説明

照明装置

【課題】電球や蛍光灯を用いた照明装置と代替可能な発光ダイオードを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置100は、乳白色の透光性カバー部材110と、2次元的に配列された複数のLEDユニット200を保持するベース部材120と、ベース部材120の内側に設けられた回路基板130と、照明装置100とは離れた場所に設置される光量調整用のコントロールスイッチ140等で構成される。また、回路基板130は商用交流電源150に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白熱電球や蛍光灯を用いた照明装置の代替が可能な発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発光ダイオード(以下、LEDとする)の特徴として、(1)半導体素子であるので長寿命であり、白熱電球のような突然の断線がないこと、(2)熱的又は放電的発光でないため点灯・消灯速度が速い、(3)電気−光変換効率が高く消費電力が少ない(白熱電球の約1/8、蛍光灯の約1/2)、(4)素子そのものが非常に小さい等が知られている。そのため、従来からLEDを用いたさまざまな照明装置が提案されている。また、近年問題とされている照明用エネルギーの削減(資源の節約)や使用済み電球等の鉛や水銀を含む廃棄物処理(環境保護)の観点から、LED用いた照明装置の実用化が期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、LEDの発光スペクトルがシャープであり、単色光源として自動車の計器やオーディオ機器の表示部の照明等には広く用いられてきたが、白熱電球や蛍光灯を用いた照明装置を代替するまでには至っていない。また、近年まで赤色LEDの発光輝度に比べて緑色LEDや青色LEDの発光輝度が低かったため、これら各色のLEDを組み合わせた白色光源は、理論的には可能であったが、実用化されていなかった。
【0004】
本発明は、上記従来例の問題点を解決するためになされたものであり、LEDを光源として用いながら、白熱電球や蛍光灯を用いた照明装置の代替が可能な照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の照明装置は、第1分光スペクトル分布を有する光を出射する発光ダイオード単体と、発光ダイオード単体の出射面に対向するように被せられ、発光ダイオード単体からの出射光を受けて第2分光スペクトル分布を有する蛍光を発する蛍光体キャップとを含む発光ダイオードユニットを光源として用いたことを特徴とする。
【0006】
上記構成において、複数の発光ダイオードユニットを2次元的に配列しても良い。
【0007】
また、複数の発光ダイオードユニット取付面の中央部を凸状に成形しても良い。
【0008】
また、点灯する発光ダイオードユニットの数を調節することにより光量調節を行うように構成しても良い。
【0009】
また、発光ダイオードユニットからの出射光を導光板に入射させ、導光板の出射面を面発光させるように構成しても良い。
【0010】
また、導光板の出射面に対向するように、所定パターンに形成された発光部と、発光部を除く遮光部からなる表示板を設けてもよい。
【0011】
また、上記各構成において、発光ダイオード単体として紫外線、近紫外線及び青色の各発光ダイオードのいずれかを用い、蛍光体キャップとして略白色光を発光するものを用いても良い。
【0012】
一方、本発明の他の照明装置は、第1分光スペクトル分布を有する光を出射する発光ダイオード単体と、発光ダイオード単体からの出射光を繰り返し反射することにより所定の出射面から出射させる導光板と、導光板の出射面に対向するように設けられ、発光ダイオード単体からの出射光を受けて第2分光スペクトル分布を有する蛍光を発する蛍光体シートを含むことを特徴とする。
【0013】
上記構成において、蛍光体シートは、所定パターンに形成された発光部と、発光部を除く遮光部からなるように構成しても良い。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の照明装置は、第1分光スペクトル分布を有する光を出射する発光ダイオード単体と、発光ダイオード単体の出射面に対向するように被せられ、発光ダイオード単体からの出射光を受けて第2分光スペクトル分布を有する蛍光を発する蛍光体キャップとを含む発光ダイオードユニットを光源として用いたことを特徴とする。すなわち、発光ダイオードはほぼ単色光源であるが、蛍光体による再発光を利用しているので、広い波長域にわたる発光色を得ることができ、電球や蛍光灯等を用いた照明装置の代替が可能となる。また、発光ダイオードは初期コストは電球や蛍光灯を用いた照明装置よりも高くなるが、電気−光変換効率が高く消費電力が少ないうえに、電球や蛍光灯等のような球切れがないので、トータルでの照明コストを低減させることが可能となる。さらに、蛍光体キャップを直接発光ダイオード単体に被せることにより、発光ダイオード単体の指向性を緩和することが可能となる。
【0015】
また、複数の発光ダイオードユニットを2次元的に配列して用いることにより、天井や壁面に設けられる室内照明装置を提供することが可能となる。特に、複数の発光ダイオードユニット取付面の中央部を凸状に成形することにより、配列中央部分に位置する発光ダイオードからの光も、他の発光ダイオードからの光に妨げられることなく、有効に利用することが可能となる。また、点灯する発光ダイオードユニットの数を調節することにより光量調節を行うことが可能となる。
【0016】
また、発光ダイオードユニットからの出射光を導光板に入射させ、導光板の出射面を面発光させるように構成することにより、液晶パネル等のバックライトとして使用可能な面発光装置を提供することが可能となる。
【0017】
また、導光板の出射面に対向するように、所定パターンに形成された発光部と、発光部を除く遮光部からなる表示板を設けることにより、オーディオ装置等の表示部として使用可能な照明装置を提供することが可能となる。
【0018】
また、発光ダイオード単体として、波長が短くパワーの大きい紫外線、近紫外線及び青色の各発光ダイオードのいずれかを用い、蛍光体キャップとして略白色光を発光するものを用いることにより、照明装置の消費電力のさらなる低減が可能となる。
【0019】
一方、本発明の他の照明装置は、第1分光スペクトル分布を有する光を出射する発光ダイオード単体と、発光ダイオード単体からの出射光を繰り返し反射することにより所定の出射面から出射させる導光板と、導光板の出射面に対向するように設けられ、発光ダイオード単体からの出射光を受けて第2分光スペクトル分布を有する蛍光を発する蛍光体シートを含むことを特徴とする。すなわち、導光板を用いた面発光装置において、その出射面を直接発光面とするので、上記と同様に、液晶パネル等のバックライトとして使用可能な面発光装置を提供することが可能となる。
【0020】
また、蛍光体シートを、所定パターンに形成された発光部と、発光部を除く遮光部からなるように構成することにより、オーディオ装置等の表示部として使用可能な照明装置を提供することが可能となる。
【0021】
さらに、蛍光体キャップや蛍光体シートは、その厚さを均一にすることが容易であるので、蛍光体キャップや蛍光体シート中の蛍光体の分布を均一にすることができる。その結果、これら蛍光体キャップや蛍光体シートからの再発光光の輝度や色合いを均一にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の照明装置の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、天井や壁面に設けられる室内照明装置に関する。図1は第1の実施形態の照明装置の外観及び構成を示す斜視図であり、図2はその断面図である。また、図3は第1の実施形態で用いるLEDの構成を示す部分断面図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、第1の実施形態の照明装置100は、乳白色の透光性カバー部材110と、2次元的に配列された複数のLEDユニット200を保持するベース部材120と、ベース部材120の内側に設けられた回路基板130と、照明装置100とは離れた場所に設置される光量調節用のコントロールスイッチ140等で構成されている。また、回路基板130は商用交流電源150に接続されている。
【0024】
図2に示すように、ベース部材120のLED取付面121は、カバー部材110の形状に合わせて、中央部が凸になるように形成されている。また、LED取付面121の表面は光をカバー部材110側に反射するように鏡面処理又は金属メッキされている。
【0025】
第1の実施形態では、一例としてカバー部材110ベース部材120の形状を円形としているが、これに限定されるものではなく、正方形、長方形、六角形等の多角形やその他任意の形状であっても良い。LEDユニット200はカバー部材110及びベース部材120の形状に応じて円形や多角形等に配列されている。各LEDユニット200の配列間隔は、LEDユニット200の指向性、その大きさ及び発光強度等に応じて適宜選択すればよい。
【0026】
LEDを用いた照明装置において明るさ(光量)調節を行う場合、点灯するLEDユニット200の数を調節する。回路基板130上に設けられた制御回路は、コントロールスイッチ140からの信号に応じて、点灯するLEDユニット200を選択し、それらのオン/オフを制御する。例えば、光量最大の場合は全てのLEDユニット200を点灯させ、光量最小の場合は、中央部に位置する数個のLEDユニット200のみを点灯させる。あるいは、所定数のLEDユニット200を分散的に点灯させても良い。
【0027】
図3に示すLEDユニット200の一例では、公知のLED単体210の外側に、蛍光体を含む樹脂製の蛍光体キャップ220が設けられている。周知のように、LEDの発光スペクトルはシャープであり、実質的に単色光源である。そこで、本実施形態では、一旦LED単体210を発光させ、蛍光体キャップ220に含まれている蛍光体がLED単体210からの光を受けて、例えば白色光を再発光するように構成している。LED単体210の発光色は特に限定されず、赤色LEDの他、近年実用化が進んでいる青色LEDや紫外線LED等を用いても良い。具体的には、Ga:ZnO赤色LED、GaP:N緑色LED、GaAsP系赤色LED、GaAsP系橙色・黄色LED、GaAlAs系LED、InGaAlP系橙・黄色LED、GaN系青色LED、SiC青色LED、II−VI族青色LED等を挙げることができる。
【0028】
LED単体210の一例として、ピーク波長が470nmの青色LEDを用い、また蛍光体キャップ220に含まれる蛍光体の一例としてYAG蛍光体を用いた場合における青色LEDとYAG蛍光体のスペクトル分布を図4に示す。図4から明らかなように、YAG蛍光体を再発光させているので、青色LEDスペクトル分布にはほとんど含まれていない黄色や赤色の光が発光されており、LEDユニット200全体としては、ほぼ白色光を発光していることがわかる。
【0029】
なお、一般にLEDは指向性が強く、LEDを正面から見たときは輝度が高いけれども、LEDを観察する角度が大きくなるにつれて輝度が低下し、最終的には発光が観察されないことが知られている。ところが、LED単体210に蛍光体を含む蛍光体キャップ220をかぶせることにより、LEDユニット200全体としての指向性を緩和することが可能となる。その理由は以下のように考えられる。
【0030】
LED単体210から出射された光は蛍光体キャップ220に入射するが、全ての光が直接蛍光体キャップ220に入射するのではなく、一部の光は蛍光体キャップ220の表面で反射されてLED単体210側に戻る。LED単体210側に反射された光はLED単体210の表面で再反射されて、蛍光体キャップ220側に向かう。蛍光体キャップ220の表面では上記と同じ現象が繰り返されるので、このような反射を無限に繰り返すことにより、LED単体210から出射された光は散乱され、蛍光体キャップ220のほぼ全体に入射する。蛍光体キャップ220にはほぼ均一に蛍光体が含まれているので、蛍光体キャップ220のほぼ全体が光源となり、発光すると考えられる。
【0031】
なお、ベース部材120のLED取付面121は必ずしも中央部が凸になるように形成する必要はなく、平面であっても良い。
【0032】
(第2の実施形態)
本発明の照明装置の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、自動車用オーディオ装置、計器、エアコン等の表示部等に用いられる照明装置に関する。図5は第2の実施形態の照明装置の外観及び構成を示す斜視図であり、図6はその断面図である。また、図7は第2の実施形態の変形例の構成を示す断面図である。
【0033】
図5及び図6に示すように、第2の実施形態の照明装置300は、反射面311を有する基板310と、反射面311上に設けられ、アクリル等の透明樹脂等で成形された導光板320と、導光板320の鏡面311とは反対側に設けられ、文字や図形等の光が透過する透光部331及び光を透過させない遮光部332からなる表示板330等で構成されている。導光板320には、基板310上に設けられたLEDユニット200と対向し、かつLEDユニット200を収納するための凹部321が形成されている。LEDユニット200は、上記第1の実施形態で使用したもの(図3参照)を用いる。
【0034】
LEDユニット200から出射した光は、導光板320の凹部321の界面から導光板320内部に入射し、導光板320内部を直進する。導光板320内部を進んだ光は、導光板320と基板310の反射面311又は表示板330の遮光部332との界面に達すると、その界面で反射され、再度導光板320内部を直進する。この光は透光部331に到達して導光板320の外部に出射するか、あるいは減衰するまでこの反射を繰り返す。
【0035】
透光部331は所定の文字や記号等の形状に形成されているため、観察者は透光部331から出射した光により、その文字や記号等を認識することができる。なお、表示板330は例えば黒色等に着色された樹脂成型品であっても良いし、あるいは導光板320の出射面に黒色の塗料等で遮光部332を印刷したものであっても良い。
【0036】
図7に示す変形例では、樹脂の2色成形技術を応用し、透光部に相当する発光部334を、蛍光体を含む樹脂で成形し、遮光部332を遮光性顔料を含む樹脂で成形する。また、蛍光体キャップ220を含むLEDユニット200の代わりに、LED単体210を用いる。この変形例では、透光部331から光が出射するのではなく、透光部331の位置に配置された発光部334の蛍光体が直接発光する。
【0037】
図6に示す基本形の場合、透光部331を透過した光を観察するが、図7に示す変形例では発光部334から直接発光するので、文字や記号等の見栄えが若干異なる。
【0038】
(第3の実施形態)
本発明の照明装置の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、自動車用カーナビゲーションシステム、ビデオカメラ、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の表示部として用いられている液晶パネルの照明装置に関する。図8は第3の実施形態の照明装置の外観及び構成を示す斜視図であり、図9はその断面図である。また、図10は第3の実施形態の変形例の構成を示す断面図である。
【0039】
図8及び図9に示すように、第3の実施形態の照明装置400は、出射面411及び反射面412を有し、アクリル等の透明樹脂等で成形された導光板410と、導光板410の出射面411に略直交する入射面413に対向するように設けられた発光部420等で構成されている。導光板410の出射面411は、液晶パネル500の入射面に対向するように配置されている。
【0040】
発光部420には、導光板410の入射面413に対向し、かつ入射面413のなが手方向に平行となるように複数のLEDユニット200が配列されている。LEDユニット200は、上記第1の実施形態で使用したもの(図3参照)を用いる。
【0041】
LEDユニット200から出射した光は、導光板410の入射面413から導光板410内部に入射し、導光板410内部を直進する。導光板410内部を進んだ光は、導光板410の反射面412又は出射面411と空気との界面に達すると、その界面で反射され、再度導光板410内部を直進する。この光は出射面411に到達して導光板410の外部に出射するか、あるいは減衰するまでこの反射を繰り返す。なお、出射面411から液晶パネル500側へ出射する光の光量が均一となるように、反射面412は入射面413から遠ざかるほど出射面411に近付くように傾斜されている。
【0042】
図10に示す変形例では、導光板410の出射面411に対向するように、蛍光体を含む樹脂で成形された蛍光体シート430を設けている。また、蛍光体キャップ220を含むLEDユニット200の代わりに、LED単体210を用いる。この変形例では、導光板410の出射面から出射された光で直接液晶パネル500を照明するのでなく、出射面411に対向するように設けられた蛍光体シート430の蛍光体の発光により液晶パネル500を照明する。
【0043】
(LED単体と蛍光体キャップ等の具体的実施例)
次に、上記各実施形態で用いるLED単体210及び蛍光体キャップ220又は蛍光体シート430等について試作したので、その結果を示す。
【実施例1】
【0044】
シリコーンゴムに蛍光物質としてNKP−8306(蛍光体名、日本蛍光化学社製)を1.5部分散させ、金型と加熱プレスを用いて肉厚0.5mmの蛍光体キャップ220を成型した。また、LED単体210として、CIE(国際照明委員会)標準表色系(The ICI standard colorimetric system 以下、色度座標と呼称する)に従って、色度座標でx=0.1490、y=0.1203の青色LEDを用いた。この青色LED単体210に上記蛍光体キャップ220を装着して発光させたところ、色度座標でx=0.3912、y=0.4322の黄味かかった拡散白色光が観測された。
【0045】
この場合、青色LED単体210の輝度は32cd/m2であったが、蛍光体キャップ220を装着し色調を変化させることで輝度が66cd/m2と高められ、LED特有の指向性が低減され、発光色は蛍光体キャップ220の全面から拡散された。
【実施例2】
【0046】
蛍光物質としてNKP−8306(蛍光体名、日本蛍光化学社製)の添加量を1.25部、1.07部、0.94部、0.83部および0.75部と変化させて、シリコーンゴムに分散し、製造例1と同様の金型と加熱プレスを用いて肉厚0.5mmの蛍光体キャップ220をそれぞれ成型した。これらの蛍光体キャップ220を色度座標でx=0.1490、y=0.1203の青色LED単体210に装着して発光させたところ、下記表1に示す拡散発光色の結果が得られた。
【0047】
【表1】

【0048】
表1の結果から明らかなように、蛍光物質の添加量により発光色をコントロールできることが確認された。特に上記の場合において、蛍光物質を1.25部分散させた時の発光色が、最も高い輝度70cd/m2であることが観測された。
【0049】
なお、蛍光体キャップ220の肉厚は均一であっても良く、また部分的に肉厚を変化させて発光色を拡散、または色調を変えることも可能であり、目的に応じた設計をすることができる。
【実施例3】
【0050】
蛍光物質としてNKP−8306(蛍光体名、日本蛍光化学社製)を用い、これと添加剤としての酸化ガドリニウムとを10:2の割合で混合した。この混合物の0.75部をシリコーンゴムに分散させ、金型と加熱プレスを用いて肉厚0.5mmの蛍光体キャップ220を成型した。この蛍光体キャップ220を発光色が色度座標でx=0.1490、y=0.1203の青色LED単体210に装着したところ、色度座標でx=0.2971、y=0.3485の青みを帯びた拡散白色光が観測された。
【実施例4】
【0051】
蛍光物質としてNKP−8306(蛍光体名、日本蛍光化学社製)を用い、これと添加剤としての酸化ガドリニウムとを10:4の割合で混合した。この混合物の0.75部をシリコーンゴムに分散させ、金型と加熱プレスを用いて肉厚0.5mmの蛍光体キャップ220を成型した。この蛍光体キャップ220を発光色が色度座標でx=0.1490、y=0.1203の青色LED単体210に装着したところ、色度座標でx=0.2985、y=0.3529の青みを帯びた拡散白色光が観測された。
【実施例5】
【0052】
蛍光物質としてNKP−8306(蛍光体名、日本蛍光化学社製)を用い、これと添加剤としての酸化ガドリニウムとを10:6の割合で混合した。この混合物の0.75部をシリコーンゴムに分散させ、金型と加熱プレスを用いて肉厚0.5mmの蛍光体キャップ220を成型した。この蛍光体キャップ220を発光色が色度座標でx=0.1490、y=0.1203の青色LED単体210に装着したところ、色度座標でx=0.3090、y=0.3679の拡散白光色が観測された。
【実施例6】
【0053】
蛍光物質としてNKP−8306(蛍光体名、日本蛍光化学社製)を用い、これと添加剤としての酸化ガドリニウムとを10:8の割合で混合した。この混合物の0.75部をシリコーンゴムに分散させ、金型と加熱プレスを用いて肉厚0.5mmの蛍光体キャップ220を成型した。この蛍光体キャップ220を発光色が色度座標でx=0.1490、y=0.1203の青色LED単体210に装着したところ、色度座標でx=0.3138、y=0.3734の拡散白光色が観測された。
【実施例7】
【0054】
蛍光物質としてNKP−8306(蛍光体名、日本蛍光化学社製)を用い、これと添加剤としての酸化ガドリニウムとを10:10の割合で混合した。この混合物の0.75部をシリコーンゴムに分散させ、金型と加熱プレスを用いて肉厚0.5mmの蛍光体キャップ220を成型した。この蛍光体キャップ220を発光色が色度座標でx=0.1490、y=0.1203の青色LED単体210に装着したところ、色度座標でx=0.3254、y=0.3890の拡散白光色が観測された。
【0055】
なお、上記実施例3〜7の発光色の結果から明らかなように、酸化カドリニウムの添加量を増加させることにより、青色LED単体210の波長をより効果的に励起させうることがわかる。
【実施例8】
【0056】
シリコーンゴムに蛍光物質としてYAG蛍光体(イットリウム28.0wt%、アルミニウム13.6wt%、ガドリニウム56.62wt%、セリウム1.23wt%)を40部分散させ、金型と加熱プレスを用いて肉厚0.6mmの蛍光体キャップ220を成型した。また、LED単体210として、色度座標でx=0.1275、y=0.0883、輝度28.95cd/m2の青色LEDを用いた。
【0057】
この青色LED単体210に上記蛍光体キャップ20を装着して発光させたところ、色度座標でx=0.3192、y=0.3375、輝度が66.36cd/m2の拡散白色光が観測された。
【実施例9】
【0058】
シリコーンゴムに蛍光物質としてYAG蛍光体(イットリウム28.0wt%、アルミニウム13.6wt%、ガドリニウム56.62wt%、セリウム1.23wt%)を12.5部分散させて、肉厚0.5mmの蛍光体シートを作成した。
【0059】
青色LED単体210として、上記実施例8で使用したものを用い、この青色発光LED単体210から5mm離れた位置に上記蛍光体シートを装着し、20mAの電流で発光ダイオードを点灯させた。蛍光体シートを通して拡散された光を分光放射輝度計「PR−704」で測定したところ、色度座標でx=0.2667、y=0.2725、輝度が1629cd/m2の拡散白色光が観測された。
【実施例10】
【0060】
シリコーンゴムに蛍光物質としてペリレン系集光性蛍光染料である「LumogenORANGE F」(BASF社製)を0.2部分散させ、金型と加熱プレスを用いて肉厚0.5mmの蛍光体キャップ210を成型した。また、青色LED単体210として上記実施例8で使用したものを用い、この青色LED単体210に上記蛍光体キャップ210を装着して20mAの電流で発光させたところ、色度座標でx=0.3405、y=0.3235、輝度が2.124cd/m2の拡散白色光が観測された。
【0061】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、蛍光体により白色光を発光するように構成したが、これに限定されるものではなく、電球色や昼光色を発光するような蛍光体を用いても良いことは言うまでもない。
【0062】
また、上記各実施形態では、LED単体210の表面に蛍光体を含む蛍光体キャップ220をかぶせるように構成したが、これに限定されるものではなく、複数のLED単体210を、蛍光体を含む1つのカバーで覆うような構成であっても良い。
【0063】
また、蛍光体キャップ220の材料としてシリコーンゴムを用いたが、これに限定されるものではなく、フッ素系ゴム等を用いても良い。すなわち、紫外線を透過させ、紫外線による劣化が少ない材料であればよい。
【0064】
さらに、上記各実施形態では、LED単体210とは別個に蛍光体キャップ220や蛍光体シート430を用いたが、例えばLEDを構成する樹脂部分に蛍光体を含有させた白色LED等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の照明装置の第1の実施形態の外観及び構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態の構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態で用いるLEDの構成を示す部分断面図である。
【図4】青色LED及びYAG蛍光体のスペクトル分布を示す図である。
【図5】本発明の照明装置の第2の実施形態の外観及び構成を示す斜視図である。
【図6】第2の実施形態の構成を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態の変形例の構成を示す断面図である。
【図8】本発明の照明装置の第3の実施形態の外観及び構成を示す斜視図である。
【図9】第3の実施形態の構成を示す断面図である。
【図10】第3の実施形態の変形例の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
100:照明装置
110:カバー部材
120:ベース部材
121:LED取付面
130:回路基板
140:コントロールスイッチ
150:商用交流電源
200:発光ダイオード(LED)ユニット
210:LED単体
220:蛍光体キャップ
300:照明装置
310:基板
311:反射面
320:導光板
321:凹部
330:表示板
331:透光部
332:遮光部
334:発光部
400:照明装置
410:導光板
411:出射面
412:反射面
413:入射面
420:発光部
430:蛍光体シート
500:液晶パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1分光スペクトル分布を有する光を出射する発光ダイオード単体と、発光ダイオード単体の出射面に対向するように被せられ、発光ダイオード単体からの出射光を受けて第2分光スペクトル分布を有する蛍光を発する蛍光体キャップとを含む発光ダイオードユニットを光源として用いたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
複数の発光ダイオードユニットを2次元的に配列したことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
複数の発光ダイオードユニット取付面の中央部を凸状に成形したことを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
点灯する発光ダイオードユニットの数を調節することにより光量調節を行うことを特徴とする請求項2又は3記載の照明装置。
【請求項5】
発光ダイオードユニットからの出射光を導光板に入射させ、導光板の出射面を面発光させることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項6】
導光板の出射面に対向するように、所定パターンに形成された発光部と、発光部を除く遮光部からなる表示板を設けたことを特徴とする請求項5記載の照明装置。
【請求項7】
発光ダイオード単体として紫外線、近紫外線及び青色の各発光ダイオードのいずれかを用い、蛍光体キャップとして略白色光を発光するものを用いたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
第1分光スペクトル分布を有する光を出射する発光ダイオード単体と、発光ダイオード単体からの出射光を繰り返し反射することにより所定の出射面から出射させる導光板と、導光板の出射面に対向するように設けられ、発光ダイオード単体からの出射光を受けて第2分光スペクトル分布を有する蛍光を発する蛍光体シートを含むことを特徴とする照明装置。
【請求項9】
蛍光体シートは、所定パターンに形成された発光部と、発光部を除く遮光部からなることを特徴とする請求項8記載の照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−147348(P2009−147348A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326580(P2008−326580)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【分割の表示】特願平10−330459の分割
【原出願日】平成10年11月20日(1998.11.20)
【出願人】(597096161)株式会社朝日ラバー (74)
【Fターム(参考)】