説明

照明装置付き拡大鏡

【課題】拡大レンズによって拡大されている範囲全体を明るく照明する。
【解決手段】拡大レンズ2と、拡大レンズ2の周囲に装着された環状の照明装置3と、を備えた照明装置付き拡大鏡1において、照明装置は、中心部に拡大レンズ2が嵌め込まれる貫通穴が形成されていると共に光照射方向に開口部が形成された環状のケーシング30と、ケーシング30内の同一面上に取り付けられた複数の指向性の強い点光源36と、ケーシング30の開口部を塞ぐように取り付けられた光導通反射板31とを備え、ケーシング30及び光導通反射板31は反射率の高い部材で形成され、光導通反射板31は、点光源36からの距離が長くなるに従って光の透過率が上昇し、光の反射率が低下するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置付き拡大鏡に関し、詳しくは、光源に点光源を用いて、複数の点光源からの光を略均一な照明光にして対象物を照射する照明装置付き拡大鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、照明装置として白熱電球や蛍光灯に代わり、発光ダイオード(以下、LEDと書く)やレーザーダイオードのような指向性の強い点光源が用いられるようになってきている。LEDは、白熱電球や蛍光灯と比較して、使用電力が小さく、また寿命も長い。
【0003】
点光源を用いた照明装置は既に様々なものに利用されており、例えば拡大鏡用の照明装置として用いられている。下記特許文献1(特表2005−525589号公報)には、拡大鏡の周囲に複数の変色可能なカラーLEDを、拡大鏡の光軸と平行な方向に向くよう設置し、様々な色温度に設定できるよう構成された色制御スイッチによりカラーLEDの照度を調整する照明装置つき拡大鏡の技術が開示されている。
【0004】
下記特許文献1に開示されている照明装置つき拡大鏡を図7を用いて説明する。ここで、図7は特許文献1に開示されている拡大鏡の平面図である。図7に示されるように、拡大鏡101には、拡大レンズ102の周囲に設けられた環状ホルダー103に、LED群104が直接取り付けられており、スイッチ105を操作することによってLEDの照度を調節することができ、様々な色温度に設定することができる。
【0005】
また、下記特許文献2(特開2007−187940号公報)には、拡大鏡の片面の外枠に複数の点光源を設けた照明器具が取り付けてあり、該複数の点光源の光軸を拡大鏡中心軸の焦点近傍方向に指向させて集光するよう構成された拡大鏡によって拡大された部分を照明する装置の技術が開示されている。
【0006】
下記特許文献2に開示されている拡大部を照明する装置を図8を用いて説明する。ここで、図8Aは特許文献2に開示されている拡大部を照明する装置の上面図、図8Bは図8AにおけるVIIIB−VIIIB線での断面図である。図8に示されるように、拡大部を照明する装置201には拡大鏡202の外枠に複数の点光源203が取り付けられている。各点光源203は、点光源203の光軸が拡大鏡202の焦点近傍を照射する方向に固定されて取り付けられている。光を照射する方向はある程度調節できる。複数の点光源203の向きを拡大鏡202の焦点近傍方向に指向させることによって、拡大鏡202の焦点近傍に置かれている対象物のみ明るくすることができるとともに、点光源203によって発生する熱を、拡大鏡202の焦点近傍のみに限定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2005−525589号公報
【特許文献2】特開2007−187940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、LEDは指向性が強いため、上記特許文献1に開示されている照明装置つき拡大鏡では、LEDの設置された真下部分が明るくなり、拡大レンズによって拡大された部分は周囲よりも暗くなってしまい、拡大された部分が見えにくいという問題点があった。また、上記特許文献2に開示されている拡大部照明装置では、拡大鏡の焦点近傍は明るいが、LEDは指向性が強いために焦点近傍しか明るくならず、対象物が小さい場合は問題ないが、対象物が大きい場合、視認したい範囲全体を照明することができないという問題点があった。
【0009】
また、LEDは指向性が強いために、LEDからの光を直接照明として利用すると、照明範囲中に照度差が生じ、不快な眩しさ、いわゆるグレアが発生してしまう。このため、上記特許文献2に開示された発明を用いて光反射率の高い対象物を見た場合、対象物がLEDからの強い光を反射することによりグレアが発生し、目視することが困難であった。
【0010】
さらに、上記特許文献1、2共に、LEDが外部に直接取り付けられているため、LEDが点灯しているときに誤ってLEDから出た光を直接見てしまう可能性があり、網膜を傷つけるなどの危険があった。
【0011】
本願発明者は上記問題を解消すべく、種々検討を重ねた結果、点光源をケーシング内に設置し、ケーシングに取り付けた光導通反射板を用いて点光源からの光を面照明へと変換することによって、点光源からの直接光が見えず、拡大鏡で拡大されている範囲全体を均一に照明することが可能な照明装置付き拡大鏡を提供できる本発明を完成するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の照明装置付き拡大鏡は、拡大レンズと、前記拡大レンズの周囲に装着された環状の照明装置と、を備えた照明装置付き拡大鏡において、前記照明装置は、中心部に前記拡大レンズが嵌め込まれる貫通穴が形成されていると共に光照射方向に開口部が形成された環状のケーシングと、前記ケーシング内の同一面上に取り付けられた複数の指向性の強い点光源と、前記ケーシングの前記開口部を塞ぐように取り付けられた光導通反射板とを備え、前記ケーシング及び前記光導通反射板は反射率の高い部材で形成され、前記光導通反射板は、前記点光源からの距離が長くなるに従って光の透過率が上昇し、光の反射率が低下するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記ケーシングは仕切り板によって小室に仕切られ、前記各小室には一つ以上の前記点光源が設けられていることが好ましい。
【0014】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記各小室の形状と大きさとは、全て同一であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記各点光源は前記光導通反射板と対向する面に設けられていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記各点光源は前記光導通反射板に隣接する面に設けられていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記光導通反射板には、光の透過率および光の反射率を調整するための孔が設けられていることが好ましい。
【0018】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記光導通反射板には、前記点光源の光軸上付近には光の透過率及び光の反射率を調整するための非貫通孔が、その周囲には貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0019】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記点光源は、前記各小室の中心よりも内側に設置されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記ケーシング及び前記光導通反射板は、超微細発泡光反射部材で形成されていることが好ましい。
【0021】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記点光源は単数の発光ダイオードまたは複数の発光ダイオード群であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、前記照明装置は、前記光導通反射板側が開口している化粧カバーに収容され、前記開口には前記光導通反射板から所定の距離をあけて拡散板が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
点光源から照射される光は照明範囲が狭く、また、照度も不均一である。この点光源から照射された光を光導通反射板によって照度の均一な面照明へと変換し、拡大レンズで拡大されている範囲全体を照明することによって、拡大レンズで視認される範囲全体を明るくして確認することができる。
【0024】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、ケーシングの内部を小室に仕切ることによって、各点光源による照明範囲が制限され、各点光源の照明範囲が明確になり、照度の均一化が図りやすくなる。
【0025】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、各小室の形状と大きさとを全て同一とすることによって、同一性能の点光源を用い、照明範囲全体の照度を均一にすることができる。
【0026】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、点光源が設置される基板や、点光源同士を繋ぐコネクタを光導通反射板と対向する面側に取り付けることによって、照明装置の高さは高くなってしまうが、外径を小さくすることができ、照明装置付き拡大鏡を小型化できる。また、照明の妨げとならない。
【0027】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、点光源を設置している基板や、点光源同士を繋ぐコネクタを光導通反射板に隣接する面側に取り付けることによって、照明装置の外径は大きくなってしまうが、高さを低くすることができ、照明装置付き拡大鏡を薄型化できる。
【0028】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、カッティングプロッタや打ち抜きなどの簡易な方法で光導通反射板に孔を設けることができる。これにより、容易かつ安価に光の透過率および光の反射率を調整することができる。
【0029】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、光導通反射板における点光源の光軸上付近に非貫通孔を設けることによって、点光源からの直接光が照明装置から出ていかなくなり、直接光を直視することがなくなる。すなわち、光源を直接見て目を傷つける危険性のない、安全性の高い照明装置付き拡大鏡を提供することができる。
【0030】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、点光源を各小室の中心よりも内側に設置することによって、拡大レンズで拡大された範囲全体を均一な照度で照明しやすくなる。
【0031】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、ケーシングおよび光導通反射板を形成する部材として、高光反射率及び低光透過率である超微細発泡光反射部材を用いることによって、点光源から照射された光を損失することなく、高い効率で利用することができる。
【0032】
発光ダイオードは、現在照明として広く使用されている棒状の蛍光灯と比較して、消費電力が小さく、寿命が長い。したがって、光源として発光ダイオードを使用することにより、消費電力が小さく、寿命の長い照明装置を提供することができる。
【0033】
また、本発明の照明装置付き拡大鏡においては、化粧カバーを取り付けることによって、照明装置が外部からの衝撃などから防護される。また、照明装置の前面に拡散板が設けられることによって、照明装置から照射された光を更に均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1Aは本発明の実施例における照明装置付き拡大鏡の外観斜視図、図1Bは図1AにおけるIB−IB断面図である。
【図2】本発明の実施例における照明装置付き拡大鏡の一部分解図である。
【図3】本発明の実施例における照明装置を取り付けた状態とは天地逆としたものの外観斜視図である。
【図4】図3における照明装置の分解斜視図である。
【図5】本発明の実施例における光導通反射板の一部拡大図であり、図4におけるAで囲まれた部分の拡大平面図である。
【図6】図6Aは照明装置3の内側側板部32側に点光源36を配置したものの断面図、図6Bは照明装置3の内側側板部32側に点光源36を配置した場合の光導通反射ユニットの上面図、図6Cは照明装置3の外側側板部33側に点光源36を配置したものの断面図、図6Dは照明装置3の外側側板部33側に点光源36を配置した場合の光導通反射ユニットの上面図である。
【図7】図7は特許文献1に開示されている拡大鏡の平面図である。
【図8】図8Aは特許文献2に開示されている照明装置の上面図、図8Bは図8AにおけるVIIIB−VIIIB線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための照明装置付き拡大鏡を例示するものであって、本発明をこの照明装置付き拡大鏡に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の照明装置付き拡大鏡にも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0036】
以下、図1、図2を参照して本発明の実施例における照明装置付き拡大鏡の概要について説明する。なお、図1Aは本発明の実施例における照明装置付き拡大鏡の外観斜視図、図1Bは図1AにおけるIB−IB断面図、図2は本発明の実施例における照明装置付き拡大鏡の一部分解図である。
【0037】
本実施例における照明装置付き拡大鏡1は、対象物を拡大する拡大レンズ2と、拡大レンズ2の周囲に設置された化粧カバー部4と、化粧カバー部4内に取り付けられた照明装置3と、化粧カバー部4に接続された支持柱5、支持柱5に接続され、照明装置付き拡大鏡1全体を支える台座6とで構成されている。
【0038】
拡大レンズ2には、通常良く使用されている凸レンズやフレネルレンズなどが用いられる。本実施例においては平面視で円形状である直径13.5cmの凸レンズが用いられている。なお、拡大レンズ2の大きさ、形状はこれに限定されるものではない。
【0039】
拡大レンズ2の周囲には中心に拡大レンズ2が取り付けられる直径13.5cmの貫通穴が設けられた、直径21.5cmのドーナツ型の形状である化粧カバー部4が設置されている。化粧カバー部4内には照明装置3が取り付けられている。照明装置3の詳細については後述する。化粧カバー部4は照明装置3の光出射方向側が開口している。
この開口を塞ぐように、開口全体に拡散板を設けてもよい。拡散板を設けることによって、照明装置から照射された照明光が散乱し、より均一な照明光を得ることができる。
【0040】
化粧カバー部4は支持柱5に接続されており、支持柱5は台座6に接続されている。台座6は矩形状である。支持柱5は拡大レンズ2の焦点位置を調節できるよう、可撓性がある部材で構成されている。また、台座6の代わりにクリップを取り付け、机などの端にかませられるようにし、様々な場所に固定できるようにしてもよい。
【0041】
化粧カバー部4、支持柱5、台座6は金属やプラスチック、カーボンファイバーなど一定の強度を持った物質で形成されている。化粧カバー部4と支持柱5、支持柱5と台座6とはネジやナットなどで機械的に接合したり、溶着などで接合したりされている。
【0042】
図3、図4を参照して本発明の実施例における照明装置3について説明する。なお、図3は本発明の実施例における照明装置を取り付けた状態とは天地逆としたものの外観斜視図、図4は図3における照明装置の分解斜視図である。
【0043】
照明装置3は、指向性の強い複数の点光源36と、点光源36が設置されている基板7(図2参照)と、点光源36を配置するための孔を設けた平板部35と平板部35から垂直に立設されている外側側板部33、内側側板部32、および仕切り板34とで構成され、平板部35と対向する面は開口しているケーシング30と、外側側板部33、内側側板部32、および仕切り板34とに支持され、開口を閉塞するよう取り付けられた光導通反射板31とで構成されている。
【0044】
ケーシング30の平板部35、外側側板部33、内側側板部32および仕切り板34と、光導通反射板31には光反射率が高く、かつ、光透過率が低い部材を用いるのが望ましい。例えば超微細発泡光反射部材(MCPET:光反射率98%、光透過率1%、光吸収率1%)や、チタンホワイトの微粒子をエマルジョン化したものなどである。
【0045】
点光源36には発光ダイオードやレーザダイオードが単体のものまたは複数集合したものが用いられている。本実施例では点光源36は、点光源36の光軸と拡大レンズ2の光軸とが平行であり、また、対象物方向を向いた状態に配置されている。
【0046】
点光源36は基板7に設置されている。点光源36に熱がこもらないよう、基板7は熱伝導性の高い部材、例えばアルミニウムなどで構成されている。本実施例に用いられている基板7はアルミニウムの上に絶縁材、絶縁材の上に銅箔によって電気接続部が構成されたアルミニウム基板を用いている。これ以外に、単にアルミニウム板にフレキシブルプリント基板を取り付けたものなどでもよい。
【0047】
ケーシング30の平板部35の形状は外周の一辺の長さが3cmである正24角形の多角形の内部から、縮小した相似形状である一辺の長さが1.7cmの小正24角形を同心状にくりぬいた、いわゆるドーナツ形状である。ドーナツ形状の外側には高さ1cmの外側側板部33が垂直に立設され、内側には高さ1cmの内側側板部32が垂直に立設されている。また、仕切り板34は、平板部35を12等分するように、平板部35から垂直に立設されている。仕切り板34の高さも外側側板部33、内側側板部32同様1cmである。この外側側板部33、内側側板部32、および仕切り板34によって、ケーシング30には小室30〜3012が形成されている。仕切り板34は上縁に鉤爪部(図示省略)を有し、光導通反射板31に設けられている、光透過率を調整するための開口に嵌め込まれることにより、光導通反射板と機械的に接合される。光導通反射板31の詳細な説明は後述する。
【0048】
各小室30〜3012には点光源36が一つずつ配置されている。点光源36は各小室の中心部に配置されているが、各小室の中心部から内側側板部32に近い位置に配置してもよい。内側側板部32に近い位置に配置することによって、点光源36の光が内側にも届きやすくなり、拡大レンズ2で拡大された範囲全体をより均一に照明することができる。
【0049】
以下、図4、図5を参照して本発明の実施例における照明装置付き拡大鏡1に用いられている光導通反射板31について説明する。なお、図5は本発明の実施例における光導通反射板31の一部拡大図であり、図4におけるAで囲まれた部分の拡大平面図である。
【0050】
光導通反射板31は、外側側板部33、内側側板部32および仕切り板34とで支持されている。ケーシング30の開口部を閉塞するように取り付けられた光導通反射板31は、各小室30〜3012に対応するように同じパターンの開口が設けられた光導通反射ユニット31Aが、12個連接されて構成されている。
【0051】
光導通反射ユニット31Aには、点光源36の真上部分を中心として光導通反射板に同心状に溝が切られた弧状溝で構成された中央反射部31aと、その外側に設けられ、貫通した円形孔で構成された外方反射部31bとが設けられている。弧状溝や円形孔は打ち抜きやカッティングプロッタによって形成される。光導通反射ユニット31Aに設けられた開口の大きさは、中心から離れるに従って、所定領域に対する開口の面積の割合が大きくなるように設定される。外方反射部31bの外側には、仕切り板34に設けられている鉤爪部が嵌め込まれる開口Sが設けられている。点光源36の真上部分付近に設けられた弧状溝は非貫通にしてもよい。点光源36の真上部分付近に設けられた弧状溝を非貫通にすることによって、点光源36からの直接光が照明装置から出ていかなくなり、直接光を直視することがなくなる。
【0052】
弧状溝の幅、長さと円形孔の大きさは、詳しくは、所定領域に対する開口面積の割合をA、光導通反射ユニット31Aの中心からの距離をxとし、bおよびcを定数とすると、概略
A=bx+c ―――――(1)
の関係式を満たすように設定される。
また、中央反射部31aの中心部分を非貫通孔とすることにより、点光源36からの光が直接出てこなくなり、いわゆるグレアの発生が防止できる。また、弧状溝は弧状である必要はなく、(1)式を満たす幅、長さであれば、同心の多角形状の溝などであってもよい。さらに、外方反射部31bに設けられている円形孔は円形である必要はなく、(1)式を満たす大きさであれば三角形や四角形、星型など、どんな形状であってもよい。
【0053】
また、本実施例では光導通反射板31に設ける開口の配置を平面視で俵積み状に互い違いに配置したが、直交格子状や、六方格子状に配置してもよい。
【実施例2】
【0054】
次に、図6を参照して本発明の変形例を説明する。なお、図6Aは照明装置3の内側側板部32側に点光源36を配置したものの断面図、図6Bは照明装置3の内側側板部32側に点光源36を配置した場合の光導通反射ユニット31Bの上面図、図6Cは照明装置3の外側側板部33側に点光源36を配置したものの断面図、図6Dは照明装置3の外側側板部33側に点光源36を配置した場合の光導通反射ユニット31Cの上面図である。
【0055】
図6A、図6Cに示されるように、これらの実施例では点光源36を内側側板部32若しくは外側側板部33に取り付け、いわゆるエッジ型の照明装置としている。この場合、光導通反射ユニット31B、31Cに設ける孔の大きさは、図6B、図6Dに示すように、点光源36に近いところから順に大きくなっていくよう形成されている。また、点光源36としてLEDを用いており、LEDは指向性が強いため、点光源36からの距離が等しくとも、LEDの光軸からの傾きが大きい点と小さい点とで照度が異なってしまう。従って、光源からの距離だけでなく、光軸からの傾きが大きくなるに従って、孔の大きさを大きくするよう形成されている。
【0056】
上記のように、点光源36を平板部35ではなく、内側側板部32や外側側板部33に取り付けることによって、点光源36を取り付けている基板や、光源のアダプタ(図示せず)も側面に置くことができ、照明装置3を薄型にできる。
【0057】
以上本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成を取ることができる。
例えば、拡大レンズ2の形状は、長方形状、楕円形状などを選択することができる。拡大レンズ2の形状によって、拡大レンズ2の周囲を覆っている化粧カバー部4、化粧カバー部4内に設置されている照明装置3の形状も変更される。つまり、拡大レンズ2の形状が長方形状であれば化粧カバー部4、照明装置3の形状も長方形状とし、拡大レンズ2の形状が楕円形状であれば化粧カバー部4、照明装置3の形状も楕円形状とする。
また、拡大レンズ2のサイズを小さくし、支持柱5に代えて持ち手部分とすることで、手持ち型の照明装置付き拡大鏡とすることもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 照明装置付き拡大鏡
2 拡大レンズ
3 照明装置
32 内側側板部
33 外側側板部
34 仕切り板
35 平板部
36 点光源
4 化粧カバー部
5 支持柱
6 台座
7 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大レンズと、前記拡大レンズの周囲に装着された環状の照明装置と、を備えた照明装置付き拡大鏡において、
前記照明装置は、中心部に前記拡大レンズが嵌め込まれる貫通穴が形成されていると共に光照射方向に開口部が形成された環状のケーシングと、前記ケーシング内の同一面上に取り付けられた複数の指向性の強い点光源と、前記ケーシングの前記開口部を塞ぐように取り付けられた光導通反射板とを備え、
前記ケーシング及び前記光導通反射板は反射率の高い部材で形成され、
前記光導通反射板は、前記点光源からの距離が長くなるに従って光の透過率が上昇し、光の反射率が低下するように構成されていることを特徴とする照明装置付き拡大鏡。
【請求項2】
前記ケーシングは仕切り板によって小室に仕切られ、
前記各小室には一つ以上の前記点光源が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置付き拡大鏡。
【請求項3】
前記各小室の形状と大きさとは、全て同一であることを特徴とする請求項2に記載の照明装置付き拡大鏡。
【請求項4】
前記各点光源は前記光導通反射板と対向する面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置付き拡大鏡。
【請求項5】
前記各点光源は前記光導通反射板に隣接する面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置付き拡大鏡。
【請求項6】
前記光導通反射板には、光の透過率および光の反射率を調整するための孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置付き拡大鏡。
【請求項7】
前記光導通反射板には、前記点光源の光軸上付近には光の透過率及び光の反射率を調整するための非貫通孔が、その周囲には貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の照明装置付き拡大鏡。
【請求項8】
前記点光源は、前記各小室の中心よりも内側に設置されていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置付き拡大鏡。
【請求項9】
前記ケーシング及び前記光導通反射板は、超微細発泡光反射部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置付き拡大鏡。
【請求項10】
前記点光源は単数または複数の発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の照明装置付き拡大鏡。
【請求項11】
前記照明装置は、前記光導通反射板側が開口している化粧カバーに収容され、前記開口には前記光導通反射板から所定の距離をあけて拡散板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置付き拡大鏡。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−222297(P2011−222297A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90238(P2010−90238)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(500420476)株式会社オプトデザイン (48)
【Fターム(参考)】