを有する突出部材52が一体形成されている。これに対して、固定部材55は、棒状の中間支持部材56の棒状部56aを内部に進退自在に挿入する円筒形状に形成されており、その棒状部56aをネジ59により位置決めして光ファイバ15の出射口15bとインプットレンズ群16の第3レンズ16cによる調整用分岐レーザ光Ls1のロッドインテグレータ32の入射端面32aに対する幅方向の入射位置を固定することができるようになっている。中間支持部材56は、棒状部56aの先端側に筐体51aの突出部材52の球部52aを離脱不能に収容可能な凹球形状の収容部57aを有する連結部57が一体形成されている。この連結部57は、収容部57a内に突出部材52の球部52aを収容する際に開口面積を拡大可能にスリット57bが形成されており、収容した突出部材52の球部52aをネジ53により位置決めして光ファイバ15の出射口15bとインプットレンズ群16の第3レンズ16cによる調整用分岐レーザ光Ls1のロッドインテグレータ32の入射端面32aに対する入射角度を固定することができるようになっている。すなわち、この突出部材52、固定部材55、中間支持部材56が光ファイバ15の出射口15bとインプットレンズ群16の第3レンズ16cによる調整用分岐レーザ光Ls1の入射位置や入射角度を容易に調整可能にする入射調整機構50を構成している。
【0050】
これにより、ロッドインテグレータ32を介して照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2をマスクMの照明領域に照明光Lとして照射して照明する際に、局所的に光量の足りない照度ムラLIが出現した場合には、光分岐部12によりその足りない照度を補充(補正)する光量分の調整用分岐レーザ光Ls1を分岐させてマスクM内の照明領域内で照度ムラLIの出現している小さな領域を狙うようにロッドインテグレータ32の入射端面32aから入射して照射(照明)することができる。
【0051】
例えば、図9(b)に示すような照明光L´で光量分布に窪みを形成する照度ムラLI(破線で図示)に対しては、図9(c)に示すような強度分布(光量分布)の調整用分岐レーザ光Ls1(一転鎖線で図示)を照射する。この場合には、図10に示すように、照度ムラLIの出現する図中に破線で示す照明光L´における照度ムラLIが平均光量から9%の窪み箇所であったとき、図中に一転鎖線で示す調整用分岐レーザ光Ls1を照射することにより、図中に実線で示すように光量分布のバラツキが1.6%に抑えられている均一な照明光LとしてマスクMに照射して照明(露光)することができる。
【0052】
このとき、光分岐部12における1/2波長板17と偏光ビームスプリッタ18による分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1の光量比としては、照度ムラLIの光量分布の窪みが平均光量からα%である場合には、次式で示す比率程度になるように調整すればよい。
Lm1:Lm2:Ls1=(50−α/2):(50−α/2):α
【0053】
また、ロッドインテグレータ32がZ方向の高さhで、その照度ムラLIがY方向の幅wのときに、光ファイバ15の出射口15bが光束有効直径tと開口数(NA)naであるのに対して、インプットレンズ群16の第3レンズ16cが焦点距離fcとすると、次式(1)の関係が成立し、
fc=w/2×na ・・・(1)
また、光ファイバ15の出射口15bの大きさによる光束の広がり幅w´は、次式(2)で現わすことができる。
w´=(2×t×na×h)/w ・・・(2)
これからすると、例えば、照度ムラLIのY方向の幅wが20mmを超える場合には、調整用分岐レーザ光Ls1の照射により照度を補正される領域の長さ(幅)は、概略上記の式(1)で定まる。
【0054】
例えば、ロッドインテグレータ32のZ方向の高さhが384mmで、光ファイバ15の出射口15bの光束有効直径tが0.2mmでその開口数naが0.12である場合には、インプットレンズ群16の第3レンズ16cの焦点距離fcは次式(3)で求めることができ、
fc=w/0.24 ・・・(3)
また、光ファイバ15の出射口15bの大きさによる光束の広がりw´も次式(4)となる。
w´=(0.048×h)/w ・・・(4)
【0055】
図1に戻って、露光装置100は、移動鏡150に隣接する位置でY方向に延在する照度センサ160(図中に破線で図示)がX方向に一緒に移動することにより、マスクMを介してプレートPの設置位置に投光される露光光(照明光L)の照度分布を検出するようになっており、そのマスクMにおける照度品質(検出情報)に応じて個別照明装置10の調整用分岐レーザ光Ls1による局所的な照度ムラLIの出現領域への追加照射を実施して高品質に均一な照明光LでそのマスクMを照明するようになっている。この露光装置100は、露光処理を施すプレートPに代えて、照度センサ160を備えるプレートをセッティング作業時に移動鏡150に隣接する位置に設置して、マスクMの位置における照度品質の検査を行なって照明光Lの照度分布の均一性を確保するようにしてもよく、また、そのプレートPと共に照度センサ160を設置して適宜照明光Lの照度品質の検査を行ない得るようにしてもよい。
【0056】
これにより、露光装置100は、マスクMを介する照明光Lによる露光領域(照明領域)での照度分布の検出情報に基づいて調整用分岐レーザ光Ls1の光量や照射位置などを作業者の主観によることなく客観的に、また、容易に決めることができる。したがって、その調整用分岐レーザ光Ls1を照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2と共に照射してマスクMを均一な照度で照明する露光方法を実行することができ、フォトレジストが塗布されているプレートP(感光体基板)に高品質な露光処理を施す露光工程を実施する液晶表示パネル(電子デバイス)の製造方法を実行することができる。
【0057】
このように本実施形態においては、照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2だけでは光量の足りない照度ムラLIの出現する領域を狙って調整用分岐レーザ光Ls1を照射することができ、照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2による照明領域よりも小さな領域の照射光量を上げて、より均一な照度の高品質な照明を実現することができる。したがって、レーザ光源LSの出射するレーザ光を無駄なくマスクMに照射して、露光装置100では、高精度な露光処理を行って高品質なプレートPを製造することができる。
【0058】
次に、図11および図12は本発明に係る照明装置を搭載して露光方法を含む製造方法を実行することにより電子デバイスを製造する露光装置の第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されているので、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0059】
図11において、露光装置100の個別照明装置10は、照明光出射ユニット11の第2光分岐部12が分岐レーザ光Lbを部分照明光学系IL1〜IL7毎に2系統の照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2と2系統の調整用分岐レーザ光Ls1、Ls2とに分岐するように作製されている。この第2光分岐部12では、照明用分岐レーザ光Lm2を分岐する1/2波長板17と偏光ビームスプリッタ18の分岐セットと、調整用分岐レーザ光Ls1を入射する光ファイバ15の入射口15aの前段のファイバリレーレンズ21bとの間に、1/2波長板17と偏光ビームスプリッタ18の1組の分岐セットがその光路上で介在するように配置されており、分岐した調整用分岐レーザ光Ls2を光ファイバ51の入射口51aに入射するようになっている。
【0060】
要するに、この第2光分岐部12は、第1光分岐部duの出射口Lbaから出射された分岐レーザ光Lbを照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2として分岐した後に、その残部を調整用分岐レーザ光Ls1、Ls2として分岐して、それぞれ所定の光量比に調整しつつ光ファイバ13〜15、51の入射口13a〜15a、51aに入射するようになっている。
【0061】
光ファイバ13、14の出射口13b、14bは、図12(a)に示すように、ロッドインテグレータ32の入射端面32aの両端側にインプットレンズ群16の第1、第2レンズ16a、16bと共に配置されており、光ファイバ15、51の出射口15b、51bは、その間にインプットレンズ群16の第3レンズ16cと共にロッドインテグレータ32の入射端面32aの長手方向に並列配置されている。すなわち、光ファイバ15、51の出射口15b、51bとインプットレンズ群16の第3レンズ16cがロッドインテグレータ32の中心軸CX32を中心にして対称に調整用分岐レーザ光Ls1、Ls2をその入射端面32aに集光させることなく入射するように設置されている。
【0062】
この光ファイバ51の出射口51bは、光ファイバ15の出射口15bと同様に、インプットレンズ群16の第3レンズ16cと共に、ロッドインテグレータ32の入射端面32a面に対する調整用分岐レーザ光Ls2の入射角度や入射位置を調整可能に入射調整機構50により位置決め固定されている。
【0063】
このため、個別照明装置10は、図12(b)に示すようなロッドインテグレータ32の幅方向の照度が概略4次関数曲線に略一致する、所謂、4次照度ムラLI(図中に破線で図示)が出現したときには、その照度ムラLIを解消して均一な照度に調整することができるようになっている。具体的には、図12(b)に示すように、その4次照度ムラLIに、図9に示す補正フィルタ46により光軸対称の2次照度ムラの調整を施しても、図中に一転鎖線で示す程度にしか補正することはできず、ロッドインテグレータ32の出射端面32bの両端側の光量が足りない照明光L´に調整できるに留まる。このことから、個別照明装置10では、4次照度ムラLIが出現したときには、その補正フィルタ46と協働するようになっている。具体的に、個別照明装置10は、第2光分岐部12によりその足りない照度を補充(補正)する光量分の調整用分岐レーザ光Ls1、Ls2を分岐させて、光ファイバ15、51の出射口15b、51bからそれぞれインプットレンズ群16の第3レンズ16cを介してロッドインテグレータ32の入射端面32aに入射することにより、マスクMの照明領域内で両端側に4次照度ムラLIの出現している小さな領域を狙って照射する。
【0064】
このとき、ロッドインテグレータ32の入射端面32aから入射する調整用分岐レーザ光Ls1、Ls2は、小対向面32dで1回全反射されて折り返された光束を反射されない光束に重ねてマスクMにおける照度ムラLIの両端側に照射することができ、図12(b)に示すように、その両端側ほど光量の足りない照度ムラLIに合わせるように、その両端側ほど照度を向上させて均一な照度の照明光Lに調整することができる。
【0065】
また、第2光分岐部12における1/2波長板17と偏光ビームスプリッタ18による分岐レーザ光Lm1、Lm2、Ls1、Ls2の光量比としては、4次照度ムラLIの光量分布の窪みが平均光量からγ%である場合には、次式で示す比率程度になるように調整すればよい。
Lm1:Lm2:Ls1:Ls2=(50−γ):(50−γ):γ:γ
【0066】
これにより、露光装置100は、個別照明装置10によりマスクMに均一な照度に調整した照明光Lを照射して高精度な露光処理を施す露光工程を実施して液晶表示パネル(電子デバイス)の製造方向を実行することができる。
【0067】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、照明用分岐レーザ光Lm1、Lm2にだけでは光量の足りない照度ムラLIの出現する複数箇所の領域を狙って、調整用分岐レーザ光Ls1だけでなく、調整用分岐レーザ光Ls2も照射することができ、マスクMの照明領域の両端側などの小さな領域の照射光量を上げて、より均一な照度での高品質な照明を実現することができる。したがって、レーザ光源LSの出射するレーザ光を無駄なくマスクMに照射して、露光装置100では、高精度な露光処理を行って高品質なプレートPを製造することができる。
【0068】
ここで、上述第1、第2実施形態では、図2や図4に示す投影光学系を備える露光装置100に搭載する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、例えば、図13に示す投影光学系を備える露光装置100にも変わりなく搭載できることは言うまでもない。
【0069】
簡単に第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明すると、この図13では、第1実施形態における部分照明光学系IL1、IL2および投影光学系PLA1、PLA2に相当する構成を図示しており、そのうちの投影光学系PLA1、PLA2において中間像を形成する構成が主に異なっている。この図13に図示する投影光学系PLA1、PLA2では、マスクMの中間像を形成する第1結像光学系114と、中間像とプレートPとを光学的に共役にする第2結像光学系116とを備える投影光学装置により構成されている。その第2結像光学系116は、図2に示す投影光学系PL1、PL2とほぼ同じであるが、第2結像光学系116の第1レンズ群G1hを構成する各レンズは、投影光学系PL1、PL2の第1レンズ群G1を構成する回転対称な各レンズの、光軸に対して+X方向側およびX方向側の半分を切り欠いた回転非対称な外形である点が異なっている。この場合でも、結像光束は、第1レンズ群G1hの光軸から−X方向側および+X方向側を通過しているため、投影光学系PLA1、PLA2をさらに軽量化できるとともに、有効な結像光束のケラレは生じない。
【0070】
これらの投影光学系PLA1、PLA2の拡大倍率は、走査方向における拡大倍率が+1を超え、かつ非走査方向における拡大倍率が+1を超えるように設定されている。つまり、これらの投影光学系PL1、PL2は第2面上に第1面の正立正像を拡大倍率のもとで形成する。また、第1結像光学系114と第2結像光学系116との間の光路中の中間像が形成される位置には、視野絞り115が配置されている。この投影光学系によれば、視野絞り115の配置を容易に行うことができ、また、投影光学系の精度で視野絞りをプレートP上に投影することができるため、高精度な投影を行うことができる。
【0071】
なお、上述の実施形態では、部分照明光学系IL1〜IL7毎にレーザ光源10を設ける場合を一例にして説明したが、これに限るものではなく、1つのレーザ光源10から2つ以上の部分照明光学系(照明光出射ユニット11)へレーザ光Lbを分配するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0072】
図14は、上述の露光装置100を用いて、ガラスプレート(基板)P上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、電子デバイス(またはマイクロデバイス)としての液晶表示デバイスを製造する製造方法の一例につき説明するフローチャートである。
【0073】
図14のステップS101(パターン形成工程)では、先ず、露光対象のプレートP上にフォトレジストを塗布して感光基板を準備する塗布工程、露光装置100を用いて液晶表示デバイス用のマスクのパターンを感光基板としてのプレートP上に転写露光する露光工程、及びこの露光工程により露光されたプレートPを現像する現像工程が実行される。この塗布工程、露光工程、及び現像工程を含むリソグラフィ工程によって、プレートP上に所定のレジストパターンが形成される。このリソグラフィ工程に続いて、そのレジストパターンをマスクとしたエッチング工程、及びレジスト剥離工程等を経て、プレートP上に多数の電極等を含む所定パターンが形成される。リソグラフィ工程等は、プレートP上のレイヤ数に応じて複数回実行される。
【0074】
ステップS102(カラーフィルタ形成工程)では、赤R、緑G、青Bに対応した3つの微細なフィルタの組をマトリックス状に多数配列するか、又は赤R、緑G、青Bの3本のストライプ状の複数のフィルタの組を水平走査線方向に配列することによってカラーフィルタを形成する。ステップS103(セル組立工程)では、例えばステップS101にて得られた所定パターンを有するプレートPとステップS102にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0075】
その後のステップS104(モジュール組立工程)では、そのようにして組み立てられた液晶パネル(液晶セル)に表示動作を行わせるための電気回路、及びバックライト等の部品を取り付けて、液晶表示デバイスとして完成させる。
【0076】
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0078】
10 照明装置
11 照明光出射ユニット
12 光分岐部
13〜15、51 光ファイバ
13a〜15a 入射口
13b〜15b、51b 出射口
16 インプットレンズ群
16a〜16c 第1〜第3レンズ
17 1/2波長板
18 偏光ビームスプリッタ
31 照明光導光ユニット
32 ロッドインテグレータ
32a入射端面
32b出射端面
32c大対向面
32d小対向面
33リレー光学系
43 コンデンサレンズ
44a,44b 平行平面板
45 補正レンズ
46 補正フィルタ
50 入射調整機構
52 突出部材
52a球部
53、59 ネジ
55 固定部材
56 中間支持部材
56a棒状部
57 連結部
57a収容部
57bスリット
100露光装置
150移動鏡
160照度センサ
AX32光軸
CX32中心軸
L照明光
LI照度ムラ
Lm1、Lm2照明用分岐レーザ光
Ls1、Ls2調整用レーザ光
Mマスク
Pプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する側面対を有し、該側面対間で反射した光を出射するロッドインテグレータと、該ロッドインテグレータから出射した光を所定の照明領域に照射する導光光学系とを備える照明装置であって、
前記照明領域の全体が照明されるように第1の光を前記ロッドインテグレータに入射させる第1入射部と、
前記第1の光によって照明される前記照明領域の一部を照明するように第2の光を前記ロッドインテグレータに入射させる第2入射部と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1入射部は、前記第1の光が出射する前記ロッドインテグレータの第1端面の全体を照明するように前記第1の光を前記ロッドインテグレータに入射させ、
前記第2入射部は、前記ロッドインテグレータの前記第1端面の一部を照明するように前記第2の光を前記ロッドインテグレータに入射させ、
前記導光光学系は、前記第1端面と前記照明領域とを光学的に共役にすることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1入射部は、前記第1の光が入射する前記ロッドインテグレータの第2端面のうち該第2端面の中心に対して相互に対称な複数の位置から前記第1の光を前記ロッドインテグレータに入射させ、
前記第2入射部は、前記第2端面のうち前記複数の位置と異なる位置から前記第2の光を前記ロッドインテグレータに入射させることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2入射部は、前記第2の光が前記側面対によって2回以上反射されないように前記第2の光を前記ロッドインテグレータに入射させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1入射部は、前記ロッドインテグレータの端面または該端面近傍に前記第1の光の集光点を形成し、該端面から前記第1の光を前記ロッドインテグレータに入射させ、
前記第2入射部は、前記ロッドインテグレータの前記端面または該端面近傍に前記第2の光の集光点を形成することなく該端面から前記第2の光を前記ロッドインテグレータに入射させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1入射部は、前記第1の光を導光する光ファイバを備え、該光ファイバによって導光した前記第1の光を前記ロッドインテグレータに入射させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
第3の光を出射する出射部と、
前記出射部が出射した前記第3の光を、少なくとも前記第1の光および前記第2の光を含む複数の分岐光に分岐する光分岐部と、を備え、
前記第1入射部は、前記光分岐部が分岐した前記第1の光を前記ロッドインテグレータに入射させ、
前記第2入射部は、前記光分岐部が分岐した前記第2の光を前記ロッドインテグレータに入射させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光分岐部は、前記第1の光と前記第2の光との光量の比率を調整可能な光量調整機構を有することを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第2入射部は、前記ロッドインテグレータに対する前記第2の光の入射角度と入射位置との一方または双方を調整する入射調整機構を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第2入射部は、前記ロッドインテグレータの前記側面対に交差する入射端面のうち該入射端面の中心に対して相互に対称な複数の位置から、相互に対称な入射角で前記第2の光を前記ロッドインテグレータに入射させることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
マスクに形成されたパターンを介した光を基板に照射して該基板を露光する露光装置であって、
前記パターンを照明する請求項1から10のいずれか1項に記載の照明装置を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項12】
前記照明装置によって照明される前記照明領域内の前記パターンの像を前記基板に投影する投影光学系を備えたことを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
【請求項13】
前記投影光学系は、前記パターンの拡大像を前記基板に投影することを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
【請求項14】
前記基板は、一辺の長さ又は対角長が500mmより大きいことを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項15】
マスクに形成されたパターンを介した光を基板に照射して該基板を露光する露光方法であって、
請求項1から10のいずれか一項に記載の照明装置を用いて前記パターンを照明することを含むことを特徴とする露光方法。
【請求項16】
前記照明装置によって照明される前記照明領域内の前記パターンの像を前記基板に投影することを含むことを特徴とする請求項15に記載の露光方法。
【請求項17】
前記照明領域内または該照明領域に対応する前記基板上の領域内の照度分布を検出することと、
前記照度分布の検出情報に基づいて前記照明領域の一部を前記第2の光によって照明することと、を含むことを特徴とする請求項15または16に記載の露光方法。
【請求項18】
基板に電子デバイスを形成するデバイス製造方法であって、
請求項15から17のいずれか1項に記載の露光方法を用いて前記基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載のデバイス製造方法により製造されていることを特徴とする電子デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate