説明

照明装置

【課題】エレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置の薄型化を図ることを目的の一とする。又は、エレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置の構造を簡略化し、低コスト化を図ることを目的の一とする。
【解決手段】中央部に開口部を有する基板上に、第1の電極層、EL層及び第2の電極層の積層構造で構成される発光素子を設け、当該発光素子に電源を供給するための、第1の接続部と第2の接続部を基板上の中央部(基板に設けられた開口部の近傍)に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、エレクトロルミネセンスを発現する発光部材を含む照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の照明器具としてエレクトロルミネセンス(EL)材料を用いた照明装置が注目されている。エレクトロルミネセンス材料を用いた光源は、白熱電球や蛍光灯よりも発光効率が高くなると試算されているためである。また、エレクトロルミネセンス材料を蒸着法や塗布法により基板上に成膜すれば、薄膜化された面光源を作製することができ大面積化も可能である。そのため、エレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置において、発光部の面内発光強度を均一にするための構成などが開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、エレクトロルミネセンスパネルの荷重負担を減らすために、有機エレクトロルミネセンスパネルを環状に形成し中央部に開口部を形成した照明装置が開示されている(特許文献2)。この照明装置は、有機エレクトロルミネセンスパネルの電極層からの端子を中央の開口部の内側まで引き出し、中央部に取付けた支持部材に設けた駆動回路と、引き出された端子とを接続した構造を有している。
【0004】
このような構造の照明装置では、有機エレクトロルミネセンスパネルの薄膜電極の端子を中央の開口部の内側まで引き出すには、金属板や導線などを薄膜電極に半田付け等して取り付ける必要がある。しかし、金属板や導線を薄膜電極に取り付けても、薄膜電極は付着力が弱く基板から剥離しやすいという問題がある。
【0005】
また、薄膜電極と金属板や導線などの引き出し端子を別途設ける必要があるため、部品点数が増えて構造が複雑になるという問題がある。その結果、エレクトロルミネセンス素子が薄膜でありながら、照明装置の薄型化を実現できないという問題がある。また、構造が複雑化するにつれて、コストが増加するという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−332773号公報
【特許文献2】特開2007−173424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一形態は、エレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置の薄型化を図ることを目的の一とする。又は、本発明の一形態は、エレクトロルミネセンス材料を用いた照明装置の構造を簡略化し、低コスト化を図ることを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、中央部に開口部を有する基板上に、第1の電極層、EL層及び第2の電極層の積層構造で構成される発光素子を設け、当該発光素子に電源を供給するための、第1の接続部と第2の接続部を基板上の中央部(基板に設けられた開口部の近傍)に設ける。
【0009】
本発明の一態様は、中央部に開口部を有する基板と、基板上に設けられた第1の電極層、EL層及び第2の電極層の積層構造で構成される発光素子と、発光素子を覆って設けられ且つ基板の中央部において開口部を有する絶縁膜と、絶縁膜の開口部に引き出された第1の電極層により設けられた第1の接続部と、絶縁膜の開口部に引き出された第2の電極層により設けられる第2の接続部とを有する照明装置を提供する。第1の接続部及び第2の接続部は基板上に設けられている。なお、絶縁膜の開口部に電極層が引き出されるとは、絶縁膜の開口部まで電極層の一部分が延伸して設けられることをいう。
【0010】
本発明の一態様は、中央部に開口部を有する基板と、基板上に設けられた第1の電極層、EL層及び第2の電極層の積層構造で構成される発光素子と、第2の電極層と同一の材料で設けられ且つ第1の電極層と電気的に接続する導電層と、発光素子を覆って設けられ且つ基板の中央部において開口部を有する絶縁膜と、基板上に設けられ且つ絶縁膜の開口部に形成された第1の接続部及び第2の接続部とを有し、第1の接続部を絶縁膜の開口部に形成された導電層により設け、第2の接続部を絶縁膜の開口部に引き出された第2の電極層により設ける照明装置を提供する。
【0011】
本発明の一態様は、中央部に開口部を有する基板と、基板上に設けられた第1の電極層及び導電層と、第1の電極層上に設けられたEL層と、EL層上に設けられ、且つ導電層と電気的に接続する第2の電極層と、基板、第1の電極層、EL層及び第2の電極層を覆って設けられ、且つ基板の中央部において開口部を有する絶縁膜と、基板上に設けられ、且つ絶縁膜の開口部に形成された第1の接続部及び第2の接続部とを有し、第1の接続部を絶縁膜の開口部に引き出された第1の電極層により設け、第2の接続部を絶縁膜の開口部に設けられた導電層により設ける照明装置を提供する。また、第1の電極層と導電層を同一の材料で設けることができる。
【0012】
なお、本明細書において、酸化窒化物とは、その組成として、窒素原子よりも酸素原子の数が多い物質のことを指し、窒化酸化物とは、その組成として、酸素原子より窒素原子の数が多い物質のことを指す。例えば、酸化窒化珪素膜とは、その組成として、窒素原子よりも酸素原子の数が多く、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化珪素膜とは、その組成として、酸素原子より窒素原子の数が多く、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化珪素を構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0013】
本明細書において、Aの上にBが形成されている、あるいは、A上にBが形成されている、と明示的に記載する場合は、Aの上にBが直接接して形成されていることに限定されない。直接接してはいない場合、つまり、AとBと間に別の対象物が介在する場合も含むものとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、開口部が設けられた基板上に第1の電極層、EL層及び第2の電極層の積層構造で構成される発光素子を有する構造において、第1の電極層と電気的に接続する第1の接続部と第2の電極層と電気的に接続する第2の接続部とを、基板上の中央部(開口部の近傍領域)に設けるため、照明装置を薄膜化することができる。本発明の一態様によれば、基板上に設けられる第1の接続部と第2の接続部を、第1の電極層又は第2の電極層と同じ材料で設けることにより構造を簡略化し、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1に係る照明装置の一例を説明する図。
【図2】実施の形態1に係る照明装置の一例を説明する図。
【図3】実施の形態1に係る照明装置の一例を説明する図。
【図4】実施の形態1に係る照明装置の一例を説明する図。
【図5】実施の形態2に係る照明装置の一例を説明する図。
【図6】実施の形態2に係る照明装置の一例を説明する図。
【図7】実施の形態3に係る照明装置の一例を説明する図。
【図8】実施の形態3に係る照明装置の一例を説明する図。
【図9】実施の形態3に係る照明装置の一例を説明する図。
【図10】実施の形態5に係る照明装置の一例を説明する図。
【図11】実施の形態5に係る照明装置の一例を説明する図。
【図12】実施の形態5に係る照明装置の一例を説明する図。
【図13】実施の形態5に係る照明装置の一例を説明する図。
【図14】照明装置における発光素子の一例を説明する図。
【図15】実施の形態6に係る照明装置の一例を説明する図。
【図16】実施の形態6に係る照明装置の一例を説明する図。
【図17】実施の形態6に係る照明装置の一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定されず、発明の趣旨から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者にとって自明である。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、異なる実施の形態に係る構成は、適宜組み合わせて実施することができる。また、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態では、エレクトロルミネセンス(EL)材料を有する照明装置の一例について、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施の形態で示す照明装置は、中央部に開口部を有する基板上に、第1の電極層と、EL層と、第2の電極層とが積層して設けられ、基板の中央部に第1の接続部及び第2の接続部を有するものである。
【0019】
以下、具体的な構成に関して図1、図2を参照して説明する。なお、図1は、照明装置の平面の模式図を示し、図2(A)は図1におけるA−B間の断面の模式図を示し、図2(B)は図1におけるC−D間の断面の模式図を示している。
【0020】
図1、図2に示す照明装置130は、中央部に開口部109を有し且つ丸型(ディスク形状または円盤形状)の基板101と、基板101上に絶縁膜102を介して設けられた発光素子132と、発光素子132を覆うように設けられた絶縁膜110と、基板101上に設けられた第1の接続部112及び第2の接続部114とを有している。
【0021】
発光素子132は、第1の電極層104、EL層106及び第2の電極層108の積層構造で形成されており、ここでは、基板101上に絶縁膜102を介して第1の電極層104が形成され、第1の電極層104上にEL層106が形成され、EL層106上に第2の電極層108が形成される場合を示している。
【0022】
絶縁膜110は、基板101の中央部において開口部115を有しており、当該開口部115に第1の接続部112及び第2の接続部114が設けられている。なお、絶縁膜110の開口部115は、基板101に形成された開口部109よりその面積(基板101の表面と平行な面における開口部分の面積)が大きくなるように形成する。
【0023】
第1の接続部112は、開口部115まで引き出された(延伸した)第1の電極層104により設けられ、第2の接続部114は開口部115まで引き出された第2の電極層108により設けられている。つまり、第1の電極層104の一部が絶縁膜110の開口部115まで引き出されて(延伸して)第1の接続部112が形成され、第2の電極層108の一部が絶縁膜110の開口部115まで引き出されて第2の接続部114が形成されている。
【0024】
このように、基板101上に形成された第1の電極層104及び第2の電極層108を引き出して、基板101上に第1の接続部112及び第2の接続部114を形成することにより、照明装置を薄膜化することができる。
【0025】
また、基板101上に形成された第1の電極層104及び第2の電極層108を第1の接続部112及び第2の接続部114として用いることにより、照明装置の構造を簡略化し、低コスト化を図ることができる。
【0026】
また、開口部109を有する基板101を用い、当該基板101の中央部(より具体的には、開口部109の近傍領域)に第1の接続部112及び第2の接続部114を設けることにより、基板101に形成された開口部109を介して外部から電源の供給を行うことが可能となる。その結果、照明装置において、1箇所(基板の中央部)で発光素子132に電源を供給することができる。
【0027】
また、図1、図2で示す構成では、第1の電極層104、EL層106及び第2の電極層108にも、絶縁膜110と同様に基板の中央部に開口部が形成されており、第1の電極層104、EL層106及び絶縁膜110の開口部に第2の電極層108の一部が引き出されることにより、基板101上に第2の接続部114が設けられている。この際、第2の電極層108の一部が、第1の電極層104の端部及びEL層106の端部を乗り越える(横断する)部分においては、第1の電極層104と第2の電極層108が接触しないように、第1の電極層104の端部をEL層106が覆うように設けることができる。
【0028】
また、図1、図2に示す構成では、基板101の外周部において、EL層106が第1の電極層104より内側に形成され、第2の電極層108がEL層106の内側に形成される場合を示したが、これに限られない。第1の電極層104と第2の電極層108が絶縁されるように設ければどのように設けてもよい。
【0029】
例えば、基板101の外周部において、第1の電極層104の端部を覆うようにEL層106を形成し、当該EL層106の端部を覆うように第2の電極層108を形成してもよい。この場合、基板101の外周部において、第2の電極層108の内側にEL層106が形成され、EL層106の内側に第1の電極層104が形成される。
【0030】
他にも、基板101の外周部において、第1の電極層104の端部を覆うようにEL層106を形成し、第2の電極層108はEL層106の端部を乗り越えないように設けてもよい。この場合、基板101の外周部において、EL層106の内側に第1の電極層104及び第2の電極層108が形成される。
【0031】
次に、上記図1、図2に示した照明装置を構成する材料等について、具体的に説明する。
【0032】
<基板101>
基板101は、薄膜を成膜可能な部材、又は薄膜が成膜された部材であって、内部に開口部109を有する丸型(ディスク形状または円盤形状)の部材を用いることができる。具体的には、ガラス基板、セラミック基板、石英基板などを挙げることができる。また、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板などを用いることができる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0033】
また、基板101として可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことである。また、ステンレス合金などの金属基板の表面に絶縁膜を設けた基板を適用しても良く、照明装置130の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0034】
なお、発光素子132が発する光を基板101側に取り出す場合、基板101として可視光を透過する材料を用いる。
【0035】
また、基板101の大きさは、照明装置130の用途によって適宜設定することが可能である。一例として、CD−R等の光ディスクデバイスと同程度の大きさとすることができ、この場合、生産性、又は照明装置の取り扱いの面から好ましい。例えば、直径10cm〜14cm、一例として直径12cmの円盤形状であって、厚みを1.2〜1.5mm程度としたプラスチック基板を用いることができる。また、厚み0.5〜0.7mmの支持体を貼り合わせて基板101として用いてもよい。また、基板101に設ける開口部109の直径は、5mm〜20mm(例えば、15mm)とすることができる。
【0036】
このような基板を用いることにより、中央部に開口部を有し、直径10cm〜14cm(例えば、直径12cm)で、厚さが1.2mm〜2.0mm程度の円盤状の照明装置を作製することができる。但し、照明装置のサイズはこれに限定されない。
【0037】
なお、本実施の形態では、基板101の形状を円盤形状とする場合を示しているが、基板101の形状は円盤形状に限られず、楕円状や矩形状としてもよい。また、基板101に設けられる開口部109の形状も円形に限られず、楕円状や矩形状としてもよい。
【0038】
<絶縁膜102>
絶縁膜102は、基板101から発光素子132への水分や不純物元素の拡散を抑制する保護膜(下地絶縁膜)として機能する。特に、基板101としてプラスチックを用いる場合、基板101から発光素子132に拡散する水分を低減することができる。
【0039】
絶縁膜102としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル膜、硫化亜鉛膜、酸化珪素を含む硫化亜鉛膜等をその例に挙げることができる。これらの材料から成る単層または積層構造として絶縁膜102を形成して用いることができる。これらの膜は、CVD法又はスパッタリング法等を用いて形成することができる。
【0040】
絶縁膜102は単層であっても、絶縁膜を2層または3層以上に積層して形成してもよい。また、絶縁膜102を設けずに、基板101上に接して第1の電極層104を設けてもよい。
【0041】
<第1の電極層104・第2の電極層108>
第1の電極層104、第2の電極層108は、発光素子132において電極として機能し、導電膜で設けることができる。
【0042】
また、第1の電極層104と第2の電極層108のうち一方は、発光素子132の陽極として機能し、他方は陰極として機能する。第1の電極層104を陽極として用いると共に、第2の電極層108を陰極として用いてもよいし、第1の電極層104を陰極として用いると共に、第2の電極層108を陽極として用いてもよい。
【0043】
第1の電極層104、第2の電極層108のうち、陽極として用いる電極は、仕事関数の大きい物質で形成することが好ましい。具体的には、インジウム錫酸化物(ITO)、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム(IZO)の他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を単層又は積層させて形成することができる。
【0044】
第1の電極層104、第2の電極層108のうち、陰極として用いる電極は、仕事関数の小さい物質で形成することが好ましい。具体的には、アルミニウム(Al)やインジウム(In)の他、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、マグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)等のアルカリ土類金属、エルビウム(Er)やイッテルビウム(Yb)等の希土類金属を単層又は積層させて形成することができる。また、アルミニウムリチウム合金(AlLi)やマグネシウム銀合金(MgAg)のような合金を電極の材料として用いることもできる。
【0045】
また、第1の電極層104、第2の電極層108は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法を用い、成膜時にシャドーマスクを適用して形成することができる。
【0046】
本実施の形態では、例えば、第1の電極層104としてITOを用いて陽極として機能させ、第2の電極層108としてアルミニウムを用いて陰極として機能させることができる。
【0047】
発光素子132の発光は、第1の電極層104と第2の電極層108のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極層104と第2の電極層108のいずれか一方または両方を透光性を有する電極で形成する。第1の電極層104のみが透光性を有する電極である場合、光は第1の電極層104を通って基板101側から取り出される。また、第2の電極層108のみが透光性を有する電極である場合、光は第2の電極層108を通って絶縁膜110側から取り出される。第1の電極層104および第2の電極層108がいずれも透光性を有する電極である場合、光は第1の電極層104および第2の電極層108を通って、基板101側および絶縁膜110側の両方から取り出される。
【0048】
<EL層106>
EL層106は、少なくとも発光物質を含む層を有し、単層構造又は複数の膜が積層された積層構造で設けることができる。
【0049】
例えば、第1の電極層104を陽極とし、第2の電極層108を陰極として、発光素子132に電圧を加えた場合、第1の電極層104側から注入した正孔と、第2の電極層108側から注入した電子が輸送される。そして、電子と正孔がEL層106にて再結合することにより発光物質を励起し、励起状態の発光物質が基底状態に戻る際に発光して、発光素子132が機能する。本実施の形態で示す照明装置130は、このような発光素子132(エレクトロルミネッセンス素子)を用いることができる。
【0050】
<絶縁膜110>
絶縁膜110は、発光素子132を保護すると共に、発光素子132への酸素や水分の侵入を防ぐ封止膜として機能する。絶縁膜110は、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化タンタル膜、硫化亜鉛膜、酸化珪素を含む硫化亜鉛膜等の無機材料を単層又は積層させて形成することができる。また、炭素を主成分とする薄膜(例えばDLC膜、CN膜)を用いてもよい。
【0051】
他にも、絶縁膜110として、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン等の感光性又は非感光性の有機材料や、シロキサン等の耐熱性有機樹脂を用いてもよい。また、無機材料と有機材料を積層して絶縁膜110を形成してもよい。
【0052】
また、発光素子132が発する光を絶縁膜110側に取り出す場合、可視光を透過する材料を用いて絶縁膜110を形成する。可視光を透過する材料としては、例えば、CaF、MgF、またはBaFをその例に挙げることができる。CaF、MgF、またはBaFは、蒸着法を用いて成膜することができるため、成膜時に発光素子132に与える損傷を小さくすることができる。
【0053】
また、絶縁膜110の開口部はシャドーマスクを用いて形成することができる。
【0054】
<第1の接続部112・第2の接続部114>
第1の接続部112、第2の接続部114は、外部の配線等と電気的な接続を行うための端子として機能する。つまり、第1の接続部112、第2の接続部114を介して外部から第1の電極層104、第2の電極層108に電源が供給されることにより、発光素子132が発光する。
【0055】
<変形例>
上記図1では、第1の電極層104で形成される第1の接続部112と、第2の電極層108で形成される第2の接続部114とを対向して設ける場合を示したが、これに限られない。少なくとも絶縁膜110の開口部115に、第1の接続部112と第2の接続部114を設ける構成とすればよい。
【0056】
また、第1の接続部112と第2の接続部114の数をそれぞれ複数設ける構成としてもよい。例えば、図3、図4に示すように、第1の接続部を2つ設け(ここでは、第1の接続部112a、112b)、且つ第2の接続部を2つ設ける(ここでは、第2の接続部114a、114b)構成としてもよい。このように、第1の接続部と第2の接続部を複数設けることにより、第1の接続部、第2の接続部に電気的に接続される配線等との接続を良好に行うことができる。
【0057】
なお、図3は、照明装置の平面の模式図を示し、図4(A)は図3におけるA−B間の断面の模式図を示し、図4(B)は図3におけるC−D間の断面の模式図を示している。
【0058】
図3、図4では、第1の接続部112a、112b同士、第2の接続部114a、114b同士を互いに対向させて設ける場合を示したが、第1の接続部と第2の接続部を互いに対向する(第1の接続部112aと第2の接続部114aが対向し、第1の接続部112bと第2の接続部114bが対向する)ように設けてもよい。
【0059】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0060】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる照明装置の一例について、図5、図6を参照して説明する。図5は、照明装置の平面の模式図を示し、図6(A)は図5におけるA−B間の断面の模式図を示し、図6(B)は図5におけるC−D間の断面の模式図を示している。
【0061】
また、本実施の形態で示す作製工程(適用できる材料等)は多くの部分で上記実施の形態1と共通している。したがって、以下においては、重複する部分の説明は省略し、異なる点について詳細に説明する。
【0062】
図5、図6に示す照明装置130は、中央部に開口部109を有し且つ丸型(ディスク形状または円盤形状)である基板101と、基板101上に絶縁膜102を介して設けられた第1の電極層104と、第1の電極層104上に設けられたEL層106と、EL層106上に設けられた第2の電極層108と、第1の電極層104と電気的に接続する導電層105と、第1の電極層104、EL層106及び第2の電極層108を覆うように設けられた絶縁膜110と、基板101上に設けられた第1の接続部112及び第2の接続部114とを有している。
【0063】
絶縁膜110は、基板101の中央部において開口部115を有しており、当該開口部115に第1の接続部112及び第2の接続部114が設けられている。なお、絶縁膜110の開口部115は、基板101に形成された開口部109よりその面積が大きくなるように形成する。
【0064】
第1の接続部112は、絶縁膜110の開口部115に設けられた導電層105により形成され、第2の接続部114は、絶縁膜110の開口部115まで引き出された第2の電極層108により形成される。
【0065】
このように、基板101上に形成された導電層105及び第2の電極層108を用いて、基板101上に第1の接続部112及び第2の接続部114を形成することにより、照明装置を薄膜化することができる。
【0066】
また、基板101上に形成された導電層105及び第2の電極層108を第1の接続部112及び第2の接続部114として用いることにより、照明装置の構造を簡略化し、低コスト化を図ることができる。
【0067】
また、導電層105は、第2の電極層108と同一の材料を用いて(同一工程で)形成することができる。この場合、第1の接続部112と第2の接続部114を同一の材料を用いて設けることができるため、接続配線との電気的な接続において、第1の接続部112と第2の接続部114の材料の違いに起因するコンタクト抵抗等のばらつきを低減することができる。また、第1の接続部112及び第2の接続部114との電気的な接続に際し、半田などの接合材の選定が容易となる。
【0068】
なお、図5、図6では、導電層105の一部をEL層106上に設けると共に、絶縁膜110の開口部115まで引き出された第1の電極層104上に接するように設ける場合を示しているが、これに限られない。他にも、第1の電極層104を絶縁膜110の開口部115に設けずに、第1の電極層104と電気的に接続する導電層105のみを絶縁膜110の開口部115に設ける構成としてもよい。
【0069】
また、上記図5、図6では、導電層105で形成される第1の接続部112と、第2の電極層108で形成される第2の接続部114をそれぞれ複数設ける場合を示したが、これに限られない。上記図1に示すように、第1の接続部112と第2の接続部114を一つずつ設ける構成としてもよい。また、導電層105で形成される第1の接続部112と、第2の電極層108で形成される第2の接続部114を複数設ける場合であっても、第1の接続部112と第2の接続部114を設ける位置は任意に定めることができる。
【0070】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0071】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる照明装置の一例について、図7、図8を参照して説明する。図7は、照明装置の平面の模式図を示し、図8(A)は図7におけるA−B間の断面の模式図を示し、図8(B)は図7におけるC−D間の断面の模式図を示している。
【0072】
また、本実施の形態で示す作製工程(適用できる材料等)は多くの部分で上記実施の形態1と共通している。したがって、以下においては、重複する部分の説明は省略し、異なる点について詳細に説明する。
【0073】
図7、図8に示す照明装置130は、中央部に開口部109を有し且つ丸型(ディスク形状または円盤形状)である基板101と、基板101上に絶縁膜102を介して設けられた第1の電極層104及び導電層107と、第1の電極層104上に設けられたEL層106と、EL層106上に設けられ且つ導電層107と電気的に接続する第2の電極層108と、第1の電極層104、EL層106及び第2の電極層108を覆うように設けられた絶縁膜110と、基板101上に設けられた第1の接続部112及び第2の接続部114とを有している。
【0074】
絶縁膜110は、基板101の中央部において開口部115を有しており、当該開口部115に第1の接続部112及び第2の接続部114が設けられている。なお、絶縁膜110の開口部115は、基板101に形成された開口部109よりその面積が大きくなるように形成する。
【0075】
第1の接続部112は、絶縁膜110の開口部115まで引き出された第1の電極層104により設けられ、第2の接続部114は、絶縁膜110の開口部115に設けられた導電層107により形成される。
【0076】
このように、基板101上に形成された第1の電極層104及び導電層107を用いて、基板101上に第1の接続部112及び第2の接続部114を形成することにより、照明装置を薄膜化することができる。
【0077】
また、基板101上に形成された第1の電極層104及び導電層107を第1の接続部112及び第2の接続部114として用いることにより、照明装置の構造を簡略化し、低コスト化を図ることができる。
【0078】
また、導電層107は、第1の電極層104と同一の材料を用いて(同一工程で)形成することができる。この場合、第1の接続部112と第2の接続部114を同一の材料を用いて設けることができるため、接続配線との電気的な接続において、第1の接続部112と第2の接続部114の材料の違いに起因するコンタクト抵抗等のばらつきを低減することができる。また、第1の接続部112及び第2の接続部114との電気的な接続に際し、半田などの接合材の選定が容易となる。
【0079】
また、図7、図8に示す構成では、第2の電極層108の一部はEL層106が覆う第1の電極層104の端部を越えて第2の接続部114と電気的に接続されている。この場合、EL層106を、第1の電極層104の端部を覆うように設けることにより、第1の電極層104と第2の電極層108が直接接触することを防ぐことができる。
【0080】
なお、図7、図8では、導電層107の一部をEL層106の下方に設け且つEL層106と接するように設ける場合を示しているが、これに限られない。導電層107をEL層106と接しないように設けてもよい。
【0081】
また、上記図7、図8では、第1の電極層104で形成される第1の接続部112と、導電層107で形成される第2の接続部114を複数設ける場合を示したが、これに限られない。上記図1に示すように、第1の接続部112と第2の接続部114を一つずつ設ける構成としてもよい。また、第1の電極層104で形成される第1の接続部112と、第2の電極層108で形成される第2の接続部114を複数設ける場合であっても、第1の接続部112と第2の接続部114の設ける位置は任意に定めることができる。
【0082】
また、図9に示す構成では、発光素子132上と絶縁膜110の間に乾燥剤層119が形成されている。この場合、絶縁膜110に覆われた領域に残った微量な水分を乾燥剤層119が除去するため、発光素子132を乾燥した状態に保つことができ、照明装置130の信頼性を高めることができる。
【0083】
乾燥剤層119は酸化カルシウム(CaO)や酸化バリウム(BaO)等、アルカリ土類金属の酸化物のような、化学吸着によって水(HO)を吸着する物質を用いるのが好ましい。但し、これに限らずゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水を吸着する物質を用いても構わない。なお、乾燥剤層119は例えばスパッタ法や蒸着法等の成膜法を用い、成膜時にシャドーマスクを適用して形成することができる。また、乾燥剤を分散した樹脂を塗布して乾燥剤層119を形成してもよい。
【0084】
なお、発光素子132と乾燥剤層119の厚みの和は、乾燥剤層119の厚みにもよるが、1〜10μmである。なお、第2の電極層と乾燥剤層119に可視光を透過する材料を用いる場合、絶縁膜110側に光を取り出すことができ、乾燥剤層119は反射防止膜を兼ねることができる。また、不透明な乾燥剤層119を用いる場合は、基板101と第1の電極層104に可視光を透過する材料を用いて、基板101側に光を取り出すことができる。
【0085】
また、上記図1〜図6に示した構成においても、上記図9に示すように、発光素子132と絶縁膜110の間に乾燥剤層119を設けてもよい。
【0086】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0087】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した照明装置130に設けられた発光素子132の素子構造の一例に関して図14を参照して説明する。
【0088】
図14(A)に示す素子構造は、一対の電極(陽極1001、陰極1002)間に発光領域を含むEL層1003が挟まれた構造を有する。なお、図14において、陽極1001、陰極1002は、上記図1〜図9で示した第1の電極層104又は第2の電極層108のいずれかに相当する。
【0089】
また、EL層1003は、少なくとも発光層1013を含んで形成されていればよく、発光層1013以外の機能層を含む積層構造であっても良い。発光層1013以外の機能層としては、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等を含む層を用いることができる。具体的には、正孔注入層1011、正孔輸送層1012、発光層1013、電子輸送層1014、電子注入層1015等の機能層を適宜組み合わせて用いることができる。
【0090】
次に、上述した発光素子に用いることができる材料について、具体的に説明する。
【0091】
陽極1001としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上が好ましい。)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。
【0092】
これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。
【0093】
この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン等)、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。
【0094】
陰極1002としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下であることが好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。
【0095】
この他、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、または希土類金属の化合物(例えば、フッ化リチウム(LiF)、酸化リチウム(LiOx)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化エルビウム(ErF)など)の薄膜と、アルミニウム等の金属膜とを積層することによって、陰極1002を形成することも可能である。
【0096】
なお、本実施の形態に示す発光素子において、陽極1001および陰極1002のうち、少なくとも一方が透光性を有すればよい。
【0097】
次に、EL層1003を構成する各層に用いる材料について、以下に具体例を示す。
【0098】
正孔注入層1011は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層1011を形成することができる。さらに、トリス(p−エナミン置換−アミノフェニル)アミン化合物、2,7−ジアミノ−9−フルオレニリデン化合物、トリ(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物、アリール基が少なくとも1つ置換したエテニル基が一つ又は2つ置換したピレン化合物、N,N’−ジ(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)−3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス[4,5−ビス(4−メトキシフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール]、2,2’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、2,2’−(3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、ビス[4−(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル](メチル)アミン等を用いて正孔注入層1011を形成することができる。
【0099】
また、正孔注入層1011として、有機化合物と無機化合物(好ましくは、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物)とを複合してなる正孔注入性複合材料を用いることができる。正孔注入性複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。
【0100】
また、正孔注入層1011として正孔注入性複合材料を用いた場合、陽極1001とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず陽極1001を形成する材料を選ぶことができる。
【0101】
正孔注入性複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0102】
正孔注入性複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、正孔注入性複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、正孔注入性複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0103】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0104】
正孔注入性複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0105】
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0106】
また、正孔注入性複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。さらに、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0107】
なお、正孔注入性複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0108】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0109】
正孔輸送層1012は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物であることが好ましい。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送層1012は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
【0110】
また、PMMAのような電気的に不活性な高分子化合物に、正孔輸送性材料を添加してもよい。
【0111】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いてもよく、さらに上記高分子化合物に上記正孔輸送性材料を適宜添加してもよい。さらに、トリス(p−エナミン置換−アミノフェニル)アミン化合物、2,7−ジアミノ−9−フルオレニリデン化合物、トリ(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物、アリール基が少なくとも1つ置換したエテニル基が一つ又は2つ置換したピレン化合物、N,N’−ジ(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)−3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス[4,5−ビス(4−メトキシフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール]、2,2’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、2,2’−(3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、ビス[4−(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル](メチル)アミン等も正孔輸送層1012に用いることができる。
【0112】
発光層1013は、発光性の物質を含む層であり、種々の材料を用いることができる。例えば、発光性の物質としては、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。以下に、発光層に用いることのできる有機化合物材料を説明する。ただし、発光素子に適用可能な材料はこれらに限定されるものではない。
【0113】
青色〜青緑色の発光は、例えば、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセンなどをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。また、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)などのスチリルアリーレン誘導体や、9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(略称:DNA)、9,10−ビス(2−ナフチル)−2−t−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)などのアントラセン誘導体から得ることができる。また、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)等のポリマーを用いても良い。また、青色発光のゲスト材料としては、スチリルアミン誘導体が好ましく、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)や、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)スチルベン−4,4’−ジアミン(略称:PCA2S)などが挙げられる。特にYGA2Sは、450nm付近にピークを有しており好ましい。また、ホスト材料としては、アントラセン誘導体が好ましく、9,10−ビス(2−ナフチル)−2−t−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)が好適である。特に、CzPAは電気化学的に安定であるため好ましい。
【0114】
青緑色〜緑色の発光は、例えば、クマリン30、クマリン6などのクマリン系色素や、ビス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト]ピコリナトイリジウム(略称:FIrpic)、ビス(2−フェニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(ppy)(acac))などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。また、上述のペリレンやTBPを5wt%以上の高濃度で適当なホスト材料に分散させることによっても得られる。また、BAlq、Zn(BTZ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)クロロガリウム(Ga(mq)Cl)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いても良い。また、青緑色〜緑色の発光層のゲスト材料としては、アントラセン誘導体が効率の高い発光が得られるため好ましい。例えば、9,10−ビス{4−[N−(4−ジフェニルアミノ)フェニル−N−フェニル]アミノフェニル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:DPABPA)を用いることにより、高効率な青緑色発光が得られる。また、2位にアミノ基が置換されたアントラセン誘導体は高効率な緑色発光が得られるため好ましく、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)が特に長寿命であり好適である。これらのホスト材料としてはアントラセン誘導体が好ましく、先に述べたCzPAが電気化学的に安定であるため好ましい。また、緑色発光と青色発光を組み合わせ、青色から緑色の波長領域に2つのピークを持つ発光素子を作製する場合、青色発光層のホストにCzPAのような電子輸送性のアントラセン誘導体を用い、緑色発光層のホストにNPBのようなホール輸送性の芳香族アミン化合物を用いると、青色発光層と緑色発光層との界面で発光が得られるため好ましい。すなわちこの場合、2PCAPAのような緑色発光材料のホストとしては、NPBの如き芳香族アミン化合物が好ましい。
【0115】
黄色〜橙色の発光は、例えば、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エテニル−4H−ピラン(略称:DCM2)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(Ir(thp)(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(pq)(acac))などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。特に、ゲスト材料としてルブレンのようなテトラセン誘導体が、高効率かつ化学的に安定であるため好ましい。この場合のホスト材料としては、NPBのような芳香族アミン化合物が好ましい。他のホスト材料としては、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(略称:Znq)やビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略称:Znsq)などの金属錯体を用いることができる。また、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いても良い。
【0116】
橙色〜赤色の発光は、例えば、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[2−(ジュロリジン−9−イル)エチニル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エテニル−4H−ピラン(略称:DCM2)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(略称:Ir(thp)(acac))、などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。ビス(8−キノリノラト)亜鉛(略称:Znq)やビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略称:Znsq)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のポリマーを用いても良い。赤色発光を示すゲスト材料としては、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[2−(ジュロリジン−9−イル)エチニル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エテニル−4H−ピラン(略称:DCM2)、{2−イソプロピル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、{2,6−ビス[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)のような4H−ピラン誘導体が高効率であり、好ましい。特に、DCJTI、BisDCJTMは、620nm付近に発光ピークを有するため好ましい。
【0117】
なお、発光層1013としては、上述した発光性の物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。発光性の高い物質を分散させるための物質としては、各種のものを用いることができ、発光性の高い物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0118】
発光性の物質を分散させるための物質としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0119】
また、発光性の物質を分散させるための物質は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、発光性の物質へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0120】
発光性の物質を他の物質に分散させた構成とすることにより、発光層1013の結晶化を抑制することができる。また、発光性の物質の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0121】
電子輸送層1014は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]亜鉛(II)、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]ベリリウム(II)、ビス[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](フェノラト)アルミニウム(III)、ビス[2−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−7,8−メチレンジオキシジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](2−ナフトラト)アルミニウム(III)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層1014として用いても構わない。また、電子輸送層1014は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0122】
電子注入層1015は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物が挙げられる。また、有機化合物(好ましくは、電子輸送性を有する有機化合物)と無機化合物(好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、またはそれらの化合物)とを複合してなる電子注入性複合材料を用いることもできる。電子注入性複合材料としては、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。この様な構造とすることにより、陰極1002からの電子注入効率をより高めることができる。
【0123】
なお、電子注入層1015として、上述した電子注入性複合材料を用いた場合には、仕事関数に関わらずAl、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有したITO等様々な導電性材料を陰極1002の材料として用いることができる。
【0124】
以上の層を適宜組み合わせて積層することにより、EL層1003を形成することができる。なお、発光層1013を2層以上の積層構造としても良い。発光層1013を2層以上の積層構造とし、各々の発光層に用いる発光物質の種類を変えることにより様々な発光色を得ることができる。また、発光物質として発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、ブロードなスペクトルの発光や白色発光を得ることもできる。特に、高輝度が必要とされる照明用途には、発光層を積層させた構造が好適である。
【0125】
また、EL層1003の形成方法としては、用いる材料に応じて種々の方法(例えば、乾式法や湿式法等)適宜選択することができる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、インクジェット法、スピンコート法、等を用いることができる。また、各層で異なる方法を用いて形成してもよい。
【0126】
また、本実施の形態に示す発光素子の作製方法としては、ドライプロセス(例えば、真空蒸着法、スパッタリング法)、ウェットプロセス(例えば、インクジェット法、スピンコート法等)を問わず、種々の方法を用いて形成することができる。
【0127】
なお、本実施の形態に示す発光素子の構成は、図14(B)に示すように一対の電極間にEL層1003が複数積層された構造、所謂、積層型素子の構成であってもよい。但し、EL層1003が、例えばn(nは2以上の自然数)層の積層構造を有する場合には、m(mは1以上、n−1以下の自然数、(1≦m≦n−1))番目のEL層と、(m+1)番目のEL層との間には、それぞれ中間層1004が挟まれた構造を有する。
【0128】
なお、中間層1004とは、陽極1001と陰極1002に電圧を印加したときに、中間層1004に接して形成される陽極1001側の一方のEL層1003に対して電子を注入する機能を有し、陰極1002側の他方のEL層1003に正孔を注入する機能を有する。
【0129】
中間層1004は、上述した有機化合物と無機化合物との複合材料(正孔注入性複合材料や電子注入性複合材料)の他、金属酸化物等の材料を適宜組み合わせて形成することができる。なお、正孔注入性複合材料とその他の材料とを組み合わせて用いることがより好ましい。中間層1004に用いるこれらの材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、発光素子の低電流駆動、および低電圧駆動を実現することができる。
【0130】
積層型素子の構成において、EL層が2層積層された構成を有する場合において、第1のEL層から得られる発光の発光色と第2のEL層から得られる発光の発光色を補色の関係にすることによって、白色発光を外部に取り出すことができる。なお、第1のEL層および第2のEL層のそれぞれが補色の関係にある複数の発光層を有する構成としても、白色発光が得られる。補色の関係としては、青色と黄色、あるいは青緑色と赤色などが挙げられる。青色、黄色、青緑色、赤色に発光する物質としては、例えば、先に列挙した発光物質の中から適宜選択すればよい。
【0131】
以下に、第1のEL層および第2のEL層のそれぞれが補色の関係にある複数の発光層を有し、白色発光が得られる構成の一例を示す。
【0132】
例えば、第1のEL層は、青色〜青緑色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第1の発光層と、黄色〜橙色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第2の発光層とを有し、第2のEL層は、青緑色〜緑色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第3の発光層と、橙色〜赤色の波長領域にピークを有する発光スペクトルを示す第4の発光層とを有するものとする。
【0133】
この場合、第1のEL層からの発光は、第1の発光層および第2の発光層の両方からの発光を合わせたものであるので、青色〜青緑色の波長領域および黄色〜橙色の波長領域の両方にピークを有する発光スペクトルを示す。すなわち、第1のEL層は2波長型の白色または白色に近い色の発光を呈する。
【0134】
また、第2のEL層からの発光は、第3の発光層および第4の発光層の両方からの発光を合わせたものであるので、青緑色〜緑色の波長領域および橙色〜赤色の波長領域の両方にピークを有する発光スペクトルを示す。すなわち、第2のEL層は、第1のEL層とは異なる2波長型の白色または白色に近い色の発光を呈する。
【0135】
したがって、第1のEL層からの発光および第2のEL層からの発光を重ね合わせることにより、青色〜青緑色の波長領域、青緑色〜緑色の波長領域、黄色〜橙色の波長領域、橙色〜赤色の波長領域をカバーする白色発光を得ることができる。
【0136】
なお、上述した積層型素子の構成において、積層されるEL層の間に中間層を配置することにより、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現することができる。また、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
【0137】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0138】
(実施の形態5)
本実施の形態では、照明装置の使用形態の一例として、上記実施の形態で示した照明装置130に接続部材150を設ける構成について図10を参照して説明する。なお、接続部材150は、口金と呼ばれることもある。また、照明装置130と接続部材150をあわせて照明装置と呼ぶ場合もある。
【0139】
接続部材150は、制御回路152と、当該制御回路152と電気的に接続された第1の接続配線154、第2の接続配線156、第1の取り出し配線158及び第2の取り出し配線160を有している。
【0140】
制御回路152は、外部電源から供給される電源電圧を元に、発光素子132を一定の輝度で点灯させるための機能を有する回路である。制御回路152は、一例として、整流平滑回路、定電圧回路、定電流回路を有する構成とすることができる。整流平滑回路は、外部の交流電源より供給される交流電圧を直流電圧にするための回路である。整流平滑回路は、一例として、ダイオードブリッジ回路、平滑容量等を組み合わせて構成すればよい。定電圧回路は、整流平滑回路から出力されるリップルを含んだ直流電圧を、安定化した定電圧の信号として出力する回路である。定電圧回路は、スイッチングレギュレータ、またはシリーズレギュレータ等を用いて構成すればよい。定電流回路は、定電圧回路の電圧に応じて定電流を発光素子132に出力する回路である。定電流回路は、トランジスタ等を用いて構成すればよい。なお、ここでは外部の電源として商用交流電源を想定し、整流平滑回路を設ける構成を示したが、外部の電源が直流電源の場合、整流平滑回路を設けなくてもよい。また、制御回路152には、必要に応じて、輝度を調整するための回路、サージ対策として保護回路等を設けてもよい。
【0141】
第1の接続配線154、第2の接続配線156は、照明装置130に設けられた発光素子132と制御回路152を電気的に接続する配線として機能する。具体的には、第1の接続配線154は、基板101上に設けられた第1の接続部112と電気的に接続され、第2の接続配線156は、基板101上に設けられた第2の接続部114と電気的に接続される(図12参照)。
【0142】
第1の接続配線154と第1の接続部112との電気的な接続、第2の接続配線156と第2の接続部114との電気的な接続は、図12に示すように異方性導電性ペースト157を用いて行うことができる。なお、電気的な接続は、異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste))に限られず、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conductive Film))等で圧着させることにより電気的に接続することが出来る。また、他にも、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
【0143】
第1の取り出し配線158、第2の取り出し配線160は、制御回路152と電気的に接続され、外部から照明装置130へ電源を供給するための配線として機能する。
【0144】
図10(A)では、基板101が設けられた面(絶縁膜110が設けられた面と反対側の面)側から当該基板101を介して光を取り出す構成(ボトムエミッション構造)を示しており、この場合、接続部材150の制御回路152は、絶縁膜110の上方に設ける構成とすることができる。
【0145】
また、発光素子132からの光の取り出しは、図10(A)に示した構成に限られない。図10(B)に示すように、絶縁膜110が設けられた面(基板101と反対側の面)側から光を取り出す構成(トップエミッション構造)としてもよい。この場合、基板101の裏面(発光素子132が設けられた面と反対側の面)側に制御回路152が設けられ、基板101に設けられた開口部を介して第1の接続配線154及び第2の接続配線156が発光素子132と電気的に接続される構成とすることができる。
【0146】
また、図10(A)、(B)の構成において、光の取り出される面と反対側の面上(図10(A)では絶縁膜110上、図10(B)では基板101の裏面上)に乾燥剤を設けておくことが好ましい。乾燥剤は、スパッタ等を用いて形成することができる。特に、基板101の裏面側に設ける場合には、スパッタにより全面に設けることができる。
【0147】
また、図10(A)、(B)では、接続部材150の勘合部が第1の取り出し配線158を兼ね、接続部材150の接点が第2の取り出し配線160に接続する構成としたが、これに限られない。他の構成としては、例えば、図10(C)、(D)に示すように、接続部材150の二つの勘合部がそれぞれ、第1の取り出し配線158または第2の取り出し配線160を兼ねる構成としてもよい。
【0148】
なお、図10(C)は図10(A)の構成における接続部材150の構成を置き換えたものであり、図10(D)は図10(B)の構成における接続部材150の構成を置き換えたものである。
【0149】
また、照明装置130に封止基板136を設ける構成としてもよい(図11参照)。基板101と対向して発光素子132を挟むように封止基板136を設けることにより、発光素子132に水分等が浸入することを抑制することができる。
【0150】
封止基板136としては、中心部に開口部を有する丸型(ディスク形状または円盤形状)の基板を用いることができる。具体的には、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、金属基板などを挙げることができる。また、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板などを用いることができる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0151】
また、封止基板136として可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことである。また、ステンレス合金などの導電性を有する基板を用いることもできるが、第1の接続配線154、第2の接続配線156、第1の取り出し配線158及び第2の取り出し配線160とは絶縁された構成にする。なお、封止基板として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0152】
また、図11(B)及び図11(D)は、可視光を透過する封止基板136を用いた構成を示している。
【0153】
封止基板136は、絶縁膜110上に設ければよく、例えば絶縁膜110に貼り合わせて設けることができる。また、図11では、基板101の側面も覆うように封止基板136を設ける場合を示したが、これに限られない。
【0154】
なお、図11(A)〜(D)は、それぞれ図10(A)〜(D)の構成に封止基板136を設ける構成を示している。
【0155】
次に、接続部材150が設けられた照明装置130の使用形態の一例を示す(図13参照)。
【0156】
図13(A)、(B)では、照明装置130に取り付けられた接続部材150を、天井170に設ける場合を示している。天井170には、第1の外部電極172と第2の外部電極174が設けられており、当該第1の外部電極172と接続部材150に設けられた第1の取り出し配線158が電気的に接続し、且つ第2の外部電極174と第2の取り出し配線160が電気的に接続することにより、外部から制御回路152を介して発光素子132に電源が供給され、照明装置として利用することができる。
【0157】
また、図13(A)に示す構成において、接続部材150の直径(基板101表面に平行な方向の長さ)は、天井170の取り付け部分のサイズに合わせて決めればよく、10mm〜40mm(例えば、26mm)とすることができる。
【0158】
なお、図13(A)は、図11(A)に示した構成を天井170に取り付け、図13(B)は、図11(C)に示した構成を天井170に取り付ける場合を示したが、これに限られず、他の構成も同様に取り付けることができる。
【0159】
また、図13では、照明装置130を天井170に取り付ける場合を示したが、本実施の形態で示す照明装置130は薄いため、天井170に限られず壁面や床に埋設することが可能である。
【0160】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【0161】
(実施の形態6)
本実施の形態では、照明装置の応用例を示す。
【0162】
図15は、本発明の一態様である照明装置を室内の照明装置として用いた一例を示している。本発明の一態様である照明装置は、天井用照明装置8202としてのみならず、壁用照明装置8204としても用いることが可能である。また、当該照明装置は、卓上照明装置8206としても用いることが可能である。また本発明の一態様である照明装置は、面光源の光源を有するため、点光源の光源を用いた場合に比べ、光反射板等の部材を削減することができ、または熱の発生が白熱電球に比べて小さい点等、室内の照明装置として好ましい。
【0163】
また、本発明の一態様である照明装置は、自動車、自転車などのヘッドライトとして用いることが可能である。図16(A)〜図16(C)は、本発明の一態様である照明装置を自動車のヘッドライトとして用いた一例を示している。図16(A)は、本発明の一態様である照明装置をヘッドライト8212として用いた自動車の外観図である。また図16(B)、図16(C)は、図16(A)のヘッドライト8212の断面図である。図16(B)、図16(C)において、電源供給用コネクタ8216に接続された照明装置8214は、光源として用いられている。図16(B)では、複数の照明装置8214が用いられているため高輝度の光を外部に取り出すことができる。一方、図16(C)では、反射板8218によって照明装置からの光が集光されており、指向性を有する高輝度の光を外部に取り出すことができる。
【0164】
次に、本発明の一態様である照明装置を、信号機、誘導灯等の照明装置として適用した例について図17(A)に示す。
【0165】
図17(A)は、一例として、信号機の外観について示した図である。信号機8228は、青の照明部8222、黄色の照明部8224、赤の照明部8226を有する。信号機8228は、各照明部における照明装置として、青、黄、赤の三色に対応する本発明の一態様である照明装置を有する。
【0166】
本発明の一態様である照明装置を避難口誘導灯に適用した例について図17(B)に示す。
【0167】
図17(B)は、一例として、避難口誘導灯の外観について示した図である。避難口誘導灯8232は、照明装置と、蛍光部が設けられた蛍光板とを組み合わせて構成することができる。また、特定の色を発光する照明装置と、図面のような形状の透過部が設けられた遮光板とを組み合わせて構成することもできる。本発明の一態様である照明装置は、一定の輝度で点灯することができるため、常時点灯が求められる避難口誘導灯として好ましい。
【0168】
本発明の一態様である照明装置を屋外用照明に適用した例について図17(C)に示す。
【0169】
屋外用照明の一つとして例えば街灯が挙げられる。街灯は、例えば図17(C)に示すように、筐体8242と、照明部8244と、を有する構成とすることができる。本発明の一態様である照明装置は、照明部8244に複数配置して用いることができる。図17(C)に示すように、街灯は、例えば道路沿いに設置して照明部8244により周囲を照らすことができるため、道路を含め周囲の視認性を向上させることができる。
【0170】
なお、街灯に電源電圧を供給する場合には、例えば図17(C)に示すように、電柱8246の送電線8248を介して電源電圧を供給することができる。ただしこれに限定されず、例えば光電変換装置を筐体8242に設け、光電変換装置により得られた電圧を電源電圧として利用することもできる。
【0171】
また、本発明の一態様である照明装置を携帯用照明に適用した例について図17(D)及び図17(E)に示す。図17(D)は、装着型ライトの構成を示す図であり、図17(E)は手持ち型ライトの構成を示す図である。
【0172】
図17(D)に示す装着型ライトは、装着部8252と、照明部8254を有し、照明部8254は装着部8252に固定されている。本発明の一態様である照明装置は、照明部8254に用いることができる。図17(D)に示す装着型ライトは、装着部8252を頭部に装着し、照明部8254を発光させることができる。また、照明部8254として面光源の光源を用いることにより、周囲の視認性を向上させることができる。また、照明部8254は軽量であるため、頭部に装着して使用する際の負担を軽減することができる。
【0173】
なお、図17(D)に示す装着型ライトの構成に限定されず、例えば装着部8252をリング状にした平紐やゴム紐のベルトにし、該ベルトに照明部8254を固定し、該ベルトを頭部に直接巻きつける構成とすることもできる。
【0174】
図17(E)に示す手持ち型ライトは、筐体8262と、照明部8266と、スイッチ8264と、を有する。本発明の一態様である照明装置は、照明部8266に用いることができる。本発明の一態様である照明装置を照明部8266に用いることにより、照明部8266の厚さを薄くすることができ、小型にすることができるため、携帯しやすくすることができる。
【0175】
スイッチ8264は、照明部8266の発光または非発光を制御する機能を有する。また、スイッチ8264は、例えば発光時の照明部8266の輝度を調節する機能を有することもできる。
【0176】
図17(E)に示す手持ち型ライトは、スイッチ8264により照明部8266を発光させることにより、周囲を照らすことができるため、周囲の視認性を向上させることができる。また本発明の一態様である照明装置は、面光源の光源を有するため、点光源の光源を用いた場合に比べ、光反射板等の部材を削減することも可能である。
【0177】
なお、本実施の形態において、各々の図で述べた内容は、別の実施の形態で述べた内容に対して、適宜、組み合わせ、又は置き換えなどを自由に行うことができる。
【符号の説明】
【0178】
101 基板
102 絶縁膜
104 電極層
105 導電層
106 EL層
107 導電層
108 電極層
109 開口部
110 絶縁膜
112 接続部
114 接続部
115 開口部
119 乾燥剤層
130 照明装置
132 発光素子
136 封止基板
150 接続部材
152 制御回路
154 接続配線
156 接続配線
157 異方性導電性ペースト
158 配線
160 配線
170 天井
172 外部電極
174 外部電極
112a 接続部
112b 接続部
114a 接続部
114b 接続部
1001 陽極
1002 陰極
1003 EL層
1004 中間層
1011 正孔注入層
1012 正孔輸送層
1013 発光層
1014 電子輸送層
1015 電子注入層
8202 天井用照明装置
8204 壁用照明装置
8206 卓上照明装置
8212 ヘッドライト
8214 照明装置
8216 電源供給用コネクタ
8218 反射板
8222 照明部
8224 照明部
8226 照明部
8228 信号機
8232 避難口誘導灯
8242 筐体
8244 照明部
8246 電柱
8248 送電線
8252 装着部
8254 照明部
8262 筐体
8264 スイッチ
8266 照明部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に開口部を有する基板と、
前記基板上に設けられた第1の電極層と、
前記第1の電極層上に設けられたEL層と、
前記EL層上に設けられた第2の電極層と、
前記基板、前記第1の電極層、前記EL層及び前記第2の電極層を覆って設けられ、且つ前記基板の中央部において開口部を有する絶縁膜と、
前記基板上に設けられ、且つ前記絶縁膜の開口部に設けられた第1の接続部及び第2の接続部とを有し、
前記第1の接続部は、前記絶縁膜の開口部に引き出された第1の電極層により設けられ、
前記第2の接続部は、前記絶縁膜の開口部に引き出された第2の電極層により設けられる照明装置。
【請求項2】
中央部に開口部を有する基板と、
前記基板上に設けられた第1の電極層と、
前記第1の電極層上に設けられたEL層と、
前記EL層上に設けられた第2の電極層と、
前記第1の電極層と電気的に接続する導電層と、
前記基板、前記第1の電極層、前記EL層及び前記第2の電極層を覆って設けられ、且つ前記基板の中央部において開口部を有する絶縁膜と、
前記基板上に設けられ、且つ前記絶縁膜の開口部に設けられた第1の接続部及び第2の接続部とを有し、
前記第1の接続部は、前記絶縁膜の開口部に設けられた前記導電層により設けられ、
前記第2の接続部は、前記絶縁膜の開口部に引き出された第2の電極層により設けられる照明装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2の電極層と前記導電層が、同一の材料で設けられている照明装置。
【請求項4】
中央部に開口部を有する基板と、
前記基板上に設けられた第1の電極層及び導電層と、
前記第1の電極層上に設けられたEL層と、
前記EL層上に設けられ、且つ前記導電層と電気的に接続する第2の電極層と、
前記基板、前記第1の電極層、前記EL層及び前記第2の電極層を覆って設けられ、且つ前記基板の中央部において開口部を有する絶縁膜と、
前記基板上に設けられ、且つ前記絶縁膜の開口部に設けられた第1の接続部及び第2の接続部とを有し、
前記第1の接続部は、前記絶縁膜の開口部に引き出された前記第1の電極層により設けられ、
前記第2の接続部は、前記絶縁膜の開口部に設けられた前記導電層により設けられる照明装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の電極層と前記導電層が、同一の材料で設けられている照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記基板が、円盤形状である照明装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記基板の直径が、10cm乃至14cmである照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
前記絶縁膜の開口部に前記第1の接続部及び前記第2の接続部が複数設けられる照明装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記基板と前記第1の導電層との間に下地絶縁膜が設けられている照明装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
前記第2の電極層と前記絶縁膜の間に乾燥剤層を有している照明装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項において、
前記EL層が複数の発光層を含む照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−245032(P2010−245032A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58282(P2010−58282)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】