説明

熱および化学線硬化型接着剤組成物

本明細書においては、高い接着強度および光学的透明性を有し、硬化状態においてリワーク性を有し、かつ光漏れやプーリング現象を示す傾向が低い、熱および化学線硬化型接着剤組成物を開示する。この組成物は、連鎖移動剤、複数のエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレートモノマー、熱重合開始剤、および光重合開始剤を含む。この組成物は、任意選択により光安定剤を含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱および化学線硬化型(光硬化型)接着剤組成物を対象とする。
【0002】
今日の市場における液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネルディスプレイは、特殊なフィルムによって画質を高めたものが多い。このフィルムは可撓性または硬質のものであってもよい。このようなフィルムは、フラットパネルディスプレイの光学的性能の最適化、例えば、視覚コントラスト、輝度の向上、グレアの除去、色の向上、および鮮明度の向上を行うように設計されている。通常、フィルムは、ディスプレイの視認側に適用される。適用方法には、ディスプレイに直接容易に貼合するための光学的に透明な感圧接着剤を使用することが含まれる。
【0003】
硬化型接着剤(例えば、熱または光硬化型)は、基板が実質的に永久的かつ高強度の付着力を必要とする用途に用いられてきた。しかしながら、一般に、従来の硬化型接着剤は、テープのように容易に適用できるものではない。フィルムを基材に適用するための粘着材料が米国特許第6,139,953号明細書に記載されている。光学製品用途(例えば、グレージング)の場合、光学的に透明な強力に付着した積層体(例えば、層状基板)を得ることができる硬化型接着剤が求められてきた。
【0004】
強度および適用の容易さの両方を達成するために、光学用途に使用することができるハイブリッド組成物が開発された。例えば、光硬化型ポリエステル系接着剤がプラスチックグレージング用途に用いられてきた。デジタル・ビデオ・ディスク(DVDまたは光ディスク)の貼り合わせおよびブラウン管(CRT)用途においては、液状接着剤配合物が用いられてきた。再帰反射物品の製造におけるビーズの貼着用としては、硬化型高分子網目が提案されてきた。
【0005】
しかしながら、多くの光学基板/積層体に求められる条件は強度および適用に関するものだけではない。特定の光学製品は、熱、UV(太陽)光、水等の過酷な環境条件に曝される。例えば、自動車のフロントガラスは、通常、あらゆる種類の天候に曝される屋外環境に存在する。このようなフロントガラスは、典型的には、多層光学フィルム(MLOF)(3M Co.(St.Paul,Minn.))から作製された太陽光または赤外(IR)反射フィルムに接着されたアクリル樹脂やポリカーボネート等の基板を含む。この材料は、層間の接着が損傷したり機能低下が起こると光が通りにくくなったりする場合がある。
【0006】
ガラスを貼り合わせるための低強度紫外(「UV」)光を用いる光硬化型液状アクリル酸エステル接着剤は周知である。この種の接着剤は、高強度のUV光が利用できないかまたは実用的でない場合のガラス組立および修復用途に有用である。
【0007】
UV/電子線(「EB」)硬化型印刷インキ等に使用される多くの速硬性低黄変性アクリレート官能性オリゴマー製品が周知である。しかしながら、この種の製品は一般に、ガラスに対する接着強度が劣っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ガラスの貼り合わせに適した実用的な市販のUV/可視硬化型接着剤は、幾つかの重要な特性、例えば、良好な接着強度、短いタックフリータイム、光学的透明性、および低減された黄変性を有することが望ましく、場合によってはこれらが不可欠である。ディスプレイ用途に用いることを目的とした光学接着剤(硬化状態)に非常に望ましいさらなる重要な特性としては、リワーク性ならびに接着剤を用いて貼り合わせた製品中に望ましくないプーリングおよび光漏れ(glow mark)が現れる傾向が低いことが挙げられる。さらに、この種の接着剤は、陰に隠れる範囲(例えば、化学線を通さないLCD金属フレームに隠れる範囲)も硬化させることができるように熱硬化性でもあることが望ましい。既存の市販の接着剤は、これらの重要な特性の1つまたはそれ以上が不十分である。本発明は、この必要性/要求を満たす解決策を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、本発明は、
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)光重合開始剤、
d)熱重合開始剤、
e)可塑剤、および
f)連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物である。
【0010】
他の実施形態において、本発明は、
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)HABI光重合開始剤、
d)可塑剤、および
e)芳香族連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物である。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)o−Cl−HABI[1H−イミダゾール,2−(2−クロロフェニル)−1−[2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニル−2H−イミダゾール−2−イル]−4,5−ジフェニル]およびTCDM−HABI[1,1’−ビ−1H−イミダゾール,2,2’,4−トリス(2−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメチルフェニル)−4’,5’−ジフェニル−(9Cl)からなる群から選択されるHABI光重合開始剤、
d)可塑剤、ならびに
e)芳香族連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物である。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)HABI光重合開始剤、
d)可塑剤、ならびに
e)2−メルカプトベンゾオキサゾールおよび2−メルカプトベンゾトリアゾールからなる群から選択される芳香族連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物である。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)光重合開始剤、
d)[(CH3)2CHCH2C(CH3)(CN)N:]2(Vazo(登録商標)52)および[C2H5C(CH3)(CN)N:]2(Vazo(登録商標)67)からなる群から選択される熱重合開始剤、
e)可塑剤、ならびに
f)連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物である。
【0014】
他の実施形態において、本発明は、
A)第1部である:
a)熱重合開始剤が溶解している
b)可塑剤
ならびに
B)第2部である:
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)光重合開始剤、
d)可塑剤、および
e)連鎖移動剤
を含む化学線反応性接着剤組成物
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語集
本明細書において用いられる「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語またはこれらのあらゆる変形は、非排他的包含を含むことを意図している。例えば、列挙された構成要素(element)を含むプロセス(process)、方法(method)、物品、または装置は、必ずしもこれらの構成要素のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていないかまたはこのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に本来備わっている他の構成要素が含まれていてもよい。さらに、そうでないことが明示されていない限り、「または(or)」は包含的論理和を指すものであって、排他的論理和を指すものではない。例えば、条件AまたはBとは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在する)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0016】
また、「a」または「an」は、本発明の構成要素および構成要件(component)を記載する際に用いられる。これは単に便宜上および本発明の一般的な意味を与える目的で用いられている。この記載には1つまたは少なくとも1つが包含されると解釈すべきであり、単数形には、それ以外を意味することが明白でない限りは、複数形も含まれる。
【0017】
特に定義されていない限り、本明細書において用いられる技術用語および科学用語はすべて本発明が属する当該技術分野の当業者に理解されている通常の意味と同じ意味を持つ。本明細書に記載されている方法および物質と類似または均等な方法および物質を本発明の実施または試験に使用してもよいが、以下に記載する方法および物質が好適である。本明細書に述べるあらゆる刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献については、その全体を参考として組み込むものとする。矛盾が生じた場合は本明細書(定義を含む)が優先される。さらに、物質、方法、および例は例示のみを目的とするものであって、限定を意図するものではない。
【0018】
様々な実施形態において、本発明は、
a)複数のエチレン性不飽和基を有する脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)光重合開始剤、
d)熱重合開始剤、
e)可塑剤、および
f)連鎖移動剤
を含む化学線硬化型接着剤組成物である。
【0019】
本明細書に記載されている重量百分率はすべて組成物全体を基準とするものであり、範囲にはすべて、その中に含まれる任意の範囲または値が包含される。
【0020】
連鎖移動剤は、接着剤組成物中に約4〜10重量%、好ましくは約5〜9重量の範囲の量で存在してもよい。連鎖移動剤の量が約4重量%未満の場合は、この組成の接着剤をLCDディスプレイに使用した場合にLCDディスプレイ中に望ましくないプーリングおよび「ハロー」現象(例えば、光漏れ)が生じやすくなるほど、硬化後の接着剤の剛性が過度に高くなるとともに弾性率が過度に高くなるであろう。連鎖移動剤の量が約10重量%を超えた場合は、硬化後の接着剤はディスプレイ用途に適した強度を欠くものになるであろう。
【0021】
一実施形態において、連鎖移動剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PETAMAP)、2−メルカプトベンゾチアゾール(2−MBT)、2−メルカプトベンゾオキサゾール(2−MBO)、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール(MMT)、N−フェニルグリシン、1,1−ジメチル−3,5−ジケトシクロヘキサン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセタート)、4−アセトアミドチオフェノール、メルカプトコハク酸、ドデカンチオール、およびベータ−メルカプトエタノールから選択してもよい。他の実施形態において、連鎖移動剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PETAMAP)、2−メルカプトベンゾチアゾール(2−MBT)、2−メルカプトベンゾオキサゾール(2−MBO)、および4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール(MMT)から選択してもよい。さらなる他の実施形態においては、連鎖移動剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PETAMAP)である。さらなる他の実施形態においては、連鎖移動剤は、特定の化合物には限定されず、連鎖移動剤は、上に列挙した化合物のいずれかであってもよいし、あるいは、連鎖移動剤は、他の化合物(四臭化炭素、ジメチルアニリン、エタンチオール、ブタンチオール、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、およびエチルメルカプトアセタートが挙げられるが、これらに限定されるものではない)であってもよい。
【0022】
本発明の組成物は、複数のエチレン性不飽和基を有する光重合性ウレタン(メタ)アクリレートを含む。ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタンアクリレートまたはウレタンメタクリレートのどちらであってもよく、好ましくはウレタンアクリレートである。一実施形態においては、ウレタン(メタ)アクリレートは、脂肪族ウレタンジアクリレートである。ウレタン(メタ)アクリレートは、組成物中に、組成物全体を基準として約30〜60重量%の範囲で存在する。ウレタン(メタ)アクリレートの量が約60重量%を超えると組成物の溶液粘度が過度に高くなり、その結果、組成物を光硬化させる前に必要な脱泡が適用できなくなる。ウレタン(メタ)アクリレートの量が約30重量%未満の場合は溶液粘度が過度に低くなり、その結果、硬化後の接着剤が乾燥し/硬くなり、粘着性または可撓性のないものになる。硬化した接着剤がこのような性質を有することは、硬化した接着剤が、これらの接着剤を用いて貼り合わせたディスプレイに望ましくないプーリングおよび光漏れ現象が現れる傾向に加えて、これらの接着剤を用いて貼り合わせたディスプレイがリワーク性のないものになる傾向が高いことに対応するという点で望ましいことではない。さらに、このような望ましくない性質はディスプレイの剥離を招く可能性がある。
【0023】
幾つかの実施形態においては、ウレタン(メタ)アクリレートは、CN−9002(Sartomer Company(Exton,PA))、Ebecryl(登録商標)230(脂肪族ウレタンジアクリレート)、Ebecryl(登録商標)244(1,6−ヘキサンジオールジアクリレートで10%に希釈した脂肪族ウレタンジアクリレート)、Ebecryl(登録商標)264(1,6−ヘキサンジオールジアクリレートで15%に希釈した脂肪族ウレタントリアクリレート)、Ebecryl(登録商標)284(1,6−ヘキサンジオールジアクリレートで10%に希釈した脂肪族ウレタンジアクリレート)、CN−961E75(エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート25%とブレンドした脂肪族ウレタンジアクリレート)、CN−961H81(2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート19%とブレンドした脂肪族ウレタンジアクリレート)、CN−963A80(トリプロピレングリコールジアクリレート20%とブレンドした脂肪族ウレタンジアクリレート)、CN−964(脂肪族ウレタンジアクリエート)、CN−966A80(トリプロピレングリコールジアクリレート20%とブレンドした脂肪族ウレタンジアクリレート)、CN−982A75(トリプロピレングリコールジアクリレート25%とブレンドした脂肪族ウレタンジアクリレート)、ならびにCN−983(脂肪族ウレタンジアクリレート)、FAIRAD 8010、FAIRAD 8179、FAIRAD 8205、FAIRAD 8210、FAIRAD 8216、FAIRAD 8264、M−E−15、UVU−316、ALU−303、およびGenomer 4652から選択してもよい。一実施形態においては、ウレタン(メタ)アクリレートは、Ebecryl(登録商標)230(脂肪族ウレタンジアクリレート)である。好適な市販のウレタン(メタ)アクリレートのさらなる例としては、CN963、CN964、CN965、CN966、CN970、CN973、およびCN990が挙げられ、これらはいずれもSartomer(Exton,PA)より入手可能である。Ebecryl(登録商標)ウレタン(メタ)アクリレートは、Cytec Surface Specialties(Brussels,Belgium)より入手可能である。CN−xxxの名称で上に列挙したウレタン(メタ)アクリレートは、Sartomer(Exton,PA)より入手可能である。FAIRADウレタン(メタ)アクリレートは、Fairad Technology Inc.(Morrisville,PA)より入手可能である。M−E−15、UVU−316、ALU−303、およびGenomer 4652ウレタン(メタ)アクリレートは、それぞれ、Rahn AG(1005N’ Commons Drive,Aurora,IL)より入手可能である。
【0024】
様々な実施形態において、ウレタン(メタ)アクリレートは、式(I):
【0025】
【化1】

【0026】
を有していてもよい。M1は、それぞれ独立に、アルキレン、アシルアルキレン、オキシアルキレン、アリーレン、アシルアリーレン、またはオキシアリーレンである。M2は、それぞれ独立に、アルキレンまたはアリーレンである。各M1および各M2は、任意選択により、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アシル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ハロアルキル、アミノ、シリコーン、アリール、またはアラルキルで置換されている。式(I)において、xは、40未満の正の整数であり、yは、100未満の正の整数であり、zは、40未満の正の整数である。Aは、それぞれ独立に、式:
【0027】
【化2】

【0028】
(R1は、水素または低級アルキルであり、Lは、それぞれ独立に、C1~C4アルキルであり、wは、0〜20の範囲の整数である)を有する。式(I)において、w、x、y、およびzは、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量が20,000未満になるように一緒に選択される。より詳細には、M1はアシルアルキレンであってもよく、M2はアルキレンまたはアリーレンであってもよい。
【0029】
(メタ)アクリレートモノマーは、本発明の組成物の他の成分である。(メタ)アクリレートモノマーは、酸素および水素原子および任意選択により他の原子(例えば、硫黄、窒素)に加えて7〜18個の炭素原子、好ましくは9〜15個の炭素原子、より好ましくは9〜12個の炭素原子を含んでいてもよい。炭素原子は、芳香族基または脂肪族基のいずれかとして存在していてもよい。メタクリレートモノマーの非限定的な例として、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(Sartomer Co.(Exton,PA)からのSR−531)および2−フェノキシエチルアクリレート(Sartomer Co.(Exton,PA)からのSR−339)が挙げられる。より好ましい一実施形態においては、モノマー中にフェノキシアルキル基(例えば、2−フェノキシエチル)が存在する。(メタ)アクリレートモノマーは単官能性である。(メタ)アクリレートモノマーは、約10重量パーセント〜約40重量パーセント、好ましくは約12重量パーセント〜約33重量パーセントの範囲で存在する。幾つかの実施形態においては、(メタ)アクリレートモノマーは、約14重量パーセント〜約33重量パーセントの範囲で存在する。
【0030】
可塑剤は、本発明の組成物の他の成分である。一実施形態においては、可塑剤は、可塑剤の性質を示すことが周知の任意の化合物または化合物群であってもよい。他の実施形態においては、可塑剤は、Arthur K.Doolittle著、「The Technology of Solvents and Plasticizers」,John Wiley & Sons,Inc.,New York,1954(特に第15および16章参照)に開示されている任意の可塑剤または可塑剤群であってもよい。他の実施形態においては、好適な可塑剤の非限定的な例として、これらに限定されるものではないが、ジブトキシエトキシエチルホルマール(Cyroflex SR660)またはジブトキシエトキシエチルアジペート(Wareflex SR650)(いずれもSartomer Company(Exton,PA)より入手可能である)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の実施形態においては、可塑剤は、ジブトキシエトキシエチルホルマール(Cyroflex SR660)またはジブトキシエトキシエチルアジペート(Wareflex SR650)であり、いずれもSartomer Company(Exton,PA)より入手可能である。可塑剤は、約10重量パーセント〜約40重量パーセント、好ましくは約20重量パーセント〜約35重量パーセント、より好ましくは約25重量パーセント〜約35重量パーセントの範囲で存在する。幾つかの実施形態においては、可塑剤は、約15重量パーセント〜約30重量パーセントの範囲で存在する。
【0031】
本発明においては、(メタ)アクリレートモノマーおよび可塑剤を一緒に添加する場合に好適な量の範囲がある。大まかに言うと、(メタ)アクリレートモノマーの量および可塑剤(一緒に添加される)の量の合計は、約30重量パーセント〜約50重量パーセントの範囲であってもよく、好ましくは約35重量パーセント〜約50重量パーセントの範囲であってもよく、より好ましくは約40重量パーセント〜約48重量パーセントの範囲であってもよい。(メタ)アクリレートモノマーの量および可塑剤の量の合計が約50重量%を超えると溶液粘度が低くなり、その結果として、硬化後の接着剤が乾燥し/硬くなり、粘着性(望ましい)または可撓性がなくなる。硬化した接着剤がこのような性質を有すると、硬化接着剤にリワーク性が求められる場合は適応できず、このような性質を有する接着剤を用いて製造されたディスプレイの剥離を招く可能性がある。(メタ)アクリレートモノマーの量と可塑剤の量との合計が約30重量%未満である場合は、組成物の溶液粘度が高くなり、その結果として、光硬化の前に必要な組成物の脱泡に対応できなくなる。
【0032】
化学線に露光させることによってモノマーの重合を開始するために、本発明の組成物は、光重合開始剤または光重合開始剤系を含む。好適な光重合開始剤としては、これらに限定されるものではないが、二官能性アルファ−ヒドロキシケトン(Sartomer Co.(Exton,PA)からのEsacure(登録商標)ONE)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Sartomer Co.(Exton,PA)からのEsacure(登録商標)TPO)、Irgacure(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、Irgacure(登録商標)907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、Irgacure(登録商標)392(2−ベニル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン)、Irgacure(登録商標)500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン50%およびベンゾフェノン50%の組合せ)、Irgacure(登録商標)651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、Irgacure(登録商標)1700(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4−,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド25%および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン75%の組合せ)、DAROCUR(登録商標)1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン)、およびDAROCUR(登録商標)4265(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−ホスフィンオキシド50%および2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン50%の組合せ)が挙げられ、これらの光重合開始剤は、Ciba−Geigy Corp.(Tarrytown,NY)より入手可能である。さらなる幾つかの好適な光重合開始剤としては、Union Carbide Chemicals and Plastics Co.,Inc.(Danbury,Conn.)から市販されているCYRACURE(登録商標)UVI−6974(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩混合物)およびCYRACURE(登録商標)UVI−6990(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩混合物)ならびにRahn Radiation Curingより市販されているGenocure(登録商標)CQ、Genocure(登録商標)BOK、およびGenocure(登録商標)M.F.があり、それ以外では、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、メチルフェニルグリオキシレート、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−エトキシカルボニルオキシム、ならびに置換および無置換のヘキサフェニルビイミダゾール二量体が挙げられる。好ましい光重合開始剤としては、Esacure(登録商標)ONEおよびEsacure(登録商標)TPO(いずれもSartomer Co.(Exton,PA)から)が挙げられる。本明細書においてはこれらの材料の組合せを使用してもよい。
【0033】
光重合開始剤は、接着剤組成物中に、組成物全体の約0.1〜2重量%の範囲の量で存在してもよく、好ましくは、組成物全体の約0.5〜1.2重量%の範囲の量で存在する。光重合開始剤が約0.1重量%未満の量で存在する場合、硬化速度が遅過ぎて許容できず、かつ/またはほぼゼロとなる。光重合開始剤が約2重量%を超える量で存在する場合、増量することの利点がなく、かつ/または組成物の黄変する傾向が高くなる可能性がある。
【0034】
本発明の組成物中には熱重合開始剤が存在する。一実施形態において、熱重合開始剤は、当該技術分野において熱重合開始剤として周知であり、約40〜120℃でラジカル重合している重合性組成物中でかなりの量のフリーラジカルを発生することができる任意の化合物であってもよい。他の実施形態において、熱重合開始剤は、Vazo(登録商標)開始剤(E.I.DuPont de Nemours(Wilmington,DE))である。好適なVazo(登録商標)開始剤としては、これらに限定されるものではないが、Vazo(登録商標)52およびVazo(登録商標)67が挙げられる。他の実施形態において、熱重合開始剤は、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI)化合物を芳香族連鎖移動剤と組み合わせたものであってもよい。
【0035】
熱重合開始剤は、接着剤組成物中に、組成物全体の約0.1〜5重量%の範囲の量、好ましくは、組成物全体の約1〜4重量%の範囲の量で存在してもよく、より好ましくは、組成物全体の約1〜3重量%の範囲の量で存在する。開始剤が約0.1重量%未満の量で存在する場合、硬化速度が遅過ぎて許容できず、かつ/またはほぼゼロになる。開始剤が約5重量%を超える量で存在する場合、量をより多くすることの利点がないうえに、組成物が爆発的に分解する可能性があるという欠点がある。
【0036】
上述した光硬化型接着剤組成物は、任意選択により、光安定剤を含んでいてもよい。好適な光安定剤の非限定的な幾つかの例は、Tinuvin(登録商標)292(セバシン酸(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)およびセバシン酸1−メチル−10−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル))およびTinuvin(登録商標)765(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル))(いずれもCiba Specialty Chemicalsより入手可能);BLS292(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)およびセバシン酸1−(メチル)−10−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル))(Mayzo Inc.より入手可能);MEQH(4−メトキシフェノール)(Aldrich Chemical Companyより入手可能);ならびにLA−32およびLA−82(ADK Stabより入手可能);ならびにChimassorb(登録商標)81(Ciba Specialty Chemicalsより入手可能)である。ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)である安定剤が好ましい。一実施形態においては、HALS安定剤は、Tinuvin(登録商標)765(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル))およびTinuvin(登録商標)292(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)およびセバシン酸1−(メチル)−10−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル))からなる群から選択される。Tinuvin(登録商標)765およびTinuvin(登録商標)292はいずれもCiba Specialty Chemicalsより入手可能である。他の実施形態においては、光安定剤は、Tinuvin(登録商標)765(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル))である。
【0037】
光安定剤が組成物中に存在する場合、組成物全体を基準として、約0.01〜0.1重量%、好ましくは約0.01〜0.06重量%、より好ましくは約0.025〜0.075重量%、よりさらに好ましくは約0.025〜0.050重量%の範囲の量で存在していてもよい。組成物中の安定剤の量が約0.1重量%を超えた場合は、未硬化の組成物の粘度が時間とともに上昇し(3ヵ月以下を超える)、製品が十分な貯蔵寿命を有するには許容できない水準になる可能性がある。安定剤の量が約0.010重量%未満の場合は、光安定剤の有効性が十分でない。
【0038】
いかなる理論に束縛されるものでもないが、本発明者らは、硬化した組成物が良好な付着力を示すための剛性および柔軟性の適切なバランスを有し、この接着剤を用いた装置にリワーク性を付与し、かつ望ましくない光漏れおよびプーリング現象を低減するかまたはなくすようにするためには、可塑剤および連鎖移動剤の量が本発明者らの組成物に特に重要であると考えている。本発明の組成物中の連鎖移動剤または可塑剤のいずれかを増量することにより、硬化状態においてより弾性率が低くより柔軟性が高いポリマーが得られる。
【0039】
定義
光漏れ
光漏れは、LCDの一部分が他の部分よりも高い応力を受けたときに起こるLCDの外観上の視差/画像の変形である。ガラス板を、例えば接着剤を用いて貼合されたLCDは、硬化した接着剤の弾性率が高過ぎる場合、より高い応力を受ける部位(特に縁部付近)が存在し得る。この場合、貼合されたLCDに望ましくない光漏れが現れる場合がある。本発明においては、光漏れをその深刻度に応じて以下の0〜5の評点を用いて評価する:
0=光漏れは認められない。
1=軸外または軸上に淡黄色の光漏れがわずかに視認できる。
2=軸上に中程度の黄色の光漏れが認められる。
3=濃黄色の不快な変色が見られる。
4=黄金色〜淡褐色の深刻な変色が見られる。
5=濃い黄褐色が見られる。
表1に報告した光漏れ試験は50℃で実施したものである。
【0040】
プーリング
プーリングは、LCDディスプレイが押圧されると液晶材料に波打ちが現れやすくなるという押圧に誘発されるLCDパネルの望ましくない歪みであり、押圧下においても均一なディスプレイ(このような押圧に誘発される欠陥が観察されない)と比較して望ましくないものである。プーリングが発生すると乱れたディスプレイ上に無関係な情報が観察され、また、望ましい均一なディスプレイ背景の妨げになるため、ディスプレイに情報を書き込む際にペンを使用するノートタブレット型ディスプレイには特に望ましくない。本発明においては、接着剤で貼合されたディスプレイに生じるプーリングの深刻度について以下の0〜5の評点を用いて評価する:
0=プーリングは認められない。
1=端部付近でわずかなプーリング
2=軽度〜中程度のプーリング
3=中程度のプーリング
4=中程度〜高度のプーリング
5=表1の比較試料11に匹敵するかまたはそれを上回る高度のプーリング
表1に報告したプーリングの評点は室温で決定したものである。
【0041】
リワーク性
本発明における接着貼合されたディスプレイ(例えば、LCD)のリワーク性とは、硬化接着剤層によってディスプレイに貼合されている基板(例えば、フィルムまたはガラス板)を取り外すべくディスプレイを分解する際に、貼合に用いた硬化接着剤が過度な困難を伴ったり長時間を要したりすることなく所望または必要に応じて清浄かつ効果的に除去できることを意味するものと定義される。リワーク性が求められる例は、貼合されたディスプレイ内に気泡や他の欠陥が見つかった場合である。この場合、再び貼り合わせ工程を実施し、リワークにおいてヒビ(flaw)が存在しない貼り合わせディスプレイが得られるように、ディスプレイから基板および接着剤を取り除くことが非常に望ましい。リワークを実施することができない場合は、通常、欠陥を有する貼合ディスプレイを修正することができず、その場合は廃棄されるのが普通であり、これはディスプレイだけでなくフィルムまたは板の比較的高額な損失に相当する。
【0042】
より具体的には、リワーク性を有する硬化接着剤とは、硬化接着剤の中を引き抜かれ(drawn)/切り進む(sliced)ワイヤーまたは他のリワーク工具に適合し、接着剤がそれ自身に再び貼り付いたり、切り開かれたLCDパネル上の接着層が接着を再形成する著しい傾向を示したりすることなくLCDパネルから接着剤を基本的に清浄に分離することが可能なものである。さらに、リワーク性の観点から良好な接着剤は、既に切り開かれて互いに分離したLCDおよびガラス板から作業者が手で容易に比較的短時間で接着剤を除去できるように、接着層が切り開かれることにより分離した硬化接着剤が数個の凝集塊に集合する傾向にあるものである。
【実施例】
【0043】
実施例1
本実施例は、光重合開始剤および熱重合開始剤を両方とも含有する光重合性接着剤組成物が、化学線に露光される範囲だけでなく化学線に露光されない陰になる範囲も硬化可能であることを例示するものである。
【0044】
光重合性接着剤組成物を以下に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
バッチサイズを200gとした。
【0047】
比較試料は、Vazo(登録商標)67開始剤を一切含まず、アジピン酸ジブトキシエトキシエチルを26重量%を含むことを除いて上述の組成物と同一とした。
【0048】
上に列挙した開始剤を含む組成物を基板(テフロン(Teflon)を塗布した4インチ×6インチのガラス板)上に広げた後、接着剤を含む基板の一部が陰になるようにして、光硬化を妨げるようにした。次いで、基板をUV光で露光することによって接着剤を光硬化させた。陰になっていない部分を光重合させることにより、硬化した接着剤を得た。陰になっていた部分は依然として未硬化のままであった。次いで、この試料を70℃で1時間加熱し、依然として未硬化であった部分を熱的に硬化させた。
【0049】
試験方法
試験方法およびパラメータに加えて各試験の種類を定める重要な情報を以下に示す。
【0050】
引張測定
両辺が直線状である硬化樹脂の細片(公称値127mm×30mm×1.5mm)を使用し、Instron(Canton,Massachusetts)製の万能材料試験機で弾性率および33%歪みにおける公称応力について引張測定を実施した。引張試験は試験速度を279mm/分として24℃で実施し、初期の把持具間隔を76mmとした。初期の把持具間隔から歪みを求めた。初期寸法を用いて応力を求めた。結果として得られた応力−歪み曲線から求めた弾性率の値をmPA(ミリパスカル)で報告する(表1参照)。
【0051】
LCD装着具を用いた貼合の準備
LCDをガラス板に貼り合わせるためのLCD装着具の作製には、所与の光硬化型接着剤試料を使用し、また、貼合させたい範囲のみに未硬化の液状接着剤を留めるための実験室法である堰止め技法(dam technique)を用いた。使用した堰は、硬化後の接着剤の厚みを定めるテープを立ててシムと一緒に縁取りしたものである。
【0052】
装着具の「堰止められた」範囲に接着剤を注いだ。次いで、ガラスを接着剤の上に載せて、視認できる気泡がないように接着剤を広げた。次いで、この装着具を、以下に述べるUV光設備を用いてUV光で硬化させて、ガラスおよびLCD装着具(偏光板面)の間に光硬化した接着剤層を得た。
【0053】
硬化および接着剤で硬化した試料の試験
UV光は、Fusion UV「D」バルブを使用したFusion UVコンベアベルト搬送によるものとした。強度を2.813W/cm2、露光量を約6.77J/cm2に設定した。装着具を約3ft./分で露光装置内を通過させた。弾性率および平均応力対歪み曲線の測定に使用した試料は、約2インチ×6インチの深さ約2mmの窪みを有するテフロン(Teflon)(登録商標)iコートしたスチール製固定具内で作製した。この固定具の窪みに液体接着剤を装入してUV硬化用Fusion光源を通過させ、硬化接着剤の「細片」を得、これをInstron装置に取り付けて引張力を測定することによって硬化接着剤層の応力対歪み曲線を得た。
【0054】
リワーク性試験
表1に報告する様々な接着剤組成物のリワーク性に関する実験においては、所与の接着剤を使用し、NECまたは東芝LCDパネルのいずれかにガラス板を貼り合わせた。リワーク性を試験するために、所与の貼合されたLCDパネルを加熱した後、ワイヤーを用いて接着剤層内を「切り進む」ことによって、接着剤界面におけるガラス板のLCDからの分離を開始した。
【0055】
リワーク性を2つのレベルで表1に報告する。「通過レベル1」においては、作業者はLCDおよびカバープレート表面を損傷することなく2分以内の短時間でワイヤー工具を用いて接着剤内を切り進み、接着剤をLCDおよびガラスから除去することができた。「通過レベル2」においては、作業者は接着剤を除去することができたが、さほどきれいに除去されず、2分間を超える長時間を要した。
【0056】
NEC NL10276BC24−13 LCDパネルはNEC Electronics America,Inc.(P.O.Box 951154,Dallas,TX 75395−1154)から購入した。
【0057】
東芝LTD121KM2M LCDパネルは、Toshiba America Electronic Components(P.O.Box 99421,Los Angeles,CA 90074)から購入した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)光重合開始剤、
d)熱重合開始剤、
e)可塑剤、および
f)連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項2】
前記組成物が、化学線に露光することによって硬化させることが可能である、請求項1に記載の熱および化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項3】
前記組成物が、化学線に露光するか、熱エネルギーに曝露するか、または化学線および熱エネルギーの両方に曝露することによって硬化させることが可能である、請求項1に記載の熱および化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項4】
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)HABI光重合開始剤、
d)可塑剤、および
e)芳香族連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項5】
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)o−Cl−HABI[1H−イミダゾール,2−(2−クロロフェニル)−1−[2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニル−2H−イミダゾール−2−イル]−4,5−ジフェニル]およびTCDM−HABI[1,1’−ビ−1H−イミダゾール,2,2’,4−トリス(2−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメチルフェニル)−4’,5’−ジフェニル−(9Cl)からなる群から選択されるHABI光重合開始剤、
d)可塑剤、ならびに
e)芳香族連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項6】
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)HABI光重合開始剤、
d)可塑剤、ならびに
e)2−メルカプトベンゾオキサゾールおよび2−メルカプトベンゾトリアゾールからなる群から選択される芳香族連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項7】
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)光重合開始剤、
d)[(CH3)2CHCH2C(CH3)(CN)N:]2(Vazo(登録商標)52)および[C2H5C(CH3)(CN)N:]2(Vazo(登録商標)67)からなる群から選択される熱重合開始剤、
e)可塑剤、ならびに
f)連鎖移動剤
を含む熱および化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項8】
A)第1部である:
a)熱重合開始剤が溶解している
b)可塑剤
と、
B)第2部である:
a)脂肪族ウレタンアクリレート、
b)単官能性モノマー、
c)光重合開始剤、
d)可塑剤、および
e)連鎖移動剤
を含む化学線反応性接着剤組成物と、
を含む2成分系熱および化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の2成分系熱および化学線硬化型接着剤組成物であって、前記第1および第2部の混合物が、通常なら化学線が通過するがその表面上にある陰になる領域によって前記化学線が遮蔽される範囲内の、貼合させたい材料の表面に適用される直前に混合され、前記第2部が、化学線がとらえられる範囲を含む貼合させたい表面全体に均一に適用される、化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項10】
前記組成物がリワーク性を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項11】
化学線硬化した状態およびガラス板をLCDの前面偏光板に貼り合わせるための使用における前記組成物が、光漏れ試験において、2以下の光漏れ試験評点を示す、請求項1から9のいずれか一項に記載の化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項12】
化学線硬化した状態およびガラス板をLCDの前面偏光板に貼り合わせるための使用における前記組成物が、プーリング試験において、1以下のプーリング試験評点を示す、請求項1から9のいずれか一項に記載の化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項13】
前記可塑剤の量が少なくとも10重量パーセントである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項14】
前記可塑剤の量が10重量パーセント〜約40重量パーセントの範囲にある、請求項13に記載の化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項15】
前記モノマーの量が少なくとも10重量パーセントである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項16】
前記モノマーの量が10重量パーセント〜約40重量パーセントの範囲にある、請求項15に記載の化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項17】
前記連鎖移動剤の量が約4重量パーセント〜約8重量パーセントの範囲にある、請求項1に記載の化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項18】
前記光重合開始剤の量が約0.5重量パーセント〜約2重量パーセントの範囲にある、請求項1に記載の化学線硬化型接着剤組成物。
【請求項19】
前記組成物の硬化後の弾性率が0.35Mpa未満である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化学線硬化型接着剤組成物。

【公表番号】特表2011−508814(P2011−508814A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540914(P2010−540914)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/088388
【国際公開番号】WO2009/086492
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】