説明

照明装置のための高圧ガス放電ランプ

本発明は、上側部分1及びカバー2を有するランプキャップハウジング1、2内に配される電子点火システム9を備えている、照明装置のための、特に、自動車のヘッドライトユニットのための高圧ガス放電ランプ8であって、上側部分1は、この内部に高圧ガス放電ランプ8と電子点火システム9との間の高電圧接続部4が設けられている開口1.1を備えており、カバー2は、開口1.1内に突出していると共に、絶縁している態様において開口1.1を閉じており、上側部分1とカバー2との相互に面している表面が、絶縁要素5によって遮断されている迷路3を形成する、高圧ガス放電ランプ8に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上側部分及びカバーを有するランプキャップハウジング内部に配されている電子点火システムを備えている、照明装置のための、より詳細には、自動車のヘッドライトユニットのための、高圧ガス放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7 042 169B2号は、カバー及び上側部分から成る高圧ガス放電ランプのためのランプキャップハウジングを開示している。高圧ガス放電ランプの取り付けに関して、高電圧を担持しているコンタクトは、前記電子点火システムの前記ランプキャップのハウジング内にアクセス可能な態様において配されていることが、必要であり得る。この領域は、高電圧から保護されるように前記カバーによって閉じられることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記壁の厚さ、及び高電圧コンタクトと外界との間の沿面距離は、高電圧のブレークダウンが存在しないことを達成するために十分な大きさにされなければならない。
【0004】
本発明の目的は、小型の構造である照明装置のための高圧ガス放電ランプであって、高電圧を担持している前記コンタクトが確実に絶縁されている、高圧ガス放電ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、添付の請求項1に記載の特徴的なフィーチャ全体によって達成される。本発明の有利な更なる実施例は、添付の従属請求項に示されている。
【0006】
この目的のために、照明装置のための、特に、自動車のヘッドライトユニットのための、高圧ガス放電ランプがランプキャップハウジング内に配されている電子点火システムと協働し、前記ランプキャップハウジングは、上側部分及びカバーを有しており、前記上側部分は、内部に前記高圧ガス放電ランプと前記電子点火システムとの間の高電圧接続部が設けられている開口を備えており、前記カバーは前記開口内に突出しており、絶縁する態様において、この開口を遮断しており、前記上側部分及び前記カバーの相互に面している表面が絶縁要素によって遮断されている迷路を形成していることが、提供される。前記絶縁要素は、一方では、前記迷路をより短くすることを可能にし、他方では、前記カバーと前記上側部分との間の高電圧接続の絶縁を改善することを可能にする。このことは、結果として、前記高圧ガス放電ランプの省スペースである構造をもたらす。
【0007】
本発明によれば、前記絶縁要素が円周方向における閉リングを形成することが提供される。このことは、円周方向に閉じているリングの基本的な形状が、円形、楕円形又は長方形である場合、有利である。このことは、前記絶縁要素の直径形状は、前記迷路の円周上に依存している。このことは、この点について、前記絶縁要素が、円形、楕円形又は多角形の直径形状のうちの少なくとも1つを有するように構成される場合、特に有利である。前記絶縁要素のこの直径の形状は、封止されるべき領域の輪郭及び/又は前記迷路内における前記封止されるべき領域の位置決めに依存する。
【0008】
有利には、前記絶縁要素は、弾性の封止リングとして構成される。前記封止リングが弾性ポリマから製造されている場合、特に有利であるとわかった。弾性ポリマでできている前記封止リングは、自身のコンタクト表面の変形によって前記迷路内で自身の形状を適応化させることができ、従って高電圧に耐性のある保護遮蔽を形成する。
【0009】
前記絶縁要素は、前記上側部分に対して及び/又は前記カバーに対して設けられても良い。この点において、前記絶縁要素が前記上側部分及び/又は前記カバーに対して直接的に射出成形されている場合、有利であることが分かった。前記迷路内の前記絶縁要素の信頼できる固定が、前記前記絶縁要素の射出成形によって保護されることができると同時に、組み立てに容易さが向上される。代替的には、前記絶縁要素の接着も、可能である。
【0010】
本発明の他の実施例において、前記上側部分及び前記カバーは、前記迷路内部に溝を備えており、前記溝内では、前記絶縁要素が着脱可能に固定されている。前記溝の幾何学的配置は、ここでは、前記絶縁要素が、整合する形状によって前記溝内に保持されるようにされている。
【0011】
更に好ましい実施例において、絶縁要素の輪郭は、薄膜(lamellae)形状を有する。前記絶縁要素の薄膜構造は、力を、前記カバー及び前記上側部分の端部の位置において迷路内に作用させ、カバーを前記上側部分上に保持している。前記絶縁要素は、1つの薄膜及び幾つかの薄膜によって形成されることができる。このことは、前記絶縁要素が、前記カバー及び前記迷路内の前記上側部分の両方に作用している場合、特に有利である。この絶縁手段は、前記迷路内の遮蔽の改善に至る。更に、前記絶縁要素は、0.5mm≦x≦4mmの断面における直径を有し得る。前記絶縁要素の直径は、前記絶縁要素の弾性と前記迷路の直径との両方に依存し得る。
【0012】
本発明による更なる手段は、少なくとも2つの絶縁要素が前記迷路内に配されていることを提供する。前記迷路内部の少なくとも2つの絶縁要素の配置は、所与の迷路の長さに対する遮蔽効果を向上させる。特に、2つの又は3つの絶縁要素を備える高圧ガス放電ランプは、前記絶縁要素の数、費用及び効果の間の特に良好な妥協を構成することが分かった。
【0013】
前記絶縁要素は、有利には、相互接続されている。材料自体の接続、特に、個々の断熱要素の接着及び/又は溶融による接続が、ここで考えられる。特に有利なのは、担体要素による絶縁要素の相互接続である。前記担体要素は、周囲全体が前記上側部分及び/又は前記カバー内にあるように配されている。更に、前記絶縁要素は、前記担体要素上に及び/又は前記担体要素に対して設けられることができる。前記絶縁要素及び前記担体要素は、同一材料からできている及び/又は前記上側部分及び/又は前記カバーに対して射出成形されたものであり得る。前記絶縁要素の位置決め、構造及び材料に関する前記絶縁要素の全ての特徴的なフィーチャ及び詳細は、前記担体要素に対してもあてはまる。前記担体要素は、高電圧接続部から生じる高電圧ブレークダウンの防止に対する更なる貢献をもたらす。
【0014】
このことは、前記絶縁要素が前記カバーの閉方向に延在している前記迷路のチャネル内に配されている場合、特に有利である。前記絶縁要素が、前記カバーの閉方向に延在する前記迷路のチャネル内に配されている場合、前記絶縁要素の変形から生じる力は、前記カバーを前記上側部分に対して保持するように有効になる。
【0015】
更に、前記カバー及び前記上側部分の規定されている設計によって前記迷路を延長することも、便利であり得る。この目的のために、前記上側部分は、前記開口の円周において前記開口を包囲している第1のカラー要素を有し得る。更なる実施例において、ランプキャップ要素は、前記開口内に配されており、前記要素は、前記カバーの閉方向と反対の方向において前記開口内に延在していることが提供され得る。高電圧を担持している接続部は、前記ランプキャップ要素の自由端において延在していても良い。
【0016】
更に、前記開口に一致する閉要素が前記カバーに設けられることが考えられる。前記カバーは、第2のカラー要素を更に有し得る。このことは、前記第2のカラー要素が、前記閉要素を環状に囲んでいる場合、効果的であり得る。前記カバー及び前記上側部分の端部位置において、前記第2のカラー要素及び前記閉要素は、前記第1のカラー要素によって囲まれることができ、又は、代替的には、前記第1のカラー要素は、自身を前記第2のカラー要素と前記閉要素のとの間に挿入することができる。このことは、前記第1のカラー要素の形状は、前記第2のカラー要素及び/又は前記閉要素の形状に対応している場合、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるガス放電ランプの断面図である。
【図2】本発明によるガス放電ランプの第2の実施例の断面図である。
【図3】本発明による高圧ガス放電ランプの第3の実施例の断面図である。
【図4】本発明による高圧ガス放電ランプの第4の実施例断面図である。
【図5】本発明による高圧ガス放電ランプの第5の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の更なる有利な点、特徴及び詳細は、本発明の幾つかの実施例が添付図面を参照して詳細に議論されている以下の記載から明らかになるであろう。添付請求項及び本明細書において述べられている特徴的なフィーチャは、各々、単独か又は何らかの組み合わせかの何れにおいても本発明に対して重要なものになり得る。
【0019】
図1に示される高圧ガス放電ランプ8は、上側部分1及びカバー2を備えているランプキャップハウジング1、2を有している。上側部分1は、この内部に高電圧を担持している接続部4が保持されている開口1.1を有する。開口1.1内に保持されている高電圧接続部4は、コンタクトブリッジ4.3を介して第1のコンタクト4.1と第2のコンタクト4.2との間の接続を達成している。この実施例において、高圧ガス放電ランプ8は、第1のコンタクト4.1によって、接点ブリッジ4.3を介して第2のコンタクト4.2まで接続されており、第2のコンタクト4.2は、ランプキャップハウジング1、2の上側部分1内に設けられている電子点火システム9への接続を確立している。高電圧接続部4は、開口1.1のカバー2から離れている側に配されている。
【0020】
カバー2に配されている閉要素2.1は、カバー2の閉方向7において開口1.1内に保持されている。カバー2及び上側部分1の相互に対向している側間の自由空間が、ここで、迷路3を規定している。絶縁要素5は、迷路3のチャネル3.1内に設けられており、前記チャネルが、カバー2の閉方向7に延在している。上側部分1は、この内部に絶縁要素5が保持されている溝6を有している。上側部分1とカバー2との間の高電圧接続部4の高電圧は、迷路3内に配されている絶縁要素5によって、効果的に遮蔽される。
【0021】
図2は、上側部分1及びカバー2を備える高圧ガス放電ランプ8の更なる実施例を示している。閉要素2.1及び第2のカラー要素2.2の両方が、カバー2に配されている。第2のカラー要素2.2は、閉要素2.1から離間されて位置されており、閉要素2.1を包囲している。上側部分1に設けられている第1のカラー要素1.3は、閉要素2.1と第2のカラー要素2.2との間に形成されている介在空間内の閉方向7と反対の方向に延在している。迷路3は、ここで、閉方向7に延在している2つのチャネル3.1を有する。絶縁要素5は、第1のカラー要素1.3及び第2のカラー要素2.2と接触しているチャネル3.1内に収容されている。ここに記載されているカバー2及び上側部分1の幾何学的配置は、迷路を図1の実施例と比較してより長いものにしており、高電圧接続部の高電圧保護されている状況を改善している。
【0022】
図3は、上側部分1及びカバー2を備える高圧ガス放電ランプ8の更なる実施例を示しており、高電圧を担持している接続部4は、迷路3内で高電圧保護されている態様において開口1.1内の適所に保持される。2つの絶縁要素5は、ここで、第2のカラー要素2.2に面している第1のカラー要素1.3の側部に対して射出成形されている。アセンブリにおいて、絶縁要素5及び上側部分1は、単一の構成要素を形成している。更に、絶縁要素5は、薄板として成形されており、カバー2が閉方向7において開口1.1内に挿入された後にカバー2及び上側部分1に対して力を作用させ、この結果、カバー2は、上側部分1内に確実に保持されている。
【0023】
図4は、上側部分1及びカバー2を備える高圧ガス放電ランプ8の更なる変更の詳細な図であり、高電圧を担持している接続部4は、ランプキャップ要素1.2上の開口1.1内の適所に保持されている。ランプキャップ要素1.2は、閉方向7と反対の方向の方向において上側部分1から外方に延在している。閉要素2.1及び第2カラー要素2.2の両方は、開口1.1内に突出しており、高電圧接続部4を包囲している。第1のカラー要素3.1は、カバー2及び上側部分1の組み立てられた状態において第2のカラー要素2.2を円周方向に包囲するように、上側部分1に配されている。2つの絶縁要素5は、第1のカラー要素1.3及び第2のカラー要素2.2上に当たるように、迷路3の、閉方向7に延在しているチャネル3.1内に位置されている。
【0024】
図5に示されている本発明による高圧ガス放電ランプ8の更なる変形において、上側部分1及びカバー2は、組み立てられた状態において示されており、共通の担体要素5.1によって相互接続されている3つの絶縁要素5は、閉方向7に延在しているチャネル3.1内に設けられている。担体要素5.1は、第2のカラー要素2.2の、第1のカラー要素1.3に面している側に対して整合する形状を有して横たわっている。第2のカラー要素2.2の絶縁特性は、これにより第2のカラー要素2.2における高電圧のブレークダウンを回避するように、向上される。絶縁要素5及び担体要素5.1は、ここで同じ材料からできており、このことは、絶縁要素5及び担体要素5.1が、1つの工程のステップにおいてカバー2に射出成形されることを意味する。更なる変形において、2Kの射出成形工程においてランプキャップハウジング1、2に対して絶縁要素5及び担体要素5.1を設けることも考えられる。
【符号の説明】
【0025】
1 上側部分
1.1 開口
1.2 ランプキャップ要素
1.3 第1のカラー要素
2 カバー
2.1 閉要素
2.2 第2のカラー要素
3 迷路
3.1 チャネル
4 高電圧を担持している接続部
4.1 第1のコンタクト
4.2 第2のコンタクト
4.3 コンタクトブリッジ
5 絶縁要素
5.1 担体要素
6 溝
7 閉方向
8 高圧ガス放電ランプ
9 電子点火システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側部分及びカバーを有する、ランプキャップハウジング内に配されている電子点火システムを備える、照明装置のための、特に自動車のヘッドライトユニットのための、高圧ガス放電ランプであって、前記上側部分は、開口を備えており、前記開口内には前記高圧ガス放電ランプと前記電子点火システムとの間に高電圧を担持している接続部が設けられており、前記カバーは、前記開口内に突出しており、前記開口を絶縁する態様において閉じており、前記上側部分及び前記カバーの交互に面している表面は、絶縁要素によって遮断されている迷路を形成している、ガス放電ランプ。
【請求項2】
前記絶縁要素は、円周方向に閉じられたリングを形成しており、特に、円周方向における閉リングの基本的な形状は、円形、楕円形又は長方形であることを特徴とする、請求項1に記載の高圧ガス放電ランプ。
【請求項3】
前記絶縁要素が、多角形、丸い又は楕円形の直径形状のうちの少なくとも1つを有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高圧ガス放電ランプ。
【請求項4】
前記絶縁要素が、弾性の閉リングとして、特に弾性ポリマから構成されることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載のガス放電ランプ。
【請求項5】
特に、前記上側部分に対して及び/又は前記カバーに対して、射出成形された絶縁要素が設けられることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の高圧ガス放電ランプ。
【請求項6】
前記上側部分及び/又は前記カバーは、前記迷路内に溝を備えており、前記溝内には、前記絶縁要素が着脱可能に固定されていることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の高圧ガス放電ランプ。
【請求項7】
前記絶縁要素の輪郭は、薄膜形状を有しており、従って前記カバーを前記上側部分に対して保持する力を生成することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の高圧ガス放電ランプ。
【請求項8】
前記絶縁要素は、前記カバー及び前記上側部分の両方に対して前記迷路内に力を作用させることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか一項に記載のガス放電ランプ。
【請求項9】
前記絶縁要素は、0.5≦x≦4mmの断面の直径を有することを特徴とする、請求項1乃至8の何れか一項に記載の高圧ガス放電ランプ。
【請求項10】
少なくとも2つの前記絶縁要素は、前記迷路内に配されており、特に、前記絶縁要素が相互接続されていることを特徴とする、請求項1乃至9の何れか一項に記載のガス放電ランプ。
【請求項11】
前記絶縁要素は、前記カバーの閉方向に延在している前記迷路のチャネル内に配されていることを特徴とする、請求項1乃至10の何れか一項に記載のガス放電ランプ。
【請求項12】
前記上側部分が、前記開口を円周方向に包囲している第1のカラー要素を有していることを特徴とする、請求項1乃至11の何れか一項に記載のガス放電ランプ。
【請求項13】
前記上側部分に設けられているランプキャップ要素が前記開口内に配されていることを特徴とする、請求項1乃至12の何れか一項に記載のガス放電ランプ。
【請求項14】
前記開口に一致する閉要素が、前記カバーに設けられていることを特徴とする、請求項1乃至13の何れか一項に記載のガス放電ランプ。
【請求項15】
前記カバーは、特に、前記ランプキャップ要素と前記第1のカラー要素との間に延在している第2のカラー要素を有していることを特徴とする、請求項1乃至14の何れか一項に記載の高圧ガス放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−521410(P2011−521410A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509060(P2011−509060)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051895
【国際公開番号】WO2009/138926
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】