説明

熟成発酵黒ニンニクの加工物及び熟成発酵黒ニンニクの加工物の製造方法

【課題】
消化器官の老廃物や毒素の吸収・吸着による洗浄効果を得られる熟成発酵黒ニンニクの加工物を提供すること。また、同時に抗疲労や抗ストレス効果、高い抗酸化作用に基づく生活習慣病の予防効果などのニンニクの多様な効果も得られる熟成発酵黒ニンニクの加工物を提供すること。また、摂取が容易であり、これらの効果をより一層効率よく得ることのできる熟成発酵黒ニンニクの加工物を提供すること。
【解決手段】
熟成発酵された黒ニンニクを乾燥させ、ついで、この熟成発酵黒ニンニクの加工物を粉砕して粒状化し、さらにこの粒状化した熟成発酵黒ニンニクの加工物を炭素化させるようにして炭素化された熟成発酵黒ニンニクの加工物を得る。乾燥されるとともに粒状化された熟成発酵黒ニンニクの加工物と、炭素化されるとともに粒状化された熟成発酵黒ニンニクの加工物とを8対2の重量比率にて混合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熟成発酵黒ニンニクの加工物及び熟成発酵黒ニンニクの加工物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ニンニクを自己発酵させた熟成発酵黒ニンニクや、これを含む飲食物などが提供されている。ニンニクの抗疲労や抗ストレス効果、高い抗酸化作用に基づく生活習慣病の予防効果、免疫賦活、抗ウイルス、抗菌作用による感染症予防効果、肝臓保護効果、老化防止効果などの多様な効果が認められているが、これに含まれるアリシンの強い臭いや、これを起因として摂取後の吐息に含まれる不快臭が敬遠されるため、従来、ニンニクを食材とするのに一部において敬遠される傾向が見られてきた。そこで、この臭いなどを抑制するために、酵母発酵を利用して製造する食後無臭ニンニク(例えば特許文献1参照)や、生ニンニクを超高圧で処理しアリイナーゼを不活性化する無臭ニンニクの製造方法(例えば特許文献2参照)などが提案され、種々の飲食物、加工食品、健康食品などに用いられることとなっている
【0003】
【特許文献1】特開平10−80258号公報
【特許文献2】特開平7−87920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した従来の多くの熟成発酵黒ニンニク及びその抽出物などは、上記した抗疲労や抗ストレス効果、高い抗酸化作用に基づく生活習慣病の予防効果などのニンニクの多様な効果を得られるものの、消化器官の老廃物や毒素の吸収・吸着による洗浄効果を得られることが期待されていた。また、これらの二つの効果を同時に得ることや、摂取が容易でこれらの効果をより一層効率よく得ることのできる熟成発酵黒ニンニクの加工物が望まれていた。
【0005】
本発明は上記した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、消化器官の老廃物や毒素の吸収・吸着による洗浄効果を得られる熟成発酵黒ニンニクの加工物を提供することを目的とする。また、同時に抗疲労や抗ストレス効果、高い抗酸化作用に基づく生活習慣病の予防効果などのニンニクの多様な効果も得られる熟成発酵黒ニンニクの加工物を提供することも目的とする。また、摂取が容易であり、これらの効果をより一層効率よく得ることのできる熟成発酵黒ニンニクの加工物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の採った手段を以下に説明する。本発明の熟成発酵黒ニンニクの加工物は、炭素化された熟成発酵黒ニンニクの加工物(請求項1)であるである。
【0007】
熟成発酵黒ニンニクを炭素化することにより、消化器官内の老廃物や毒素を吸収・吸着して洗浄する効果を増すことができる。炭には、有害物質などを良く吸着する効果が認められている。このため、人が対内に摂取した際には、消化器官内の老廃物や毒素を吸収・吸着して洗浄する効果を得ることができる。
【0008】
また、請求項1に記載の熟成発酵黒ニンニクの加工物を粒状化されたものとすることもできる(請求項2)。
【0009】
粒状化することにより消化器官内の老廃物や毒素の吸着などをより効率よく行わせることができ、上述した洗浄効果をより一層高めることができる。
【0010】
また、粒状化されるとともに乾燥された熟成発酵黒ニンニクの加工物と、請求項1に記載の粒状化された熟成発酵黒ニンニクの加工物とを混合してなる熟成発酵黒ニンニクの加工物(請求項3)とすることもできる。
【0011】
上述した炭素化されるとともに粒状化された熟成発酵黒ニンニクの加工物に加えて、乾燥されるとともに粒状化された熟成発酵黒ニンニクの加工物を混合した加工物によれば、上述した老廃物の洗浄効果に加えて、同時に、ニンニク特有の抗疲労や抗ストレス効果、高い抗酸化作用に基づく生活習慣病の予防効果などを十分に得ることができる。また、炭素化した熟成発酵黒ニンニクの加工物を大量に摂取することが困難な場合には、このような混合物を摂取することによって、炭素化した熟成発酵黒ニンニクの加工物を適量摂取することが可能である。
【0012】
また、粒状化されるとともに乾燥された熟成発酵黒ニンニクの加工物と、請求項1に記載の粒状化された熟成発酵黒ニンニクの加工物とが8対2の重量比率にて混合された熟成発酵黒ニンニクの加工物(請求項4)とすると、抗疲労や抗ストレス効果、高い抗酸化作用に基づく生活習慣病の予防効果と老廃物等の洗浄効果の二つをバランス良く実現できる。上述のように、炭素化した熟成発酵黒ニンニクの加工物を大量に摂取することが困難な場合には、このような混合比率において混合された混合物を摂取することによって、ニンニク特有の抗疲労や抗ストレス効果、高い抗酸化作用に基づく生活習慣病の予防効果などとともに消化器官内の老廃物や毒素を吸収・吸着して洗浄する効果をバランス良く得ることができる。
【0013】
また、請求項2の熟成発酵黒ニンニクの加工物の製造方法として、熟成発酵された黒ニンニクを乾燥させ、ついで、この熟成発酵黒ニンニクの加工物を粉砕して粒状化し、さらにこの粒状化した熟成発酵黒ニンニクの加工物を炭素化させるようにすることもできる(請求項5)。
【0014】
このように前もって熟成発酵黒ニンニクを乾燥させると共に粒状化した上で炭素化することにより、均一に炭素化された熟成発酵黒ニンニクを容易に得ることができ、炭素化された熟成発酵黒ニンニクを効率よく製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熟成発酵黒ニンニクの加工物を上記のように構成されているので、消化器官の老廃物や毒素の吸収・吸着による洗浄効果を得ることができ、便秘の解消や腸内洗浄効果による健康維持に寄与することができる。また、ダイエット効果も期待できる。また、請求項2の熟成発酵黒ニンニクの加工物は、これに加えてこれらの効果をより一層効率よく得ることもできる。また、請求項3及び請求項4の熟成発酵黒ニンニクの加工物は、これに加えて、抗疲労や抗ストレス効果、高い抗酸化作用に基づく生活習慣病の予防効果などのニンニクの多様な効果も得ることができる。特に請求項4の熟成発酵黒ニンニクの加工物ではこれらの二つの効果をバランス良く得ることができる。また、請求項5の熟成発酵黒ニンニクの加工物の製造方法では、炭素化された熟成発酵黒ニンニクを効率よく製造することにより、製造コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明について図を参考にして詳細に説明する。図1から図4に示すように、本発明の熟成発酵黒ニンニクを、専用の乾式熟成庫10によって製造する。ここで説明するのは、以降で説明する乾燥工程及び炭素化工程に先立って熟成発酵黒ニンニクを製造する工程である。
【0017】
乾式熟成庫10は、縦長直方体の本体12内に、熟成発酵前の生ニンニクを収容するボックス14を36個収容可能に設けられており、縦二列・横三列にボックス14を四個配列可能な段部16を上下方向に六段設けている。
【0018】
ボックス14は、本例では全て同一のものを用いているが、縦295ミリメートル・横225ミリメートル・高さ225ミリメートルに設けられ、その内部に約5キログラムの生ニンニクを収容可能に設けられている。また、ボックス14は密閉可能に設けられており、具体的にはボックス14は、直方体状のポリプロピレン製とされており、バスタブ形状のボックス本体13と、このボックス本体13に対して取付自在な蓋15からなる。そして、蓋15の下部外周端にはボックス本体13との密閉のためのシール部材(図示省略)が取り付けられ、本体内部が外気と遮断可能に設けられている。このため、後述するように、熟成発酵時に発生するニンニクの硫黄化合物を起因とする強酸性ガスにより本体12などの周辺機器が腐食するおそれを低減させることができ、乾式熟成庫10の使用可能期間を大きく伸ばすことが可能である。
【0019】
本体12内の上部及び下部にはそれぞれ、乾式熟成庫10内の温度を上昇させるための二機の遠赤外線ヒーター18がその長手方向を平行にして併設されている。また、本体12内の下部中央付近には、ヒータ18によって暖められた本体12内の内気を循環させるための、循環ファン20が設置されている。
【0020】
また、本体12は、開閉可能な扉22がその正面側に取り付けられ、この扉22を閉じることにより、本体12内を密閉可能に設けられている。また、後述するように、本体12上面及び側面下方には、除湿乾燥機30が接続される取付口24が設けられている。
【0021】
このように設けられた乾式熟成庫10によって、以下のように生ニンニクの熟成発酵の工程を行う。まず最初に、乳酸菌液を配合した発酵促進液に約30分程度、生ニンニクを浸す。ついで、ボックス14にこの生ニンニクを所望量収容する。本例では、約50個、5キログラム程度を収容する。ボックス14を密閉した後に、生ニンニクを収容したそれぞれのボックス14を段部16上に載置し、本体12の扉22を閉じて乾式熟成庫10自体も密閉する。
【0022】
次いでヒーター18により本体12内の雰囲気を約40℃〜約50℃に約48時間内において保つ。次いでこの後さらに約11日間内において約65℃〜約72℃に保つ。この工程によって生ニンニクの自己発酵を行わせ、熟成発酵黒ニンニクを得る。なお、熟成発酵黒ニンニクを得る上記の工程は一例であり、他の工程によって熟成発酵黒ニンニクを得ることとしても良い。
【0023】
次いで、得られた熟成発酵黒ニンニクを乾燥させる乾燥工程について説明する。図5に示すように、この乾燥工程では、上記した乾式熟成庫10のうち、ボックス14に替えて網状のかご様のボックス32を用いる。
【0024】
上記製造方法を例として製造された熟成発酵黒ニンニクをこのボックス32に移し替えるとともに再度乾式熟成庫10にボックス32と共に収容する。また、取付口24に接続された除湿乾燥機30を稼働させるとともに、ヒーター18により本体12内を約50時間内において約80℃〜約90℃に保つ。なお、この乾燥工程では収容される黒ニンニクの乾燥を目的とし、後で述べる黒ニンニクの炭素化を目的とはしない。また、乾燥工程は、他の方法によっても実現できる。
【0025】
次いで、上記した乾燥工程において乾燥された黒ニンニクを粒状物に至るまで粉砕する。粉砕方法は適宜の手段を用いれば良い。本例では120meshpassが94.35%、80〜120meshpassが3.94%、60〜80meshpassが1.20%、30〜60meshpassが0.35%となるまで粉砕した。全体として、粒径をこのようなものとなるように粉砕したことにより、体内に摂取された際に吸収されやすく、また、後述する炭素化工程後の黒ニンニクについては、消化器官内の老廃物を吸着し易く設けられている。なお、全ての粒状物を本例よりも小さな粒径としても良いが、粉砕作業のコストも考慮すると本例程度の粒径とすることでもその効果を期待することができる。なお、ここでこの粒状物を「第一の粉体」とする。
【0026】
さらに図6に示すように、この黒ニンニクを炭化装置40に移し替える。炭化装置40は、ほぼ密閉された容器状に設けられる一方、排気管42が接続されている。また、炭化装置40内にはマイクロ波発生装置44が設置されている。この炭素化工程では、収容される黒ニンニクを炭素化することを目的とする。
【0027】
マイクロ波発生装置44からは、2.5ギガヘルツのマイクロ波を照射し、これを乾燥させた黒ニンニク100グラムにつき、約10分保つ。なお、これにより収容された黒ニンニクは約500℃〜約600℃にまで至る。同時に、排気管42を介して、炭化装置40の内気を排出させる。この炭素化工程により黒ニンニクは炭素化されることになる。なお、ここでこの粒状物を「第二の粉体」とする。なお、炭素化工程は、例えばヒーターを用いて行うなど上述の方法以外の他の方法によっても実現できるが、マイクロ波発生装置44を用いることにより黒ニンニクをより均一に炭素化させることができる。
【0028】
次いで、上述の第一の粉体と第二の粉体とを混合する。ここでは、第一の粉体と第二の粉体とを8対2の割合で混合する。これを「混合粉体」とする。この混合粉体について必要に応じて水溶性カプセル容器などに収容しても良い。炭素化された熟成発酵黒ニンニクのPH値は、5〜6となっており、熟成発酵黒ニンニクのPH値4〜4.5に比べて、アルカリ性側とすることができる。この混合粉体を摂取することにより、抗疲労や抗ストレス効果、高い抗酸化作用に基づく生活習慣病の予防効果などの従来からのニンニクの摂取効果の他に、消化器官の老廃物の洗浄効果を顕著に生ぜしめることができる。なお、この混合粉体の成分については、以下の通りである。
【0029】
以下の成分等は、いずれも、前述した混合粉体100グラム中の値である。エネルギー:324キロカロリー、水分:6.7グラム、タンパク質:22.1グラム、脂質:1.3グラム、糖質:46.6グラム、食物繊維:18.5グラム、灰分:4.8グラム、ナトリウム:33.9ミリグラム。また、含有されるアミノ酸については以下の通りである。アルギニン:0.29グラム、リジン:0.11グラム、ヒスチジン:0.12グラム、フェニルアラニン:0.32グラム、チロシン:0.31グラム、ロイシン:0.60グラム、イソロイシン:0.33グラム、メチオニン:0.16グラム、バリン:0.51グラム、アラニン:0.44グラム、グリシン:0.45グラム、プロリン:0.26グラム、グルタミン酸:2.32グラム、セリン:0.37グラム、スレオニン:0.33グラム、アスパラギン酸:1.01グラム、トリプトファン:0.10グラム、シスチン:0.35グラム。
【0030】
なお、本発明は上記した実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、必要に応じて、乾燥工程後の黒ニンニクを粒状に粉砕せずに炭素化させたものを黒ニンニクの加工物として摂取するなどすることも可能である。また、第二の粉体またはこの第二の粉体のみを水溶性カプセル容器に収容したものを摂取するなどとすることも可能である。この場合においても、消化器官の洗浄について一定の効果をもたらすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に用いる乾式熟成庫の透視正面図である。
【図2】本発明に用いる乾式熟成庫の透視右側面図である。
【図3】本発明に用いる乾式熟成庫の透視平面図である。
【図4】本発明に用いる乾式熟成庫の透視斜視図である。
【図5】本発明に用いる乾式熟成庫の透視斜視図である。
【図6】本発明に用いる炭化装置の透視正面図である。
【符号の説明】
【0032】
10;乾式熟成庫、12;本体、13;ボックス本体、14;ボックス、15;蓋、16;段部、18;ヒーター、20;循環ファン、22;扉、24;取付口、30;除湿乾燥機、32;ボックス、40;炭化装置、42;排気管、44;マイクロ波発生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素化された熟成発酵黒ニンニクの加工物。
【請求項2】
粒状化された請求項1に記載の熟成発酵黒ニンニクの加工物。
【請求項3】
粒状化されるとともに乾燥された熟成発酵黒ニンニクの加工物と、請求項1に記載の粒状化された熟成発酵黒ニンニクの加工物とを混合してなる熟成発酵黒ニンニクの加工物。
【請求項4】
粒状化されるとともに乾燥された熟成発酵黒ニンニクの加工物と、請求項1に記載の粒状化された熟成発酵黒ニンニクの加工物とが8対2の重量比率にて混合された熟成発酵黒ニンニクの加工物。
【請求項5】
熟成発酵された黒ニンニクを乾燥させ、ついで、この熟成発酵黒ニンニクの加工物を粉砕して粒状化し、さらにこの粒状化した熟成発酵黒ニンニクの加工物を炭素化させることを特徴とする請求項2に記載の熟成発酵黒ニンニクの加工物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−57386(P2010−57386A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223980(P2008−223980)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(507396334)
【出願人】(507396471)
【Fターム(参考)】