説明

照明装置

本発明は、透明な担持板11であって、前記担持板11上に配設される複数のLED3、5を具備する担持板11を有する、マトリックス照明システムの形態の照明装置に関する。前記LEDは、行及び列を備えるパターンに配設されてもよく、各LEDは、各々の発光ダイオードによって生成される光を全反射によりコリメートする光学的に透明なボディの形態のコリメート光学部品13、15に光学的に接続され得る。前記システムの後ろの対象が前記システムを通して見え得るように、前記システム全体を透明にするために、個々のLEDの光学素子の間の空間には、空気の屈折率より高い屈折率を持つ充填材料29が充填される。TIRレンズ特性を維持するために、前記充填材料と、前記光学部品の表面との間で、隙間が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と、前記基板に配設される複数の発光ダイオードとを有する照明装置であって、各発光ダイオードが、コリメート光学部品(collimating optical component)に光学的に接続される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、例えば、米国特許番号第6554451号において開示されており、米国特許番号第6554451号においては、照明対象から離れて、より正確な照明を供給するために、発光ダイオードが、各々、コリメート部品を具備する。
【0003】
この装置の不利な点の1つは、それが、望ましい特性であろう透明ではないことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、本発明の目的は、冒頭の段落において言及されている種類の照明装置であって、透明であり、故に、照明方向とは異なる角度において、前記装置を通して、対象が見られ得る照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1において規定されているような照明装置によって達成される。
【0006】
より詳細には、本発明は、基板と、前記基板に配設される複数の発光ダイオードとを有する照明装置であり、各発光ダイオードが、空気の屈折率(1.0)より高い屈折率を持ち、各々の前記発光ダイオードによって生成される光を全反射によりコリメートする光学的に透明なボディの形態のコリメート光学部品に光学的に接続される照明装置であって、隣接する光学部品間の空間に、少なくとも部分的に、空気の屈折率より高い屈折率を持つ充填材料が充填され、各コリメート光学部品と、前記充填材料との間に隙間が設けられる照明装置に関する。前記充填材料は、前記基板の面に対して斜めである、即ち、垂直ではない方向に前記装置を通る光線が、確実に、より少ない程度しか前記光線の伝搬方向を変えないようにする。それ故、透明度が高められる。
【0007】
前記隙間の幅は、前記コリメート光学部品の面にわたって一様であってもよく、前記隙間の幅は、好ましくは、少なくとも2μmである。
【0008】
前記コリメート光学部品の屈折率と、前記充填材料の屈折率とは、同じであってもよく、それらの互いの差は、好ましくは、0.3未満である。
【0009】
前記コリメート光学部品は、複合パラボラ集光器(compound parabolic concentrator)(CPC)であってもよい。
【0010】
下記の実施例を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、マトリックス照明システム(matrix illumination system)の使用状況を概略的に図示している。前記システムは、板状の担持装置1であって、担持体上に或るパターンで配設される複数の発光ダイオード(LED)3、5などを備える担持装置1を有する。LEDは、図1において図示されているように行及び列に配設されてもよいが、他の配置も考えられる。担持体において、LEDは、例えば、互いにずれている列に配設されてもよく、同心円に配設されてもよく、又は任意に若しくはランダムに配置されてもよい。後で説明するように、各LEDは、LEDとコリメート光学素子との各組み合わせが、コリメートされた光ビーム7を放射するように、コリメート光学素子又は部品に光学的に接続され得る。担持体上のLEDは、面9を照明するのに用いられてもよく、照明は、各LEDが別々に制御され得ることから、この面で、多様な方法で変えられ得る。
【0012】
図2は、マトリックス照明システムの断面を示している。上記のように、前記システムは、透明な材料、例えば、透明なPMMA(ポリメチルメタクリレート)で作成され得る、好ましくは平坦な担持基板11上に配設される複数のLED3、5などを有する。透明な基板が用いられる場合には、LEDは、好ましくは、ITO(インジウムスズ酸化物)導体などの透明な導体(図示せず)を用いて給電され得る。図示されているシステムにおいては、各LEDは、コリメート光学部品13、15などを具備し、前記コリメート光学部品は、図示されているケースにおいては、空気の屈折率より高い屈折率を持ち、各々の発光ダイオードによって生成される光を全反射によりコリーメートする光学的に透明なボディの形態の複合パラボラ集光器である。
【0013】
図3乃至5は、コリメート光学部品の様々な例を断面図で図示している。図3は、第1の例、パラボラ鏡面反射器に似ている(時として、複合パラボラコリメータと呼ばれる)複合パラボラ集光器を図示している。しかしながら、CPCは、空気より高い屈折率、例えば1.5である屈折率を持つ透明な材料の固体のボディを有する。LEDによって横方向に放射された光の大部分は、CPCのボディと、周囲の空気との間の界面において、全反射(TIR)により反射される。この光は、次いで、前面19において、コリメートされたビーム7として、この面に垂直にCPCを出る。パラボラという単語は、通常、円錐形断面のように形成される断面を意味するが、CPCの断面は、この形状から或る程度ずれてもよい。LED3は、コリメート光学部品13と一体化されてもよい。
【0014】
図4は、多少平坦な第2の例を図示しており、前記第2の例においては、コリメート光学部品の前面において付加的なレンズ21が一体化されている。図5は、第3の例を図示しており、前記第3の例においては、コリメート光学素子は、前面のレンズに加えて、環状同心プリズム23、25などを有する。これは、図3のものと同様のコリメート機能を可能にするが、光学素子の奥行きはかなり小さい。
【0015】
図2に戻ると、透明な材料の担持体11及び透明な材料のCPC13、15が用いられ、LED3、5が透明な導体(図示せず)によって給電される場合には、システム全体が、透光性であろう、即ち、LEDによって覆われる小さな領域以外は、光が前記システムを通過することを可能にするであろう。しかしながら、前記システムを斜めに伝搬する光線は、例示的な光線27によって図示されているように屈折させられるであろう、即ち、光線は、前記システムに対するその角度を差角θ変えるであろう。それ故、前記システムは、入ってくる光を散乱させるレンズの機能を持つことから、前記システムを通しての視界は悪化させられるであろう。それ故、前記システムの後ろの対象は前記システムを通してはっきりと見えないという意味において、前記システムは透明ではないであろう。
【0016】
図6は、この問題を解決する本発明の一実施例によるマトリックス照明システムの断面を示している。このシステムにおいては、隣接するコリメート光学部品間の空間に、透明な材料で作成された、例えば、射出成形されたポリマの板の形態の、充填材料29が充填される。
【0017】
充填材料は、空気の屈折率より高い屈折率を持つ。好ましくは、CPCの屈折率と、充填材料の屈折率とは同じである。しかしながら、これらの屈折率の間に幾らかの差異がある場合であっても、ほとんどの場合、充填材料が用いられない場合と比べて、状況は改善されるであろう。好ましくは、前記差異は0.3未満である。この充填材料は、図4及び5に示されているタイプのコリメート光学部品に容易に適合され得る。充填材料29は、基板11の一部になっていてもよく、即ち、基板上の構造体面(structured surface)に含まれてもよい。
【0018】
コリメート光学部品の機能を保つために、各光学部品13、15と、充填材料29との間で隙間が維持され、故に、LEDから放射される光の全反射が行われ得る。この隙間は、光学部品の面にわたって一様であってもよい。色に影響を及ぼすのを防止するために、この隙間は、光の最も長い波長の少なくとも数倍であるべきである。少なくとも2μmの隙間幅が有用だと考えられる。しかしながら、大きすぎる隙間は、充填材料のプラス効果を減らし得る。隙間には、空気又は別のガスが充填されてもよい。好ましくは、隙間の汚れの発生を防止するために、コリメート光学部品の前に透明なカバープレートが配置される。
【0019】
充填材料が斜めの光線33に与える影響は、図6においてはっきりと見られ得る。光線は、当然、各界面において屈折させられるであろうが、出て行く光線の角度特性は、光が担持板11に入ったときと基本的に同じであろう。
【0020】
これは、前記システムに対して斜めの角度位置において前記システムを通して見る場合に当てはまることに注意されたい。垂直方向に前記システムを覗き込む場合には、ユーザは、発光しているか否かLEDを見る。
【0021】
要約すると、本発明は、透明な担持板であって、前記担持板上に配設される複数のLEDを具備する担持板を有する、マトリックス照明システムの形態の照明装置に関する。LEDは、行及び列を備えるパターンに配設されてもよく、各LEDは、空気の屈折率より高い屈折率を持ち、各々の発光ダイオードによって生成される光を全反射によりコリメートする光学的に透明なボディの形態のコリメート光学部品に光学的に接続され得る。前記システムの後ろの対象が前記システムを通して見え得るように、前記システム全体を透明にするために、個々のLEDの光学素子の間の空間には、空気の屈折率より高い屈折率を持つ充填材料が充填される。TIRコリメート特性を維持するために、充填材料と、光学部品の表面との間で、隙間が維持される。
【0022】
本発明は、記載されている実施例に限定されない。本発明は、添付した請求項の範囲内で様々に変更を加えられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】マトリックス照明システムの使用状況を概略的に図示する。
【図2】従来のマトリックス照明システムの断面を示す。
【図3】コリメート光学部品の様々な形状を断面図で図示する。
【図4】コリメート光学部品の様々な形状を断面図で図示する。
【図5】コリメート光学部品の様々な形状を断面図で図示する。
【図6】本発明の一実施例によるマトリックス照明システムの断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に配設される複数の発光ダイオードとを有する照明装置であり、各発光ダイオードが、空気の屈折率より高い屈折率を持ち、各々の前記発光ダイオードによって生成される光を全反射によりコリメートする光学的に透明なボディの形態のコリメート光学部品に光学的に接続される照明装置であって、隣接する光学部品間の空間に、少なくとも部分的に、空気の屈折率より高い屈折率を持つ充填材料が充填され、各コリメート光学部品と、前記充填材料との間に、隙間が設けられる照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、前記隙間の幅が、前記コリメート光学部品の面にわたって一様である照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明装置であって、前記コリメート光学部品の屈折率と、前記充填材料の屈折率との間の差が0.3未満である照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の照明装置であって、前記コリメート光学部品の屈折率と、前記充填材料の屈折率とが同じである照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の照明装置であって、前記隙間の幅が少なくとも2μmである照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の照明装置であって、前記コリメート光学部品が、複合パラボラ集光器である照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−516893(P2009−516893A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540749(P2008−540749)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054179
【国際公開番号】WO2007/057821
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】