照明装置
【課題】発光効率が低下するのを抑制するとともに、寿命が短くなるのを抑制することが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】この照明装置1は、半導体レーザ2から出射したレーザ光が照射され、蛍光を出射する蛍光部材4と、蛍光部材4を回転させる回転機構6と、蛍光部材4から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材7と、を備える。
【解決手段】この照明装置1は、半導体レーザ2から出射したレーザ光が照射され、蛍光を出射する蛍光部材4と、蛍光部材4を回転させる回転機構6と、蛍光部材4から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材7と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置に関し、特に、レーザ光が照射される蛍光部材を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光が照射される蛍光部材を備えた照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、レーザ光源として機能する紫外線LD素子(レーザ発生器)と、紫外線LD素子から出射したレーザ光を可視光に変換する蛍光体(蛍光部材)と、蛍光体から出射した可視光を反射する可視光反射鏡とを備えた光源装置(照明装置)が開示されている。この光源装置では、励起光であるレーザ光を蛍光体に照射することにより、蛍光体から可視光(蛍光)を取り出し、その光を照明光として利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−295319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザ光は光密度が高い(エネルギー密度が高い)ので、上記特許文献1ではレーザ光を蛍光体に照射し続けると、蛍光体に含まれる蛍光体粒子などが劣化する。このため、十分な明るさが得られなくなり、光源装置の寿命が短くなるという問題点がある。また、レーザ光を蛍光体に照射すると蛍光体の温度が上昇する。一般的に蛍光体は温度が上昇すると発光効率が低下する。このため、蛍光体の温度上昇に起因して、光源装置の発光効率が低下するという問題点もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、発光効率が低下するのを抑制するとともに、寿命が短くなるのを抑制することが可能な照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の照明装置は、レーザ発生器から出射したレーザ光が照射され、蛍光を出射する蛍光部材と、蛍光部材を回転させる回転機構と、蛍光部材から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材と、を備える。
【0008】
この発明の照明装置では、上記のように、蛍光部材を回転させる回転機構を設ける。これにより、蛍光部材を回転させることにより、レーザ光が蛍光部材の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができる。
【0009】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材には複数種類または1種類の蛍光体粒子が含有されており、複数種類の蛍光体粒子の各々または1種類の蛍光体粒子は、蛍光部材の全域にわたって含有されている。このように構成すれば、レーザ光を蛍光部材のいずれの部分に照射しても、同じ発光スペクトルの蛍光(同じ色の蛍光)が蛍光部材から出射する。このため、蛍光部材を低速で回転させたり、一時的に停止させたとしても、同じ発光スペクトルの蛍光(同じ色の蛍光)が蛍光部材から出射する。これにより、蛍光部材を高速で回転させたり、常時回転させる必要がない。なお例えば、蛍光部材が中心角120度の扇状の3つの領域に分かれており、赤色光、緑色光または青色光を出射する3種類の蛍光体粒子がそれぞれ上記3つの領域に設けられている場合、白色光を得るためには蛍光部材を1秒当たり数十回転以上させる必要がある。
【0010】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材は円盤状に形成されている。
【0011】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材を支持する支持体をさらに備え、回転機構は支持体を回転させることにより、蛍光部材を回転させる。このように構成すれば、蛍光部材の強度を確保するために蛍光部材の厚みを大きくする必要がない。また、蛍光部材に回転機構を取り付けるためのスペースが必要ないので、蛍光部材が大型化するのを抑制することができる。また、蛍光部材で発生する熱を支持体に放熱させることができるので、蛍光部材の放熱性を向上させることができる。これにより、蛍光部材の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0012】
上記支持体を備える照明装置において、蛍光部材は支持体のレーザ発生器側の面に設けられていてもよい。
【0013】
上記蛍光部材が支持体のレーザ発生器側の面に形成されている照明装置において、好ましくは、支持体は蛍光を遮光する機能を有する。このように構成すれば、蛍光部材から出射した蛍光が支持体を透過するのを防止することができ、蛍光が照明光として利用できない領域に出射するのを抑制することができる。また、支持体を例えば金属により形成すれば、蛍光部材の放熱性をより向上させることができる。これにより、蛍光部材の温度が上昇するのをより抑制することができる。
【0014】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、遮光とは光を吸収することや光を反射することを含む概念である。
【0015】
上記支持体を備える照明装置において、支持体はレーザ光を透過する機能を有し、蛍光部材は、支持体のレーザ発生器とは反対側の面に設けられていてもよい。
【0016】
上記照明装置において、回転機構は蛍光部材に取り付けられており、蛍光部材を直接的に回転させてもよい。
【0017】
上記照明装置において、好ましくは、反射部材は蛍光部材から出射した蛍光の少なくとも一部を1回以上反射して外部に出射する。このように構成すれば、蛍光部材から出射する蛍光の少なくとも一部を反射部材により制御することができるので、所定の領域を効率よく照明することができる。
【0018】
上記蛍光部材に複数種類または1種類の蛍光体粒子が含有されている照明装置において、蛍光部材は回転機構により回転と停止とを交互に繰り返されてもよい。
【0019】
上記照明装置において、好ましくは、反射部材は、焦点を有する形状に形成された反射面を含み、蛍光部材のうちのレーザ光が照射される照射領域は、反射面の焦点、または、反射面の焦点近傍に配置されている。このように構成すれば、照明装置から外部に出射する光(照明光)を、容易に、例えば平行光にしたり集光することができる。
【0020】
上記照明装置において、好ましくは、反射部材は、蛍光を反射する凹状の反射面を含み、蛍光部材のうちのレーザ光が照射される照射領域は、反射面の内側に配置されている。このように構成すれば、蛍光部材から出射した蛍光の全てまたは大部分を、容易に照明光として利用することができる。
【0021】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材の外周と反射部材との間には、反射部材で反射した蛍光を通過させるための隙間が形成されている。このように構成すれば、反射部材で反射した蛍光を容易に外部に出射させることができる。
【0022】
上記照明装置において、蛍光部材は反射部材を貫通して設けられていてもよい。
【0023】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材が回転することにより蛍光部材の周囲の空気を流動させるフィン部をさらに備える。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、蛍光部材を回転させる回転機構を設ける。これにより、蛍光部材を回転させることにより、レーザ光が蛍光部材の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができる。このため、蛍光部材を構成する蛍光体粒子やバインダ樹脂などが劣化するのを抑制することができるので、照明装置の寿命が短くなるのを抑制することができる。また、レーザ光が蛍光部材の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができるので、照射領域(蛍光部材のレーザ光が照射される領域)の温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、蛍光部材の発光効率が低下するのを抑制することができる。
【0025】
また、蛍光部材から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材を設けることによって、蛍光部材から出射した蛍光を、所定の方向に反射して照明光として容易に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の照明装置の構造を概略的に示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態の照明装置の蛍光部材および支持体の構造を示した正面図である。
【図11】本発明の第6実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図13】本発明の第1変形例の照明装置の構造を概略的に示した斜視図である。
【図14】本発明の第2変形例の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、断面図であってもハッチングを施さない場合がある。
【0028】
(第1実施形態)
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による照明装置1の構造について説明する。
【0029】
本発明の第1実施形態による照明装置1は、例えば自動車などの前方を照明する前照灯として用いられるものである。照明装置1は図1に示すように、レーザ光源(励起光源)として機能する半導体レーザ2(レーザ発生器)と、半導体レーザ2の前方に配置された導光部材3と、レーザ光(励起光)が照射される蛍光部材4と、蛍光部材4を支持する支持体5と、蛍光部材4を回転させるための回転機構6と、蛍光部材4から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材7とを備える。なお、後述するように、導光部材3および支持体5は必要に応じて設けられるものであり、無くてもよい。
【0030】
半導体レーザ2は半導体レーザ素子(図示せず)と半導体レーザ素子が搭載されるパッケージとによって構成されている。半導体レーザ2は例えば約380nm〜約460nmの中心波長を有するレーザ光を出射するように構成されている。
【0031】
導光部材3は半導体レーザ2から出射したレーザ光を蛍光部材4まで導光する機能を有する。導光部材3としては、光ファイバ、レンズ、反射鏡、周囲との屈折率差を利用して内部で光を反射させることにより導光する部材などを用いることができ、これらを複数組み合わせて用いてもよい。なお、導光部材3は必要に応じて設けられるものであり、例えば半導体レーザ2を蛍光部材4の近傍に配置する場合は無くてもよい。
【0032】
蛍光部材4は例えば5mm〜30mm程度の直径を有する円盤状に形成されており、レーザ光(励起光)が照射されることにより蛍光を出射する機能を有する。蛍光部材4は、例えば青紫色のレーザ光を赤色光、緑色光および青色光にそれぞれ変換する3種類の蛍光体粒子を含んでいる。この3種類の蛍光体粒子の各々は、蛍光部材4の全域にわたって略均一に含有されている。また、蛍光部材4に含有される蛍光体粒子は1種類だけであってもよい。この場合も、蛍光体粒子は、蛍光部材4の全域にわたって略均一に含有される。蛍光部材4は、蛍光体粒子をガラスや樹脂などに混ぜて固めたものや、蛍光体粒子を加圧または焼結したものなどを用いることが可能である。
【0033】
蛍光部材4は円盤状の支持体5に支持されている。蛍光部材4は例えば透光性を有する接着材(図示せず)などを用いて支持体5に固定されていてもよいし、蛍光体粒子を含有する樹脂等を支持体5の表面上に塗布することにより形成されていてもよい。
【0034】
支持体5の中心部には回転機構6の回転軸6aが固定されている。回転軸6aはモータ6bに連結されており、モータ6bを駆動することにより、回転軸6aが回転して支持体5および蛍光部材4が回転する。蛍光部材4が回転すると、照射領域S(蛍光部材4のレーザ光が照射される領域)が蛍光部材4内で周方向に移動する。これにより、レーザ光が蛍光部材4の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することが可能である。なお、照射領域Sが蛍光部材4内で移動しても、反射部材7に対する照射領域Sの相対位置は変化しない。
【0035】
蛍光部材4の回転速度は任意に設定することが可能である。例えば、蛍光部材4の回転速度を数回転〜数十回転/秒にしてもよいし、1回転以下/秒にしてもよい。また、蛍光部材4を不連続に回転させてもよい。すなわち、所定の角度(例えば30度や170度)だけ蛍光部材4を回転させ、所定の時間回転を停止し、その後、蛍光部材4をさらに所定の角度だけ回転させる、といったように回転と停止とを繰り返してもよい。すなわち、本発明では、レーザ光が蛍光部材4の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することが目的であるため、蛍光部材4の回転速度の自由度を高くすることが可能である。
【0036】
支持体5は光(励起光および蛍光)を遮光するように形成されていてもよい。この場合、支持体5は金属により形成されていてもよく、光を反射する機能を有していてもよい。支持体5が光を遮光するように形成されている場合、蛍光部材4は図2に示すように、支持体5の半導体レーザ2側の面(照射側の面)上に設けられる。
【0037】
また、支持体5は光を透過するように形成されていてもよい。この場合、蛍光部材4は、図3に示すように支持体5の半導体レーザ2とは反対側の面(照射側とは反対側の面)上に設けられていてもよいし、図2に示すように支持体5の半導体レーザ2側の面上に設けられてもよい。なお図3の場合、支持体5の全体が光を透過する必要はなく、少なくともレーザ光が照射される領域が、光を透過するように形成されていればよい。
【0038】
また、蛍光部材4は図4に示すように、支持体5の外周面上に形成されていてもよい。また、図5に示すように、支持体5を設けず、蛍光部材4の中心部に回転機構6の回転軸6aを固定してもよい。すなわち、回転機構6が蛍光部材4に取り付けられ、蛍光部材4を直接回転させてもよい。
【0039】
図1に示すように、反射部材7は蛍光部材4から出射した蛍光を外部に向かって反射する機能を有する。反射部材7の反射面7aは凹状に形成されており、例えば放物面の一部を含むように形成されている。また、反射面7aの焦点が蛍光部材4の照射領域Sと略一致するように、反射部材7が配置されていてもよい。また、蛍光部材4の照射領域Sは、反射面7aの内側に配置されていてもよい。
【0040】
本実施形態では、上記のように、蛍光部材4を回転させる回転機構6を設け、蛍光部材4を回転させることによって、照射領域Sが蛍光部材4内で移動するので、レーザ光が蛍光部材4の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができる。このため、蛍光部材4を構成する蛍光体粒子やバインダ樹脂などが劣化するのを抑制することができるので、照明装置1の寿命が短くなるのを抑制することができる。また、レーザ光が蛍光部材4の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができるので、照射領域Sの温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、蛍光部材4の発光効率が低下するのを抑制することができる。
【0041】
また、蛍光部材4から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材7を設けることによって、蛍光部材4から出射した蛍光を、所定の方向に反射して照明光として容易に利用することができる。
【0042】
また、上記のように、蛍光部材4には複数種類(または1種類)の蛍光体粒子が含有されており、複数種類の蛍光体粒子の各々(または1種類の蛍光体粒子)は、蛍光部材4の全域にわたって含有されている。これにより、レーザ光を蛍光部材4のいずれの部分に照射しても、同じ発光スペクトルの蛍光(同じ色の蛍光)が蛍光部材4から出射する。すなわち、レーザ光を蛍光部材4のいずれの部分に照射しても、赤色光、緑色光および青色光が蛍光部材4から出射し白色光が得られる。このため、蛍光部材4を低速で回転させたり、一時的に停止させたとしても、白色光(赤色光、緑色光および青色光)が蛍光部材4から出射する。これにより、蛍光部材4を高速で回転させたり、常時回転させる必要がない。すなわち、回転速度の自由度を高くすることができる。なお例えば、蛍光部材が中心角120度の扇状の3つの領域に分かれており、赤色光、緑色光または青色光を出射する3種類の蛍光体粒子がそれぞれ上記3つの領域に設けられている場合、白色光を得るためには蛍光部材を1秒当たり数十回転以上させる必要がある。
【0043】
また、上記のように、蛍光部材4を支持する支持体5を設けることによって、蛍光部材4の強度を確保するために蛍光部材4の厚みを大きくする必要がない。また、蛍光部材4に回転機構6を取り付けるためのスペースが必要ないので、蛍光部材4が大型化するのを抑制することができる。また、蛍光部材4で発生する熱を支持体5に放熱させることができるので、蛍光部材4の放熱性を向上させることができる。これにより、蛍光部材4の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0044】
また、上記のように、支持体5を例えば金属により形成すれば、蛍光部材4の放熱性をより向上させることができる。これにより、蛍光部材4の温度が上昇するのをより抑制することができる。この場合、支持体5が光を反射する機能を有していれば、光の利用効率を向上させることができる。
【0045】
また、上記のように、蛍光部材4の照射領域Sを、反射面7aの焦点と略一致するように配置すれば、照明装置1から外部に出射する光(照明光)を、容易に平行光することができる。
【0046】
また、上記のように、蛍光部材4の照射領域Sを、反射面7aの内側に配置すれば、蛍光部材4から出射した蛍光の全てまたは大部分を、容易に照明光として利用することができる。
【0047】
(第2実施形態)
この第2実施形態では、支持体5が光を遮光するように形成されている場合(透光性を有しない場合)について説明する。
【0048】
本発明の第2実施形態による照明装置1は図6に示すように、半導体レーザ2と、例えばレンズからなる導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7と、回転機構6が収納される収納部材8とを備える。
【0049】
反射部材7の反射面7aは例えば放物面の一部を含むように形成されており、放物面をその頂点と焦点とを結ぶ軸(放物面の回転軸L1)に平行な面で分割したような形状に形成されている。また、反射部材7の所定の位置には、レーザ光を通過させるための貫通穴7bが形成されている。半導体レーザ2は貫通穴7bの外側に配置されている。
【0050】
収納部材8は金属製の箱状に形成されている。収納部材8は反射部材7に固定されており、収納部材8の上面8aは光を反射する反射面に形成されている。収納部材8を設けることによって、万一、半導体レーザ2から出射したレーザ光が蛍光部材4および支持体5を透過した場合であっても、レーザ光は迷光とならずに収納部材8に閉じ込めることが可能である。
【0051】
蛍光部材4は放物面の回転軸L1と略平行に配置されているとともに、反射部材7の開口面7cに対して略垂直に配置されている。また、蛍光部材4は反射部材7の反射面7aに対向するように配置されている。また、反射面7aの焦点が蛍光部材4の照射領域Sと略一致するように、反射部材7が設けられている。蛍光部材4は支持体5の半導体レーザ2側の面(照射側の面)上に形成されている。
【0052】
支持体5は光(レーザ光および蛍光)を遮光する機能を有しており、例えば金属により形成されている。
【0053】
この照明装置1では、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)に出射した光が照明光として利用される。蛍光部材4から出射した光の一部は反射部材7で反射されることなく外部に出射し、残りの光は反射部材7で反射されて外部に出射する。
【0054】
第2実施形態のその他の構造および効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0055】
(第3実施形態)
この第3実施形態では、上記第2実施形態と異なり、蛍光部材4が反射部材7の開口面7cに対して略平行に配置される場合について説明する。
【0056】
本発明の第3実施形態による照明装置1は図7に示すように、半導体レーザ2と、導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7とを備える。
【0057】
反射部材7の頂点付近には、蛍光部材4を配置するための開口部7dが形成されている。支持体5および回転機構6は反射部材7の外側に配置されている。
【0058】
蛍光部材4は放物面(反射面7a)の回転軸L1に対して略垂直に配置されているとともに、反射部材7の開口面7cに対して略平行に配置されている。また、蛍光部材4は、反射部材7の開口面7c側に向いて配置されている。半導体レーザ2は反射部材7の開口面7cの外側に配置されている。
【0059】
この照明装置1では、上記第2実施形態と同様、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)に出射した光が照明光として利用される。蛍光部材4から出射した光の一部は反射部材7で反射されることなく外部に出射し、残りの光は反射部材7で反射されて外部に出射する。
【0060】
なお、第3実施形態のその他の構造および効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0061】
(第4実施形態)
この第4実施形態では、上記第2および第3実施形態と異なり、蛍光部材4から出射した蛍光の略全てが反射部材7で反射されて外部に出射する場合について説明する。
【0062】
本発明の第4実施形態による照明装置1は図8に示すように、半導体レーザ2と、導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7と、収納部材8とを備える。
【0063】
反射部材7の所定の位置には、レーザ光を通過させるための貫通穴7bが形成されている。収納部材8の一部は反射部材7の反射面7aの内側に配置されている。
【0064】
蛍光部材4は放物面(反射面7a)の回転軸L1に対して略垂直に配置されているとともに、反射部材7の反射面7aの頂点側(開口面7cとは反対側)に向いて配置されている。
【0065】
この照明装置1では、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)に出射した光が照明光として利用される。蛍光部材4から出射した蛍光の略全てが反射部材7で反射されて外部に出射する。言い換えると、照明装置1から出射する照明光の全てが、反射部材7で1回以上反射された後、外部に出射される。
【0066】
第4実施形態のその他の構造は、上記第3実施形態と同様である。
【0067】
本実施形態では、上記のように、反射部材7は蛍光部材4から出射した蛍光の略全てを1回以上反射して外部に出射する。これにより、蛍光部材4から出射する蛍光の略全てを反射部材7により制御することができるので、所定の領域を効率よく照明することができる。
【0068】
第4実施形態のその他の効果は、上記第1〜第3実施形態と同様である。
【0069】
(第5実施形態)
この第5実施形態では、上記第4実施形態と異なり、収納部材8が設けられていない場合について説明する。
【0070】
本発明の第5実施形態による照明装置1は図9に示すように、半導体レーザ2と、導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7とを備えている。
【0071】
反射部材7の頂点付近には、レーザ光を通過させるための貫通穴7bが形成されている。
【0072】
蛍光部材4は放物面(反射面7a)の回転軸L1に対して略垂直に配置されているとともに、反射部材7の開口面7cに対して略垂直に配置されている。また、蛍光部材4は、反射部材7の反射面7aの頂点側(開口面7cとは反対側)に向いて配置されている。
【0073】
蛍光部材4の一部および支持体5の一部は、反射面7aの内側に配置されている。回転機構6は反射部材7の外側に配置されている。
【0074】
蛍光部材4の外周および支持体5の外周と反射部材7の反射面7aとの間には、反射部材7で反射した蛍光を通過させるための隙間100が形成されている。
【0075】
第5実施形態では、反射部材7の反射面7aと支持体5との間の隙間100を通過した光が照明光として利用される。隙間100が十分に大きくない場合、照明装置1の外部に蛍光を十分に取り出せなくなるので、蛍光部材4および支持体5を図10に示すように構成してもよい。具体的には、支持体5に蛍光を通過させるための開口部5aを複数形成する。そして、その開口部5aに、励起光を遮光し蛍光を透過するフィルタ9を設ける。これにより、蛍光部材4から出射した蛍光の外部への取り出し効率が低下するのを抑制することが可能ある。蛍光部材4は図10に示すように複数に分割されていてもよいし、上記第1実施形態などで説明したように円盤状に形成されていてもよい。また、開口部5aや蛍光部材4の形状は、丸や四角に限られず、任意の形状にすることが可能である。励起光の中心波長が例えば約405nmである場合は、フィルタ9として、約425nm以下の波長の光を吸収し約425nmよりも大きい波長の光を透過する、五鈴精工硝子株式会社製のITY−425などを用いることが可能である。
【0076】
この照明装置1では、上記第4実施形態と同様、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)に出射した光が照明光として利用される。蛍光部材4から出射した蛍光の略全てが反射部材7で反射されて外部に出射する。
【0077】
第5実施形態のその他の構造は、上記第4実施形態と同様である。
【0078】
本実施形態では、上記のように、蛍光部材4の外周および支持体5の外周と反射部材7の反射面7aとの間には、反射部材7で反射した蛍光を通過させるための隙間100が形成されている。これにより、反射部材7で反射した蛍光を容易に外部に出射させることができる。
【0079】
第5実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
【0080】
(第6実施形態)
この第6実施形態では、上記第2〜第5実施形態と異なり、支持体5が光を透過するように形成されている場合(透光性を有する場合)について説明する。
【0081】
本発明の第6実施形態による照明装置1は図11に示すように、半導体レーザ2と、導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7とを備える。
【0082】
反射部材7の頂点付近には、蛍光を通過させるための貫通穴7bが形成されている。
【0083】
蛍光部材4および支持体5は、反射部材7の外側に配置されている。支持体5は光(励起光および蛍光)を透過するように、ガラス板などにより形成されている。
【0084】
この照明装置1では、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)とは反対側に出射した光が照明光として利用される。具体的には、蛍光部材4から照射側に出射した光は照明光として利用されない一方、蛍光部材4から照射側とは反対側(支持体5側)に出射した光は支持体5を透過して照明光として利用される。また、励起光は蛍光部材4を通過したものだけが外部に出射されるので、レーザ光である励起光を蛍光部材4内で十分に拡散させ発光点を大きくした状態で、励起光を外部に出射させることが可能である。これにより、眼に対する安全性を向上させることが可能である。このため、後述する第7実施形態のように励起光を遮光する部材(光学膜など)を用いずとも、安全に使用できる照明装置を実現することが可能である。
【0085】
第6実施形態のその他の構造および効果は、上記第5実施形態と同様である。
【0086】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による照明装置1では図12に示すように、上記第6実施形態と異なり、蛍光部材4の一部および支持体5の一部が反射面7aの内側に配置されている。支持体5は反射部材7を貫通(横断)するように設けられている。このため、上記第5実施形態と異なり、反射部材7の反射面7aと支持体5との間に隙間100は形成されていない。
【0087】
支持体5の表面上には、励起光を遮光し蛍光を透過する光学膜(図示せず)が形成されていることが好ましい。このように構成すれば、蛍光部材7から出射した蛍光は支持体5を透過して外部に出射する。その一方、蛍光部材7の表面で反射した励起光は反射面7aおよび光学膜の間で反射を繰り返し、いずれ蛍光部材4に照射され蛍光に変換される。そして、変換された蛍光は支持体5を透過して外部に出射する。このため、励起光を高効率で蛍光に変換することができ、光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0088】
また、支持体5の表面上に、励起光を遮光し蛍光を透過する光学膜を形成すれば、励起光が外部に出射するのを抑制することが可能となる。このため、眼に対する安全性をより向上させることが可能である。
【0089】
第7実施形態のその他の構造および効果は、上記第6実施形態と同様である。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0091】
例えば、上記実施形態では、本発明の照明装置を自動車の前照灯に用いた例について示したが、本発明はこれに限らない。本発明の照明装置を、飛行機、船舶、ロボット、バイクまたは自転車や、その他の移動体の前照灯に用いてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、本発明の照明装置を前照灯に適用した例について示したが、本発明はこれに限らない。本発明の照明装置をダウンライトまたはスポットライトや、その他の照明装置に適用してもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、励起光を可視光に変換した例について示したが、本発明はこれに限らず、励起光を可視光以外の光に変換してもよい。例えば、励起光を赤外光に変換する場合には、セキュリティ用CCDカメラの夜間照明装置などにも適用可能である。
【0094】
また、上記実施形態では、白色光を出射するように、励起光源(半導体レーザ)および蛍光部材を構成した例について示したが、本発明はこれに限らない。白色光以外の光を出射するように、励起光源および蛍光部材を構成してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、レーザ光を出射するレーザ発生器として、半導体レーザを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ以外のレーザ発生器を用いてもよい。
【0096】
また、上記実施形態で示した数値は一例であり、各数値は限定されない。
【0097】
また、上記実施形態では、反射部材の反射面を放物面の一部により形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、反射面を例えば楕円面の一部により形成してもよい。この場合、蛍光部材の照射領域を反射面の焦点に位置させることにより、照明装置から出射する光を容易に集光することができる。また、反射面を多数の曲面(例えば放物面)からなるマルチリフレクタや、多数の微細な平面が連続して設けられた自由曲面リフレクタなどにより形成してもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、蛍光部材および支持体が円盤状に形成されている場合について示したが、本発明はこれに限らず、蛍光部材および支持体は円盤状以外の形状に形成されていてもよい。例えば、蛍光部材および支持体は正面から見て正方形状や多角形状に形成されていてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、蛍光部材を回転させることにより、照射領域を蛍光部材内で移動させた例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば図13に示した本発明の第1変形例による照明装置のように、蛍光部材4の面方向(例えば半径方向)に回転機構6を移動させる移動機構10をさらに設け、照射領域Sを蛍光部材4の周方向と半径方向との両方向に移動させてもよい。
【0100】
また、上記第5実施形態では、支持体が透光性を有しない場合について示したが、上記第5実施形態の構造において支持体が透光性を有してもよい。
【0101】
また、反射部材の開口面に蛍光を透過し励起光(レーザ光)を遮光するフィルタを設けてもよい。このように構成すれば、レーザ光が外部に出射するのを防止することができ、眼に対する安全性を容易に向上させることができる。
【0102】
また、図14に示した本発明の第2変形例による照明装置のように、蛍光部材4が回転することにより蛍光部材4の周囲の空気を流動させる複数のフィン部11を、支持体5と一体的に設けてもよい。そして、支持体5のうちの例えばフィン部11と蛍光部材4との間に、通気孔5bを複数設けてもよい。このように構成すれば、蛍光部材4および支持体5が回転すると、空気が通気孔5bを通過し流動する。これにより、照射領域の温度が上昇するのをより抑制することができ効果的である。なお、フィン部11は蛍光部材4の周囲に設けられていればよく、蛍光部材4や回転機構6の回転軸6aに取り付けられていてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、3種類の蛍光体粒子の各々が、蛍光部材の全域にわたって略均一に含有されている例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、蛍光部材が中心角120度の扇状の3つの領域に分かれており、3種類の蛍光体粒子がそれぞれ上記3つの領域に設けられていてもよい。ただし、この場合、白色光を得るためには蛍光部材を1秒当たり数十回転以上させる必要がある。
【符号の説明】
【0104】
1 照明装置
2 半導体レーザ(レーザ発生器)
3 導光部材
4 蛍光部材
5 支持体
6 回転機構
7 反射部材
7a 反射面
11 フィン部
100 隙間
S 照射領域
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置に関し、特に、レーザ光が照射される蛍光部材を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光が照射される蛍光部材を備えた照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、レーザ光源として機能する紫外線LD素子(レーザ発生器)と、紫外線LD素子から出射したレーザ光を可視光に変換する蛍光体(蛍光部材)と、蛍光体から出射した可視光を反射する可視光反射鏡とを備えた光源装置(照明装置)が開示されている。この光源装置では、励起光であるレーザ光を蛍光体に照射することにより、蛍光体から可視光(蛍光)を取り出し、その光を照明光として利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−295319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザ光は光密度が高い(エネルギー密度が高い)ので、上記特許文献1ではレーザ光を蛍光体に照射し続けると、蛍光体に含まれる蛍光体粒子などが劣化する。このため、十分な明るさが得られなくなり、光源装置の寿命が短くなるという問題点がある。また、レーザ光を蛍光体に照射すると蛍光体の温度が上昇する。一般的に蛍光体は温度が上昇すると発光効率が低下する。このため、蛍光体の温度上昇に起因して、光源装置の発光効率が低下するという問題点もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、発光効率が低下するのを抑制するとともに、寿命が短くなるのを抑制することが可能な照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の照明装置は、レーザ発生器から出射したレーザ光が照射され、蛍光を出射する蛍光部材と、蛍光部材を回転させる回転機構と、蛍光部材から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材と、を備える。
【0008】
この発明の照明装置では、上記のように、蛍光部材を回転させる回転機構を設ける。これにより、蛍光部材を回転させることにより、レーザ光が蛍光部材の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができる。
【0009】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材には複数種類または1種類の蛍光体粒子が含有されており、複数種類の蛍光体粒子の各々または1種類の蛍光体粒子は、蛍光部材の全域にわたって含有されている。このように構成すれば、レーザ光を蛍光部材のいずれの部分に照射しても、同じ発光スペクトルの蛍光(同じ色の蛍光)が蛍光部材から出射する。このため、蛍光部材を低速で回転させたり、一時的に停止させたとしても、同じ発光スペクトルの蛍光(同じ色の蛍光)が蛍光部材から出射する。これにより、蛍光部材を高速で回転させたり、常時回転させる必要がない。なお例えば、蛍光部材が中心角120度の扇状の3つの領域に分かれており、赤色光、緑色光または青色光を出射する3種類の蛍光体粒子がそれぞれ上記3つの領域に設けられている場合、白色光を得るためには蛍光部材を1秒当たり数十回転以上させる必要がある。
【0010】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材は円盤状に形成されている。
【0011】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材を支持する支持体をさらに備え、回転機構は支持体を回転させることにより、蛍光部材を回転させる。このように構成すれば、蛍光部材の強度を確保するために蛍光部材の厚みを大きくする必要がない。また、蛍光部材に回転機構を取り付けるためのスペースが必要ないので、蛍光部材が大型化するのを抑制することができる。また、蛍光部材で発生する熱を支持体に放熱させることができるので、蛍光部材の放熱性を向上させることができる。これにより、蛍光部材の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0012】
上記支持体を備える照明装置において、蛍光部材は支持体のレーザ発生器側の面に設けられていてもよい。
【0013】
上記蛍光部材が支持体のレーザ発生器側の面に形成されている照明装置において、好ましくは、支持体は蛍光を遮光する機能を有する。このように構成すれば、蛍光部材から出射した蛍光が支持体を透過するのを防止することができ、蛍光が照明光として利用できない領域に出射するのを抑制することができる。また、支持体を例えば金属により形成すれば、蛍光部材の放熱性をより向上させることができる。これにより、蛍光部材の温度が上昇するのをより抑制することができる。
【0014】
なお、本明細書および特許請求の範囲において、遮光とは光を吸収することや光を反射することを含む概念である。
【0015】
上記支持体を備える照明装置において、支持体はレーザ光を透過する機能を有し、蛍光部材は、支持体のレーザ発生器とは反対側の面に設けられていてもよい。
【0016】
上記照明装置において、回転機構は蛍光部材に取り付けられており、蛍光部材を直接的に回転させてもよい。
【0017】
上記照明装置において、好ましくは、反射部材は蛍光部材から出射した蛍光の少なくとも一部を1回以上反射して外部に出射する。このように構成すれば、蛍光部材から出射する蛍光の少なくとも一部を反射部材により制御することができるので、所定の領域を効率よく照明することができる。
【0018】
上記蛍光部材に複数種類または1種類の蛍光体粒子が含有されている照明装置において、蛍光部材は回転機構により回転と停止とを交互に繰り返されてもよい。
【0019】
上記照明装置において、好ましくは、反射部材は、焦点を有する形状に形成された反射面を含み、蛍光部材のうちのレーザ光が照射される照射領域は、反射面の焦点、または、反射面の焦点近傍に配置されている。このように構成すれば、照明装置から外部に出射する光(照明光)を、容易に、例えば平行光にしたり集光することができる。
【0020】
上記照明装置において、好ましくは、反射部材は、蛍光を反射する凹状の反射面を含み、蛍光部材のうちのレーザ光が照射される照射領域は、反射面の内側に配置されている。このように構成すれば、蛍光部材から出射した蛍光の全てまたは大部分を、容易に照明光として利用することができる。
【0021】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材の外周と反射部材との間には、反射部材で反射した蛍光を通過させるための隙間が形成されている。このように構成すれば、反射部材で反射した蛍光を容易に外部に出射させることができる。
【0022】
上記照明装置において、蛍光部材は反射部材を貫通して設けられていてもよい。
【0023】
上記照明装置において、好ましくは、蛍光部材が回転することにより蛍光部材の周囲の空気を流動させるフィン部をさらに備える。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、蛍光部材を回転させる回転機構を設ける。これにより、蛍光部材を回転させることにより、レーザ光が蛍光部材の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができる。このため、蛍光部材を構成する蛍光体粒子やバインダ樹脂などが劣化するのを抑制することができるので、照明装置の寿命が短くなるのを抑制することができる。また、レーザ光が蛍光部材の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができるので、照射領域(蛍光部材のレーザ光が照射される領域)の温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、蛍光部材の発光効率が低下するのを抑制することができる。
【0025】
また、蛍光部材から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材を設けることによって、蛍光部材から出射した蛍光を、所定の方向に反射して照明光として容易に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の照明装置の構造を概略的に示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態の照明装置の蛍光部材および支持体の構造を示した正面図である。
【図11】本発明の第6実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態の照明装置の構造を示した断面図である。
【図13】本発明の第1変形例の照明装置の構造を概略的に示した斜視図である。
【図14】本発明の第2変形例の照明装置の蛍光部材周辺の構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、断面図であってもハッチングを施さない場合がある。
【0028】
(第1実施形態)
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による照明装置1の構造について説明する。
【0029】
本発明の第1実施形態による照明装置1は、例えば自動車などの前方を照明する前照灯として用いられるものである。照明装置1は図1に示すように、レーザ光源(励起光源)として機能する半導体レーザ2(レーザ発生器)と、半導体レーザ2の前方に配置された導光部材3と、レーザ光(励起光)が照射される蛍光部材4と、蛍光部材4を支持する支持体5と、蛍光部材4を回転させるための回転機構6と、蛍光部材4から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材7とを備える。なお、後述するように、導光部材3および支持体5は必要に応じて設けられるものであり、無くてもよい。
【0030】
半導体レーザ2は半導体レーザ素子(図示せず)と半導体レーザ素子が搭載されるパッケージとによって構成されている。半導体レーザ2は例えば約380nm〜約460nmの中心波長を有するレーザ光を出射するように構成されている。
【0031】
導光部材3は半導体レーザ2から出射したレーザ光を蛍光部材4まで導光する機能を有する。導光部材3としては、光ファイバ、レンズ、反射鏡、周囲との屈折率差を利用して内部で光を反射させることにより導光する部材などを用いることができ、これらを複数組み合わせて用いてもよい。なお、導光部材3は必要に応じて設けられるものであり、例えば半導体レーザ2を蛍光部材4の近傍に配置する場合は無くてもよい。
【0032】
蛍光部材4は例えば5mm〜30mm程度の直径を有する円盤状に形成されており、レーザ光(励起光)が照射されることにより蛍光を出射する機能を有する。蛍光部材4は、例えば青紫色のレーザ光を赤色光、緑色光および青色光にそれぞれ変換する3種類の蛍光体粒子を含んでいる。この3種類の蛍光体粒子の各々は、蛍光部材4の全域にわたって略均一に含有されている。また、蛍光部材4に含有される蛍光体粒子は1種類だけであってもよい。この場合も、蛍光体粒子は、蛍光部材4の全域にわたって略均一に含有される。蛍光部材4は、蛍光体粒子をガラスや樹脂などに混ぜて固めたものや、蛍光体粒子を加圧または焼結したものなどを用いることが可能である。
【0033】
蛍光部材4は円盤状の支持体5に支持されている。蛍光部材4は例えば透光性を有する接着材(図示せず)などを用いて支持体5に固定されていてもよいし、蛍光体粒子を含有する樹脂等を支持体5の表面上に塗布することにより形成されていてもよい。
【0034】
支持体5の中心部には回転機構6の回転軸6aが固定されている。回転軸6aはモータ6bに連結されており、モータ6bを駆動することにより、回転軸6aが回転して支持体5および蛍光部材4が回転する。蛍光部材4が回転すると、照射領域S(蛍光部材4のレーザ光が照射される領域)が蛍光部材4内で周方向に移動する。これにより、レーザ光が蛍光部材4の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することが可能である。なお、照射領域Sが蛍光部材4内で移動しても、反射部材7に対する照射領域Sの相対位置は変化しない。
【0035】
蛍光部材4の回転速度は任意に設定することが可能である。例えば、蛍光部材4の回転速度を数回転〜数十回転/秒にしてもよいし、1回転以下/秒にしてもよい。また、蛍光部材4を不連続に回転させてもよい。すなわち、所定の角度(例えば30度や170度)だけ蛍光部材4を回転させ、所定の時間回転を停止し、その後、蛍光部材4をさらに所定の角度だけ回転させる、といったように回転と停止とを繰り返してもよい。すなわち、本発明では、レーザ光が蛍光部材4の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することが目的であるため、蛍光部材4の回転速度の自由度を高くすることが可能である。
【0036】
支持体5は光(励起光および蛍光)を遮光するように形成されていてもよい。この場合、支持体5は金属により形成されていてもよく、光を反射する機能を有していてもよい。支持体5が光を遮光するように形成されている場合、蛍光部材4は図2に示すように、支持体5の半導体レーザ2側の面(照射側の面)上に設けられる。
【0037】
また、支持体5は光を透過するように形成されていてもよい。この場合、蛍光部材4は、図3に示すように支持体5の半導体レーザ2とは反対側の面(照射側とは反対側の面)上に設けられていてもよいし、図2に示すように支持体5の半導体レーザ2側の面上に設けられてもよい。なお図3の場合、支持体5の全体が光を透過する必要はなく、少なくともレーザ光が照射される領域が、光を透過するように形成されていればよい。
【0038】
また、蛍光部材4は図4に示すように、支持体5の外周面上に形成されていてもよい。また、図5に示すように、支持体5を設けず、蛍光部材4の中心部に回転機構6の回転軸6aを固定してもよい。すなわち、回転機構6が蛍光部材4に取り付けられ、蛍光部材4を直接回転させてもよい。
【0039】
図1に示すように、反射部材7は蛍光部材4から出射した蛍光を外部に向かって反射する機能を有する。反射部材7の反射面7aは凹状に形成されており、例えば放物面の一部を含むように形成されている。また、反射面7aの焦点が蛍光部材4の照射領域Sと略一致するように、反射部材7が配置されていてもよい。また、蛍光部材4の照射領域Sは、反射面7aの内側に配置されていてもよい。
【0040】
本実施形態では、上記のように、蛍光部材4を回転させる回転機構6を設け、蛍光部材4を回転させることによって、照射領域Sが蛍光部材4内で移動するので、レーザ光が蛍光部材4の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができる。このため、蛍光部材4を構成する蛍光体粒子やバインダ樹脂などが劣化するのを抑制することができるので、照明装置1の寿命が短くなるのを抑制することができる。また、レーザ光が蛍光部材4の特定の領域のみを照射し続けるのを抑制することができるので、照射領域Sの温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、蛍光部材4の発光効率が低下するのを抑制することができる。
【0041】
また、蛍光部材4から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材7を設けることによって、蛍光部材4から出射した蛍光を、所定の方向に反射して照明光として容易に利用することができる。
【0042】
また、上記のように、蛍光部材4には複数種類(または1種類)の蛍光体粒子が含有されており、複数種類の蛍光体粒子の各々(または1種類の蛍光体粒子)は、蛍光部材4の全域にわたって含有されている。これにより、レーザ光を蛍光部材4のいずれの部分に照射しても、同じ発光スペクトルの蛍光(同じ色の蛍光)が蛍光部材4から出射する。すなわち、レーザ光を蛍光部材4のいずれの部分に照射しても、赤色光、緑色光および青色光が蛍光部材4から出射し白色光が得られる。このため、蛍光部材4を低速で回転させたり、一時的に停止させたとしても、白色光(赤色光、緑色光および青色光)が蛍光部材4から出射する。これにより、蛍光部材4を高速で回転させたり、常時回転させる必要がない。すなわち、回転速度の自由度を高くすることができる。なお例えば、蛍光部材が中心角120度の扇状の3つの領域に分かれており、赤色光、緑色光または青色光を出射する3種類の蛍光体粒子がそれぞれ上記3つの領域に設けられている場合、白色光を得るためには蛍光部材を1秒当たり数十回転以上させる必要がある。
【0043】
また、上記のように、蛍光部材4を支持する支持体5を設けることによって、蛍光部材4の強度を確保するために蛍光部材4の厚みを大きくする必要がない。また、蛍光部材4に回転機構6を取り付けるためのスペースが必要ないので、蛍光部材4が大型化するのを抑制することができる。また、蛍光部材4で発生する熱を支持体5に放熱させることができるので、蛍光部材4の放熱性を向上させることができる。これにより、蛍光部材4の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0044】
また、上記のように、支持体5を例えば金属により形成すれば、蛍光部材4の放熱性をより向上させることができる。これにより、蛍光部材4の温度が上昇するのをより抑制することができる。この場合、支持体5が光を反射する機能を有していれば、光の利用効率を向上させることができる。
【0045】
また、上記のように、蛍光部材4の照射領域Sを、反射面7aの焦点と略一致するように配置すれば、照明装置1から外部に出射する光(照明光)を、容易に平行光することができる。
【0046】
また、上記のように、蛍光部材4の照射領域Sを、反射面7aの内側に配置すれば、蛍光部材4から出射した蛍光の全てまたは大部分を、容易に照明光として利用することができる。
【0047】
(第2実施形態)
この第2実施形態では、支持体5が光を遮光するように形成されている場合(透光性を有しない場合)について説明する。
【0048】
本発明の第2実施形態による照明装置1は図6に示すように、半導体レーザ2と、例えばレンズからなる導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7と、回転機構6が収納される収納部材8とを備える。
【0049】
反射部材7の反射面7aは例えば放物面の一部を含むように形成されており、放物面をその頂点と焦点とを結ぶ軸(放物面の回転軸L1)に平行な面で分割したような形状に形成されている。また、反射部材7の所定の位置には、レーザ光を通過させるための貫通穴7bが形成されている。半導体レーザ2は貫通穴7bの外側に配置されている。
【0050】
収納部材8は金属製の箱状に形成されている。収納部材8は反射部材7に固定されており、収納部材8の上面8aは光を反射する反射面に形成されている。収納部材8を設けることによって、万一、半導体レーザ2から出射したレーザ光が蛍光部材4および支持体5を透過した場合であっても、レーザ光は迷光とならずに収納部材8に閉じ込めることが可能である。
【0051】
蛍光部材4は放物面の回転軸L1と略平行に配置されているとともに、反射部材7の開口面7cに対して略垂直に配置されている。また、蛍光部材4は反射部材7の反射面7aに対向するように配置されている。また、反射面7aの焦点が蛍光部材4の照射領域Sと略一致するように、反射部材7が設けられている。蛍光部材4は支持体5の半導体レーザ2側の面(照射側の面)上に形成されている。
【0052】
支持体5は光(レーザ光および蛍光)を遮光する機能を有しており、例えば金属により形成されている。
【0053】
この照明装置1では、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)に出射した光が照明光として利用される。蛍光部材4から出射した光の一部は反射部材7で反射されることなく外部に出射し、残りの光は反射部材7で反射されて外部に出射する。
【0054】
第2実施形態のその他の構造および効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0055】
(第3実施形態)
この第3実施形態では、上記第2実施形態と異なり、蛍光部材4が反射部材7の開口面7cに対して略平行に配置される場合について説明する。
【0056】
本発明の第3実施形態による照明装置1は図7に示すように、半導体レーザ2と、導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7とを備える。
【0057】
反射部材7の頂点付近には、蛍光部材4を配置するための開口部7dが形成されている。支持体5および回転機構6は反射部材7の外側に配置されている。
【0058】
蛍光部材4は放物面(反射面7a)の回転軸L1に対して略垂直に配置されているとともに、反射部材7の開口面7cに対して略平行に配置されている。また、蛍光部材4は、反射部材7の開口面7c側に向いて配置されている。半導体レーザ2は反射部材7の開口面7cの外側に配置されている。
【0059】
この照明装置1では、上記第2実施形態と同様、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)に出射した光が照明光として利用される。蛍光部材4から出射した光の一部は反射部材7で反射されることなく外部に出射し、残りの光は反射部材7で反射されて外部に出射する。
【0060】
なお、第3実施形態のその他の構造および効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0061】
(第4実施形態)
この第4実施形態では、上記第2および第3実施形態と異なり、蛍光部材4から出射した蛍光の略全てが反射部材7で反射されて外部に出射する場合について説明する。
【0062】
本発明の第4実施形態による照明装置1は図8に示すように、半導体レーザ2と、導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7と、収納部材8とを備える。
【0063】
反射部材7の所定の位置には、レーザ光を通過させるための貫通穴7bが形成されている。収納部材8の一部は反射部材7の反射面7aの内側に配置されている。
【0064】
蛍光部材4は放物面(反射面7a)の回転軸L1に対して略垂直に配置されているとともに、反射部材7の反射面7aの頂点側(開口面7cとは反対側)に向いて配置されている。
【0065】
この照明装置1では、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)に出射した光が照明光として利用される。蛍光部材4から出射した蛍光の略全てが反射部材7で反射されて外部に出射する。言い換えると、照明装置1から出射する照明光の全てが、反射部材7で1回以上反射された後、外部に出射される。
【0066】
第4実施形態のその他の構造は、上記第3実施形態と同様である。
【0067】
本実施形態では、上記のように、反射部材7は蛍光部材4から出射した蛍光の略全てを1回以上反射して外部に出射する。これにより、蛍光部材4から出射する蛍光の略全てを反射部材7により制御することができるので、所定の領域を効率よく照明することができる。
【0068】
第4実施形態のその他の効果は、上記第1〜第3実施形態と同様である。
【0069】
(第5実施形態)
この第5実施形態では、上記第4実施形態と異なり、収納部材8が設けられていない場合について説明する。
【0070】
本発明の第5実施形態による照明装置1は図9に示すように、半導体レーザ2と、導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7とを備えている。
【0071】
反射部材7の頂点付近には、レーザ光を通過させるための貫通穴7bが形成されている。
【0072】
蛍光部材4は放物面(反射面7a)の回転軸L1に対して略垂直に配置されているとともに、反射部材7の開口面7cに対して略垂直に配置されている。また、蛍光部材4は、反射部材7の反射面7aの頂点側(開口面7cとは反対側)に向いて配置されている。
【0073】
蛍光部材4の一部および支持体5の一部は、反射面7aの内側に配置されている。回転機構6は反射部材7の外側に配置されている。
【0074】
蛍光部材4の外周および支持体5の外周と反射部材7の反射面7aとの間には、反射部材7で反射した蛍光を通過させるための隙間100が形成されている。
【0075】
第5実施形態では、反射部材7の反射面7aと支持体5との間の隙間100を通過した光が照明光として利用される。隙間100が十分に大きくない場合、照明装置1の外部に蛍光を十分に取り出せなくなるので、蛍光部材4および支持体5を図10に示すように構成してもよい。具体的には、支持体5に蛍光を通過させるための開口部5aを複数形成する。そして、その開口部5aに、励起光を遮光し蛍光を透過するフィルタ9を設ける。これにより、蛍光部材4から出射した蛍光の外部への取り出し効率が低下するのを抑制することが可能ある。蛍光部材4は図10に示すように複数に分割されていてもよいし、上記第1実施形態などで説明したように円盤状に形成されていてもよい。また、開口部5aや蛍光部材4の形状は、丸や四角に限られず、任意の形状にすることが可能である。励起光の中心波長が例えば約405nmである場合は、フィルタ9として、約425nm以下の波長の光を吸収し約425nmよりも大きい波長の光を透過する、五鈴精工硝子株式会社製のITY−425などを用いることが可能である。
【0076】
この照明装置1では、上記第4実施形態と同様、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)に出射した光が照明光として利用される。蛍光部材4から出射した蛍光の略全てが反射部材7で反射されて外部に出射する。
【0077】
第5実施形態のその他の構造は、上記第4実施形態と同様である。
【0078】
本実施形態では、上記のように、蛍光部材4の外周および支持体5の外周と反射部材7の反射面7aとの間には、反射部材7で反射した蛍光を通過させるための隙間100が形成されている。これにより、反射部材7で反射した蛍光を容易に外部に出射させることができる。
【0079】
第5実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
【0080】
(第6実施形態)
この第6実施形態では、上記第2〜第5実施形態と異なり、支持体5が光を透過するように形成されている場合(透光性を有する場合)について説明する。
【0081】
本発明の第6実施形態による照明装置1は図11に示すように、半導体レーザ2と、導光部材3と、蛍光部材4と、支持体5と、回転機構6と、反射部材7とを備える。
【0082】
反射部材7の頂点付近には、蛍光を通過させるための貫通穴7bが形成されている。
【0083】
蛍光部材4および支持体5は、反射部材7の外側に配置されている。支持体5は光(励起光および蛍光)を透過するように、ガラス板などにより形成されている。
【0084】
この照明装置1では、蛍光部材4から照射側(半導体レーザ2側)とは反対側に出射した光が照明光として利用される。具体的には、蛍光部材4から照射側に出射した光は照明光として利用されない一方、蛍光部材4から照射側とは反対側(支持体5側)に出射した光は支持体5を透過して照明光として利用される。また、励起光は蛍光部材4を通過したものだけが外部に出射されるので、レーザ光である励起光を蛍光部材4内で十分に拡散させ発光点を大きくした状態で、励起光を外部に出射させることが可能である。これにより、眼に対する安全性を向上させることが可能である。このため、後述する第7実施形態のように励起光を遮光する部材(光学膜など)を用いずとも、安全に使用できる照明装置を実現することが可能である。
【0085】
第6実施形態のその他の構造および効果は、上記第5実施形態と同様である。
【0086】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による照明装置1では図12に示すように、上記第6実施形態と異なり、蛍光部材4の一部および支持体5の一部が反射面7aの内側に配置されている。支持体5は反射部材7を貫通(横断)するように設けられている。このため、上記第5実施形態と異なり、反射部材7の反射面7aと支持体5との間に隙間100は形成されていない。
【0087】
支持体5の表面上には、励起光を遮光し蛍光を透過する光学膜(図示せず)が形成されていることが好ましい。このように構成すれば、蛍光部材7から出射した蛍光は支持体5を透過して外部に出射する。その一方、蛍光部材7の表面で反射した励起光は反射面7aおよび光学膜の間で反射を繰り返し、いずれ蛍光部材4に照射され蛍光に変換される。そして、変換された蛍光は支持体5を透過して外部に出射する。このため、励起光を高効率で蛍光に変換することができ、光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0088】
また、支持体5の表面上に、励起光を遮光し蛍光を透過する光学膜を形成すれば、励起光が外部に出射するのを抑制することが可能となる。このため、眼に対する安全性をより向上させることが可能である。
【0089】
第7実施形態のその他の構造および効果は、上記第6実施形態と同様である。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0091】
例えば、上記実施形態では、本発明の照明装置を自動車の前照灯に用いた例について示したが、本発明はこれに限らない。本発明の照明装置を、飛行機、船舶、ロボット、バイクまたは自転車や、その他の移動体の前照灯に用いてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、本発明の照明装置を前照灯に適用した例について示したが、本発明はこれに限らない。本発明の照明装置をダウンライトまたはスポットライトや、その他の照明装置に適用してもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、励起光を可視光に変換した例について示したが、本発明はこれに限らず、励起光を可視光以外の光に変換してもよい。例えば、励起光を赤外光に変換する場合には、セキュリティ用CCDカメラの夜間照明装置などにも適用可能である。
【0094】
また、上記実施形態では、白色光を出射するように、励起光源(半導体レーザ)および蛍光部材を構成した例について示したが、本発明はこれに限らない。白色光以外の光を出射するように、励起光源および蛍光部材を構成してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、レーザ光を出射するレーザ発生器として、半導体レーザを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザ以外のレーザ発生器を用いてもよい。
【0096】
また、上記実施形態で示した数値は一例であり、各数値は限定されない。
【0097】
また、上記実施形態では、反射部材の反射面を放物面の一部により形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、反射面を例えば楕円面の一部により形成してもよい。この場合、蛍光部材の照射領域を反射面の焦点に位置させることにより、照明装置から出射する光を容易に集光することができる。また、反射面を多数の曲面(例えば放物面)からなるマルチリフレクタや、多数の微細な平面が連続して設けられた自由曲面リフレクタなどにより形成してもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、蛍光部材および支持体が円盤状に形成されている場合について示したが、本発明はこれに限らず、蛍光部材および支持体は円盤状以外の形状に形成されていてもよい。例えば、蛍光部材および支持体は正面から見て正方形状や多角形状に形成されていてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、蛍光部材を回転させることにより、照射領域を蛍光部材内で移動させた例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば図13に示した本発明の第1変形例による照明装置のように、蛍光部材4の面方向(例えば半径方向)に回転機構6を移動させる移動機構10をさらに設け、照射領域Sを蛍光部材4の周方向と半径方向との両方向に移動させてもよい。
【0100】
また、上記第5実施形態では、支持体が透光性を有しない場合について示したが、上記第5実施形態の構造において支持体が透光性を有してもよい。
【0101】
また、反射部材の開口面に蛍光を透過し励起光(レーザ光)を遮光するフィルタを設けてもよい。このように構成すれば、レーザ光が外部に出射するのを防止することができ、眼に対する安全性を容易に向上させることができる。
【0102】
また、図14に示した本発明の第2変形例による照明装置のように、蛍光部材4が回転することにより蛍光部材4の周囲の空気を流動させる複数のフィン部11を、支持体5と一体的に設けてもよい。そして、支持体5のうちの例えばフィン部11と蛍光部材4との間に、通気孔5bを複数設けてもよい。このように構成すれば、蛍光部材4および支持体5が回転すると、空気が通気孔5bを通過し流動する。これにより、照射領域の温度が上昇するのをより抑制することができ効果的である。なお、フィン部11は蛍光部材4の周囲に設けられていればよく、蛍光部材4や回転機構6の回転軸6aに取り付けられていてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、3種類の蛍光体粒子の各々が、蛍光部材の全域にわたって略均一に含有されている例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、蛍光部材が中心角120度の扇状の3つの領域に分かれており、3種類の蛍光体粒子がそれぞれ上記3つの領域に設けられていてもよい。ただし、この場合、白色光を得るためには蛍光部材を1秒当たり数十回転以上させる必要がある。
【符号の説明】
【0104】
1 照明装置
2 半導体レーザ(レーザ発生器)
3 導光部材
4 蛍光部材
5 支持体
6 回転機構
7 反射部材
7a 反射面
11 フィン部
100 隙間
S 照射領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発生器から出射したレーザ光が照射され、蛍光を出射する蛍光部材と、
前記蛍光部材を回転させる回転機構と、
前記蛍光部材から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記蛍光部材には複数種類または1種類の蛍光体粒子が含有されており、
前記複数種類の蛍光体粒子の各々または前記1種類の蛍光体粒子は、前記蛍光部材の全域にわたって含有されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記蛍光部材は円盤状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記蛍光部材を支持する支持体をさらに備え、
前記回転機構は前記支持体を回転させることにより、前記蛍光部材を回転させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記蛍光部材は前記支持体の前記レーザ発生器側の面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記支持体は前記蛍光を遮光する機能を有することを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記支持体は前記レーザ光を透過する機能を有し、
前記蛍光部材は、前記支持体の前記レーザ発生器とは反対側の面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項8】
前記回転機構は前記蛍光部材に取り付けられており、前記蛍光部材を直接的に回転させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記反射部材は前記蛍光部材から出射した蛍光の少なくとも一部を1回以上反射して外部に出射することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記蛍光部材は前記回転機構により回転と停止とを交互に繰り返されることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項11】
前記反射部材は、焦点を有する形状に形成された反射面を含み、
前記蛍光部材のうちの前記レーザ光が照射される照射領域は、前記反射面の焦点、または、前記反射面の焦点近傍に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記反射部材は、前記蛍光を反射する凹状の反射面を含み、
前記蛍光部材のうちの前記レーザ光が照射される照射領域は、前記反射面の内側に配置されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記蛍光部材の外周と前記反射部材との間には、前記反射部材で反射した蛍光を通過させるための隙間が形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記蛍光部材は前記反射部材を貫通して設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項15】
前記蛍光部材が回転することにより前記蛍光部材の周囲の空気を流動させるフィン部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項1】
レーザ発生器から出射したレーザ光が照射され、蛍光を出射する蛍光部材と、
前記蛍光部材を回転させる回転機構と、
前記蛍光部材から出射した蛍光を外部に向かって反射する反射部材と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記蛍光部材には複数種類または1種類の蛍光体粒子が含有されており、
前記複数種類の蛍光体粒子の各々または前記1種類の蛍光体粒子は、前記蛍光部材の全域にわたって含有されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記蛍光部材は円盤状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記蛍光部材を支持する支持体をさらに備え、
前記回転機構は前記支持体を回転させることにより、前記蛍光部材を回転させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記蛍光部材は前記支持体の前記レーザ発生器側の面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記支持体は前記蛍光を遮光する機能を有することを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記支持体は前記レーザ光を透過する機能を有し、
前記蛍光部材は、前記支持体の前記レーザ発生器とは反対側の面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項8】
前記回転機構は前記蛍光部材に取り付けられており、前記蛍光部材を直接的に回転させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記反射部材は前記蛍光部材から出射した蛍光の少なくとも一部を1回以上反射して外部に出射することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記蛍光部材は前記回転機構により回転と停止とを交互に繰り返されることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項11】
前記反射部材は、焦点を有する形状に形成された反射面を含み、
前記蛍光部材のうちの前記レーザ光が照射される照射領域は、前記反射面の焦点、または、前記反射面の焦点近傍に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記反射部材は、前記蛍光を反射する凹状の反射面を含み、
前記蛍光部材のうちの前記レーザ光が照射される照射領域は、前記反射面の内側に配置されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記蛍光部材の外周と前記反射部材との間には、前記反射部材で反射した蛍光を通過させるための隙間が形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記蛍光部材は前記反射部材を貫通して設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項15】
前記蛍光部材が回転することにより前記蛍光部材の周囲の空気を流動させるフィン部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−37867(P2013−37867A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172550(P2011−172550)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]