説明

照明装置および照明装置の取り付けボード

【課題】取り付け位置を容易に変更可能な照明装置及び該照明装置の取り付けボードを提供する。
【解決手段】軽量な面状の発光素子が固定された筐体に設けた取り付け端子を取り付けボードに差し込んで、該筐体を固定し、該取り付けボードの内部に設けた極性が異なる二つの配線から、該発光素子に該取り付け端子を介して電力を供給する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置と該照明装置の取り付けボードに関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は一対の電極の間に発光性の有機化合物を含む層(EL層ともいう)を挟んだ構成を備える。この素子の一対の電極間に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物から発光を得る。
【0003】
有機EL素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を容易に形成することができ、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0004】
例えば、有機EL素子を用いた照明器具が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−108651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、照明装置を天井等の施設に設ける場合、照明装置の重量を支えるために支持具を設ける必要があった。また、美観を損なわずに電灯線から照明装置に電力を供給するために、天井等の施設に設けられた開口を介して配線と接続する必要があった。そのため、一度据え付けた照明の位置を変更し難いという問題があった。
【0007】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって、その目的は、取り付け位置を容易に変更可能な照明装置及び該照明装置の取り付けボードを提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、軽量な面状の発光素子に着眼した。そして、軽量な面状の発光素子が固定された筐体に設けた取り付け端子を取り付けボードに差し込んで、該筐体を固定し、該取り付けボードの内部に設けた配線から、該発光素子に該取り付け端子を介して電力を供給する照明装置の構成に想到し、上記課題の解決に至った。
【0009】
すなわち、本発明の一態様は、面状に拡がる第1の電極と面状に拡がる第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子と、第1の電極と電気的に接続する第1の取り付け端子と、第2の電極と電気的に接続する第2の取り付け端子と、を一方の側に間隔を設けて備える筐体を有する照明装置である。なお、第1の電極または第2の電極のいずれか一方は発光性の有機化合物が発する光を透過し、第1の電極または第2の電極の他方は筐体の他方の側に位置し、第1の取り付け端子と第2の取り付け端子は、断面積の0.5倍以上6倍以下の表面積を有する。
【0010】
また、本発明の一態様は、面状に拡がる第1の部材と、面状に拡がる第2の部材の間に、間隔を設けて第1の配線と第2の配線が配設された上記の照明装置の取り付けボードである。なお、第1の配線と第2の配線は極性が異なり、第1の配線は、第1の取り付け端子の幅より広く、第2の配線は、第2の取り付け端子の幅より広く、第1の部材は、第1の取り付け端子または第2の取り付け端子のいずれの長さより薄く、且つ第1の取り付け端子及び第2の取り付け端子を用いて貫通可能な構成を備える。
【0011】
上記本発明の一態様によれば、軽量な面状の発光素子が固定された筐体に設けた取り付け端子を取り付けボードに差し込んで、該筐体を固定し、該取り付けボードの内部に設けた配線から、該発光素子に該取り付け端子を介して電力を供給できる。これにより、取り付けボードに美観を損なう加工を施す必要がなくなり、容易に取り付け位置を変更可能な照明装置及び該照明装置の取り付けボードを提供できる。
【0012】
また、本発明の一態様は、面状に拡がる第1の電極と面状に拡がる第2の電極の間に、発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子と、第1の電極と電気的に接続する第1の取り付け端子と、第2の電極と電気的に接続する第2の取り付け端子と、を一方の側に備える筐体と、を有する照明装置である。なお、第1の電極または第2の電極のいずれか一方は発光性の有機化合物が発する光を透過し、第1の電極または第2の電極の他方は筐体の他方の側に位置し、第1の取り付け端子と第2の取り付け端子は、断面積の0.5倍以上6倍以下の表面積を有し、第1の取り付け端子と第2の取り付け端子の一方は他方より長く、且つ他方より筐体から離れた部分に接点を有する。
【0013】
また、本発明の一態様は、面状に拡がる第1の部材と面状に拡がる第2の部材の間に、面状に拡がる第1の配線が配設され、第2の部材の第1の部材に面する側とは逆側の面に、第1の配線とは極性が異なり且つ面状に拡がる第2の配線が配設された上記の照明装置の取り付けボードである。なお、第1の部材は、第1の取り付け端子または第2の取り付け端子のいずれの長さより薄く、第1の部材、第1の配線、並びに第2の部材を重ねた厚みは、第1の取り付け端子または第2の取り付け端子のいずれか一方の長さより厚く、且つ他方の長さより薄い。また、第1の部材は、第1の取り付け端子または第2の取り付け端子のいずれをもちいても貫通可能であり、第2の部材は、第1の取り付け端子または第2の取り付け端子のいずれか長い方の取り付け端子を用いて貫通可能な、上記の照明装置の取り付けボードである。
【0014】
また、本発明の一態様は、面状に拡がる第1の電極と面状に拡がる第2の電極の間に、発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子と、取り付け端子を一方の側に備える筐体と、を有する照明装置である。なお、第1の電極または第2の電極のいずれか一方は発光性の有機化合物が発する光を透過し、第1の電極または第2の電極の他方は筐体の他方の側に位置し、取り付け端子は第1の電極と電気的に接続する第1の接点を先端側に、第2の電極と電気的に接続する第2の接点を筐体側に備え、取り付け端子は、断面積の0.5倍以上6倍以下の表面積を有する照明装置である。
【0015】
また、本発明の一態様は、面状に拡がる第1の部材と面状に拡がる第2の部材の間に、面状に拡がる第1の配線が配設され、第2の部材の第1の部材に面する側とは逆側の面に、第1の配線とは極性が異なり且つ面状に拡がる第2の配線が配設された上記の発光装置の取り付けボードである。なお、第1の部材は、筐体から取り付け端子の第1の接点までの長さ、または筐体から取り付け端子の第2の接点までの長さのいずれよりも薄く、第1の部材、第1の配線、並びに第2の部材を重ねた厚さは、筐体から取り付け端子の第2の接点までの長さより厚く、且つ取り付け端子の第1の接点までの長さより薄い。また、第1の部材及び第2の部材は、取り付け端子を用いて貫通可能な、上記の照明装置の取り付けボードである。
【0016】
上記本発明の一態様によれば、取り付け端子が設けられた筐体に軽量な面状の発光素子を固定し、配線が設けられた取り付けボードに該取り付け端子を差し込んで該筐体を固定し、該取り付けボードに設けられた配線から、該取り付け端子を介して照明装置に電力を供給できる。これにより、取り付けボードに美観を損なう加工を施す必要がなくなり、容易に取り付け位置を使用者が望む位置に変更可能な照明装置及び該照明装置の取り付けボードを提供できる。
【0017】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられた層を示すものとする。従って、電極間に挟まれた発光物質である有機化合物を含む発光層はEL層の一態様である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、取り付け位置を容易に変更可能な照明装置及び該照明装置の取り付けボードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係わる照明装置および取り付けボードを説明する図。
【図2】実施の形態に係わる照明装置および取り付けボードを説明する図。
【図3】実施の形態に係わる発光素子を説明する図。
【図4】実施の形態に係わる発光素子を説明する図。
【図5】実施の形態に係わる照明装置および取り付けボードを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態では、軽量な面状の発光素子が固定された筐体に設けた取り付け端子を取り付けボードに差し込んで、該筐体を固定し、該取り付けボードの内部に設けた配線から、該発光素子に該取り付け端子を介して電力を供給する構成を適用した照明装置と、該照明装置の取り付けボードについて図1を参照して説明する。
【0022】
本実施の形態で例示する照明装置130と照明装置130の取り付けボード140を、図1に示す。
【0023】
照明装置130は発光素子110と筐体120を備える。発光素子110は面状に拡がる第1の電極と、面状に拡がる第2の電極の間に、発光性の有機化合物を含む層を備える。また発光素子110は第1の取り出し端子111と第2の取り出し端子112を有し、第1の取り出し端子111は第1の電極と、第2の取り出し端子112は第2の電極と接続している。発光素子110としては、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子ともいう)が適用できる。
【0024】
筐体120は発光素子110を支持する。また、筐体120は、第1の取り付け端子121と第2の取り付け端子122を互いに離して備え、第1の取り付け端子121は第1の取り出し端子111と電気的に接続し、第2の取り付け端子122は第2の取り出し端子112に電気的に接続している。取り付け端子は釘状(ピン状)、または板状の形態が好ましいが、それには限らない。釘状、または板状とすることで、取り付けボードへの差し込みが容易になり、また取り付けボードとの間に生じる摩擦により脱落し難い。特に、その表面積は断面積の0.5倍以上であると脱落し難く、6倍以下であると取り付け端子の差し込みが容易となるため好ましい。ここで表面積とは、取り付け端子が取り付けボードと接する部分の面積をいい、断面積とは、取り付け端子を取り付けボードへの差し込み方向に垂直な面で切った時の面積をいう。
【0025】
なお、第1の取り付け端子121および第2の取り付け端子122とは別に、発光素子110と電気的に接続していない取り付け端子を筐体120に設けてもよい。このような構成とすることで、照明装置130を取り付けボード140により確実に固定できる。
【0026】
照明装置130の取り付けボード140は、面状に拡がる第1の部材141と、面状に拡がる第2の部材142を備える。照明装置の大きさに制限はなく, 例えば、照明装置の面積が0.1cm以上、100cm未満、好ましくは100cm以上のものを用いることができる。第1の部材141は弾性を有し、厚み方向に取り付け端子との摩擦の大きい領域を有する。第1の取り付け端子121および第2の取り付け端子122を差し込む位置には、あらかじめ差し込み孔を設けても良いし、第1の取り付け端子121および第2の取り付け端子122を差し込むことで差し込み孔を形成してもよい。第1の部材141に用いることができる材料としては、石膏ボード、発泡ウレタンボード等をその例に挙げることができる。
【0027】
第1の部材141と第2の部材142の間には一方向に長く且つ互いに平行な第1の配線151と第2の配線152が設けられている。第1の配線151と第2の配線152に用いることができる材料としては、導電性を有するテープ状の金属箔(具体的には銅箔)や、繊維状の金属をメッシュ状に編んだもの、または繊維状の金属を不織布状に成型したものを用いることができる。第1の配線151と第2の配線152は、第1の取り付け端子121と第2の取り付け端子122の間隔と同じ間隔で配設されている。このような構成とすることで、第1の部材141に差し込まれた第1の取り付け端子121は第1の部材141を貫通して第1の配線151に電気的に接続し、第1の部材141に差し込まれた第2の取り付け端子122は第1の部材141を貫通して第2の配線152に電気的に接続する。さらに、第1の配線151と第2の配線152は一方向に長く配設されているため、その一方向に長い方向に沿って照明装置130を容易に移設できる。
【0028】
なお、電源160は、第1の配線151と第2の配線152に電力を供給している。従って、電源160は第1の配線151と第2の配線152から、第1の取り付け端子121と第2の取り付け端子122、並びに第1の取り出し端子111と第2の取り出し端子112を介して発光素子110の面状に拡がる第1の電極と、面状に拡がる第2の電極に電力を供給する。
【0029】
また、複数の照明装置を取り付けボード140に取り付けることができる。第1の配線151と第2の配線152の間に取り付けた複数の照明装置は、電源160に対して並列に接続される。例えば、発光素子110に有機EL素子を用いる場合、並列接続された照明装置を同じ明るさで駆動することが困難である。なぜなら、有機EL素子は駆動電圧の微小な変化で明るさが大きく変化するからである。そこで、筐体120に定電流回路を設けて、第1の取り付け端子と第2の取り付け端子で受電した電力を当該定電流回路で定電流に変換して、発光素子110に供給する構成としてもよい。このような構成とすることにより、電源160に並列に接続された複数の照明装置を同じ明るさで点灯することができる。
【0030】
第1の配線151の幅(一方向に長い方向に直交する短い方向を幅とする)は、第1の取り付け端子121の幅(すなわち第1の配線151の短い方向についての寸法)より広く、第2の配線152の幅(一方向に長い方向に直交する短い方向を幅とする)は、第2の取り付け端子122の幅(すなわち第2の配線152の短い方向についての寸法)より広い。このような構成とすることで、取り付け端子が配線を切断してしまう不具合を防止できる。
【0031】
本実施の形態で例示した軽量な面状の発光素子が固定された筐体に設けた取り付け端子を取り付けボードに差し込んで、該筐体を固定し、該取り付けボードの内部に設けた配線から、該取り付け端子を介して電力を供給する構成を適用した照明装置と、該照明装置の取り付けボードは、取り付けボードに美観を損なう加工を施す必要がなくなり、容易に取り付け位置を変更可能な照明装置及び該照明装置の取り付けボードを提供できる。
【0032】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0033】
(実施の形態2)
本実施の形態では、軽量な面状の発光素子が固定された筐体に設けた取り付け端子を取り付けボードに差し込んで、該筐体を固定し、該取り付けボードに設けた配線から、該発光素子に取り付け端子を介して電力を供給する構成を適用した照明装置と、該照明装置の取り付けボードについて図2を参照して説明する。
【0034】
本実施の形態で例示する照明装置230と照明装置230の取り付けボード240を、図2(A)に示す。
【0035】
照明装置230は発光素子110と筐体220を備える。発光素子110は実施の形態1で説明した発光素子と同様のものを用いることができる。
【0036】
筐体220は発光素子110を支持する。また、筐体220は、第1の取り付け端子221と第2の取り付け端子222を互いに離して備え、第1の取り付け端子221は第1の取り出し端子111と電気的に接続し、第2の取り付け端子222は第2の取り出し端子112に電気的に接続している。なお、第1の取り付け端子221は第2の取り付け端子222より長く、第2の取り付け端子222に比べて筐体から離れた部分に接点を有する。なお、第1の取り付け端子221の筐体側の部分、具体的には筐体から第2の取り付け端子222と同じ長さの部分は絶縁されている必要がある。第1の取り付け端子221の筐体側の部分に絶縁性の被覆を設ける方法としては、例えばテトラフルオロエチレン等の絶縁性の樹脂や、塗料などを塗布すればよい。取り付け端子は釘状、または板状の形態が好ましい。釘状、または板状とすることで、取り付けボードへの差し込みが容易になり、また取り付けボードとの間に生じる摩擦により脱落し難い。特に、その表面積は断面積の0.5倍以上であると脱落し難く、6倍以下であると取り付け端子の差し込みが容易となるため好ましい。
【0037】
なお、第1の取り付け端子221および第2の取り付け端子222とは別に、発光素子110と電気的に接続していない取り付け端子を筐体220に設けてもよい。このような構成とすることで、照明装置230を取り付けボード240により確実に固定できる。
【0038】
照明装置230の取り付けボード240は、面状に拡がる第1の部材141と、面状に拡がる第2の部材142を備える。第1の部材141は実施の形態1で説明した第1の部材141と同様のものを用いることができる。なお本実施の形態では、第2の部材142についても、実施の形態1で説明した第1の部材141と同様のものを用いる。
【0039】
第1の部材141と第2の部材142の間には第1の配線251が設けられている。また、第1の部材141に面する側とは逆側の第2の部材142の面には、第2の配線252が設けられている。このような構成とすることで、第1の部材141に差し込まれた第2の取り付け端子222は第1の配線251と電気的に接続し、第1の部材141並びに第2の部材142に差し込まれた第1の取り付け端子221は第2の配線252と電気的に接続できる。さらに、第1の配線251と第2の配線252は面状に拡がって配設されているため、その配線が設けられた領域内であれば自由に照明装置230を移設できる。
【0040】
なお、電源160は、第1の配線251と第2の配線252に電力を供給している。従って、電源160は第1の配線251と第2の配線252から、第1の取り付け端子221と第2の取り付け端子222、並びに第1の取り出し端子111と第2の取り出し端子112を介して、発光素子110の面状に拡がる第1の電極と、面状に拡がる第2の電極に電力を供給する。
【0041】
図2(A)には、第1の取り付け端子221と第2の取り付け端子222が間隔をあけて配設されている態様が例示されているが本実施の形態はこれに限られない。
【0042】
本実施の形態の変形例について、図2(B)を用いて説明する。図2(B)に例示する照明装置330は発光素子110と筐体320を備える。発光素子110は実施の形態1で説明した発光素子と同様のものを用いることができる。
【0043】
筐体320は発光素子110を支持する。また、筐体320は、取り付け端子321を備える。取り付け端子321は先端に第1の接点321aを、筐体側に第2の接点321bを備える。第1の接点321aは第1の取り出し端子111と電気的に接続し、第2の接点321bは第2の取り出し端子112に電気的に接続している。取り付け端子は釘状、または板状の形態が好ましい。釘状、または板状とすることで、取り付けボードへの差し込みが容易になり、また取り付けボードとの間に生じる摩擦により脱落し難い。特に、その表面積は断面積の0.5倍以上であると脱落し難く、6倍以下であると取り付け端子の差し込みが容易となるため好ましい。
【0044】
なお、取り付け端子321とは別に、発光素子110と電気的に接続していない取り付け端子を筐体320に設けてもよい。このような構成とすることで、照明装置330を取り付けボード240に確実に固定できる。
【0045】
第1の部材141と第2の部材142の間には第1の配線251が設けられている。また、第1の部材141に面する側とは逆側の第2の部材142の面には、第2の配線252が設けられている。このような構成とすることで、第1の部材141に差し込まれた取り付け端子321の第2の接点321bは第1の配線251と電気的に接続し、第1の部材141並びに第2の部材142に差し込まれた取り付け端子321の第1の接点321aは第2の配線252と電気的に接続できる。さらに、第1の配線251と第2の配線252は面状に拡がって配設されているため、その配線が設けられた領域内であれば自由に照明装置330を移設できる。
【0046】
本実施の形態で例示した軽量な面状の発光素子が固定された筐体に設けた取り付け端子を取り付けボードに差し込んで、該筐体を固定し、該取り付けボードに設けた配線から、該取り付け端子を介して電力の供給を受ける構成を適用した照明装置と、該照明装置の取り付けボードは、取り付けボードに美観を損なう加工を施す必要がなくなり、容易に取り付け位置を使用者が望む位置に変更可能な照明装置及び該照明装置の取り付けボードを提供できる。
【0047】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0048】
(実施の形態3)
本実施の形態では、軽量な面状の発光素子が固定された筐体に設けた取り付け端子を取り付けボードに差し込んで、該筐体を固定し、該取り付けボードの内部に設けた配線から、該発光素子に該取り付け端子を介して電力の供給を受ける構成を適用した照明装置に適用できる発光素子の構成の一例について図3及び図4を参照して説明する。
【0049】
本実施の形態で例示する発光素子は、第1の電極、第2の電極、並びに第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層(以下EL層という)を備える。本実施の形態では、基板上に形成された第1の電極は陽極として機能し、第2の電極が陰極として機能する。EL層は第1の電極と第2の電極の間に設けられ、該EL層の構成は第1の電極と第2の電極の材質に合わせて適宜選択すればよい。以下に発光素子の構成の一例を例示するが、発光素子の構成がこれに限定されないことは言うまでもない。
【0050】
<発光素子の構成例1.>
発光素子の構成の一例を図3(A)に示す。図3(A)に示す発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層1103が挟んで設けられている。
【0051】
陽極1101と陰極1102の間に、閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層1103に陽極1101の側からホールが注入され、陰極1102の側から電子が注入される。注入された電子とホールはEL層1103において再結合し、EL層1103に含まれる発光物質が発光する。
【0052】
EL層1103は、少なくとも発光物質を含む発光層を備えていればよく、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えばホール注入性の高い物質、ホール輸送性の高い物質、ホール輸送性に乏しい(ブロッキングする)物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及びホールの輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。
【0053】
EL層1103の具体的な構成の一例を図3(B)に示す。図3(B)に示すEL層1103は、ホール注入層1113、ホール輸送層1114、発光層1115、電子輸送層1116、並びに電子注入層1117が陽極1101側から積層されている。
【0054】
<発光素子の構成例2.>
発光素子の構成の他の一例を図3(C)に示す。図3(C)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層1103が挟んで設けられている。さらに、陰極1102とEL層1103との間には中間層1104が設けられている。なお、当該発光素子の構成例2のEL層1103には、上述の発光素子の構成例1と同様の構成が適用可能であり、詳細については、発光素子の構成例1の記載を参酌できる。
【0055】
中間層1104は少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域以外の層と積層された構成であってもよい。例えば、第1の電荷発生領域1104c、電子リレー層1104b、及び電子注入バッファー1104aが陰極1102側から順次積層された構造を適用することができる。
【0056】
中間層1104における電子とホールの挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、閾値電圧より高い電圧を印加すると、第1の電荷発生領域1104cにおいて、ホールと電子が発生し、ホールは陰極1102へ移動し、電子は電子リレー層1104bへ移動する。電子リレー層1104bは電子輸送性が高く、第1の電荷発生領域1104cで生じた電子を電子注入バッファー1104aに速やかに受け渡す。電子注入バッファー1104aはEL層1103に電子を注入する障壁を緩和し、EL層1103への電子注入効率を高める。従って、第1の電荷発生領域1104cで発生した電子は、電子リレー層1104bと電子注入バッファー1104aを経て、EL層1103のLUMO準位に注入される。
【0057】
また、電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cを構成する物質と電子注入バッファー1104aを構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を防ぐことができる。
【0058】
<発光素子の構成例3.>
発光素子の構成の他の一例を図4(A)に示す。図4(A)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層1103a、EL層1103bが設けられている。さらに、EL層1103aと、EL層1103bとの間には中間層1104が設けられている。
【0059】
なお、陽極と陰極の間に設けるEL層は二つに限定されない。図4(B)に例示する発光素子は、EL層1103が複数積層された構造、所謂、積層型素子の構成を備える。但し、例えば陽極と陰極の間にn(nは2以上の自然数)層のEL層1103を設ける場合には、m(mは自然数、1以上(n−1)以下)番目のEL層と、(m+1)番目のEL層との間に、それぞれ中間層1104を設ける構成とする。
【0060】
また、当該発光素子の構成例3のEL層1103a及びEL層1103bには、上述の発光素子の構成例1と同様の構成を適用することが可能であり、また当該発光素子の構成例3の中間層1104には、上述の発光素子の構成例2と同様の構成が適用可能である。よって、詳細については、発光素子の構成例1、または発光素子の構成例2の記載を参酌できる。
【0061】
EL層の間に設けられた中間層1104における電子とホールの挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層1104においてホールと電子が発生し、ホールは陰極1102側に設けられたEL層へ移動し、電子は陽極1101側に設けられたEL層へ移動する。陰極側に設けられたEL層に注入されたホールは、陰極側から注入された電子と再結合し、当該EL層に含まれる発光物質が発光する。また、陽極側に設けられたEL層に注入された電子は、陽極側から注入されたホールと再結合し、当該EL層に含まれる発光物質が発光する。依って、中間層1104において発生したホールと電子は、それぞれ異なるEL層において発光に至る。
【0062】
なお、EL層同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、EL層同士を接して設けることができる。具体的には、EL層の一方の面に電荷発生領域が形成されていると、当該電荷発生領域は中間層の第1の電荷発生領域として機能するため、EL層同士を接して設けることができる。
【0063】
発光素子の構成例1乃至構成3は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、発光素子の構成例3の陰極とEL層の間に中間層を設けることもできる。
【0064】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイスを用いて完成させた照明装置と、照明装置の取り付けボードの一例について、図5を用いて説明する。
【0065】
本発明の一態様では、発光部が曲面を有する照明装置を実現することもできる。
【0066】
本発明の一態様は、自動車の照明にも適用することができ、例えば、ダッシュボードや、天井等に照明を容易に設置することもできる。
【0067】
図5(A)では、本発明の一態様を適用した、照明装置の取り付けボードが設けられた室内の天井と、そこに取り付けられた照明装置901、照明装置の取り付けボードが設けられた壁面と、そこに取り付けられた照明装置904及び照明装置の取り付けボードを備える卓上照明器具903を示す。発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。
【0068】
図5(B)に別の照明装置の例を示す。図5(B)に示す卓上照明装置は、照明部9501、支柱9503、支持台9505等を含む。照明部9501は、本発明の一態様の照明装置の取り付けボードと発光デバイスを含む。このように、本発明の一態様では、曲面を有する照明装置を実現することができる。
【0069】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0070】
110 発光素子
111 端子
112 端子
120 筐体
121 端子
122 端子
130 照明装置
140 ボード
141 部材
142 部材
151 配線
152 配線
160 電源
220 筐体
221 端子
222 端子
230 照明装置
240 ボード
251 配線
252 配線
320 筐体
321 端子
330 照明装置
901 照明装置
903 卓上照明器具
904 照明装置
1101 陽極
1102 陰極
1103 EL層
1104 中間層
1113 ホール注入層
1114 ホール輸送層
1115 発光層
1116 電子輸送層
1117 電子注入層
321a 接点
321b 接点
1103a EL層
1103b EL層
1104a 電子注入バッファー
1104b 電子リレー層
1104c 電荷発生領域
9501 照明部
9503 支柱
9505 支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状に拡がる第1の電極と面状に拡がる第2の電極の間に、発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子と、
前記第1の電極と電気的に接続する第1の取り付け端子と、前記第2の電極と電気的に接続する第2の取り付け端子と、を一方の側に間隔を設けて備える筐体と、を有し、
前記第1の電極または前記第2の電極のいずれか一方は前記発光性の有機化合物が発する光を透過し、前記第1の電極または前記第2の電極の他方は前記筐体の他方の側に位置し、
前記第1の取り付け端子と前記第2の取り付け端子は、いずれも断面積の0.5倍以上6倍以下の表面積を有する照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置の取り付けボードであって、
面状に拡がる第1の部材と、面状に拡がる第2の部材の間に、前記間隔を設けて第1の配線と第2の配線が配設され、
前記第1の配線と前記第2の配線は極性が異なり、
前記第1の配線は、前記第1の取り付け端子の幅より広く、
前記第2の配線は、前記第2の取り付け端子の幅より広く、
前記第1の部材は、前記第1の取り付け端子及び前記第2の取り付け端子のいずれの長さより薄く、且つ前記第1の取り付け端子及び前記第2の取り付け端子を用いて貫通可能な取り付けボード。
【請求項3】
面状に拡がる第1の電極と面状に拡がる第2の電極の間に、発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子と、
前記第1の電極と電気的に接続する第1の取り付け端子と、前記第2の電極と電気的に接続する第2の取り付け端子と、を一方の側に備える筐体と、を有し、
前記第1の電極または前記第2の電極のいずれか一方は前記発光性の有機化合物が発する光を透過し、前記第1の電極または前記第2の電極の他方は前記筐体の他方の側に位置し、
前記第1の取り付け端子と前記第2の取り付け端子は、いずれも断面積の0.5倍以上6倍以下の表面積を有し、
前記第1の取り付け端子または前記第2の取り付け端子のいずれか一方は他方より長く、且つ他方より筐体から離れた部分に接点を有する照明装置。
【請求項4】
請求項3記載の照明装置の取り付けボードであって、
面状に拡がる第1の部材と面状に拡がる第2の部材の間に、面状に拡がる第1の配線が配設され、
前記第2の部材の前記第1の部材に面する側とは逆側の面に、第1の配線とは極性が異なり且つ面状に拡がる第2の配線が配設され、
前記第1の部材は、前記第1の取り付け端子及び前記第2の取り付け端子のいずれの長さより薄く、
前記第1の部材、前記第1の配線、並びに前記第2の部材を重ねた厚さは、前記第1の取り付け端子または前記第2の取り付け端子のいずれか一方の長さより厚く、且つ他方の長さより薄く、
前記第1の部材は、前記第1の取り付け端子及び前記第2の取り付け端子のいずれをもちいても貫通可能であり、
前記第2の部材は、前記第1の取り付け端子または前記第2の取り付け端子のうちいずれか長い方の取り付け端子を用いて貫通可能な取り付けボード。
【請求項5】
面状に拡がる第1の電極と面状に拡がる第2の電極の間に、発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子と、
取り付け端子を一方の側に備える筐体と、を有し、
前記第1の電極または前記第2の電極のいずれか一方は前記発光性の有機化合物が発する光を透過し、前記第1の電極または前記第2の電極の他方は前記筐体の他方の側に位置し、
前記取り付け端子は前記第1の電極と電気的に接続する第1の接点を先端側に、前記第2の電極と電気的に接続する第2の接点を筐体側に備え、
前記取り付け端子は、断面積の0.5倍以上6倍以下の表面積を有する照明装置。
【請求項6】
請求項5記載の照明装置の取り付けボードであって、
面状に拡がる第1の部材と面状に拡がる第2の部材の間に、面状に拡がる第1の配線が配設され、
前記第2の部材の前記第1の部材に面する側とは逆側の面に、第1の配線とは極性が異なり且つ面状に拡がる第2の配線が配設され、
前記第1の部材は、前記筐体から前記取り付け端子の前記第1の接点まで、または前記筐体から取り付け端子の前記第2の接点までのいずれの長さより薄く、
前記第1の部材、前記第1の配線、並びに前記第2の部材を重ねた厚さは、前記筐体から前記取り付け端子の前記第2の接点までの長さより厚く、且つ前記取り付け端子の第1の接点までの長さより薄く、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、前記取り付け端子を用いて貫通可能な取り付けボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−169603(P2012−169603A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11656(P2012−11656)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】