説明

照明装置

【課題】光源ユニットを装置本体に装着する際に、装置本体および光源ユニットの変形を防止することができる照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の照明装置1は、弾性変形する弾性部材4を備えている。弾性部材4は、装着部材5の開口51へ挿入されるに従い開口51の幅方向に収縮し、開口51を通過することで開口51の幅方向に拡張して開口51に係止される変形部42を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニットが装置本体に着脱可能に装着される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置の用途は多岐に渡っており、住宅照明のように比較的狭い室内を照明する場合もあれば、オフィスや展示場などのように広い室内を照明する場合もある。また、住宅照明には、天井へ埋め込んで取り付ける照明(ダウンライト)、天井面に直接付ける照明(シーリングライト)、天井から吊下げる照明(ペンダントライト)など、目的に応じた多くの種類が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、ダウンライト、シーリングライトに適用しうる照明装置が開示されている。図9は、特許文献1に記載の照明装置100の断面図である。図9のように、照明装置100は、天井134に直付けされたアダプタ(外郭)131に、器具本体135を装着するために、1対の板ばね136を備えている。
【0004】
具体的には、板ばね136の根元部136aは、器具本体135の外側面の下端部に形成されたばね取り付け凸部146に固定されている。板ばね136は、根元部136aから略V字状に屈曲されて器具本体135の上端部側に、斜めに延びている。器具本体135の外側面の上端部には、テーパ面が形成されており、このテーパ面がばね逃げ部143となっている。これにより、板ばね136を器具本体135側につぼめた際に、ばね逃げ部143に板ばね136の自由端側(根元部136aとは逆側の端部)が接するように弾性変形する。従って、板ばね136とともに器具本体135を、アダプタ131の底部に形成された器具取付孔(開口)に挿入することにより、器具本体135をアダプタ131に装着することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−177941号公報(2001年6月29日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の照明装置100では、器具本体135をアダプタ131に装着する際に、アダプタ131および器具本体135が変形しやすいという問題がある。
【0007】
具体的には、照明装置100では、板ばね136と共に器具本体135を、アダプタ131の器具取付け孔161に挿入することにより、器具本体135がアダプタ131に装着される。より詳細には、装着時には、板ばね136の自由端側を、夫々その弾性力に抗して器具本体135のばね逃げ部143に沿うように押し込んでつぼめる必要がある。つまり、図9中2点鎖線で示すように、板ばね136の自由端側が、器具本体135の径方向中央部にまで充分に達するように、板ばね136の屈曲部136cを支点として、板ばね136を弾性変形させなければならない。
【0008】
しかし、このように板ばね136を弾性変形させると、器具本体135を外側へ押し拡げる力が、器具本体135に作用する。さらに、図9のように、装着状態では、板ばね136が、アダプタ131の底部中央に形成された1対のばね受け片162に当接している。このため、板ばね136の弾性力は、器具本体135(ばね受け片162)を外側に押し拡げる方向に作用する。このように、板ばね136の弾性力は、器具本体135およびアダプタ131に直接作用する。従って、アダプタ131および器具本体135が変形しやすい。特に、照明装置100の軽量化のため、アダプタ131および器具本体135が薄い材料から形成されていた場合、アダプタ131および器具本体135が破損しやすい。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源ユニットを装置本体に装着する際に、装置本体および光源ユニットの変形を防止することができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る照明装置は、上記の課題を解決するために、取付部に設置される装置本体と、
上記装置本体に装着される光源ユニットと、
上記装置本体または上記光源ユニットのいずれか一方に設けられ、弾性変形する弾性部材と、
上記装置本体上記光源ユニットの他方に形成され、弾性部材が装着される被装着部とを備え、
上記被装着部には、上記弾性部材が挿入される被挿入部が形成されており、
上記弾性部材は、上記被挿入部へ挿入されるに従い、上記被挿入部の幅方向に収縮し、上記被挿入部を通過することで上記幅方向に伸張して上記被挿入部に係止される変形部を備えることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、光源ユニットを装置本体に装着するために、弾性部材と、弾性部材が装着される被装着部とを備えている。さらに、弾性部材は、弾性変形する変形部を備えている。また、弾性部材の変形部が被装着部の被挿入部に挿入されると、変形部は、被挿入部の幅方向に収縮する。一方、弾性部材の変形部が被装着部の被挿入部を通過すると、変形部は、被挿入部の幅方向に伸張する。これにより、光源ユニットは、変形部の幅が外側に広がる弾性力により、弾性部材が被挿入部に係止されることで装置本体に支持される。つまり、上記の構成においては、光源ユニットを装置本体に取り付ける際に生じる力は、変形部が被挿入部を通過する際に変形部を弾性変形させる力である。このため、本発明に係る照明装置は、従来の照明装置のように板ばねにより光源ユニットおよび装置本体に直接作用する力を生じさせることなく、光源ユニットを装置本体に取り付けることができる。従って、光源ユニットを装置本体に装着する際に、装置本体および光源ユニットの変形を防止することができる。
【0012】
なお、光源ユニットが装置本体に装着された状態では、弾性部材の変形部の幅は、被装着部の被挿入部の幅よりも大きくなる。従って、光源ユニットの重量で弾性部材が被装着部から脱落する、つまり光源ユニットが装置本体から脱落することはない。
【0013】
本発明にかかる照明装置では、上記弾性部材は、上記装置本体または光源ユニットに固定される固定部を備え、上記変形部は、上記固定部から延設され、上記固定部に対して互いに逆方向に湾曲した複数の湾曲部からなることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、変形部は、固定部から延設され、固定部に対して互いに逆方向に湾曲した複数の湾曲部から構成されている。これにより、湾曲部が、被挿入部の幅方向へ、スムーズに収縮および伸張する。従って、光源ユニットを装置本体に対し取り付けおよび取り外しの際に大きな力を必要としないので、取り付けおよび取り外し作業が容易になる。
【0015】
本発明にかかる照明装置では、上記弾性部材は、上記固定部とは逆側の端部に、上記被挿入部に係止される係止部を備えることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、弾性部材の端部に係止部が設けられている。これにより、光源ユニットを装置本体に装着する途中に、装置本体と光源ユニットとが互いに離間した状態で光源ユニットが装置本体に保持され、仮固定状態となる。従って、仮固定状態で光源ユニットとの間に作業スペースを確保することができる。それゆえ、例えば、装置本体に搭載された電源と、光源ユニットの光源との配線作業等が容易になる。
【0017】
また、光源ユニットを装置本体から取り外す際に、係止部により光源ユニットが装置本体に一旦保持されるので、取り外し作業時に光源ユニットの落下を防止することができる。
【0018】
本発明にかかる照明装置では、上記弾性部材は、上記変形部の延設方向に沿ってスリットが形成されており、上記スリットは、上記固定部とは逆側の端部まで形成されていてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、弾性部材に形成されたスリットが、固定部とは逆側の端部にまで達している。これにより、変形部の可動範囲(伸縮度)が大きくなる。その結果、小さな力で光源ユニットを装置本体に装着することができる。従って、装置本体に対する光源ユニットの着脱作業が容易になる。
【0020】
本発明にかかる照明装置では、上記弾性部材は、上記変形部の延設方向に沿ってスリットが形成されており、上記スリットは、上記固定部とは逆側の端部に達しないように形成されていてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、弾性部材に形成されたスリットは、固定部とは逆側の端部に達していない。これにより、薄い弾性部材であっても、強力な弾性力を発揮する。従って、弾性部材の薄型化が可能となる。
【0022】
本発明にかかる照明装置では、上記被装着部は、上記弾性部材を上記被挿入部に導くガイド部を備えることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、装着部材がガイド部を備えているため、装着時に、弾性部材が被装着部の被挿入部に確実に挿入される。従って、弾性部材が被挿入部の外側に誤挿入されることを防止し光源ユニットの装着作業をスムーズに実施することができる。
【0024】
本発明にかかる照明装置では、上記弾性部材は、板ばねであることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、弾性部材が汎用性の高い板ばねから構成されている。このため、弾性部材を簡便に製造することができる。従って、安価な照明装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、光源ユニットを装置本体に装着する際に、装置本体および光源ユニットの変形を防止することができる照明装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の一形態に係る照明装置の断面図であり、(a)は光源ユニットが装置本体から分離した状態を示し、(b)は光源ユニットが装置本体に装着される途中を示し、(c)は光源ユニットが装置本体に装着された状態を示している。
【図2】本発明の実施の一形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【図3】図2の照明装置における光源ユニットの平面図である。
【図4】図2の照明装置における弾性部材を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。
【図5】図2の照明装置における装着部材を示す斜視図である。
【図6】図2の照明装置における別の弾性部材を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。
【図7】図2の照明装置における別の装着部材を示す斜視図である。
【図8】図7の装着部材の開口に弾性部材が導かれるガイド作用を示す断面図であり、(a)は装着部材の開口部のガイド作用を示す図であり、(b)は装着部材のガイド片のガイド作用を示す図である。
【図9】特許文献1に記載の照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る照明装置の一例として、天井等の取付部に埋め込まれた、埋込・ストレート型の照明装置について説明する。以下の説明では、便宜上、室内(床)側を「下方(下側)」、天井(取付面)側を「上方(上側)」として説明する。なお、本願明細書において、「垂直」および「平行」とは、特に断らない限り、完全な「垂直」および完全な「平行」のみに限らず、実質的に「垂直」および実質的に「平行」であることも包含する意味である。すなわち、略垂直および略平行であることも、「垂直」および「平行」の範疇である。
【0029】
図2は、本発明の実施の一形態に係る照明装置1を示す斜視図である。図3は、照明装置1における光源ユニット3の平面図である。照明装置1は、天井等の取付部に埋め込まれて設置される装置本体2と、装置本体2に着脱可能に装着される光源ユニット3とを備えている。
【0030】
装置本体2は、照明装置1におけるシャーシ(外郭)21と、シャーシ21に搭載された電源回路部22とを備えている。
【0031】
シャーシ21は、照明装置1の取付部に埋め込まれ、ネジ等により取付部に固定される。シャーシ21は、例えば、アルミニウム、鉄、特殊樹脂などの放熱性の高い材料から構成することができる。これにより、光源ユニット3および電源回路部に生じる熱を、シャーシ21によって効率的に放熱することができる。
【0032】
電源回路部22は、光源ユニット3へ電力を供給する電源回路等の各種電子部品が実装されたものである。なお、電源回路部22には、光源ユニット3の調光用の端子台が設けられていてもよい。これにより、照明装置1の調光が可能となる。
【0033】
光源ユニット3は、照明装置1における発光部である。図2および図3に示すように、光源ユニット3は、照明カバー31と、拡散パネル32と、LEDモジュール33とから構成されている。
【0034】
照明カバー31は、シャーシ21に装着される枠体(筺体)である。照明カバー31は、シャーシ21と同様の材料から構成することができる。
【0035】
拡散パネル32は、照明カバー31における下面(底面)に設けられている。言い換えれば、拡散パネル32は、LEDモジュール33の光出射側に配置されている。拡散パネル32は、LEDモジュール33からの出射光を透光および拡散させる。拡散パネル32は、耐熱性材料から形成することが好ましい。例えば、乳白色(半透明)のポリカーボネート樹脂またはアクリルは、耐衝撃性、耐熱性、光拡散性に優れているため、拡散パネル32の構成材料として好適である。
【0036】
LEDモジュール33は、照明装置1における光源である。LEDモジュール33は、LED基板と、LED基板に搭載された複数のLEDから構成されている。照明装置1では、複数のLEDが、拡散パネル32の裏面側(照明装置1の取付部側)に、マトリクス状に配置されている。
【0037】
このような照明装置1は、光源ユニット3(LEDモジュール33)からの出射光を、拡散パネル32によって拡散させ、均一な光を室内側へ照射する。
【0038】
ここで、図1に基づいて、照明装置1の特徴的構成について説明する。図1は、本発明の実施の一形態に係る照明装置1の断面図であり、(a)は光源ユニット3が装置本体2から分離した状態を示し、(b)は光源ユニット3が装置本体2に装着される途中を示し、(c)は光源ユニット3が装置本体2に装着された状態を示している。
【0039】
照明装置1では、光源ユニット3が、取付部に固定された装置本体2に着脱可能に装着される。照明装置1は、光源ユニット3に固定された弾性部材4と、装置本体2に設けられ、弾性部材4が装着される装着部材(被装着部)5とを備えている。装着部材5には、弾性部材4が挿入される開口(被挿入部)51が形成されている。開口51は、照明装置1の取付部に対して垂直方向に貫通するように形成されている。これにより、弾性部材4を装着部材5の開口51に挿入することにより、光源ユニット3が装置本体2に装着される。
【0040】
具体的には、図4は、照明装置1における弾性部材4を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。一方、図5は、照明装置1における装着部材5を示す斜視図である。
【0041】
図4に示すように、弾性部材4は、金属製の板ばねである。弾性部材4は、固定部41と、変形部42と、係止部43とから構成されている。なお、弾性部材4は金属製に限定されず、樹脂製であってもよい。
【0042】
固定部41は、変形部42の一方の端部に形成され、係止部43は変形部42の他方の端部に形成されている。固定部41は、装置本体2に固定される。変形部42は、固定部41から延設され、弾性変形可能となっている。係止部43は、弾性部材4における固定部41とは逆側の端部に形成されている。係止部43は、弾性部材4における固定部41とは逆側の先端部が、下向き(光源ユニット3側)に折れ曲がった部分である。
【0043】
変形部42は、厚さ方向に湾曲した3つの湾曲部42a,42a,42bから構成されている。すなわち、湾曲部42bの両側に、湾曲部42aが配置されている。湾曲部42aと湾曲部42aとは、互いに逆方向に湾曲している。言い換えれば、湾曲部42aと湾曲部42bとは、互いに離間する方向に凸状に湾曲している。また、湾曲部42aは、固定部41の形成された面に対して、係止部43と同じ方向に膨らんだ凸部であり、湾曲部42bは、係止部43と逆方向に窪んだ凹部であるともいえる。光源ユニット3が装置本体2に装着されていない状態において、湾曲部42aの凸部の先端から湾曲部42bの凹部の底までの距離は、装着部材5の開口51の幅よりも大きく設定されている。
【0044】
図4の(b)に示すように、湾曲部42aと湾曲部42bとの間には、変形部42(湾曲部42a,42b)の延設方向に沿って、2本のスリット44が形成されている。各スリット44は、弾性部材4の両端部(固定部41および係止部43)には達していない。
【0045】
なお、湾曲部42aの幅Aの合計と、湾曲部42bの幅Bの合計とは等しい(図4では2A=Bである)ことが好ましい。これにより、湾曲部42aおよび湾曲部42bには、均等に弾性力が作用する。
【0046】
一方、図5に示すように、本実施形態の装着部材5は、装置本体2(シャーシ21)の内側面に固定される固定部52と、固定部52に対して垂直な開口部53とから構成されている。つまり、本実施形態の装着部材5は、固定部52と開口部53とが、L字状に配置されている。弾性部材4が挿入される開口51は、開口部53に形成されている。開口51の幅Xは、湾曲部42aの凸部の先端から湾曲部42bの凹部の底までの距離(湾曲部42aおよび湾曲部42bの各頂点の距離)よりも小さく設定されている。
【0047】
このような弾性部材4および装着部材5を備えることにより、照明装置1は、図1の(a)→(b)→(c)の順に、光源ユニット3を装置本体2に装着することが可能となる。具体的には、変形部42(湾曲部42a・42b)は、開口51へ挿入されるに従い、開口51の幅方向に収縮し、開口51を通過することで、開口51の幅方向に伸張して開口51に係止される。
【0048】
より詳細には、図1の(a)のように、光源ユニット3を装置本体2に装着する前は、光源ユニット3および弾性部材4が装置本体2から分離している。
【0049】
次に、図1の(b)のように、光源ユニット3を装置本体2へ近づけ、弾性部材4を装着部材5の開口51に挿入する。本実施形態では、弾性部材4の先端部に、係止部43が形成されている。このため、弾性部材4の係止部43が開口51に挿入されると、係止部43は、開口51に係止される。具体的には、係止部43は、装着部材5の開口51が形成された面(開口部53)に係止される。
【0050】
これにより、光源ユニット3を装置本体2に装着する途中に、装置本体2と光源ユニット3とが互いに離間した状態で光源ユニット3が装置本体2に保持され、仮固定状態となる。従って、仮固定状態で光源ユニット3と装置本体2との間に作業スペースを確保することができる。それゆえ、例えば、装置本体2に搭載された電源回路部22と、光源ユニット3のLEDモジュール33との配線作業等が容易になる。
【0051】
また、光源ユニット3を装置本体2から取り外す際に、係止部43により光源ユニット3が装置本体2に一旦保持されるので、取り外し作業時に光源ユニット3の落下を防止することができる。
【0052】
最後に、図1の(b)の仮固定状態から、光源ユニット3をさらに装置本体2側へ持ち上げ、弾性部材4の変形部42(湾曲部42a,42b)を開口51に挿入する。図1の(b)のように、変形部42は、開口51に挿入されておらず開口51外に配置された状態では、変形部42の幅(開口51への挿入方向に対して垂直方向の長さ)、つまり湾曲部42aおよび湾曲部42bの各頂点の距離は、開口51の幅よりも大きくなっている。しかし、変形部42は、弾性変形可能である。このため、光源ユニット3を装着方向にさらに持ち上げて力を加えると、弾性部材4が開口51に挿入されるに従って変形部42が開口51の中心に向かって幅が縮まる方向に収縮し(開口51の内側に撓み)、変形部42は開口51の幅方向外側に付勢される。変形部42の湾曲部42aおよび湾曲部42bの各頂点が開口51を通過するまで挿入されると、収縮した変形部42は幅が広がる方向に復元し、伸張する。このため、外部から力を加えなくても、自ずと光源ユニット3が装置本体2側(上方)へ持ち上げられる。最終的には、変形部42は固定部41側の端部が開口51近傍に到達するまで開口51に挿入され、変形部42の幅は、開口51の幅よりも大きい状態に戻る。光源ユニット3は、図1(c)に示すように復元した弾性部材4の変形部42が開口51に係止されることにより装置本体2に支持される。
【0053】
これにより、光源ユニット3が装置本体2に装着され、図1(c)に示す取付状態となる。なお、装着時とは逆の作業をすれば、光源ユニット3を装置本体2から取り外すことができる。
【0054】
このように、照明装置1では、光源ユニット3を装置本体2に装着するために、弾性部材4と装着部材5とを備えている。さらに、弾性部材4は、弾性変形する変形部42を備えている。また、弾性部材4の変形部42が装着部材5の開口51内に配置されると、変形部42は、開口51の中心に向かって収縮し、開口51の周方向に付勢する。一方、弾性部材4の変形部42が装着部材5の開口51外に配置されると、変形部42は、開口51の幅よりも大きく拡がる。これにより、光源ユニット3は、変形部42の幅が外側に広がる弾性力により弾性部材4が開口部53に係止することで装置本体2に支持される。
【0055】
つまり、本実施の形態においては、光源ユニット3を装置本体2に取り付ける際に生じる力は、変形部42が開口51を通過する際に変形部42(湾曲部42a・42b)を弾性変形させる力である。このため、従来の照明装置のように板ばねにより光源ユニット3および装置本体2に直接作用する力を生じさせることなく、光源ユニット3を装置本体2に取り付けることができる。従って、光源ユニット3を装置本体2に装着する際に、装置本体2および光源ユニット3の変形を防止することができる。
【0056】
さらに、照明装置1では、変形部42は、固定部41から延設され、固定部41に対して互いに逆方向(固定部41の厚さ方向の両側)に湾曲した複数の湾曲部42a,42bから構成されている。これにより、湾曲部42a,42bが、開口51の幅方向へ、スムーズに収縮および伸張する。従って、光源ユニット3を装置本体2に対し取り付けおよび取り外しの際に大きな力を必要としないので、取り付けおよび取り外し作業が容易になる。
【0057】
なお、図1の(b)では、いずれの弾性部材4の係止部43も、装着部材5に係止されている。しかし、一方の係止部43のみを係止させてもよい。これにより、係止された係止部43を中心に、光源ユニット3を回動させることができる。従って、より広い作業スペースを確保することができる。なお、照明装置1において、装置本体2および光源ユニット3の変形を防止する効果を得るためには、弾性部材4に係止部43を形成することは必須ではない。
【0058】
また、図1の(c)のように、光源ユニット3が装置本体2に装着された状態では、弾性部材4の変形部42の幅は、装着部材5の開口51の幅よりも大きくなる。従って、光源ユニット3の重量で弾性部材4が装着部材5から脱落する、つまり光源ユニット3が装置本体2から脱落することはない。
【0059】
また、照明装置1では、図4に示すように、弾性部材4は、変形部42の延設方向に沿ってスリット44が形成されており、このスリット44は、固定部41とは逆側の端部に達しないように形成されている。具体的には、湾曲部42aと湾曲部42bとの間には、変形部42(湾曲部42a,42b)の延設方向に沿って、2本のスリット44が形成されている。
【0060】
図4の構成では、弾性部材4に形成されたスリット44は、固定部41とは逆側の端部(係止部43側の端部)に達していない。これにより、薄い弾性部材4であっても、強力な弾性力を発揮する。従って、弾性部材4の薄型化が可能となる。
【0061】
しかし、弾性部材4は、図4の構成に限定されるものではなく、図6のような構成であってもよい。図6は、照明装置1における別の弾性部材4aを示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。具体的には、弾性部材4aは、変形部42の延設方向に沿ってスリット44が形成されており、このスリット44は、固定部41とは逆側の端部まで形成されていてもよい。この場合、図6の(b)のように弾性部材4aを平面視すると、櫛歯状になる。
【0062】
図6の構成では、弾性部材4aに形成されたスリット44が、固定部41とは逆側の端部(係止部43側の端部)にまで達している。これにより、変形部の可動範囲(伸縮度)が大きくなる。その結果、小さな力で光源ユニット3を装置本体2に装着することができる。従って、装置本体2に対する光源ユニット3の着脱作業が容易になる。
【0063】
また、図6の構成では、湾曲部42aの先端部に形成された係止部43aと、湾曲部42bの先端部に形成された係止部43とは、互いに逆方向に折畳まれている。従って、弾性部材4aを、より確実に装着部材5に係止することができる。
【0064】
また、照明装置1では、図5に示すように、装着部材5がL字状の構成である。しかし、装着部材5の形状は、L字状に限定されるものではない。例えば、図7は、照明装置1における別の装着部材(被装着部)5aを示す斜視図である。図5の装着部材5は、固定部52と開口部53との成す角は、90°である。これに対し、図7の装着部材5は、固定部52と開口部53との成す角は、鋭角となっている。すなわち、開口部53は、固定部52と反対側の端部が光源ユニット3から離れる方向(光源ユニット3が装着される方向)に傾斜している。さらに、開口部53の下面の固定部52と反対側の端部には、開口51に連結された板状のガイド片(ガイド部)54が形成されている。ガイド片54は、開口部53から固定部52と反対側に突出するように設けられ、固定部52に対して傾斜して設けられる。このような開口部53の傾斜およびガイド片54は、弾性部材4を開口51に導くガイドとなる。
【0065】
具体的には、図8は、図7の装着部材5aの開口51に弾性部材4が導かれるガイド作用を示す断面図であり、(a)は装着部材5aの開口部53のガイド作用を示す図であり、(b)は装着部材5aのガイド片54のガイド作用を示す図である。図8の(a)に示すように、弾性部材4が、シャーシ21(装置本体2)の内側面に近接して位置し、シャーシ21の下方から装着部材5に近づくと、弾性部材4は、開口部53の下面に当接する。その後、弾性部材4は、開口部53の下面(固定部52に対して鋭角に曲げられた開口部53の面)に沿って摺動し、図中矢印で示すように、開口51に導かれる。
【0066】
一方、図8の(b)に示すように、弾性部材4が、シャーシ21(装置本体2)の内側面から離隔して位置し、シャーシ21の下方から装着部材5に近づくと、弾性部材4は、開口部53の下面に形成されたガイド片54に当接する。その後、弾性部材4は、ガイド片54に沿って摺動し、図中矢印で示すように、開口51に導かれる。
【0067】
このように、装着部材5における開口部53の傾斜およびガイド片54は、弾性部材4を開口51に導くガイドとなる。このため、光源ユニット3の装着時に、弾性部材4が装着部材5aの開口51に確実に挿入される。従って、弾性部材4が開口部53の外側に誤挿入されることを防止し、光源ユニット3の装着作業をスムーズに実施することができる。
【0068】
また、照明装置1では、弾性部材4は、板ばねであることが好ましい。すなわち、弾性部材4は、汎用性の高い板ばねから構成されていることが好ましい。これにより、弾性部材4を簡便に製造することができる。従って、安価な照明装置1を実現することができる。
【0069】
なお、本実施形態の照明装置1では、光源ユニット3に弾性部材4が設けられ、装置本体2に装着部材5が設けられていた。しかし、弾性部材4が装置本体2に設けられ、装着部材5が光源ユニット3に設けられていてもよい。この場合も、上記と同様の効果が得られる。すなわち、弾性部材4は、装置本体2または光源ユニット3のいずれか一方に設けられ、装着部材5は、装置本体2または光源ユニット3の他方に設けられていればよい。
【0070】
また、本実施形態の照明装置1は、装置本体2に装着部材5が固定されていた。つまり、装置本体2と装着部材5とが別部材となっていた。このため、装置本体2を加工する必要がなく、装置本体2の側面には開口が形成されていない。これにより、装置本体2の側面から照明装置1内部に虫や埃が進入するのを防ぐことができる。従って、照明装置1は、病院、外食施設、工場等に好適である。
【0071】
しかし、装置本体2と装着部材5とが一体化されていてもよい。具体的には、装置本体2の側面の一部を内側に屈曲させ、これにより装置本体2の内側に突出した上記側面の一部に、装着部材5の開口51に相当する開口(被挿入部)を形成してもよい。また、装置本体2の側面に弾性部材4が挿入して係止される開口(被挿入部)を直接設けてもよい。これにより、部材点数を削減できると共に、照明装置を軽量化することもできる。なお、装置本体2にこのような開口が直接形成されている場合、装置本体2に、弾性部材4が装着される被装着部が設けられることになる。
【0072】
また、装着部材5に形成される開口51は、弾性部材4が挿入され係止される構成であれば、切り欠、溝などであってもよい。
【0073】
また、本実施形態では、光源としてLEDを備える照明装置1について説明した。しかし、光源はLEDに限定されるものではなく、蛍光体、エレクトロルミネッセンス素子、半導体光源等の各種発光素子であってもよい。また、光源の色は任意に設定すればよい。ただし、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)は、長寿命、低消費電力といった利点を有する。
【0074】
また、本実施形態では、天井埋込型の照明装置1について説明した。しかし、本発明の照明装置は、照明装置1に限定されるものではなく、装置本体2に光源ユニット3が装着される照明装置全般に適用することが可能である。
【0075】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 照明装置
2 装置本体
3 光源ユニット
4 弾性部材
4a 弾性部材
5 装着部材(被装着部)
5a 装着部材(被装着部)
41 固定部
42 変形部
42a 湾曲部
42b 湾曲部
43 係止部
43a 係止部
44 スリット
51 開口(被挿入部)
53 開口部(開口面)
54 ガイド片(ガイド部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部に設置される装置本体と、
上記装置本体に装着される光源ユニットと、
上記装置本体または上記光源ユニットのいずれか一方に設けられ、弾性変形する弾性部材と、
上記装置本体または上記光源ユニットの他方に設けられ、上記弾性部材が装着される被装着部とを備え、
上記被装着部には、上記弾性部材が挿入される被挿入部が形成されており、
上記弾性部材は、上記被挿入部へ挿入されるに従い、上記被挿入部の幅方向に収縮し、上記被挿入部を通過することで上記幅方向に伸張して上記被挿入部に係止される変形部を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記弾性部材は、上記一方に固定される固定部を備え、
上記変形部は、上記固定部から延設され、上記固定部に対して互いに逆方向に湾曲した複数の湾曲部からなることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記弾性部材は、上記固定部とは逆側の端部に、上記被挿入部に係止される係止部を備えることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
上記弾性部材は、上記変形部の延設方向に沿ってスリットが形成されており、
上記スリットは、上記固定部とは逆側の端部まで形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の照明装置。
【請求項5】
上記弾性部材は、上記変形部の延設方向に沿ってスリットが形成されており、
上記スリットは、上記固定部とは逆側の端部に達しないように形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の照明装置。
【請求項6】
上記被装着部は、上記弾性部材を上記被挿入部に導くガイド部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
上記弾性部材は、板ばねであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−80592(P2013−80592A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219291(P2011−219291)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】