説明

照明装置

【課題】歩行領域に突出することなく足場周辺を照らすことが可能で、歩行する際の様々な安全性を確保するとともに、足場施工における作業簡素化を図り煩わしさを解消し得る照明装置を提供する。
【解決手段】中空筒状の外筒部1と、外筒部1内に内装されるライト部3とで構成され、ライト部3は、透過性パイプ部5で覆われた発光部4と、発光部4の両側に設けられ、弾性部材で形成された環状の密着部10とで構成され、外筒部1は切り欠き窓部2を設け、切り欠き窓部2の設けられた領域が、ライト部3の発光部4が位置する発光部配設領域A3とされ、切り欠き窓部2と外筒部1の端部との間の領域が、密着部10がそれぞれ緊密状に密着されるライト部固着領域A11,A21と、内筒部材を嵌め入れる内筒部材挿入領域A12,A22とされ、内筒部材挿入領域A12,A22に相対する外筒部1の外面領域はクランプ取付領域A4を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に、例えば作業現場や建設現場などに設置される単管足場・枠組足場などの、いわゆる作業足場に使用され、設置現場周辺の照明を図る照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場(工事現場)などの躯体の外壁面に沿って設置される作業足場などには、施工者などの歩行安全性確保のため、設置現場周辺を照明装置で照らす必要がある。
【0003】
従来、このように足場周辺を明るく照らして施工者などの歩行安全性を確保する場合には、作業足場を構築している単管パイプなどの所定箇所に、例えば専用のフックなどで照明装置を吊り下げ保持したり、特許文献1に開示されている専用の固定金具で別途照明装置を取り付けたりしていた。
【0004】
しかし、このように専用のフックや固定金具を介して別途照明装置を取り付けるものにあっては、以下に示す種々の不具合を有していた。
(1)足場用の単管パイプを組み立てた後に、選択された所定箇所毎に前記固定金具を取り付け施工し、そして、その固定金具に所定の照明装置(水銀灯など)を取付施工しなければならない。このような施工を足場用の単管パイプの組立作業とは別途に必要であったため、足場施工の作業が面倒であるとともに、その照明装置の設置作業が大変煩わしく、その分の作業時間も要していたものであった。
また、専用のフックを介して照明装置を吊り下げ保持する場合であっても、作業上の煩わしさは同様である。
(2)単管パイプに前記固定金具および照明装置が突出した状態で設置されるものであったため、その設置箇所によっては、施工者などが施工器具や施工材料などをもって足場を歩行する際に、前記器具や材料などが固定金具や照明装置に接触してしまう虞があり、歩行の安全性を確保し得ない。また、接触して照明装置を破損させてしまう虞もあった。さらには、破損した照明装置の破損部品が下方に落下すると、下で作業している施工者などに大変危険であった。
また、専用のフックを介して照明装置を吊り下げ保持する場合であっても、上述した危険性を有していることは同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3727368公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、歩行領域に突出することなく足場周辺を照らすことが可能で、歩行する際の様々な安全性を確保するとともに、足場施工における作業簡素化を図り煩わしさを解消し得る照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の第1の発明は、両端を開放した鋼鉄製中空筒状の外筒部と、
前記外筒部内に緊密状に内装される直管型のライト部とで構成されており、
ライト部は、外筒部よりも短尺で、透過性パイプ部で覆われた発光部と、発光部の両側に設けられ、弾性部材で形成された環状の密着部とで構成されており、
外筒部は、筒両側に所定長さの中空領域を残してその左右の中空領域の間において切り欠き窓部を設けており、
前記外筒部は、切り欠き窓部の設けられた領域が、ライト部の発光部が位置する発光部配設領域とされ、
前記外筒部の両側に位置するそれぞれの中空領域は、ライト部の左右の密着部がそれぞれ緊密状に密着されるライト部固着領域と、前記ライト部固着領域と外筒部の端部との間に設けられ、所定の内筒部材を嵌め入れる内筒部材挿入領域とされており、
前記内筒部材挿入領域に相対する外筒部の外面領域は、クランプ取付領域を構成していることを特徴とする照明装置としたことである。
【0008】
本発明の第2の発明は、第1の発明において、内筒部材挿入領域に嵌め入れる所定の内筒部材は、内筒部材挿入領域に嵌入される部分と、外筒部の端部から突出し、隣り合う所定の部材に嵌入される突出部分とを有するジョイント部材であることを特徴とする照明装置としたことである。
【0009】
本発明の第3の発明は、第2の発明において、発光部は、透過性パイプ部内に多数のLEDを表面に実装したLED基板が配されていることを特徴とする照明装置としたことである。
【0010】
本発明の第4の発明は、第3の発明において、密着部は、LED基板に接続された配線が端部から突出しており、前記配線はジョイント部材内を挿通して配設されることを特徴とする照明装置としたことである。
【0011】
本発明の第5の発明は、第4の発明において、密着部は、その外周に環状のシールリップを備えたことを特徴とする照明装置としたことである。
【0012】
本発明の第6の発明は、第2乃至第5のいずれかの発明において、隣り合う所定の部材は、所定の作業足場を構築する足場用の単管パイプで、外筒部は、その筒外径および筒内径が、前記単管パイプのパイプ外径およびパイプ内径と同一とし、前記足場用の単管パイプとともに組み立てられて所定の作業足場を構築することを特徴とする照明装置としたことである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、歩行領域に突出することなく足場周辺を照らすことが可能で、歩行する際の様々な安全性を確保するとともに、足場施工における作業簡素化を図り煩わしさを解消し得る照明装置を提供し得た。
すなわち、従来から使用されている足場用の単管パイプと同一形態(同一素材)のパイプを外筒部として使用しているため、足場の一部として使用できる。
これにより、別途照明器具を足場用の単管パイプの外側に固定したり、あるいは照明器具をフックなどで吊り下げ配置したりする必要がなくなる。すなわち、照明器具が単管パイプと一体になっており、照明器具が単管パイプの外部に備えられることがなくなるため、照明器具の落下の危険性や施工上の邪魔になるという虞もない。
また、足場を組むときに一緒に照明装置も完備されることとなるため、別途照明装置を配設する手間や煩わしさもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明照明装置の一実施形態を一部省略して示す概略縦断正面図である。
【図2】本発明照明装置の一実施形態であって、内筒部材(ジョイント部材)を嵌め入れた状態を一部省略して示す概略縦断正面図である。
【図3】本発明照明装置を構成する外筒部の一実施形態であって、(a)は一部省略して示す概略全体概略斜視図、(b)は(a)のI-I線概略断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の照明装置を作業足場の一部に組み込んだ状態を一部省略して示す概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の照明装置を作業足場の一部に組み込んだ状態を一部省略して示す概略断面図である。
【図6】本発明照明装置を構成するライト部の一実施形態を一部省略して示し、ライト部に設けられる密着部の外周に環状のシールリップが備えられていることを示す概略縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明照明装置の一実施形態、例えば、作業現場や建設現場などに設置される、いわゆる作業足場に本発明を適用した実施の一形態について説明する。
なお、本実施形態は、本発明の一実施形態であって、何等これらに限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0016】
図1は、本発明の照明装置の概略断面図であって、本実施形態では、外筒部1とライト部3と内筒部材12で照明装置を構成している。
【0017】
外筒部1は、両端を開放した所定径で、かつ所定長さの鋼鉄製の中空円筒体で、その筒長さ方向(図1−図3にて矢印L1で示す方向)の中央領域に、筒長さ方向にわたって所定長さの切り欠き窓部2を有している。
なお、本実施形態では、円筒体をもって説明するが、その筒形状もこれに限定解釈されず、角筒体であってもよい。また、外筒部1の全体長さや径の大きさなども限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0018】
切り欠き窓部2は、筒体の両側に所定長さの中空領域A1,A2をそれぞれ残して、その左右の中空領域A1,A2の間に形成されている。本実施形態では、図3(a)(b)に示すように、筒体の軸心Rに直交する水平仮想線L2を境にして上下方向半分を切り欠いて形成されており、前記切り欠き窓部2の設けられた領域が、ライト部3の発光部4が位置する発光部配設領域A3とされている(図1参照。)。
切り欠き窓部2の切り欠き領域(筒長さ方向の領域・筒周方向の領域)は広狭任意であって、本発明の範囲において設計変更可能である。より広域を照らす場合には切り欠き窓部2の領域を広く(大きく)とり、ピンポイントに照らす場合には切り欠き窓部2の領域を狭く(小さく)とることができる。また、切り欠き窓部2は、外筒部1に断続的に設けてスポット的に照らすようにすることも可能である。
【0019】
前記外筒部1の両側に位置するそれぞれの中空領域A1,A2は、ライト部3の左右の密着部10,10がそれぞれ緊密状に密着されるライト部固着領域A11,A21と、前記ライト部固着領域A11,A21と外筒部1の端部との間に設けられ、所定の内筒部材を嵌め入れる内筒部材挿入領域A12,A22とされている(図1参照。)。
【0020】
ライト部3は、外筒部1よりも短尺の直管型に形成され、前記外筒部1内に緊密状に内装されており、透過性パイプ部5で覆われた発光部4と、発光部4の両側に設けられ、弾性部材で形成された環状の密着部10とで構成されている(図1参照。)。
【0021】
発光部4は、例えばポリカーボネート製の透過性パイプ部5と、前記透過性パイプ部5内において、透過性パイプ部5のパイプ長さ方向(図1にて矢印L1で示す方向)に配設される基板6と、基板6の一面側にて該基板6の長さ方向(図1にて矢印L1で示す方向)に所定間隔で多数配設されるLEDパッケージ7からなるLEDパッケージ群と、基板6の両端に電気的に接続されて透過性パイプ部5の両端に一体に配設される口金17,17と、口金17,17にそれぞれ着脱自在に接続される入力線8と出力線9とで構成されている(図1参照。)。
発光部4の長さは、外筒部1の切り欠き窓部2の長さ(外筒部1の長さ方向)とほぼ同程度の長さであって、外筒部1内に挿入された際に、外筒部1の切り欠き窓部2から臨むように設定されている。
本実施形態では、発光部4の透過性パイプ部5をポリカーボネート製としているため、外部からの衝撃に強く割れにくいため、特に作業足場の一部として組み込んで使用するのに適している。
【0022】
さらに本実施形態では、透過性パイプ部5の全域を覆う外パイプ部16を備えた形態を採用しているため、外部からの衝撃にさらに強く、かつ埃などの影響も受け難い。
外パイプ部16は、透過性パイプ部5と同様に透過性を有する材質、本実施形態では透明のポリカーボネート製で所望長さの円筒形状に形成されており、密着部10に形成されている段部10aに端部が嵌め込まれて密着部10と一体化されている。
【0023】
なお、透過性パイプ部5、外パイプ部16は、それぞれ透過性を有する材質からなるものであれば特にその材質、形状、パイプの色などに何等限定解釈されるものではなく、設計変更可能であるが、衝撃に強い材質が好ましい。なお、外筒部1の内面形状が角筒形状に構成されている場合には、この外パイプ部16も角筒形状に構成されるものとする。本実施形態のように、外パイプ部16を備える形態の場合には透過性パイプ部5はその筒形状に限定されるものではないが、外パイプ部16を備えない形態を採用する場合には透過性パイプ部5も角筒形状に構成されるものとする。
【0024】
基板6は、本実施形態では、図1にて破線で示しているように、長尺の一枚板にて形成され、この基板6の長さ方向にわたって多数のLEDパッケージ7(図1にて破線で概略を示している。)を所定間隔で配設した実施の一形態をもって説明しているが、これに何等限定解釈されるものではない。
すなわち、一個ないし複数個のLEDパッケージ7を配設してなる短尺の一枚板からなるものを多数電気的に接続したものであってもよい。
また、LEDパッケージも特に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で周知の構造が適用可能である。
【0025】
入力線8は、両端に接続プラグ8a・8bを備え、出力線9も両端に接続プラグ9a・9bを備えている。
入力線8,出力線9は、接続プラグ8a,9aが、多数のLEDパッケージ7を電気的に接続した基板6のそれぞれの端部と電気的に接続されている口金17,17に、それぞれが着脱自在に接続されて密着部10,10の外方に突出して位置している。
そして、それぞれ隣り合う部材、すなわち本実施形態の照明装置同士が隣り合う場合には、一方の本実施形態照明装置の接続プラグ8bが、隣り合う本実施形態照明装置の接続プラグ9bと着脱自在に接続される。
これにより、本実施形態の照明装置が複数台連結できる、いわゆる「渡り配線」が講じえる。なお、もっぱら屋外で使用される場合には、接続プラグ8,9には防水プラグを使用するのが好ましい。
【0026】
密着部10は、前記発光部4の透過性パイプ部5の外径よりも大径でかつ前記外筒部1の内径よりも大径の短尺円筒状(環状)に弾性材料にて形成され、前記透過性パイプ部5の両端の領域にて、透過性パイプ部5の端部に一体に配設されている口金17の外周面に内周面を嵌め込んで一体に配設されている(図1参照。)。
また、密着部10は、上述した外パイプ部16の端部が嵌め込まれる段部10aが環状に形成されている。
密着部10は、上述のように形成されていることにより、前記外筒部1内に内装される際に、その弾性力に抗して押し縮められて外筒部1内に嵌め入れられるため、嵌め入れ完了後は、外筒部1内のライト部固着領域A11,A21にてその弾性力により緊密状に固定される機能とシールする機能の双方を発揮している。
なお、密着部10の外径は、前記外筒部1の内径に緊密に嵌まり合う程度の外径であることはいうまでもない。密着部10は、例えば本実施形態では合成ゴムにて形成されているが、外筒部1のライト部固着領域A11,A21に緊密状に嵌り合う程度の弾性を有していれば特にその材質に限定解釈されるものではなく、軟質合成樹脂材など周知の材質からなるものに設計変更可能である。
【0027】
本実施形態では、図6に示すように、密着部10の外周面にシールリップ11を環状に設けてライト部固着領域A11,A21におけるシール効果を向上させるようにしている。
また、シールリップ11の形状は特に限定解釈はされないが、切り欠き窓部2から外筒部1の中空領域A1,A2内に雨水や埃などが浸入しないように外向きリップとするのが好ましい。
また、シールリップ11は、複数設けてシール性を向上させることも可能である。図6は、複数の環状シールリップ11を設けた一実施形態で、それぞれのシールリップ11は、リップ先端同士がそれぞれ外向きになるように形成されている。
なお、本実施形態では上述のとおり、シールリップ11を備える構成を採用しているが、シールリップ11は本発明において限定解釈されるものではない。
【0028】
図2は、内筒部材12を嵌め入れるとともに、隣り合う部材(本実施形態では単管パイプP)を連結した状態を示しており、内筒部材12は、前記外筒部1の内筒部材挿入領域A12,A22に嵌入される挿入部分13と、外筒部1の端部から突出し、隣り合う所定の部材(本実施形態と同一の照明装置あるいは単管パイプ)に嵌入される突出部分14とを有する両端を開放した全体円筒状のジョイント部材であって、本実施形態の照明装置と隣り合う部材(本実施形態と同一の照明装置あるいは単管パイプ)を連結するものである。図示した内筒部材12は概略を示すものであり、またこの形態に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0029】
内筒部材(ジョイント部材)12は、挿入部分13の外径が、前記内筒部材挿入領域A12,A22に緊密に嵌り合う径とするのが好ましい。なお、突出部分14にあっては、隣り合う部材(本実施形態と同一の照明装置あるいは単管パイプ)の内径に応じて適宜設計変更可能であるが、隣り合う部材(本実施形態と同一の照明装置あるいは単管パイプ)の内面に緊密に嵌り合う径とするのが好ましいことはいうまでもない。
【0030】
内筒部材12には、両端の開放部分に連通した挿通孔部15が形成されており、この挿通孔部15に、前記入力線8と出力線9がそれぞれ挿通される(図2参照。)。
内筒部材12の材質は特に限定解釈されるものではなく、ゴム材・軟質合成樹脂材などの弾性材に限らず、金属などであってもよく本発明の範囲内である。
弾性材によって内筒部材12を形成する場合、挿入部分13が内筒部材挿入領域A12,A22の内径よりも大径で、突出部分14が隣り合う部材(本実施形態と同一の照明装置あるいは単管パイプ)の内径よりも大径とし、その弾性力に抗して挿入し、それぞれ復元する力によって緊密に密着するように構成する。
【0031】
また、金属材などで内筒部材12を形成する場合に、挿入部分13が内筒部材挿入領域A12,A22に緊密に嵌り合う径とし、突出部分14にあっては、隣り合う部材(本実施形態と同一の照明装置あるいは単管パイプ)に緊密に嵌り合う径とするのが好ましい。例えば、内筒部材挿入領域A12,A22の内径や、隣り合う部材(本実施形態と同一の照明装置あるいは単管パイプ)の嵌合部分の内径よりも大径の外径を有した円筒形状で、その長さ方向に所定の切り込み(図示省略)が入っており、嵌め合う際に、この切り込みによって内筒部材12の径が縮径され、その縮径された状態で、内筒部材挿入領域A12,A22の内径や、隣り合う部材(本実施形態と同一の照明装置あるいは単管パイプ)の嵌合部分の内径に嵌め入れる。従って、縮径状態が解除され、広がろうとする力によって、内筒部材12が、内筒部材挿入領域A12,A22の内径や、隣り合う部材(本実施形態と同一の照明装置あるいは単管パイプ)の嵌合部分の内径に嵌り合う。
なお、金属材などで内筒部材12を形成する場合には、その嵌め込む際の操作性をよくするため、外筒部1の内筒部材挿入領域A12,A22の内径よりもわずかに小径に形成してもよい。このような構成とした場合には、緊密な連結はできないため、内筒部材(ジョイント部材)12の外周に、Oリングなどのシール部材を備えるようにすると良い。
【0032】
前記内筒部材挿入領域A12,A22に相対する外筒部1の外面領域は、図2に示すように、クランプ取付領域A4を構成している。
すなわち、この内筒部材(ジョイント部材)12を嵌入している領域の外周に、クランプCを取り付けることとすることで、外筒部1内に配設されているライト部3にクランプCの取付領域がこないようにする。これにより、クランプ取付時においてライト部3を損傷するような虞もない。
【0033】
また、クランプ取付領域A4が容易に視認可能な構成を付加することも可能である。
一例を挙げると、外筒部1の外周面に設けられるクランプ取付領域(内筒部材挿入領域)A4と外筒部1の中空領域A1(A2)に設けられるライト部固着領域A11(A21)との境界位置に対応する外筒部1の外周面に、所定の識別用突起(突起は断続的でも、環状に連続しているものでも良い。)を設けたり、境界位置で色分けをして識別したりすることが考えられる(それぞれ図示は省略する。)。
【0034】
なお、本実施形態では、ポリカーボネート製の透過性パイプ部5内にLED基板6を内装した直管形のライト部3をもって説明したが、透過性パイプ部内に、直管形蛍光管を内装した形態であっても本発明の範囲内であり、適宜設計変更可能である。
なお、外筒部として、従来から使用されている足場用の鋼鉄製の単管を使用することも可能である。
【0035】
本実施形態の照明装置を構成している外筒部1は、その筒外径および筒内径が、所定の作業足場を構築する足場用の単管パイプ(隣り合う所定の部材)Pのパイプ外径およびパイプ内径と同一とし、前記足場用の単管パイプPとともにクランプCを介して組み立てられて所定の作業足場を構築するように構成している。
【0036】
図4および図5は、本実施形態の照明装置の使用状態の一例を示すもので、作業足場の一部にクランプCを介して本実施形態の照明装置を組み込んでいる。本実施形態では、図4に示すように、本実施形態の照明装置と隣り合う部材として同じく本実施形態の照明装置を用いて連結している。
このように、本実施形態の照明装置を用いることにより、作業足場を構築する工程で、足場に必要な照明器具も一緒に組み込むことができるため、施工上極めて効率性が良い。
また、本実施形態の照明装置であれば、構築した作業足場の歩行領域に、照明器具が突出したり、垂れ下がっていたりすることもないため、作業者(施工者)の歩行安全性においても大変有用である。
さらに、照明の方向を変えたい場合には、一旦、本実施形態の照明装置を取り付け固定しているクランプCを緩め、外筒部1の軸心Rを中心として所定方向(図3(b)および図5にて矢印R1で示す方向)に回転作動させれば照明の方向を360度任意に変えることができる。
【0037】
本実施形態によれば、隣り合う照明装置のそれぞれの外筒部1と外筒部1を連結する内筒部材(ジョイント部材)12の内部にて配線同士の連結ができるため、配線は外部に露出せず隠した状態で這わすことができる(図2参照。)。
従って、従来のように露出した照明装置の配線に作業者が引っかかり大変危険であったという不具合も解消され安全性が向上する。
また、従来のように、配線が引っかからないように養生する別途手間も不要となるため、養生に要する作業時間・作業労力および作業コストが軽減できる。
【0038】
本実施形態では、外筒部1の切り欠き窓部2が天地方向で下に向き(図5にて矢印D方向に向いている)、ライト部3の発光部4からの光が上方から下方(図5にて矢印D方向)に向けて照らすことのできるようにクランプCにて取り付けられている(図4、図5参照)。また、本実施形態では、ライト部3にはLEDパッケージ7を実装したライト部3を外筒部1内に内装している。
従って、まっすぐな指向性をもったLEDの光によって作業足場の足元を上方から効率よく照らすことができる(図5参照)。なお、LEDパッケージのレンズ形状やLEDパッケージの配設の仕方あるいは反射させる部材の配設などによって指向性の度合いを任意に変更可能であることはいうまでもない。
なお、作業足場のどの位置に本実施形態の照明装置を組み込むかは施工現場に応じて適宜設計変更可能であり、種々の作業現場の態様に広く対応することができる。
また、本実施形態では、本実施形態の照明装置を、単管パイプPとともにクランプCを介して水平に取り付けて作業足場を構築する横管の一つとしているが、縦管として用いることができることはいうまでもない。
【0039】
本実施形態では、本発明の照明装置を組み込んで作業現場の作業足場を構築する実施の一形態をもって説明したが、本発明の照明装置は、特に作業足場を構築するために使用されるものに限定解釈されるものではなく、他の用途、例えば、工事現場の領域を工事現場以外の領域と区分けするために用いられ、かつ照明機能を必要としている柵や、仮囲いなどの一部として使用されるものなども本発明の範囲内であり設計変更可能である。
また、本発明照明装置の全体長さ・太さ・形状なども、その利用形態に応じて適宜設計変更されるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 外筒部
2 切り欠き窓部
3 ライト部
4 発光部
5 透過性パイプ部
6 基板
7 LEDパッケージ
8 入力線
9 出力線
10 密着部
12 内筒部材
A1,A2 中空領域
A11,A21 ライト部固着領域
A12,A22 内筒部材挿入領域
A3 発光部配設領域
A4 クランプ取付領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端を開放した鋼鉄製中空筒状の外筒部と、
前記外筒部内に緊密状に内装される直管型のライト部とで構成されており、
ライト部は、外筒部よりも短尺で、透過性パイプ部で覆われた発光部と、発光部の両側に設けられ、弾性部材で形成された環状の密着部とで構成されており、
外筒部は、筒両側に所定長さの中空領域を残してその左右の中空領域の間において切り欠き窓部を設けており、
前記外筒部は、切り欠き窓部の設けられた領域が、ライト部の発光部が位置する発光部配設領域とされ、
前記外筒部の両側に位置するそれぞれの中空領域は、ライト部の左右の密着部がそれぞれ緊密状に密着されるライト部固着領域と、前記ライト部固着領域と外筒部の端部との間に設けられ、所定の内筒部材を嵌め入れる内筒部材挿入領域とされており、
前記内筒部材挿入領域に相対する外筒部の外面領域は、クランプ取付領域を構成していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
内筒部材挿入領域に嵌め入れる所定の内筒部材は、内筒部材挿入領域に嵌入される部分と、外筒部の端部から突出し、隣り合う所定の部材に嵌入される突出部分とを有するジョイント部材であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
発光部は、透過性パイプ部内に多数のLEDを表面に実装したLED基板が配されていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
密着部は、LED基板に接続された配線が端部から突出しており、前記配線はジョイント部材内を挿通して配設されることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
密着部は、その外周に環状のシールリップを備えたことを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
隣り合う所定の部材は、所定の作業足場を構築する足場用の単管パイプで、外筒部は、その筒外径および筒内径が、前記単管パイプのパイプ外径およびパイプ内径と同一とし、前記足場用の単管パイプとともに組み立てられて所定の作業足場を構築することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−142176(P2012−142176A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293677(P2010−293677)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(391033115)株式会社カナモト (4)
【出願人】(591195673)株式会社長谷川製作所 (3)
【Fターム(参考)】