説明

熱交換器の製造方法および製造装置

【課題】フィンの変形や、フィンピッチの乱れ等が生じることがなく、しかも安価な製造コストで且つ迅速に製造することができる熱交換器の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】装着すべきフィンに対して相対的に、チューブ1をその長さ方向に所定速度で連続的に若しくは所定ピッチで間歇的に移動させてフィンを装着する熱交換器の製造方法、及びフィン保持部121に保持したフィンのチューブ挿入溝をチューブ1に嵌合させてフィンをチューブ1の外周面に装着し、且つ、チューブ1とフィン保持部121との相対的移動に対応してフィンの装着を順次行うことにより複数枚のフィンをチューブ1の外周面に所定間隔で装着するようにした熱交換器の製造装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に冷媒等の流体を流通させるチューブの外周面に板状の複数枚のフィンを装着するようにした熱交換器の製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、空気調和機等に用いられる熱交換器は、断面が扁平状に形成され内部に冷媒等の流体を流通させる冷媒管としてのチューブと、このチューブの外周面に装着された複数枚の板状の熱交換用のフィンとを備える。このような熱交換器は、通常、フィンアンドチューブ式熱交換器と称されるが、以下の説明では、単に、熱交換器と称する。従来、熱交換器の製造方法としては、挿通孔が設けられた複数枚の板状の熱交換用フィンを適宜間隔を介して積層して後、断面が偏平状のチューブを前記チューブの挿通孔内に挿入する方法が用いられる(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−89870号公報
【特許文献2】実開平5−90173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来の熱交換器の製造方法および製造設備にあっては、あらかじめ複数枚の板状のフィンを所定ピッチ確保して配列し、フィンに設けられた挿通孔に断面が偏平状に形成されたチューブを挿入するようにしているが、複数枚のフィンを所定ピッチ確保して配列する必要があり、そのために製造時間が増大する。また、チューブをフィンの挿通孔に挿入するときにフィンに加えられる力によりフィンが変形しあるいは配列した複数枚のフィンピッチが乱れ、通風抵抗が増大し熱交換器の性能低下を招く。
【0005】
そこで、前述のフィンの変形とフィンのピッチの乱れを防止するために、フィン相互間にスペーサー治具を使用する必要があるが、この場合、熱交換器の機種によっては、熱交換器1枚に使用するフィンの枚数が異なること等によりフィンピッチが同一でない場合がある。従って、異なるフィンピッチの熱交換器を製造するために、部品数が増大し、製造の段取り替え時間が増大し、更には、異なるフィンピッチに対応するためのスペーサー治具の維持コスト等が膨大になってしまうという課題があった。
【0006】
この発明は、前述のような従来の熱交換器の製造方法および製造装置に於ける課題を解決するためになされたものであり、フィンの変形や、フィンピッチの乱れ等が生じることがなく、しかも安価な製造コストで且つ迅速に製造することができる熱交換器の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による熱交換器の製造方法は、内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、前記装着すべきフィンに対して相対的に、前記チューブを前記チューブの長さ方向に所定速度で連続的に移動させ、前記移動する前記チューブの外周面に、前記装着すべき複数枚のフィンを所定の時間間隔を介して順次装着することを特徴とする。
【0008】
又、この発明による熱交換器の製造方法は、内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、前記装着すべきフィンに対して相対的に、前記チューブを前記チューブの長さ方向に所定速度で連続的に移動させ、前記装着すべきフィンを保持したフィン保持部を移動させることにより、前記フィン保持部により保持された前記フィンを、前記移動する前記チューブの外周面に所定の時間間隔を介して順次装着し、前記装着された前記フィンを、前記順次装着される毎に、その装着された前記チューブの外周面上の位置にフィン装着維持部により維持することを特徴とする。
【0009】
更に、この発明による熱交換器の製造方法は、内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、前記装着すべきフィンに対して相対的に、前記チューブを前記チューブの長さ方向に前記所定の間隔に対応したピッチで間歇的に移動させ、前記チューブが前記間歇的に移動する間の停止時毎に、前記装着すべき複数枚のフィンを前記チューブの外周面に順次装着することを特徴とする。
【0010】
又、この発明による熱交換器の製造方法は、内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、前記装着すべきフィンに対して相対的に、前記チューブを前記チューブの長さ方向に前記所定の間隔に対応したピッチで間歇的に移動させ、前記装着すべきフィンを保持したフィン保持部を移動させることにより、前記フィン保持部により保持された前記フィンを、前記移動する前記チューブの外周面に所定の時間間隔を介して順次装着し、前記装着された前記フィンを、前記順次装着される毎に、その装着された前記チューブの外周面上の位置にフィン装着維持部により維持することを特徴とする。
【0011】
又、この発明による熱交換器の製造装置は、内部に流体を流通させるチューブと、チューブ挿入溝を前記チューブの外周面に嵌合させて前記チューブに装着されるフィンとを備えた熱交換器の製造装置であって、前記チューブに装着すべきフィンを保持し得るフィン保持部と、前記フィンが装着されるべき前記チューブを保持し得るチューブ保持部と、前記フィン保持部と前記チューブ保持部とを、前記保持したチューブの長さ方向に相対的に移動させる駆動部とを備え、前記フィン保持部は、前記フィンを保持してそのチューブ挿入溝を前記チューブに嵌合させることにより前記フィンを前記チューブの外周面に装着し、且つ、前記移動に対応して前記装着を順次行うことにより複数枚のフィンを前記チューブの外周面に所定間隔で装着することを特徴とする。
【0012】
更に、この発明による熱交換器の製造装置は、内部に流体を流通させるチューブと、チューブ挿入溝を前記チューブの外周面に嵌合させて前記チューブに装着されるフィンとを備えた熱交換器の製造装置であって、前記チューブに装着すべきフィンを保持し得るフィン保持部と、前記フィンが装着されるべき前記チューブを保持し得るチューブ保持部と、前記フィン保持部と前記チューブ保持部とを、前記保持したチューブの長さ方向に相対的に移動させる駆動部と、前記チューブの外周面に装着された前記フィンを、その装着された前記チューブの外周面上の位置に維持するフィン装着維持部とを備え、前記フィン保持部は、前記フィンを保持してそのチューブ挿入溝を前記チューブに嵌合させることにより前記フィンを前記チューブの外周面に装着し、且つ、前記移動に対応して前記装着を順次行うことにより複数枚のフィンを前記チューブの外周面に所定間隔で装着するように構成され、前記フィン装着維持部は、前記フィン保持部による前記フィンの装着に同期して、前記フィンが前記チューブの外周面に順次装着される毎に、前記装着されたフィンを、その装着された前記チューブの外周面上の位置に維持するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明による熱交換器の製造方法によれば、装着すべきフィンに対して相対的に、チューブをその長さ方向に所定速度で連続的に移動させ、前記移動するチューブの外周面に前記装着すべきフィンを所定の時間間隔で装着するようにしたので、フィンの変形や、フィンピッチの乱れ等が生じることがなく、しかも安価な製造コストで且つ迅速に熱交換器製造することができる。
【0014】
又、この発明による熱交換器の製造方法によれば、装着すべきフィンに対して相対的に、チューブをその長さ方向に所定速度で連続的に移動させ、前記装着すべきフィンを保持したフィン保持部を移動させることにより、前記フィン保持部により保持された前記フィンを、前記移動する前記チューブの外周面に所定の時間間隔を介して順次装着し、前記装着された前記フィンを、前記順次装着される毎に、その装着された前記チューブの外周面上の位置にフィン装着維持部により維持するようにしたので、フィンの装着位置が安定し、フィンの変形若しくはフィンピッチの乱れを防止することができ、しかも安価な製造コストで且つ迅速に熱交換器製造することができる。
【0015】
又、この発明による熱交換器の製造方法によれば、装着すべきフィンに対して相対的に、チューブをその長さ方向に所定の間隔に対応したピッチで間歇的に移動させ、前記チューブが前記間歇的に移動する間の停止時に、前記装着すべきフィンを前記チューブの外周面に装着するようにしたので、フィンの変形や、フィンピッチの乱れ等が生じることがなく、しかも安価な製造コストで且つ迅速に熱交換器製造することができる。
【0016】
更に、この発明による熱交換器の製造方法によれば、装着すべきフィンに対して相対的に、チューブをその長さ方向に前記所定の間隔に対応したピッチで間歇的に移動させ、前記装着すべきフィンを保持したフィン保持部を移動させることにより、前記フィン保持部により保持された前記フィンを、前記移動する前記チューブの外周面に所定の時間間隔を介して順次装着し、前記装着された前記フィンを、前記順次装着される毎に、その装着された前記チューブの外周面上の位置にフィン装着維持部により維持するようにしたので、フィンの装着位置が安定し、フィンの変形若しくはフィンピッチの乱れを防止することができ、しかも安価な製造コストで且つ迅速に熱交換器製造することができる。
【0017】
又、この発明による熱交換器の製造装置によれば、チューブに装着すべきフィンを保持し得るフィン保持部と、前記フィンが装着されるべき前記チューブを保持し得るチューブ保持部と、前記フィン保持部と前記チューブ保持部とを、前記保持したチューブの長さ方向に相対的に移動させる駆動部とを備え、前記フィン保持部は、前記フィンを保持してそのチューブ挿入溝を前記チューブに嵌合させることにより前記フィンを前記チューブの外周面に装着し、且つ、前記移動に対応して前記装着を順次行うことにより複数枚のフィンを前記チューブの外周面に所定間隔で装着するようにしたので、フィンの変形や、フィンピッチの乱れ等が生じることがなく、しかも安価な製造コストで確実且つ迅速に熱交換器製造することができる。
【0018】
更に、この発明による熱交換器の製造装置によれば、チューブに装着すべきフィンを保持し得るフィン保持部と、前記フィンが装着されるべき前記チューブを保持し得るチューブ保持部と、前記フィン保持部と前記チューブ保持部とを、前記保持したチューブの長さ方向に相対的に移動させる駆動部と、前記チューブの外周面に装着された前記フィンを、その装着された前記チューブの外周面上の位置に維持するフィン装着維持部とを備え、前記フィン保持部は、前記フィンを保持してそのチューブ挿入溝を前記チューブに嵌合させることにより前記フィンを前記チューブの外周面に装着し、且つ、前記移動に対応して前記装着を順次行うことにより複数枚のフィンを前記チューブの外周面に所定間隔で装着するように構成され、前記フィン装着維持部は、前記フィン保持部による前記フィンの装着
に同期して、前記フィンが前記チューブの外周面に順次装着される毎に、前記装着されたフィンを、その装着された前記チューブの外周面上の位置に維持するように構成されているので、フィンの装着位置が安定し、フィンの変形若しくはフィンピッチの乱れを防止することができ、しかも安価な製造コストで且つ迅速に熱交換器製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の製造方法および製造装置により製造される偏平状のチューブを用いた熱交換器を示す斜視図である。
【図2】この発明の熱交換器の製造方法および製造装置により製造される熱交換器に於けるフィンを示す平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法および製造装置を示す概念図である。
【図4】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の具体的構成を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置に於けるロータリージョイントの説明図である。
【0020】
【図7】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の動作を説明する説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態3による熱交換器の製造方法および製造装置の一部分を示す説明図である。
【0021】
【図12】この発明の実施の形態4による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態5による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態7による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態7による熱交換器の製造方法および製造装置を示す概念図である。
【図16】この発明の実施の形態7による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図である。
【0022】
【図17】この発明の実施の形態8による熱交換器の製造方法及び製造装置により製造される熱交換器に於ける、プレス加工中のフィン材料を示す正面図である。
【図18】この発明の実施の形態8による熱交換器の製造装置を示す概略構成図である。
【図19】この発明の実施の形態8による熱交換器の製造装置の動作を説明する説明図である。
【図20】この発明の実施の形態9による熱交換器の製造方法および製造装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、この発明の製造方法および製造装置により製造される断面が偏平状に形成されたチューブを用いた熱交換器を示す斜視図である。図1に於いて、熱交換器100は、フィンアンドチューブ式の熱交換器であって、チューブ1とフィン2とから成り、チューブ1はフィン2に設けられたチューブ挿入溝21に挿入され、互いに接合している。フィン2は、平板状であって一定の間隔で平行に多数積層されている。断面が扁平状に形成されたチューブ1は、複数本並列に配置され、夫々の内部には水や冷媒等の流体が流される。
【0024】
図2は、この発明の熱交換器の製造方法および製造装置により製造される熱交換器に於けるフィンを示す平面図である。図2に示すように、フィン2には所定の間隔でほぼU字状のチューブ挿入溝21が形成されており、このチューブ挿入溝21を介して夫々に区画された面220には夫々スリット22、23が形成されている。そして、フィン2の同一表面側には、夫々のチューブ挿入溝21の縁部に沿ってチューブ1とフィン2とを密着させて接合するためのフィンカラー(図示せず)が垂直に立ち上がるように形成されている。スリット22、23とフィンカラーは、フィン2の表面に対し同一方向に突出している。
【0025】
一方、チューブ1は、前述したように内部に冷媒等の流体が流されるが、断面を扁平形状とすることで、通風抵抗を増大させることなく冷媒等の流体の量を多くすることができ、それにより、小型化した場合であっても十分な熱交換器としての性能を得ることができる。
【0026】
フィン2は、並置された複数のチューブ1に跨って配置され、夫々のチューブ挿入溝21内にチューブ1が個々に挿入されることにより、複数のチューブ1の外周面に装着される。図1に示すように、同一形状に形成された複数枚のフィン2が所定の間隔を介して複数のチューブ1の外周面に装着される。フィン2の枚数は、空気調和機に用いられる熱交換器では、一般的に数百枚以上である。以上のように構成された熱交換器は、夫々のチューブ1内に流れる流体が気化することにより、チューブ1及び複数枚のフィン2を介して大気から蒸発熱を奪うことにより大気が冷却される。
【0027】
前述のフィン2を形成するためのフィン材料としては、一般的に厚さ「0.1」〜「0.7」[mm]程度のフープ状にリールに巻かれたアルミ薄板、若しくはシート状に形成されたフィン材料が用いられる。フィン2は、フープ状、若しくはシート状のフィン材料から、順送プレス装置を用いて所定形状に成形した多数のフィンを順次切り離すことにより、1枚毎に形成される。なお、フィン2は、順送プレス装置以外の装置により、1枚毎に形成されていてもよい。
【0028】
実施の形態1.
次に、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法および製造装置について説明する。図3は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法および製造装置を示す概念図である。図3に於いて、ドラム122は、軸心Xの周りに矢印Aの方向、即ち図3に於いて時計方向に所定速度で回転する。このドラ122の周縁部には、ドラム122の周方向に所定間隔を介して設置された8個のフィン保持部121が設けられている。
【0029】
夫々のフィン保持部121は、ドラム122の回転に伴って軸126の軸心を中心として円運動を行なうが、垂直方向の最上部に達したときに、1枚のフィン2を受け取って保持し、垂直方向の最下部に達したときに、その保持していたフィン2をチューブ1の外周面に装着する。
【0030】
フィン保持部121によるフィン2の保持は、後述するように、例えば、空気の吸入を
利用してフィン2を吸着する、所謂、真空吸着により行なわれる。フィン保持部121は、後述するカムフォロア124に連結されている。
【0031】
なお、図3に於ける夫々のフィン保持部121のドラム122に対する起立角度は、模式的に示したものである。
【0032】
チューブ1は、その断面の長径方向が垂直となるようにして保持されており、所定の速度で矢印B方向に移動する。なお、チューブ1を固定しておいて、ドラム122を矢印Bとは逆の方向に移動させるようにしてもよい。
【0033】
前述したように、ドラム122は矢印Aの方向に所定速度で回転しており、8個のフィン保持部121は、ドラム122の[1/8]回転毎、即ち、所定の時間間隔で、順次、図3に示すドラム122の最下部の位置に達して、矢印Bの方向に所定速度で移動しているチューブ1の外周面にフィン2を装着する。従って、フィン保持部121によりチューブ1の外周面に順次装着されるフィン2相互の間隔は、常に一定の間隔が保たれることになる。
【0034】
この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法によれば、チューブ1のB方向への移動速度の変更若しくはドラム122の回転速度の変更、またはその双方の変更により、フィン2相互の間隔を任意に設定することができる。
【0035】
図4は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の具体的構成を示す説明図である。尚、図4では説明の便宜上、前述の図3に示す8個のフィン保持部121のうち1個のみを示しているが、他の7個のフィン保持部121は、夫々図4に示すフィン保持部121と同一構成である。
【0036】
図4に於いて、間隔を介して配置された一対のドラム122は、その中心部が一対の支持部174に回動自在に支持された軸126に固定されており、軸126の回転に伴って回転する。実施の形態1では、軸126及びドラム122は、図4の右方向からみて時計方向に回転する。軸126は、カップリング127を介してモータ128に連結されており、モータ128により駆動されて所定速度で回転する。
【0037】
フィン保持部121は、その回動軸129が一対のドラム122の夫々に、ベアリングを介して回動自在に支持されている。一対のカムフォロア124は、夫々のドラム122の外側に位置し、フィン保持部121の回動軸129の端部に夫々連結板1241を介して連結されている。同一形状に形成された一対のカム部材123は、夫々のドラム122の外側に配置され、夫々支持部174により固定されており常時静止している。
【0038】
ドラム122の回転に伴ってフィン保持部121がほぼ垂直方向の最下部に到達したとき、カムフォロア124は、カム部材123の周面に設けられている後述する隆起面に接触し、その後、ドラム122の回転に伴ってその隆起面により押圧されて連結板1241を介してフィン保持部121を回動軸129を中心として図4の右方向からみて反時計方向に所定の角度まで回動させる。
【0039】
ねじりバネ125は、一端がドラム122に固定され、他端がフィン保持部121に固定されており、フィン保持部121を図4の右方向からみて常時時計方向に付勢する。従って、カムフォロア124は、ねじりバネ125の付勢力によりカム部材123の隆起面に押圧され、ドラム122が所定角度回転する間、その隆起面の周面を転動することになる。
【0040】
カム部材123とカムフォロア124を用いることにより、フィン保持部121が後述するようにチューブ1に挿入したフィン2をかわす動きを行うタイミングのばらつきが小さくなるため、よりフィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。
【0041】
ロータリージョイント156は、後述する真空ポンプに接続された配管1551とフィン保持部121に接続された配管1552とからなる真空経路の接続若しくは遮断を、ドラム122の回転角度に対応して制御する。
【0042】
図5は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図であり、モータ128、カップリング127、ドラム122、フィン保持部121、カム部材123、カムフォロア124、ねじりバネ125のみを図4から抜き出し、これ等の各部分の相互関係が分かり易くなるようにしたものである。
【0043】
次に、前述のロータリージョイント156の構成について説明する。図6は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置に於けるロータリージョイントの説明図で、(a)はロータリージョイントの軸方向の断面を示す説明図、(b)は後述する第1の仕切板の平面を示す説明図、(c)は後述する第2の仕切板の平面を示す説明図である。
【0044】
図6の(a)に於いて、ロータリージョイント156の固定部163は、前述の支持部174に直接又は間接的に固定され、断面がほぼコ字状に形成され、中心部に設けられた貫通穴1631と垂直方向の下部に設けられた貫通穴1632を備えている。モータ128により駆動される軸126の端部は、固定部163の貫通穴1631に挿入されている。また、貫通穴1633は、真空ポンプに接続された配管1551にジョイント1553を介して接続されている。封止部材1632は、固定部163の貫通穴1631の内周面と軸126の外周面との間に挿入され、固定部163の内部と外部とを気密に封止している。
【0045】
第1の仕切板164は、その外周面が固定部163の内周面に固定され、軸126を貫通させる貫通穴1641が中央部に設けられている。封止部材1642は、第1の仕切板164の貫通穴1641の内周面と軸126の外周面との間に挿入され、固定部163の内部と外部とを気密に封止している。図6の(b)に示すように、第1の仕切板164は、その外周縁部の近傍に円弧状に延びる貫通長穴1643が形成されている。この貫通長穴1643は、第1の仕切板164の垂直方向最下部の位置からほぼ250度の角度範囲で反時計方向に延びている。
【0046】
回転部161は、軸126に固定されており、軸126と共に回転する。この固定部161の中央部側に設けられた貫通穴1611は、フィン保持部121に接続された配管1552にジョイント1554を介して接続されている。
【0047】
第2の仕切板162は、回転部161に固定されており、軸126及び回転部161と一体となって回転する。この第2の仕切板162は、図6の(c)に示すように、中央部近傍から外周縁部近傍に延びる8個の貫通長穴1621を備えている。これらの貫通長穴1621は、等間隔に放射状に形成されており、夫々の設置位置は前述の図3に示す8個のフィン保持部121の設置位置に対応している。この第2の仕切板162の一方の表面は、第1の仕切板164の一方の表面に当接しており、第2の仕切板162が回転することによりそれらの表面同士が気密を保ちながら摺動する。第2の仕切板162は、固定部163の内周面および第1の仕切板164との摩擦緩衝のために樹脂により形成されている。
【0048】
第2の仕切板162に設けられている貫通長穴1621と第1の仕切板164の円弧状
の貫通長穴1643とが少なくとも一部分で重なり合う位置にあるとき、真空ポンプに接続された配管1551は、ジョイント1553、固定部163の内部、第1の仕切板164の貫通長穴1643、第2の仕切板162の貫通長穴1621、及びジョイント1554を介して、フィン保持部121に接続された配管1552に接続される。
【0049】
一方、第2の仕切板162に設けられている貫通長穴1621と第1の仕切板164の円弧状の貫通長穴1643とが全く重なり合わない位置にあるとき、配管1551と配管1552とは第1の仕切板164により遮断される。
【0050】
ドラム122が回転すると、配管1552と第2の仕切板162の貫通長穴1621は円周方向に移動するが、第1の仕切板164の貫通長穴1643は移動しない。従ってこれ等の貫通長穴の位置はずれていき、ある位相区間では貫通長穴1621と貫通長穴1643は遮断される。フィン把持部121がフィン挿入位置に達したときに真空経路が遮断されるよう貫通長穴1643の位置を設定することで、チューブ1へのフィン挿入後にフィン2が吸着力によってフィン装着位置がずれることを防ぐ。
【0051】
図7は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図であり、真空ポンプ157から配管1551、1552を介してフィン保持部121に至る真空経路を示している。フィン保持部121は、等間隔に形成された8個の溝部としてのU字溝151と、夫々のU字溝151の間でフィン保持部121の一方の表面に開口する7個の吸着穴154と、フィン保持部121の内部に形成され前述の夫々の吸着穴154とジョイント1555とに連通する内部通路152とを備えている。
【0052】
前述したように、ロータリージョイント156の第1に仕切板164の貫通長穴1643と第2の仕切板162に貫通長穴1621とが重なり合う位置にあるときは、真空ポンプ157の動作により、配管1551、ジョイント1553、ロータリージョイント156、配管1552、ジョイント1555、およびフィン保持部121の内部通路152を介して夫々の吸着穴154から空気が真空ポンプ157に吸引される。
【0053】
フィン2は、フィン保持部121の吸着穴154から空気が吸着されることによりフィン保持部121に保持され、前述のようにロータリージョイント156により配管1551と配管1552との接続が遮断されて吸着穴154から空気が吸引されなくなったときには、フィン保持部121による保持から解放される。
【0054】
フィン2は、その8個のチューブ挿入溝21がフィン保持部121のU字溝151に重なり合うようにして、フィン保持部121に保持される。U字溝151の幅寸法は、フィン2のチューブ挿入溝21の幅寸法よりわずかに大きい寸法に形成されているので、フィン2がチューブ1に挿入されたときに、フィン保持部121の内壁がフィン2のチューブ挿入溝21の周縁部に形成されているフィンカラーをチューブ1の外周面から離れないよう拘束する。
【0055】
次に、図4に示すチューブ保持用のステージ部140について説明する。図4に於いて、第1の支持部材1741は、固定された一対のリニアガイド141上に移動自在に載置されている。第2の支持部材1742は、4個のエアシリンダ144を介して第1の支持部材1741上に支持されている。この第2の支持部材1742の上面には、複数のチューブ1が、その長さ方向がリニアガイド141の延びる方向と一致するように載置される。また、これ等のチューブ1は、その断面の長径が垂直方向に一致するように載置される。
【0056】
ボールねじ142は、モータ143の出力軸に連結されており、モータにより駆動され
て所定方向に所定速度で回動する。第1の支持部材1741は、ナット部材1421を介
してボールねじ142に連結されており、ボールねじ142の所定方向への回転により図の右方向から見て左方向に所定速度で移動する。前述のエアシリンダ144は、第2の支持部材1742の垂直方向の高さを調節する。図8は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図であり、図4からステージ部140を抜き出して示したものである。
【0057】
図4では、ステージ部140に於ける第2の支持部材1742の高さは、垂直方向の最下部に位置したフィン保持部121のU字溝151内にチューブ1が挿入されない高さとして示しているが、熱交換器の製造装置の動作時には、ステージ部14の第2の支持部材1742の高さは、エアシリンダ144により、チューブ1がフィン保持部121のU字溝内に挿入される高さに設定される。
【0058】
以上のように構成されたこの発明の実施の形態1による熱交換器の製造方装置に於いて、次にその動作を説明する。図9は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の動作を説明する説明図であり、(a)はフィン2をチューブ1の外周面に装着する直前の状態、(b)はフィン2をチューブ1の外周面に装着したときの状態、(c)はフィン2をチューブ1の外周面に装着した直後の状態、(d)は(c)の状態から更に時間が経過したときの状態、を夫々示している。なお、図9は、説明の便宜上、8個のフィン保持部12のうちの1個のみを図示してその動作状態を示している。
【0059】
フィン保持部121がドラム122の垂直方向の最上部の位置しているときは、前述したように、そのフィン保持部121に対応する第2の仕切板162の貫通長穴1621は第1の仕切板164の貫通長穴1643に重なり合う状態にあるので、配管1551と配管1552とは接続状態にあり、そのフィン保持部121の吸着穴154は空気を吸入している。
【0060】
フィン供給部(図示せず)から供給された1枚のフィン2は、そのドラム122の最上部ンの位置にあるフィン保持部121に供給され、フィン2のチューブ挿入溝21がフィン保持部のU字溝151に重ね合わされた状態で、フィン2がフィン保持部121に吸着されて保持される。ドラムの回転に伴って、8個のフィン保持部121は所定の時間間隔を於いて順次ドラム122の最上部に達し、順次、1枚ずつのフィン2が供給されてこれを保持し、ドラム122の回転に伴って、時計方向の円運動により図9の(a)に示す位置に到達する。
【0061】
フィン2を保持したフィン保持部121が図9の(a)に示す位置に達すると、チューブ1の一部分が、フィン保持部12に保持されているフィン2のチューブ挿入溝21、およびフィン保持部121のU字溝151内に嵌合された状態となる。このとき、フィン保持部121のカムフォロア124は、カム部材123の平坦面1231に接触若しくは非接触の位置にあるが、ドラム122の周面に対して直立した状態にある。
【0062】
次に、ドラム122の回転に伴ってフィン保持部121が図9の(b)の位置に達すると、フィン保持部12のカムフォロア124はカム部材123の隆起面1232に到達すると共に、フィン保持部12に保持されているフィン2はその幅方向がほぼ垂直方向と一致する状態となり、そのチューブ挿入溝21内にチューブ1が完全に嵌合された状態となり、フィン2はチューブ1の外周面に装着される。
【0063】
このとき、ロータリージョイント156の第2の仕切板162の貫通長穴1621は第1の仕切板164の貫通長穴1643に対して図6の(b)に示すように一部が重なり合う状態となっており、配管1551と配管1552とは接続されているが、その状態から
ドラム122が更に時計方向に回動することにより、その貫通長穴1621が貫通長穴1643に重なり合わない状態となり、配管1551と配管1552との接続は遮断され、そのフィン保持部121はフィン2の保持を終了する。
【0064】
図9の(b)の状態から更にドラム122が時計方向に回転すると、フィン保持部121は、そのカムフォロア124がカム部材123の隆起面1232に接触して押し上げられ、フィン保持部121は、その回動軸129を中心として反時計方向に回動することにより、図9の(c)に示すようにチューブ1の外周面に装着されたフィン2から離反する。
【0065】
更にドラム122が回転して、フィン保持部121が図9の(d)に示す位置に至ると、フィン保持部121は、更にチューブ1に装着されているフィン2から離反するようになり、その後、ドラム122の回転に伴ってドラム122の頂部に向かって移動することとなる。そして、再びドラム122の頂部に至ると、再びフィン供給部により新たなフィン2が供給されてこれを保持する。
【0066】
図10は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図であり、カム部材123とカムフォロア124によるフィン保持部121の装置軸方向から見た動作曲線を示す。カムフォロア124がドラム122の回転に伴い矢印A方向にカム部材123の周面をなぞると、カム部材123の周面の曲線に従ってフィン保持部121のドラム122に対する角度が、図示のように121a→121b→121cへと変化する。カム部材123の半径を逐次変化させることで、チューブ1に挿入したフィン2をかわすようにフィン保持部121を動作させることが可能である。
【0067】
前述した図3に示すように、ドラム122にはこの実施の形態1では8個のフィン保持部121を備えており、夫々のフィン保持部121が前述の図9により述べた動作を順次行う。一方、ステージ140は、前述したようにモータ143により駆動されて矢印Bの方向に所定速度で移動する。その結果、フィン2がチューブ1の外周面に所定の間隔で順次連続的に高速で装着され、図1に示す熱交換器が製造される。
【0068】
以上述べたように、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法及び製造装置によれば、装着すべきフィンに対してチューブをその長さ方向に所定速度で連続的に移動させ、移動するチューブの外周面に装着すべきフィンを所定の時間間隔で装着するようにしたので、チューブにフィンを一枚ずつ所定の位置に挿入できるため、スペーサー治具を用いず所望のピッチでフィン変形、ピッチ乱れのない熱交換器を製造できる。
【0069】
また、ステージ移動量を変化させることで、様々なフィンピッチに対応した熱交換器を容易に製造することができる。フィンと冷媒管の密着度を向上することが出来る。
【0070】
さらに、フィン保持部がフィンを挿入した後、動作方向を変えずにフィンをかわすことが可能であり、熱交換器の製造装置を簡易な構成で実現することができる。
【0071】
また、フィン保持部が、フィンを真空吸着によって把持し、真空経路中の仕切り板によってフィン挿入位置で真空吸着が止まりフィンを離すことができ、フィン挿入後にフィン保持部が装着されたフィンをかわすとき、吸着力で挿入後のフィン位置が動き、フィンピッチが乱れることを避けることができる。
【0072】
実施の形態2.
前述の実施の形態1による熱交換器の製造方法および製造装置では、装着すべきフィンに対してチューブをその長さ方向に所定速度で連続的に移動させ、移動するチューブの外
周面に装着すべきフィンを所定の時間間隔で装着するようにしたが、実施の形態2による熱交換器の製造方法および製造装置では、装着すべきフィンに対してチューブをその長さ方向に所定の間隔に対応したピッチで間歇的に移動させ、チューブが間歇的に移動する間の停止時に、装着すべきフィンをチューブの外周面に装着するようにしたものである。この実施の形態2による熱交換器の製造装置の構成は、前記間歇的に移動する点以外は前述の実施の形態1による熱交換器の製造装置と同様である。
【0073】
実施の形態2による熱交換器の製造方法および製造装置は、図1に示す熱交換器100を製造する際に、ドラム122を図3、図9、図10に於ける時計方向に回転させ、フィン保持部121をドラム122の垂直方向の上方へ移動させ、その位置に於いて真空吸着によりフィン2を保持する。次に、ステージ140を動かし、1枚目のフィンの挿入位置へチューブ1を移動する。
【0074】
その後、ドラム122を1回転させ、フィン2をチューブ1の外周面に挿入する。同時に、所定のフィンピッチの値だけステージを移動させる。1枚目のフィン2の挿入を行っている間に、後続のフィン保持部121に2枚目のフィン2を供給し、再びドラムを回転させてフィン保持部121を挿入位置へ移動し、同時にステージをフィンピッチ分だけ移動する。以降、この工程を所定数のフィン枚数が入るまで繰り返す。
【0075】
この発明の実施の形態2による熱交換器の製造方法および製造装置によれば、装着すべきフィンに対してチューブをその長さ方向に所定の間隔に対応したピッチで間歇的に移動させ、チューブが間歇的に移動する間の停止時に、装着すべきフィンをチューブの外周面に装着するようにしたので、従来と比較してフィン2を位置ずれや変形を起こさずにチューブ1に挿入を行えるため、フィンピッチが揃い、フィンカラーのチューブ1に対する密着性が良い高性能な熱交換器を得ることが出来る。また、ステージ140の水平移動距離を変化させることで様々なフィンピッチの熱交換器を製作可能である。
【0076】
実施の形態3.
前述の実施の形態1及び2による熱交換器の製造装置では、チューブを載置したステージを移動させるようにしたが、この発明の実施の形態3では、ステージを固定とし、フィン保持部を支持するドラム側を移動させるようにしたものである。
【0077】
図11は、この発明の実施の形態3による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。図11に於いて、一対の支持部1741は、モータ128、カップリング、ドラム122、フィン保持部121、カム部材123、カムフォロア124等を支持しており、エアシリンダ1441を介して一対のリニアガイド1411に載置されている。この支持部1741は、図示していないモータにより、リニアガイド1411上を所定の速度で連続的に、若しくは間歇的に移動する。一方、チューブ1を載置するテーブル140は、固定されており、移動しないように構成される。その他の構成は、実施の形態1または実施の形態2と同様である。
【0078】
以上のようの構成された実施の形態3による熱交換器の製造装置は、前述の実施の形態1、または実施の形態2による熱交換器の製造方法を用いて動作することができる。
【0079】
この発明の実施の形態3による熱交換器の製造装置によれば、チューブにフィンを一枚ずつ所定の位置に挿入できるため、スペーサー治具を用いず所望のピッチでフィン変形、ピッチ乱れのない熱交換器を製造できる。
【0080】
実施の形態4.
図12は、この発明の実施の形態4による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図で
ある。実施の形態4では、前述のカム部材123とカムフォロア124を用いる代わりに、サーボモータ171によりフィン保持部121を回動させるようにしたものである。その他の構成は前述の実施の形態1乃至3の何れかと同様である。
【0081】
この発明による実施の形態4による熱交換器の製造装置によれば、フィン保持部121が後述するようにチューブ1に挿入したフィン2をかわす動きを行うタイミングを、サーボモータ171の制御により任意に調整することができ、且つ、サーボモータ171の動作によりフィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。
【0082】
実施の形態5.
図13は、この発明の実施の形態5による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。図13に示すように、配管1551と配管1552との接続若しくは遮断を行う機構は、前述のように第1の仕切板及び第2に仕切板を用いるのではなく、配管1552の一部に電磁弁172を設置し、センサ173によりフィン保持部121がチューブへの挿入位置に達したことを感知して、電磁弁172に電気信号を送ることで、配管1551と配管1552とからなる真空経路の開閉を行うようにしたものである。その他の構成は、実施の形態1乃至4の何れかと同様である。
【0083】
この発明の実施の形態5による熱交換器の製造装置によれば、フィン保持部121によるフィンの吸着開始と吸着解除のタイミングを容易に微調整することができるので、装置の調整を行いやすい効果がある。
【0084】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6による熱交換器の製造装置は、フィンの保持を、真空吸着により行うのではなく、真空ポンプに代えてエア元栓を用い、フィン保持部に於ける吸着穴から空気を噴出させ、ベルヌーイ効果を発生させてフィンを把持するようにしたものである。この構成によれば、高価な真空ポンプを用いずにフィンの保持が可能である。
【0085】
実施の形態7.
前述したように、従来の空気調和機の熱交換器を製造方法および装置にあっては、熱交換器を組み立てる方法として、予め複数枚のフィンを適宜間隔に配列し、フィンに設けられた挿通孔に扁平状のチューブを挿入している。しかしこの方法では、フィンピッチを確保して配列するために製造時間が増大し、又、フィンをチューブに挿入するとき、フィンが変形し、或いはフィンピッチが乱れてフィンを介して流れる冷却風の通風抵抗が増大し、熱交換器の性能低下を招く場合がある。
【0086】
前記フィン変形とピッチ乱れを防止するためにスペーサ治具を使用すると、1個の熱交換器に使用するフィン枚数と、異なるフィンピッチに対応するために、部品数の増加、製造のための段取り替え時間の増加、治具の維持コストの膨大化等を生じるという問題点もあった。更に、フィンをチューブへ挿入すると、フィンがフィン挿入治具へ密着してしまい、チューブへの挿入位置からずれる等の恐れがあり、その結果、フィンとチューブの位置決め精度の低下による熱交換器の性能低下、および熱交換器の外観の悪化を生ずる等の問題があった。
【0087】
そこで、この発明の実施の形態7による熱交換器の製造方法および製造装置は、前述のような問題点を解決するためになされたものであり、断面が扁平状に形成されたチューブ等を用いた熱交換器の製造工程に於いて、チューブへ挿入したフィンを押さえることにより、フィンの位置ずれを抑制するようにし、フィンの変形とピッチ乱れを抑制し通風抵抗を減少し熱交換器の性能を向上させ、且つ熱交換器の外観の悪化を抑制することを目的としてなされたものである。
【0088】
以下、この発明の実施の形態7による熱交換器の製造方法および製造装置について説明する。この発明の製造方法および製造装置により製造される熱交換器は、断面が偏平状に形成されたチューブを用いたフィンアンドチューブ式の熱交換器であって、その構成は、前述の図1に示した構成と同一であり、又、その熱交換器に用いられるフィンは、前述の図2に示す構成と同一である。
【0089】
図14は、この発明の実施の形態7による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図であり、この発明の実施の形態7による熱交換器の製造方法及び製造装置の要部のみを示している。図14に於いて、前述の実施の形態1に於ける図3乃至図5と同一または相当部分には、夫々同一符号を付してある。
【0090】
図14に於いて、チューブ保持用のステージ部の第2の支持部材1742の上面には、複数のチューブ1が、その長さ方向がリニアガイド(図4に於ける141参照)の延びる方向と一致するように載置される。また、これ等のチューブ1は、その断面の長径が垂直方向に一致するように載置される。第2の支持部材1742には、複数のチューブ1を載置する位置に対応して、貫通孔1700が形成されている。
【0091】
チューブ保持用のステージ部の第2の支持部材1742の裏面側には、フィン装着維持部200が配置されている。フィン装着維持部400の先端部には、第2の支持部材1742の貫通孔1700を貫通し得る複数のフィン押圧突起401が所定の間隔を介して配列されている。これ等のフィン押圧突起201は、フィン装着維持部400が後述するように、複数のチューブ1に跨って装着されたフィンを押圧して装着されたフィンがチューブ1の装着位置からずれるのを防止する。その他の構成は、前述の実施の形態1と同様である。
【0092】
図15は、この発明の実施の形態7による熱交換器の製造方法および製造装置を示す概念図である。図15に示すように、フィン2を把持しチューブ1へ挿入するためのフィン保持部121と、フィン保持部121を円軌道に沿って動かすドラム122とを備える。この実施の形態7では、ドラム122に6個のフィン保持部121が設けられている。尚、図示していないその他の構成は、前述の図14に於ける第2の保持部材1742、フィン装着維持部400以外については、図3乃至図5と同様である。
【0093】
フィン装着維持部400は、軸211により回動自在に支持されており、フィン押圧突起401と反対側の端部に、カムフォロア410が装着されている。このカムフォロア410は、フィン装着維持部駆動用カム300の周面を摺動するように構成されている。フィン装着維持部駆動用カム300は、図示していない駆動装置により、後述するように、フィン保持部121の回動と同期して回動される。
【0094】
図16は、この発明の実施の形態7による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図であり、(a)はフィン2をチューブ1の外周面に装着する直前の状態、(b)はフィン2をチューブ1の外周面に装着したときの状態、(c)はフィン2をチューブ1の外周面に装着した直後の状態、(d)は(c)の状態から更に時間が経過したときの状態、を夫々示している。なお、図16は、説明の便宜上、6個のフィン保持部12のうちの1個のみを図示してその動作状態を示している。
【0095】
図16に於いて、フィン供給部(図示せず)から供給された1枚のフィン2は、そのフィン保持部121に供給され、前述したようにフィンのチューブ挿入溝がフィン保持部のU字溝に重ね合わされた状態で、フィン2がフィン保持部121に吸着されて保持される。ドラムの回転に伴って、6個のフィン保持部121は所定の時間間隔を於いて順次1枚ずつのフィン2が供給されてこれを保持し、ドラム122の回転に伴って、時計方向の円運動により図16の(a)に示す位置に到達する。
【0096】
フィン2を保持したフィン保持部121が図16の(a)に示す位置に達すると、チューブ1の一部分が、フィン保持部12に保持されているフィン2のチューブ挿入溝、およびフィン保持部121のU字溝内に嵌合された状態となる。このとき、フィン保持部121のカムフォロア124は、カム部材123の平坦面1231に接触若しくは非接触の位置にあるが、ドラム122の周面に対して直立した状態にある。又、このとき、フィン装着維持部400は、チューブ1から外れた位置にある。
【0097】
次に、ドラム122の回転に伴ってフィン保持部121が図16の(b)の位置に達すると、フィン保持部12のカムフォロア124はカム部材123の隆起面に到達すると共に、フィン保持部12に保持されているフィン2はその幅方向がほぼ垂直方向と一致する状態となり、そのチューブ挿入溝内にチューブ1が完全に嵌合された状態となり、フィン2はチューブ1の外周面に装着される。このとき、同時にフィン装着維持部400のカムフォロア410は、フィン装着維持部駆動用カム300の隆起面に押し上げられていた位置から平坦面に戻り、その結果、フィン装着維持部400は軸211を中心として図16の反時計方向に回動し、フィン押圧突起401が、チューブ1に装着されたばかりのフィン2を、図の右方から押圧し、フィン2をチューブ1の外周面上の装着位置に維持する。
【0098】
図16の(b)の状態から更にドラム122が時計方向に回転すると、フィン保持部121は、そのカムフォロア124がカム部材123の隆起面に接触して押し上げられ、フィン保持部121は、その回動軸を中心として反時計方向に回動することにより、図16の(c)に示すようにチューブ1の外周面に装着されたフィン2から離反する。このとき、フィン装着維持部400は、チューブ1に装着されたフィン2を押圧したままである。
【0099】
更にドラム122が回転して、フィン保持部121が図9の(d)に示す位置に至ると、フィン保持部121は、更にチューブ1に装着されているフィン2から離反するようになり、その後、ドラム122の回転に伴ってドラム122の頂部に向かって移動することとなる。そして、再びドラム122の頂部に至ると、再びフィン供給部により新たなフィン2が供給されてこれを保持する。この時、フィン装着維持部400は、そのカムフォロア410がフィン装着維持部駆動用カム300の隆起面に押し上げられて、時計方向に回動し、装着されているフィン2及びチューブ1から離反する。
【0100】
以上述べたように、この発明の実施の形態7による熱交換器の製造方法及び製造装置によれば、フィン保持部121によりフィン2をチューブ1へ装着した後、フィン保持部121がチューブ1から回避する(図16の(c)に示す状態)ことによる、フィン2の位置ずれを抑制し、フィン2の変形およびフィンピッチの乱れを抑制し、通風抵抗を減少し、熱交換器の性能を向上し、フィン挿入位置の外観の体裁悪化を抑制した熱交換器を製造することができる。また、後工程に於いてフィンの位置ずれ修正作業がなくなり、生産タクトタイムを短縮することができる。
【0101】
実施の形態8.
次に、この発明の実施の形態8による熱交換器の製造方法および製造装置について説明する。図17は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法及び製造装置により製造される熱交換器に於ける、プレス加工中のフィン材料を示す正面図である。図17に示すフィン材料20は、フープ状にリール(図示せず)に巻かれたアルミ薄板の先端部分を示している。フィン材料20は、図17に於いて左側へ所定のピッチで間歇的に移動し、順送プレス装置(図示せず)に順次供給される。
【0102】
順送プレス装置は、最初のステップS1に於いて供給されたフィン材料20の長さ方向の両側端部近傍に、先ずパイロット穴201、202を打ち抜き、次のステップS2に於いて、フィン材料20に切起し部22、23を形成する。次にステップS3に於いて、一対のチューブ挿入溝形成用貫通穴211、212を形成し、ステップS4に於いてこれ等のチューブ挿入溝形成用貫通穴211、212に跨るチューブ挿入溝形成用スリット213を形成する。
【0103】
次に、ステップS5に於いて、チューブ挿入溝形成用スリット213からフィン材料20をフィン材料20の平面に対してほぼ直角に切起すことにより、一対のチューブ挿入溝形成用貫通穴211と213とを一体にしたチューブ挿入溝形成用長穴214を形成する。次に、ステップS6に於いて、チューブ挿入溝形成用長穴214の図に於ける右側端部に連結する幅方向スリット24をフィン材料20に形成する。
【0104】
フープ状若しくはシート状のフィン材料20は、前述のステップS1からステップS6までを全面に施し、未完成状態にある複数のフィンを相互に連結したままの状態で保管される。そして、チューブ1の外周面に図1に示すようにフィン2を装着させる段階で、前述の保管されているフープ状若しくはシート状のフィン材料20から、ステップS7によりフィンを1枚毎に切り離しながら、後述するようにして切り離したフィン2をチューブ1の外周面に順次装着する。
【0105】
前述のステップS7では、フィン材料20の最先端部の端縁から幅方向スリット24に至る長さ方向スリット25を形成することにより、フィン2を1枚毎にフィン材料20から切り離す。
【0106】
従来の熱交換器の製造方法によれば、順送プレス装置の最終工程でステップS7により長さ方向スリット25を形成することによりフィンを一枚毎に順次切断し、この切断した複数枚のフィンを一旦保管し、次工程であるチューブ挿入工程にその保管したフィンを移送するようにしていたが、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法では、最終の切断工程であるステップS7を実施せず、最終工程の一歩手前であるステップS6まで完了した一定長さに切断したシート状若しくはフープ状にリールに巻き取ったフィン材料を保管し、チューブ挿入工程に移送するものである。
【0107】
なお、前述の説明では、図3に示すようにフィン材料20の幅方向にはフィン一枚を配置した場合を示しているが、フィン材料20の幅方向長さを大きくして、フィン材料20の幅方向に複数枚のフィンを配置して同時に加工するようにしても良い。
【0108】
また、図17に示すステップS1乃至S6は、個々に実施する代わりにそれらのうち複数のステップを同時に実施しても良く、さらに、フィンをフィン材料から切り離す最終ステップS7は、他のステップと同時に実施するようにしても良い。
【0109】
図18は、この発明の実施の形態8による熱交換器の製造装置を示す概略構成図である。図18に於いて、フィン材料搬送部を構成するフィン材料送り機構9は、前述のように順送プレス装置により例えばステップS6まで完了して未完成状態にある複数のフィンが形成されているフィン材料20を、矢印Aの方向に所定の速度、若しくは所定のピッチで間歇的に搬送させる。フィン切り離し部を構成する切断機構10は、搬送されているフィン材料20からフィン2を1枚毎に切り離す。このフィン2の切り離しは、例えば前述の図3に示すステップS7を実施することにより行なわれる。
【0110】
フィン2が切り離されたフィン材料20は、図3に示すパイロット穴201、202を備えた両側端部のみが残ることになるが、そのパイロット穴201、202を備えた両側
端部を用いて、フィン材料送り機構9により搬送される。
【0111】
フィン装着部100は、軸心Xの周りに矢印Bの方向、即ち時計方向に所定速度で回転するドラム11と、このドラム11の周縁部に、ドラム11の周方向に所定間隔を介して設置された8個のフィン挿入板12とを備える。これ等のフィン挿入板12は、フィン保持部を構成し、夫々ドラム11の周面の内側に回動自在に設置された回動軸(図示せず)により支持されており、後述するように、ドラム11の最頂部に達したときに、切断機構10によりフィン材料20から切り離された1枚のフィン2を保持し、ドラム11の最下部に達したときに、保持していたフィン2をチューブ1の外周面に装着する。フィン挿入板12によるフィン2の保持は、例えば空気の吸入を利用してフィン2を吸着することにより行なわれる。また、フィン挿入板12には、後述するカム板110の周面を転動するカムフォロア121が設けられている。
【0112】
夫々のフィン挿入板12は、後述する図5に示すように、ドラム11の回転に伴って、回動軸121が回動することにより、ドラム11に対して所定の回動角度となるように駆動される。
【0113】
チューブ保持部を構成するテーブル13は、断面が扁平状に形成されたチューブ1を、その断面の長径方向が垂直となるようにして保持したまま、矢印C方向に所定のピッチで間歇的に移動する。テーブル13は、図示していないサーボモータ等により駆動されて移動する。この実施の形態1ではテーブル13が間歇的に移動するピッチは、前述の複数のフィン2が設置される間隔に等しく設定されている。また、この実施の形態1では、テーブル13は、前述のようにして保持したチューブ1を8本所定の間隔を介して保持している。また、テーブル13を移動させる代わりにフィン装着部100を移動させるようにしても良い。
【0114】
図19は、この発明の実施の形態8による熱交換器の製造装置の動作を説明する説明図であり、(a)はフィン2をチューブ1の外周面に装着する直前の状態、(b)はフィン2をチューブ1の外周面に装着したときの状態、(c)はフィン2をチューブ1の外周面に装着した直後の状態、(d)は(c)の状態から更に時間が経過したときの状態、を夫々示している。なお、図19は、説明の便宜上、8個のフィン挿入板12のうちの1個のみを図示してその動作状態を示している。
【0115】
図19に示すように、ドラム11の最頂部の位置で1枚のフィン2を保持したフィン挿入板12は、フィン2を保持しながらドラム11の回転と共に移動して図19の(a)に示す位置に達すると、チューブ1の一部分が、フィン挿入板12に保持されているフィン2のチューブ挿入溝21内に挿入された状態となる。このとき、フィン挿入板12のカムフォロア121は、カム板110の平坦面110aに接触した位置にある。
【0116】
次に、ドラム11が回転してフィン挿入板12が図19の(b)の位置に達すると、フィン挿入板12の回動軸121はカム板110の隆起面110bに到達すると共に、フィン挿入板12に保持されているフィン2は垂直の状態となり、フィン挿入溝21内にチューブ1が完全に挿入された状態となる。このとき、チューブ1の外周面へのフィン2の装着が完了し、フィン挿入板12はフィン2の保持を終了する。
【0117】
図19の(b)の状態から更にドラム11が時計方向に回転すると、フィン挿入板12は、そのカムフォロア121がカム板110の隆起面110bに接触して押し上げられ、回動軸を中心として反時計方向に回動されることにより、図19の(c)に示すようにチューブ1の外周面に装着されたフィン2から離反する。図19の(d)に至ると、フィン挿入板12は更に装着されているフィン2から離反するようになり、その後、ドラム11の回転に伴ってドラム11の頂部に向かって移動することとなる。そして、再びドラム11の頂部に至ると、図18により前述したように切断機構10により切断されたフィン2を新たに保持し、以降、図19の(a)乃至(d)の動作を繰り返す。
【0118】
図18に示すように、ドラム11にはこの実施の形態1では8個のフィン挿入板12を備えており、夫々のフィン挿入板12が前述の図19により述べた動作を順次行う。従って、テーブル13は、チューブ1を矢印Cの方向に、夫々のフィン挿入板12が順次ドラム11の最下部に達するタイミングに合わせて、間歇的にフィン設置間隔分だけ移動される。その結果、フィン2がチューブ1の外周面に所定の間隔で順次連続的に高速で装着され、図1に示す熱交換器が製造される。
【0119】
なお、フィン挿入板12の回転角度は、前述のカム板110の形状に基づいて任意の所望の角度とすることができる。
【0120】
以上述べたように、この発明の実施の形態8による熱交換器の製造方法及び製造装置によれば、シート若しくはフープ状のフィン材料からフィンを一枚ずつ切り離しながら順次チューブに挿入することにより、チューブにフィンを一枚ずつ所定の位置に挿入できるため、スペーサー治具を用いず所望のピッチでフィン変形、ピッチ乱れのない熱交換器を製造できる。また、フィンをシート若しくはフープの状態で保管できる為、取扱いミスによるフィンの変形、散乱を防止でき、より高性能で品質の安定した熱交換器を歩留まり良く製造することが出来る。
【0121】
実施の形態9.
図20は、この発明の実施の形態9による熱交換器の製造方法および製造装置を示す構成図である。図20に於いて、リールに巻かれたフィン材料200は、アルミ薄板により構成され、順送プレス装置500に所定速度で連続的に若しくは間歇的に送給される。順送プレス装置500は、送給されたフィン材料200に実施の形態1で説明したのと同様に、複数のステップを経て順次フィン形成する。なお、乾燥装置は場合によっては省略しても良い。
【0122】
フィン材料200に形成されたフィンは、フィン材料200に連結されたままの状態で乾燥装置600により適度に乾燥され、フィン挿入装置700に送給される。フィン挿入装置700は、実施の形態1に於ける図4に示した構成と同様に構成されており、フィン材料200から一枚ずつフィンを切り離しながら、その切り離したフィンをチューブの外周面に順次装着し、図1に示す熱交換器を製造する。
【0123】
このように、実施の形態9による熱交換器の製造方法および製造装置は、実施の形態8の場合のように順送プレスで加工されたフィンをシート状もしくはフープ状の状態で保管するのではなく、フィンを形成していないフィン材料から順送プレス装置によりフィンを順次形成し、乾燥装置によりそのフィン材料を乾燥させ、さらにその乾燥を終えたフィン材料からフィン挿入装置によりフィンを切り離しながらチューブの外周面に装着するようにしたものである。
【0124】
以上述べたこの発明の実施の形態9による熱交換器の製造方法及び製造装置によれば、工程間の仕掛がなくなるので、少なくともフィンの一部分を形成したフィン材料を補完する保管スペースを必要としなくなるだけなく、生産リードタイムを短縮することが可能となる。また、取り扱いミスによるフィンの変形、散乱をさらに抑制できる。
【符号の説明】
【0125】
100 熱交換器 1 チューブ
2 フィン 21 チューブ挿入溝
22、23 スリット 121 フィン保持部
122 ドラム 123 カム部材
124 カムフォロア 174、1741 支持部
126 軸 127 カップリング
128、143 モータ 1241 連結板
129 フィン保持部の回動軸 125 ねじりバネ
156 ロータリージョイント 1551、1552 配管
164 第1の仕切板 162 第2の仕切板
1621、1643 貫通長穴 151 U字溝
1552、1553、1555 ジョイント
154 吸着穴 152 内部通路
157 真空ポンプ 140 ステージ部
141 リニアガイド 1741 第1の支持部材
1742 第2の支持部材 144 エアシリンダ
142 ボールねじ 128、143 モータ
1232 隆起面 171 サーボモータ
172 電磁弁 173 センサ
400 フィン装着維持部 401 フィン押圧突起
1700 貫通孔 410 カムフォロア
300 フィン装着維持部駆動用カム
20、200 フィン材料 201、202 パイロット穴
22、23 切起し部
220 チューブ挿入溝により区画されたフィンの面
211、212 チューブ挿入溝形成用貫通穴
213 チューブ挿入溝形成用スリット
214 チューブ挿入溝形成用長穴 24 幅方向スリット
25 長さ方向スリット 500 順送プレス装置
600 乾燥装置 700 フィン挿入装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、
前記装着すべきフィンに対して相対的に、前記チューブを前記チューブの長さ方向に所定速度で連続的に移動させ、
前記移動する前記チューブの外周面に、前記装着すべき複数枚のフィンを所定の時間間隔を介して順次装着する、
ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項2】
内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、
前記装着すべきフィンに対して相対的に、前記チューブを前記チューブの長さ方向に所定速度で連続的に移動させ、
前記装着すべきフィンを保持したフィン保持部を移動させることにより、前記フィン保持部により保持された前記フィンを、前記移動する前記チューブの外周面に所定の時間間隔を介して順次装着し、
前記装着された前記フィンを、前記順次装着される毎に、その装着された前記チューブの外周面上の位置にフィン装着維持部により維持する、
ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項3】
内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、
前記装着すべきフィンに対して相対的に、前記チューブを前記チューブの長さ方向に前記所定の間隔に対応したピッチで間歇的に移動させ、
前記チューブが前記間歇的に移動する間の停止時毎に、前記装着すべき複数枚のフィンを前記チューブの外周面に順次装着する、
ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項4】
内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、
前記装着すべきフィンに対して相対的に、前記チューブを前記チューブの長さ方向に前記所定の間隔に対応したピッチで間歇的に移動させ、
前記装着すべきフィンを保持したフィン保持部を移動させることにより、前記フィン保持部により保持された前記フィンを、前記移動する前記チューブの外周面に所定の時間間隔を介して順次装着し、
前記装着された前記フィンを、前記順次装着される毎に、その装着された前記チューブの外周面上の位置にフィン装着維持部により維持する、
ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項5】
前記チューブは、その幅方向に所定間隔を介して複数本並置され、
前記フィンは、1枚毎に前記複数本のチューブに跨って前記並置された夫々のチューブの外周面に装着される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項6】
前記フィンは、少なくとも一部に前記フィンの少なくとも一部分が形成されたフィン材料から、前記フィンを切り離しながら、前記切り離したフィンを前記チューブの外周面に順次装着される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項7】
前記フィンを形成するためのフィン材料に、前記フィンの少なくとも一部分を形成する第1の工程と、
前記フィン材料から前記フィンを切り離す第2の工程と、
前記切り離されたフィンを前記チューブの外周面に装着する第3の工程と、
を備え、
少なくとも前記第2の工程と前記第3の工程とは工程連結されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項8】
前記第1の工程は、前記第2の工程に工程連結されていることを特徴とする請求項7に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項9】
前記第1の工程と前記第2の工程は、順送プレス装置により行なわれることを特徴とする請求項7又は8に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項10】
前記フィン材料は、シート状若しくはフープ状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項11】
前記フィンは、その側端部から内側に延びる溝部を備え、
前記溝部を前記チューブの外周面に嵌合させることにより、前記フィンを前記チューブの外周面に装着させることを特徴とする請求項1乃至10のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項12】
内部に流体を流通させるチューブと、チューブ挿入溝を前記チューブの外周面に嵌合させて前記チューブに装着されるフィンとを備えた熱交換器の製造装置であって、
前記チューブに装着すべきフィンを保持し得るフィン保持部と、
前記フィンが装着されるべき前記チューブを保持し得るチューブ保持部と、
前記フィン保持部と前記チューブ保持部とを、前記保持したチューブの長さ方向に相対的に移動させる駆動部と、
を備え、
前記フィン保持部は、前記フィンを保持してそのチューブ挿入溝を前記チューブに嵌合させることにより前記フィンを前記チューブの外周面に装着し、且つ、前記移動に対応して前記装着を順次行うことにより複数枚のフィンを前記チューブの外周面に所定間隔で装着する、
ことを特徴とする熱交換器の製造装置。
【請求項13】
前記装着された前記フィンを、前記順次装着される毎に、その装着された前記チューブの外周面上の位置に維持するフィン装着維持部を備えた、
ことを特徴とする請求項12に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項14】
内部に流体を流通させるチューブと、チューブ挿入溝を前記チューブの外周面に嵌合させて前記チューブに装着されるフィンとを備えた熱交換器の製造装置であって、
前記チューブに装着すべきフィンを保持し得るフィン保持部と、
前記フィンが装着されるべき前記チューブを保持し得るチューブ保持部と、
前記フィン保持部と前記チューブ保持部とを、前記保持したチューブの長さ方向に相対的に移動させる駆動部と、
前記チューブの外周面に装着された前記フィンを、その装着された前記チューブの外周面上の位置に維持するフィン装着維持部とを備え、
前記フィン保持部は、前記フィンを保持してそのチューブ挿入溝を前記チューブに嵌合させることにより前記フィンを前記チューブの外周面に装着し、且つ、前記移動に対応して前記装着を順次行うことにより複数枚のフィンを前記チューブの外周面に所定間隔で装
着するように構成され、
前記フィン装着維持部は、前記フィン保持部による前記フィンの装着に同期して、前記フィンが前記チューブの外周面に順次装着される毎に、前記装着されたフィンを、その装着された前記チューブの外周面上の位置に維持するように構成されている、
ことを特徴とする熱交換器の製造装置。
【請求項15】
前記フィン保持部は、前記チューブの幅寸法より大きな幅寸法を有する溝部を備え、前記溝部に前記フィンのチューブ挿入溝を重ね合わせた状態で1枚の前記フィンを保持し、前記溝部と前記チューブ挿入溝とを前記チューブ嵌合させて前記フィンを前記チューブの外周面に装着して後、前記フィンの保持を解除して前記装着したフィンから離反する、
ことを特徴とする請求項12乃至14のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項16】
前記フィン保持部は、複数個設けられている、
ことを特徴とする請求項12乃至15のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項17】
軸心の周りに回転可能に構成され、前記フィン保持部を回動可能に支持するドラムと、
カム部材と、
前記フィン保持部に連結され、前記ドラムの所定回転位置に於いて前記カム部材の所定部位に当接して前記フィン保持部を回動させるカムフォロアと、
を備え、
前記カムフォロアにより前記フィン保持部を回動させることにより、前記チューブに装着された前記フィンから前記フィン保持部を離反させるようにしたことを特徴とする請求項12乃至16のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項18】
軸心の周りに回転可能に構成され、前記フィン保持部を回動可能に支持するドラムと、
前記フィン保持部に連結され、前記ドラムの所定回転位置に於いて前記フィン保持部を回動させるサーボモータと、
を備え、
前記サーボモータにより前記フィン保持部を回動させることにより、前記チューブに装着された前記フィンから前記フィン保持部を離反させるようにしたことを特徴とする請求項12乃至16のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項19】
前記フィン保持部は、前記フィンを真空吸着により保持するように構成され、
前記真空吸着を行なう経路の途中に設けられ、前記経路を開閉し得る仕切板を備えた、ことを特徴とする請求項12乃至18のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項20】
前記フィン保持部は、前記フィンを真空吸着により保持するように構成され、
前記真空吸着を行なう経路の開閉を制御し得る電磁弁を備えた、
ことを特徴とする請求項12乃至18のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項21】
前記フィン保持部は、前記フィンをベルヌーイ効果によって保持することを特徴とする請求項12乃至17のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項22】
少なくとも一部に前記フィンの少なくとも一部分が形成されたフィン材料を連続的に搬送させるフィン材料搬送部と、
前記フィン材料から前記フィンを切り離すフィン切り離し部と、
を備え、
前記フィン保持部は、前記フィン切り離し部により切り離されたフィンを保持するように構成されている、
ことを特徴とする請求項12乃至19のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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