説明

照明装置接続用固定具及び照明装置

【課題】照明装置をスタンド等の照明用機材及び三脚等のカメラ用機材の双方に容易に設置でき、その設置作業を効率的に行うことができる照明装置接続用固定具及び照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、φ17ダボと称される略円筒状に形成されたφ17の挿入軸と、この挿入軸の一端側に同軸上に形成されたカメラねじ接続用の雌ねじ部とを備える照明装置接続用固定具である。カメラねじとしては、1/14−20UNCの規格のユニファイねじが適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタジオでの演出空間照明やスタジオ外でのロケーション撮影における照明に好適に使用できる照明装置接続用固定具及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
舞台照明やTVスタジオ照明等の演出空間で使用する照明用機材、例えば、スポットライト等には、その本体を支持するアームにφ17のダボと称される挿入軸が設けられている。また、このスポットライト等を所望の場所に設置するため、スポットライト等が支持されるスタンドや吊りハンガー等の照明用機材には、前記挿入軸が嵌合するφ17の嵌合凹部が形成されている。したがって、前記挿入軸を嵌合凹部に嵌合し、固定することにより、スポットライト等は、所望の場所に設置できる(例えば、非特許文献1参照)。
このようなφ17の挿入軸及び嵌合凹部による接続固定構造は、各社の照明用機材の互換性を担保するため、規格化され業界の標準となっている。
【0003】
一方、撮影に用いられるカメラは、三脚等のカメラ用機材に設けられたカメラねじによって取付けられ、使用される。このカメラねじは、規格化されたユニファイねじであり、3/8−16UNC(インチ)や1/4−20UNC(インチ)が用いられている。
【0004】
ところで、撮影現場においては、スポットライト等の照明用機材をスタンドや吊りハンガー、あるいは三脚に取付けて使用できるようにするのが便利である。したがって、この場合、スポットライト等を三脚に取付けるため、スポットライト等のアームを例えば、1/4−20UNC(インチ)のカメラねじが螺合できる専用のアームに交換したり、1/4−20UNC(インチ)のカメラねじが螺合できるアダプタを付加したりして対応していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】東芝ライテック/アートライティング/スポットライト[平成22年1月12日検索]、インターネット(http://www.tlt.co.jp/tlt/art/catalogue/spot/spot.htm)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようにスポットライト等のアームを専用のアームに交換したり、アダプタを付加したりするのは、面倒であり、また、設置作業が効率的に行えないという不都合が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、照明装置をスタンド等の照明用機材及び三脚等のカメラ用機材の双方に容易に設置でき、その設置作業を効率的に行うことができる照明装置接続用固定具及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の照明装置接続用固定具は、略円筒状に形成されたφ17の挿入軸と; この挿入軸の一端側に同軸上に形成されたカメラねじ接続用の雌ねじ部と;を具備することを特徴とする。
【0009】
φ17の挿入軸とは、φ17ダボと称される規格化された接続用固定具を意味している。また、カメラねじは、例えば、規格化されている1/4−20UNC(インチ)のユニファイねじ等が適用されることを前提としている。
請求項2に記載の照明装置は、装置本体と;この装置本体に設けられた請求項1に記載の照明装置接続用固定具と;を具備することを特徴とする。
照明装置は、演出空間照明用のスポットライト等に適用するのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、照明装置をスタンドや吊りハンガー等の照明用機材及び三脚等のカメラ用機材の双方に容易に設置することができ、撮影現場において、設置作業を効率的に行うことができる照明装置接続用固定具を提供できる。
請求項2に記載の照明装置によれば、前記照明装置接続用固定具の効果を奏する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る照明装置としてのスポットライトを示す斜視図である。
【図2】同側面図である。
【図3】照明装置接続用固定具を示す正面図である。
【図4】スタンドにスポットライトを設置した状態を示す側面図である。
【図5】同要部を拡大して示す断面図である。
【図6】カメラ固定用の三脚を示す斜視図である。
【図7】同三脚にスポットライトを設置した状態で、その要部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る照明装置について図1乃至図7を参照して説明する。なお、各図において同一部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0013】
図1及び図2において、演出空間用の照明装置としてスポットライト1が示されている。スポットライト1は、内部にハロゲン電球等の光源を収容し、前面側が開口した円筒状の本体である灯体2と、この灯体2の前面側の開口に設けられたステンレス製メッシュ付ガラスフィルタ3と、このガラスフィルタ3の周囲に配設されたバンドア4と、前記灯体2の背面側に取付けられコ字状に折曲された支持アーム5とを備えている。
【0014】
灯体2は、耐熱性の合成樹脂からなり、内部に光源が配設され、また、この光源から放射される光を前面側に反射する反射体が設けられている。なお、灯体2の下面側にはフォーカス調整ハンドル6が設けられている。このフォーカス調整ハンドル6を回転して調整することにより光源からの光の広がり具合を、拡散状態や集光状態に調整することができる。
また、ガラスフィルタ3は、ガラス破損時の破片の飛散防止のためステンレス製のセーフティメッシュが付加されている。
【0015】
バンドア4は、ガラスフィルタ3の縁に回動可能に取付けられた上下の矩形状の羽根と、左右の先細状の羽根とからなっている。これら矩形状の羽根と先細状の羽根とを開閉してバンドア4の先端側の開口面積を調整し、光の照射範囲を可変できるようになっている。なお、4aは、バンドア4を灯体2に取付けるための取付用摘みである。
【0016】
支持アーム5は、灯体2を回動可能に支持しており、また、所望の位置で固定でき、光の照射方向を変更できるようになっている。この支持アーム5の略中央部には、接続用固定具7がねじ等の固定手段によって取付けられている。接続用固定具7は、スポットライト1をスタンドや吊りハンガー等の照明用機材に接続し固定するために用いるものであり、φ17ダボと称され、規格に適合する寸法を有している。
【0017】
図3に代表して示すように、接続用固定具7は、略円筒状の挿入軸70であり、その径φは、17mmであり、長さ寸法Lは、47mmに形成されている。この挿入軸70の一端側には、カメラねじ接続用の雌ねじ部71が同軸上に形成されている。雌ねじ部71には、カメラねじの規格であるユニファイねじ1/4−20UNC(インチ)が螺合できるようになっている。
【0018】
また、挿入軸70の中間部には、φ10の小径の段部72が形成されており、他端部には、鍔部73が形成されている。段部72には、後述するように、例えば、スタンドの固定ハンドルの軸が当接されて、挿入軸70がスタンドに固定、すなわち、スポットライト1がスタンドに固定できるようになっている。
【0019】
以上のような接続用固定具7を照明装置に設けることにより、照明装置をスタンドや吊りハンガー等の照明用機材及び三脚等のカメラ用機材の双方に容易に設置することができる。これを図4乃至図7を参照して説明する。
図4及び図5は、スタンド8にスポットライト1を設置する場合を示しており、図6及び図7は、三脚9にスポットライト1を設置する場合を示している。
【0020】
図4に示すように、スタンド8は、伸縮パイプ8aと、この伸縮パイプ8aを支持する3本の脚パイプ8bとを備えている。伸縮パイプ8aには、所望の長さ位置で固定するパイプ固定ハンドル8cが設けられており、脚パイプ8bの上端部には脚部固定ハンドル8dが設けられている。そして、伸縮パイプ8aの上端部には、前記挿入軸70が嵌合するダボ受けとしてφ17の嵌合凹部80が形成されている。
【0021】
図5に示すように、嵌合凹部80には、接続用固定具7の挿入軸70が挿入されて嵌合するようになっている。この挿入軸70の挿入後、器具固定ハンドル81を時計方向に回動することにより、そのねじ軸82の先端部が挿入軸70の中間部の段部72に当接し、挿入軸70は、伸縮パイプ8aに固定される。このようにスポットライト1は、スタンド8に固定され設置される。
【0022】
次に、図6に示すように、カメラ固定用の三脚9は、上下動自在なセンターコラム9aと、3本の伸縮可能な脚9bとを備えている。また、センターコラム9aの上端部には、パン可動及びチルト可動できる雲台9cが設けられており、この雲台9cには、1/4−20UNC(インチ)の規格であるカメラねじ90が取付けられている。したがって、雲台9cにカメラを取付ける場合には、カメラ側の雌ねじ部にカメラねじ90を操作部91を回動してねじ込むことにより、雲台9cにカメラが固定されるようになっている。
【0023】
図7は、三脚9の雲台9cに上述のスポットライト1が設置されている状態を示している。スポットライト1の接続用固定具7は、ユニファイねじ1/4−20UNC(インチ)のカメラねじが螺合可能な雌ねじ部71を有しているので、この雌ねじ部71に三脚9のカメラねじ90を操作部91を回動してねじ込むことができる。これにより三脚9にスポットライト1を固定して設置することができる。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、照明装置としてのスポットライト1に電源を供給することにより、光源に通電され、光源からの光がガラスフィルタ3を透過して目的とする対象物に照射される。この場合、照明装置の設置に際して、照明装置をスタンドや吊りハンガー等の照明用機材及び三脚等のカメラ用機材の双方に容易に設置することができ、撮影現場において、設置作業を効率的に行うことができる。また、照明装置を所望の場所や位置に設置する自由度が広がり、照明の演出効果を高めることが可能となる。
【0025】
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、照明装置としては、バッテリによって電源が供給される方式のものであってもよい。また、照明装置は、スタンドや吊りハンガーの他、ロケーション撮影等に用いられる伸縮可能なポールの先端に設けられたカメラねじに取付けて使用することもできる。加えて、照明装置の光源としては、LED等の発光素子を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1・・・照明装置(スポットライト)、2・・・装置本体(灯体)、
7・・・照明装置接続用固定具、70・・・挿入軸、71・・・雌ねじ部、
80・・・嵌合凹部、90・・・カメラねじ(1/14−20UNC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状に形成されたφ17の挿入軸と;
この挿入軸の一端側に同軸上に形成されたカメラねじ接続用の雌ねじ部と;
を具備することを特徴とする照明装置接続用固定具。
【請求項2】
装置本体と;
この装置本体に設けられた請求項1に記載の照明装置接続用固定具と;
を具備することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−146262(P2011−146262A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6320(P2010−6320)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】