説明

熱交換ユニットと熱交換器及びその製造方法

【課題】内部熱交換器用の熱交換ユニットの組立を簡素化して、低コストとする。
【解決手段】中空の外側チューブ19の内面を、多数のリブを有するリブ付き壁19aとし、この各リブの先端面に、第1流体循環用の多数の長手方向の第1内部通路を有する内側チューブ17の外表面が接触するように、外側チューブ内に内側チューブを収容し、リブ付き壁と各リブ、そして内側チューブの外表面とで、第2流体循環用の多数の長手方向の第2内部通路29を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換ユニットと、この熱交換ユニットを備える熱交換器に関する。また、本発明は、この熱交換ユニットの製造方法にも関する。
【0002】
本発明は、特に自動車用熱交換器へ適用して有益であり、とりわけ、空調回路の高温高圧の冷媒が、低温低圧の同じ冷媒と熱交換する内部熱交換器へ適用して有益である。
【背景技術】
【0003】
1列又は数列の平行に配置されているチューブ内を、冷媒が循環する自動車用熱交換器は知られている。
【0004】
前記チューブは、チューブの間に配置されている熱交換部品であるフィンと、公知の方法でろう付けされている。一般に、このフィンの表面は波形をしており、チューブは、フィンの波形の頂点とろう付けされている。
【0005】
特許文献1は、列をなして平行に整列している多数の通路を備える熱交換器用チューブを開示している。このチューブは、押出加工により、2列の通路を同時に成形することにより製造されている。
【0006】
しかし、この技術は、2列の通路が同時に製造されるので、自在性に欠けている。更に、このチューブでは、2列の通路間の熱交換を、最大限に行うことができない。最後に、チューブの端部とヘッダパイプとの組立に際し、2列の通路を同時に形成するので複雑である。そのため、全チューブの組立てに長時間を要し、コスト高となる結果を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国公開特許公報2008066636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、熱交換器用の熱交換ユニットを簡素化して、低コストで製造しうるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明の第1流体と第2流体との間で熱交換させる熱交換ユニットは、下記の構成を備えていることを特徴としている。
−第1流体循環用の多数の長手方向の第1内部通路を備えている、少なくとも1つの内側チューブ、
−前記内側チューブを収容する中空の外側チューブ、
−前記第1通路と実質的に平行に伸長する第2流体循環用の多数の長手方向の第2内部通路を形成するように、前記内側チューブおよび前記外側チューブと接触させて、前記内側チューブの両側に配置されている少なくとも2つのリブ付壁。
【0010】
この熱交換ユニットは、内側チューブと外側チューブが接触しており、かつ第1流体が、第2流体の2つの層の間に挟持されているため、製造と組立が容易であるとともに、熱交換性能を最大限に発揮させることができる。又、この熱交換表面を、容易に増大させることができる。
【0011】
前記内側チューブは板状をなし、かつ前記外側チューブは、中空の平行六面体で、リブ壁間に2つの側壁を備えているのが好ましい。
【0012】
内側チューブは押出管であるのが好ましい。外側チューブもまた、押出成形により形成された管である。これにより、破裂圧力が200〜300バールに達する二酸化炭素のような超臨界冷媒流体が循環する熱交換ユニットに必要な高耐圧性を得ることができる。
【0013】
他の実施例として、外側チューブを、例えば低圧縮応力の低い空調回路用に、帯状薄板から製造することもある。
【0014】
第1実施例においては、少なくとも1つのリブ壁が、リブの平らな端部を介して、内側チューブと接触している。このリブの平らな端部と、内側チューブの外壁との接触面積が十分に大きいので、良好な密着性が得られている。
【0015】
外側チューブの側壁は、部分的な変形部、すなわち、外側チューブの内側に向かう湾曲凹部を備えている。この特徴により、外側チューブの圧縮工程が容易になる。この凹部は、外側チューブの圧縮工程前は“V”字形をしているが、圧縮工程後は“U”字形となっている
【0016】
本発明はまた、前述の熱交換ユニットを少なくとも1つ備える熱交換器に関する。
【0017】
前記熱交換器は、少なくとも1つの流体導入用のマニホルドブロックと、少なくとも1つの流体排出用のマニホルドブロックを備えており、前記マニホルドブロックは、それぞれ次の要素を備えている。
−前記内側チューブの一端と接続されている第1流体用の第1集合管と、
−前記外側チューブの一端と接続されている第2流体用の第2集合管。
前記各集合管は、シールして分離されている。
【0018】
前記マニホルドブロックの横断面は、ほぼ“8”の字状をしており、この“8”の字の第1の輪と第2の輪は、それぞれ、第1集合管と第2集合管を形成しており、2つの輪の共通部分に、熱交換チューブ端が通る開口が設けられていることが好ましい。
【0019】
他の実施例においては、この熱交換器は、少なくとも1つの流体導入用マニホルドブロックと、少なくとも1つの流体排出用マニホルドブロックを備えており、前記マニホルドブロックは、それぞれ、第1流体を導入又は排出させるべく、前記内側チューブの端部と接続されている単一の集合管を備えている。
【0020】
前記内側チューブの端部は、前記外側チューブの両側から突出している。
【0021】
最後に、本発明は、第1流体と第2流体の熱交換ユニットの製造方法にも関し、この方法は、次のステップを備えていることを特徴としている。
−A)中空の外側チューブ内に、第1流体循環用の多数の平行な長手方向の第1通路を備える、少なくとも1つの内側チューブが配置されており、前記内側チューブの長手方向の外表面の両側に、少なくとも2つのリブ付きの壁が設けられている。
−B)前記外側チューブは、前記リブ付きの壁が前記内側チューブと接触するまで、前記外側チューブの容積を減少させるように圧縮させることにより、第2体循環用の多数の長手方向の第2通路が形成され、この第2通路は、前記第1通路と実質上平行に伸長している。
【0022】
この方法において、前記リブ壁は、前記外側チューブの内面にリブを設けて形成されている。他の実施例として、前記リブ付きの壁を、前記内側チューブの外表面にリブを設けて形成することもある。
【0023】
内側チューブは、予め押出工程により成形するのが好ましい。
【0024】
外側チューブとリブ付きの壁は、予め、一般的な押出工程により成形されている。
【0025】
他の実施例においては、前記リブ付きの壁、又はリブは、金属薄板を折り曲げることにより形成されている。
【0026】
この製造方法は、外側チューブの内表面を、内側チューブの外表面にしっかりと付着させるために、接着やろう付けで固定される工程を備えている。
【0027】
他の実施例によると、前記外側チューブの内側に向かう湾曲凹部は、外側チューブの圧縮工程B)を容易にするために、外側チューブの側壁のほぼ中央部に設けられている。
【発明の効果】
【0028】
本発明の方法によると、数本のチューブを同時に組み立てる代わりに、数個の循環通路を有する単一の熱交換ユニットを得ることができるので、熱交換器に組み込む部品数を減らすことができ、冷媒漏れの危険性を低減させることができる。
【0029】
更に、循環通路の並べ方により、2つの流体間の熱交換を改善することができる。
【0030】
本発明の上記以外の特徴と効果は、添付図面と、非限定的な実施例に関する次の詳細な説明から、明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来の空調回路を示す図である。
【図2a】本発明の熱交換ユニットの第1実施例の横断面図である。
【図2b】本発明の熱交換ユニットの第2実施例の横断面図である。
【図3】図2aにおける熱交換ユニットの内側チューブを示す図である。
【図4】図2aにおける熱交換ユニットの外側チューブを示す図である。
【図5a】第1実施例のマニホルドブロックに接続されている図2aの熱交換ユニットの一部を示す図である。
【図5b】第1実施例のマニホルドブロックに接続されている図2aの熱交換ユニットの一部を示す図である。
【図5c】第1実施例のマニホルドブロックに接続されている図2aの熱交換ユニットの一部を示す図である。
【図6a】第2実施例のマニホルドブロックに接続されている図2aの熱交換ユニットの一部を示す図である。
【図6b】第2実施例のマニホルドブロックに接続されている図2aの熱交換ユニットの一部を示す図である。
【図7】図2aのチューブの製造方法の連続的な工程を示す図である。
【図8】図7の製造工程中の図2aのチューブを示す図である。各図における実質上同一の部品には、同一の符号を付してある。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0032】
本発明は、例えば自動車用空調回路の内部熱交換器に使用される第1流体と第2流体を熱交換させる熱交換ユニットに関する。
【0033】
内部熱交換器は、温度と圧力が異なる同じ冷媒の間で熱交換させる装置である。
【0034】
冷媒は、R−134aのような、亜臨界流体のハイドロフルオロカーボンが代表的である。しかし、例えばR744として知られている二酸化炭素のような超臨界流体も、冷媒として使用することができる。
【0035】
図1に示すように、空調回路1は、通常、冷媒の循環方向に、圧縮機3、コンデンサ又はガスクーラ5、アキュムレータ又は気液分離器13、内部熱交換器7、膨張弁又は可変オリフィス9、そして蒸発器11を備えている。これら種々の部品は、冷媒流体を循環させるために、配管、パイプ又は類似部材のような接続部品により、互いに接続されている。
【0036】
図1における矢印は、冷媒流体の循環方向を示している。
【0037】
圧縮機3により送出された高温高圧の冷媒流体は、コンデンサ5を通過する。その後、冷媒流体は、内部熱交換器7を通過した後に、膨張弁9で膨張する。この膨張した低温低圧の冷媒流体は、蒸発器11を通過した後、冷媒流体が交差する内部熱交換器7を通過する。コンデンサ5と内部熱交換器7との間に、気液分離器13を設けることもある。
【0038】
この内部熱交換器7において、高温高圧の第1冷媒流体と、低温低圧の第2冷媒流体が、互いに別方向から交差している。この冷媒流体は、空調回路1が閉回路であるので、同じものである。このように、コンデンサ5からの高温高圧の冷媒流体は、蒸発器11からの低温低圧の同じ冷媒流体と熱交換する。すなわち、内部熱交換器7により、空調回路の2つの異なる点で、冷媒流体は熱交換される。
【0039】
この内部熱交換器7からの冷媒流体は、再び圧縮機3に到達し、このようにして冷媒流体は循環する。
【0040】
この内部熱交換器7は、図2aに示すような1本又は数本の熱交換ユニット15を備えている。
【0041】
この熱交換ユニット15は、
−内側チューブ17、
−内側チューブ17を収容する中空の外側チューブ19、および
−内側チューブ17の両側に位置する少なくとも2つのリブ付き壁19aを備えている。
このリブ付き壁19aは、少なくとも1つの突起又はリブを備えており、外側チューブ19と内側チューブ17との間の力学的関係を構築している。
【0042】
他の実施例においては、熱交換ユニット15は、外側チューブ19内に、数本の内側チューブを挿入して構成されている。図2bは、同じ外側チューブ19内に、2本の内側チューブ17'と17"が挿入されている例を示す。
【0043】
図2aに示す例において、内側チューブ17は、外表面がほぼ平坦な板状をなしている。
【0044】
図3の内側チューブ17は、例えば第1流体循環用の、ほぼ円筒状の多数の第1長手方向通路21を備えている。この多数の通路21は、互いに平行で、内側チューブ17の長手方向の隔壁23により分離されている。
【0045】
この内側チューブ17の壁は薄く、熱交換ユニット15の重量を抑えて、熱交換能力を改良することができる。
【0046】
更に、単一のチューブ17が、数個の流体循環通路を備えているので、単一の流体循環通路を有する数個のチューブや板部材の例と比較して、部品点数を減らすことができ、組立を容易にすることができる。この内側チューブ17は、アルミニウム又はアルミニウム合金を押出成形して形成されている。
【0047】
図4の外側チューブ19は、例えば、中空の平行六面体の形状であり、内側チューブ17を挿入するための開口部25を備えている。この外側チューブ19は、リブを有する4つの内壁を備えており、リブ27は、内壁から内側チューブ17の方向に突出している。
【0048】
図2aと図4に示すように、外側チューブ19の長手方向の内壁は、先端が内側チューブの表面又は外壁に当接している平らな多数のリブ27を備えるリブ付き壁19aである。このようにして、第2流体循環用の多数の長手方向の第2通路29が形成されている。この第2通路29は、第1通路21と事実上平行に、内側チューブ17と外側チューブ19との間を伸長している。
【0049】
この第2通路29を循環する第2流体は、内側チューブ17と直接に接触するので、第1流体との熱交換は最大となる。
【0050】
外側チューブ19の壁も、例えば0.2〜0.5mm程度と薄く、熱交換ユニットの重量を抑え、かつ熱交換性能を改善することができる。
【0051】
更に、外側チューブ19の端壁の中央部は内側へ向かって、部分的に変形されている。
【0052】
この外側チューブ19の部分的な変形とは、外側チューブ19の内側を向いている湾曲凹部41のことである。この外側チューブ19の内側を向いている湾曲凹部41は、外側チューブ19のリブ付き壁19a間において端壁に設けられている。この湾曲凹部41は、外側チューブ19のチューブ軸方向の全長に亘って折り目状に形成されている。後に詳述するが、この湾曲凹部41の機能は、内側チューブ17の外壁又は周囲壁との接触位置まで、外側チューブ19の内容積を減少させるための圧縮工程を容易にすることである。
【0053】
この外側チューブ19は、アルミニウム製で、例えば押出加工で大量生産されるものである。
【0054】
他の実施例においては、外側チューブ19は、アルミニウムの帯板をプレスして製造されている。この場合、2つの湾曲凹部41の1つが、2つのリブ付き壁19aを分離させている長手方向の切れ目である。他の実施例において、第1リブ付き壁19aを、向かい合っている第2のリブ付き壁に折り畳んで、湾曲凹部41をヒンジとして使用し、内側チューブ17を挟み込んでいる。
【0055】
他の実施例においては、第2通路を形成するために、外側チューブ19の内面を平坦にして、内側チューブ17の外面にリブ壁を設けるようにしている。これは特に、前述のアルミニウムの帯板を使って、外側チューブ19を製造する際の例である。
【0056】
他の実施例によると、リブ付き壁を、例えば、金属薄板を折り畳むことにより、別部品として形成し、ろう付けすることもできる。この実施例によれば、外側チューブと内側チューブの製造を簡単にすることができる。
【0057】
従って、この熱交換ユニットは、熱交換器内に容易に組み立てることができ、かつ部品数を減らすことができる。
【0058】
図5a〜図6bは、例えば内部熱交換器7のマニホルドブロックに接続されている前述の熱交換ユニットを示している。これらの図は、左側部分のみを示しており、左右対称の右側部分は示されていない。
【0059】
この内部熱交換器7は、少なくとも2つのマニホルドブロックを備え、その1つは流体導入用で、他の流体排出用である。このマニホルドブロック31は、アルミニウムかアルミニウム合金のような金属材料、又は合成樹脂により製造される。
【0060】
図5a〜図5cは、流体の閉回路の第1実施例を示す。
【0061】
この第1実施例によると、マニホルドブロック31は、
−第1流体の導入又は排出用の第1集合管33と、
−第2流体の導入又は排出用の第2集合管35
とを備えている。
【0062】
この集合管33と35は、それぞれ密閉状態で分離されており、内側チューブ17の端部37と、外側チューブ19の端部39が連通される空間を備えている。この集合管33と35の内部は、第1通路21と第2通路29と連通している。
【0063】
この2つの集合管33と35は、例えば、第2集合管35の上手に第1集合管33を並べて配置することができる。
【0064】
2つの集合管の異なる構成例を、図5a〜図5cに示す。
【0065】
図5aのマニホルドブロック31は、平行六面体の形状をしており、2つの集合管33、35は、例えば押出加工により、断面がほぼ円筒状に形成されている。
【0066】
図5bにおいて、2つの集合管33、35は、2つの隣り合う円筒状に形成されており、図5cにおいては、離隔されている円筒状に形成されている。
【0067】
各集合管33、35は、内側チューブ17の端部37と、外側チューブ19の端部39が挿通されている、断面がほぼ長方形の開口を備えている・
【0068】
マニホルドブロック31は、横断面がほぼ“8”の字形をしており、第1の輪31aは、第1集合管33が形成されており、第2の輪31bは、第2集合管35が形成されている。図5bの実施例において、内側チューブ17の端部37が、第2集合管35を横断して、第1集合管33と接続されている。
【0069】
内側チューブ17の端部37は、外側チューブ19の端部39から突出している。この構成により、内側チューブ17と外側チューブ19の別々の端部37と39を、第1集合管33と第2集合管35に、それぞれ簡単に、そして別々に接続することができる。
【0070】
図示していない右側部分は、対称的であり、内側チューブ17の2つの端部37は、外側チューブ19の両側から突出している。
【0071】
図示していない他の実施例においては、2つの集合管33と35は、互いに瓦状に重ねられている。
【0072】
更に、ろう付けにより、各端部37と39を各集合管33と35に固定するために、各端部37と39上にろう材が塗られている。
【0073】
図6aと図6bは、第2実施例における、第1流体用閉回路と第2流体用開回路を示している。
【0074】
この第2実施例によると、マニホルドブロック31は、内側チューブ17の端部37と固定されており、第1流体の導入用と排出用の集合管33をそれぞれ備えている。
【0075】
更に、公知の方法で、各集合管の端部に、流体導入用と排出用の配管が、それぞれ取り付けられている。
【0076】
図7は、この熱交換ユニット15の連続的な製造工程を示している。
【0077】
予め、内側チューブ17の材料を、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金と選択する。
【0078】
内側チューブ17は、前工程で、第1流体循環用の第1通路21(図3参照)を形成するために、例えば押出加工で成形されている。
【0079】
同様に、外側チューブ19の材料を、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から選択した後に、押出加工により、チューブ状に成形する。その後、例えば外側チューブ19内に、内部の開口部25を、押出加工により成形する。他の実施例においては、外側チューブ19は、湾曲凹部41の一方の位置の、ほぼ中央で折り畳まれている薄板を使用して製造される。このようにして開口部25は形成される。この薄板を使用する実施例においては、湾曲凹部41が開いているので、内側チューブ17を、外側チューブ19の側方から導入することができる。
【0080】
外側チューブ19を押出加工により製造する実施例においては、開口部25は内側チューブ17を受け入れるように設計されており、このために、内側チューブ17と相互補完的な形状をしている。
【0081】
その後、例えば、多数のリブ27(図4参照)を、外側チューブ19の内壁19aの長手方向に形成する。このリブ27は、外側チューブ19の押出工程中に同時に成形すると有利である。
【0082】
第1工程Aにおいて、内側チューブ17は、開口部25内に挿入されている(図8参照)。図示の例において、内側チューブ17は、第1通路21と第2通路29と平行な軸方向に挿入されており、このようにして、内側チューブ17と外側チューブ19の長手方向の壁が平行に伸長している。
【0083】
図8に示すように、内側チューブ17の長手方向の外壁と、外側チューブ19の長手方向の内壁のリブ27の端部との間に、第1間隔G1がある。同様に、内側チューブ17の外側壁と、外側チューブ19の湾曲凹部41の内表面との間に、第2間隔G2がある。この第1間隔G1と第2間隔G2があることにより、外側チューブ19内に内側チューブ17を容易に挿入することができる。この第1間隔G1と第2間隔G2は、0.05mm〜0.3mmである。
【0084】
更に、通路21とリブ27が長手方向に平行に配置されているので、第1流体と第2流体の並流、又は対向流の平行な循環が可能となる。
【0085】
最後に、第2工程B中に、外側チューブ19は、例えば、プレス又は圧延により圧縮されて、外側チューブ19の容積は減少する。
【0086】
実際に、圧縮前の外側チューブ19の高さは、第1高さH1であったが、圧縮後の高さは、第1高さH1より減少した第2高さH2(図2a又は図2b参照)であることが観察された。
【0087】
プレス又は圧延工程前の湾曲凹部41は、“V” 字型の断面をしていたが、プレス又は圧延工程した後は、先端の接触により、“U”字型の断面となった。
【0088】
このように、熱交換ユニットの大きさが減少しているので、熱交換器の大きさを小さくすることができる。
【0089】
更に、外側チューブ19の圧縮の後に、外側チューブ19の内壁は、内側チューブ17の外壁に付着するので、熱交換を最大とすることができる。リブ27の端部は、内側チューブ17の外壁に対して、完全に強く押し付けられて、各第2通路29が形成される。
【0090】
又、圧縮の第2工程中に、湾曲凹部41を備えている外側チューブ19の側壁は、内側に向かって変形し、内側チューブ17に接触するようになるので(図8参照)、リブ27の端部、又は湾曲凹部41の端部により、外側チューブ19の内表面と内側チューブ17の外表面を付着させることができる。
【0091】
一度全体が圧縮された外側チューブ19上には、変形は見られない。従って、2つの湾曲凹部41(図2a,2b参照)の“U”字型の接続用の先端部を除いて、外側チューブ19の側壁の表面は滑らかである。
【0092】
更に、圧縮工程Bの後に、内側チューブ17と外側チューブ19との間の付着と密閉を最大にするために、例えば、ろう付け工程、又は接着工程があり、外側チューブ19の内壁19aは、内側チューブ17の外壁に固定される。
【0093】
この熱交換ユニット15は、2つの流体間の熱交換を最大にするように作られる。
【0094】
熱交換器を組み立てるために、1つ、又は数個の熱交換ユニット15が、マニホルドブロックに組み立てられる。
【0095】
その後、全ての熱交換器は、種々の部品を1つの工程で固定するために、適当なろう付け炉に入れられて、内側チューブ17と外側チューブ19の各端部が、マニホルドブロック33,35に、あるいは、内側チューブ17の外表面が、外側チューブ19の内表面に、ろう付け固定される。
【0096】
従って、この熱交換ユニット15の製造は簡単であり、容易にマニホルドブロック33,35に接続できるので、熱交換器の組立工数とコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 空調装置
3 圧縮機
5 コンデンサ又はガスクーラ
7 内部熱交換器
9 膨張弁
11 蒸発器
13 気液分離器又はアキュムレータ
15 熱交換ユニット
17 内側チューブ
17'内側チューブ
17"内側チューブ
19 外側チューブ
19a リブ付き壁
21 第1通路
23 隔壁
25 開口部
27 リブ
29 第2通路
31 マニホルドブロック
31a 第1の輪
31b 第2の輪
31c 共通部分
33 第1集合管
35 第2集合管
37 端部
39 端部
41 湾曲凹部
H1 第1高さ
H2 第2高さ
G1 第1間隔
G2 第2間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体との間の熱交換ユニットであって、
―第1流体の循環用の複数の長手方向の内部第1通路(21)を有する、少なくとも1つの内側チューブ(17)と、
―前記内側チューブを収容している、中空の外側チューブ(19)と、
―前記内側チューブ(17)の両側に配置されている、少なくとも2つのリブ付き壁(19a)を備え、前記リブ付き璧(19a)は、第2流体の循環用の複数の長手方向の第2通路(29)の範囲を定めるように、前記外側チューブに対してと同様に前記内側チューブに対して接触し、前記第2通路(29)は、前記第1通路(21)とほぼ平行に延びていることを特徴とする熱交換ユニット。
【請求項2】
前記内側チューブ(17)は、板状に形成されており、前記外側チューブ(19)は、中空の平行六面体の形状を有し、前記外側チューブ(19)は、リブ付き壁(19a)間に延びる2つの側璧(51)を備えていることを特徴とする、請求項1記載の熱交換ユニット。
【請求項3】
前記内側チューブ(17)は、押出管であることを特徴とする、請求項2記載の熱交換ユニット。
【請求項4】
前記外側チューブ(19)は、押出成形により成形された管の範囲を定めることを特徴とする、請求項2または3記載の熱交換ユニット。
【請求項5】
前記外側チューブ(19)は、帯板を使用して製造されたことを特徴とする、請求項2または3記載の熱交換ユニット。
【請求項6】
少なくとも1つのリブ付き壁(19a)は、少なくとも1つのリブ(27)を備え、前記リブ(27)は、前記内側チューブ(17)と、前記リブ(27)の平端部(50)を介して接触していることを特徴とする、請求項1〜5記載の熱交換ユニット。
【請求項7】
前記側璧(51)は、部分的な変形部を有していることを特徴とする、請求項2〜5記載の熱交換ユニット。
【請求項8】
部分的な変形部は、前記外側チューブ(19)の内側を向いて湾曲している凹部(41)であることを特徴とする、請求項7記載の熱交換ユニット。
【請求項9】
凹部(41)は、前記外側チューブ(19)の圧縮工程の前は、“V”字形状を有しており、前記圧縮工程の後は、“U”字形状を有し、U”字形状の枝同士が隣接することを特徴とする、請求項8記載の熱交換ユニット。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1つの熱交換ユニットを備えていることを特徴とする、熱交換器。
【請求項11】
少なくとも1つの流体の導入マニホルドブロック(31)と少なくとも1つの流体の排出マニホルドブロック(31)を備え、前記マニホルドブロック(31)は、それぞれ、
―第1流体と関係し、前記内側チューブ(17)の端部(37)に接続されている第1集合管(33)と、
―第2流体と関係し、前記外側チューブ(19)の端部(39)に接続されている第2集合管(35)を、
備えており、前記集合管(33)(35)は、密閉状態で分離されていることを特徴とする、請求項10記載の熱交換器。
【請求項12】
前記マニホルドブロック(31)は、ほぼ“8”の字状の断面を有し、“8”の字の第1の輪(31a)と第2の輪(31b)は、それぞれ第1集合管(33)と第2集合管(35)の範囲を定め、“8”の字の2つの輪(31a)(31b)の共通する部分(31c)は、端部(37)(39)の通路用の開口部を有することを特徴とする、請求項11記載の熱交換器。
【請求項13】
少なくとも1つの流体の導入マニホルドブロック(31)と少なくとも1つの流体の排出マニホルドブロック(31)を備え、前記マニホルドブロック(31)は、それぞれ、単一集合管(33)を備え、前記単一集合管(33)は、第1流体の導入および排出用の前記内側チューブ(17)の端部(37)に接続されていることを特徴とする、請求項10記載の熱交換器。
【請求項14】
前記内側チューブ(17)の端部(37)は、前記外側チューブ(19)の両側で突き出ていることを特徴とする、請求項10〜13記載の熱交換器。
【請求項15】
第1流体と第2流体との間の熱交換ユニットの製造方法であって、
―A)中空の外側チューブ(19)内に、第1流体の循環用の複数の長手方向の平行な内部第1通路(21)を有する少なくとも1つの内側チューブ(17)を配置し、前記内側チューブ(17)の長手方向の外表面の両側に、少なくとも2つのリブ付き璧(19a)を配置する工程と、
―B)前記外側チューブ(19)の体積を減少させるため、前記リブ付き璧(19a)が、第2流体の循環用の複数の長手方向の第2通路(29)の範囲を定めるように、前記外側チューブに対してと同様に前記内側チューブに対して接触するまで、前記外側チューブ(19)は圧縮する工程を備え、前記第2通路(29)は、前記第1通路(21)とほぼ平行に延びていることを特徴とする、製造方法。
【請求項16】
前記リブ付き璧(19a)は、リブ(27)によって、前記外側チューブ(19)の内表面上に形成されていることを特徴とする、請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
前記リブ付き璧(19a)は、リブ(27)によって、前記内側チューブ(17)の外表面上に形成されていることを特徴とする、請求項15または16記載の製造方法。
【請求項18】
内側チューブ(17)は、押出工程によって予め形成されていることを特徴とする、請求項15〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項19】
外側チューブ(19)とリブ付き璧(19a)は、押出工程によって予め形成されていることを特徴とする、請求項15〜18のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
前記リブ付き璧(19a)は、金属帯板を折り曲げることによって形成されていることを特徴とする、請求項15〜18のいずれかに記載の製造方法。
【請求項21】
密着を最適化するために、接着またはろう付けによって、前記外側チューブ(19)の内表面が、前記内側チューブ(17)の外表面に固定される工程を備えていることを特徴とする、請求項15〜20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
外側チューブ(19)を圧縮する工程B)を容易にするために、外側チューブ(19)の側璧(51)のほぼ中央部に、前記外側チューブ(19)の内側を向いて湾曲している凹部(41)が形成されていることを特徴とする、請求項15〜21のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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