照明装置及び電子機器
【課題】信頼性の高い照明装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】並列接続された複数の発光素子31と、複数の発光素子31の陽極側に接続された共通の陽極配線51(陽極分岐配線51a)と、複数の発光素子31の陰極側に接続された共通の陰極配線52(陰極分岐配線52a)と、を有し、発光素子31と陽極配線51との間、及び、発光素子31と陰極配線52との間、の少なくとも一方にヒューズとして機能するヒューズ配線60が設けられている。
【解決手段】並列接続された複数の発光素子31と、複数の発光素子31の陽極側に接続された共通の陽極配線51(陽極分岐配線51a)と、複数の発光素子31の陰極側に接続された共通の陰極配線52(陰極分岐配線52a)と、を有し、発光素子31と陽極配線51との間、及び、発光素子31と陰極配線52との間、の少なくとも一方にヒューズとして機能するヒューズ配線60が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの表示面上に配置して表示面を照明する照明装置であるフロントライトが知られている。一般的に、フロントライトは、反射型の表示パネルに用いられており、外光が十分にある場合には消灯して透明板となり、透明板状態のフロントライトを透過して、外光による反射表示を行うものが多い。このため、透過型の表示パネルに多用されており、外光の有無に拘わらず点灯しているバックライトよりも、消費電力を低減することができると言われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、反射型液晶表示装置の上方に、ITO(Indium Thin Oxide:インジウム錫酸化物)等の透明導電材料からなる陽極と、陽極上に設けられた有機EL層と、有機EL層上に設けられたアルミニウム等の金属からなる陰極(反射膜)とを有する有機EL素子を光源として備えたフロントライト(有機EL装置)が示されている。
【0004】
なお、フロントライトとして用いられる有機EL装置は、開口率を大きくしたり、コストを抑制したりするために、有機EL素子が並列接続されているパッシブ型を採用することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−17720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パッシブ型の有機EL装置の場合、有機EL素子が1つでも壊れる(故障する)と、その故障モードは略ショート状態となり、この部分に通常の駆動電流に比べて非常に大きな電流が流れることになる。よって、ショートした以外の有機EL素子に電流が流れにくいことから、全体に発光しなくなるという問題がある。つまり、フロントライトとして発光が維持できないという課題があった。
【0007】
また、このようなフロントライトが市場で使われた場合、有機EL素子が壊れると有機EL素子が発光しないため、交換しなければならないという問題があった。つまり、フロントライトとしての信頼性が低いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る照明装置は、並列接続された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の陽極側に接続された共通の陽極配線と、前記複数の発光素子の陰極側に接続された共通の陰極配線と、を有し、前記発光素子と前記陽極配線との間、および/または、前記発光素子と前記陰極配線との間、にヒューズとして機能するヒューズ配線が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、複数の発光素子が並列接続されており、更に、発光素子がヒューズ配線と(直列に)接続されているので、発光素子がショートした場合、その部分に流れる電流が大きくなると(過電流)、ヒューズ配線が断線する。よって、ショートした部分のみに電流が流れることにより、複数の発光素子全体が同時に発光しなくなることを防ぐことが可能となり、良品の発光素子に電流を流すことができる。その結果、残った複数の発光素子によって引き続き発光を継続することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係る照明装置において、前記ヒューズ配線は、前記陽極配線及び前記陰極配線より断面積が小さく形成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ヒューズ配線の断面積が、陽極配線や陰極配線より小さく形成されているので、ヒューズ配線の抵抗を大きくすることが可能となり、発光素子がショートしたときなど、その部分が過電流となった場合に、ヒューズ配線を発熱させ断線させることができる。これにより、ショートした部分のみに電流が流れることを防ぐことが可能となり、ショートした発光素子を除く良品の発光素子に電流を流すことができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る照明装置において、前記ヒューズ配線の材料は、アルミニウム、銀、すず、鉛、又は少なくともこれらを主成分とする合金であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、上記に記載の材料を用いるので、ヒューズ配線の温度が上昇することにより溶断しやすい。よって、発光素子がショートした場合、その発光素子に接続されているヒューズ配線が溶断し、その部分のみに電流が流れることを防ぐことができる。
【0015】
[適用例4]上記適用例に係る照明装置において、前記ヒューズ配線は、前記陽極配線及び前記陰極配線より低融点材料であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、陽極配線及び陰極配線より低融点材料であるヒューズ配線を用いるので、ヒューズ配線の温度が上昇すれば、陽極配線及び陰極配線より先に溶断する。よって、発光素子がショートした場合、ショートした部分のみに電流が流れることを防ぐことができる。
【0017】
[適用例5]本適用例に係る照明装置は、透明基板と、前記透明基板上に形成された複数本の透明な陽極配線及び陰極配線と、前記陽極配線と前記陰極配線との間に並列接続された順方向電流により発光する複数の発光素子と、を備え、前記陽極配線と前記発光素子との間、及び、前記陰極配線と前記発光素子との間、の少なくとも一方にヒューズ配線が形成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、複数の発光素子が並列接続されており、更に、発光素子がヒューズ配線と(直列に)接続されているので、発光素子がショートした場合、その部分に流れる電流が大きくなると(過電流)、ヒューズ配線が断線する。よって、ショートした部分のみに電流が流れることにより、複数の発光素子全体が同時に発光しなくなることを防ぐことが可能となり、良品の発光素子を除く複数の発光素子に電流を流すことができる。その結果、残った複数の発光素子によって引き続き発光を継続することができる。
【0019】
[適用例6]上記適用例に係る照明装置において、液晶パネルの表示面上に配置されるフロントライトであることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、フロントライトとして液晶パネルの表示面上に配置されるので、反射型の液晶パネルにおいて、外光が十分に得られない場合でも、フロントライトから光を供給することが可能となり、表示品質を向上させることができる。
【0021】
[適用例7]本適用例に係る電子機器は、上記した照明装置を備えることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、複数の発光素子が同時に発光しなくなることを防ぎ、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の照明装置としての有機EL装置、及び有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型液晶装置の構造を示す模式断面図。
【図2】図1に示す有機EL装置のA部を拡大して示す拡大断面図。
【図3】照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図4】有機EL装置にショート不良が発生したときの状態を示す等価回路図。
【図5】ショート不良の部分が修復された状態を示す等価回路図。
【図6】有機EL装置の構造を示す模式平面図。
【図7】図6に示す有機EL装置のC部を拡大して示す模式拡大図。
【図8】図7に示す有機EL装置のD−D'線に沿う模式断面図。
【図9】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図10】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図11】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図12】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図13】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図14】有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0025】
(第1実施形態)
<照明装置を有する反射型液晶装置の構成>
図1は、照明装置としての有機EL装置、及び有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型液晶装置の構造を示す模式断面図である。図2は、図1に示す有機EL装置のA部を拡大して示す拡大断面図である。以下、反射型液晶装置及び有機EL装置の構造を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0026】
反射型液晶装置10は、反射型の液晶パネル11と、液晶パネル11の表示面上に配置される照明装置(フロントライト)としての有機EL装置12とを組み合わせた装置である。具体的には、反射型液晶装置10は、観察者14側から照射される外光(後述する有機EL装置12(フロントライト)内で生じる光)を反射して、観察者14にカラー画像を表示することができる。
【0027】
反射型の液晶パネル11は、素子基板15と、対向基板16と、素子基板15と対向基板16との間に挟持された液晶層17とを有する。素子基板15の液晶層17側(以下、「上側」あるいは「上層」と称する。)には、TFT(Thin Film Transistor)18と、各々のTFT18に対応する画素電極19が規則的に形成されている。
【0028】
画素電極19の上層には、第1配向膜21が形成されている。液晶層17は、第1配向膜21と後述する第2配向膜22とによって挟持されている。なお、反射型の液晶パネル11であるので、素子基板15は、透明性を要しない。よって、プラスチック等の不透明材料からなる基板を用いることもできる。
【0029】
画素電極19は、反射性を有しており、液晶層17側から照射される光を反射光Rとして液晶層17の方向に反射する。なお、かかる反射性は、画素電極19自体を反射性材料で形成してもよく、また、ITO等の透明導電性材料で形成された画素電極19と、アルミニウム等からなる反射層とを組み合わせてもよい。
【0030】
TFT18と画素電極19とは、層間絶縁層23で隔てられており、コンタクトホールを介して電気的に接続されている。また、TFT18は、周辺回路(図示せず)で制御されており、対応する画素電極19に任意の電圧を印加することができる。
【0031】
対向基板16は、ガラス等の透明性材料からなる基板である。対向基板16は、シール材(図示せず)を介して、素子基板15と平行、すなわち全域で等間隔となるように配置されている。対向基板16の液晶層17側の面には、カラーフィルター層24と、対向電極25と、第2配向膜22とが、対向基板16側から順に配置されている。そして、対向基板16における液晶層17側と反対側の面には、偏光板26が配置されている。
【0032】
カラーフィルター層24は、平面視で画素電極19に対応するカラーフィルター24aと、隣り合うカラーフィルター24a間に形成された遮光層(ブラックマトリクス)24bとを有する。本実施形態のカラーフィルター層24は、赤色カラーフィルターと、緑色カラーフィルターと、青色カラーフィルターとを備えている。また、対向電極25は、ITO等の透明導電材料からなる。
【0033】
このような構成の反射型液晶装置10は、液晶パネル11の表示面上に有機EL装置12(フロントライト)が配置されているので、液晶パネル11に充分な光を照射することができる。なお、フロントライトは、表示に影響を及ぼさないように発光素子の面積が小さく形成されている(発光素子が反射膜を有するため)。このため、所定の輝度を得るためには大電流を流す必要がある。以下、このような照明装置(フロントライト:有機EL装置12)の構造を簡単に説明する。
【0034】
照明装置としての有機EL装置12は、図1及び図2に示すように、複数の発光素子31が透明基板32の面上に配列された構成となっている。詳述すると、有機EL装置12は、透明基板32と、透明基板32の上層(観察者14側)に設けられた発光素子31と、発光素子31の上方に設けられた封止構造33とを備えている。
【0035】
詳述すると、図2に示すように、発光素子31は、陽極35と、陽極35上に設けられた発光機能層36と、発光機能層36上に設けられた陰極37とを有する。なお、陰極37としては、アルミニウム(Al)等の反射導電性を有する材料が用いられる。具体的には、陰極37の反射性により、発光機能層36内で生じるEL光Lが液晶パネル11の方向に照射される。そして、このEL光Lが個々の画素電極19で反射されることにより、観察者14に対する画像が形成される。なお、図2に示す領域が発光領域であり、その周囲に反射光Rを透過する透過領域が設けられている。
【0036】
発光機能層36は、陽極35側から順に、正孔注入層41と、正孔輸送層42と、発光層43と、電子輸送層44と、電子注入層45とを有して積層されている。
【0037】
正孔注入層41は、陽極35からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。正孔輸送層42は、陽極35から正孔注入層41を介して注入された正孔を発光層43まで輸送する機能を有するものである。
【0038】
発光層43は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。陽極35と陰極37との間に電圧を印加することによって、発光層43には、正孔輸送層42から正孔が、また、電子輸送層44から電子が注入され、発光層43においてこれらが再結合したときに発光が行われる。本実施形態では、白色光を発光する。
【0039】
電子輸送層44は、陰極37から電子注入層45を介して注入された電子を発光層43に輸送する機能を有するものである。電子注入層45は、陰極37からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
【0040】
また、発光機能層36と封止構造33との間には、陰極37と、透明層46と、半透過反射層47とからなる光干渉層48が設けられている。透明層46は、例えば、フッ化リチウム(LiF)等からなる。半透過反射層47は、例えば、アルミニウム(Al)等からなる。この光干渉層48により、例えば、外光が反射した反射光を低減している。
【0041】
上記した陰極37の反射性は、周辺光、すなわちEL光L以外の観察者14側から照射される光に対しても発揮される。周辺光がある場合、陰極37による反射光(画素電極19による反射光R以外の反射光)が、画像を形成する光とは別の光として観察者14側に照射される。本実施形態では、発光素子31の観察者14側に光干渉層48が設けられているので、外部からの反射光(反射光R以外の反射光)が低減される。
【0042】
封止構造33は、外部からの水分等の浸入を抑制して、発光素子31を保護するために設けられたものである。封止構造33の材料としては、シリコン酸窒化膜(SiON)、シリコン窒化膜(SiN)等の耐水性を有するものが挙げられる。また、封止構造33として、樹脂材料を用いてもよく、更には、最外面にガラス基板等が接着されていてもよい。
【0043】
<照明装置の構成>
図3は、照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。図4は、有機EL装置にショート不良が発生したときの状態を示す等価回路図である。図5は、ショート不良の部分が修復された状態を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成及び動作を、図3〜図5を参照しながら説明する。
【0044】
図3に示すように、有機EL装置12は、直流電力を供給する直流電源50を電源とする。また、有機EL装置12は、直流電源50の陽極と接続された陽極配線51と、直流電源50の陰極と接続された陰極配線52とを有する。陽極配線51と陰極配線52とは、それぞれが櫛歯状に分岐されており、互い違いになるように配置されている。陽極配線51から分岐された配線を、陽極分岐配線51aと称する。また、陰極配線52から分岐された配線を、陰極分岐配線52aと称する。
【0045】
そして、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に、順方向電流により発光する複数の発光素子31が設けられている。言い換えれば、複数の発光素子31は、共通の陽極分岐配線51aと共通の陰極配線52aとの間に並列接続されている。なお、発光素子31は、等価的にダイオードとみなすことができる。
【0046】
詳述すると、並列に接続された複数の発光素子31は、陽極35(アノード)が陽極分岐配線51a側と接続され、陰極37(カソード)が陰極分岐配線52aと接続され、陽極35と陰極37との間に発光機能層36が設けられている。
【0047】
陽極分岐配線51aと発光素子31との間には、ヒューズとして機能するヒューズ配線60が設けられている。具体的には、ヒューズ配線60の一方が陽極分岐配線51aと電気的に接続されており、ヒューズ配線60の他方が発光素子31を構成する陽極35と電気的に接続されている。
【0048】
ヒューズ配線60の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、すず(Sn)、鉛(Pb)、又は少なくともこれらを主成分とする合金が用いられる。また、陽極分岐配線51a及び陰極分岐配線52aの材料と比較して、低融点材料であることが好ましい。ヒューズの形成方法としては、例えば、公知の成膜技術及びエッチング技術を用いる。
【0049】
次に、図3を参照しながら、有機EL装置12の動作について説明する。まず、直流電源50がオン状態になると、直流電源50から陽極配線51に電力(正極の電力)が供給され、そして、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に設けられた発光素子31が発光する。発光素子31は、発光機能層36に流れる電流量に応じた輝度で発光する。
【0050】
ここで、有機EL装置12に配置された複数の発光素子31の個数を「n」とする。1つの発光素子31に流れる電流は、陽極配線51に流れる電流を「I」とすると、「I/n」となる。
【0051】
次に、図4を参照しながら、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に接続された複数の発光素子31のうち、B部の発光素子31がショートした場合の有機EL装置12の状態を説明する。
【0052】
まず、直流電源50がオン状態になると発光素子31が発光する。そして、例えば、複数の発光素子31のうちB部の発光素子31が故障したとする。故障モードとしては、略ショート状態となり、発光素子31の部分が単なる配線部となった状態となる。
【0053】
よって、B部の発光素子31の抵抗が無くなるので、他の発光素子31の部分と比較して、B部に電流が流れやすくなる。B部に流れる電流は、ショートする前に流れていた電流「I/n」のn倍であり「I」となる。つまり、B部に電流が集中して流れるので、他の部分に電流が流れにくくなり、他の部分の発光素子31が発光しなくなる。
【0054】
一方、図5を参照しながら、ショート不良となったB部が自己修復された状態の有機EL装置12を説明する。上記したように、B部に流れる電流が大きくなると、陽極分岐配線51aと陽極35との間に設けられたヒューズ配線60が発熱する。発熱したヒューズ配線60は、設定された温度以上になると、溶解し断線する。なお、ヒューズ配線60は、正常の発光状態であれば断線しないように設定されている。
【0055】
このように、複数の発光素子31において、陽極分岐配線51aと陽極35との間にヒューズ配線60を設けることにより、ある部分(B部)がショートした場合でも、有機EL装置12全体が発光しなくなることを防ぎ、ショートした部分を除くその他複数の発光素子31(良品の発光素子31)によって発光させることができる。その結果、引き続き発光を継続することができる。
【0056】
図6は、有機EL装置の構造を示す模式平面図である。図7は、図6に示す有機EL装置のC部を拡大して示す模式拡大図である。図8は、図7に示す有機EL装置のD−D'線に沿う模式断面図である。なお、図8は、光干渉層、封止構造等の図示は省略する。以下、有機EL装置の構造を、図6〜図8を参照しながら説明する。
【0057】
図6に示すように、有機EL装置12は、発光素子31が所定の間隔をもって規則的に配置されている発光領域53と、発光領域53の周囲の領域である周辺領域54とを有している。
【0058】
発光領域53は、液晶パネル11に対してEL光Lを照射する領域であり、液晶パネル11において画像が形成される領域に対応する領域である。発光領域53内には、帯状の陽極分岐配線51aと、帯状の陰極分岐配線52aとが、交互にかつ略平行に配置されている。
【0059】
具体的には、陽極分岐配線51a(陽極配線51)と陰極分岐配線52a(陰極配線52)との双方は、共に透明導電性材料であるITOで形成されており、液晶パネル11において形成される画像の視認性には影響を及ぼさない。
【0060】
図7及び図8に示すように、発光素子31は、平面視で陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に設けられており、発光素子31を構成する陽極35と陽極分岐配線51aとを接続するヒューズ配線60を含んで構成されている。
【0061】
発光素子31は、陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52aが延在する第1方向、かつ、第1方向と直交する第2方向に、複数設けられている(図6参照)。言い換えれば、発光素子31が、発光領域53内においてマトリクス状に設けられている。
【0062】
詳述すると、発光素子31を構成する陽極35は、透明基板32上の陽極分岐配線51a及び陰極分岐配線52aと間隔をおいて、平面視で島状(パッド状)に設けられている。陽極35と陽極分岐配線51aとは、透明基板32上に設けられたヒューズ配線60を介して電気的に接続されている。
【0063】
なお、ヒューズ配線60の断面積は、陽極分岐配線51a及び陰極分岐配線52aの断面積より小さくなっている。ここでは、発光素子31を平面視した際、ヒューズ配線60の幅Wは、陽極分岐配線51a及び陰極分岐配線52aの幅より細くなっている。
【0064】
陽極35及びヒューズ配線60の周囲は、絶縁膜55が設けられている。陰極分岐配線52a上の一部の領域には、絶縁膜55によって形成された開口部61が設けられている。陽極35上には、平面視で島状(パッド状)の発光機能層36が設けられている。発光機能層36の周囲は、絶縁膜55が設けられている。
【0065】
そして、図8に示すように、発光機能層36の周辺から陰極分岐配線52a上の開口部61の周辺に亘って、陰極分岐配線52aと電気的に接続されたアルミニウム(Al)等からなる陰極37が設けられている。
【0066】
以上のように、発光素子31は、ヒューズ配線60を介して陽極35と陽極分岐配線51aとが電気的に接続されており、陰極37と陰極分岐配線52aとが電気的に接続されている。よって、直流電源50がオン状態になると、陽極配線51を介して陽極分岐配線51aに電力(正極の電力)が供給され、発光素子31、陰極分岐配線52a、陰極配線52に電流が流れる。そして、順方向接続された複数の発光素子31が発光する。
【0067】
上記したように、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に複数の発光素子31が並列接続されており、更に、陽極分岐配線51aと発光素子31を構成する陽極35との間にヒューズ配線60が接続されているので、発光素子31がショートした場合、その部分に流れる電流が大きくなり、ヒューズ配線60が発熱して断線する。よって、ショートした部分のみに集中して電流が流れることを防ぐことが可能となり、良品の発光素子31に電流を流すことができる。これにより、複数の発光素子31によって引き続き発光を継続することができる。その結果、ヒューズ配線60が設けられておらず有機EL装置12の全体が発光しない場合と比較して、有機EL装置12の寿命を延ばすことができる。
【0068】
なお、図6に示すような有機EL装置12において、発光領域53は矩形であり、発光素子31は発光領域53内において規則的に配置されているが、この態様に限定されるものではない。発光領域53は、円形等(不定形を含む)の形状でもよく、発光素子31の配置もランダムでも構わない。
【0069】
図9〜図13は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図である。詳述すると、有機EL装置を構成する発光素子を主とする製造方法を工程順に示す模式断面図である。以下、有機EL装置(発光素子)の製造方法を、図9〜図13を参照しながら説明する。
【0070】
まず、図9に示すように、透明基板32上に陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52a、陽極35を形成する。透明基板32としては、ガラス基板等が挙げられる。陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52a、陽極35は、例えば、ITO等の光透過性を有する金属酸化物導電膜からなる。また、陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52a、陽極35、また以下に述べる各層は、例えば、公知の真空蒸着法を用いて順次形成することができる。
【0071】
次に、図10に示すように、陽極分岐配線51a上の一部の領域から、陽極35上の一部の領域に亘ってヒューズ配線60を形成する。ヒューズ配線60の材料としては、上記したように、すず(Sn)や鉛(Pb)などである。
【0072】
次に、図11に示すように、発光部56及びコンタクト部57の領域が開口するように、絶縁膜55を形成する。絶縁膜55は、例えば、アクリル樹脂やポリイミド樹脂などにより形成される。
【0073】
次に、図12に示すように、発光機能層36を形成する。詳述すると、陽極35上の発光部56及び発光部56周辺の絶縁膜55上に発光機能層36を形成する。発光機能層36は、上記したように、正孔注入層41、正孔輸送層42、発光層43、電子輸送層44、電子注入層45が順に積層されている(図12では1層で図示)。
【0074】
次に、図13に示すように、陰極37を形成する。具体的には、発光機能層36周辺から開口するコンタクト部57周辺までの領域を覆うように陰極37を形成する。
【0075】
以上により、透明基板32上に発光素子31が形成できると共に、ヒューズ配線60を介して陽極分岐配線51aと発光素子31を構成する陽極35とを電気的に接続することができる。また、陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52a、陽極35、また他の各層がそれぞれ同じ工程で形成できるので、かかる工程を少なくすることが可能となると共に、特性に差のない発光素子31を形成することができる。
【0076】
以上詳述したように、第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0077】
(1)第1実施形態によれば、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に複数の発光素子31が並列接続されており、陽極分岐配線51aと発光素子31との間にヒューズ配線60が直列に接続されているので、発光素子31がショートした場合、その部分が過電流となりヒューズ配線60が発熱し断線する。よって、ショートした部分のみに電流が流れることによる全ての発光素子31が消灯することを防ぐことが可能となり、良品の発光素子31に電流を流すことができる。これにより、発光素子31を引き続き発光させることができる(発光を維持することができる)。つまり、ショートした部分において自己修復することができ、ショートしていない(良品の)発光素子31を救済することができる。また、フロントライトとしての信頼性を向上させることができる。
【0078】
(2)第1実施形態によれば、パッシブ型の有機EL装置12のため、アクティブ型のように多層配線による製造工程が複雑にならず、比較的簡単に形成することができる。具体的には、膜を蒸着法で形成する場合など、蒸着範囲を変えるだけで陽極配線51(陽極分岐配線51a)及び陰極配線52(陰極分岐配線52a)などを同一プロセスで形成することができる。また、アクティブ型と比較して開口率を向上させることができる。
【0079】
(第2実施形態)
<電子機器の構成>
図14は、上記した有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図である。以下、有機EL装置を備えた携帯電話機の構成を、図14を参照しながら説明する。
【0080】
図14に示すように、携帯電話機71は、表示部72及び操作ボタン73を有している。表示部72は、内部に組み込まれた有機EL装置12によって、発光を維持することができる等、信頼性の高い表示を行うことができる。なお、上記した有機EL装置12は、上記携帯電話機71の他、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器など各種電子機器に用いることができる。
【0081】
以上詳述したように、第2実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0082】
(3)第2実施形態によれば、複数の発光素子31を有する有機EL装置12全体が発光しなくなることを防ぎ、信頼性の高い高寿命の電子機器を提供することができる。
【0083】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0084】
(変形例1)
上記したように、発光素子31の陽極35と陽極分岐配線51aとの間にヒューズ配線60を設けることに代えて、陰極37と陰極分岐配線52aとの間にヒューズ配線60を設けるようにしてもよい。また、ヒューズ配線60を上述のどちらか一方に設けるようにしてもよいし、両方に設けるようにしてもよい。これらの構成であっても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0085】
(変形例2)
上記したように、陽極分岐配線51aや陰極分岐配線52aの材料をITOで構成することに限定されず、例えば、エレクトロマイグレーション耐性の高い、銅(Cu)や銅(Cu)合金を用いるようにしてもよい。これによれば、過電流が流れた場合(電流密度が高くなった場合)、陽極分岐配線51aや陰極分岐配線52aが断線することを防ぐことができる。また、陽極分岐配線51aや陰極分岐配線52aに用いた材料に、エレクトロマイグレーションを抑制するバリア材料を積層して、断線を防ぐようにしてもよい。バリア材料としては、例えば、チタン(Ti)や窒化チタン(TiN)などが用いられる。
【0086】
(変形例3)
上記したように、過電流が流れたときにヒューズ配線60を断線させることに代えて、例えば、予め有機EL装置12を所定の温度に加熱しながら有機EL装置12に電流を流すようにしてもよい。これによれば、発光素子31を含む周辺の温度が上昇することによってショートする部分を、発光させる前に予め断線させておくことができる。言い換えれば、弱い部分が断線することを促進させることができる。これによれば、温度変化に弱い部分を先に切断しておくことができる。
【0087】
(変形例4)
上記したように、有機EL装置12は、ボトムエミッション型に限定されず、トップエミッション型として適用するようにしてもよい。
【0088】
(変形例5)
上記したように、照明装置を液晶表示装置のフロントライトとして用いることに限定されず、例えば、一般的な照明として用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10…反射型液晶装置、11…液晶パネル、12…照明装置(フロントライト)としての有機EL装置、14…観察者、15…素子基板、16…対向基板、17…液晶層、18…TFT、19…画素電極、21…第1配向膜、22…第2配向膜、23…層間絶縁層、24…カラーフィルター層、24a…カラーフィルター、24b…遮光層、25…対向電極、26…偏光板、31…発光素子、32…透明基板、33…封止構造、35…陽極、36…発光機能層、37…陰極、41…正孔注入層、42…正孔輸送層、43…発光層、44…電子輸送層、45…電子注入層、46…透明層、47…半透過反射層、48…光干渉層、50…直流電源、51…陽極配線、51a…陽極分岐配線、52…陰極配線、52a…陰極分岐配線、53…発光領域、54…周辺領域、55…絶縁膜、56…発光部、57…コンタクト部、60…ヒューズ配線、61…開口部、71…携帯電話機、72…表示部、73…操作ボタン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの表示面上に配置して表示面を照明する照明装置であるフロントライトが知られている。一般的に、フロントライトは、反射型の表示パネルに用いられており、外光が十分にある場合には消灯して透明板となり、透明板状態のフロントライトを透過して、外光による反射表示を行うものが多い。このため、透過型の表示パネルに多用されており、外光の有無に拘わらず点灯しているバックライトよりも、消費電力を低減することができると言われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、反射型液晶表示装置の上方に、ITO(Indium Thin Oxide:インジウム錫酸化物)等の透明導電材料からなる陽極と、陽極上に設けられた有機EL層と、有機EL層上に設けられたアルミニウム等の金属からなる陰極(反射膜)とを有する有機EL素子を光源として備えたフロントライト(有機EL装置)が示されている。
【0004】
なお、フロントライトとして用いられる有機EL装置は、開口率を大きくしたり、コストを抑制したりするために、有機EL素子が並列接続されているパッシブ型を採用することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−17720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パッシブ型の有機EL装置の場合、有機EL素子が1つでも壊れる(故障する)と、その故障モードは略ショート状態となり、この部分に通常の駆動電流に比べて非常に大きな電流が流れることになる。よって、ショートした以外の有機EL素子に電流が流れにくいことから、全体に発光しなくなるという問題がある。つまり、フロントライトとして発光が維持できないという課題があった。
【0007】
また、このようなフロントライトが市場で使われた場合、有機EL素子が壊れると有機EL素子が発光しないため、交換しなければならないという問題があった。つまり、フロントライトとしての信頼性が低いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る照明装置は、並列接続された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の陽極側に接続された共通の陽極配線と、前記複数の発光素子の陰極側に接続された共通の陰極配線と、を有し、前記発光素子と前記陽極配線との間、および/または、前記発光素子と前記陰極配線との間、にヒューズとして機能するヒューズ配線が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、複数の発光素子が並列接続されており、更に、発光素子がヒューズ配線と(直列に)接続されているので、発光素子がショートした場合、その部分に流れる電流が大きくなると(過電流)、ヒューズ配線が断線する。よって、ショートした部分のみに電流が流れることにより、複数の発光素子全体が同時に発光しなくなることを防ぐことが可能となり、良品の発光素子に電流を流すことができる。その結果、残った複数の発光素子によって引き続き発光を継続することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係る照明装置において、前記ヒューズ配線は、前記陽極配線及び前記陰極配線より断面積が小さく形成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ヒューズ配線の断面積が、陽極配線や陰極配線より小さく形成されているので、ヒューズ配線の抵抗を大きくすることが可能となり、発光素子がショートしたときなど、その部分が過電流となった場合に、ヒューズ配線を発熱させ断線させることができる。これにより、ショートした部分のみに電流が流れることを防ぐことが可能となり、ショートした発光素子を除く良品の発光素子に電流を流すことができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る照明装置において、前記ヒューズ配線の材料は、アルミニウム、銀、すず、鉛、又は少なくともこれらを主成分とする合金であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、上記に記載の材料を用いるので、ヒューズ配線の温度が上昇することにより溶断しやすい。よって、発光素子がショートした場合、その発光素子に接続されているヒューズ配線が溶断し、その部分のみに電流が流れることを防ぐことができる。
【0015】
[適用例4]上記適用例に係る照明装置において、前記ヒューズ配線は、前記陽極配線及び前記陰極配線より低融点材料であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、陽極配線及び陰極配線より低融点材料であるヒューズ配線を用いるので、ヒューズ配線の温度が上昇すれば、陽極配線及び陰極配線より先に溶断する。よって、発光素子がショートした場合、ショートした部分のみに電流が流れることを防ぐことができる。
【0017】
[適用例5]本適用例に係る照明装置は、透明基板と、前記透明基板上に形成された複数本の透明な陽極配線及び陰極配線と、前記陽極配線と前記陰極配線との間に並列接続された順方向電流により発光する複数の発光素子と、を備え、前記陽極配線と前記発光素子との間、及び、前記陰極配線と前記発光素子との間、の少なくとも一方にヒューズ配線が形成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、複数の発光素子が並列接続されており、更に、発光素子がヒューズ配線と(直列に)接続されているので、発光素子がショートした場合、その部分に流れる電流が大きくなると(過電流)、ヒューズ配線が断線する。よって、ショートした部分のみに電流が流れることにより、複数の発光素子全体が同時に発光しなくなることを防ぐことが可能となり、良品の発光素子を除く複数の発光素子に電流を流すことができる。その結果、残った複数の発光素子によって引き続き発光を継続することができる。
【0019】
[適用例6]上記適用例に係る照明装置において、液晶パネルの表示面上に配置されるフロントライトであることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、フロントライトとして液晶パネルの表示面上に配置されるので、反射型の液晶パネルにおいて、外光が十分に得られない場合でも、フロントライトから光を供給することが可能となり、表示品質を向上させることができる。
【0021】
[適用例7]本適用例に係る電子機器は、上記した照明装置を備えることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、複数の発光素子が同時に発光しなくなることを防ぎ、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の照明装置としての有機EL装置、及び有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型液晶装置の構造を示す模式断面図。
【図2】図1に示す有機EL装置のA部を拡大して示す拡大断面図。
【図3】照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図4】有機EL装置にショート不良が発生したときの状態を示す等価回路図。
【図5】ショート不良の部分が修復された状態を示す等価回路図。
【図6】有機EL装置の構造を示す模式平面図。
【図7】図6に示す有機EL装置のC部を拡大して示す模式拡大図。
【図8】図7に示す有機EL装置のD−D'線に沿う模式断面図。
【図9】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図10】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図11】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図12】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図13】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図14】有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0025】
(第1実施形態)
<照明装置を有する反射型液晶装置の構成>
図1は、照明装置としての有機EL装置、及び有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型液晶装置の構造を示す模式断面図である。図2は、図1に示す有機EL装置のA部を拡大して示す拡大断面図である。以下、反射型液晶装置及び有機EL装置の構造を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0026】
反射型液晶装置10は、反射型の液晶パネル11と、液晶パネル11の表示面上に配置される照明装置(フロントライト)としての有機EL装置12とを組み合わせた装置である。具体的には、反射型液晶装置10は、観察者14側から照射される外光(後述する有機EL装置12(フロントライト)内で生じる光)を反射して、観察者14にカラー画像を表示することができる。
【0027】
反射型の液晶パネル11は、素子基板15と、対向基板16と、素子基板15と対向基板16との間に挟持された液晶層17とを有する。素子基板15の液晶層17側(以下、「上側」あるいは「上層」と称する。)には、TFT(Thin Film Transistor)18と、各々のTFT18に対応する画素電極19が規則的に形成されている。
【0028】
画素電極19の上層には、第1配向膜21が形成されている。液晶層17は、第1配向膜21と後述する第2配向膜22とによって挟持されている。なお、反射型の液晶パネル11であるので、素子基板15は、透明性を要しない。よって、プラスチック等の不透明材料からなる基板を用いることもできる。
【0029】
画素電極19は、反射性を有しており、液晶層17側から照射される光を反射光Rとして液晶層17の方向に反射する。なお、かかる反射性は、画素電極19自体を反射性材料で形成してもよく、また、ITO等の透明導電性材料で形成された画素電極19と、アルミニウム等からなる反射層とを組み合わせてもよい。
【0030】
TFT18と画素電極19とは、層間絶縁層23で隔てられており、コンタクトホールを介して電気的に接続されている。また、TFT18は、周辺回路(図示せず)で制御されており、対応する画素電極19に任意の電圧を印加することができる。
【0031】
対向基板16は、ガラス等の透明性材料からなる基板である。対向基板16は、シール材(図示せず)を介して、素子基板15と平行、すなわち全域で等間隔となるように配置されている。対向基板16の液晶層17側の面には、カラーフィルター層24と、対向電極25と、第2配向膜22とが、対向基板16側から順に配置されている。そして、対向基板16における液晶層17側と反対側の面には、偏光板26が配置されている。
【0032】
カラーフィルター層24は、平面視で画素電極19に対応するカラーフィルター24aと、隣り合うカラーフィルター24a間に形成された遮光層(ブラックマトリクス)24bとを有する。本実施形態のカラーフィルター層24は、赤色カラーフィルターと、緑色カラーフィルターと、青色カラーフィルターとを備えている。また、対向電極25は、ITO等の透明導電材料からなる。
【0033】
このような構成の反射型液晶装置10は、液晶パネル11の表示面上に有機EL装置12(フロントライト)が配置されているので、液晶パネル11に充分な光を照射することができる。なお、フロントライトは、表示に影響を及ぼさないように発光素子の面積が小さく形成されている(発光素子が反射膜を有するため)。このため、所定の輝度を得るためには大電流を流す必要がある。以下、このような照明装置(フロントライト:有機EL装置12)の構造を簡単に説明する。
【0034】
照明装置としての有機EL装置12は、図1及び図2に示すように、複数の発光素子31が透明基板32の面上に配列された構成となっている。詳述すると、有機EL装置12は、透明基板32と、透明基板32の上層(観察者14側)に設けられた発光素子31と、発光素子31の上方に設けられた封止構造33とを備えている。
【0035】
詳述すると、図2に示すように、発光素子31は、陽極35と、陽極35上に設けられた発光機能層36と、発光機能層36上に設けられた陰極37とを有する。なお、陰極37としては、アルミニウム(Al)等の反射導電性を有する材料が用いられる。具体的には、陰極37の反射性により、発光機能層36内で生じるEL光Lが液晶パネル11の方向に照射される。そして、このEL光Lが個々の画素電極19で反射されることにより、観察者14に対する画像が形成される。なお、図2に示す領域が発光領域であり、その周囲に反射光Rを透過する透過領域が設けられている。
【0036】
発光機能層36は、陽極35側から順に、正孔注入層41と、正孔輸送層42と、発光層43と、電子輸送層44と、電子注入層45とを有して積層されている。
【0037】
正孔注入層41は、陽極35からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。正孔輸送層42は、陽極35から正孔注入層41を介して注入された正孔を発光層43まで輸送する機能を有するものである。
【0038】
発光層43は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。陽極35と陰極37との間に電圧を印加することによって、発光層43には、正孔輸送層42から正孔が、また、電子輸送層44から電子が注入され、発光層43においてこれらが再結合したときに発光が行われる。本実施形態では、白色光を発光する。
【0039】
電子輸送層44は、陰極37から電子注入層45を介して注入された電子を発光層43に輸送する機能を有するものである。電子注入層45は、陰極37からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
【0040】
また、発光機能層36と封止構造33との間には、陰極37と、透明層46と、半透過反射層47とからなる光干渉層48が設けられている。透明層46は、例えば、フッ化リチウム(LiF)等からなる。半透過反射層47は、例えば、アルミニウム(Al)等からなる。この光干渉層48により、例えば、外光が反射した反射光を低減している。
【0041】
上記した陰極37の反射性は、周辺光、すなわちEL光L以外の観察者14側から照射される光に対しても発揮される。周辺光がある場合、陰極37による反射光(画素電極19による反射光R以外の反射光)が、画像を形成する光とは別の光として観察者14側に照射される。本実施形態では、発光素子31の観察者14側に光干渉層48が設けられているので、外部からの反射光(反射光R以外の反射光)が低減される。
【0042】
封止構造33は、外部からの水分等の浸入を抑制して、発光素子31を保護するために設けられたものである。封止構造33の材料としては、シリコン酸窒化膜(SiON)、シリコン窒化膜(SiN)等の耐水性を有するものが挙げられる。また、封止構造33として、樹脂材料を用いてもよく、更には、最外面にガラス基板等が接着されていてもよい。
【0043】
<照明装置の構成>
図3は、照明装置としての有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。図4は、有機EL装置にショート不良が発生したときの状態を示す等価回路図である。図5は、ショート不良の部分が修復された状態を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成及び動作を、図3〜図5を参照しながら説明する。
【0044】
図3に示すように、有機EL装置12は、直流電力を供給する直流電源50を電源とする。また、有機EL装置12は、直流電源50の陽極と接続された陽極配線51と、直流電源50の陰極と接続された陰極配線52とを有する。陽極配線51と陰極配線52とは、それぞれが櫛歯状に分岐されており、互い違いになるように配置されている。陽極配線51から分岐された配線を、陽極分岐配線51aと称する。また、陰極配線52から分岐された配線を、陰極分岐配線52aと称する。
【0045】
そして、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に、順方向電流により発光する複数の発光素子31が設けられている。言い換えれば、複数の発光素子31は、共通の陽極分岐配線51aと共通の陰極配線52aとの間に並列接続されている。なお、発光素子31は、等価的にダイオードとみなすことができる。
【0046】
詳述すると、並列に接続された複数の発光素子31は、陽極35(アノード)が陽極分岐配線51a側と接続され、陰極37(カソード)が陰極分岐配線52aと接続され、陽極35と陰極37との間に発光機能層36が設けられている。
【0047】
陽極分岐配線51aと発光素子31との間には、ヒューズとして機能するヒューズ配線60が設けられている。具体的には、ヒューズ配線60の一方が陽極分岐配線51aと電気的に接続されており、ヒューズ配線60の他方が発光素子31を構成する陽極35と電気的に接続されている。
【0048】
ヒューズ配線60の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、すず(Sn)、鉛(Pb)、又は少なくともこれらを主成分とする合金が用いられる。また、陽極分岐配線51a及び陰極分岐配線52aの材料と比較して、低融点材料であることが好ましい。ヒューズの形成方法としては、例えば、公知の成膜技術及びエッチング技術を用いる。
【0049】
次に、図3を参照しながら、有機EL装置12の動作について説明する。まず、直流電源50がオン状態になると、直流電源50から陽極配線51に電力(正極の電力)が供給され、そして、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に設けられた発光素子31が発光する。発光素子31は、発光機能層36に流れる電流量に応じた輝度で発光する。
【0050】
ここで、有機EL装置12に配置された複数の発光素子31の個数を「n」とする。1つの発光素子31に流れる電流は、陽極配線51に流れる電流を「I」とすると、「I/n」となる。
【0051】
次に、図4を参照しながら、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に接続された複数の発光素子31のうち、B部の発光素子31がショートした場合の有機EL装置12の状態を説明する。
【0052】
まず、直流電源50がオン状態になると発光素子31が発光する。そして、例えば、複数の発光素子31のうちB部の発光素子31が故障したとする。故障モードとしては、略ショート状態となり、発光素子31の部分が単なる配線部となった状態となる。
【0053】
よって、B部の発光素子31の抵抗が無くなるので、他の発光素子31の部分と比較して、B部に電流が流れやすくなる。B部に流れる電流は、ショートする前に流れていた電流「I/n」のn倍であり「I」となる。つまり、B部に電流が集中して流れるので、他の部分に電流が流れにくくなり、他の部分の発光素子31が発光しなくなる。
【0054】
一方、図5を参照しながら、ショート不良となったB部が自己修復された状態の有機EL装置12を説明する。上記したように、B部に流れる電流が大きくなると、陽極分岐配線51aと陽極35との間に設けられたヒューズ配線60が発熱する。発熱したヒューズ配線60は、設定された温度以上になると、溶解し断線する。なお、ヒューズ配線60は、正常の発光状態であれば断線しないように設定されている。
【0055】
このように、複数の発光素子31において、陽極分岐配線51aと陽極35との間にヒューズ配線60を設けることにより、ある部分(B部)がショートした場合でも、有機EL装置12全体が発光しなくなることを防ぎ、ショートした部分を除くその他複数の発光素子31(良品の発光素子31)によって発光させることができる。その結果、引き続き発光を継続することができる。
【0056】
図6は、有機EL装置の構造を示す模式平面図である。図7は、図6に示す有機EL装置のC部を拡大して示す模式拡大図である。図8は、図7に示す有機EL装置のD−D'線に沿う模式断面図である。なお、図8は、光干渉層、封止構造等の図示は省略する。以下、有機EL装置の構造を、図6〜図8を参照しながら説明する。
【0057】
図6に示すように、有機EL装置12は、発光素子31が所定の間隔をもって規則的に配置されている発光領域53と、発光領域53の周囲の領域である周辺領域54とを有している。
【0058】
発光領域53は、液晶パネル11に対してEL光Lを照射する領域であり、液晶パネル11において画像が形成される領域に対応する領域である。発光領域53内には、帯状の陽極分岐配線51aと、帯状の陰極分岐配線52aとが、交互にかつ略平行に配置されている。
【0059】
具体的には、陽極分岐配線51a(陽極配線51)と陰極分岐配線52a(陰極配線52)との双方は、共に透明導電性材料であるITOで形成されており、液晶パネル11において形成される画像の視認性には影響を及ぼさない。
【0060】
図7及び図8に示すように、発光素子31は、平面視で陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に設けられており、発光素子31を構成する陽極35と陽極分岐配線51aとを接続するヒューズ配線60を含んで構成されている。
【0061】
発光素子31は、陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52aが延在する第1方向、かつ、第1方向と直交する第2方向に、複数設けられている(図6参照)。言い換えれば、発光素子31が、発光領域53内においてマトリクス状に設けられている。
【0062】
詳述すると、発光素子31を構成する陽極35は、透明基板32上の陽極分岐配線51a及び陰極分岐配線52aと間隔をおいて、平面視で島状(パッド状)に設けられている。陽極35と陽極分岐配線51aとは、透明基板32上に設けられたヒューズ配線60を介して電気的に接続されている。
【0063】
なお、ヒューズ配線60の断面積は、陽極分岐配線51a及び陰極分岐配線52aの断面積より小さくなっている。ここでは、発光素子31を平面視した際、ヒューズ配線60の幅Wは、陽極分岐配線51a及び陰極分岐配線52aの幅より細くなっている。
【0064】
陽極35及びヒューズ配線60の周囲は、絶縁膜55が設けられている。陰極分岐配線52a上の一部の領域には、絶縁膜55によって形成された開口部61が設けられている。陽極35上には、平面視で島状(パッド状)の発光機能層36が設けられている。発光機能層36の周囲は、絶縁膜55が設けられている。
【0065】
そして、図8に示すように、発光機能層36の周辺から陰極分岐配線52a上の開口部61の周辺に亘って、陰極分岐配線52aと電気的に接続されたアルミニウム(Al)等からなる陰極37が設けられている。
【0066】
以上のように、発光素子31は、ヒューズ配線60を介して陽極35と陽極分岐配線51aとが電気的に接続されており、陰極37と陰極分岐配線52aとが電気的に接続されている。よって、直流電源50がオン状態になると、陽極配線51を介して陽極分岐配線51aに電力(正極の電力)が供給され、発光素子31、陰極分岐配線52a、陰極配線52に電流が流れる。そして、順方向接続された複数の発光素子31が発光する。
【0067】
上記したように、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に複数の発光素子31が並列接続されており、更に、陽極分岐配線51aと発光素子31を構成する陽極35との間にヒューズ配線60が接続されているので、発光素子31がショートした場合、その部分に流れる電流が大きくなり、ヒューズ配線60が発熱して断線する。よって、ショートした部分のみに集中して電流が流れることを防ぐことが可能となり、良品の発光素子31に電流を流すことができる。これにより、複数の発光素子31によって引き続き発光を継続することができる。その結果、ヒューズ配線60が設けられておらず有機EL装置12の全体が発光しない場合と比較して、有機EL装置12の寿命を延ばすことができる。
【0068】
なお、図6に示すような有機EL装置12において、発光領域53は矩形であり、発光素子31は発光領域53内において規則的に配置されているが、この態様に限定されるものではない。発光領域53は、円形等(不定形を含む)の形状でもよく、発光素子31の配置もランダムでも構わない。
【0069】
図9〜図13は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図である。詳述すると、有機EL装置を構成する発光素子を主とする製造方法を工程順に示す模式断面図である。以下、有機EL装置(発光素子)の製造方法を、図9〜図13を参照しながら説明する。
【0070】
まず、図9に示すように、透明基板32上に陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52a、陽極35を形成する。透明基板32としては、ガラス基板等が挙げられる。陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52a、陽極35は、例えば、ITO等の光透過性を有する金属酸化物導電膜からなる。また、陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52a、陽極35、また以下に述べる各層は、例えば、公知の真空蒸着法を用いて順次形成することができる。
【0071】
次に、図10に示すように、陽極分岐配線51a上の一部の領域から、陽極35上の一部の領域に亘ってヒューズ配線60を形成する。ヒューズ配線60の材料としては、上記したように、すず(Sn)や鉛(Pb)などである。
【0072】
次に、図11に示すように、発光部56及びコンタクト部57の領域が開口するように、絶縁膜55を形成する。絶縁膜55は、例えば、アクリル樹脂やポリイミド樹脂などにより形成される。
【0073】
次に、図12に示すように、発光機能層36を形成する。詳述すると、陽極35上の発光部56及び発光部56周辺の絶縁膜55上に発光機能層36を形成する。発光機能層36は、上記したように、正孔注入層41、正孔輸送層42、発光層43、電子輸送層44、電子注入層45が順に積層されている(図12では1層で図示)。
【0074】
次に、図13に示すように、陰極37を形成する。具体的には、発光機能層36周辺から開口するコンタクト部57周辺までの領域を覆うように陰極37を形成する。
【0075】
以上により、透明基板32上に発光素子31が形成できると共に、ヒューズ配線60を介して陽極分岐配線51aと発光素子31を構成する陽極35とを電気的に接続することができる。また、陽極分岐配線51a、陰極分岐配線52a、陽極35、また他の各層がそれぞれ同じ工程で形成できるので、かかる工程を少なくすることが可能となると共に、特性に差のない発光素子31を形成することができる。
【0076】
以上詳述したように、第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0077】
(1)第1実施形態によれば、陽極分岐配線51aと陰極分岐配線52aとの間に複数の発光素子31が並列接続されており、陽極分岐配線51aと発光素子31との間にヒューズ配線60が直列に接続されているので、発光素子31がショートした場合、その部分が過電流となりヒューズ配線60が発熱し断線する。よって、ショートした部分のみに電流が流れることによる全ての発光素子31が消灯することを防ぐことが可能となり、良品の発光素子31に電流を流すことができる。これにより、発光素子31を引き続き発光させることができる(発光を維持することができる)。つまり、ショートした部分において自己修復することができ、ショートしていない(良品の)発光素子31を救済することができる。また、フロントライトとしての信頼性を向上させることができる。
【0078】
(2)第1実施形態によれば、パッシブ型の有機EL装置12のため、アクティブ型のように多層配線による製造工程が複雑にならず、比較的簡単に形成することができる。具体的には、膜を蒸着法で形成する場合など、蒸着範囲を変えるだけで陽極配線51(陽極分岐配線51a)及び陰極配線52(陰極分岐配線52a)などを同一プロセスで形成することができる。また、アクティブ型と比較して開口率を向上させることができる。
【0079】
(第2実施形態)
<電子機器の構成>
図14は、上記した有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図である。以下、有機EL装置を備えた携帯電話機の構成を、図14を参照しながら説明する。
【0080】
図14に示すように、携帯電話機71は、表示部72及び操作ボタン73を有している。表示部72は、内部に組み込まれた有機EL装置12によって、発光を維持することができる等、信頼性の高い表示を行うことができる。なお、上記した有機EL装置12は、上記携帯電話機71の他、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器など各種電子機器に用いることができる。
【0081】
以上詳述したように、第2実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0082】
(3)第2実施形態によれば、複数の発光素子31を有する有機EL装置12全体が発光しなくなることを防ぎ、信頼性の高い高寿命の電子機器を提供することができる。
【0083】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0084】
(変形例1)
上記したように、発光素子31の陽極35と陽極分岐配線51aとの間にヒューズ配線60を設けることに代えて、陰極37と陰極分岐配線52aとの間にヒューズ配線60を設けるようにしてもよい。また、ヒューズ配線60を上述のどちらか一方に設けるようにしてもよいし、両方に設けるようにしてもよい。これらの構成であっても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0085】
(変形例2)
上記したように、陽極分岐配線51aや陰極分岐配線52aの材料をITOで構成することに限定されず、例えば、エレクトロマイグレーション耐性の高い、銅(Cu)や銅(Cu)合金を用いるようにしてもよい。これによれば、過電流が流れた場合(電流密度が高くなった場合)、陽極分岐配線51aや陰極分岐配線52aが断線することを防ぐことができる。また、陽極分岐配線51aや陰極分岐配線52aに用いた材料に、エレクトロマイグレーションを抑制するバリア材料を積層して、断線を防ぐようにしてもよい。バリア材料としては、例えば、チタン(Ti)や窒化チタン(TiN)などが用いられる。
【0086】
(変形例3)
上記したように、過電流が流れたときにヒューズ配線60を断線させることに代えて、例えば、予め有機EL装置12を所定の温度に加熱しながら有機EL装置12に電流を流すようにしてもよい。これによれば、発光素子31を含む周辺の温度が上昇することによってショートする部分を、発光させる前に予め断線させておくことができる。言い換えれば、弱い部分が断線することを促進させることができる。これによれば、温度変化に弱い部分を先に切断しておくことができる。
【0087】
(変形例4)
上記したように、有機EL装置12は、ボトムエミッション型に限定されず、トップエミッション型として適用するようにしてもよい。
【0088】
(変形例5)
上記したように、照明装置を液晶表示装置のフロントライトとして用いることに限定されず、例えば、一般的な照明として用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10…反射型液晶装置、11…液晶パネル、12…照明装置(フロントライト)としての有機EL装置、14…観察者、15…素子基板、16…対向基板、17…液晶層、18…TFT、19…画素電極、21…第1配向膜、22…第2配向膜、23…層間絶縁層、24…カラーフィルター層、24a…カラーフィルター、24b…遮光層、25…対向電極、26…偏光板、31…発光素子、32…透明基板、33…封止構造、35…陽極、36…発光機能層、37…陰極、41…正孔注入層、42…正孔輸送層、43…発光層、44…電子輸送層、45…電子注入層、46…透明層、47…半透過反射層、48…光干渉層、50…直流電源、51…陽極配線、51a…陽極分岐配線、52…陰極配線、52a…陰極分岐配線、53…発光領域、54…周辺領域、55…絶縁膜、56…発光部、57…コンタクト部、60…ヒューズ配線、61…開口部、71…携帯電話機、72…表示部、73…操作ボタン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の陽極側に接続された共通の陽極配線と、
前記複数の発光素子の陰極側に接続された共通の陰極配線と、を有し、
前記発光素子と前記陽極配線との間、および/または、前記発光素子と前記陰極配線との間、にヒューズとして機能するヒューズ配線が設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記ヒューズ配線は、前記陽極配線及び前記陰極配線より断面積が小さく形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の照明装置であって、
前記ヒューズ配線の材料は、アルミニウム、銀、すず、鉛、又は少なくともこれらを主成分とする合金であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の照明装置であって、
前記ヒューズ配線は、前記陽極配線及び前記陰極配線より低融点材料であることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
透明基板と、
前記透明基板上に形成された複数本の透明な陽極配線及び陰極配線と、
前記陽極配線と前記陰極配線との間に並列接続された順方向電流により発光する複数の発光素子と、を備え、
前記陽極配線と前記発光素子との間、及び、前記陰極配線と前記発光素子との間、の少なくとも一方にヒューズ配線が形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の照明装置は、
液晶パネルの表示面上に配置されるフロントライトであることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の照明装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
並列接続された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の陽極側に接続された共通の陽極配線と、
前記複数の発光素子の陰極側に接続された共通の陰極配線と、を有し、
前記発光素子と前記陽極配線との間、および/または、前記発光素子と前記陰極配線との間、にヒューズとして機能するヒューズ配線が設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記ヒューズ配線は、前記陽極配線及び前記陰極配線より断面積が小さく形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の照明装置であって、
前記ヒューズ配線の材料は、アルミニウム、銀、すず、鉛、又は少なくともこれらを主成分とする合金であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の照明装置であって、
前記ヒューズ配線は、前記陽極配線及び前記陰極配線より低融点材料であることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
透明基板と、
前記透明基板上に形成された複数本の透明な陽極配線及び陰極配線と、
前記陽極配線と前記陰極配線との間に並列接続された順方向電流により発光する複数の発光素子と、を備え、
前記陽極配線と前記発光素子との間、及び、前記陰極配線と前記発光素子との間、の少なくとも一方にヒューズ配線が形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の照明装置は、
液晶パネルの表示面上に配置されるフロントライトであることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の照明装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−60680(P2011−60680A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211370(P2009−211370)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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