説明

熱ゲル化重合体を含有するいびき防止組成物

本発明は、水溶性ユニット、並びに水中で下限臨界共溶温度を有するユニットを含んでなる少なくとも1種類の熱ゲル化重合体を含んでなる、いびきを処置及び/又は予防するための組成物に関する。前述の組成物は、その包装内では液体であり、そして37℃にて粘膜に触れることによってゲル化する固有の特性を有する。熱ゲル化は、処置されるべき部位の的確な標的化を可能にすると同時に、物質のあらゆる流出又は移行を回避するため、スプレーされた組成物が洗い流されにくくし、それにより処置部位内でのその存在期間が延長される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いびきを予防する、及び/又は処置するための熱ゲル化製剤の開発に関し、前記製剤は、スプレーすることによって経鼻又は頬側経路を通じて投与される。
【背景技術】
【0002】
いびきは睡眠中の呼吸困難に関係している。生じる音(100デシベルに達することもある)は、鼻咽頭組織の振動に起因する。鼻と口を通して入る空気は、舌、軟口蓋、口蓋垂及び咽頭壁の間の狭い通り道を通って流れなければならない。睡眠中には、筋肉は弛緩し、垂れ下がる傾向があるので、その通り道の更なる狭窄を引き起こす。これらの軟組織が互いに押し合い、そして空気が自由に通り抜けるのを妨げる。その組織の振動こそが、いびきを引き起こすものである。いびきはまた、鼻腔の通り道に狭窄があるときにも起こる。
【0003】
いびきは、40歳を越えた成人で特に一般的であり、疲労、太り過ぎ、又はアルコール若しくは特定の薬剤の摂取によって助長される。40歳を越えた男性の60%及び女性の40%がいびきをかくことがあり、且つ、男性の約25%及び女性の15%がいびき症と呼ばれる重症の病理学的ないびきを患っていると試算されている。
【0004】
推奨される処置には、下記のような様々な種類のものが存在し得る:
‐ 横向きに又はうつぶせに眠る:これは空気の通り道のための空間を増やす。
‐ 休息をとり、アルコールの摂取又は特定の薬剤の服用を避ける。
‐ やせる:舌根と咽頭組織の付け根の体積を減らして空気の通り道を改善する。
‐ 空気の通過を促進するシステム(鼻孔エキスパンダ、口腔咽頭カニューレ、下顎前方固定用装具など)を使用する。
‐ 外科手術:軟口蓋及び口蓋垂の端を切除することから成る咽頭形成術。
‐ 頬側及び鼻腔用スプレーの使用。前記スプレーの作用は睡眠中の軟組織を潤滑化することから成り、それによっていびきの原因である振動を防ぐ。
【0005】
これまでに開発され、そして市場に出ているスプレー剤で出された製品は、それらの組成のためにいびきに対する有効性が限られている。実際には、このタイプの製品は、睡眠の間中ずっと有効性を確保するには組織上で高い潤滑化力とかなりの接着性を提供しなければならない。主に、2つのタイプの組成物、すなわち:
a)オイル・ベースの調製物
食用油の使用で、それが粘膜を潤滑化することを可能にしている。しかしながら、このタイプの製品の作用持続時間は、親水性の粘膜に対するオイル(疎水性)の低い親和性のため非常に短い。実際には、飲込みに手助けされた油滴は、非常にすばやく胃へ運び去られる。このタイプの調製物を使用することでの別の欠点は、油滴の肺内への移動に関連したオイル吸引性肺炎のリスクである。
b)多糖又はアクリル誘導体ベースの調製物
いびき防止製品の組成物におけるムコ接着性作用物質及び/又は滑沢剤としての多糖の使用は、例えば、特許出願FR2859105、WO2006/042926及びWO2007/138224に記載されている。これらの多糖にはヒアルロン酸が含まれているが、それは、滑沢剤として眼科分野で長年使用されていて、そのムコ接着特性は文献に詳細に記載されている。その他の多糖、例えばカラギーナンなどは、単にそれらのムコ接着特性のために使用され、そして滑沢剤と組み合わせられる。
【0006】
すべての多糖のように、引用されたアクリル誘導体は、水溶性なので唾液の流れによってすばやく洗い流され、そのことがこのアプローチの主な欠点となる。これらの重合体が低い割合で使用されるとき、この点がますます当てはまる、なぜならそれらは、(低濃度で存在していても)製品をスプレーすることをより難しくする製剤の粘度の著しい増大を引き起こすためである。これらの調製物の主な欠点は、それらが唾液の流れによってすぐに洗い流されやすいことに関係がある。
【発明の概要】
【0007】
そのため、本発明は、ムコ接着特性と潤滑特性の両方を示す少なくとも1種類の熱ゲル化重合体を含んでなる、いびきの有効、且つ、持続的な予防及び/又は処置を目的としたスプレー可能な組成物に関する。そのアプローチは、経鼻又は頬側経路によって室温にて液体である製品であり、そして粘膜との接触によりゲル化し睡眠の間中ずっとその製品が保持されることを確実にしたものをスプレーすることから成る。
【0008】
本発明はさらに、いびきを予防及び/又は処置するための組成物における少なくとも1種類の熱ゲル化重合体の使用にも関する。
より特に、本発明は、水性溶液中に少なくとも1種類の熱ゲル化重合体を含んでなる、いびきを予防及び/又は処置するための組成物であって、ここで、前述の熱ゲル化重合体が、水溶性ユニットを含んでなる一方で、水中で下限臨界共溶温度を有するユニットを含んでなり、その熱ゲル化重合体が、前述の水性溶液中、10%以下の重量濃度でしか存在しないような組成物に関する。
【0009】
「熱ゲル化重合体」は、低い水中濃度において、室温にて液体(低粘度)であって、体温にてゲル化し:そして熱ゲル化の現象が完全に可逆的である重合体を意味する。
有利なことには、本発明の目的のために使用され得る熱ゲル化重合体の水性溶液は、室温にて10s-1の剪断下、0.1Pa.s未満の粘度しかなく、且つ、体温にて粘膜と接触した状態で10s-1の剪断下、0.1Pa.s超、好ましくは0.3Pa.s超の粘度がある。
【0010】
「周囲温度」は、18〜25℃の水準の温度を意味している。
水性溶液中の熱ゲル化重合体の重量濃度は、10%以下、好ましくは2〜10%である。
【0011】
熱ゲル化重合体の水性溶液の粘度の値が10s-1の剪断(スプレーしている間に加わる剪断)に関して先に与えられていることに注意するべきである。剪断薄化(shear-thinning)する前述の重合体は、その粘度が剪断と共に低下する。しかしながら、実際には経鼻又は頬側の通り道において剪断はゼロであるため、経鼻又は頬側粘膜と接触による有効粘度ははるかに高いので、前述の熱ゲル化重合体の水性溶液がゲルの形態で存在することを可能にする。
【0012】
本発明の目的に使用できる熱ゲル化重合体は、水溶性ユニットを含んでなる一方で、水中で(略語「LCST」によって規定される)下限臨界共溶温度を有するユニットを含んでなる。LCSTを下回ると、重合体は水中で完全に可溶性であるのに対して、この温度を超えると、LCST部分が、凝集し、且つ、その水中での溶解性を失い、それによって重合体鎖間の架橋を形成する。その後、重合体は、三次元網目構造のようになり、そしてゲルの形成に至る。偏析温度を超えた疎水性マイクロドメイン内のLCST鎖のこの会合は物理的性状のものなので、ゲル化現象は完全に可逆的である。
【0013】
温度によりゲル化するこの特性は、重合体の濃度が異なる重合体鎖によって保有されているLCSTユニット間の相互作用を許容する臨界ミセル濃度より高い場合にのみ起こり得る。
【0014】
本発明に使用する重合体は、水溶性ユニットを含んでなる一方で、LCSTユニットを含んでなるブロック重合体又はグラフト重合体のいずれかであり得る。
これらの水溶性ユニットは、自然起源の重合体、又は連鎖重合若しくは重縮合によって得られる合成起源の重合体であり得る。
【0015】
LCSTユニットは、下記のものから好ましくは選択される:
‐ ポリエーテル、例えばポリ(プロピレンオキシド)PPOやそのランダム共重合体及びポリ(エチレンオキシド)を持つブロック共重合体など、
‐ アクリルアミドのN置換誘導体、例えばポリ(N‐イソプロピルアミド)又はポリ(N‐エチルアクリルアミド)など、
‐ ポリビニルカプロラクタム、及びビニルカプロラクタムの共重合体。
【0016】
本発明に好適である可能性がある熱ゲル化重合体は、例えば下記の特許出願及び特許:FR2694939、FR2788008、FR2820976、FR2856923、GB2408510、EP0629649、EP1307501、EP1407791、WO97/00275、WO98/06438、WO98/29487、WO98/48768、WO98/50005、WO00/00222、WO00/07603、WO00/35961、WO00/38851、WO01/41735、WO02/032560、WO02/076392、WO03/008462、WO03/106536、WO04/006872、US2003/0099709、US6645476、US6689855、US6689856、US6870012、及びUS6878754に記載されているものから選択され得る。
【0017】
いびきに打ち勝つための本発明による組成物に特に好適な熱ゲル化重合体は、ポリ(エチレンオキシド‐b‐プロピレンオキシド‐b‐エチレンオキシド)(PEO‐b‐PPO‐b‐PEO)基を持つポリウレタン、例えば特許及び特許出願FR2840907、EP692506、EP1407791、WO03/106536、US7339013に記載されているものなどである。
【0018】
これらのポリウレタンは、ジイソシアナートや非無水溶媒中で熱に弱いPEO‐b‐PPO‐b‐PEOトリブロック・ジオールの重縮合によって得られ、そして尿素基及び/又はアロファナートを含んでなることができる。ExpertGel(登録商標)という名称で知られ、PolymerExpert社によって売り出されたこれらの重合体は、Poloxamer(登録商標)タイプの重合体及び従来の水相増粘剤に対して多数の利点、特に下記の利点を示す:
‐ 温度に応じた粘度の大きな増大のためには、低濃度の重合体が必要である、
‐ それらには、良好な潤滑特性がある、
‐ それらはムコ接着性である、
‐ それらは、pH1〜12の範囲について同じ熱ゲル化挙動を示す、
‐ それらは、塩、界面活性剤、並びにほとんどの医薬及び化粧用賦形剤と混合可能である、
‐ それらは、高温(熱くなり過ぎた浴室内、日なたなど)でもそれらのスプレーを可能にする剪断薄化挙動を示す、
‐ それらは、正確に10〜60℃に調整されたゲル化温度を有する、
‐ それらは、無毒性の製品であるため、皮膚や粘膜と接触する塗布における制限なしで使用できる。
そのため、ExpertGel(登録商標)タイプの重合体の溶液は、特に目的とする塗布に好適である。
【0019】
第一の利点は、スプレーによるデリバリー方法に関する。実際には、熱ゲル化重合体を含む組成物は、室温にて包装内では液体であり、そして37℃の粘膜との接触によってゲルになる。熱ゲル化は、処置されるべき部分の的確な標的化を可能にすることで、製品のあらゆる流出又は移行を回避し、そしてスプレーされた製品が洗い流されることに耐性を与えるので、処置部位内にそれが存在している期間を延長する。
【0020】
これらの重合体を使用することの第二の利点は、Pr. Jean-Louis Grossiord et al. in J. Drug Del. Sci. Tech., 16(1) 59-4 2006の研究によって示されているそれらの非常に優れたムコ接着特性に関係する。
【0021】
その考案者らは、合成基板上及びラットの腸粘膜上の両方への、2タイプのExpertGel(登録商標)重合体、すなわち、EG30とEG40の接着を、CARBOPOL 974Pの接着と比較した。部分的に中和されたポリアクリル酸であるCARBOPOL 974は、その生体接着特性により製薬業では基準重合体として知られている。結果は、それらの操作条件下、37℃のピール強度がCARBOPOL 974Pでは0.2Nであったのに対して、EG35では0.7Nであり、そしてEG40では0.3Nであったことを示している。そのため、彼らは、2タイプのEG重合体、より特にEG35は、37℃にてCARBOPOL 974Pより良好なムコ接着特性を有し、この特性がこれらの熱ゲル化重合体を皮膚及び粘膜と接触する化粧用及び医薬製剤の開発のための興味深い製品にしているとの結論を下した。
【0022】
これらの重合体の潤滑能力は、いびき防止向けの塗布のためにそれらを使用する際に別の利点を明らかにもたらす。熱ゲル化重合体、特にPEO‐b‐PPO‐b‐PEOブロック共重合体によって基本的に構成された熱ゲル化重合体は、界面活性特性を示す。「セッケン」の潤滑特性は、以前から知られている。多くの研究が、特にPEOユニットの水和からもたらされる滑り特性;記載されている現象は「アクアプレーニング」の過程に例えることができる、を実証した。これらの研究に触発されて、出願人はさらに、移植片又はプローブの置換を容易にするための生物医学分野におけるExpertGel(登録商標)ベースのコーティングを開発した。ExpertGel(登録商標)タイプの重合体でコートされたデバイスは、粘膜と接触して顕著な滑り特性を示したので、置換時に全く問題を引き起こさなかった。一例は、ExpertGel(登録商標)層でコートされた場合に、完璧に滑り、そして患者に少しも不快感を与えることなく適所に配置できた尿路プローブに関係する。
【0023】
まとめると、本発明の目的のために使用できる熱ゲル化重合体は:
1)スプレーによる容易な塗布、
2)スプレーされた溶液の即座のゲル化による的確な部分の処置、
3)処置された部分の良好な潤滑、
4)それらのムコ接着特性と洗い流しに対するゲルの高い耐性(唾液の流れに対して少ないゲルの溶液)による処置の高い有効性、
を可能にする。
【0024】
有利なことには、本発明によるいびき防止組成物は、そのため経鼻又は頬側経路によってスプレーするのに好適であり、そして、それらは唾液の流れによってそれらが洗い流されないように耐えられるようにするムコ接着特性を示し、且つ、それらは粘膜の潤滑性能を示す。これらのムコ接着性と潤滑特性は、市販の製品のそれよりも良好である。
【0025】
熱ゲル化重合体の使用に関連する別の利点は、それらを含む組成物からの有効成分の制御放出が可能性である点にある。有効成分を含有する重合体溶液は37℃にてゲル化する。有効成分は、形成されたゲルによってコートされ、そして制御された様式での拡散が可能である。
【0026】
そのため、本発明はさらに、先に記載したように制御放出すべき有効成分を含有する、熱ゲル化重合体を含んでなるいびきを予防及び/又は処置するための組成物に関する。
例えば、うっ血除去剤、抗炎症剤又はいびきを処置又は予防するための作用物質、例えば血管収縮剤の放出は、熱ゲル化重合体によって封入され、そして睡眠中に制御された薬物動態を伴って放出され得るナギイカダ抽出物などについて言及されてもよい。
【0027】
「うっ血除去剤」は、余分な血液の排出を促進する製品を意味し、そして「血管収縮剤」は、その筋繊維の収縮によって血管の口径を狭める製品を意味する。
特許及び特許出願FR2840907、EP1407791、EP692506、WO03106536及びUS7339013で言及されているとおり、熱ゲル化ポリウレタンの製造は、必要とされる適用に合わせることができる。よって、ゲル化温度、巨大分子の極性、及び粘度の変動は、反応物と合成条件に応じて調整され、そして有効成分の効果的なコーティング及びその制御放出を可能にする。
パラメーターのいくつかはさらに、他の添加物とこれらの製品を処方することによっても調整できる。
【0028】
よって、本発明によるいびき防止組成物は、下記のものから選択される1又は複数の添加物を任意に含んでなる:
‐ 電解質、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、フッ化ナトリウムなど。混合物中の塩の存在は、偏析を促進するので、ゲル化温度を下げる;前述の電解質は、例えば最高15wt.%で組成物中に存在し得る;
‐ 滑沢剤、例えばグリセロールなど。グリセロールはまた、ゲル化温度を下げる効果も有し、且つ、その添加はいびき防止組成物の潤滑性能を高める。前述の滑沢剤は、例えば最高30wt.%で組成物中に存在し得る;
‐ アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノールなどの溶液の保存料としてのアルコール。
【0029】
前述のアルコールは、製剤混合物中、10%未満、特に5%の水準の濃度にて使用されるのが好ましいであろう。
‐ 非イオン性界面活性剤、例えばTween(登録商標)又はBrij(登録商標);前述の滑沢剤は、例えば最高10wt.%で組成物中に存在し得る。
非イオン性界面活性剤の添加には、二重の効果がある。まず、ゲル化温度の低下が観察される。より驚いたことに、我々は、温度に応じて粘度のさらに大きな上昇に至る界面活性剤と熱ゲル化重合体との相乗効果を観察した。
‐ 多糖類、例えばヒアルロン酸、アルギン酸、特にアルギン酸ナトリウム、キサンタンなど。
【0030】
非常に少量の、特に5wt.%未満の多糖類の添加は、室温におけるいびき防止組成物の粘度を調整することを可能にする。その結果、多糖類は、製剤の従来の増粘剤として使用される。
‐ 活性物質、例えば抗炎症作用又は血管収縮作用を有する作用物質。
本発明は、下記の制限されることのない実施例によって例示される。別段の記載がない限り、パーセンテージは重量によって表されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
(原文記載なし)
【実施例】
【0032】
実施例1
下記のいびき防止組成物を調製した:
‐EG56SEC(ExpertGel(登録商標)) 3g 6%
‐エタノール 2.5g 5%
‐メントール 0.05g 0.1%
‐ミネラルウォーター 44.4g 100%に適量
熱ゲル化重合体EG56SEC(CAS番号93665‐35‐1)は、約75%のPEOを含有するPEO‐PPO‐PEOベースのポリウレタン尿素であり、そのINCI(化粧品原料国際命名法)名称は、BIS‐メトキシPEG‐13 PEG‐438/PPG‐110 SMDI共重合体である。
10s-1の剪断下、温度に応じた実施例1の組成物の流動粘度曲線を、図1に示す。
【0033】
実施例2
下記のいびき防止組成物を調製した:
‐EG56SEC(ExpertGel(登録商標)) 3g 6%
‐エタノール 2.5g 5%
‐メントール 0.05g 0.1%
‐ヒアルロン酸 0.1g 0.2%
‐ミネラルウォーター 44.35g 100%に適量
10s-1の剪断下、温度に応じた実施例2の組成物の流動粘度曲線を、図2に示す。
【0034】
実施例3
下記のいびき防止組成物を調製した:
‐EG56SEC(ExpertGel(登録商標)) 3g 6%
‐エタノール 2.5g 5%
‐メントール 0.05g 0.1%
‐ヒアルロン酸 0.1g 0.2%
‐Tween 20(登録商標) 0.05g 0.1%
‐ミネラルウォーター 44.4g 100%に適量
10s-1の剪断下、温度に応じた実施例3の組成物の流動粘度曲線を、図3に示す。
【0035】
実施例4
下記のいびき防止組成物を調製した:
‐EG56SEC(ExpertGel(登録商標)) 3g 6%
‐エタノール 2.5g 5%
‐メントール 0.05g 0.1%
‐ヒアルロン酸 0.1g 0.2%
‐Tween 20(登録商標) 0.05g 0.1%
‐クロルヘキシジン 0.05g 0.1%
‐ミネラルウォーター 44.20g 100%に適量
10s-1の剪断下、温度に応じた実施例4の組成物の流動粘度曲線を、図4に示す。
【0036】
実施例5
下記のいびき防止組成物を調製した:
‐EG230(ExpertGel(登録商標)) 3.5g 7%
‐エタノール 2.5g 5%
‐塩化ナトリウム 0.45g 0.9%
‐メントール 0.05g 0.1%
‐Tween 20(登録商標) 0.15g 0.3%
‐ミネラルウォーター 43.35g 100%に適量
熱ゲル化重合体EG230(CAS番号93665‐35‐1)は、PEO‐b‐PPO‐b‐PEOユニットを持つ分枝ポリウレタンであり、そのINCI(化粧品原料国際命名法)名称は、BIS‐メトキシPEG‐13 PEG‐502/PPG‐57 SMDI共重合体である。
10s-1の剪断下、温度に応じた実施例5の組成物の流動粘度曲線を、図5に示す。
【0037】
実施例6
下記のいびき防止組成物を調製した:
‐EG230(ExpertGel(登録商標)) 3.5g 7%
‐エタノール 2.5g 5%
‐ヒアルロン酸 0.1g 0.2%
‐塩化ナトリウム 0.45g 0.9%
‐メントール 0.05g 0.1%
‐Tween 20(登録商標) 0.15g 0.3%
‐ミネラルウォーター 43.25g 100%に適量
10s-1の剪断下、温度に応じた実施例6の組成物の流動粘度曲線を、図6に示す。
【0038】
実施例7
下記のいびき防止組成物を調製した:
‐EG230(ExpertGel(登録商標)) 3.5g 7%
‐エタノール 2.5g 5%
‐ヒアルロン酸 0.1g 0.2%
‐クロルヘキシジン 0.05g 0.1%
‐塩化ナトリウム 0.45g 0.9%
‐メントール 0.05g 0.1%
‐Tween 20(登録商標) 0.15g 0.3%
‐ミネラルウォーター 43.2g 100%に適量
10s-1の剪断下、温度に応じた実施例7の組成物の流動粘度曲線を、図7に示す。
【0039】
実施例8:熱ゲル化重合体を含有する製剤からの有効成分の放出の研究
特定の研究を受けた有効成分は、DL‐リシン・アセチルサリチル酸(Aspegic(登録商標))である。下記の表1に示した製剤を、ExpertGel(登録商標)重合体No.EG56の水性溶液を用いて調製した。
熱ゲル化重合体EG56(CAS番号93665‐35‐1)は、PEO‐b‐PPO‐b‐PEOユニットを持つ分枝ポリウレタンであり、そのINCI(化粧品原料国際命名法)名称は、BIS‐メトキシPEG‐13 PEG‐438/PPG‐110 SMDI共重合体である。
【0040】
【表1】

【0041】
次に、この溶液を37℃、20mlの水に滴下して加えた。液滴は、37℃の水と接触するとすぐにゲル化し、有効成分をコートする。
37℃のAspegic(登録商標)の放出の動態を、UV‐可視分光法によって観察した。
【0042】
図8の曲線は、時間(分)に応じて、濃度(g/l)として左側(記号‐◆‐)の縦座標上、及び重量パーセント(%)として右側(記号‐黒四角‐)の縦座標上に示した、37℃にて水中で7.5%のEG56C溶液内に封入されたAspegic(登録商標)の37℃での放出動態を示す。
表2は、熱ゲル化重合体を含まない又は熱ゲル化重合体の水性溶液中のAspegic(登録商標)の放出動態を示す。
【0043】
【表2】

【0044】
結果は、熱ゲル化重合体の使用が、有効成分の放出を制御することを可能にすることを示している。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性溶液中に少なくとも1種類の熱ゲル化重合体を含んでなる、いびきを予防及び/又は処置するための組成物であって、前記熱ゲル化重合体が、水溶性ユニットを含んでなる一方で、水中で下限臨界共溶温度を有するユニットを含んでなり、且つ、前記熱ゲル化重合体が、前記水性溶液中、10%以下の重量濃度にて存在する前記組成物。
【請求項2】
前記熱ゲル化重合体が、水性溶液中、室温にて10s-1未満の剪断下、0.1Pa.s未満の粘度を示し、且つ、体温にて粘膜に接触した状態で10s-1の剪断下、0.1Pa.s超、好ましくは0.3Pa.s超の粘度を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記熱ゲル化重合体が、水性溶液中、2〜10%の重量濃度にて存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記熱ゲル化重合体が、ブロック重合体及びグラフト重合体から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記の水中で下限臨界共溶温度を有するユニットが、ポリエーテル、アクリルアミドのN置換誘導体、ポリビニルカプロラクタム、及びビニルカプロラクタムの共重合体から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記熱ゲル化重合体が、ポリ(エチレンオキシド‐b‐プロピレンオキシド‐b‐エチレンオキシド)(PEO‐b‐PPO‐b‐PEO)基を持つポリウレタンから選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記熱ゲル化重合体が、ジイソシアナートの重縮合及びトリブロック・ジオールであるPEO‐b‐PPO‐b‐PEOの重縮合によって得られ、且つ、尿素基及び/又はアロファナートを含んでなることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
制御放出すべき有効成分を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記有効成分が、うっ血除去剤、抗炎症剤、いびきを処置又は予防するための作用物質、及び血管収縮剤から選択されるのことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
下記の:
‐ 電解質、
‐ 滑沢剤、
‐ アルコール、
‐ 非イオン性界面活性剤、及び
‐ 多糖類、
から選択される少なくとも1種類の添加物を含んでなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
経鼻又は頬側経路によってスプレーするのに好適であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
唾液の流れによって洗い流されないように耐えられるようにするムコ接着特性を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
粘膜潤滑特性を示すことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
いびきを予防及び/又は処置するための組成物を調製するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の少なくとも1種類の熱ゲル化重合体の使用。
【請求項15】
前記組成物が、請求項8〜13のいずれか1項に記載の組成物であることを特徴とする、請求項14に記載の使用。

【公表番号】特表2012−514627(P2012−514627A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544906(P2011−544906)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050021
【国際公開番号】WO2010/079305
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(506386907)
【Fターム(参考)】