説明

照明装置

【課題】電源部がLEDから熱的影響を受けるのを防止できるとともに、アークの継続を防止でき、LEDの光出力の高出力化に対応できる照明装置を提供する。
【解決手段】電源部13を光源部14から分離し、電源部13で入力される電源を所定の電圧に変換するとともに交流電力に変換し、この交流電力をケーブル15を通じて光源部14に供給する。電源部13が光源部14のLED29から熱的影響を受けるのを防止し、光源部14に供給する交流電力の電圧が1サイクル毎に0Vになることで光源部14の回路中に発生したアークの継続を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として半導体発光素子を用いる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源として半導体発光素子であるLEDを用いる照明装置においては、LEDに均一に点灯させるために電源を定電流電源としてLEDに定電流を供給するように電源部が構成されている。
【0003】
しかしながら、このような電源部の構成では、回路中の各接続部の接触不良や断線などによって回路中にアークが発生した場合に、回路中に直流電力を供給していることから、そのアークを消滅させることができない。
【0004】
そこで、アークの発生を検出するアーク検出回路、およびLEDに供給する直流電力を所定時間低減させてアークを消弧可能な出力低減期間を形成することでアークの継続を防止する保護回路を備えた照明装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−10100号公報(第5−7頁、図1−2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LEDを用いる照明装置において、LEDの光出力を高出力化する要求があるが、LEDの光出力を高出力化した場合、LEDが発生する発熱量が増大するので、LEDを含む光源部(灯体)と一緒に器具内に配置される電源部が温度上昇して部品に熱影響を及ぼしやすくなる。例えば、電源部は、商用交流電源を直流に整流する整流回路や、この整流回路から出力される直流電力を所望の電圧に変換してLEDに供給するチョッパ回路などを備え、これら整流回路の後段やチョッパ回路の出力段に平滑用の電解コンデンサが用いられることがあり、この電解コンデンサは電解液を使っていて耐熱性が他の電子部品などに比べて劣るため、電源部の温度上昇による熱的影響を受けやすい。電解コンデンサを含めて電源部の信頼性や寿命が損なわれないようにするには、LEDからの熱影響によって電源部が温度上昇するのを防止することが必要となる。
【0007】
また、LEDに供給する電圧を例えば100V以上に高くして、LEDの光出力を高出力化する場合、上述したように回路中でアークが発生しやすく、発生したアークが継続しやすくなる。そのため、アークの継続を防止するには、従来のようにアーク検出回路および保護回路の追加が必要となり、回路構成が複雑になる問題がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電源部が半導体発光素子から熱的影響を受けるのを防止できるとともに、回路中のアークの継続を防止でき、半導体発光素子の光出力の高出力化に対応できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の照明装置は、入力端に供給される交流電力を直流電力に変換して半導体発光素子に供給する直流変換回路を有する光源部と;光源部に対して分離されるとともに光源部の直流変換回路の入力端にケーブルにて接続され、入力された電源を所定の電圧に変換するとともに交流電力に変換し、ケーブルを通じて光源部の直流変換回路の入力端に交流電力を供給する電源部と;を具備しているものである。
【0010】
半導体発光素子は、例えば、LED、有機ELなどが含まれる。
【0011】
電源部に入力される電源は、例えば、商用交流電源を整流平滑した電源である。電源部は、例えば、入力された電源を所定の電圧に変換するDC−DCコンバータ、およびこのDC−DCコンバータで所定の電圧に変換された直流電力を交流電力に変換するDC−ACコンバータなどが含まれる。
【0012】
光源部は、例えば、直流変換回路として、交流電力を整流する整流回路、および平滑する平滑回路などが含まれる。
【0013】
ケーブルは、例えば、2本の電線を備えるVVFケーブルなどが用いられる。
【0014】
照明装置は、どのような器具構成でも構わないが、光を照射するための器具本体を備え、光源部が器具本体に設置され、電源部が例えば器具本体外の別の場所に設置される。
【0015】
請求項2記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置において、電源部からケーブルを通じて光源部の直流変換回路の入力端に供給する交流電力は、低周波交流電力であるものである。
【0016】
低周波は、例えば100Hz程度であり、ケーブルを通じて交流電力を供給する際に、ケーブルでの配線浮遊容量の影響による電圧の低下が発生しにくい周波数とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の照明装置によれば、電源部を光源部から分離し、電源部で入力される電源を所定の電圧に変換するとともに交流電力に変換し、この交流電力をケーブルを通じて光源部に供給するため、電源部が光源部の半導体発光素子から熱的影響を受けるのを防止でき、光源部の回路中にアークが発生した場合でも、光源部に供給する交流電力の電圧が1サイクル毎に0Vになることでアークの継続を防止でき、したがって、半導体発光素子の光出力の高出力化に対応できる。
【0018】
請求項2記載の照明装置によれば、請求項1記載の照明装置の効果に加えて、電源部からケーブルを通じて光源部に供給する交流電力は低周波交流電力であるため、ケーブルの配線長が長くても、ケーブルでの配線浮遊容量の影響による電圧の低下を低減できるとともに、他の電気機器へのノイズの影響も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態を示す照明装置のブロック図である。
【図2】同上照明装置の波形図を示し、(a)は電源部から供給する交流電力が交流矩形波の場合の波形図、(b)は電源部から供給する交流電力が交流正弦波の場合の波形図、(c)は光源部の直流変換回路で変換された直流電力の波形図である。
【図3】同上照明装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
図3に示すように、照明装置11は、例えばダウンライトである器具本体12、この器具本体12から分離された電源部13、器具本体12内に配置された光源部14、およびこれら電源部13と光源部14とを電気的に接続するケーブル15を備えている。そして、器具本体12は天井板17に形成された埋込孔18に埋め込まれた状態に設置され、電源部13は天井板17の上面に設置されるとともに商用交流電源を供給する電源線19が接続されている。
【0022】
図1に示すように、電源部13は、直流電力を供給する直流電源21、この直流電源21からの直流電力を所定の電圧に変換するDC−DCコンバータ22、およびこのDC−DCコンバータ22で所定の電圧に変換された直流電力を交流電力に変換するDC−ACコンバータ23を備え、このDC−ACコンバータ23の出力端子24にケーブル15の一端が接続されている。
【0023】
直流電源21は、電源線19によって供給される商用交流電源を全波整流および平滑して直流電力を得る直流電源回路で構成され、直流電力をDC−DCコンバータ22に供給する。
【0024】
DC−DCコンバータ22は、直流電源21からの直流電力を所定の電圧に昇圧する例えばチョッパ回路が用いられるが、これに限らず一般のDC−DCコンバータ構成を用いることができる。
【0025】
DC−ACコンバータ23は、DC−DCコンバータ22で所定の電圧に変換された直流電力を、例えば、商用交流電源の周波数より高く、例えば、100Hz程度の低周波交流電力に変換するもので、例えば、4つのスイッチング素子によりフルブリッジ回路を形成するインバータで構成されるが、これに限らず一般のDC−ACコンバータ構成を用いることができる。そして、DC−ACコンバータ23の出力端子24には、図2(a)(b)に示すように、100V以上であって例えば300V以上の高い電圧で低周波の矩形波または正弦波の交流電力を出力する。このとき、電流は0.5A以上であって、1A以上の電流値となっている。
【0026】
また、光源部14は、ケーブル15の他端が接続される入力端子27に供給される交流電力を整流して直流電力に変換する直流変換回路としての整流回路28、この整流回路28で変換された直流電力が供給される半導体発光素子としての直列接続された複数のLED29を備えている。なお、整流回路28は、整流された電力を平滑する平滑回路を備えていてもよい。
【0027】
LED29は、例えば、青色光を発光するLEDチップが、その青色光で励起されて黄色光を放出する蛍光体を含有した透明樹脂で封止されており、この透明樹脂の表面から白色系の光が放射されるように構成されている。
【0028】
また、ケーブル15は、2本の電線を備えるVVFケーブルなどが用いられ、各電線の一端が電源部13の出力端子24に接続され、他端が光源部14の入力端子27に接続されている。
【0029】
そして、照明装置11の動作について説明する。
【0030】
電源部13では、直流電源21から供給される直流電力をDC−DCコンバータ22により所定の電圧に変換し、このDC−DCコンバータ22で所定の電圧に変換された直流電力をDC−ACコンバータ23により交流電力に変換し、このDC−ACコンバータ23の出力端子24からケーブル15に出力する。したがって、この電源部13からは、図2(a)(b)に示すように、100V以上であって例えば300V以上の高い電圧で低周波の矩形波または正弦波の交流電力をケーブル15を通じて光源部14に供給する。
【0031】
光源部14では、ケーブル15を通じて入力端子27に供給される交流電力を整流回路28により整流して図2(c)に示すように直流電力に変換し、この整流回路28で変換された直流電力を直列接続された複数のLED29に供給することにより、複数のLED29が高出力点灯する。
【0032】
そして、光源部14のLED29の高出力点灯時には、LED29が発生する熱量が大きく、この熱によって光源部14が配設された器具本体12が温度上昇するが、電源部13は器具本体12外に別置きされているため、電源部13が光源部14のLED29から熱的影響を受けて温度上昇するのを防止でき、電源部13の信頼性や寿命を向上できる。
【0033】
また、光源部14の回路中の各接続部の接触不良や断線などによって回路中にアークが発生したとしても、電源部13から光源部14に交流電力を供給しているため、電源部13から光源部14に供給する交流電力の電圧が1サイクル毎に0Vになることで、アークを消弧し、アークの継続を防止できる。
【0034】
また、電源部13からケーブル15を通じて光源部14に供給する交流電力は低周波交流電力であるため、ケーブル15の配線長が長くても、ケーブル15での配線浮遊容量の影響による電圧の低下を低減できるとともに、他の電気機器へのノイズの影響も低減できる。
【0035】
このように、照明装置11では、LED29の光出力の高出力化に対し、電源部13を光源部14から分離し、電源部13で直流電源21を所定の電圧に変換するとともに低周波交流電力に変換し、この低周波交流電力をケーブル15を通じて光源部14に供給するため、電源部13が光源部14のLED29から熱的影響を受けるのを防止でき、光源部14の回路中でのアークの継続を防止でき、ケーブル15での電圧の低下を低下できるとともにノイズの影響も低減でき、したがって、LED29の光出力の高出力化に対応できる。
【0036】
なお、仮に、本実施の形態のように電源部13から光源部14へ交流電力を供給するような形態でなく、直流電力を供給する形態であるとした場合において、電気用品安全法では直流電圧について45V以下とする基準があり、この直流電圧が45V以下の範囲であれば回路中のアークの発生に関しても問題ない。
【0037】
しかし、直流電圧が50V以上であって、かつ直流電流が0.5A以上となるような範囲の場合には、回路中にアークが発生する可能性が生じてくるため、このような範囲で電力供給する場合には、本実施の形態のように、電源部13から光源部14に交流電力を供給するような形態を適用することが、回路中のアークの継続を確実に防止するうえで有利となる。
【0038】
また、製品の汎用性や回路中のアークの継続などを含む不具合の発生の可能性を考慮すると、直流電圧が100V以上であって、かつ直流電流が0.8A以上となるような範囲で電力供給する場合には、本実施の形態のように、電源部13から光源部14に交流電力を供給するような形態を適用することにより、確実に不具合の発生を防止できるため、非常に有利となる。
【0039】
なお、本発明の照明装置は、ダウンライトに限らず、スポットライトなどの他の照明装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0040】
11 照明装置
13 電源部
14 光源部
15 ケーブル
28 直流変換回路としての整流回路
29 半導体発光素子としてのLED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端に供給される交流電力を直流電力に変換して半導体発光素子に供給する直流変換回路を有する光源部と;
光源部に対して分離されるとともに光源部の直流変換回路の入力端にケーブルにて接続され、入力された電源を所定の電圧に変換するとともに交流電力に変換し、ケーブルを通じて光源部の直流変換回路の入力端に交流電力を供給する電源部と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
電源部からケーブルを通じて光源部の直流変換回路の入力端に供給する交流電力は、低周波交流電力である
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−113834(P2011−113834A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269496(P2009−269496)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】