説明

照明装置

【課題】 本発明は、メーターパネル,スイッチパネル,銘板などの照明装置において、防塵性および防水性に優れた照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 透光性の樹脂材料からなる透過部110と、非透光性の樹脂材料からなる不透過部111と、を樹脂成形にて一体的に成形してなる成形樹脂部品(上側ケース11)と、前記成形樹脂部品の背後に設けられる非透光性の樹脂材料からなる支持部材(下側ケース12)と、前記支持部材に支持される光源3と、を備え、前記成形樹脂部品の背後に配置される前記光源3によって前記透過部110を照明する照明装置において、前記光源3の外周を覆うように、前記成形樹脂部品の裏側へと突出する透過性の筒状壁部1100を前記透過部110と一体に設けてなることを特徴とする照明装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオートバイ、建設機械、農耕機械、船舶、雪上バイク、水上バイク等に搭載されるメーターパネル,スイッチパネル,銘板などの照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の照明装置にあっては、例えば特許文献1に開示されているように、スイッチパネルの背後側に、スイッチを収納するスイッチボックスが設けられ、このスイッチボックス内にスイッチが収納されている。
【0003】
またスイッチボックスの側部には、光源が設けられ、この光源の光によってスイッチパネルに設けられた文字や記号などの表示部(例えばスイッチの動作状態を表す表示部)が透過照明されるように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭53ー49351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の表示板などの照明装置は、特許文献1に示されているように、光源自体がスイッチパネルの背後側でスイッチボックスの横に設置されているために、雨水や塵埃などに晒されやすいという問題がある。
【0006】
このため、光源であるランプやLEDなどから外部へと電気的に引き回し形成する場合、例えば光源であるランプおよびランプから外部へと接続端子を介して電気コードによって引き出し案内する箇所には合成ゴム製のソケットにより覆うことによって接続端子部分の腐食を防ぎ、通電状態を安定に保つようにしている。
【0007】
また、光源であるランプの光をスイッチパネルの表示部箇所へと導くためには、光源の周りを防水・防塵のための壁部によって遮ることもできないため、光源であるランプやLEDの発光部箇所が雨水や塵埃などによって晒される虞がある。
【0008】
本発明はこの点に着目してなされたもので、建設機械や農業機械あるいはオートバイなどに搭載されるメーターパネル,スイッチパネル,銘板などの照明装置において、防塵性および防水性に優れた照明装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述した課題を解決するため、請求項1に記載のように、透光性の樹脂材料からなる透過部と、非透光性の樹脂材料からなる不透過部と、を樹脂成形にて一体的に成形してなる成形樹脂部品と、前記成形樹脂部品の背後に設けられる非透光性の樹脂材料からなる支持部材と、前記支持部材に支持される光源と、を備え、前記成形樹脂部品の背後に配置される前記光源によって前記透過部を照明する照明装置において、前記光源の外周を覆うように、前記成形樹脂部品の裏側へと突出する透過性の筒状壁部を前記透過部と一体に設けてなることを特徴とするものである。
【0010】
このように構成することにより、光源(発光部箇所)の周りを透光性の筒状壁部によって覆うことにより、直接的に光源が水分や塵埃などで汚れることを抑えることができる。また、光源を覆う筒状壁部は成形樹脂部品である透過部から一体に成形にて形成されるため、部品点数も増えることもなく、光源からの照射光が遮られることなく透過部を照明することができる。
【0011】
また請求項1に記載の照明装置において、請求項2では、前記筒状壁部の突出端部と部分的に重なり合うように配置される筒状部を、前記支持部材から一体に形成してなることを特徴とするものである。
【0012】
従って、成形樹脂部品である透過部から一体に成形された筒状壁部の突出端部と、支持部材から一体に成形された筒状部の端部側とを部分的にラップするように設けることにより、外部から光源側に入り込もうとする水滴などを未然に防ぐことが可能となり、防水性をさらに向上することができる。また光源から発熱した熱は、部分的に筒状壁部の突出端部と筒状部の端部側とが部分的にラップするように設けてなることにより、そのラップする箇所(空隙箇所)から外部へと放熱することができる。
【0013】
また請求項1または請求項2に記載の照明装置において、請求項3では、前記成形樹脂部品の表側に透過性の指標部を施したシート板を配置してなることを特徴とするものである。
【0014】
このように構成することにより、光源からの照射光線は透過性の筒状壁部を透過し、成形樹脂部品の透過部を通してシート板の指標部が透過照明される。この際、指標部の色合いを設定することにより任意の色合いにて透過照明することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、透光性の樹脂材料からなる透過部と、非透光性の樹脂材料からなる不透過部と、を樹脂成形にて一体的に成形してなる成形樹脂部品と、前記成形樹脂部品の背後に設けられる非透光性の樹脂材料からなる支持部材と、前記支持部材に支持される光源と、を備え、前記成形樹脂部品の背後に配置される前記光源によって前記透過部を照明する照明装置において、前記光源の外周を覆うように、前記成形樹脂部品の裏側へと突出する透過性の筒状壁部を前記透過部と一体に設けてなることを特徴とするものであるため、光源(発光部箇所)の周りを透光性の筒状壁部によって覆うことにより、直接的に光源が水分や塵埃などで汚れることを抑えることができる。また、光源を覆う筒状壁部は成形樹脂部品である透過部から一体に成形にて形成されるため、部品点数も増えることもなく、しかも光源からの照射光が遮られることなく透過部を照明することができるものであり、これにより初期の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態を示す照明装置の正面図である。
【図2】図2は、図1の要部を示すA−A線断面図である。
【図3】図3は、図2の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて、本発明を建設機械のスイッチパネルにおける照明装置に適用した実施形態に基づいて説明する。
【0018】
図1から図3は、本発明の第1実施形態を示すもので、以下、これらに基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、図1は本発明の第1実施形態による建設機械のスイッチパネルにおける照明装置の正面図であり、図2は、図1の要部を示すA−A線断面図であり、図3は、図2の要部を示す拡大断面図である。
【0019】
同図において、本実施形態による照明装置としては、建設機械の運転座席の横や前側には操縦ボックスが設けられるとともに、この操縦ボックスの近辺に操作盤であるスイッチパネル部材Pが設けられている。この場合、スイッチパネル部材Pは外装部材である合成樹脂製からなるケース1(上側ケース11と下側ケース12とによる収納空間)内に、イグニッションスイッチS1やワイパースイッチS2、照明灯切り換えスイッチS3などが収容されたり、あるいは組み付け固定されている。
【0020】
また上側ケース11は、透光性の樹脂材料からなる透過部110と、非透光性の樹脂材料からなる不透過部111とを樹脂成形にて一体に成形してなる成形樹脂部品により形成されている。
【0021】
また上側ケース11の表面側には、各スイッチS1,S2,S3の操作状態を表す文字や数字あるいは絵表示などの透過性の指標部2aが施されたシート板2が貼り付けられている。
【0022】
また下側ケース12は、この実施形態においては、透光性の樹脂材料からなる透過部110を照明したり、シート板2の指標部を透過照明するための照明用の光源3(照明ランプ)を組み付け固定するための支持部材として設けられている。
【0023】
なお、光源3は図示しない接続端子を介して配線コード4によって建設機械の電源側であるバッテリーへと電気的に引き回し形成されており、光源3である照明ランプの周囲は合成ゴム製のソケット3aにより覆うことによって接続端子部分の腐食を防ぎ、通電状態を安定に保つようにしている。
【0024】
また各スイッチS1,S2,S3は光源3と同様にして配線コード4を介して建設機械の電源側であるバッテリーへと電気的に引き回し形成されている。
【0025】
また図2に示すように、成形樹脂部品である上側ケース11に設けられた透光性の樹脂材料からなる透過部110箇所には、上側ケース11の開口孔部11aが設けられ、この開口孔部11aにイグニッションスイッチS1のキーシリンダーが挿通されて組み付け固定されている。
【0026】
この際、シート板2には、上側ケース11の開口孔部11aよりも径大な開口孔2bが形成され、この開口孔2bによって上側ケース11の開口孔部11aの周囲箇所が前面から判別することができるようにリング状透過部110aとして設けられている。
【0027】
リング状透過部110aの背面側には、光源3からの照射光線を反射導光するための反射面110bが形成されている。
【0028】
本実施形態においては、光源3の外周を覆うように、成形樹脂部品である上側ケース11の裏側へと向けて突出する透過性の筒状壁部1100が透過部110から一体に設けられている。
【0029】
また光源3を支持するための支持部材となる下側ケース12には、筒状壁部1100の突出端部と部分的に重なり合うように配置される筒状部120が、下側ケース12から一体に設けられている。この際、本実施形態にあっては、図3に示すように、下側ケース12に設けられた筒状部120の外径寸法に対して、上側ケース11に設けられた筒状壁部1100の外径寸法は大きく設定され、筒状壁部1100の内径となる壁部と筒状部120の外径となる壁部との間には透き間Gが設けられるように設定している。
【0030】
なお、下側ケース12の底面側には、金属製の材料からなる取付ステー部材5が固定保持され、この取付ステー部材5は、建設機械の本体となる車体側に組み付け固定される。
【0031】
以上のように第1の実施形態による照明装置にあっては、透光性の樹脂材料からなる透過部110と、非透光性の樹脂材料からなる不透過部111と、を樹脂成形にて一体的に成形してなる成形樹脂部品(上側ケース11)と、成形樹脂部品(上側ケース11)の背後に設けられる非透光性の樹脂材料からなる支持部材(下側ケース12)と、支持部材(下側ケース12)に支持される光源3と、を備え、成形樹脂部品(上側ケース11)の背後に配置される光源3によって透過部110を照明する照明装置において、光源3の外周を覆うように、成形樹脂部品(上側ケース11)の裏側へと突出する透過性の筒状壁部1100を透過部110と一体に設けてなることにより、光源3(発光部箇所)の周りを透光性の筒状壁部1100によって覆うことにより、直接的に光源3が水分や塵埃などで汚れることを抑えることができるものであり、また光源3を覆う筒状壁部1100は成形樹脂部品(上側ケース11)である透過部110から一体に成形にて形成されるため、部品点数も増えることもなく、光源3からの照射光が遮られることなく透過部110を照明することができる。
【0032】
また、図3に示すように、下側ケース12に設けられた筒状部120の外径寸法に対して、上側ケース11に設けられた筒状壁部1100の外径寸法を大きく設定し、筒状壁部1100の内径となる壁部と筒状部120の外径となる壁部との間には透き間Gが設けられるように設定してなることにより、結果として、成形樹脂部品である上側ケース11の透過部110から一体に成形された筒状壁部1100の突出端部と、支持部材である下側ケース12から一体に成形された筒状部120の端部側とを部分的にラップするように設けることによって、外部から光源3側に入り込もうとする水滴などを未然に防ぐことが可能となり、防水性をさらに向上することができる。また光源3から発熱した熱は、部分的に筒状壁部1100の突出端部と筒状部120の端部側とが部分的にラップするように設けてなることにより、そのラップする透き間G箇所から外部へと放熱することができる。
【0033】
また成形樹脂部品である上側ケース11の表側に透過性の指標部2aを施したシート板2を配置してなることにより、光源3からの照射光線は透過性の筒状壁部1100を透過し、透過部110を通してシート板2の指標部2aが透過照明される。この際、指標部の色合いを設定することにより任意の色合いにて透過照明することが可能となる。
【0034】
またイグニッションスイッチS1のキーシリンダーが挿通されて組み付け固定される上側ケース11の開口孔部11aの周縁箇所では、上側ケース11の開口孔部11aよりも径大な開口孔2bをシート板2に設けることによって、上側ケース11の開口孔部11aの周囲箇所が前面から判別することができるようにリング状透過部110aとして設けられるため、光源3からの照射光線によってリング状透過部110aを照明表示することができ、これにより夜間などにおいてイグニッションスイッチS1の位置を容易に確認することができる。
【0035】
この際、リング状透過部110aの背面側に傾斜した反射面110bを設けることによって、その反射面110b箇所が光輝することによりさらにイグニッションスイッチS1の位置を判別しやすくなるものである。
【0036】
なお本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能であり、例えば実施形態においては、光源3の外周を覆うように透過部110と一体に設けられ、成形樹脂部品の裏側へと突出する透過性の筒状壁部1100を透明な上側ケース11の透過部110と一体に設けるように形成していたが、透過部110および筒状壁部1100を例えば青色に着色成形することにより、光源3からの照射光線によってシート板2の指標部2aやリング状透過部110aを青色にて透過照明することができるものであり、着色する色合いを任意に設定することによって照明色の色合いを変更することも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
また、前述した実施形態において詳述したように、建設機械などの表示照明装置を例にして説明したが、船舶用の表示板の照明装置あるいは農業用機械などの特殊車両の照明装置などにおいても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 ケース
2 シート板
2a 指標部
2b 開口孔
3 光源
3a ソケット
4 電気コード
11 上側ケース(成形樹脂部品)
11a 開口孔部
12 下側ケース(支持部材)
110 透過部
110a リング状透過部
110b 反射面
111 不透過部
1100 筒状壁部
G 隙間
P スイッチパネル部材
S1,S2,S3 スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の樹脂材料からなる透過部と、非透光性の樹脂材料からなる不透過部と、を樹脂成形にて一体的に成形してなる成形樹脂部品と、前記成形樹脂部品の背後に設けられる非透光性の樹脂材料からなる支持部材と、前記支持部材に支持される光源と、を備え、前記成形樹脂部品の背後に配置される前記光源によって前記透過部を照明する照明装置において、前記光源の外周を覆うように、前記成形樹脂部品の裏側へと突出する透過性の筒状壁部を前記透過部と一体に設けてなることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記筒状壁部の突出端部と部分的に重なり合うように配置される筒状部を、前記支持部材から一体に形成してなることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記成形樹脂部品の表側に透過性の指標部を施したシート板を配置してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−243355(P2011−243355A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113120(P2010−113120)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】