説明

照明装置

【課題】光束の低減を防止して、均一な配光を実現することのできる照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の照明装置は、導光体40の側面40bにおける、照明装置本体の設置面側に近い部分に、凹凸部41が形成されている。凹凸部41が形成された領域に、光源モジュール20からの出射光が入射すると、凹凸部41で屈折(散乱)する。これにより、凹凸部41で屈折した光が、光源モジュール20の近傍の暗部に向かって出射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束の低減を防止して、均一な配光を実現することのできる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)は、長寿命、低消費電力といった利点を有するため、照明装置の光源として採用されつつある。LEDを光源とする各種照明装置は、地球に優しい次世代の省エネルギー照明として注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、光源としてLEDを備えた照明器具(シーリングライト)が開示されている。特許文献1の照明器具は、輝度ムラを低減して器具効率を向上させている。具体的には、特許文献1の照明器具は、光源モジュールを覆った乳白色の照明カバー(グローブ)を備えている。そして、器具本体の外縁部に生じる輝度ムラを低減するために、照明カバーの厚さを不均一としている。すなわち、輝度ムラ対策が必要な照明カバーの外縁部を厚くし、透過率を高くする必要のある照明カバーの中央部を薄くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−300203号公報(2008年12月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1の照明器具は、照明カバーの厚さを変えることによって、照明器具全体として均一な配光を実現している。つまり、特許文献1の照明器具において、照明カバーは必要不可欠である。従って、特許文献1の照明器具は、照明カバーがなければ、均一な配光を実現することができない。
【0006】
このように、上記特許文献1の照明器具では、均一な配光を得る為の照明カバーにより光源モジュールからの光が吸収されるため、照明光として利用可能な光束が低減するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、光束の低減を防止して、均一な配光を実現することのできる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明装置は、上記の課題を解決するために、少なくとも1つの光源と、上記光源が配置され、上記光源からの出射光を反射させる反射部を備える照明装置本体と、上記光源からの出射光の一部を、上記反射部の上記光源近傍に出射させる配光制御手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
上記の発明によれば、配光制御手段が、光源からの出射光の一部を、光源近傍に出射させる。これにより、照明装置本体の反射部における光源近傍に生じる暗部に、光源からの出射光の一部が照射される。その結果、光源からの光よって、その暗部が明るくなる。従って、均一な配光を実現することができる。それゆえ、従来のシーリングライトにおいて、均一な配光を実現するために必須となるグローブを用いる必要がない。従って、グローブにより光束が吸収されることで照明光として利用可能な光束が低減するのを防止することもできる。
【0010】
本発明の照明装置において、上記光源を収容し、内部に入射した該光源からの出射光を導光させながら、出射面から光を出射する導光体を備えることが好ましい。
【0011】
上記の発明によれば、光源が導光体に収容され、光源が導光体に覆われる。これにより、ユーザが、光源に触れるのを防ぐことができる。つまり、光源を保護することができる。また、上記の発明によれば、光源からの出射光を、導光体の内部に導光させ、導光体の出射面を光らせることができる。
【0012】
本発明の照明装置において、上記配光制御手段は、上記導光体における光源との対向面上に設けられていてもよい。
【0013】
上記の発明によれば、配光制御手段が導光体と一体に設けられている。従って、照明装置の部品点数を削減することができる。
【0014】
本発明の照明装置において、上記導光体の出射面またはその反対の面に、導光体内部を伝播する光を散乱させて出射させる光散乱パターンが設けられており、
上記光散乱パターンは、上記光源から離れるに従い、パターン密度が高くなっていることが好ましい。
【0015】
上記の発明によれば、光源から離れるに従い、光散乱パターンのパターン密度が高くなっている。これにより、光量の多い光源に近い側でパターン密度を「疎」とすることで、光源に近い部分で出射される光量を抑えることができる。また、光源から離れるに従い、パターン密度を上げていくことで、導光体の出射面から均一に光を出射することができる。
【0016】
本発明の照明装置において、上記導光体の出射面と反対の面側に、該反対の面からの漏れ光を反射して導光体に再入射させる反射部材が設けられていることが好ましい。
【0017】
上記の発明によれば、導光体の出射面と反対の面側に、反射部材が設けられている。これにより、導光体の内部を導光する途中で、導光体の出射面と反対の面から光が漏れても、その漏れ光を反射部材で反射させて、導光体に再度入射させることが可能となる。
【0018】
本発明の照明装置において、上記光源と対向して配置された光学素子を備えており、上記配光制御手段は、上記光学素子に設けられていてもよい。
【0019】
上記の発明によれば、配光制御手段が、光源の光路上に対向して設けられた光学素子と一体に設けられている。従って、照明装置の部品点数を削減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光束の低減を防止して、均一な配光を実現することのできる照明装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の一形態に係る照明装置を示す断面図およびその部分拡大図であり、照明装置の設置面に対して垂直方向の断面を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る照明装置を光出射面側からみた平面図である。
【図3】上記照明装置における光源モジュールの出射面側の平面図である。
【図4】上記照明装置における導光体を示す図であり、(a)は出射面側からみた導光体の平面図であり、(b)は(a)の導光体における照明装置1の設置面に対して垂直方向の断面図であり、(c)は導光体の側面図である。
【図5】上記照明装置における出射面側からみた導光体の平面図である。
【図6】上記照明装置に形成される暗部を示す平面図である。
【図7】上記照明装置において光学レンズにより光源モジュールの光出射方向を変化させる例を示す断面図である。
【図8】上記照明装置において湾曲させたLED基板により光源モジュールの光出射方向を変化させる例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。図2は、本発明に係る照明装置1を光出射面側からみた平面図である。本実施形態の照明装置1は、天井に取り付けられるシーリングライトである。図2のように、照明装置1は、照明装置本体10と、複数(図2では4つ)の光源モジュール(光源)20と、光学レンズ(光学部材)30と、導光体40とから構成されている。なお、図2では、説明のため、後述する反射シート50を省略している。以下の説明では、便宜上、室内(床)側を「下方(下側)」、天井(取付面)側を「上方(上側)」として説明する。
【0023】
照明装置本体10は、天井等の取付面に設置されるシャーシ11と、シャーシの11の外縁部に設けられた枠体12と、シャーシ11から室内(床)側に突出した突出部材13とから構成されている。
【0024】
照明装置1では、シャーシ11の外形は、四角形の各々の辺および各々の角が丸みを帯びた形状となっている。シャーシ11の外形は特に限定されるものではなく、円形や多角形等、見た目や好みに応じて、種々の形状・大きさが許容される。シャーシ11の中央部には、開口14が形成されている。この開口14内には、天井に取り付けられたローゼット(図示せず)が挿入される。シャーシ11は、光源モジュール20からの出射光を反射させる反射部としても機能する。
【0025】
枠体12は、シャーシ11の外縁部の全域に形成されている。枠体12は、光源モジュール20からの出射光を、床側および天井側の少なくとも一方に反射する。つまり、枠体12によって反射された光は、直接照明として利用することもできるし、間接照明として利用することもできる。枠体12は、入射した光を反射または散乱する機能を有していれば、特に限定されるものではない。例えば、枠体12は、凹凸面(ブラスト処理された粗面)であってもよいし、金属膜等の反射シートであってもよい。
【0026】
突出部材13は、シャーシ11の中央部に固定されている。突出部材13は中空になっており、内部に電源回路部等の電子部品(図示せず)が収容される。また、突出部材13の外側面には、光源モジュール20が設置されている。照明装置1では、突出部材13は、シャーシ11の下面(床と対向する面)の中央部から突出している。突出部材13は、照明装置1の設置面に対して垂直方向の断面形状が、長方形となっている。しかし、突出部材13の形状はこれに限定されるものではなく、照明装置1の設置面に対して垂直方向の断面形状が、半円形、半楕円形、三角形等の四角形以外の多角形であっても構わない。また、シャーシ11の形状と突出部材13の形状とは同一であっても異なっていてもよい。つまり、突出部材13は、照明装置1の設置面に対して垂直方向の断面形状が四角形の凸部形状のみを意図するものではなく、内部に電子部品等を格納し、外部に光源モジュール20を設置できる機能を有する限り、種々の形状・大きさが許容される。なお、突出部材13は、放熱性の高い材料から形成されていることが好ましい。例えば、突出部材13は、アルミニウム、鉄、樹脂等から構成することができる。これにより、突出部材13の外側面に設置される光源モジュール20から発生する熱を、効率よく放熱することが可能となる。また、突出部材13の表面は、白色の塗装がされていてもよい。これにより、突出部材13の表面に到達した光を反射させることができる。
【0027】
光源モジュール20は、突出部材13の外側面に沿って設置されている。照明装置1では、突出部材13は、照明装置1の設置面に対して平行な方向の断面形状が四角形である。このため、照明装置1では、4つの光源モジュール20が、四角形の各辺上に配置されている。つまり、突出部材13の断面形状(照明装置1の設置面に対して平行な方向の断面形状)に応じて、複数の光源モジュール20が多角形の各辺に配置されることとなる。
【0028】
図3は、光源モジュール20の出射面側の平面図である。図3のように、光源モジュール20は、LED基板21と、LED基板21に搭載された複数のLED22a・22bから構成されている。LED22a・22bは、LED基板21の搭載面に対して垂直方向に光を出射する。図3では、白色のLED22aと、電球色のLED22bとが、LED基板21上に搭載されている。これにより、照明装置1は、白色、電球色、およびそれらの混色の照明が可能となる。なお、図3では、白色のLED22aおよび電球色のLED22bが、それぞれ同数、等ピッチで設けられている。しかし、LED基板21に搭載されるLEDはこれに限定されるものではない。すなわち、LED基板21には、単一色のLEDが搭載されていてもよいし、異なる色のLEDが異なるピッチで搭載されていてもよい。また、LEDの個数も任意に設定することができる。なお、以下では、LEDの色を区別しない場合には、単にLED22として説明する。
【0029】
光学レンズ30は、光源モジュール20の光路上に、光源モジュール20と対向して設けられている。照明装置1では、光学レンズ30は、光源モジュール20ごとに設けられている。つまり、照明装置1では、4つの光源モジュール20に対して、4つの光学レンズ30が(光源モジュール20と光学レンズ30とが1:1で)設けられている。つまり光学レンズ30は、光源モジュール20の長手方向(LED22a,22bの配列方向)に沿って形成された長尺のレンズである。しかし、光学レンズ30は、これに限定されるものではなく、光源モジュール20の各LED22に対して、光学レンズ30が設けられていてもよい。光学レンズ30は、光源モジュール20の光出射方向に設けられており、光源モジュール20の出射光の出射方向または出射角度等を変化させる。なお、光学レンズ30の形状や種類は特に限定されるものではない。例えば、凸レンズやフレネルレンズ等の各種光学素子を適用することができる。光学レンズ30の詳細は後述する。
【0030】
導光体40は、照明装置本体10、光源モジュール20、および光学レンズ30を収容する。つまり、照明装置本体10、光源モジュール20、光学レンズ30は、導光体40に覆われる。これにより、ユーザが、光源モジュール20および光学レンズ30に触れるのを防ぐことができる。つまり、光源モジュール20および光学レンズ30を保護することができる。
【0031】
導光体40は、光学レンズ30を介して出射された光源モジュール20の出射光を透過させる機能と、内部に入射した光源モジュール20からの出射光を導光させながら、室内(床)と対向する出射面40aから光を出射する機能とを有している。導光体40は、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)等のアクリル樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂などの、透明樹脂から形成されている。導光体40は、従来のシーリングライトにおいて光を拡散させるために必須となる乳白色のグローブとは機能も色も全く異なる。言い換えれば、照明装置1は、このグローブを備えていない点で従来のシーリングライトとは異なる特徴的な構成である。
【0032】
図4は、導光体40を示す図であり、(a)は出射面40a側からみた導光体40の平面図であり、(b)は(a)の導光体40における照明装置1の設置面に対して垂直方向の断面図であり、(c)は導光体40の側面図である。図4の各図に示すように、導光体40は、出射面40aの厚さが、側面40bよりも厚くなっている。さらに、特徴的であるのは、導光体40の側面40b(外側面)のうち、天井側(設置面側)に近い部分に、凹凸部41(ブラスト処理された粗面)が形成されている。
【0033】
一方、図5は、出射面40a側からみた導光体40の平面図である。図5に示すように、導光体40の出射面40aには、導光体40の内部に導光した光源モジュール20の出射光を出射面40aから均一に出射させるため、シボパターンが形成されている。シボパターンは、導光体40内部の光を散乱して出射させる光散乱パターンであり、導光体40の出射面40aから出射される光の量を制御する。具体的には、導光体40の内部を、全反射を繰り返しながら伝播する光は、導光体40の出射面40aに設けられたシボパターンに当たることで進む角度が変わる。これにより、全反射条件が破られ、導光体40の出射面40aから光が出射される。
【0034】
図5では、導光体40の出射面40aに、シボパターンとして、直径0.5mmの球面(凹型)が所定間隔(所定密度)で形成されている。シボパターンのパターン密度は、光源モジュール20から離れるに従い(つまり出射面40aの中央部に向かうに従い)、高くなっている。言い換えれば、パターン密度は、光源モジュール20に近い側で「疎」、光源モジュール20により遠い側で「密」となるように、疎から密へと段階(グラデーション)をつけて設定される。図5の例では、パターン密度は、出射面40aの外縁部のA1領域で最も「粗(シボ間隔が最大)」となり、出射面40aの中央部のA4領域に近づくにつれ、A2領域、A3領域の順に「密(シボ間隔「小」)」になり、中央部のA4領域で最も「密(シボ間隔が最小)」となる。このように、光量の多い光源モジュール20に近い側でパターン密度を「疎」とすることで、光源モジュール20に近い部分で出射される光量を抑えることができる。そして、光源モジュール20より離れるに従い、パターン密度を上げていくことで、出射面40aから均一に光を出射することができる。
【0035】
シボパターン(光散乱パターン)の形成方法としては、表面に凹凸が形成された金型等を熱して導光体40の表面に押し付けることで導光体40の出射面40aを凹凸にして形成する手法や、白色等の塗料を用いて導光体40の表面にドットを複数印刷して形成する手法など、種々の方法がある。
【0036】
パターン密度の調整は、表面に凹凸を形成する場合であれば、金型における凸部のサイズ、凸部と凸部の間の距離、或いはその両方を変えることで行う。また、ドットを印刷する場合であれば、ドット径、ドットのピッチ、或いはその両方を変えることで行う。ドットの場合、ドット径が大きく、かつドットのピッチも詰まっているほど光散乱パターンは「密」であり、ドット径が小さく、かつドットのピッチも広いほど、光散乱パターンは「疎」である。なお、光散乱パターンは、導光体40の出射面40aおよびその反対の面(天井側の面)のどちらにも設けることができ、両方に設けてもよい。
【0037】
ここで、図1に基づいて、照明装置1における光源モジュール20の出射光の経路について説明する。図1は、照明装置1の断面図およびその部分拡大図であり、照明装置1の設置面に対して垂直方向の断面を示す図である。図1のように、光源モジュール20の出射光は、光学レンズ30によって出射方向(出射角度)が変化する。すなわち、光源モジュール20からの出射光は、主として光路R1、光路R2、および光路R3を経て進行する。
【0038】
具体的には、光路R1として示すように、光源モジュール20の出射光の一部は、光学レンズ30(光源モジュール20)と対向する導光体40の側面40bに入射する。導光体40の側面40bの凹凸部41が形成されていない平坦な領域に、光源モジュール20からの出射光が入射すると、ほとんど屈折せずに(ほぼまっすぐに)透過する。
【0039】
また、光路R2として示すように、導光体40の側面40bの凹凸部41が形成された領域に、光源モジュール20からの出射光が入射すると、凹凸部41で屈折(散乱)する。光路R1および光路R2を経由して導光体40の側面40bを透過した光は、シャーシ11および枠体12で反射され直接照明として室内が照明される。
【0040】
一方、導光体40の側面40bの室内側に近い部分には、天井側よりも厚くなった段差が形成されている。光路R3として示すように、光源モジュール20からの出射光がこの段差に形成された傾斜面40cに到達すると、傾斜面40cで出射面40a側へ反射される。さらに、傾斜面40cで反射された光は、出射面40aのエッジ部40dで反射され、出射面40aの面内方向に導光される。このように、導光体40に入射した光は、全反射を繰り返しながら導光体40の内部を、導光体40の出射面40aの中央に向かって導光される。そして、導光する過程で全反射条件が破られると、出射面40aから光が出射される。なお、出射面40aを光らせる機能は、照明装置1において必須ではない。照明装置1では、導光体40の出射面40aと反対の面と、その面に平行な突出部材13の面との間に、反射シート(反射部材)50が設けられている。これにより、導光体40の内部を導光する途中で、出射面40aの反対の面から光が漏れても、その漏れ光を反射シート50で反射させて、導光体40に再度入射させることが可能となる。また、LED基板21および光学レンズ30は、突出部材13の側面に設置された支持部材23に固定されている。なお、光源モジュール20が、異なる色のLED(白色のLED22a、電球色のLED22b)を備える場合、光学レンズ30と導光体40の側面40bとは、離間して設けることが好ましい。これにより、光学レンズ30と導光体40の側面40bとの間で、十分に混色した光を出射することが可能となる。
【0041】
このように、照明装置1は、光源モジュール20の出射光が、光学レンズ30および導光体40を介して出射される。これにより、出射光が、照明装置本体10(シャーシ11,枠体12)で反射され、直接照明として室内が照明される。また、枠体12で天井側(設置面側)に反射された光は、間接照明として天井を照明する。なお、枠体12が、光源モジュール20からの出射光を散乱させる光散乱機能を有していれば、光源モジュール20の出射光を屈折させ、直接照明および/または間接照明として利用することができる。
【0042】
照明装置1は、従来のシーリングライトにおいて必須となるグローブを備えていない点で特徴的である。しかし、図6に示すように、照明装置1では、主として2つの領域に暗部が形成されることが判明した。図6は、照明装置1に形成される暗部を示す平面図である。具体的には、四角形をなすべく配置された光源モジュール20のうち、互いに隣接する2つの光源モジュール20・20間に生じる暗部D1と、各光源モジュール20の近傍に生じる暗部D2とが、照明装置1に形成される。
【0043】
暗部D1は、LED等の、指向性が強く光の出射角度が蛍光灯等に比較して狭い光源を備える光源モジュール20を四角形や六角形等の多角形をなすべくシャーシ11に配置し、シャーシ11の面に対して略平行に、かつシャーシ11の内側から外側に向けて光を出射させたときに、前記多角形の頂点、すなわち隣接する光源モジュール20・20間の外側方向にまで光が十分に出射されず、シャーシ11のD1で示した領域に暗部として生じるものである。
【0044】
また、暗部D2は、LED等の、指向性が強く光の出射角度が蛍光灯等に比較して狭い光源を備える光源モジュール20からの光を、シャーシ11の面に対して略平行に、かつシャーシ11の内側から外側に向けて出射したときに、シャーシ11の光源モジュール20近傍が光源モジュール20から離隔した部分に比較して出射される光量が少なくなるため、シャーシ11のD2で示した領域に暗部として生じるものである。
【0045】
そこで、照明装置1では、暗部D1,D2を明るくする対策が施されている。これにより、照明装置1は、グローブを用いることなくシャーシ11から均一に光を出射することが出来るので、出射光がグローブを透過することによる光束の低減を防止して、均一な配光を実現することが可能となる。以下、暗部D1,暗部D2を明るくする対策について詳細に説明する。
【0046】
(1)暗部D1を明るくする対策
暗部D1を明るくするために、照明装置1は、暗部D1を光源モジュール20からの光により補正する補正手段を備えている。この補正手段は、光源モジュール20の光出射方向を、暗部D1に向ける機能を有していれば特に限定されるものではない。例えば、この補正手段による暗部D1の補正方法として、光学レンズ30によって光源モジュール20の光出射方向を変える方法と、LED基板21を湾曲させる方法とがある。図7は、光学レンズ30により光源モジュール20の光出射方向を変化させる例を示す断面図である。図8は、湾曲させたLED基板21により光源モジュール20の光出射方向を変化させる例を示す断面図である。つまり、図7の場合、補正手段は光学レンズ30であり、図8の場合、補正手段は、湾曲させたLED基板21aとなる。
【0047】
具体的には、図7のように、光学レンズ30により光源モジュール20の光出射方向を、暗部D1に向ける場合、光源モジュール20の中央部から端部に向かうに従い、光源モジュール20の出射光の出射角度(R)を大きくするようになっている。これにより、中央部のLED22の出射角度(R)は小さいため、出射光はほぼ直進する。一方、端部のLED22ほど出射角度(R)ほど大きくなるため、出射光はより拡散する。このため、光源モジュール20の端部からの出射光により、暗部D1が補正され、明るくすることができる。従って、均一な配光を実現することができる。また、照明装置1は、従来のシーリングライトにおいて、均一な配光を実現するために必須となるグローブを用いる必要がない。従って、照明光として利用可能な光束が低減するのを防止することもできる。
【0048】
図7のような光学レンズ30は、照明装置1に設けられた少なくとも1つの光源モジュール20に対して設ければよいが、光源モジュール20ごとに設けられていることが好ましい。これにより、光源モジュール20と、暗部D1を補正するための光学レンズ30とが、1:1で設けられる。従って、より均一な配光を実現することができる。
【0049】
図7では、LED基板21が平板状であるが、LED基板21は平板状に限定されるものではない。例えば、図8のように、LED基板21aは、フレキシブル基板であってもよい。LED基板21aのように、可撓性の基板を用いると、LED基板21aを湾曲させれば、LED22の光出射方向が変化する。これにより、光源モジュール20からの光により暗部D1を補正するように、LED基板21aを湾曲させれば、端部のLED22からの出射光を、暗部D1に向けて出射させることができる。このため、光源モジュール20の端部からの出射光により、暗部D1が補正され、明るくすることができる。従って、均一な配光を実現することができる。
【0050】
図8のようなLED基板21aは、少なくとも一方の端部におけるLED22の出射光により、暗部D1を補正するように湾曲させればよいが、両端のLED22の出射光により暗部D1を補正するように湾曲させることが好ましい。また、LED基板21aは、照明装置1に設けられた少なくとも1つの光源モジュール20を備えていればよいが、全ての光源モジュール20がLED基板21aを備えていることが好ましい。これにより、照明装置1に生じる全ての暗部D1を、端部のLED22の出射光により補正することができる。従って、より均一な配光を実現することができる。
【0051】
(2)暗部D2(光源近傍)を明るくする対策
次に、暗部D2を明るくするために、照明装置1は、光源モジュール20からの出射光の一部を、シャーシ11上の光源モジュール20近傍(暗部D2)に出射させる配光制御手段を備えている。この配光制御手段は、光源モジュール20の光出射方向を、暗部D2に向ける機能を有していれば特に限定されるものではない。例えば、光源モジュール20の光路上に、この配光制御手段を設けることによって、暗部D2を明るくすることができる。より具体的には、配光制御手段は、光源モジュール20の光路上に存在するいずれの部材に一体的に設けてもよいし、独立した部材として設けてもよい。以下では、代表的な2つの例として、配光制御手段を導光体40に設ける場合と、光学レンズ30に設ける場合とについて説明する。
【0052】
図4のように、導光体40の側面40b(外側面)のうち、天井側(設置面側)に近い部分にのみ、凹凸部41(ブラスト処理された粗面)が形成されている。導光体40の側面40bの凹凸部41が形成されていない平坦な領域に、光源モジュール20からの出射光が入射すると、ほとんど屈折されず(ほぼまっすぐに)に透過する。
【0053】
これに対し、導光体40の側面40bの凹凸部41が形成された領域に、光源モジュール20からの出射光が入射すると、凹凸部41で屈折(散乱)する。これにより、凹凸部41で屈折した光が、光源モジュール20の近傍(導光体40の近傍)の暗部D2に向かって出射される。このため、凹凸部41で屈折した光により、暗部D2が、明るくなる。従って、均一な配光を実現することができる。また、照明装置1は、従来のシーリングライトにおいて、均一な配光を実現するために必須となるグローブを用いる必要がない。従って、グローブにより光束が吸収されることで照明光として利用可能な光束が低減するのを防止することもできる。
【0054】
一方、導光体40に形成された凹凸部41は、光学レンズ30に形成することもできる。具体的には、光学レンズ30から出射される光源モジュール20からの出射光の一部が暗部D2に向けて出射されるように、光学レンズ30の適当な部分に、凹凸部41を形成する。これにより、導光体40に凹凸部41を形成した場合と同様に、凹凸部41で屈折した光が、光源モジュール20の近傍(導光体40の近傍)の暗部D2に向かって出射される。このため、凹凸部41で屈折した光により、暗部D2が、明るくなる。従って、均一な配光を実現することができる。さらに、照明装置1の用途によっては導光体40が不要となる。
【0055】
このように、導光体40または光学レンズ30に配光制御手段を一体的に形成すれば、照明装置1の部品点数を削減することができる。しかし、導光体40または光学レンズ30と凹凸部41とは別体であってもよい。
【0056】
凹凸部41は、上述した導光体40の出射面40aに形成された光散乱パターンと同様にして形成することができる。すなわち、凹凸部41は、表面に凹凸が形成された金型等を熱して導光体40の表面に押し付けることで導光体40の側面40bの一部を凹凸にして形成する手法や、白色等の塗料を用いて導光体40の側面40bの一部にドットを複数印刷して形成する手法など、種々の方法がある。凹凸またはドットの大きさやピッチ等も、光散乱パターンと同様にして、光源モジュール20の出射光の一部が暗部D2に向かって出射されるように任意に設定することができる。
【0057】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、本実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 照明装置
10 照明装置本体
11 シャーシ(反射部)
12 枠体
20 光源モジュール(光源)
30 光学レンズ(配光制御手段、光学素子)
40 導光体
40a 出射面
40b 側面(光源との対向面)
41 凹凸部(配光制御手段)
50 反射シート(反射部材)
D2 暗部(光源近傍)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源と、
上記光源が配置され、上記光源からの出射光を反射させる反射部を備える照明装置本体と、
上記光源からの出射光の一部を、上記反射部の上記光源近傍に出射させる配光制御手段とを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記光源を収容し、内部に入射した該光源からの出射光を導光させながら、出射面から光を出射する導光体を備えることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記配光制御手段は、上記導光体における光源との対向面上に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
上記導光体の出射面またはその反対の面に、導光体内部を伝播する光を散乱させて出射させる光散乱パターンが設けられており、
上記光散乱パターンは、上記光源から離れるに従い、パターン密度が高くなっていることを特徴とする請求項2または3に記載の照明装置。
【請求項5】
上記導光体の出射面と反対の面側に、該反対の面からの漏れ光を反射して導光体に再入射させる反射部材が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
上記光源と対向して配置された光学素子を備えており、
上記配光制御手段は、上記光学素子に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−243680(P2012−243680A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115002(P2011−115002)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】