説明

熱の調質システム

本発明は、第1サイクル2と、循環する作動流体がガスに気化される蒸発器4と、ガスを圧縮する圧縮機8と、ガスを凝縮液に凝縮し、凝縮器の通過熱キャリアに熱を放出する凝縮器10と、凝縮液を膨張させ、作動流体を蒸発器4に戻す膨張弁14とを備える、コンダクト6の廃熱利用により熱を調質するシステムに関する。本システムは更に、第1サイクル2に付属する第2サイクル16、16a〜d、タービン18を備え、ガスを蒸発器4から供給し、それによって膨張が生起し、その後に凝縮液が蒸発器4に戻される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃熱若しくは他の熱源、或いは地域冷熱(district cold)の利用により熱を調質(refinement)するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な温度の廃熱がスウェーデン及びその余の世界で大量に産出している。その熱は、例えば湖沼、水流等、環境に廃棄処分されることが多い。この廃熱の調質が可能とされるならば、経済的且つ環境上、得られる利点がきわめて大きい。世界中に、高温の熱を大量に必要とする産業及び低温の廃熱を大量に産出する産業がある。スウェーデンには、大量のエネルギーを要する工程から、例えば地域暖房ネットワーク向けに廃熱を暖房用として利用する事例がある。廃熱の温度次第により、地域暖房ネットワークに関する温度需要、廃熱と地域暖房ネットワークの間の距離等、廃熱の利用には何らかの制限があり得る。しかし、余剰廃熱が季節により或いは熱の受け手が無いために、全く使用できない場合もある。
【0003】
EP−A2−1174590は、水等の液体が第1システムで気化され、第1システムから分離された第2システムで循環する冷却材に蒸発器を介して熱が移動し、冷却材が膨張して電気が生産される方法及び装置を開示している。気化は、比較的高温の約200℃で生起する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、廃熱若しくは他の熱源、或いは地域冷熱の利用により、少なくとも最新技術による装置に関係する欠点を除去する、熱を調質するためのシステムを達成することにある。更に、冷熱及び/又は温熱及び/又は機械的エネルギー及び/又は電気エネルギー生産のための、且つ広い温度範囲で且つ特に比較的低温の熱源により作動可能なシステムを達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に定義されるような本発明により、廃熱若しくは他の熱源、或いは地域冷熱を利用する熱の調質システムによって達成される。本システムは、作動流体を循環させるための、所望により冷熱及び/又は温熱を生産可能な第1サイクルと、蒸発器であって、導管に搬送されて通る廃熱若しくは地域冷熱から前記蒸発器で熱を吸収することにより、前記循環する作動流体をガスに気化する蒸発器と、前記ガスを圧縮する圧縮機と、凝縮器であって、前記ガスを凝縮して凝縮液とし、熱を前記凝縮器の熱キャリアに放出する凝縮器と、前記凝縮液を膨張させ且つ前記作動流体を前記蒸発器に戻す膨張弁とを備える。更に、本システムは、第1サイクルに接続された、所望により機械的エネルギー及び/又は電気エネルギーを生産可能な作動流体を循環させるための第2サイクルを備える。第2サイクルは、第1サイクルに付属する。更に、本システムはタービン等の膨張装置を備え、同タービンは蒸発器からガスを供給され、それによって膨張が生起する。作動流体は、蒸発器に戻される。
【0006】
この解決策の利点は、廃熱若しくは他の熱源、或いは地域冷熱の状態の熱を使用して、作動流体を低温並びに高温で気化することを可能とし、且つその結果、本システムは、冷熱及び/又は熱の調質及び/又は機械的及び/又は電気生産を切換え可能とする点にある。季節により、或いは熱の受け手が無いために余剰廃熱を暖房目的に全く使用できないときには、本システムは専ら電力生産用に制御可能とされる。更に、既存のヒート・ポンプを本発明によるシステムに再構成可能とする利点がある。本発明によるシステムの解決策には多大の柔軟性があり、即ちそれは作動流体を熱源の温度によって選択可能とすることを意味する。導管の寸法及び低流量に対する要求は低いので、廃熱が温度改良されていれば、地域暖房温度に対する需要を同時に満たすことが可能である。
【0007】
好ましい実施例によれば、本発明によるシステムは、1つ又は複数の蒸発器を備えることが可能である。本システムは、単段若しくは多段ヒート・ポンプとして、及び/或いは中間過熱が有るか若しくは無い1つ又は複数のタービン・ステージにおける膨張を伴う凝縮発電プラントとして稼働可能である。多段ヒート・ポンプは、熱キャリアに対する所望温度を達成するために高圧仕事の需要があるときに利用される。多段ヒート・ポンプにおいては、凝縮液の膨張が二段以上の凝縮器の後方で生起する。各膨張段階で、一定量のガスが形成され、多段圧縮機において適正な圧力段階に調整される。
【0008】
約70℃未満の低温熱源に関しては、沸点の低い、例えば、HFC R134a若しくはアンモニアかその類の天然の冷却材等、ある種の作動流体が使用される。冷却材を使用する利点は、低温の冷却材蒸気のボリュームが、同じ温度の水蒸気よりかなり少ないことである。更に、圧力が大気圧より高く、特にプラント内の空気漏洩が防止される。80乃至85℃を超える温度では、水を作動流体として使用するのが適切とされ、それによって数百度を達成することが可能である。
【0009】
熱の調質システムとは、廃熱若しくは他の熱源の使用により冷熱及び/又は温熱及び/又は機械的エネルギー及び/又は電気エネルギーを生産するためのシステムを指す。
【0010】
熱キャリアとは、例えば温水若しくは循環水導管、廃熱導管等を指す。
【0011】
廃熱源としては、例えば各種産業、発電プラント、高温ウォータ・ボイラ、太陽熱システム、地熱発電プラント、焼却プラント、あらゆる種類の自動車、船舶等が考えられる。例えば排ガス及び冷却水等、車両における廃熱損失が利用可能且つ電力若しくは機械仕事に変換可能とされ、即ち燃費の削減を意味する。廃熱以外の熱源の一例は、海水とされる。
【0012】
本発明の実施例による更に別の利点及び特徴は、請求項並びに実施例に関する以下の説明から明らかである。
【0013】
本発明について、以下に添付図面を参照して説明する。但し、それによって本発明の解釈が制限されるものではない。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例による、冷熱及び/又は温熱及び/又は機械的エネルギー及び/又は電気エネルギーを、廃熱若しくは他の熱源、或いは地域冷熱の利用により生産するためのシステムを図1から6に示す。本システムは、作動流体を循環させるための第1サイクル2を備える。蒸発器4が第1サイクル2に配置され、同蒸発器においては、導管6内を搬送される廃熱若しくは海水等の他の熱源、或いは地域冷熱の流れからの蒸発器内の熱を吸収することによって循環する作動流体が気化してガスとなる。圧縮機8が、第1サイクル2に、流れ方向(サイクル・導管2の矢印参照)で蒸発器4の後方に配置される。圧縮機8は、蒸発器からのガスを圧縮する。凝縮器10が、第1サイクル2に、圧縮機8の流れ方向後方に配置され、同凝縮器10は、ガスを凝縮液に凝縮し、凝縮器の例えば温水若しくは循環水導管12、廃熱導管等、通過熱キャリアに熱を放出する。膨張弁14が、第1サイクル2に、凝縮器10の後の流れ方向後方に配置され、同膨張弁14は、凝縮液を膨張させ、作動流体を蒸発器4に戻す。本システムは更に、作動流体を循環させるための、図1から5の実施例による3つの部分16a〜16c、図6の実施例による4つの部分16a〜16dから成る第2サイクル16を備え、同第2サイクルは、第1サイクル2に接続される。タービン18、若しくは同様の膨張装置が、第2サイクル16に付属し、同タービン18は、流れ方向(サイクル・導管16a〜dの矢印参照)において蒸発器4の後方に配置され、蒸発器4からガスを供給される。ガスはタービン18で膨張可能とされ、電気を生産するための発電機20がタービンに接続される。タービンで生産された機械仕事は、スイッチ19を介して圧縮機8を作動させることも可能とされる。第2凝縮器22が、第2サイクルに、タービンの流れ方向後方に接続され、同第2凝縮器22は、タービン18からのガスを凝縮し、その後に凝縮器22からの凝縮液が適宜第2膨張弁23a若しくはポンプ23を介して蒸発器4に戻される。第2凝縮器22には、導管21を接続するのが適切とされ、それによって熱が導管21の好ましくは低温の熱キャリアを通る流れに導出される。第1サイクル2は、冷熱及び/又は温熱を所望により生産するものとされ、第2サイクル16は、機械的エネルギー及び/又は電気エネルギーを所望により生産するものとされる。
【0015】
本システムは更に、第1サイクル2に付属し且つ第2サイクル16の第1部分16aに連係する第1制御弁24を備えることが好ましい。図1から6による実施例において、この制御弁は、第1サイクル2に、蒸発器4の流れ方向後方且つ圧縮機8の前方に配置される。第1部分16aが第1制御弁24に配置される。制御弁24は、気化した作動流体であるガスの流れを第1サイクル2及び第1部分16aでそれぞれ制御するように構成され、それによって、冷熱、温熱及び機械的エネルギー及び/又はエネルギーの同時生産が、或いは冷温熱若しくは冷熱及び機械的エネルギー及び/又は電気的生産のみがサイクル2、16a、16それぞれへの第1制御弁24による所望の流れの制御によって達成可能とされる。
【0016】
更に、図1から6の実施例により、過熱器26が、第2サイクル16の第1部分16aに接続され、これに第1サイクル2からのガスが送られ、同過熱器は過熱ガスを後続のタービン18に吐出する。過熱器26は、タービン18の流れ方向前方に配置される。導管28の廃熱を過熱器に通すことによって更にエネルギーを過熱器26の作動流体に付加可能とすることが好ましい。第2制御弁29は、蒸発器4及び過熱器26それぞれへの廃熱の所望の流れを制御可能とされる。
【0017】
蒸発器及び好ましくは過熱器26にも送られる廃熱は、温度約15℃以上とすることが適切であろう。廃熱の温度の上限は、100℃以下が好ましく、50℃以下とするのが最も好ましい。最も一般的な実施例においては、本発明によるシステムは上述の温度範囲に限定されることなく、それより高温且つ低温においても稼働可能とされる。
【0018】
本システムは更に、第2サイクル16に接続され且つ第1部分16aに連係する第1切換弁17を備えることが好ましい。図1から6による実施例において、この第1切換弁は、第2サイクル16に、凝縮液ポンプ23の流れ方向後方に配置される。第1切換弁は、様々な温度において作動流体の気化の生起を可能とするように第1制御弁24とともに配置され、サイクル2からサイクル16を分断する。気化は、サイクル2の蒸発器4及びサイクル16の過熱器26で生起する。蒸発はサイクル2では蒸発器4で、サイクル16では加熱器26で起こる。過熱器26は、過熱器として並びに蒸発器26’として稼働可能とされる。
【0019】
本システムは更に、第1サイクル2に配置され且つ第2サイクル16の第2部分16bに連係する第3制御弁9を備えることが好ましい。図1から6による実施例において、この第3制御弁は、第1サイクル2に、圧縮機8の流れ方向後方及び凝縮器10の流れ方向前方に配置される。第2部分16bは、第3制御弁9に接続される。第3制御弁9は、第1サイクル2及び第2部分16bそれぞれの圧縮ガスの流れを制御するように配置される。第3制御弁9から第2部分16bへの圧縮ガスの流れは、更にタービン18に送られ、それによって、冷熱、温熱及び機械的エネルギー及び/又は電気エネルギーの同時生産がサイクル2、16b、16それぞれへの所望の流れを制御する第3制御弁9によって達成される。
【0020】
本システムは更に、流れ方向で、凝縮器10と膨張弁14の間に配置され、第1サイクル2に接続された熱交換器30を備えることが好ましい。更にまた、第3部分16cの凝縮液供給導管が蒸発器から熱交換器30に接続される。蒸発器4からの凝縮液がポンプ33によって熱交換器30に送られる。熱交換器30の作動流体の気化によって形成されたガスが、本実施例では熱交換器30、且つ更にタービン18に接続の第2サイクル16の一部とされる第3部分16cを経て運ばれ、それによって、さもなければ凝縮器10と蒸発器4の間の膨張で失われる筈の圧縮機仕事の一部が回収可能とされる。
【0021】
本システムは更に、図6による実施例の第1サイクル2に接続の第4部分16dに、凝縮液ポンプ38を備えることが好ましい。凝縮液ポンプ38は、凝縮液を、図6による本実施例では凝縮器4’として稼働する蒸発器4から図6による本実施例では蒸発器10’として稼働する凝縮器10に送るように配置される。更に、第2切換弁40が、第2サイクル2の第4部分16dの凝縮液ポンプ38と第1サイクル2の蒸発器10’の間に接続される。第2切換弁40は、第4部分16dを図6による実施例の電気生産に充当するために配置される。
【0022】
図1から6に関し、各作動モードAからFについて以下に説明する。
【0023】
A)図1は、主として電気生産のために接続された本システムを示す(太線で印刷のラインが当モードで接続されていることを意味する)。図には1段工程を示すが、勿論、多段工程も可能とされる。サイクル工程は、蒸発器4で開始される。循環する媒体が、好ましくは温度50℃以上の熱源6からの熱を吸収することによって全て気化し、それによって冷却され(7)、即ち冷熱が生産される。蒸気に一層高いエネルギーが好ましい過熱器26で供給される。熱が蒸発器及び過熱器で加えられている。過熱蒸気がタービン18で膨張する。次いで、蒸気が、タービン18を伴う凝縮器22で凝縮する。熱は、好ましくは温度15℃以下とされる冷却部に伝達される。凝縮された媒体は、ポンプ23によって蒸発器に戻され、サイクル工程が閉じられる。
【0024】
B)図2は、主として熱の調質のため、並びに冷熱生産及び圧縮機仕事の回収のために接続された本システムを示す(太線で印刷のラインが当モードで接続されていることを意味する)。この接続は1段工程を示すが、勿論、多段工程も可能とされる。サイクル工程は、蒸発器4で開始される。循環する媒体が、完全に気化される。熱が、廃熱源か、若しくは海水等、好ましくは温度5℃以上の他の熱源か、いずれかから供給される。廃熱を熱源として使用の場合は、廃熱システムには圧縮機8に必要とされる作動エネルギーを供給するのみとされ、これに比して、海水等の外部熱源を使用の場合は、蒸発器で吸収されたエネルギーとともに圧縮機への作動エネルギーが廃熱システムに供給される。これが、温度調質のみが求められる場合の主な差違とされる。蒸発器の後方で、ガスが圧縮機8で圧縮される。次いで、ガスは圧縮機を伴う凝縮器10で凝縮される。熱が、廃熱源から部分流れ12に伝達され、それによって部分流れが約60℃以上に加熱される。凝縮液が、熱交換器30で、蒸発器4からの凝縮液を備える第3部分16cに対する熱交換によって、過冷却される。第3部分16cの凝縮液は、予熱され、熱交換器30で気化され、更にタービン18に導かれ、それによって膨張される。作動流体は更に蒸発器4に送られる。ガスがタービン18の後方の凝縮器22で凝縮されれば、蒸発器4における冷熱生産の増大が可能となる。熱交換器30からの過冷却された凝縮液は、蒸発器4に対して膨張弁14で膨張する。それによってサイクル工程が閉じられる。
【0025】
C)図3は、冷熱、温熱及び電気の同時生産のために接続された本システムを示す(太線で印刷のラインが当モードで接続されていることを意味する)。サイクル工程は、図1及び2に関する説明の通りに作動する。蒸発器4が、この作動モードでは、タービン18及び圧縮機8にともにガスを供給する。第1制御弁24が、圧縮機8及びタービン18それぞれへの所望の流れを制御する。この接続は、運用戦略上、自由度が大きいことを意味する。例えば、日中には給電を、夜間には熱供給を優先する等である。利用可能な廃熱が多い場合には、タービン18により圧縮機8及び発電機20をともに稼働することも可能とされよう。
【0026】
D)図4は、主として冷熱生産のために接続される本システムを示す(太線で印刷のラインが当モードで接続されていることを意味する)。サイクル工程は、図1、2及び3に関する説明の通りに作動する。圧縮機8での圧縮により既存の温熱需要が充足された後に不要とされる蒸発器4からの気化ガスの量は、第2部分16bを介してタービン18に送られて膨張し、圧縮機仕事が回収されることを意味する。蒸発器4における冷熱生産を増大するには、タービン18の後に凝縮器22で、ガスが約5乃至25℃が適切とされる低温の熱キャリア21に対して凝縮される。
【0027】
E)図5は、冷熱、温熱及び電気の同時生産のために接続された本システムを示す(太線で印刷のラインが当モードで接続されていることを意味する)。サイクル工程は、図1から4に関する説明の通りに作動する。第1切換弁17及び第1制御弁24により、第1サイクル2と第2サイクル16が分断される。過熱器26が、この作動モードでは蒸発器26’として作動する。気化は、したがってサイクル2、16で異なる温度で生起可能とされる。廃熱が、この場合には、熱をまず蒸発器26’に伝え、それによって廃熱の温度が降下し、次いで熱はかなり低温で蒸発器4に伝えられる。そのようにして、廃熱源の熱の有効利用が可能とされる。また、それぞれ温度が異なる2つの熱源を使用することも可能とされる。例えば、約50℃の廃熱源を使用して、第2サイクル16の蒸発器26’で作動流体を気化させ、この流体がタービン18で膨張し、これによって第1サイクル2の圧縮機8を作動させることが可能とされる。第2サイクル16における気化が、次いで比較的に高温で生起する。更に、例えば地域冷房ネットワークでは冷却に対する需要がある。約5乃至10℃の地域冷房ネットワークの温度要求に応じるには、第1サイクル2、蒸発器4における気化を好ましくは約0℃の比較的低温で生起させなければならない。
【0028】
図6は、前述の図1から5による、電気生産のために接続された本システムの別の実施例を示す(太線で印刷のラインが当モードで接続されていることを意味する)。この別の設計による本システムは、第2切換弁40を介して蒸発器4と凝縮器10の間に接続され、且つ本システムを専ら電気生産に利用時に充当される第4部分16dを更に備える点で上述の作動モードA)からE)と異なる。サイクル工程は、この場合に蒸発器10’として作動する凝縮器10で開始され、作動流体は、蒸発器10’(凝縮器10)において、地域熱等の好ましくは50℃以上の高温熱源12から熱を作動流体に供給することにより、高圧且つ高温で気化される。作動流体は、次いで膨張装置18で膨張され、それによって作動流体の圧力及び温度が降下する。エネルギーが、作動流体から機械的エネルギーとして膨張装置で取り除かれる。作動流体は、次いで凝縮器4’として利用される蒸発器4で低圧且つ低温で凝縮される。熱は、作動流体から海水等に好ましくは温度15℃以下で送られる。作動流体は次いで凝縮液ポンプ38を伴う第4部分16dを介して蒸発器10’に送られ、それによってサイクル工程が閉じられる。
【0029】
図7は、図2及び図6による本システムの集合42が、幾つかのクライアント45を伴う地域暖房ネットワーク44に接続され、クライアント45が焼却プラント46に連結されている様を示す概略図である。熱の需要時には、システム42が図2に従って熱を生産するために利用される。次いで、余剰熱が焼却プラント46から生じたときには、その熱がシステム42で図6に従って電気を生産するために利用される。このシステムは、廃水若しくは海水源48に接続され、同水源に熱を図6に従って吐出可能とされ、且つ同水源で熱を図2に従って取得可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】主として電気生産のために接続された本発明によるシステムを示す概略図である。
【図2】主として温熱生産のために接続された図1によるシステムを示す概略図である。
【図3】冷熱、温熱、若しくは電気の同時生産のために接続された図1から2によるシステムを示す概略図である。
【図4】主として冷熱生産のために接続された図1から3によるシステムを示す概略図である。
【図5】冷熱、温熱、若しくは電気の同時生産のために接続された図1から4によるシステムで、第1及び第2サイクルが相互に分離され、各サイクルにおける気化が異なる温度で別々の蒸発器で生起するシステムを示す概略図である。
【図6】電気の生産のために接続された図1から5による、本システムの別の実施例を示す概略図である。
【図7】図2及び図6によるシステムの集合が、焼却プラントに連係する地域暖房ネットワークに接続された様を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃熱若しくは他の熱源、或いは地域冷熱の利用により、冷熱の生産及び/又は熱の調質及び/又は機械的エネルギー及び/又は電気エネルギー生産を切換え式に行うための熱の調質システムであって、該システムは、作動流体を循環させるための第1サイクル(2)と、蒸発器(4)であって、導管(6)に搬送されて通る廃熱若しくは地域冷熱から前記蒸発器で熱を吸収することにより、前記循環する作動流体をガスに気化し、次いで冷却する(7)蒸発器と、前記ガスを圧縮する圧縮機(8)と、凝縮器(10)であって、前記ガスを凝縮して凝縮液とし、熱を前記凝縮器の通過熱キャリアに放出する凝縮器と、前記凝縮液を膨張させ且つ前記作動流体を前記蒸発器(4)に戻す膨張弁(14)とを備えるシステムにおいて、該システムにさらに、前記第1サイクル(2)に連係して、前記作動流体を循環させる第2サイクル(16、16a〜d)であって、前記第1サイクル(2)に付属する第2サイクル(16、16a〜d)と、前記第2サイクル(16、16a〜d)に付属する、タービン(18)等の、同タービン(18)はガスを前記蒸発器(4)から供給する、膨張装置とを備え、それによって膨張が生起し、その後に前記作動流体が蒸発器(4)に導かれ、或いは前記第2サイクル(16)に接続され前記タービン(18)からの前記ガスを凝縮する第2凝縮器(22)を経て、その後、凝縮液が前記蒸発器(4)に戻されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
第1サイクル(2)に接続され且つ前記第2サイクル(16)の第1部分(16a)に連係する第1制御弁(24)であって、前記第1サイクル及び前記第2サイクルでそれぞれ気化ガスの流れを制御するように配置され、それによって、冷熱、温熱及び電気の生産を同時に生起させることが、或いは冷温熱生産又は冷熱及び電気生産のみを生起させることが、前記各サイクル(2、16a、16)への所望の流れを前記制御弁(24)により制御することによって可能とされる第1制御弁(24)を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1制御弁(24)が前記蒸発器(4)の後方且つ前記圧縮機(8)の前方に配置されることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
過熱器(26)が前記第2部分の前記第1部分(16a)に接続され、該過熱器に前記第1サイクル(2)からのガスが送られ、前記過熱器(26)が過熱ガスを後続のタービン(18)に吐出することを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記過熱器(26)の前記作動流体に、更にエネルギーを、廃熱若しくは他の熱源(28)を前記過熱器(26)に通すことによって加えることが可能とされることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記タービン(18)の生産された機械仕事が、前記圧縮機(8)を好ましくはスイッチ(19)を介して作動させることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記タービン(18)の生産された機械仕事が、好ましくは、発電機(20)を作動させて電気を生産することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記廃熱の温度を、15℃以上を適温として、きわめて多様とすることが可能とされる前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
熱交換器(30)が、前記第1サイクル(2)に接続の、凝縮器(10)と膨張弁(14)の間に配置され、前記第2サイクルの第3部分(16c)の凝縮液供給導管が更に前記蒸発器と前記熱交換器(30)に接続され、かくして前記熱交換器(30)の前記作動流体の気化により形成されたガスが前記第2サイクルの前記第3部分(16c)を経て且つ更に前記タービン(18)に移動され、それによって冷熱、温熱及び電気の生産を同時に生起させることが可能とされ、それによって圧縮機仕事の一部の回収が可能とされることを特徴とする、圧縮機仕事を回収し且つ冷熱生産を増大させるための、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記第1サイクル(2)に配置され且つ前記第2サイクル(16)の第2部分(16b)に連係する第3制御弁(9)を更に備え、該第3制御弁は第1サイクル(2)に、前記圧縮機(8)の流れ方向後方及び前記第1凝縮器(10)の流れ方向前方に配置され、前記第2部分(16b)が第3制御弁(9)に接続され、それによって前記制御弁(9)は前記第1サイクル(2)及び前記第2部分(16b)それぞれの圧縮ガスの流れを制御するように配置され、且つ前記第3制御弁(9)から前記第2部分(16b)への圧縮ガスの流れが更にタービン(18)にもたらされ、かくして冷熱、温熱及び機械的エネルギー及び/又は電気エネルギーの同時生産が、前記各サイクル(2、16b、16)への所望の流れを制御する前記第3制御弁(9)によって達成可能とされる、機械仕事及び/又は電気エネルギーを生産するための、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2凝縮器(22)に接続された導管(21)の低温の熱キャリアによって熱が除去され且つそれによって前記ガスが、更に蒸発器(4)に移される前に凝縮器(22)で凝縮液に凝縮されることを特徴とする、冷熱生産を増大させるための、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
蒸発器(26’)が前記第2サイクル(16)に接続され、前記システムが、第2サイクル(16)に、凝縮液ポンプ(23)の流れ方向後方に配置され、前記第2凝縮器(22)と前記蒸発器(26’)の間に配置された第1切換弁(17)を更に備え、該凝縮液ポンプ(23)が凝縮された媒体を前記蒸発器(26’)に戻し、前記第1切換弁がサイクル(16)を第1サイクル(2)から第1制御弁(24)とともに分断するように配置されることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1サイクル(2)及び前記第2サイクル(16)それぞれにおける気化が、地域冷熱ネットワークの、約5乃至10℃とされる温度要件に適合するため、例えば前記第2サイクル(16)における気化は温度約50℃の廃熱源により、且つ前記第1サイクル(2)における気化は比較的低温の地域冷熱、自由冷熱及び/又は廃水による等、異なる温度で生起することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1サイクル(2)及び前記第2サイクル(16)それぞれにおける気化が、例えば前記第2サイクル(16)では廃熱源により、且つ前記第1サイクル(2)では地域冷熱、自由冷熱及び/又は廃水による等、異なる熱源により生起することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1サイクル(2)及び前記第2サイクル(16)が、前記第1切換弁(17)、第1制御弁(24)、及び/又は第3制御弁(29)による各サイクル(2、16)に対する所望の流れの制御により、相互に別個に作動することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2サイクル(16)の付加的第4部分(16d)が、第2切換弁(40)を介し、凝縮器(10)が蒸発器(10’)として使用され且つ蒸発器(4)が凝縮器(4’)として使用される電気生産に接続され、更に、凝縮液ポンプ(38)が前記第4部分(16d)に、前記凝縮器(4’)と前記第2切換弁(40)の間に配置され、前記凝縮液が前記凝縮器(4’)から前記蒸発器(10’)に送られることを特徴とする請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−505259(P2007−505259A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526043(P2006−526043)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001293
【国際公開番号】WO2005/024189
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(506081714)