説明

照明装置

【課題】防水性能を確保するとともに、カバー部材を取外す際に、配線のねじれの屈曲度合いを軽減することが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】本発明は、光源部2と、この光源部2が支持されて収容された透光性を有するカバー部材1と、このカバー部材1が回動によって水密状態に嵌合される基体部5と、この基体部5に設けられ、光源部2側から導出される配線53が挿通し、一方側の直径の寸法D1に対する配線53の直径の合計寸法dの比が0.89〜0.99であって、一方側の直径の寸法D1より他方側の直径の寸法D2が大きく形成された配線挿通孔54bを有する配線部54と備える照明装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、防水構造を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯灯や街路灯などの屋外用の照明装置にあっては、器具本体内に雨水等が侵入することを防止するため、所定の防水性能を充足する防水構造が採られている。
【0003】
例えば、照明装置としての防犯灯では、透光性のカバー部材内に支持されて収容された光源部及びこの光源部を点灯制御する点灯装置から導出されるリード線等の配線を、基体部に設けられた防水ブッシングに挿通させて外部へ導出するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−18469号公報
【特許文献2】特開2011−34856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような防水構造の場合、カバー部材の交換等のメンテナンスにおいて、カバー部材を回動して基体部から取外す際に、配線が防水ブッシングに緊密的に保持されているため、配線にねじれが生じて、その屈曲度合いが大きく、配線の断線等の損傷や応力がかかって接続部が外れてしまうといった不具合が発生する虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、防水性能を確保するとともに、カバー部材を取外す際に、配線のねじれの屈曲度合いを軽減することが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による照明装置は、光源部と、この光源部が支持されて収容された透光性を有するカバー部材と、このカバー部材が回動によって水密状態に嵌合される基体部とを備えている。
【0008】
また、基体部に設けられ、光源部側から導出される配線が挿通し、一方側の直径の寸法に対する配線の直径の合計寸法の比が0.89〜0.99であって、一方側の直径の寸法より他方側の直径の寸法が大きく形成された配線挿通孔を有する配線部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、所定の防水性能を確保することができるとともに、カバー部材を取外す際に、配線のねじれの屈曲度合いを軽減することが可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【図2】同照明装置を示す側面図である。
【図3】同照明装置を示す側断面図である。
【図4】同照明装置を分解して示す斜視図である。
【図5】同照明装置を後部から見て示す斜視図である。
【図6】同照明装置において、カバー部材を取外して示す斜視図である。
【図7】同照明装置における配線部を拡大して示す断面図である。
【図8】同照明装置における配線部を内側から見て示す説明図である。
【図9】同照明装置における配線部を外側から見て示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図1乃至図9を参照して説明する。本実施形態は、照明装置として防犯灯を示している。防犯灯は、道路に立設された電柱や公園等のポール、工場の外壁等に設置されて使用されるもので、主として歩行者の安全を確保するものである。
【0012】
図1は、防犯灯を示す斜視図であり、図2は、側面図であり、図3は、側断面図であり、図4は、分解して示す斜視図である。また、図5は、防犯灯を後部から見て示す斜視図であり、図6は、カバー部材を取外して示す斜視図であり、図7は、配線部を拡大して示す断面図である。さらに、図8は、配線部において内側から見て示す説明図であり、図9は、配線部において外側から見て示す説明図である。なお、各図において同一部分には、同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0013】
図1乃至図4に示すように、防犯灯は、透光性を有するカバー部材1と、光源部2と、光源部2が取付けられる取付部材3と、光源部2を点灯制御する点灯装置4と、基体部5と、基体部5に取付けられたアーム6とを備えている。
【0014】
カバー部材1は、先端部11が閉塞されており、基端部12側に開口部13が形成されていて、筒状に形成されている。カバー部材1は、アクリルやポリカーボネート等の透光性樹脂で一体に成形され、全体として透光性を有している。また、カバー部材1を成形する透光性樹脂には白色顔料や光拡散材が添加されており、全体として乳白状の外観を呈している。なお、カバー部材1は、全体が透明であってもよく、一部が透光性を有する形態であってもよい。
【0015】
カバー部材1は、先端部11側の筒本体1aと基端部12側のフランジ部1bとによって構成されている。基端部12のフランジ部1bは、その外周部が円筒形であり、また、内側の開口部13の輪郭が円形状となっている。筒本体1aは、フランジ部1bから先端部11側に向かってフランジ部1bの外径よりもやや小さい円筒形状をなして一体的に形成されている。
【0016】
カバー部材1の筒本体1aには、投光部14及び笠部15が形成されている。筒本体1aは、前面側(光の照射方向側、図示上における下方側)が路面への照射光を透過する投光部14、背面側(図示上における上方側)が笠部15としてそれぞれ機能する。笠部15におけるフランジ部1b側の背面側には、略コの字状の壁部15aが突出形成されており、この壁部15aは、その先端が揃って平坦となるような高さに形成されている。カバー部材1の内部には、開口部13と連通する収容空間16が形成されており、この収容空間16は開口部13以外とは連通することがない実質的な閉空間となっている。
【0017】
フランジ部1bの内側面17には、雌ねじ部17aが内側円周方向に形成されており、この雌ねじ部17aよりも先端部11側には平坦面17bが内側円周方向に連続して形成されている。筒本体1aは、先端部11に向かうに従って外径が小さくなるやや湾曲した傾斜面Sをなす先細り形状の筒体となっている。特に、筒本体1aの上下方向の外径寸法は幅方向の外径寸法よりも先端部11に向かって減少する割合が大きく、先端部11付近での筒本体1aの断面形状は幅方向を長径とする偏平な略楕円形状となっている。
【0018】
カバー部材1の筒本体1aの幅方向の周囲には、投光部14及び笠部15の外周面よりもやや外側に突出した段部18が連続して帯状に形成されている。この段部18が外側に張り出していることにより、段部18が投光部14の庇として機能しており、降雨時の水滴が投光部14に流下しにくくなり、投光部14の表面に汚れが付着しにくくなる。
【0019】
この段部18の内側には、収容空間16に開口する溝部19が形成されている。すなわち、この溝部19は、少なくともカバー部材1の長手方向に沿って幅方向にそれぞれ設けられており、開口部13からみて一対の溝部19が形成されるようになっている。
【0020】
カバー部材1の肉厚寸法は、筒本体1a及びフランジ部1bを含めて全体的に約2.5mmであり、機械的強度、拡散透過率、放熱作用や耐候性等の所定の特性が確保されている。
【0021】
光源部2は、基板21と、この基板21に実装された複数の発光素子22とを備えている。基板21は、略長方形状に形成された紙フェノール製のプリント基板であり、この基板21の表面側には図示しない配線パターンと発光素子22の端子接続用のランドとが銅箔により形成されている。なお、基板21の材料は、絶縁材とする場合には、セラミックス材料、ガラスエポキシ材料や他の合成樹脂材料を適用できる。さらに、金属製とする場合は、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたべース板の一面に絶縁層が積層された金属製のべース基板を適用できる。
【0022】
基板21の表面側には、白色発光する発光素子22が所定間隔をおいて直線状に7個実装されている。発光素子22は、LEDであり、表面実装型のLEDパッケージである。概略的にはセラミックスや耐熱性の合成樹脂で形成された本体に配設されたLEDチップと、このLEDチップを封止するエポキシ系樹脂やシリコーン樹脂等のモールド用の透光性樹脂とから構成されている。この透光性樹脂には、白色発光するために蛍光体が混入されている。
【0023】
また、基板21の前面側には、各発光素子22と対向するようにレンズ部が形成されたアクリル樹脂等の透明材料から形成されたレンズ部材23が配置されるようになっている。
【0024】
光源部2は、取付部材3に取付けられている。取付部材3は、アルミニウム等の熱伝導性が良好な金属材料から作られており、先端側が円弧状に形成されて平板状をなしている。
【0025】
光源部2は、この取付部材3の前面側に配設されており、基板21の背面側(裏面側)が取付部材3の前面側に密着するように固定手段によって取付けられている。具体的には、図4に代表して示すように、基板21に形成されたねじ貫通孔及び取付部材3に形成されたねじ貫通孔を貫通し、さらに、後述する点灯装置4のケース44における取付舌片44bに形成されたねじ貫通孔を貫通してナットによって締め付けられる取付ボルトBによって、基板21及びケース44は、取付部材3に同時に共締めされて取付けられるようになっている。
【0026】
取付部材3の背面側には、光源部2とリード線等によって電気的に接続された点灯装置4が配設されている。図3及び図4に代表して示すように、点灯装置4は、回路基板41と、この回路基板41の前面側(表面側)に実装された回路部品42と、回路基板41の背面側(裏面側)に実装された光センサ43とを備えている。
【0027】
回路基板41は、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料からなり、略長方形の板状に形成されて、表面側には、制御用IC、コンデンサ、巻線部品、抵抗素子等の主として高さ寸法の大きい回路部品42が実装されている。また、回路基板41の裏面側には、スイッチング素子や表面実装部品等の比較的高さ寸法の小さい回路部品42aが実装されているとともに、先端側には、光センサ43が実装されている。
【0028】
光センサ43は、周囲の明るさを感知して動作するフォトダイオード等の光電変換素子から構成されており、この光センサ43の検知出力によって光源部2の点滅動作が制御される。
【0029】
このような点灯装置4は、回路基板41に実装された回路部品42が取付部材3の背面側と対向するように、熱伝導性を有するアルミニウム等の金属製のケース44に取付けられて収容されている。ケース44は、略直方体形状の箱状に形成されていて、背面壁には、光センサ43と対向して、略円形状の受光穴44aが形成されている。また、前面側の対向する短辺側には、取付舌片44bが延出して形成されている。
【0030】
したがって、前述したように、点灯装置4は、ケース44の取付舌片44bが取付部材3の背面側において、基板21の前面側から挿通される取付ボルトBによって、基板21とともに共締めされて取付けられ配設される。
【0031】
前面側に光源部2、背面側に点灯装置4が取付けられた取付部材3は、その周縁部がカバー部材1の収容空間16に開口する一対の溝部19に挿入されることでカバー部材1に支持される。また、取付部材3の先端側も先端部11に連続する溝部19に係合している。このように、カバー部材1の収容空間16は、取付部材3によって投光部14側と笠部15側とに実質分断されている。
【0032】
点灯装置4の配設状態においては、光センサ43は、回路基板41の背面側に実装されているので、カバー部材1に近づき、カバー部材1との離間距離が短くなるように配置される。加えて、光センサ43は、カバー部材1の筒本体1aにおける傾斜面Sに対向するようになるので、さらにカバー部材1との離間距離が短くなる。したがって、光センサ43へ外光が届きやすく受光環境が良好となり、適切な検出によって光源部2の制御が可能となる。
【0033】
以上のような点灯装置4は、配線としてのリード線53を介して商用交流電源に接続される。したがって、点灯装置4は、この交流電源を受けて直流出力を生成し、その直流出力を発光素子22に供給し、発光素子22を点灯制御するようになっている。
【0034】
基体部5は、カバー部材1の開口部13を閉塞する閉塞部51を有している。基体部5は、ASA樹脂等の耐候性、難燃性に優れた樹脂により閉塞部51とともに一体的に成形されており、その基端側が外方に開放した有底筒状に形成されている。
【0035】
閉塞部51は、円筒形状をなしており、フランジ部1bの内面側の雌ねじ部17aに螺合する位置には、雄ねじ部51cが形成されている。また、フランジ部1bの内面側の平坦面17bに対向する部分には環状の凹溝51bが円周方向に連続して形成されており、この凹溝51bには平坦面17bに当接するOリング52が嵌入されている。
【0036】
すなわち、フランジ部1bの内面側の雌ねじ部17aに閉塞部51の雄ねじ部51cを螺合させて両者を嵌合させることにより基体部5の閉塞部51が開口部13から収容空間16側へ侵入し、Oリング52がフランジ部1bの内側面17の平坦面17bに当接する。Oリング52は平坦面17bと閉塞部51の凹溝51bと間で押圧されて弾性変形して開口部13の内側が水密構造となって防水性が確保される。
【0037】
図3、図5乃至図9に代表して示すように、閉塞部51の先端側には開口部13を閉塞する閉塞板51aが設けられており、この閉塞板51aと取付部材3の基端側とが当接して取付部材3が固定されている。
【0038】
閉塞板51aの略中央部分には、光源部2側から導出される配線としてのリード線53、すなわち、点灯装置4への給電を行うリード線53が挿通する配線部54が設けられている。この配線部54には、内部に配線挿通孔54bが形成された円筒部54aが形成されており、この配線挿通孔54bにリード線53を挿通することで配線部54の防水性が確保されている。
【0039】
より詳しくは、図7乃至図9に示すように、配線挿通孔54bは、略円筒状に形成されていて、内側の直径の寸法D1(mm)と外側の直径の寸法D2(mm)とは、異なっており、内側の直径の寸法D1(mm)より外側の直径の寸法D2(mm)がやや大きく、D1<D2の寸法関係となっている。すなわち、配線挿通孔54bの外側から中央部付近までは、直径の寸法がD2(mm)に形成され、この中央部から内側に向かってテーパ状に直径が小さくなって内側の直径の寸法がD1(mm)に形成されている。
【0040】
なお、配線挿通孔54bは、外側から内側に向かって連続的にテーパ状に形成されて、内側の直径の寸法がD1(mm)に形成され、外側の直径の寸法がD2(mm)に形成されていてもよい。
【0041】
また、配線挿通孔54bには、直径をd1(mm)とする2本のリード線53が挿通されている。したがって、直径d1(mm)×2本となり、直径の合計寸法をd(mm)とするリード線53が挿通されている。また、配線挿通孔54bは、所定の長さ寸法L(mm)を有している。
【0042】
このような配線部54において、防水性能の確保及び後述するリード線53のねじれの緩和の観点から種々の実験、試験を実施した結果、配線挿通孔54bとリード線53との寸法関係を以下のように設定することが好適であるとの見解を得た。
(1)配線挿通孔54bにおける内側の直径の寸法D1(mm)に対するリード線53の直径の合計寸法d(mm)の比が0.89〜0.99であること。
(2)配線挿通孔54bにおける内側の直径の寸法D1(mm)に対する外側の直径の寸法D2(mm)の比が1.1〜1.4であること。
(3)配線挿通孔54bの長さ寸法L(mm)は、内側の直径の寸法D1(mm)の4〜6倍であること。
【0043】
本実施形態においては、配線挿通孔54bにおける内側の直径の寸法D1(mm)は、φ6mmであり、外側の直径の寸法D2(mm)は、φ7.3mmに形成されている。また、1本のリード線53の直径d1(mm)は、φ2.7mm程度のものが用いられている。さらに、配線挿通孔54bの長さ寸法L(mm)は、30mmに形成されている。
【0044】
したがって、内側の直径の寸法D1(mm)に対するリード線53の直径の合計寸法d(mm)の比は、5.4mm/φ6mm=0.9であり、配線挿通孔54bとリード線53との間には、0.6mmのクリアランスが生じている。
また、内側の直径の寸法D1(mm)に対する外側の直径の寸法D2(mm)の比は、φ7.3mm/φ6mm≒1.22となっている。
【0045】
さらに、配線挿通孔54bの長さ寸法L(mm)は30mmであり、内側の直径の寸法D1(mm)はφ6mmであるから、長さ寸法L(mm)は、内側の直径の寸法D1(mm)の5倍(30mm/φ6mm)に形成されている。
【0046】
このように配線挿通孔54bとリード線53との寸法関係を設定することにより、所定の防水性能を確保することが可能で、配線挿通孔54bからカバー部材1内に雨水等の水気が侵入するのを防止することができる。例えば、水気が配線挿通孔54bの外側に到達した場合、この水気は、外側の直径の寸法D2(mm)における孔縁部分に滴状にたまり、自重によって落下するようになる。加えて、内側の直径の寸法D1(mm)は、小さくなっているので、水気の侵入を効果的に阻止することができる。
【0047】
なお、例えば、2本のリード線が外被によって1本に束ねられている配線を用いる場合には、リード線の直径の合計寸法d(mm)は、外被の直径の寸法d(mm)となる。
【0048】
次に、例えば、カバー部材1の交換等のメンテナンスにおいては、図6に示すように、カバー部材1を矢印方向に回動して基体部5から取外す。このカバー部材1の回動の際、光源部2及び点灯装置4は、カバー部材1側に支持されていて、リード線53が接続されている。
【0049】
したがって、仮に、従来のように、リード線53が防水ブッシングによって緊密的に保持されている場合には、カバー部材1を回動すると、リード線53が点灯装置4の接続部分から防水ブッシングまでの間で、回動に伴いねじれが生じるようになる。このねじれは、点灯装置4の接続部分から防水ブッシングまでの比較的短い長さ部分で生じるため、リード線53のねじれの屈曲度合いが大きく、リード線53の断線等の損傷や応力がかかって接続部が外れてしまう可能性があり、カバー部材1の交換等が困難となる問題が発生する。
【0050】
しかしながら、本実施形態では、配線挿通孔54bと、この配線挿通孔54bを挿通するリード線53との寸法関係において、リード線53にねじれが生じる度合いを軽減するように構成されている。つまり、配線挿通孔54bにおける内側の直径の寸法D1(mm)に対してリード線53の直径の合計寸法d(mm)が僅かながら小さくなっており、クリアランスが形成されている。また、内側の直径の寸法D1(mm)より外側の直径の寸法D2(mm)が大きく形成されている。
【0051】
したがって、このカバー部材1の回動に伴いリード線53は、配線挿通孔54b内において回動可能となり、すなわち、リード線53は、点灯装置4の接続部分から電源側の接続部分までの比較的長い長さ部分でねじれるようになるため、ねじれの屈曲度合いを軽減することが可能となる。
よって、所定の防水性能を確保しつつ、リード線53のねじれの屈曲度合いを軽減することが可能となる。
【0052】
なお、上記においては、配線挿通孔54bにおける内側の直径の寸法D1(mm)より外側の直径の寸法D2(mm)がやや大きく、D1<D2の寸法関係となっている場合について説明したが、内側の直径の寸法D1(mm)と外側の直径の寸法D2(mm)との関係を反対にして、外側の直径の寸法D2(mm)を小さく、内側の直径の寸法D1(mm)を大きくして、D2<D1の寸法関係となるように構成してもよい。
したがって、配線挿通孔54bにおける一方側の直径の寸法と他方側の直径の寸法との関係が上記のような寸法関係に設定されればよい。
【0053】
再び、図1乃至図4に示すように、基体部5の基端側には、フランジ部1bと略同径の円筒段部55が閉塞部51と一体的に形成されている。円筒段部55の上方部分には、外側に向かって開口したスリット部56が設けられており、このスリット部56内には2つのねじ孔が形成された金属製の取付板57が嵌挿されている。円筒段部55の取付板57のねじ孔に対応する位置にはねじ挿通孔が形成されている。
【0054】
本実施形態の防犯灯には、アーム6によって路面に設置された電柱等のポールに取付けられる。アーム6は、断面コの字状の金属片の中間部を略L字状に湾曲した湾曲部61を有しており、基端部に電柱に巻付けられる取付バンドの通し孔62及び取り付けねじ係止用のだるま穴63が形成されている。
【0055】
アーム6の湾曲部61よりも先端側には、ねじ取付け部64が形成されており、このねじ取付け部64に挿入された2本のねじを基体部5のスリット部56内に嵌挿された取付板57のねじ孔に螺合することで基体部5がアーム6に取付けられ、防犯灯がアーム6に支持される。このとき、カバー部材1の長軸方向は、アーム6の湾曲部61によって先端部11側が上方を向くように水平面に対して約20°〜30°傾いて設置される。
【0056】
したがって、カバー部材1の開口部13は設置状態において常に下方に向いており、降雨による水滴が開口部13内に浸入しにくく、防水性能が向上する。さらに、比較的表面積が大きいカバー部材1の先端部11側を上方に向けることで笠部15内の対流と熱交換の効率が向上するため、放熱特性を向上させることもできる。
このように構成された防犯灯は、屋外が暗くなると光センサ43の検知出力によって光源部2に電源側から点灯装置4を介して電力が供給され、発光素子22が点灯される。また、屋外が明るくなると光センサ43の検知出力によって電力が遮断され発光素子22が消灯される。
【0057】
この場合、光センサ43は、回路基板41の背面側に実装されおり、さらに、カバー部材1の傾斜面Sに対向するように配置されているので、外光が受光穴44aを介して光センサ43に届きやすく、光センサ43の適切な明るさの検出によって光源部2の制御が適切に実行されるようになる。
【0058】
防犯灯の点灯状態においては、発光素子22から出射される光は、レンズ部材23を通過し、透光性のカバー部材1を透過して外方へ所期の配光状態で放射される。
【0059】
一方、発光素子22の点灯中は、発光素子22から熱が発生する。この熱は、基板21から取付部材3へ伝導され放熱される。さらに、取付部材3から点灯装置4が収容されたケース44へも伝導され放熱が促進される。また、同時に、点灯装置4から発生する熱は、主としてケース44へ伝導されて放熱されるようになる。
【0060】
以上のように本実施形態によれば、所定の防水性能を確保することができるとともに、カバー部材1を取外す際に、リード線53のねじれの屈曲度合いを軽減することが可能な照明装置を提供することができる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、光源部の光源としては、LED、有機EL等の基板に実装可能な固体発光素子や放電ランプ等が適用でき、格別限定されるものではない。
【0062】
また、光源部を点灯制御する点灯装置がカバー部材内に収容されないものであってもよい。つまり、点灯装置がいわゆる別置きタイプの照明装置にも適用可能である。
さらに、照明装置としては、防犯灯に限らず、街路灯、庭園灯及び投光器等の各種照明装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1・・・カバー部材、2・・・光源部、
3・・・取付部材、4・・・点灯装置、
5・・・基体部、6・・・アーム、
21・・・基板、22・・・発光素子(LED)、
53・・・配線(リード線)、54・・・配線部、
54b・・・配線挿通孔、
D1・・・内側の直径の寸法、D2・・・外側の直径の寸法、
d・・・配線の直径の合計寸法、L・・・配線挿通孔の長さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と;
この光源部が支持されて収容された透光性を有するカバー部材と;
このカバー部材が回動によって水密状態に嵌合される基体部と;
この基体部に設けられ、光源部側から導出される配線が挿通し、一方側の直径の寸法に対する配線の直径の合計寸法の比が0.89〜0.99であって、一方側の直径の寸法より他方側の直径の寸法が大きく形成された配線挿通孔を有する配線部と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記配線挿通孔は、一方側の直径の寸法に対する他方側の直径の寸法の比が1.1〜1.4であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記配線挿通孔の長さ寸法は、一方側の直径の寸法の4〜6倍に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−221598(P2012−221598A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83152(P2011−83152)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】