説明

照明装置

【課題】被写体を撮影する範囲に対応した四角形に照射し、光を有効に利用することができる、照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の照明装置は、照射面の水平方向の光を有効に集光するシリンドリカルレンズ、垂直方向の光を有効に集光するシリンドリカルレンズの2種類のレンズを用いてそれぞれが重なりあった部分をレンズとする、シリンドリカル組み合わせレンズ2を採用したことで、照射面をアスペクト比の四角形状に照射できるという効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DSC、携帯電話、ビデオカメラ等の撮影機器の撮影用補助光源として、小型でも明るく、必要な範囲のみを照射できるストロボ用の照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】

DSC、携帯電話、ビデオカメラ等の撮影機器は、夜間や暗い場所での撮影を可能にするため、ストロボ照明装置が取り付けられ、そのストロボ照明装置の発光によって被写体を明るく照射するようになっている。例えば、カメラ付き携帯電話機は、図7に示すように外装体17の正面の下側部分に数字や文字を入力する各種ボタン18や撮影のときに利用するレリーズボタン19などが配置され、上側部分に通信情報や画像などを表示する液晶のディスプレイ20が配置され、ディスプレイ20の上側にレンズを露出させた電子カメラ21とストロボ装置22とが並んで配置されている。このようなカメラ付き携帯電話の撮影機器は画素数が飛躍的に増加し、微細で鮮明な画像表示が可能になっている。そのため、被写体をより一層明るく、且つ均一に照射することができるストロボ用照明装置の提供が必要になっている。
このような要望に応えるためには、図8に示すような照明装置27の適用も考えられる。この図7に示す照明装置27は、点光源であるLED光源23を有する。光学レンズ24には、LED光源23に対向して入射面25が、その反対側(被写体側)に、出射面27がある。LED光源23はそれ自身に光学系を持っているので光の集光を行い、正照射角度の円形分散パターンを形成する。この円形分散パターンを光学レンズ24で制御することによりLED光源23の放射光を必要な光分散パターンに集光可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3148803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、LED光源23は点光源であるため、光学レンズ24により制御しても出射された光は円錐状に照射される。したがって、図8の照明装置27は被写体を円形に照射する。
しかし、通常写真として撮影される画面サイズは、横と縦の寸法がアスペクト比(4:3)であり、LEDが被写体を円形に照射してしまうと、図4のように四角形の外周から弓形状に突出して照射している4ヶ所の部分の光、弓形状部分13部分は、撮影には寄与しない。つまり、光を有効に利用できていないといえる。
そこで、本発明は、例えばカメラ付き携帯電話のストロボ装置等として採用され、被写体を必要な照射面16に有効に光を集めることを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明にかかる組み合わせ光学手段は、照射面上の一方向の光を有効に集光する光学手段と、別の一方向の光を有効に集光する他の光学手段を、それぞれの入射面を同一面にして重なり合わせ、重なり合った部分のみをレンズとすることを特徴とする。
また、本発明にかかる組み合わせ光学手段は、前記光学手段及び前記他の光学手段がシリンドリカルレンズであることを特徴とする。
さらに、本発明にかかる組み合わせ光学手段は、前記光学手段の出射面上の対角線断面部にa≦b、0<R<a/2を満足する曲率Rを設けたことを特徴とする。
また、本発明にかかる照明装置は、請求項1乃至3記載の組み合わせ光学手段が、点光源に近接した位置に配置されたことを特徴とする。
さらに、本発明にかかる照明装置は、前記光学手段の集光方向と他の光学手段の集光方向が直角であり、照射面がアスペクト比であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組み合わせ光学手段によれば、点光源からの光を照射面内に集光でき、光を有効に利用することができるようになるため、小型でも明るい照明装置となる。また、この照明装置を備えた撮影装置は消費電力を低くすることができ、バッテリーの寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る照明装置の一実施形態を示す斜視図
【図2】本発明に係る照明装置の一実施形態を示す斜視図であって、(A)は垂直方向の配光特性に寄与したシリンドリカルレンズを示す斜視図、(B)は水平方向の配光特性に寄与したシリンドリカルレンズを示す斜視図、(C)はシリンドリカルレンズ組み合わせレンズを示す斜視図
【図3】本発明に係る照明装置の一実施形態を示す断面図
【図4】本発明に係る照明装置によって照明されている状態を示す概略斜視図
【図5】本発明に係るシリンドリカル組み合わせレンズの一実施形態を示す斜視図
【図6】照射面をひし形にするシリンドリカル組み合わせレンズを示す斜視図
【図7】カメラ付き携帯電話機の正面図
【図8】従来例の照明装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明に係るストロボ装置の一実施形態を図1から図6を参照しながら説明する。
本発明にかかる照明装置の実施形態は図1に示すように、LEDチップである点光源1に近接してシリンドリカル組み合わせレンズ2が配置される。シリンドリカル組み合わせレンズ2は、点光源1に対向している、点光源1からの発光が入射する入射面3が平坦であり、横と縦の寸法がアスペクト比の長方形とされ、入射面3の反対側(被写体側)の出射面4から光が出射し、照射面16を照明するようになっている。
より詳しく説明すると、シリンドリカル組み合わせレンズ2は図2の(A)のような照射面の水平方向14(図4参照)に光を有効に集光する断面が略半円状のシリンドリカルレンズAと、図2の(B)のような垂直方向15(図4参照)に光を有効に集光する断面が略半円状のシリンドリカルレンズBの2種類のレンズを、光軸8に対して垂直方向に、入射面3が同じ高さになるように重ね合わせ、それぞれが重なりあった部分をレンズとする図2の(C)のようなシリンドリカル組み合わせレンズである。
このようなシリンドリカル組み合わせレンズ2を備えた照明装置において、シリンドリカル組み合わせレンズ2に近接して配置された点光源1が発光すると、光軸8上の光はシリンドリカル組み合わせレンズ2の入射面3に垂直に入力し、出射面4から直進して出ていく。光軸8から円状に広がった光はシリンドリカル組み合わせレンズ2の底面に斜め方向に入射し、光軸8の方向へ屈折した後、凸レンズ形状になっている出射面4から光が出ていく。このときシリンドリカル組み合わせレンズ2の出射面4には、2本の対角線(シリンドリカルレンズA、シリンドリカルレンズBの表面が重なり合った部分の対角線)5a、5bがあり、この対角線5a、5bによって分割された4面の各出射面より出射する際に、より四角形に近い形状となって出射し、照射面16をアスペクト比形状に照射し、被写体に必要な照射面16の範囲内に有効に光を集めることができる。
すなわち、図3に示すように、光が円形に広がったとしたときに、その円形に内接する四角形の各辺11と円弧12とによって囲まれる斜線部の弓形状部分13の光がシリンドリカル組み合わせレンズ2によって照明し、光を有効に利用することができるのである。
ここで図5のようにシリンドリカルレンズA、シリンドリカルレンズBの重なりあった部分の表面の対角線5a、5bにa≦b、0<R<a/2を満足する曲率Rをつけることで、集光性をさらに良くすることができる。
また、シリンドリカルA、シリンドリカルレンズBの表面の重なりあった部分の対角線の5a、5bに曲率Rをつけることで中心にくる光量を任意に調整することができるが、a≦b、0<R<a/2を満足していれば集光性がより良くなる。
本発明にかかる照明装置のシリンドリカル組み合わせレンズ2は、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)、EP(エポキシ樹脂)、シリコーン樹脂等の透明樹脂材料や、透明なガラスで形成されている。
このようなシリンドリカル組み合わせレンズ2は、図3に示すように、他の回路と接続可能に電気回路が配線された及び/または点灯回路を形成する電子部品等が実装された基板9上に固定されたソケット10にはめ込まれて位置決め固定される。基板9上のソケット10内部分には、コンパクトで消費電力の低いLEDチップのような点光源1がシリンドリカル組み合わせレンズ2の入射面3と対向した位置に対峠するようにマウントされている。すなわち、シリンドリカル組み合わせレンズ2の中心と照射面16の中心を結んだ線を延長した光軸8上に点光源1が配置されている。
また、点光源1で発光した光は全てシリンドリカル組み合わせレンズ2内に入射するようにするため、シリンドリカル組み合わせレンズ2の入射面3は点光源1に近接して配置されている。
上記のような照明装置は、例えばカメラ付き携帯電話機の外装体内にシリンドリカル組み合わせレンズ2の四角形の各辺が、外装体の各辺と平行になるように備えられ、携帯電話機の撮影ボタンがONされるタイミングに合せて発光する。このとき撮影範囲内の照射面に有効に光を集めることができるシリンドリカル組み合わせレンズ2を備えた照明装置によって被写体を照明して撮影するため、携帯電話機の消費電力を小さくし、バッテリーの寿命を長くすることができる。
次に本発明にかかる別の実施形態について説明する。
この実施の形態は、図6のように、照射面の水平方向14に光を有効に集光するシリンドリカルレンズA、垂直方向15に光を有効に集光するシリンドリカルレンズBの2種類のレンズのうちいずれか一方、例えばシリンドリカルレンズAを光軸方向から見て水平方向14に対して45°傾け、シリンドリカルレンズBと重なりあった部分をレンズとするシリンドリカル組み合わせレンズ6を備えた点が相違する照明装置であり、その他の点は前記実施例の照明装置と同じ構成である。
上記のようなシリンドリカル組み合わせレンズ6に近接して配置された点光源が発光すると、その光はシリンドリカル組み合わせレンズ6の入射面7で屈折して、シリンドリカル組み合わせレンズ6の入射面7に光が入射し、凸レンズの出射面4から光が出ていく。
このとき、シリンドリカル組み合わせレンズ6の入射面7は一方のシリンドリカルレンズを45°傾けているため、長方形ではなくひし形形状になっており、対角線5c、5dによって分割された4面の各出射面より出射する際にひし形形状に近い形状となって出射する。
尚、本実施例においても2種類のシリンドリカルレンズの対角線(シリンドリカルレンズA、シリンドリカルレンズBの表面が重なり合った部分5c、5d)に曲率をつけると、中心に光が集光しやすくなり効率をアップできる。
なお、本発明は前記発明の実施の形態に限定することなく、特許請求の範囲に記載した技術的事項の範囲内において種々変更することができる。例えば、本発明に係るストロボ装置は、携帯電話機に内蔵されるものでなく、外付けであっても同様に実施することができる。また照射画面はアスペクト比(4:3)に限定するものではなく、画面アスペクト比、ピクセルアスペクト比、ハイビジョンの画面とすることもできる。また点光源はLEDチップに限定するものではない。さらに、凸レンズの入射面は、平坦面ではなく、光軸を中心とする凹面あるいは凸面とすることもできる。
さらに、シリンドリカルレンズA、シリンドリカルBの寸法や出射面の曲率、重ね合わせる角度を変化させることで、長方形、ひし形だけでなく、例えば正方形、楕円形など任意の照射面とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明は、DSC、携帯電話機、ビデオカメラ等に広く使用されて、被写体を明るく照射する照明装置などとして幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0010】
1 点光源
2 シリンドリカル組み合わせレンズ
3 入射面
4 出射面
5a シリンドリカルレンズA、シリンドリカルレンズBの表面が重なりあった部分の一方向の対角線
5b .シリンドリカルレンズA、シリンドリカルレンズBの表面が重なりあった部分の他の方向の対角線
5c シリンドリカルレンズA、シリンドリカルレンズBを45°ずらして表面が重なりあった部分の一方向の対角線
5d シリンドリカルレンズA、シリンドリカルレンズBを45°ずらして表面が重なりあった部分の他の方向の対角線
6 シリンドリカルレンズA、シリンドリカルレンズBを45°ずらしたシリンドリカル組み合わせレンズ
8 光軸
9 基板
10 ソケット
11 光が円形に広がったと仮定したとき、円に内接する四角形の各辺
12 光が円形に広がったと仮定したとき、円に内接する四角形の円弧
13 上記、各辺11円弧12によって囲まれる弓形状部分
14 水平方向
15 垂直方向
16 照射面
17 外装体
18 各種ボタン
19 レリーズボタン
20 ディスプレイ
21 電子カメラ
22 ストロボ装置
23 LED光源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射面上の一方向の光を有効に集光する光学手段と、別の一方向の光を有効に集光する他の光学手段を、それぞれの入射面を同一面にして重なり合わせ、重なり合った部分のみをレンズとすることを特徴とする、組み合わせ光学手段。
【請求項2】
前記光学手段及び前記他の光学手段はシリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項1記載の組み合わせ光学手段。
【請求項3】
前記光学手段の出射面上の対角線断面部にa≦b、0<R<a/2を満足する曲率Rを設けたことを特徴とする請求項1乃至2記載の組み合わせ光学手段。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の組み合わせ光学手段が、点光源に近接した位置に配置されたことを特徴とする照明装置。
【請求項5】
前記光学手段の集光方向と他の光学手段の集光方向が直角であり、照射面がアスペクト比であることを特徴とする請求項4記載の照明装置。



















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−94310(P2012−94310A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239259(P2010−239259)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】