説明

照明装置

【課題】複数の発光ダイオードを用いた照明装置において、照明装置全体の容量を小型化しつつ、単一の光源を用いて得られる光束の制御性とほぼ同等の制御性能を実現する。
【解決手段】照明装置は、発光ダイオードアレイからの出力光を反射させると共に収束させる集光反射鏡3と、収束により結像されようとする光束の伝搬方向を、照明装置全体の光軸4に略沿う方向に偏向させるための光束伝搬方向偏向素子5とを備える。これにより、発光ダイオードからの出射光の進行方向を制御するために必要なスペースを低減して、光の進行方向を高精度に制御可能な光束が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、より詳しくは複数の発光ダイオードを用いて、スポットライトのように光束を制御した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドライト、劇場のスポットライトなど光束を投射する投射照明装置には、従来白熱電球やハロゲンランプが用いられてきた。また、液晶プロジェクタなど画像を投写する投射装置には、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀灯などが用いられている。しかしながらこれらの光源からの光には、必要とされる光の他に熱線とも呼ばれる赤外線が含まれているため、その除去が必要となる。また、白熱電球やハロゲンランプは寿命が数百時間以下と短い。一方キセノンランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀灯は、白熱電球やハロゲンランプよりは寿命が長いものの、常に予備のランプを用意しておく必要があり、さらに寿命が尽きるときに破裂する虞もあった。
【0003】
このような従来の投射照明装置用ランプあるいは画像投射装置用ランプが有する問題を解消するために、近年、低消費電力で長寿命である発光ダイオード(LED)が注目され、発光ダイオードを光源とする投射照明装置が提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0004】
発光ダイオードは、低消費電力で長寿命であるが、投射照明装置用光源として用いる際の最大の問題点は、1個の発光ダイオード素子から得られる光量が少ないという点である。そのため、発光ダイオードを光源とする投射照明装置の場合、白熱電球やハロゲンランプを用いた投射照明装置と同等の光量を得るためには、多数の発光ダイオード素子を使用し、これらの光を統合して、1本の光束、あるいは1本の光束とみなせる光束にする必要がある。しかしながら従来の発光ダイオードを光源とする投射照明装置では、多数の発光ダイオードを曲面上に並べることにより発光ダイオード光を統合したり、多数の発光ダイオードを、放出する光の方向を変えて、平面上に配列することにより発光ダイオード光の統合を試みている。このような構成では、各発光ダイオードからの光束を同一点に十分集中させ難く、その結果、投射照明装置の光利用効率が低く、投射光束を制御するのが困難という問題があった。また、これらの投射照明装置の光利用効率を改善するために、複数の発光ダイオードを並列状に並べ、各発光ダイオードから放射された光をそれぞれレンズアレイでほぼ平行光にした後、集光レンズで収束することによって発光ダイオード光を統合する方法も提案されているが、この方法においても投射光束を十分制御するのが難しいという問題があった。
【0005】
本出願人は、上記問題を解決するために、特許文献5に示す照明装置を開発した。この照明装置は、複数の発光ダイオードからの光束を統合して比較的小さな領域に収束させた後、各発光ダイオードからの光束の伝搬方向を偏向させることにより、性能的には投射光束を容易に制御するといった所期の目的を達成したものの、光路長に従って装置の全長も長くなり、装置の大型化によって設置し難くなるなど、使い勝手が悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−307502号公報
【特許文献2】特開2005−38605号公報
【特許文献3】特開2005−158699号公報
【特許文献4】特開2007−52957号公報
【特許文献5】特願2009−195989号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。すなわち本発明の主な目的は、複数の発光ダイオードを用いて、光利用効率を改善し、投射光束を制御可能で、さらに装置を小型化して使いやすい照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係わる照明装置は、複数の発光ダイオード11a、11bが面状に配列された発光ダイオードアレイ光源1と、前記発光ダイオードアレイ光源1からの光の進行方向において、前記発光ダイオードアレイ光源1の前方に各発光ダイオード11a、11bに対応して配置された、各発光ダイオード11a、11bから出た光束を平行光に近付けるように変換するためのマイクロレンズ21a、21bの集合体であるレンズアレイ2と、光の進行方向において前記レンズアレイ2の前方に配置され、前記レンズアレイ2を通過する光束群を反射すると共に収束させて、前記発光ダイオードアレイ光源1の像を形成するための相対的に口径の大きい集光反射鏡3と、前記レンズアレイ2と前記集光反射鏡3を介して、照明装置全体の光軸4の上もしくは光軸4の近傍に結像されようとする光束の伝搬方向を、照明装置全体の光軸4に略沿う方向に偏向させるための光束伝搬方向偏向素子5とを備えることができる。これにより、指向性の強い発光ダイオード素子を利用した照明装置において、出力光を偏向させてスポットライトのように光束を制御した照明光を得ることが可能となる。また、上記の集光反射鏡3を有する照明装置は、発光ダイオードアレイ光源1からの出力光の進行方向を、集光反射鏡3でもって折り返しながら収束させるため、発光ダイオード11a、11bからの出射光の進行方向を制御するために必要な距離を短くでき、照明装置全体の容量を小さくできる。さらに、本発明による装置は、集光素子として集光反射鏡を用いるため、集光レンズを用いる場合より色分散を軽減させることができる。また、集光反射鏡の材料としてガラスではなく、金属を用いることにより強度を増すことができる。
【0009】
また照明装置は、集光反射鏡3の口径をマイクロレンズ21a、21bの口径よりも相対的に大きくすることで、単一の集光反射鏡3でもって複数の発光ダイオード11a、11bからの光束を受光することができ、照明装置の部品点数を低減して製造を容易にできる。
【0010】
また照明装置は、集光反射鏡3を、光進行方向において前記レンズアレイ2の前方に配置された複数の相対的に口径の小さい凹面鏡(本明細書においては、以後「結像反射鏡」と呼ぶことがある。)81a、81bの集合体からなる結像反射鏡アレイ8としてもよい。この結像反射鏡81a、81bは、各発光ダイオード11a、11bから出射されて前記マイクロレンズ21a、21bで略平行光にされた各光束を反射すると共に収束可能としており、また結像反射鏡アレイ8は、各結像反射鏡81a、81bによるそれぞれの像を仮想点光源PSに収束するように結像反射鏡81a、81bの角度を設定する。この構造により、各発光ダイオード11a、11bの光束毎に対応する結像反射鏡81a、81bでもって、より精密に光束の進行方向を制御することができる。
【0011】
また照明装置は、集光反射鏡3で反射され集光される光の仮想点光源PSと、集光反射鏡3の中心を結ぶ線が、照明装置全体の光軸4と一致されており、かつ、各発光ダイオード11a、11bから出射されて前記マイクロレンズ21a、21bで略平行光にされた各光束とが平行となるよう構成してもよい。これにより、集光反射鏡3の入射光と反射光の光軸を一致させて、集光反射鏡3の大きさの範囲内に光軸を収めて照明装置を小型化できる。
【0012】
さらに照明装置は、前記光束伝搬方向偏向素子5を、任意の一の発光ダイオードから出射された光束の伝搬方向を、照明装置全体の光軸4に略沿う方向に偏向させるためのプリズムの集合体とできる。これにより、レンズなどの光学素子に比べ容易に構成可能なプリズムを、光束伝搬方向偏向素子5として用いて出力光の偏向を行うため、簡素で安価なLED照明を実現できる。
【0013】
さらにまた照明装置は、前記光束伝搬方向偏向素子5が、前記集光反射鏡3によって結像された後に発散する光束の伝搬方向を、照明装置全体の光軸4に略沿う方向に偏向させるよう構成できる。これにより、一旦結像された光束を光束伝搬方向偏向素子5で偏向できるため、光束の制御が容易となる。
【0014】
さらにまた照明装置は、発光ダイオードアレイ光源1からの光の進行方向において、集光反射鏡3によって結像される光束の仮想点光源PSよりも前方に、前記光束伝搬方向偏向素子を配置できる。これにより、仮想点光源PSよりも前方に配置した光束伝搬方向偏向素子5で光束を容易に制御できる。
【0015】
さらにまた照明装置は、光束伝搬方向偏向素子5が、集光反射鏡3によって、照明装置全体の光軸4の上もしくは光軸4の近傍に結像される前段で、光束の伝搬方向を、照明装置全体の光軸4に略沿う方向に偏向させるようできる。
【0016】
さらにまた照明装置は、前記光束伝搬方向偏向素子5を、集光反射鏡3によって結像される仮想点光源PSと、前記集光反射鏡3との間に配置できる。
【0017】
さらにまた照明装置は、前記発光ダイオードアレイ光源1が、多数の発光ダイオード11a、11bを同心円状に配列したものとでき、前記光束伝搬方向偏向素子5を、角錘プリズム状とできる。
【0018】
さらにまた照明装置は、前記発光ダイオードアレイ光源1が、多数の発光ダイオード11a、11bを同心円状に配列したものとでき、前記光束伝搬方向偏向素子5を、円錐プリズム状とできる。
【0019】
さらにまた照明装置は、さらに光の進行方向において、前記光束伝搬方向偏向素子5の前方に配置され、出力光の発散角を制御するための出力レンズ6を備えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、発光ダイオードを用いる投射型の照明装置において小型としつつ、複数の発光ダイオードを用いながら、単一の発光ダイオードを用いて得られる光束の制御性とほぼ同等の制御性能が得られる照明装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1に係わる照明装置の光学系を示す説明図である。
【図2】図1の光学系で仮想点光源近傍を拡大した拡大図である。
【図3】図1の光学系で発光ダイオードを同心円状に配列した発光ダイオードアレイ光源を示す平面図である。
【図4】図3の発光ダイオードアレイ光源に対応する角錐プリズムを示す斜視図である。
【図5】発光ダイオードを同心円状に2重に配列した発光ダイオードアレイ光源を示す平面図である。
【図6】図5の発光ダイオードアレイ光源に対応する角錐プリズムを示す斜視図である。
【図7】発光ダイオードを同心円状に配列した発光ダイオードアレイ光源に対応する円錐プリズムを示す斜視図である。
【図8】発光ダイオードを同心円状に2重に配列した発光ダイオードアレイ光源に対応する円錐プリズムを示す斜視図である。
【図9】実施形態1において、発光ダイオードアレイ光源の像が集光反射鏡を通る光軸の上に形成されない例を示す説明図である。
【図10】実施形態2に係わる照明装置の光学系を示す説明図である。
【図11】図10の光学系で仮想点光源近傍を拡大した拡大図である。
【図12】図1の光学系で、光束伝搬方向偏向素子を発光ダイオードアレイ光源の像が形成される前の位置に挿入した例を示す説明図である。
【図13】図10の光学系で、光束伝搬方向偏向素子を発光ダイオードアレイ光源の像が形成される前の位置に挿入した例を示す説明図である。
【図14】図12の光束伝搬方向偏向素子の形状を示す説明図である。
【図15】図13の光束伝搬方向偏向素子の形状を示す説明図である。
【図16】図3の発光ダイオードアレイ光源を用いた例で、光束伝搬方向偏向素子として利用可能な凹型の角錐プリズムの斜視図である。
【図17】図3の発光ダイオードアレイ光源を用いた例で、光束伝搬方向偏向素子として利用可能な凹型の円錐プリズムの斜視図である。
【図18】図5の発光ダイオードアレイ光源を用いた例で、光束伝搬方向偏向素子として利用可能な凹型の角錐プリズムの斜視図である。
【図19】図5の発光ダイオードアレイ光源を用いた例で、光束伝搬方向偏向素子として利用可能な凹型の円錐プリズムの斜視図である。
【図20】図2の光束伝搬方向偏向素子の姿勢を逆向きとした配置例を示す説明図である。
【図21】図11の光束伝搬方向偏向素子の姿勢を逆向きとした配置例を示す説明図である。
【図22】図14の光束伝搬方向偏向素子の姿勢を逆向きとした配置例を示す説明図である。
【図23】図15の光束伝搬方向偏向素子の姿勢を逆向きとした配置例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための、照明装置を例示するものであって、本発明は、照明装置を以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。なお、光学系においては一般に光源側すなわち光の来る方向を前方と呼び、光源から離れる側すなわち光の進む方向を後方と呼ぶが、本明細書では光の進行方向において、光の進行先を前方、光源側を後方と呼ぶ。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係わる照明装置100の光学系を示す説明図である。この照明装置100は、発光ダイオードアレイ光源1と、レンズアレイ2と、光の進行方向において前記レンズアレイ2の前方に配置され、レンズアレイ2から出射された光束群を反射させると共に収束させて、発光ダイオードアレイ光源1の中の各発光ダイオードの像を形成するための相対的に口径の大きい集光反射鏡3と、レンズアレイ2と集光反射鏡3とにより、集光反射鏡3を通る、照明装置全体の光軸4(図1の場合は、説明を容易にするために、装置全体の光軸を集光反射鏡3の光軸に一致させてある)の上もしくは光軸の近傍に結像され、その後発散する光束の伝搬方向を、光軸4にほぼ沿う方向に偏向するための光束伝搬方向偏向素子5とで構成されている。光束伝搬方向偏向素子5を通過した光束の発散角は、出力レンズ6により制御できる。この出力レンズ6は、必要に応じて光束伝搬方向偏向素子5を通過した光束の発散角を制御するためのものであって、省略してもよい。また、照明装置全体の光軸4とは、照明装置100から投影される光の投光面において、投光面の略中心を通過する投光面の垂線に略等しい。
【0024】
図1の照明装置100は、集光反射鏡3で反射され集光される光の仮想点光源PSと、集光反射鏡3の中心を結ぶ線が、照明装置全体の光軸4と一致している。さらに図1の照明装置100は、各発光ダイオード11a、11bから出射されてマイクロレンズ21a、21bで略平行光にされた各光束とが平行となるよう構成している。
【0025】
実施の形態1の発光ダイオードアレイ光源1は、複数の発光ダイオードが2次元に配列された光源であって、中心部に開口を有する光源であり、原理的には発光ダイオードはどのように配列されても構わない。なお、この実施形態では、発光ダイオードアレイ光源1は、中心部を光束が通過する構造になっているが、これは光学系の構成を簡略化して説明を容易にするためであって、集光反射鏡で収束された光束が発光ダイオードアレイ光源1の中心部を通らない構成にすることもできる。
【0026】
発光ダイオードは、一般に市販されている砲弾型発光ダイオードや表面実装型発光ダイオードが利用できる。好ましくは、投射光束の制御性を向上させるため、チップをプラスチックレンズで覆っていない形態や、プラスチックレンズ内に拡散剤を混入していないタイプのLED素子を利用する。
【0027】
レンズアレイは、光の進行方向において各発光ダイオードの前方(図1では下側)に配置され、各発光ダイオードから出た発散光束をほぼ平行光にするためのマイクロレンズ21a、21bの集合体である。またレンズアレイ2は、各発光ダイオードに対応するように配列される。
【0028】
集光反射鏡は、光進行方向において前記レンズアレイの前方に配置され、レンズアレイから出射された光束群を反射させると共に収束させる。また集光反射鏡は、発光ダイオードアレイ光源の像を、集光反射鏡を通る光軸の上もしくは光軸の近傍に形成するための凹面鏡である。図1の集光反射鏡3は、レンズアレイ2と比較して相対的に口径の大きい凹面鏡としている。集光反射鏡3は、光を反射して、実質上一か所に集める機能を有することができれば、材質については特に限定しない。例えば、凹面に加工したガラスの表面にアルミニウムの薄膜をコーティングしたものや、誘電体の薄膜を多層にコーティングしたもの、あるいはアルミニウム等の金属(バルク)を凹面に加工し、研磨したものを用いることができる。また反射率は90%以上とすることが好ましい。これにより高光利用率で色分散の少ない収束光が得られる。
【0029】
結像反射鏡アレイ8は、実施の形態2で後述するが、前記レンズアレイの前方に配置され、発光ダイオードから出射されてマイクロレンズ21a、21bでほぼ平行光にされた光束を反射させると共に収束させて、発光ダイオードの像を、結像反射鏡アレイを通る光軸の上もしくは光軸の近傍に形成するための相対的に口径の小さい凹面鏡の集合体である。
【0030】
光束伝搬方向偏向素子は、発光ダイオードアレイ光源のなかの任意の一つの発光ダイオードから出射されて、その任意の発光ダイオードに対応させられているマイクロレンズ21a、21bと相対的に口径の大きい集光反射鏡もしくは発光ダイオードアレイ光源のなかの任意の一つの発光ダイオードから出射されて、その任意の発光ダイオードに対応させられている結像反射鏡81a、81bの集合体である結像反射鏡アレイにより決定される方向に進む光束の伝搬方向を、前記集光反射鏡もしくは前記結像反射鏡アレイを通る、照明装置全体の光軸に略沿う方向に偏向させための小さなプリズムの集合体である。発光ダイオードアレイ光源が、多数の発光ダイオードが同心円状に配列されたものである場合は、光束伝搬方向偏向素子として角錘プリズムを用いることができ、偏向される光束の質が若干低下しても構わない場合には、円錐プリズムを用いることもできる。
【0031】
発光ダイオードアレイ光源1、レンズアレイ2及び集光反射鏡3は、本例の場合は、光学系の構築を容易にするために、次のように配置されている。すなわち、発光ダイオードアレイ光源1の中の、例えば、左端に位置する発光ダイオード11aに注目すると、この発光ダイオード11aから出る光束は、集光反射鏡3を通りつつ照明装置全体の光軸4に平行な方向に放射されるよう調整される。発光ダイオード11aに対応するマイクロレンズ21aは、集光反射鏡3を介して照明装置100全体の光軸4に平行な方向に伝搬するよう、光束をほぼ平行な光に変換する。集光反射鏡3はその光束を反射させると共に収束させて、光軸4の上もしくは近傍に結像する。このようにして、発光ダイオードアレイ光源1から放射される全ての光束は、凹面状の反射鏡3を介して照明装置全体の光軸4の上もしくは近傍に収束し、仮想点光源PSを形成する。ただ、このままでは、収束した後、各発光ダイオードからの光束は再び別々の方向に発散して行く。光束は仮想点光源PSから離間するほど広範囲に拡散してしまうので、そのままでは所定の領域において略均一な照度を提供できない。そこで、光束伝搬方向偏向素子5を用いて、発散する光束の伝搬方向を、凹面部を有する集光反射鏡3を介して照明装置全体の光軸4にほぼ沿う方向に偏向する。
【0032】
実施の形態1の照明装置100は、上述のように、発光ダイオードアレイ光源1からの出力光の進行方向を光束伝搬方向偏向素子5でもって制御して、照明装置100から外方へ投光される照明光を、光軸4にほぼ平行として出力できる。この照明装置100は、従来の照明装置と比較して、発光ダイオードアレイ光源1と光束伝搬方向偏向素子5とを近接して配置することができる。具体的に図1の照明装置100の部品の配置位置を図面を参照しながら以下に説明する。照明装置100は、投光側(図1の上側)と反対方向の後方(図1の下側)に集光反射鏡3を配置し、この集光反射鏡3よりも中央域に発光ダイオードアレイ光源1を設けるとともに、発光ダイオードの出力方向を集光反射鏡3の反射面に対向する姿勢とする。つまり発光ダイオードアレイ光源1からの出力光は、後方に配置された集光反射鏡3に進行し、この集光反射鏡3の鏡面でもって略反対方向すなわち前方に折り返しながら収束される。さらに収束した光束は光束伝搬方向偏向素子5を通過した後、前方へと進行しながら最終的に外部へと放出される。したがって照明装置100は、発光ダイオードアレイ光源1から光束伝搬方向偏向素子5までの光路において、光路途中に介在する集光反射鏡3でもって進行方向をUターンさせることで、発光ダイオードアレイ光源1から光束伝搬方向偏向素子5までの空間的な距離を省スペースとしながら光路を稼ぐことができる。この結果、照明装置100全体の容量を小型化でき、照明装置100を便利に使用できる。
【0033】
また照明装置100は、光進行方向において発光ダイオードアレイ光源1と集光反射鏡3との間にレンズアレイ2を介入させることで、発散する出力光を略平行光としながら集光反射鏡3へと効率良く集光させることができ好ましい。また集光反射鏡3による収束の光軸は、必ずしも照明装置全体の光軸4と一致しなくてもよい。ただ、集光反射鏡3と照明装置全体の光軸4とを略一致させることで、光束伝搬方向偏向素子5の分散、偏角、偏向などの制御成分を簡素にすることができ好ましい。集光反射鏡3の光軸と照明装置全体の光軸4とが相違する場合は、光束伝搬方向偏向素子5あるいは出力レンズ6によって光の進行方向を調整する。
【0034】
さらに図2に、図1の仮想点光源PS近傍を拡大して光の進行方向を模式化した説明図を示す。この図に基づいて、光束伝搬方向偏向素子の動作原理を説明する。図2に示すように、光の進行方向において、仮想点光源PSの前方に配置された光束伝搬方向偏向素子5は、仮想点光源PS側より入光した光の進行方向を屈折させる。具体的に光束伝搬方向偏向素子5は、発光ダイオードアレイ光源1の中の任意の一つの発光ダイオード、例えば発光ダイオード11aから出射されて、発光ダイオード11aに対応して設けられたマイクロレンズ21aと集光反射鏡3により決定される方向に進む光束の伝搬方向を、集光反射鏡3を通る、照明装置100全体の光軸4にほぼ沿う方向に偏向させる。この光束伝搬方向偏向素子5は、複数の発光ダイオードからの光束の伝搬方向を、光軸4に平行な方向に偏向するプリズム51aから構成される。プリズム51aは、光が入光される領域と、自身を通過後に誘導させたい屈折方向に応じて、その形状が決定される。光束伝搬方向偏向素子5は、そのようなプリズムを全ての発光ダイオードからの光束に対して設計製作し、それらを集合させることによって製作できる。
【0035】
光束伝搬方向偏向素子5は、種々の形状とできる。例えば、発光ダイオードアレイ光源1として発光ダイオードを同心円状に配列したものを用いることによって、製作容易な光学素子とできる。すなわち、図3に示すように、発光ダイオードを同心円状に配列したものにすれば、光束伝搬方向偏向素子5は、図4に示すように、角錐プリズムとできる。このような角錐プリズムは製造が比較的容易である。なお、図3において、発光ダイオードアレイ光源1の中央に開けられている孔7は、集光反射鏡3により反射された光束を通過させるために開けられているが、前述したように、これは光学系の構成を簡略化して説明を容易にするためであって、集光反射鏡で収束された光束が発光ダイオードアレイ光源1の中心部を通らない構成にすることもできる。また、図3および図4には、発光ダイオードアレイ光源1が6個の発光ダイオードから成る例を示したが、該構成に限らず、発光ダイオードを5個以下、あるいは7個以上とすることも可能であることは言うまでもない。
【0036】
孔7は発光ダイオードを配置する場所を回避して設けられる。あるいは、孔7の形成領域を除いて発光ダイオードアレイ光源1を設ける。発光ダイオードアレイ光源1を基台に固定し、この基台に貫通した孔7を設ける形態としてもよい。基台はその主面が集光反射鏡3の主面と略平行な姿勢に設けられ、また集光反射鏡3の凹面と対向する一方の主面に発光ダイオードアレイ光源1が配置される。基台の一方の主面から出力された光束は、集光反射鏡3に進行し、凹面状の鏡面で反射された後、孔7を通過して投光側に進行する。
【0037】
孔7は、集光反射鏡3により収束させる光の焦点を通過する光軸を少なくとも包含できる位置に形成される。孔7の形成位置を、集光反射鏡3の光軸が通過する位置に位置決めすることで、進行方向を矯正する他の部材を介在させる必要がなく、集光率を高めることができ好ましい。さらに孔7の中心軸と照明装置全体の光軸4とが略一致するように孔7を位置決めすることで、照明装置の後方から前方まで進行する光束の光軸を略直線状とでき、したがって収束や拡散などの光の矯正を対称に制御しやすくでき好ましい。
【0038】
また基台の少なくとも一方の主面を非透光性とすることで、光束の通過を孔7に限定することもできる。孔7を通過できない光は、基台の一方の主面に吸収あるいは反射されて集光反射鏡3側への戻り光となる。いわば基台がフィルターの役割を果たし、集光反射鏡3を介した光が万一所望としない方向へ進行した場合であっても、この迷光を基台でもって遮断できる。孔7を通過した光のみが投光側に進行される形態とすることで、より統制された光を光束伝搬方向偏向素子5へ進行させることができ、この結果、最終的に得られる照明の進行方向が一層制御されて見切りのよいスポットを得ることができる。したがって所望とする照明スポットの径や通過する光束量を考慮して、形成する孔の径を調節すればよい。
【0039】
特に、凹面状の集光反射鏡3と、一方の主面を非透過とする基台とを組み合わせることで、孔7を通過せずに集光反射鏡3側へと戻った迷光であっても、再び集光反射鏡3でもって光軸に集光させて孔7へと進行させることができるため、光損失を低減できる。また、戻り光の進行方向を再度光軸方向に収束させることで、発光ダイオードへと光が進行するのを回避でき、この結果ダイオードの劣化を防止でき好ましい。
【0040】
あるいは基台を透光性として、集光反射鏡3を介する反射光を遮断することなく投光側に通過させる形態としてもよい。この場合は孔7の形成を省略できる。
【0041】
また他の例として、発光ダイオードを図5に示すように、同心円状に2重に配列した場合は、光束伝搬方向偏向素子5は、図6に示すような二段に屈曲した形状の角錐プリズムとできる。これによって、発光ダイオードアレイ光源1からの光束の伝搬方向を、集光反射鏡3を通り、かつ照明装置全体の光軸4にほぼ沿う方向に偏向することができる。なお、図5および図6には、発光ダイオードアレイ光源1が内側に6個、外側に6個の計12個の発光ダイオードから成る例を示したが、これも例示であって、発光ダイオードの数や配置例は、この構成に限定されるものでない。例えば、発光ダイオードを内周側と外周側で千鳥状となるようオフセット配置することもできる。
【0042】
さらに他の例として、図示しないが、発光ダイオードを同心円状に3重以上に配列した場合も、同様の光束伝搬方向偏向素子を用いることによって、発光ダイオードアレイ光源1からの光束の伝搬方向を、集光反射鏡3を通り、かつ照明装置全体の光軸4にほぼ沿う方向に偏向することができる。もちろん、4重以上の同心円状に配置したり、あるいは円状でなく、三角形、四角形、六角形状などの多角形状に配置することも可能であることは言うまでもない。
【0043】
一方でさらに他の例として、発光ダイオードアレイ光源1として発光ダイオードを同心円状に配列したものを用いた場合、光束伝搬方向偏向素子5として、図7に示すような円錐プリズムを用いても、実用上十分な程度に発光ダイオードアレイ光源1からの光束の伝搬方向を、集光反射鏡3を通り、かつ照明装置全体の光軸4にほぼ沿う方向に偏向することができる。
【0044】
また発光ダイオードを、図5に示すように、同心円状に2重に配列した場合は、図8に示すような二段に折曲した形状の円錐プリズムを用いることによって、発光ダイオードアレイ光源1からの光束の伝搬方向を、集光反射鏡3を通り、かつ照明装置全体の光軸4にほぼ沿う方向に偏向することができる。
【0045】
以上のようにして、発光ダイオードアレイ光源1からの光束を、光束伝搬方向偏向素子5で集光反射鏡3を通り、かつ照明装置全体の光軸4にほぼ沿う方向に偏向させることが可能となる。偏向された光はさらに、出力レンズ6により発散角を制御できる。
【0046】
図1に示した実施形態では、発光ダイオードアレイ光源1からの出射光が、レンズアレイ2と集光反射鏡3により集光反射鏡3を通り、かつその像が照明装置全体の光軸4の上に形成する構成を示したが、これは必須ではない。すなわち、各発光ダイオードからの光束が光軸4の少なくとも近傍で交わっておればよく、各発光ダイオードの像が光軸4の上に形成されている必要はない。例えば、図9に示すように、発光ダイオードアレイ光源1の像が、レンズアレイ2と集光反射鏡3により、集光反射鏡3を通りつつも照明装置全体の光軸4の上に形成されず、集光反射鏡3を通りながら照明装置全体の光軸4の近傍に形成された場合であっても、何ら支障なく、光束伝搬方向偏向素子5を通過した光束を、光軸4にほぼ沿う方向に伝搬させることができる。
【0047】
すなわちこの照明装置100は、厳密に集光する点光源を得る必要がないため、発光ダイオードや集光反射鏡3、光束伝搬方向偏向素子5の配置位置を高精度に制御する必要がないという優れた利点を有する。言い換えると、焦点を定位置に結ぶような象の形成が不要であることから、光学設計を柔軟に行うことができ、設計の労力や製造コストを大幅に低減できるという極めて実用的な利点を有する。例えば照明装置100は、集光反射鏡3と光束伝搬方向偏向素子5とを、それぞれの中心軸が離間するよう配置させてもよい。すなわち、照明装置100の光束伝搬方向偏向素子5は、集光反射鏡3の中心軸から偏位して配置できる。この集光反射鏡3と光束伝搬方向偏向素子5との偏位は、集光反射鏡3を傾けることで、光束伝搬方向偏向素子5が、少なくとも集光反射鏡3を通過した略全ての光を入光できる程度とする。これにより最終的に得られる光束領域の照度をほぼ均一にしながら、所定の領域における光束量を高められる。
【0048】
(実施の形態2)
また図10に、本発明の実施形態2に係わる照明装置200の光学系を示す。この照明装置200は、従来の発光ダイオードを用いた投射照明装置が抱えていた問題点をより確実に解決することを可能とすることができる光学系である。すなわち、この照明装置200は、発光ダイオードアレイ光源1と、レンズアレイ2と、発光ダイオードから出射されてマイクロレンズでほぼ平行光にされた光束を反射させると共に収束させて、発光ダイオードの像を形成するための相対的に口径の小さい凹面鏡(結像反射鏡)の集合体である結像反射鏡アレイ8と、マイクロレンズと結像反射鏡とにより結像反射鏡アレイ8の中心部を通りつつ、照明装置200全体の光軸41の上もしくは近傍に結像され、その後発散する光束の伝搬方向を光軸41にほぼ沿う方向に偏向するための光束伝搬方向偏向素子5とを備える。この照明装置200も、図1ないし図9に示した照明装置100とほぼ同様の構成であり、同じ部材については同じ符号を付して詳細説明を省略する。
【0049】
図10の照明装置200では、発光ダイオードから出射されてマイクロレンズでほぼ平行光にされた光束を反射させると共に収束させて、発光ダイオードの像を形成するための光学素子が異なる。図1等の例では、発光ダイオードアレイ光源1の中の、例えば発光ダイオード11aから出る光束は、レンズアレイ2の中の発光ダイオード11aに対応するマイクロレンズ21aによりほぼ平行な光に変換され、集光反射鏡3により反射されると共に収束されて、光軸4の上もしくは近傍に結像されていた。これに対して図10の照明装置200では、発光ダイオードアレイ光源1の中の、例えば発光ダイオード11aから出た光束は、レンズアレイ2の中の発光ダイオード11aに対応するマイクロレンズ21aによりほぼ平行な光に変換された後、結像反射鏡アレイ8の中の、発光ダイオード11aに対応する結像反射鏡81aにより、結像反射鏡アレイ8の中心部を通る、照明装置全体の光軸41の方向に反射されると共に収束され、光軸41の上もしくはその近傍に結像される。このような図10の構成では、図1等に比べ各発光ダイオードからの光束をより多く光軸41の上で交わせることができる。すなわち、図1等では、相対的に口径の大きい1枚の集光反射鏡により、発光ダイオードから出射されてマイクロレンズでほぼ平行光にされた光束を反射すると共に収束して、発光ダイオードの像を形成しており、集光反射鏡の光学収差のために各発光ダイオードからの光束が光軸4の上で交わらなくなるのを避けるため、集光反射鏡の焦点距離を固定した場合、集光反射鏡の直径に制限があり、その結果使用できる発光ダイオードの数にも制限があった。これに対して、図10の照明装置200の場合は、相対的に口径の小さい凹面鏡(結像反射鏡)の集合体である結像反射鏡アレイ8により、発光ダイオードから出射されてマイクロレンズでほぼ平行光にされた光束を反射すると共に収束して、発光ダイオードの像を形成しており、結像反射鏡の焦点距離を固定した場合でも、各結像反射鏡の傾きを調節することにより、各発光ダイオードからの光束を光軸41の上で交わらせることができるため、この点に関して、使用できる発光ダイオードの数に制限がないというメリットがある。
【0050】
実施の形態2に係る集光反射鏡は、上述の通り複数の結像反射鏡81a、81bの集合体とする結像反射鏡アレイ8に相当する。結像反射鏡81a、81bは、各発光ダイオードから出射されてマイクロレンズで略平行光にされた各光束を反射させると共に収束させる。結像反射鏡アレイ8は、各結像反射鏡81a、81bによるそれぞれの像を仮想点光源PSに集めるように結像反射鏡81a、81bの角度を設定する。詳しくは、各結像反射鏡は、発光ダイオード毎に対応した受光位置に配置され、かつ各結像反射鏡によってそれぞれ収束された像が全体として仮想点光源PSを形成するようそれぞれ位置決めされる。これにより各発光ダイオード毎の光の進行方向をより精密に制御することができる。結像反射鏡アレイ8は、各結像反射鏡を一体に連結して照明装置全体の部品点数を低減することができる。ただ図10に示すように、各結像反射鏡を離間して配設してもよい。結像反射鏡を個別とする照明装置200は、各結像反射鏡の配設角度を発光ダイオード毎に調節しやすくできる。
【0051】
この実施形態2に係わる照明装置200においても、上述した図1に対する図2と同様、発光ダイオードから放射されて、マイクロレンズと結像反射鏡アレイによって決定される方向に進む光束の伝搬方向を、光束伝搬方向偏向素子により照明装置全体の光軸にほぼ沿う方向に偏向させることができる。この様子を図11の拡大図に示す。この図においては、図10の仮想の点光源PS近傍を拡大して、光の進行方向を模式化して説明している。この動作原理は、図2で説明したものと基本的に同じであるので、動作原理の説明は省略する。
【0052】
上記実施形態1及び2の例では、光束伝搬方向偏向素子5は、発光ダイオードアレイ光源1の像が、レンズアレイ2と集光反射鏡3により、集光反射鏡3を通りつつ照明装置全体の光軸4の上もしくは近傍に形成された後に、あるいはレンズアレイ2と結像反射鏡アレイ8により光軸41の上もしくは近傍に形成された後に、光束が入射するように挿入されている。ただ、この構成に限られず、例えば図12及び図13に示すように、発光ダイオードアレイ光源1の像が形成される手前の位置に光束伝搬方向偏向素子5を挿入しても構わない。この場合は、光束伝搬方向偏向素子5の形状を、それぞれ図14及び図15に示すように入射面側を凹状とする。
【0053】
発光ダイオードアレイ光源1として発光ダイオードを同心円状に配列したものを、図12及び図13の構成に用いる場合も同様となる。例えば図4に示す角錐プリズムに代えて、図16に示す凹型の角錐プリズム、あるいは図7に示す円錐プリズムの代わりに図17に示す凹型の円錐プリズムを用いる。また、発光ダイオードを同心円状に2重に配列した発光ダイオードアレイ光源1の場合は、図6に示す角錐プリズムに代えて図18に示す凹型の角錐プリズム、あるいは図8に示す円錐プリズムの代わりに図19に示す凹型の円錐プリズムを用いることができる。
【0054】
なお、上記実施形態1および2の例では、光束伝搬方向偏向素子5の動作原理の説明において、光束伝搬方向偏向素子5の形状として、受光側(図2や図11などで示す光束伝搬方向偏向素子5の下側)が凸状もしくは凹状になる場合を示した。ただ、光束伝搬方向偏向素子5の形状は、受光側で凸状もしくは凹状とした構成に限定するものではなく、例えば出力側(図2や図11などで示す光束伝搬方向偏向素子5の上側)を凸状もしくは凹状になるように設計製作しても同様に動作できることは言うまでもない。一例として、図2の光束伝搬方向偏向素子5に対して、出力側に凹凸を設けた例を図20に示す。この場合において、光束伝搬方向偏向素子5の受光面と出力面とを単に反転させた構成のみに限定するものでなく、光束の集束効果の得られる形状に適宜修正できる。同様に、図11の光束伝搬方向偏向素子5に対して図21、図14の光束伝搬方向偏向素子5に対して図22、図15の光束伝搬方向偏向素子5に対して図23に示すように構成することもできる。このように、光束伝搬方向偏向素子5として角錐プリズムもしくは円錐プリズムを使用する場合、それらの凸面あるいは凹面が受光面側、出力面側のいずれの姿勢としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の照明装置は、自動車のヘッドライト、劇場のスポットライト等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1…発光ダイオードアレイ光源
2…レンズアレイ
3…集光反射鏡
4…光軸
5…光束伝搬方向偏向素子
6…出力レンズ
7…孔
8…結像反射鏡アレイ
11a、11b…発光ダイオード
21a、21b…マイクロレンズ
41…光軸
51a…プリズム
81a、81b…結像反射鏡(凹面鏡)
100、200…照明装置
PS…仮想点光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオード(11a;11b)を面状に配列した発光ダイオードアレイ光源(1)と、
前記発光ダイオードアレイ光源(1)からの光の進行方向において、前記発光ダイオードアレイ光源(1)の前方に各発光ダイオード(11a;11b)に対応して配置された、各発光ダイオード(11a;11b)から出た光束を平行光に近付けるように変換するためのマイクロレンズ(21a;21b)の集合体であるレンズアレイ(2)と、
光の進行方向において前記レンズアレイ(2)の前方に配置され、前記レンズアレイ(2)を通過する光束群を反射させると共に収束させて、前記発光ダイオードアレイ光源(1)の像を形成させるための、前記マイクロレンズ(21a;21b)よりも相対的に口径の大きい集光反射鏡(3)と、
前記レンズアレイ(2)と前記集光反射鏡(3)とを介して、照明装置全体の光軸(4)の上もしくは光軸(4)の近傍に結像されようとする光束の伝搬方向を、照明装置全体の光軸(4)に略沿う方向に偏向させるための光束伝搬方向偏向素子(5)と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記集光反射鏡(3)は、光進行方向において前記レンズアレイ(2)の前方に配置された複数の結像反射鏡(81a;81b)の集合体からなる結像反射鏡アレイ(8)であり、
前記結像反射鏡(81a;81b)は、前記各発光ダイオード(11a;11b)から出射されて前記マイクロレンズ(21a;21b)で略平行光にされた各光束を反射させると共に収束可能としており、
前記結像反射鏡アレイ(8)は、前記各結像反射鏡(81a;81b)によるそれぞれの像を仮想点光源(PS)に集めるように該結像反射鏡(81a;81b)の角度を設定してなることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明装置であって、
前記集光反射鏡(3)で反射され集光される光の仮想点光源(PS)と、前記集光反射鏡(3)の中心を結ぶ線が、照明装置全体の光軸(4)と一致されており、かつ、各発光ダイオード(11a;11b)から出射されて前記マイクロレンズ(21a;21b)で略平行光にされた各光束とが平行となるよう構成されてなることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一に記載の照明装置であって、
前記光束伝搬方向偏向素子(5)が、任意の一の発光ダイオードから出射された光束を、照明装置全体の光軸(4)に略沿う方向に偏向可能なプリズムの集合体であることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一に記載の照明装置であって、
前記光束伝搬方向偏向素子(5)が、前記集光反射鏡(3)によって結像された後に発散する光束の伝搬方向を、照明装置全体の光軸(4)に略沿う方向に偏向させるよう構成してなることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一に記載の照明装置であって、
前記発光ダイオードアレイ光源(1)からの光の進行方向において、前記集光反射鏡(3)によって結像される光束の仮想点光源(PS)よりも前方に、前記光束伝搬方向偏向素子(5)が配置されてなることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか一に記載の照明装置であって、
前記光束伝搬方向偏向素子(5)が、前記レンズアレイ(2)と前記集光反射鏡(3)とによって、照明装置全体の光軸(4)の上もしくは光軸(4)の近傍に結像される前段で、光束の伝搬方向を、照明装置全体の光軸(4)に略沿う方向に偏向するよう構成してなることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか一または7に記載の照明装置であって、
前記光束伝搬方向偏向素子(5)が、前記集光反射鏡(3)によって結像される仮想点光源(PS)と、前記集光反射鏡(3)との間に配置されてなることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一に記載の照明装置であって、
前記発光ダイオードアレイ光源(1)が、多数の発光ダイオードが同心円状に配列されたものであり、前記光束伝搬方向偏向素子(5)が、角錐プリズム状であることを特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか一に記載の照明装置であって、
前記発光ダイオードアレイ光源(1)が、多数の発光ダイオードが同心円状に配列されたものであり、前記光束伝搬方向偏向素子(5)が、円錐プリズム状であることを特徴とする照明装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一に記載の照明装置であって、さらに、
光の進行方向において、前記光束伝搬方向偏向素子(5)の前方に配置され、出力光の発散角を制御するための出力レンズ(6)を備えてなることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−171122(P2011−171122A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33956(P2010−33956)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(595026911)ヒビノ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】