説明

照明連動型暖房制御装置

【課題】制御機器2により部屋に設置したヒータ3の通電/非通電の制御を行って暖房制御を行う際に、省エネルギの効果を高める。
【解決手段】端末送信機1を部屋の照明用のスイッチケース10内に内蔵させ、照明スイッチ10aのオンにより端末送信機1に通電し、端末送信機1から無線信号を送信する。制御機器2でスケジュール時間に基づいて部屋に設置したヒータ3の通電/非通電の制御を行う。制御機器2において、スケジュール時間になるとヒータ3に通電し、遅延時間(所定時間)内に端末送信機1からの無線信号が受信されると、ヒータ3への通電を続行する。遅延時間内に端末送信機1からの無線信号が受信されなければ、ヒータ3を非通電にする。その後、スケジュール時間内に端末送信機1からの無線信号が受信されると、ヒータ3に通電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋に設置したヒータのへの通電/非通電を制御機器により制御する暖房制御装置に関し、特に照明に連動して制御する照明連動型暖房制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部屋の暖房を制御するシステムとして、例えば特開2002−139226号公報(特許文献1)、特開2002−271506号公報(特許文献2)に開示されたものがある。特許文献1のものは、床暖房リモコンの操作に応じてシステムコントローラが暖房水の流路を制御するようにした床暖房器であり、部屋を複数の暖房エリアに区分して暖房エリアを選択することで、部屋の床暖房を無駄なく行うものである。特許文献2のものは、パーソナルコンピュータや携帯電話の操作によりネットワークを介して遠隔制御装置と通信を行ったり、遠隔制御装置に対してリモコン操作をするようにした遠隔制御システムであり、遠隔制御装置がエアコンの動作制御を行うものである。
【0003】
このように、リモコン操作やパーソナルコンピュータあるいは携帯電話などで操作する場合は、こまめなオン/オフが可能であるが、操作が煩わしい場合がある。これに対して、特許文献1のものは、タイマー機能により運転時間を設定して床暖房を制御できるようにしている。また、特許文献2のものは、タイマー運転・停止によりエアコンを制御できるようにしている。
【0004】
また、部屋に設置したヒータへの通電/非通電を制御機器により制御する暖房制御装置において、制御機器にスケジュール時間を予め設定しておき、制御機器はこのスケジュール時間になるとヒータへの通電を開始し、スケジュール時間を過ぎるとヒータへの通電を遮断するような、ヒータのオン/オフ制御を行うものがある。これも、タイマーによる制御と同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−139226号公報
【特許文献2】特開2002−271506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1及び特許文献2におけるタイマーによる暖房運転の制御を行う場合、あるいは、スケジュール時間に基づいてヒータへの通電/非通電を制御する暖房制御装置においては、運転/停止の動作は自動で行われるが、人がいない部屋においてもタイマーの設定時間あるいはスケジュール時間に達すると暖房運転が開始されてしまう。このため、無駄な暖房を行うことになり、省エネルギという点で改良の余地がある。
【0007】
本発明は、部屋に設置したヒータへの通電/非通電を制御機器によりスケジュール時間に基づいて制御する暖房制御装置において、無駄な暖房運転を低減して省エネルギを図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の照明連動型暖房制御装置は、無線信号を受信する無線通信手段を備えるとともに、予め設定されたスケジュール時間に基づいて部屋に設置したヒータへの通電/非通電の制御を行う制御機器と、前記部屋の照明スイッチのオン/オフに連動し通電状態/非通電状態となり、通電状態のとき前記無線信号を前記制御機器に送信する端末送信機と、を備えた照明連動型暖房制御装置であって、前記制御機器は、前記スケジュール時間になると前記ヒータに通電し、所定時間が経過したときに前記端末送信機から無線信号が受信されていれば前記ヒータへの通電を続行し、前記所定時間が経過したときに前記端末送信機から無線信号が受信されなければ前記ヒータを非通電にするとともに、その後、当該スケジュール時間内に前記端末送信機から無線信号が受信されれば前記ヒータに通電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の照明連動型暖房制御装置によれば、ヒータへの通電/非通電の制御を行う際に、制御機器は端末送信機からの無線信号の受信状態/非受信状態に基づいて、スケジュール時間に基づくヒータへの通電/非通電の制御を行い、スケジュール時間になってヒータに通電した後、所定時間が経過しても端末送信機からの無線信号が受信されなければヒータを非通電にする。一般に人が部屋に不在のときは、照明スイッチがオフとなり、端末送信機からの無線信号が非受信状態になるため、ヒータを非通電として無駄な暖房運転を抑えることができ、さらなる省エネルギが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の照明連動型暖房制御装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施形態の端末送信機及び照明回路のブロック図である。
【図3】実施形態の制御機器のブロック図である。
【図4】実施形態における動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は実施形態の照明連動型暖房制御装置の概略構成を示す図、図2は実施形態における端末送信機及び照明回路のブロック図、図3は実施形態における制御機器のブロック図である。この照明連動型暖房制御装置は、例えばA室及びB室の2つの部屋に対して設けられたものである。各部屋は壁にスイッチケース10が埋設されており、天井に照明装置20が取り付けられている。スイッチケース10は人が手で操作する照明スイッチ10aを備えており、照明スイッチ10aがオンすると商用電源30から照明装置20に通電されて照明装置20が点灯する。照明スイッチ10aがオフすると通電が絶たれて照明装置20が消灯する。
【0012】
各部屋のスイッチケース10,10内には小型の端末送信機1,1がそれぞれ搭載されている。各部屋の端末送信機1,1は照明スイッチ10aのオンに連動して通電状態になり、制御機器2に対してそれぞれ無線信号を送信する。この無線信号は予め決められたフォーマットである。また、制御機器2は、2つの部屋にそれぞれ設けられたヒータ3,3の通電/非通電の制御を行い、各部屋のそれぞれに対して例えば床暖房を行う。以下の説明では、制御機器2に対して1つの端末送信機1について説明するが、各端末送信機1,1は同じ構造であり、また、各端末送信機1,1は制御機器2に対して互いに独立して対等な関係にある。
【0013】
図2に示すように、端末送信機1は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)11、無線通信手段としての送信部12、電源回路13等から構成されている。送信部12は、短距離無線通信規格(例えば数十メートルの送受信距離)でデータを送信する回路であり、この送信部12から無線信号を制御機器2に無線送信する。電源回路13は、照明スイッチ10aと照明装置20との間で、商用電源30に対して照明装置20と並列に接続されており、照明スイッチ10aがオンとなると電源回路13に通電され、端末送信機1が動作する。照明スイッチ10aがオフとなると電源回路13への通電が絶たれて、端末送信機1が動作を停止する。マイコン11には実行するためのプログラムが記憶されており、電源回路13に通電されるとマイコン11がプログラムを実行することで送信部12が無線信号を送信する送信動作が行われる。
【0014】
図3に示すように、制御機器2は、マイコン(マイクロコンピュータ)21、無線通信手段としての受信部22、操作パネル23、タイマー24、時計25及び電源回路26等から構成されている。受信部22は端末送信機1の送信部12と同様に短距離無線通信規格でデータを受信する回路である。操作パネル23はスケジュール時間等の各種設定を行うものである。タイマー24は、所定時間としての遅延時間を計時する。時計25は、時間、日、曜日、月、年の情報の計時及び更新を行うカレンダー機能の役割をするものであり、この時計25で得られるカレンダー機能に基づいて、スケジュール時間の判定を行う。マイコン21には実行するためのプログラムが記憶されており、マイコン21がこのプログラムを実行することで受信部22の受信動作、ヒータ3に対する通電/非通電の制御等が行われる。また、マイコン21には、操作パネル23により設定されたスケジュール時間等の各種設定情報が記憶される。なお、この制御機器2は電源回路26を介した商用電源を動作用電源として動作する。
【0015】
ここで、A室の端末送信機1とB室の端末送信機1とは、制御機器2に対して同じプロトコルで無線信号を送信するが、2つの端末送信機1,1には、それぞれユニークなIDコード(あるいはアドレス)が設定されており、このIDコードが無線信号に含まれている。そして、制御機器2はこのIDコードにより受信した無線信号がどの端末送信機1のものであるかを識別することができ、その識別した端末送信機1に対応するヒータ3の制御を行う。
【0016】
図4は実施形態における動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、端末送信機1において、「オン」は照明スイッチ10aがオンとなって照明装置20が点灯するとともに無線信号を送信している状態である。また、「オフ」は照明スイッチ10aがオフとなって照明装置20が消灯するとともに無線信号を送信していない状態である。また、「遅延時間」は所定時間に相当する。
【0017】
第1例(A)は、スケジュール時間の途中で端末送信機1の無線信号の送信がオン/オフした例である。スケジュール時間の運転開始のタイミングとなると、制御機器はヒータに通電し、無線信号が受信されない状態(オフ)で遅延時間が経過すると、ヒータを非通電にする。その後、このスケジュール時間内で無線信号が受信(オン)されると、ヒータに通電する。さらに、その後、スケジュール時間内で無線信号が受信されなくなると、ヒータを非通電にする。この場合、スケジュール時間内でヒータを非通電としている間だけ省エネルギとなる。
【0018】
第2例(B)は、遅延時間内に端末送信機1の無線信号の送信がオンとなった場合である。スケジュール時間の運転開始のタイミングとなると、制御機器はヒータに通電し、遅延時間が経過するまでに無線信号が受信されると、ヒータの通電を続行する。その後、スケジュール時間内で無線信号が受信されなくなると、ヒータを非通電にし、さらに、その後、無線信号が受信されるとヒータに通電する。そして、スケジュール時間の運転停止のタイミングから遅延時間が経過する間に無線信号が受信されなくなると、ヒータを非通電にする。この場合、スケジュール時間内でヒータを非通電としている間だけ省エネルギとなる。
【0019】
第3例(C)は、スケジュール時間の前後で端末送信機1の無線信号の送信がオン/オフした例である。スケジュール時間の運転開始のタイミング前に無線信号が受信されると、その時点でヒータに通電する。そして、スケジュール時間の運転停止のタイミングから遅延時間が経過すると、無線信号が受信されていても、ヒータを非通電にする。
【0020】
以上のように、制御機器2は、スケジュール時間になるとヒータ3に通電し、遅延時間(所定時間)が経過したときに端末送信機1から無線信号が受信されていればヒータ3への通電を続行している。また、スケジュール時間の運転開始のタイミングから遅延時間が経過したときに、端末送信機1から無線信号が受信されなければヒータ3を非通電にし、その後、スケジュール時間内に端末送信機1から無線信号が受信さればヒータ3に通電している。このような動作により、無駄な暖房を低減し、省エネルギを図れる。
【符号の説明】
【0021】
1 端末送信機
2 制御機器
3 ヒータ
10 スイッチケース
10a 照明スイッチ
20 照明装置
11 マイコン
12 送信部
13 電源回路
21 マイコン
22 受信部
23 操作パネル
24 タイマー
25 時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を受信する無線通信手段を備えるとともに、予め設定されたスケジュール時間に基づいて部屋に設置したヒータへの通電/非通電の制御を行う制御機器と、前記部屋の照明スイッチのオン/オフに連動し通電状態/非通電状態となり、通電状態のとき前記無線信号を前記制御機器に送信する端末送信機と、を備えた照明連動型暖房制御装置であって、前記制御機器は、前記スケジュール時間になると前記ヒータに通電し、所定時間が経過したときに前記端末送信機から無線信号が受信されていれば前記ヒータへの通電を続行し、前記所定時間が経過したときに前記端末送信機から無線信号が受信されなければ前記ヒータを非通電にするとともに、その後、当該スケジュール時間内に前記端末送信機から無線信号が受信されれば前記ヒータに通電することを特徴とする照明連動型暖房制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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