説明

熱交換器およびその設置方法

【課題】熱交換管の位置合わせを柔軟に行う。
【解決手段】熱交換器10は、連続する複数のループが並ぶように配設される熱交換管12と、この熱交換管12の上方に配設される埋設表示テープTと熱交換管12とを繋ぐ保持具14とを備えている。保持具14は、操作により埋設表示テープTを保持する保持状態から該埋設表示テープTの延在方向に沿って移動可能な解放状態に状態変化するテープ保持部16と、熱交換管12を着脱可能に保持する管保持部24とを有している。熱交換器10は、複数の保持具14を埋設表示テープTに配設し、複数の保持具14で熱交換管12のループ12aが位置合わせされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中熱ヒートポンプシステムを構成し、地中に埋設される熱交換器およびその設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中熱を利用した地中熱ヒートポンプシステムが、省エネや低環境負荷の観点から注目されている。このような地中熱ヒートポンプシステムは、地中に埋設した熱交換管からなる熱交換器に、水やグリコール系やアルコール系等の熱媒を循環させて、この熱媒を地中で熱交換させることで、地中から熱を取り出したり、地中に熱を放出するようになっている。
【0003】
従来、地中に垂直方向に数十〜数百mの深さで掘削して熱交換器を配設する垂直埋設法が行われてきたが、掘削費用が高価であるため、1m〜3m程度の深さに平面状に掘削して、熱交換器を水平方向に配置する水平埋設法が検討されている。例えば水平埋設法において、熱交換器は、可撓性を有する樹脂パイプからなる熱交換管を、所要の広さおよび深さで掘削された穴に所定パターンで配設し、熱交換管の配設パターンを崩さないように埋め戻すことで地中に設置される。ここで、熱交換管は、コイル状に巻かれた状態で提供されるので、コイル状に巻かれた熱交換管のループを順番にずらすように広げて、熱交換管のループが互いに一部重なるように並べる配設パターンが、熱交換管の敷設作業を効率よく行うことができるから多く採用されている。しかし、熱交換管の各ループの直径は、コイル状態での巻き癖の程度によって異なり、さらに施工時の外気温によって巻き癖の強さや戻り量も変わってきてしまうため、施工される管の長さは施工の時期や施工者によって影響を受ける。熱交換管の配設パターンや長さにばらつきがあると、地中において所要の熱交換効率を確保することができず、地中熱ヒートポンプシステムが所望の性能を発揮できないおそれがある。
【0004】
そこで、特許文献1に開示の熱交換器は、管に所定間隔で識別部を設け、管を管台に複数設けられた溝部に、識別部が直線的になるように位置合わせてした後に固定し、管を連続する複数のループがループ面と略平行な方向に配置されている。このように、特許文献1の熱交換器は、管を管台で固定することで、熱交換管の配設パターンや長さを一定に保つようになっている。また、特許文献1には、管に設けた識別部を所定位置に合わせて上下からシート状固定部材で挟むことで、管を支持する別の熱交換器も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−185599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の熱交換器は、管台に設けられた溝部の間隔の範囲内でしか管のループピッチを設定することができず、現場に応じた柔軟な管の配設パターンにできないので使い勝手が悪い。また、管台は、管を支持可能な剛性を有する構成であると共に長尺であるので、搬送や設置作業において嵩張り、取り扱い性に難がある。特許文献1に開示の別の熱交換器は、管をシート状固定部材で挟んで固定すると、管の遣り替えを行うことができないので、施工の柔軟性を損なうことになり、これも使い勝手が悪い。そして、管台の溝部に管を固定する作業やシート状固定部材で管を挟む作業は、ある程度の作業スペースを必要とし、特に管のループ面を垂直とした姿勢で設置する縦工法に合わせた幅が狭い穴内では作業を行うことができない。穴の外において、管台またはシート状固定部材で管を固定して熱交換器を組み立てると、全体として大型になるので取り扱い難く、穴に設置する際に架台やシート状固定部材が引っ掛かるおそれがある。
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に係る熱交換器に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、熱交換管の位置合わせを柔軟に行うことができる熱交換器およびその設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の熱交換器は、
地中熱ヒートポンプシステムに用いられ、地中に埋設される熱交換器において、
連続する複数のループが並ぶように配設される熱交換管と、
前記熱交換管の上方に配設されて可撓性を有する埋設表示テープと該熱交換管とを繋ぐ保持具とを備え、
前記保持具は、操作により前記埋設表示テープを保持する保持状態から該埋設表示テープの延在方向に沿って移動可能な解放状態に状態変化するテープ保持部と、前記熱交換管を着脱可能に保持する管保持部とを有し、
複数の保持具を前記埋設表示テープの延在方向に離間して前記テープ保持部を介して該埋設表示テープに配設し、複数の保持具を間隔調節して前記管保持部で保持する熱交換管のループを位置合わせするよう構成したことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、保持具を埋設表示テープに沿って移動させることができるので、保持具による熱交換管におけるループの間隔調節を柔軟かつ簡単に行うことができる。そして、熱交換器は、熱交換管のループが保持具で適切に位置合わせされるので、設計通りの熱交換を実現できる。また、熱交換器の埋設表示のために熱交換管の上方に埋設される埋設表示テープを、複数の保持具の間隔調節の基準として用いているので、部品点数を最小限に抑えることができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記熱交換管は、各ループのループ面を立てた姿勢で配設され、前記管保持部は、ループの上端部に取り付けられることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、ループ面を立てた姿勢で設置する熱交換管に対応して、溝を狭い幅で掘削しても、保持具が熱交換管のループの上端部に取り付けられるので、保持具が溝に干渉し難く、ループの位置合わせを適切に行うことができる。
【0010】
請求項3に係る発明では、前記熱交換管は、前記保持具により隣り合うループ同士が接触しないように位置合わせされることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、熱交換管の隣り合うループが接触しないように保持具で位置合わせされるので、土との接触面積をかせぐことができ、効率よく熱交換し得る。
【0011】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項4に係る発明の熱交換器の設置方法は、
地中熱ヒートポンプシステムに用いられる熱交換器の設置方法であって、
連続する複数のループが並ぶように配設される熱交換管が該ループのループ面を立てた姿勢で設置可能な溝を掘削し、
コイル状に巻かれた熱交換管をループ面と平行な方向にずらして、連続する複数のループが並ぶように熱交換管を溝に配設し、
複数の保持具が移動可能に配設された埋設表示テープを、溝に設置された熱交換管の上方に架設し、
前記埋設表示テープに所定間隔毎に配設された保持具を、前記熱交換管におけるループの上端部に取り付けて、該ループを位置合わせするようにしたことを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、保持具を埋設表示テープに沿って移動させることができるので、保持具による熱交換管におけるループの間隔調節を柔軟かつ簡単に行うことができる。そして、得られた熱交換器は、熱交換管のループが保持具で適切に位置合わせされるので、設計通りの熱交換を実現できる。また、熱交換器の埋設表示のために熱交換管の上方に埋設される埋設表示テープを、複数の保持具の間隔調節の基準として用いているので、保持具を配置するための施工手間を抑えることができる。
【0012】
請求項5に係る発明では、前記熱交換管は、複数のループの並び方向に対して各ループのループ面が交差するよう設置されることを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、複数のループの並び方向に対してループ面が交差するように設置することで、立てた姿勢で溝に設置される熱交換管が自立し易くすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る熱交換器によれば、熱交換管の位置合わせを柔軟に行うことができる。また本発明に係る熱交換器の設置方法によれば、熱交換管の位置合わせを柔軟に行うことができ、適切な配設パターンの熱交換管を簡単に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好適な実施例に係る熱交換器の側面図である。
【図2】実施例の熱交換器の平面図である。
【図3】実施例の保持具の正面図であって、(a)は埋設表示テープの保持状態を示し、(b)は埋設表示テープの解放状態を示す。
【図4】変更例の熱交換器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る熱交換器およびその設置方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0016】
図1または2に示すように、実施例の熱交換器10は、連続する複数のループ12aが並ぶように配設される熱交換管12と、この熱交換管12および該熱交換管12の上方に延在するように埋設される埋設表示テープTを繋ぐ保持具14とを備えている。熱交換管12は、可撓性を有しており、人手により円弧状に曲げたり、直線的に伸ばしたりできるものが採用される。熱交換管12としては、可撓性および適度な熱伝導率を有するものであればよく、塩化ビニール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂や、金属および樹脂からなる複合管を用いることができ、コストや強度や耐腐食性等の観点からポリエチレンが好ましい。
【0017】
前記埋設表示テープTは、地表と熱交換器10との間に敷設されて、熱交換器10の設置部位を掘削した際に、熱交換管12に先立って埋設表示テープTが表れることで熱交換管12の損傷を回避することを目的としている。埋設表示テープTは、腐蝕し難いポリエチレン等の合成樹脂製の帯状物であって、任意に折り曲げ可能な柔軟性を有しており、ロール状に巻き取った状態で保管および持ち運びができる。埋設表示テープTは、熱交換管12における複数のループ12aの並び方向N(図2参照)に沿うように敷設される。
【0018】
図3に示すように、保持具14は、埋設表示テープTを保持するテープ保持部16と、熱交換管12を保持する管保持部24とを備え、テープ保持部16で保持した埋設表示テープTと管保持部24で保持した熱交換管12との上下間隔を規定している。テープ保持部16は、埋設表示テープTを挿通可能な貫通口18aが設けられた外殻部18と、この外殻部18の貫通口18aに整合する挿通口20aが設けられ、外殻部18の内側に貫通口18aの貫通方向と交差する方向(上下方向)に変位可能に支持された係止部20とを備えている。また、テープ保持部16は、外殻部18と係止部20との間に設けられたばね22によって、係止部20を上方に向けて弾力的に付勢するよう構成されている。係止部20には、外殻部18の上部を上下に貫通して外方に臨む操作部20bが設けられ、操作部20bにより係止部20をばねの付勢に抗して下方に操作できる。
【0019】
前記テープ保持部16は、ばね22によって係止部20が上方へ付勢された自由状態において、外殻部18の貫通口18aから係止部20の挿通口20aが上方へずれて、貫通口18aと挿通口20aとの上下の重なり寸法が埋設表示テープTの厚みより小さくなるよう構成される(図3(a)参照)。また、テープ保持部16は、操作部20bをばね22の付勢に抗して下方に押さえた係止部20の操作状態において、貫通口18aと挿通口20aとの上下の重なり寸法が大きくなり、埋設表示テープTが通過可能な程度まで貫通口18aと挿通口20aとが整合される(図3(b)参照)。このように、テープ保持部16は、操作部20bの指先操作により埋設表示テープTを保持する保持状態から該埋設表示テープTの延在方向に沿って移動可能な解放状態に状態変化すると共に、操作部20bの自由状態でばね22により保持状態に戻るよう構成される。
【0020】
図3に示すように、管保持部24は、テープ保持部16における外殻部18の下側に設けられている。管保持部24は、熱交換管の外形に合わせた保持空間24aを有する環状に形成され、下部が切り欠かれて熱交換管12を保持空間24aに挿脱可能な挿脱開口24bが設けられている。挿脱開口24bは、管保持部24に嵌め合わせる熱交換管12の直径より小さく設定される。管保持部24は、弾力的に変形可能に構成されて、挿脱開口24bを挟んで対向する片部を熱交換管12の外形に整合する通常状態から互いに離間するように変形可能になっている。管保持部24は、前記片部を拡開することで熱交換管12を挿脱開口24bを介して保持空間24aに着脱し、該片部の通常状態で保持空間24aに収容した熱交換管12に固定される。保持具14は、テープ保持具16と管保持部24とが固定され、埋設表示テープTの延在方向に対する熱交換管12のループ面Lの角度に合わせて、テープ保持部16における貫通口18aの向きに対する管保持部24における保持空間24aの向きが設定されている。実施例では、埋設表示テープTの延在方向に対して熱交換管12のループ面Lが所定角度で交差するよう設定されるので、テープ保持部16における貫通口18aの貫通方向に対して、管保持部24の保持空間24aの貫通方向が所定の角度で交差している。
【0021】
前記熱交換器10は、熱交換管12を複数のループ12aがそのループ面Lを立てた姿勢となるように設置し、隣り合うループ12a,12aがループ面Lと平行な方向に互いにずらして並べられている。また、熱交換管12は、隣り合うループ12a,12aが並び方向Nで互いに一部重なるように配置されるものの、隣り合うループ12a,12a同士が接触しないように離されている。熱交換管12は、隣り合うループ12a,12aを一部重なるように並べることで、熱交換管12の設置スペースを抑えることができるが、熱交換管12を密集させると地中での熱交換効率が低下するので、ループ12aの重なり部分を隣りのループ12aの半分以下とするのが好ましい。また、ループ12aを構成する熱交換管12同士が直接接触しなくても、接近することで熱交換効率が低下してしまうため、ループ面Lの正面視において、ループ12aの上端から下端、再度上端に戻る1周期の間に、熱交換管12同士の接近部位が少ないほうが好ましい。具体的には熱交換器10は、ループ12a同士が横方向に重なる交差点および横方向に重ならないが並び方向Nで隣接する点(接近点)の合計が11以下であることが好ましく、更には7以下が好ましく、特に、交差点が5以下で接近点がないものが好ましい。
【0022】
熱交換管12は、複数のループ12aの並び方向Nに対して各ループ12aのループ面Lが交差するように配設される。ここで、ループ面Lは、並び方向Nに対して寝かせた姿勢(角度を浅く設定する)とすると、熱交換器10を設置するために掘削される溝26の幅を狭くすることができる。そして、熱交換器10は、複数の保持具14を埋設表示テープTの延在方向に離間させてテープ保持部16を介して該埋設表示テープTに配設し、複数の保持具14を間隔調節して管保持部24で保持する熱交換管12のループ12aを位置合わせするよう構成される。すなわち、熱交換器10では、熱交換管12におけるループ12aのピッチ、ループ面Lの角度および隣り合うループ12a,12aの非接触状態等の配設パターンが、埋設表示テープTに取り付けた複数の保持具14の保持により規定される。
【0023】
次に、前述した熱交換器10の設置方法について簡単に説明する。バックホーや暗きょ管の敷設に用いられるトレンチャー等の掘削機械によって溝26を掘削する。ここで、溝26は、設置する熱交換管12の配設パターンに合わせた最小限の幅で掘削される。すなわち、熱交換管12を、そのループ面Lを立てた姿勢で設置することで、ループ面Lを寝かせた場合と比べて溝26の幅を狭くすることができ、掘削手間や掘削土量を抑えることができる。コイル状に巻かれた熱交換管12を、巻き面と平行な方向にずらしつつ延ばし、熱交換管12を溝26に配設し、連続する複数のループ12aのループ面Lを立てた姿勢で、隣り合うループ12a,12aの一部が重なるように並べる。溝26を熱交換管12の配設パターンに合わせた最小限の幅としているので、熱交換管12を溝26の壁に立て掛けて、立てた姿勢を維持することができ、支柱等の支えを特に必要としない。しかも、前述のように熱交換管12は、複数のループ12aの並び方向Nに対してループ面Lを所定の角度で交差するよう配置することで、熱交換管12を自立し易くすることができる。
【0024】
複数の保持具14がテープ保持部16を介して取り付けられた埋設表示テープTを、溝26(熱交換管)の上方に配設する。埋設表示テープTは、その端部を土嚢等の重しで押さえて張った状態とされる。埋設表示テープTは、ロール状に巻かれた状態で提供され、現場において保持具14が熱交換管12の配設パターンに応じて取り付けられる。埋設表示テープTに所定間隔毎に配設された保持具14に、管保持部24を介して熱交換管12のループ12aの上端部を取り付けることで、熱交換管12におけるループ12aのピッチおよび隣り合うループ12a,12aの非接触状態が、埋設表示テープTに離間配置された複数の保持具14の位置関係により規定される。また、各ループ12aのループ面Lの角度が、テープ保持部16の貫通口18aの向きと管保持部24の保持空間24aの向きとの関係により規定され、貫通口18aの向きに対して保持空間24aの向きが交差しているので、ループ面Lがループ12aの並び方向Nに交差する角度で規定される。ここで、複数の保持具14は、埋設表示テープTに一定間隔で付された目盛(図示せず)を目安にして、溝26に架設する前に間隔調節することも、溝26に架設した後に間隔調節することもできる。そして、溝26を埋め戻すことで、熱交換管12の配設パターンが設計通りに適切に規定された熱交換器10が得られる。
【0025】
前記熱交換器10は、保持具14を埋設表示テープTに沿って移動させることができるので、保持具14による熱交換管12におけるループ12aの間隔調節を柔軟かつ簡単に行うことができる。また、ループ面Lを立てた姿勢で設置する熱交換管12に対応して、溝26を狭い幅で掘削しても、保持具14が熱交換管12のループ12aの上端部に取り付けられるので、保持具14が溝26に干渉し難く、ループ12aの位置合わせを適切に行うことができる。そして、熱交換器10は、熱交換管12のループ12aが保持具14で適切に位置合わせされるので、設計通りの熱交換を実現できる。熱交換器10は、埋設表示テープTにおいて隣り合う保持具14,14によって、隣り合うループ12a,12aが離間されるので、ループ12a間で熱交換することを防ぎ、土と熱交換管12との接触面積を増やして効率よく熱交換を行うことができる。更に、熱交換器10の埋設表示のために熱交換管12の上方に埋設される埋設表示テープTを、複数の保持具14の間隔調節の基準として用いているので、部品点数を最小限に抑えることができる。
【0026】
前記熱交換器10の設置方法によれば、保持具14を埋設表示テープTに沿って移動させることができるので、保持具14による熱交換管12におけるループ12aの間隔調節を柔軟かつ簡単に行うことができる。また、埋設表示テープTにおいて隣り合う保持具14,14によって、隣り合うループ12a,12aが離間されると共に、各ループ面Lの角度合わせも同時に行うことができる。埋設表示テープTは、ロール状に巻いた状態で提供されるものなので嵩張らず、任意に曲げることができるので取り扱い易く、保持具14の取り付け作業や埋設表示テープTの敷設作業を簡単に行うことができる。また、保持具14が熱交換管12のループ12aの上端部に取り付けられるので、保持具14が溝26に干渉し難く、保持具14を取り付けたり位置調節するために溝26の幅を広げる必要がなく、ループ面Lを立てた姿勢で設置する熱交換管12に対応して、溝26を狭い幅で掘削することができる。保持具14は、熱交換管12の配設パターンに合わせて、現場において埋設表示テープTに必要数を取り付けることができる。更に、熱交換器10の埋設表示のために熱交換管12の上方に埋設される埋設表示テープTを、複数の保持具14の間隔調節の基準として用いているので、保持具14を配置するための施工手間を抑えることができる。
【0027】
(変更例)
前述した実施例に限定されず、例えば以下のように変更することも可能である。
(1)図4に示すように、熱交換管12を、そのループ面Lを寝かせた姿勢で設置し、熱交換管12の上方に延在する埋設表示テープTと熱交換管12とを保持具14で繋いで構成した熱交換器30であってもよい。
(2)保持具は、テープ保持具に対して複数の管保持部を設けてもよい。すなわち、図4に示すように、隣接する熱交換管12を1つの保持具32で位置合わせしてもよい。
(3)テープ保持部は、実施例の構成に限定されず、保持具を埋設表示テープに対して位置決めまたは解放できる構成であれば、例えば埋設表示テープを挟むクリップ形状等であってもよい。
(4)管保持部は、実施例の構成に限定されず、熱交換管を保持し得る構成であれば、例えば熱交換管を挟むクリップ形状等であってもよい。
(5)保持具は、テープ保持部と管保持部との間に支柱を設け、熱交換管から埋設表示テープを所定間隔離間させる構成も採用できる。
(6)保持具とは別に隣接する熱交換管の間隔を規定する短尺のスペーサを設けてもよい。
(7)保持具は、テープ保持部に対して管保持部を回転調節可能に構成し、熱交換管のループの角度を調節できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
12 熱交換管,12a ループ,14,32 保持具,16 テープ保持具,
24 管保持部,26 溝,L ループ面,T 埋設表示テープ,N 並び方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中熱ヒートポンプシステムに用いられ、地中に埋設される熱交換器において、
連続する複数のループが並ぶように配設される熱交換管と、
前記熱交換管の上方に配設されて可撓性を有する埋設表示テープと該熱交換管とを繋ぐ保持具とを備え、
前記保持具は、操作により前記埋設表示テープを保持する保持状態から該埋設表示テープの延在方向に沿って移動可能な解放状態に状態変化するテープ保持部と、前記熱交換管を着脱可能に保持する管保持部とを有し、
複数の保持具を前記埋設表示テープの延在方向に離間して前記テープ保持部を介して該埋設表示テープに配設し、複数の保持具を間隔調節して前記管保持部で保持する熱交換管のループを位置合わせするよう構成した
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記熱交換管は、各ループのループ面を立てた姿勢で配設され、前記管保持部は、ループの上端部に取り付けられる請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
前記熱交換管は、前記保持具により隣り合うループ同士が接触しないように位置合わせされる請求項2記載の熱交換器。
【請求項4】
地中熱ヒートポンプシステムに用いられる熱交換器の設置方法であって、
連続する複数のループが並ぶように配設される熱交換管が該ループのループ面を立てた姿勢で設置可能な溝を掘削し、
コイル状に巻かれた熱交換管をループ面と平行な方向にずらして、連続する複数のループが並ぶように熱交換管を溝に配設し、
複数の保持具が移動可能に配設された埋設表示テープを、溝に設置された熱交換管の上方に架設し、
前記埋設表示テープに所定間隔毎に配設された保持具を、前記熱交換管におけるループの上端部に取り付けて、該ループを位置合わせするようにした
ことを特徴とする熱交換器の設置方法。
【請求項5】
前記熱交換管は、複数のループの並び方向に対して各ループのループ面が交差するよう設置される請求項4記載の熱交換器の設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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