説明

熱交換器の製造方法および製造装置

【課題】フィンの変形や、フィンピッチの乱れ等が生じることがなく、しかも安価な製造コストで且つ迅速に製造することができる熱交換器の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】フィン保持部121は、フィン2を保持してそのチューブ挿入溝をチューブ1に嵌合させることによりフィン2をチューブ1の外周面に装着し、且つ、チューブ1とフィン2との相対的移動に対応して装着を順次行うことにより複数枚のフィン2をチューブ1の外周面に所定間隔で装着し、チューブ拘束部401は、少なくともフィン2をチューブ1に装着するときに、チューブ1の幅方向位置を規制するようにチューブ1を拘束する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に冷媒等の流体を流通させるチューブの外周面に板状の複数枚のフィンを装着するようにした熱交換器の製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、空気調和機等に用いられる熱交換器は、断面が扁平状に形成され内部に冷媒等の流体を流通させる冷媒管としてのチューブと、このチューブの外周面に装着された複数枚の板状の熱交換用のフィンとを備える。このような熱交換器は、通常、フィンアンドチューブ式熱交換器と称されるが、以下の説明では、単に、熱交換器と称する。従来、熱交換器の製造方法としては、挿通孔が設けられた複数枚の板状の熱交換用フィンを適宜間隔を介して積層して後、断面が偏平状のチューブを前記チューブの挿通孔内に挿入する方法が用いられる(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−89870号公報
【特許文献2】実開平5−90173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来の熱交換器の製造方法および製造設備にあっては、あらかじめ複数枚の板状のフィンを所定ピッチ確保して配列し、フィンに設けられた挿通孔に断面が偏平状に形成された冷媒管(以下、チューブと称する)を挿入するようにしているが、複数枚のフィンを所定ピッチ確保して配列する必要があり、そのために製造時間が増大する。また、チューブをフィンの挿通孔に挿入するときにフィンに加えられる力によりフィンが変形しあるいは配列した複数枚のフィンピッチが乱れ、通風抵抗が増大し熱交換器の性能低下を招く。
【0005】
そこで、前述のフィンの変形とフィンのピッチの乱れを防止するために、フィン相互間にスペーサー治具を使用する必要があるが、この場合、熱交換器の機種によっては、熱交換器1枚に使用するフィンの枚数が異なること等によりフィンピッチが同一でない場合がある。従って、異なるフィンピッチの熱交換器を製造するために、部品数が増大し、製造の段取り替え時間が増大し、更には、異なるフィンピッチに対応するためのスペーサー治具の維持コスト等が膨大になってしまう。
【0006】
さらに、フィンに設けられた挿通孔の幅は、チューブの外表面との間に隙間を生じさせないようチューブの幅より狭く形成されているが、挿入時にフィンの挿通孔とチューブの位置が合っていないため、フィンの挿通孔がチューブによって偏った変形を起こしフィンとチューブの外表面との間にはすき間が出来る。高性能な熱交換器を製作するためにはフィンとチューブの熱伝導が良いことが求められるため、フィンとチューブの固定方法としては、熱伝導率が良好な金属ロウ付け方法以外には使用し難いという、フィンとチューブの固定方法の制限が生じる。
【0007】
この発明は、前述のような従来の熱交換器の製造方法および製造装置に於ける課題を解決するためになされたものであり、高性能な熱交換器を短時間で製作することができる熱交換器の製造方法および製造装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による熱交換器の製造方法は、内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを、前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、前記チューブに装着すべきフィンと前記チューブを、前記チューブの長さ方向に相対的に移動させる移動工程と、前記フィンを1枚毎に前記チューブに装着するフィン装着工程と、少なくとも前記フィン装着工程の実行時に、前記チューブの幅方向位置を規制するように前記チューブを拘束するチューブ拘束工程とを備えたことを特徴とする。
【0009】
又、この発明による熱交換器の製造装置は、内部に流体を流通させるチューブと、チューブ挿入溝を前記チューブの外周面に嵌合させて前記チューブに装着されたフィンとを備えた熱交換器を製造する製造装置であって、前記チューブに装着すべきフィンを保持し得るフィン保持部と、前記フィンが装着されるべき前記チューブを保持し得るチューブ保持部と、前記フィン保持部と前記チューブ保持部とを、前記保持したチューブの長さ方向に相対的に移動させる駆動部と、前記チューブを拘束し、前記チューブの幅方向位置を規制する得るチューブ拘束部とを備え、前記フィン保持部は、前記フィンを保持してそのチューブ挿入溝を前記チューブに嵌合させることにより前記フィンを前記チューブの外周面に装着し、且つ、前記移動に対応して前記装着を順次行うことにより複数枚のフィンを前記チューブの外周面に所定間隔で装着し、前記チューブ拘束部は、少なくとも前記フィンを前記チューブに装着するときに、前記チューブの幅方向位置を規制するように前記チューブを拘束することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明による熱交換器の製造方法によれば、チューブに装着すべきフィンとチューブを、チューブの長さ方向に相対的に移動させる移動工程と、フィンを1枚毎にチューブに装着するフィン装着工程と、少なくともフィン装着工程の実行時に、チューブの幅方向位置を規制するようにチューブを拘束するチューブ拘束工程とを備えたので、フィンの変形や、フィンピッチの乱れ等が生じることがなく、しかも安価な製造コストで且つ迅速に熱交換器を製造することができる。
【0011】
又、この発明による熱交換器の製造装置によれば、チューブに装着すべきフィンを保持し得るフィン保持部と、フィンが装着されるべきチューブを保持し得るチューブ保持部と、フィン保持部とチューブ保持部とを、保持したチューブの長さ方向に相対的に移動させる駆動部と、チューブを拘束し、チューブの幅方向位置を規制する得るチューブ拘束部とを備え、フィン保持部は、フィンを保持してそのチューブ挿入溝を前記チューブに嵌合させることによりフィンをチューブの外周面に装着し、且つ、移動に対応して装着を順次行うことにより複数枚のフィンをチューブの外周面に所定間隔で装着し、チューブ拘束部は、少なくともフィンをチューブに装着するときに、チューブの幅方向位置を規制するようにチューブを拘束するようにしたので、フィンの装着位置が安定し、フィンの変形若しくはフィンピッチの乱れを防止することができ、フィンとチューブの固定方法に金属ロウ以外の熱伝導率の低い物質が使用可能となり、しかも安価な製造コストで且つ迅速に熱交換器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の製造方法および製造装置により製造される偏平状のチューブを用いた熱交換器を示す斜視図である。
【図2】この発明の熱交換器の製造方法および製造装置により製造される熱交換器に於けるフィンを示す平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法および製造装置を示す概念図である。
【図4】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の具体的構成を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置に於けるロータリージョイントの説明図である。
【0013】
【図7】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態2による熱交換器の製造方法および製造装置の一部分を示す説明図である。
【0014】
【図13】この発明の実施の形態3による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態4による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態6による熱交換器の製造方法および製造装置の一部分を示す概念図である。
【図16】この発明の実施の形態6による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図である。
【図17】この発明の実施の形態6による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図である。
【図18】この発明の実施の形態7による熱交換器の製造装置による熱交換器の製造方法および製造装置の一部分を示す概念図である。
【0015】
【図19】この発明の実施の形態8による熱交換器の製造装置による熱交換器の製造方法及び製造装置の一部分を示す概念図である。
【図20】この発明の実施の形態9による熱交換器の製造装置による熱交換器の製造方法及び製造装置の一部分を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、この発明の製造方法および製造装置により製造される断面が偏平状に形成されたチューブを用いた熱交換器を示す斜視図である。図1に於いて、熱交換器100は、フィンアンドチューブ式の熱交換器であって、チューブ1とフィン2とから成り、チューブ1はフィン2に設けられたチューブ挿入溝21に挿入され、互いに接合されている。フィン2は、平板状であって一定の間隔であるフィンピッチで平行に多数積層されている。断面が扁平形状に形成されたチューブ1は、複数本並列に配置され、夫々の内部には水や冷媒等の流体が流される。
【0017】
図2は、この発明の熱交換器の製造方法および製造装置により製造される熱交換器に於けるフィンを示す平面図である。図2に示すように、フィン2には所定の間隔でほぼU字状のチューブ挿入溝21が形成されており、このチューブ挿入溝21を介して区画された
夫々の面220にはスリット22、23が形成されている。そして、フィン2の同一表面側には、夫々のチューブ挿入溝21の縁部に沿ってチューブ1とフィン2とを密着させて接合するためのフィンカラー(図示せず)が垂直に立ち上がるように形成されている。スリット22、23とフィンカラーは、フィン2の表面に対し同一方向に突出している。
【0018】
前述したように、チューブ1は扁平形状をなし、その内部に水や冷媒などの流体が流れるように構成されている。チューブ1の断面を扁平形状とすることで、チューブ1の外表面側を流れる空気の通風抵抗を増大させることなくチューブ内の冷媒量を多くすることができ、それにより、小型化した場合であっても十分な性能を有する熱交換器を得ることができる。
【0019】
フィン2は、並置された複数のチューブ1に跨って配置され、夫々のチューブ挿入溝21内にチューブ1が個々に挿入されることにより、複数のチューブ1の外周面に装着される。図1に示すように、同一形状に形成された複数枚のフィン2が所定のフィンピッチで複数のチューブ1の外周面に装着される。フィン2の枚数は、空気調和機に用いられる熱交換器では、一般的に数百枚以上である。以上のように構成された熱交換器は、夫々のチューブ1内に流れる流体が気化することにより、チューブ1及び複数枚のフィン2を介して大気から蒸発熱を奪うことにより大気が冷却される。
【0020】
前述のフィン2を形成するためのフィン材料としては、通常、厚さ「0.1」〜「0.7」[mm]程度のフープ状にリールに巻かれたアルミ薄板、若しくはシート状に形成されたフィン材料が用いられる。フィン2は、フープ状、若しくはシート状のフィン材料から、順送プレス装置を用いて所定形状に成形した多数のフィンを順次切り離すことにより、1枚毎に形成される。なお、フィン2は、順送プレス装置以外の装置により、1枚毎に形成されていてもよい。
【0021】
実施の形態1.
次に、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法および製造装置について説明する。図3は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法および製造装置を示す概念図である。図3に於いて、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法は、内部に流体を流通させるチューブ1の外周面に複数枚のフィン2を、前記チューブ1の長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、前記チューブ1に装着すべきフィン2と前記チューブ1を、前記チューブ1の長さ方向に相対的に移動させる移動工程と、前記フィン2を1枚毎に前記チューブ1に装着するフィン装着工程と、少なくとも前記フィン装着工程の実行時に、前記チューブ1の幅方向位置を規制するように前記チューブを拘束するチューブ拘束工程とを備えている。
【0022】
更に詳しくは、前記チューブ1は、前記チューブ1の幅方向に所定間隔を介して複数並置され、前記フィン2は、前記並置された複数のチューブ1に夫々対応する複数のチューブ挿入溝21を備え、前記フィン装着工程は、前記複数のチューブ挿入溝21に夫々対応する前記複数のチューブ1を同時に挿入して、前記フィン2を前記複数のチューブ1に跨って装着し、前記チューブ拘束工程は、前記並置された複数のチューブ1を夫々拘束することにより、前記複数のチューブ1を前記所定間隔を保持して並置させることを特徴とする。尚、チューブ拘束工程については後述する。
【0023】
次に、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法および製造装置について、より詳細に説明する。図3に於いて、ドラム122は、軸心Xの周りに矢印Aの方向、即ち図3に於いて時計方向に所定速度で回転する。このドラ122の周縁部には、ドラム122の周方向に所定間隔を介して設置された8個のフィン保持部121が設けられている。
【0024】
夫々のフィン保持部121は、ドラム122の回転に伴って軸心Xを中心として円運動を行なうが、垂直方向の最上部に達したときに、1枚のフィン2を受け取って保持し、垂直方向の最下部に達したときに、その保持していたフィン2をチューブ1の外周面に装着する。
【0025】
フィン保持部121によるフィン2の保持は、後述するように、例えば、空気の吸入を利用してフィン2を吸着する、所謂、真空吸着により行なわれる。フィン保持部121は、後述するカムフォロア124に連結されている。
【0026】
なお、図3に於ける夫々のフィン保持部121のドラム122に対する起立角度は、模式的に示したものである。
【0027】
チューブ1は、その断面の長径方向が垂直となるようにして保持されており、後述するように所定の速度で矢印B方向に移動する。このチューブの移動は、チューブ1に装着すべきフィン2と前記チューブ1を、チューブ1の長さ方向に相対的に移動させる移動工程に対応する。なお、チューブ1を固定しておいて、ドラム122を矢印Bとは逆の方向に移動させるようにしてもよい。これについても後述する。
【0028】
前述したように、ドラム122は矢印Aの方向に所定速度で回転しており、8個のフィン保持部121は、ドラム122の[1/8]回転毎、即ち、所定の時間間隔で、順次、図3に示すドラム122の最下部の位置に達して、停止期間中にあるチューブ1の外周面にフィン2を装着する。この動作によるフィンのチューブへの装着は、フィン2を1枚毎にチューブ1に装着するフィン装着工程に対応する。フィン2が装着されたチューブ1は、フィンピッチに相当する距離だけ矢印Bの方向に所定速度で移動して再び停止して次のフィン2が装着される。従って、フィン保持部121によりチューブ1の外周面に順次装着されるフィン2相互の間隔であるフィンピッチは、常に一定の間隔が保たれることになる。
【0029】
この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法によれば、チューブ1のB方向への移動速度の変更若しくはドラム122の回転速度の変更、またはその双方の変更により、フィンピッチを任意に設定することができる。
【0030】
図4は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の具体的構成を示す説明図である。尚、図4では説明の便宜上、前述の図3に示す8個のフィン保持部121のうち1個のみを示しているが、他の7個のフィン保持部121は、夫々図4に示すフィン保持部121と同一構成である。
【0031】
図4に示す熱交換器の製造装置120に於いて、間隔を介して配置された一対のドラム122は、その中心部が一対の支持部174に回動自在に支持された軸126に固定されており、軸126の回転に伴って回転する。実施の形態1では、軸126及びドラム122は、図4の右方向からみて時計方向に回転する。軸126は、カップリング127を介してモータ128に連結されており、モータ128により駆動されて所定速度で回転する。
【0032】
フィン保持部121は、その回動軸129が一対のドラム122の夫々に、ベアリングを介して回動自在に支持されている。一対のカムフォロア124は、夫々のドラム122の外側に位置し、フィン保持部121の回動軸129の端部に夫々連結板1241を介して連結されている。同一形状に形成された一対のカム部材123は、夫々のドラム122の外側に配置され、夫々、支持部174により固定されており常時静止している。
【0033】
ドラム122の回転に伴ってフィン保持部121がほぼ垂直方向の最下部に到達したとき、カムフォロア124は、カム部材123の周面に設けられている後述する隆起面に接触し、その後、ドラム122の回転に伴ってその隆起面により押圧されて連結板1241を介してフィン保持部121を回動軸129を中心として図4の右方向からみて反時計方向に所定の角度まで回動させる。
【0034】
ねじりバネ125は、一端がドラム122に固定され、他端がフィン保持部121に固定されており、フィン保持部121を図4の右方向からみて常時時計方向に付勢する。従って、カムフォロア124は、ねじりバネ125の付勢力によりカム部材123の隆起面に押圧され、ドラム122が所定角度回転する間、その隆起面の周面を転動することになる。
【0035】
カム部材123とカムフォロア124を用いることにより、フィン保持部121が後述するようにチューブ1に挿入したフィン2をかわす動きを行うタイミングのばらつきが小さくなるため、よりフィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。
【0036】
ロータリージョイント156は、後述する真空ポンプに接続された配管1551とフィン保持部121に接続された配管1552とからなる真空経路の接続若しくは遮断を、ドラム122の回転角度に対応して制御する。
【0037】
図5は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図であり、モータ128、カップリング127、ドラム122、フィン保持部121、カム部材123、カムフォロア124、ねじりバネ125のみを図4から抜き出し、これ等の各部分の相互関係が分かり易くなるようにしたものである。
【0038】
次に、前述のロータリージョイント156の構成について説明する。図6は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置に於けるロータリージョイントの説明図で、(a)はロータリージョイントの軸方向の断面を示す説明図、(b)は後述する第1の仕切板の平面を示す説明図、(c)は後述する第2の仕切板の平面を示す説明図である。
【0039】
図6の(a)に於いて、ロータリージョイント156の固定部163は、前述の支持部174に直接又は間接的に固定され、断面がほぼコ字状に形成され、中心部に設けられた貫通穴1631と垂直方向の下部に設けられた貫通穴1633を備えている。モータ128により駆動される軸126の端部は、固定部163の貫通穴1631に挿入されている。また、貫通穴1633は、真空ポンプに接続された配管1551にジョイント1553を介して接続されている。封止部材1632は、固定部163の貫通穴1631の内周面と軸126の外周面との間に挿入され、固定部163の内部と外部とを気密に封止している。
【0040】
第1の仕切板164は、その外周面が固定部163の内周面に固定され、軸126を貫通させる貫通穴1641が中央部に設けられている。封止部材1642は、第1の仕切板164の貫通穴1641の内周面と軸126の外周面との間に挿入され、固定部163の内部と外部とを気密に封止している。図6の(b)に示すように、第1の仕切板164は、その外周縁部の近傍に円弧状に延びる貫通長穴1643が形成されている。この貫通長穴1643は、第1の仕切板164の垂直方向最下部の位置からほぼ250度の角度範囲で反時計方向に延びている。
【0041】
回転部161は、軸126に固定されており、軸126と共に回転する。この回転部161の中央部側に設けられた貫通穴1611は、フィン保持部121に接続された配管1552にジョイント1554を介して接続されている。
【0042】
第2の仕切板162は、回転部161に固定されており、軸126及び回転部161と一体となって回転する。この第2の仕切板162は、図6の(c)に示すように、中央部近傍から外周縁部近傍に延びる8個の貫通長穴1621を備えている。これらの貫通長穴1621は、等間隔に放射状に形成されており、夫々の設定位置は前述の図3に示す8個のフィン保持部121の設定位置に対応している。
【0043】
この第2の仕切板162の一方の表面は、第1の仕切板164の一方の表面に当接しており、第2の仕切板162が回転することによりそれらの表面同士が気密を保ちながら摺動する。第2の仕切板162は、固定部163の内周面および第1の仕切板164との摩擦緩衝のために樹脂により形成されている。
【0044】
第2の仕切板162に設けられている貫通長穴1621と第1の仕切板164の円弧状の貫通長穴1643とが少なくとも一部分で重なり合う位置にあるとき、真空ポンプに接続された配管1551は、ジョイント1553、固定部163の内部、第1の仕切板164の貫通長穴1643、第2の仕切板162の貫通長穴1621、及びジョイント1554を介して、フィン保持部121に接続された配管1552に接続される。
【0045】
一方、第2の仕切板162に設けられている貫通長穴1621と第1の仕切板164の円弧状の貫通長穴1643とが全く重なり合わない位置にあるとき、配管1551と配管1552とは第1の仕切板164により遮断される。
【0046】
ドラム122が回転すると、配管1552と第2の仕切板162の貫通長穴1621は円周方向に移動するが、第1の仕切板164の貫通長穴1643は移動しない。従ってこれ等の貫通長穴の位置はずれていき、ある位相区間では貫通長穴1621と貫通長穴1643は遮断される。フィン保持部121がフィン挿入位置に達したときに真空経路が遮断されるよう貫通長穴1643の位置を設定することで、チューブ1へのフィン挿入後にフィン2が吸着力によってフィン装着位置がずれることを防ぐ。
【0047】
図7は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図であり、真空ポンプ157から配管1551、1552を介してフィン保持部121に至る真空経路を示している。フィン保持部121は、等間隔に形成された8個の溝部としてのU字溝151と、夫々のU字溝151の間でフィン保持部121の一方の表面に開口する7個の吸着穴154と、フィン保持部121の内部に形成され前述の夫々の吸着穴154とジョイント1555とに連通する内部通路152とを備えている。
【0048】
前述したように、ロータリージョイント156の第1に仕切板164の貫通長穴1643と第2の仕切板162に貫通長穴1621とが重なり合う位置にあるときは、真空ポンプ157の動作により、配管1551、ジョイント1553、ロータリージョイント156、配管1552、ジョイント1555、およびフィン保持部121の内部通路152を介して夫々の吸着穴154から空気が真空ポンプ157に吸引される。
【0049】
フィン2は、フィン保持部121の吸着穴154から空気が吸入されることによりフィン保持部121に吸着されて保持され、前述のようにロータリージョイント156により配管1551と配管1552との接続が遮断されて吸着穴154から空気が吸入されなくなったときには、フィン保持部121による保持から解放される。
【0050】
フィン2は、その8個のチューブ挿入溝21がフィン保持部121のU字溝151に重なり合うようにして、フィン保持部121に保持される。U字溝151の幅寸法は、フィン2のチューブ挿入溝21の幅寸法よりわずかに大きく形成されている。
【0051】
次に、前述の図4に示すチューブ保持部を構成するステージ部140について説明する。図4に於いて、第1の支持部材1751は、固定された一対のリニアガイド141上に移動自在に載置されている。第2の支持部材1752は、4個のエアシリンダ144を介して第1の支持部材1751上に支持されている。第2の支持部材1752の上面には、複数のチューブ1が、その長さ方向がリニアガイド141の延びる方向と一致するように載置される。また、これ等のチューブ1は、その断面の長径が垂直方向に一致するように載置される。
【0052】
ボールねじ142は、モータ143の出力軸に連結されており、モータ143により駆動されて所定方向に所定速度で間歇的に回動する。第1の支持部材1751は、ナット部
材1241を介してボールねじ142に連結されており、ボールねじ142の所定方向への回転により図の右方向から見て左方向に所定速度で間歇的に移動することが可能である。ボールねじ142、ナット部材1421、モータ143は、フィン保持部121とチューブ保持部140とを、保持したチューブ1の長さ方向に相対的に移動させる駆動部を構成する。前述のエアシリンダ144は、第2の支持部材1752の垂直方向の高さを調節する。
【0053】
図8は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図であり、図4からステージ部140を抜き出して示したものである。
【0054】
図4では、ステージ部140に於ける第2の支持部材1752の高さは、垂直方向の最下部に位置したフィン保持部121のU字溝151内にチューブ1が挿入されない高さとして示しているが、フィン2をチューブ1に挿入するときは、ステージ部14の第2の支持部材1752は、チューブ1がフィン保持部121のU字溝内に挿入される高さまで、エアシリンダ144により駆動されて移動する。
【0055】
又、熱交換器の製造装置120の稼働時には、ステージ部140は、装着すべきフィン2に対してチューブ1をその長さ方向にフィンピッチに対応する長さだけ間歇的に移動させる。チューブ1が間歇的に移動する間の停止時に、装着すべきフィン2がチューブ1の外周面に装着される。従って、ステージ140の水平移動距離を変化させることにより、様々なフィンピッチの熱交換器を製作可能である。
【0056】
次に、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置に於けるチューブ拘束部について説明する。図9は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図であり、チューブ拘束部を示している。図9に於いて、フィン拘束部401は、複数個の拘束ピン402と、これ等の拘束ピン402を等ピッチに固定するための穴(図示せず)を設けたベース板403と、ベース板403の裏面の一方の側部に間隔を介して固定された一対の第1のガイド405と、第1のガイド405と同様に構成されベース板403の裏面の他方の側部に間隔を介して固定された一対の第2のガイド(図示されていない)と、ベース板403の裏面に対応して配置され、第1のガイド25と第2のガイドの内側側面に摺動可能に当接する一対のガイドレール404とにより構成されている。
【0057】
複数の拘束ピン402は、ベース板403の表面の一方の側部と他方の側部に夫々一列に設けられた穴に一部分が挿入されて固定されている。ベース板403の表面の一方の側部と他方の側部に於いて夫々隣接する2個づつの拘束ピン402は、チューブ1のベース板403の表面上に於ける水平方向位置を規制する。これにより、複数のチーブ1は、チューブ1の幅方向に等ピッチに揃えられる。
【0058】
チューブ1の両側部に位置する拘束ピン402の間隔は、チューブ1の幅よりわずかに
広く設定されており、複数のチューブ1に対するチューブ拘束部401の着脱と移動を行ない易くしている。
【0059】
尚、図9では、拘束ピン402を2列に配置し、複数のチューブ1の両側部に位置するピンが同一の列となるように設定した場合を示しているが、拘束ピン402を3列以上配列してもよく、又、複数のチューブ1の両側部に位置する拘束ピンが同一の列をなさず、例えば千鳥状となるように配列しても良い。
【0060】
ベース板403は、第1のガイド405と第2のガイドを介して一対のガイドレール404の表面を摺動し、複数のチューブ1の幅方向に自在に水平移動することができる。従って、ベース板403の水平方向の位置は、複数のチューブ1の幅方向の設定位置に対応して設定され得る。
【0061】
図11は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図である。図11に示すように、チューブ拘束部401は、フィン挿入位置に対してチューブ1の進行方向の後方に設置されている。そして、チューブ拘束部401は、フィン保持部121の動作と干渉せず、フィン保持部121が121a、121b、121cとその位置を変化させても、その移動するフィン保持部121を常に避け得る位置に設置される。
【0062】
チューブ拘束部401の設置位置は、ドラム122の設置位置に対して相対的に常に固定としても良く、或いは、チューブ1へのフィン2の装着が完了する毎に、チューブ拘束部401がチューブ1から離脱して図の下方へ移動し、次のフィン2をチューブ1へ装着するタイミングの前に再び図の上方へ移動して、複数のチューブ1を拘束する動作を繰り返すようにしても良い。これ等のフィン拘束動作は、少なくとも前記フィン装着工程の実行時に、前記チューブ1の幅方向位置を規制するように前記チューブを拘束するチューブ拘束工程に対応する。
【0063】
以上のように構成されたこの発明の実施の形態1による熱交換器の製造方装置に於いて、次にその動作を説明する。図10は、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造装置の動作を説明する説明図であり、(a)はフィン2をチューブ1の外周面に装着する直前の状態、(b)はフィン2をチューブ1の外周面に装着したときの状態、(c)はフィン2をチューブ1の外周面に装着した直後の状態、(d)は(c)の状態から更に時間が経過したときの状態、を夫々示している。なお、図10は、説明の便宜上、8個のフィン保持部12のうちの1個のみを図示してその動作状態を示している。
【0064】
フィン保持部121がドラム122の垂直方向の最上部の位置しているときは、前述したように、そのフィン保持部121に対応する第2の仕切板162の貫通長穴1621は第1の仕切板164の貫通長穴1643に重なり合う状態にあるので、配管1551と配管1552とは接続状態にあり、そのフィン保持部121の吸着穴154は空気を吸入している。
【0065】
フィン供給部(図示せず)から供給された1枚のフィン2は、そのドラム122の最上部の位置にあるフィン保持部121に供給され、フィン2のチューブ挿入溝21がフィン保持部のU字溝151に重ね合わされた状態で、フィン2がフィン保持部121に吸着されて保持される。ドラム122の回転に伴って、8個のフィン保持部121は所定の時間間隔を於いて順次ドラム122の最上部に達し、順次、1枚ずつのフィン2が供給されてこれを保持し、ドラム122の回転に伴って、図10の時計方向の円運動により図10の(a)に示す位置に到達する。
【0066】
フィン2を保持したフィン保持部121が図10の(a)に示す位置に達すると、複数
のチューブ1の一部分が、フィン保持部12に保持されているフィン2のチューブ挿入溝21、およびフィン保持部121のU字溝151内に嵌合された状態となる。このとき、フィン保持部121のカムフォロア124は、カム部材123の平坦面1231に接触若しくは非接触の位置にあり、ドラム122の周面に対して直立した状態にある。
【0067】
次に、ドラム122の回転に伴ってフィン保持部121が図10の(b)の位置に達すると、フィン保持部12のカムフォロア124はカム部材123の隆起面1232に到達すると共に、フィン保持部12に保持されているフィン2はその幅方向がほぼ垂直方向と一致する状態となり、そのチューブ挿入溝21内にチューブ1が完全に嵌合された状態となり、フィン2はチューブ1の外周面に装着される。
【0068】
このとき、ロータリージョイント156の第2の仕切板162の貫通長穴1621は第1の仕切板164の貫通長穴1643に対して図6の(b)に示すように一部が重なり合う状態となっており、配管1551と配管1552とは接続されているが、その状態からドラム122が更に時計方向に回動することにより、その貫通長穴1621が貫通長穴1643に重なり合わない状態となり、配管1551と配管1552との接続は遮断され、そのフィン保持部121はフィン2の保持を終了する。
【0069】
図10の(b)の状態から更にドラム122が時計方向に回転すると、フィン保持部121は、そのカムフォロア124がカム部材123の隆起面1232に接触して押し上げられ、フィン保持部121は、その回動軸129を中心として図10の反時計方向に回動することにより、図10の(c)に示すようにチューブ1の外周面に装着されたフィン2から離反する。
【0070】
更にドラム122が回転して、フィン保持部121が図10の(d)に示す位置に至ると、フィン保持部121は、更にチューブ1に装着されているフィン2から離反するようになり、その後、ドラム122の回転に伴ってドラム122の頂部に向かって移動することとなる。そして、再びドラム122の頂部に至ると、再びフィン供給部により新たなフィン2が供給されてこれを保持する。
【0071】
図11の説明図に、カム部材123とカムフォロア124によるフィン保持部121の装置軸方向から見た動作を示す。チューブ拘束部401の設置範囲は、前述したように斜線で示されている。カムフォロア124がドラム122の回転に伴い矢印175の方向にカム部材123の周面をなぞると、カム部材123の周面の曲線に従ってフィン保持部121のドラム122に対する角度が、図示のように121a→121b→121cへと変化する。このようにカム部材123の半径を変化させることで、チューブ1に挿入したフィン2をかわすようにフィン保持部121を動作させることが可能である。
【0072】
前述した図3に示すように、ドラム122にはこの実施の形態1では8個のフィン保持部121を備えており、夫々のフィン保持部121が前述の図11により述べた動作を順次行ない、この工程は所定数のフィンがチューブ1に所定のフィンピッチで装着されるまで繰り返される。その結果、図1に示す熱交換器が製造される。
【0073】
前述のチューブ拘束部401の拘束ピン402は、フィン2をチューブ1に挿入している間、チューブ1をその両側部から拘束している。従って、フィン2を位置ずれや変形を起こすことなくチューブ1に挿入することができ、フィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。
【0074】
又、前述したように、チューブ拘束部401のベース板403は、第1のガイド405と第2のガイドを介して一対のガイドレール404の表面を摺動し、複数のチューブ1の
幅方向に自在に水平移動することができるので、ベース板403の水平方向の位置は、複数のチューブ1の幅方向の位置のずれに倣って修正され、常にチューブ1を確実に拘束して、フィン2の挿入時に於けるチューブ1の位置の変位を防止することができる。
【0075】
以上述べたように、この発明の実施の形態1による熱交換器の製造方法及び製造装置によれば、装着すべきフィンに対してチューブをその長さ方向に所定速度で間歇的に移動させ、チューブが停止している間にチューブの外周面に装着すべきフィンを所定の時間間隔で装着するようにしたので、チューブにフィンを一枚ずつ所定の位置に確実に挿入でき、スペーサー治具を用いず所望のピッチでフィン変形、ピッチ乱れのない熱交換器を製造できる。
【0076】
また、ステージ移動量を変化させることで、様々なフィンピッチに対応した熱交換器を容易に製造することができる。
【0077】
さらに、フィン保持部がフィンを挿入した後、動作方向を変えずにフィンをかわすことが可能であり、フィンを連続的にチューブに挿入できるため、熱交換器を迅速に製造可能な製造装置を簡易な構成で実現することができる。
【0078】
また、フィン保持部が、フィンを真空吸着によって把持し、真空経路中の仕切り板によってフィン挿入位置で真空吸着が止まりフィンを離すことができ、フィン挿入後にフィン保持部が装着されたフィンをかわすとき、吸着力で挿入後のフィン位置が動き、フィンピッチが乱れることを避けることができる。
【0079】
更に、フィンをチューブに挿入している間、チューブ拘束部の拘束ピンは、チューブをその両側部から拘束している。従って、フィンを位置ずれや変形を起こすことなくチューブに挿入することができ、フィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。それに加え、フィンとチューブ外表面の隙間を小さくできるので、フィンとチューブの固定方法に金属ロウ以外熱伝導率の低い物質が使用可能となる。
【0080】
実施の形態2.
前述の実施の形態1による熱交換器の製造装置では、チューブを載置したステージを移動させるようにしたが、この発明の実施の形態2では、ステージを固定とし、フィン保持部を支持するドラム側を移動させるようにしたものである。
【0081】
図12は、この発明の実施の形態2による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。図11に於いて一対の支持部1741は、モータ128、カップリング127、ドラム122、フィン保持部121、カム部材123、カムフォロア124等を支持しており、エアシリンダ1441を介して一対のリニアガイド1411に載置されている。この支持部1741は、図示していないモータにより、リニアガイド1411上を所定の速度で間歇的に移動する。
【0082】
一方、チューブ1を載置するテーブル140(図示せず)は、移動しないように固定されている。その他の構成は、実施の形態1と同様であり、図9に示すチューブ拘束部401を備えている。
【0083】
この発明の実施の形態2による熱交換器の製造装置によれば、チューブにフィンを一枚ずつ所定の位置に挿入できるため、スペーサー治具を用いず所望のピッチでフィン変形、ピッチ乱れのない熱交換器を製造でき、更に、フィンをチューブに挿入している間、チューブ拘束部の拘束ピンは、チューブをその両側部から拘束しているので、フィンを位置ずれや変形を起こすことなくチューブに挿入することができ、フィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る等、実施の形態1による熱交換器の製造方法および製造装置と同様の効果を奏することができる。
【0084】
実施の形態3.
図13は、この発明の実施の形態3による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。実施の形態3では、前述のカム部材123とカムフォロア124を用いる代わりに、サーボモータ171によりフィン保持部121を回動させるようにしたものである。その他の構成は前述の実施の形態1又は2と同様であり、図9に示すチューブ拘束部401を備えている。
【0085】
この発明による実施の形態3による熱交換器の製造装置によれば、フィン保持部121が後述するようにチューブ1に挿入したフィン2をかわす動きを行うタイミングを、サーボモータ171の制御により任意に調整することができ、且つ、サーボモータ171の動作によりフィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。
【0086】
更に、フィンをチューブに挿入している間、チューブ拘束部の拘束ピンは、チューブをその両側部から拘束している。従って、フィンを位置ずれや変形を起こすことなくチューブに挿入することができ、フィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。
【0087】
実施の形態4.
図14は、この発明の実施の形態4による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図である。図14に示すように、配管1551と配管1552との接続若しくは遮断を行う機構は、前述のように第1の仕切板及び第2に仕切板を用いるのではなく、配管1552の一部に電磁弁172を設置し、センサ173によりフィン保持部121がチューブ1への挿入位置に達したことを感知して、電磁弁172に電気信号を送ることで、配管1551と配管1552とからなる真空経路の開閉を行うようにしたものである。その他の構成は、実施の形態1乃至3の何れかと同様であり、図9に示すチューブ拘束部401を備えている。
【0088】
この発明の実施の形態4による熱交換器の製造装置によれば、フィン保持部121によるフィンの吸着開始と吸着解除のタイミングを容易に微調整することができるので、装置の調整を行いやすい効果がある。
【0089】
更に、フィンをチューブに挿入している間、チューブ拘束部の拘束ピンは、チューブをその両側部から拘束している。従って、フィンを位置ずれや変形を起こすことなくチューブに挿入することができ、フィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。
【0090】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5による熱交換器の製造装置は、フィンの保持を、真空吸着により行うのではなく、真空ポンプに代えてエア元栓を用い、フィン保持部に於ける吸着穴から空気を噴出させ、ベルヌーイ効果を発生させてフィンを把持するようにしたものである。その他の構成は、実施の形態1乃至3の何れかと同様であり、図9に示すチューブ拘束部401を備えている。
【0091】
この発明の実施の形態5による熱交換器の製造装置によれば、高価な真空ポンプを用いずにフィンの保持が可能である。更に、フィンをチューブに挿入している間、チューブ拘束部の拘束ピンは、チューブをその両側部から拘束している。従って、フィンを位置ずれや変形を起こすことなくチューブに挿入することができ、フィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。
【0092】
実施の形態6.
図15は、この発明の実施の形態6による熱交換器の製造装置の一部分を示す説明図であり、この発明の実施の形態6による熱交換器の製造方法及び製造装置の要部のみを示している。その他の構成は、実施の形態1乃至5の何れかと同様であり、図9に示すチューブ拘束部401を備えている。
【0093】
図15に於いて、チューブ保持用のステージ部の第2の支持部材1752の上面には、複数のチューブ1が、その長さ方向がリニアガイド(図4に於ける141参照)の延びる方向と一致するように載置される。また、これ等のチューブ1は、その断面の長径が垂直方向に一致するように載置される。第2の支持部材1752には、複数のチューブ1を載置する位置に対応して、貫通孔1700が形成されている。
【0094】
チューブ保持用のステージ部の第2の支持部材1752の裏面側には、フィン装着維持部200が配置されている。フィン装着維持部200の先端部には、第2の支持部材1752の貫通孔1700を貫通し得る複数のフィン押圧突起201が所定の間隔を介して配列されている。これ等のフィン押圧突起201は、フィン装着維持部200が後述するように、複数のチューブ1に跨って装着されたフィンを押圧して装着されたフィンがチューブ1の装着位置からずれるのを防止する。その他の構成は、前述の実施の形態1乃至6の何れかと同様である。
【0095】
図16は、この発明の実施の形態6による熱交換器の製造方法および製造装置を示す概念図である。図16に示すように、フィン2を把持しチューブ1へ挿入するためのフィン保持部121と、フィン保持部121を円軌道に沿って動かすドラム122とを備える。この実施の形態7では、ドラム122に6個のフィン保持部121が設けられている。尚、図示していないその他の構成は、前述の図15に於ける第2の支持部材1752、フィン装着維持部200以外については、図3乃至図5と同様である。
【0096】
フィン装着維持部200は、軸211により回動自在に支持されており、フィン押圧突起201と反対側の端部に、カムフォロア210が装着されている。このカムフォロア210は、フィン装着維持部駆動用カム300の周面を摺動するように構成されている。フィン装着維持部駆動用カム300は、図示していない駆動装置により、後述するように、フィン保持部121の回動と同期して回動される。
【0097】
図17は、この発明の実施の形態6による熱交換器の製造装置の動作を示す説明図であり、(a)はフィン2をチューブ1の外周面に装着する直前の状態、(b)はフィン2をチューブ1の外周面に装着したときの状態、(c)はフィン2をチューブ1の外周面に装着した直後の状態、(d)は(c)の状態から更に時間が経過したときの状態、を夫々示している。なお、図17は、説明の便宜上、6個のフィン保持部121のうちの1個のみを図示してその動作状態を示している。
【0098】
図17に於いて、フィン供給部(図示せず)から供給された1枚のフィン2は、そのフィン保持部121に供給され、前述したようにフィンのチューブ挿入溝がフィン保持部のU字溝に重ね合わされた状態で、フィン2がフィン保持部121に吸着されて保持される。ドラムの回転に伴って、6個のフィン保持部121は所定の時間間隔を於いて順次1枚ずつのフィン2が供給されてこれを保持し、ドラム122の回転に伴って、図17の時計方向の円運動により図16の(a)に示す位置に到達する。
【0099】
フィン2を保持したフィン保持部121が図17の(a)に示す位置に達すると、チューブ1の一部分が、フィン保持部12に保持されているフィン2のチューブ挿入溝、およびフィン保持部121のU字溝内に嵌合された状態となる。このとき、フィン保持部121のカムフォロア124は、カム部材123の平坦面1231に接触若しくは非接触の位置にあるが、ドラム122の周面に対して直立した状態にある。又、このとき、フィン装着維持部200は、チューブ1から外れた位置にある。
【0100】
次に、ドラム122の回転に伴ってフィン保持部121が図16の(b)の位置に達すると、フィン保持部12のカムフォロア124はカム部材123の隆起面に到達すると共に、フィン保持部12に保持されているフィン2はその幅方向がほぼ垂直方向と一致する状態となり、そのチューブ挿入溝内にチューブ1が完全に嵌合された状態となり、フィン2はチューブ1の外周面に装着される。
【0101】
このとき、同時にフィン装着維持部200のカムフォロア210は、フィン装着維持部駆動用カム300の隆起面に押し上げられていた位置から平坦面に戻り、その結果、フィン装着維持部200は軸211を中心として図17の反時計方向に回動し、フィン押圧突起201が、チューブ1に装着されたばかりのフィン2を、図の右方から押圧し、フィン2をチューブ1の外周面上の装着位置に維持する。
【0102】
図17の(b)の状態から更にドラム122が時計方向に回転すると、フィン保持部121は、そのカムフォロア124がカム部材123の隆起面に接触して押し上げられ、フィン保持部121は、その回動軸を中心として反時計方向に回動することにより、図17の(c)に示すようにチューブ1の外周面に装着されたフィン2から離反する。このとき、フィン装着維持部200は、チューブ1に装着されたフィン2を押圧したままである。
【0103】
更にドラム122が回転して、フィン保持部121が図17の(d)に示す位置に至ると、フィン保持部121は、更にチューブ1に装着されているフィン2から離反するようになり、その後、ドラム122の回転に伴ってドラム122の頂部に向かって移動することとなる。そして、再びドラム122の頂部に至ると、再びフィン供給部により新たなフィン2が供給されてこれを保持する。この時、フィン装着維持部200は、そのカムフォロア210がフィン装着維持部駆動用カム300の隆起面に押し上げられて、時計方向に回動し、装着されているフィン2及びチューブ1から離反する。
【0104】
以上述べたように、この発明の実施の形態6による熱交換器の製造方法及び製造装置によれば、フィン保持部121によりフィン2をチューブ1へ装着した後、フィン保持部121がチューブ1から回避する(図17の(c)に示す状態)ことによる、フィン2の位置ずれを抑制し、フィン2の変形およびフィンピッチの乱れを抑制し、通風抵抗を減少し、熱交換器の性能を向上し、フィン挿入位置の外観の体裁悪化を抑制した熱交換器を製造することができる。また、後工程に於いてフィンの位置ずれ修正作業がなくなり、生産タクトタイムを短縮することができる。
【0105】
更に、フィンをチューブに挿入している間、チューブ拘束部の拘束ピンは、チューブをその両側部から拘束している。従って、フィンを位置ずれや変形を起こすことなくチューブに挿入することができ、フィンピッチが揃った高性能な熱交換器を得ることが出来る。
【0106】
実施の形態7.
図18は、この発明の実施の形態7による熱交換器の製造方法および製造装置の一部分を示す概念図である。図18に於いて、チューブ拘束部401は、チューブのピッチを揃えるための拘束ブロック406を複数個備えている。隣接する拘束ブロック406は、チューブ1をその両側部から挟み込んで拘束し、複数のチューブをチューブの幅方向に等ピッチに揃える。隣接する拘束ブロック406との間の間隙4061は、チューブの幅よりわずかに広く設定されており、チューブ拘束部401の着脱と移動を行ない易くしている。
【0107】
尚、図示していないが、図9に示す実施の形態1の場合と同様に、ベース板403は、第1のガイド405と第2のガイドを介して一対のガイドレール404の表面を摺動し、複数のチューブの幅方向に自在に水平移動することができる。従って、ベース板403の水平方向の位置は、複数のチューブの幅方向の位置のずれに倣って修正される。
【0108】
図18のように構成されたチューブ拘束部401は、常にフィン挿入位置の後方近くで、且つフィン保持部121の動作を干渉せず、フィン保持部121を避け得る位置に設置される。即ち、図11に、斜線でチューブ拘束部401の設置範囲を示しているように、チューブ拘束部401は、常にフィン挿入位置の後方近くに存在し、後述するようにフィン保持部121が121a、121b、121cのように移動しても、そのフィン保持部121の動作に干渉せず、フィン保持部121を避け得る位置に設置される。その他の構成は、前述の実施の形態1乃至6の何れかと同様である。
【0109】
この発明の実施の形態7による熱交換器の製造方法および製造装置によれば、拘束ブロックによりチューブを拘束するようにしているので、拘束ブロックとチューブとの接触面積が増大し、チューブの表面に傷がつく等の損傷を防止することができるという格別の効果を奏することができる。
【0110】
実施の形態8.
図19は、この発明の実施の形態8による熱交換器の製造装置による熱交換器の製造方法および製造装置の一部分を示す概念図である。図19に於いて、チューブ拘束部401のベース板403は、所定の間隔で併設された複数の拘束溝407を備えている。拘束溝407には、夫々、チューブが挿入され、複数のチーブをチューブの幅方向に等ピッチに揃える。拘束溝407の幅は、チューブの幅よりわずかに広く設定されており、チューブ拘束部401の着脱と移動を行ない易くしている。
【0111】
尚、図示していないが、図9に示す実施の形態1の場合と同様に、ベース板403は、第1のガイド405と第2のガイドを介して一対のガイドレール404の表面を摺動し、複数のチューブ1の幅方向に自在に水平移動することができる。従って、ベース板403の水平方向の位置は、複数のチューブ1の幅方向の位置のずれに倣って修正される。
【0112】
図19のように構成されたチューブ拘束部401は、常にフィン挿入位置の後方近くで、且つフィン保持部121の動作を干渉せず、フィン保持部121を避け得る位置に設置される。即ち、図11に、斜線でチューブ拘束部401の設置範囲を示しているように、チューブ拘束部401は、常にフィン挿入位置の後方近くに存在し、後述するようにフィン保持部121が121a、121b、121cのように移動しても、そのフィン保持部121の動作に干渉せず、フィン保持部121を避け得る位置に設置される。その他の構成は、前述の実施の形態1乃至7の何れかと同様である。
【0113】
この発明の実施の形態8による熱交換器の製造方法および製造装置によれば、拘束溝によりチューブを拘束するようにしているので、拘束溝の壁面とチューブとの接触面積が増大し、チューブの表面に傷がつく等の損傷を防止することができるという格別の効果を奏することができる。
【0114】
実施の形態9.
図20は、この発明の実施の形態9による熱交換器の製造装置による熱交換器の製造方法および製造装置の一部分を示す概念図であり、特に、チューブ拘束部の主要な構成を示している。図20に於いて、チューブ拘束部401のベース板403は、ベース板403の中心Xの両側に、中心Xから両側部側に延びる矩形の凹部4031を夫々4個づつ備え
ている。中心Xの両側の4個の凹部4031は、夫々所定の間隔を介して並設されている。
【0115】
前述の8個の凹部4031は、中心Xに沿って形成された中央凹部(図示せず)により底面が平面状に連続するように連結されている。又、中央凹部は、ベース板403の図の左方の端部に於いて開放されている。中心Xの両側に延びる4個づつの凹部4031は、中心Xに対して線対称に形成されている。
【0116】
可動板408は、中央部に延びる中央板体4081と、この中央板体4081の両側部から直角方向に突出する4個づつの矩形の凸部4082を備えている。中央板体4081と8個の凸部4082とにより構成される可動板408の厚さは、ベース板403に於ける前述の中央凹部と8個の凹部4031の深さと同一寸法に形成されている。又、ベース板403に形成された前述の8個の凹部4081の幅Wは、可動板408に形成された前述の8この凸部4082の幅より寸法Tだけ大きく設定されている。
【0117】
可動板408の中央板体4081は、ベース板403に形成された中央凹部内に挿入され、可動板408の8個の凸部4082は、ベース板403の8個の凹部4031内に挿入される。そして可動板408の中央板体4081の先端部4083は、ベース板403の中央凹部の開放部分からベース板403の外部に突出している。
【0118】
前述したように、可動板408の8個の凸部4082の幅はベース板403の8個の凹部4031の幅Wより寸法Tだけ小さく設定されているので、可動板408は、中心Xの方向に寸法Tだけスライドすることができる。図20では、可動板408が図の右側に最大限にスライドされた状態を示している。
【0119】
ベース板403の凹部4031に隣接するランド部4032には、固定拘束ピン407が中心Xに対して線対称に4個づつ固定されて配列されている。又、可動板408の夫々の凸部4082には、可動拘束ピン4072が1個づつ固定されている。これらの固定拘束ピン4071と可動拘束ピン4072は、図20に示すように、中心Xの両側に、夫々、交互に4個づつ一列に配列されている。
【0120】
尚、図20には図示していないが、図9に示すように、ベース板403の裏面の一方の側部に間隔を介して固定された一対の第1のガイド405と、第1のガイド405と同様にベース板403の裏面の他方の側部に間隔を介して固定された一対の第2のガイド(図示されていない)と、ベース板403の裏面に対応して配置され、第1のガイド25と第2のガイドの内側側面に摺動可能に当接する一対のガイドレール404とを備えている。その他の構成は、実施の形態1乃至8のうちの何れかと同様である。
【0121】
以上のように構成されたチューブ拘束部401は、前述の図11に示すように、斜線で示される位置に設置される。この状態に於いて、チューブ1は、チューブ拘束部401の中心Xと直角方向に交差する状態で、中心Xの両側に夫々配列された固定拘束ピン4071と可動拘束ピン4072との間に挿入される。その結果チューブ1は、その両側部が固定拘束ピン4071と可動拘束ピン4072に接触して拘束される。この実施の形態9では、隣接する一対の固定拘束ピン4071と可動拘束ピン4072とが、中心Xの両側に夫々4対づつ設けられており、4本のチューブ1を並行して拘束することができる。
【0122】
前述したように、可動拘束ピン4072は、チューブ1の幅に対応して可動板408と共にスライドすることができる。例えば、可動板408の先端部4083をカム(図示せず)のカム面を摺動させるように構成すれば、カムを回転させることで可動板408を寸法Tの範囲でスライドさせることができ、固定拘束ピン4071と可動拘束ピン4072
との対抗間隔を任意に調整することができる。
【0123】
従って、熱交換器のチューブ1の幅の寸法が変更されたときは、カムの回転により可動板408をスライドさせることにより固定拘束ピン4071と可動拘束ピン4072との対抗間隔をそのチューブ1の幅に対応させることができる。このようにカムを用いて固定拘束ピン4071と可動拘束ピン4072との対抗間隔を調整し得る構成とした場合、固定拘束ピン4071と可動拘束ピン4072を拘束カムフォロアと称することもできる。
【0124】
複数個の可動拘束ピン4072は、可動板408に一体に固定されているので、同時に中心Xの延びる方向にスライドされ、夫々対応する固定拘束ピン4071との対向間隔を同一とすることができ、複数のチューブ1の幅とフィン2のチューブ挿入溝21の幅とを完全に適正に保つことができ、複数のチューブ1の配列ピッチとフィン2に於ける複数のチューブ挿入溝21の配列ピッチとを高精度に合致させ、両者の密着度を更に向上させることができる。
【0125】
尚、カムを用いる代わりに、例えば固定拘束ピン4071と可動拘束ピン4072との対抗間隔を機種に対応して記憶しておき、その記憶に基づいて可動板408を駆動装置によりスライドさせるようにしても良い。
【0126】
この発明の実施の形態9による熱交換器の製造方法および製造装置によれば、前述したように、高性能の熱交換器を高精度で製造することができる。
【符号の説明】
【0127】
100 熱交換器 1 チューブ
2 フィン 21 チューブ挿入溝
22、23 スリット 120 熱交換器の製造装置
121 フィン保持部 122 ドラム
123 カム部材 124 カムフォロア
174、1741 支持部 126 軸
127 カップリング 128、143 モータ
1241 連結板 129 フィン保持部の回動軸
125 ねじりバネ 156 ロータリージョイント
1551、1552 配管 164 第1の仕切板
162 第2の仕切板 1621、1643 貫通長穴
151 U字溝 154 吸着穴
1553、1554、1555 ジョイント
161 回転部 152 内部通路
157 真空ポンプ 140 ステージ部
141、1411 リニアガイド 163 固定部
1632 封止部材 142 ボールねじ
1611、1631、1633、1641 貫通穴 1421 ナット部材
1751 第1の支持部材 1752 第2の支持部材
144、1441 エアシリンダ 1232 隆起面
171 サーボモータ 172 電磁弁
173 センサ 200 フィン装着維持部
201 フィン押圧突起 1700 貫通孔
210 カムフォロア 300 フィン装着維持部駆動用カム
401 チューブ拘束部 402 拘束ピン
403 ベース板 404 ガイドレール
405 第1のガイド 406 拘束ブロック
4061 拘束ブロック間の間隙 407 拘束溝
408 可動板 4081 可動板の中央板体
4082 可動板の凸部 4083 可動板の先端部
4031 ベース板の凹部 4032 ベース板のランド部
4071 固定拘束ピン 4072 可動拘束ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体を流通させるチューブの外周面に複数枚のフィンを、前記チューブの長さ方向に所定間隔を介して装着するようにした熱交換器の製造方法であって、
前記チューブに装着すべきフィンと前記チューブを、前記チューブの長さ方向に相対的に移動させる移動工程と、
前記フィンを1枚毎に前記チューブに装着するフィン装着工程と、
少なくとも前記フィン装着工程の実行時に、前記チューブの幅方向位置を規制するように前記チューブを拘束するチューブ拘束工程と、
を備えたことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項2】
前記チューブは、前記チューブの幅方向に所定間隔を介して複数並置され、
前記フィンは、前記並置された複数のチューブに夫々対応する複数のチューブ挿入溝を備え、
前記フィン装着工程は、前記複数のチューブ挿入溝に夫々対応する前記複数のチューブを同時に挿入して、前記フィンを前記複数のチューブに跨って装着し、
前記チューブ拘束工程は、前記並置された複数のチューブを夫々拘束することにより、前記複数のチューブを前記所定間隔を保持して並置させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項3】
内部に流体を流通させるチューブと、チューブ挿入溝を前記チューブの外周面に嵌合させて前記チューブに装着されたフィンとを備えた熱交換器を製造する製造装置であって、
前記チューブに装着すべきフィンを保持し得るフィン保持部と、
前記フィンが装着されるべき前記チューブを保持し得るチューブ保持部と、
前記フィン保持部と前記チューブ保持部とを、前記保持したチューブの長さ方向に相対的に移動させる駆動部と、
前記チューブを拘束し、前記チューブの幅方向位置を規制する得るチューブ拘束部と、を備え、
前記フィン保持部は、前記フィンを保持してそのチューブ挿入溝を前記チューブに嵌合させることにより前記フィンを前記チューブの外周面に装着し、且つ、前記移動に対応して前記装着を順次行うことにより複数枚のフィンを前記チューブの外周面に所定間隔で装着し、
前記チューブ拘束部は、少なくとも前記フィンを前記チューブに装着するときに、前記チューブの幅方向位置を規制するように前記チューブを拘束する、
ことを特徴とする熱交換器の製造装置。
【請求項4】
前記チューブは、前記チューブの幅方向に所定間隔を介して複数並置され、
前記フィンは、前記並置された複数のチューブに夫々対応する複数のチューブ挿入溝を備え、
前記フィン保持部は、前記複数のチューブ挿入溝に夫々対応する前記複数のチューブを同時に挿入して前記フィンを前記複数のチューブに跨って装着し、
前記チューブ拘束部は、前記フィンを前記複数のチューブに跨って装着するときに、前記並置された複数のチューブを夫々拘束して前記所定間隔を保持して並置させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項5】
前記チューブ拘束部は、
ベース板と、
前記ベース板に固定され、前記チューブをその両側部で拘束して前記チューブの幅方向位置を規制する少なくとも一対の拘束ピンと、
を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項6】
前記チューブ拘束部は、
ベース板と、
前記ベース板に固定され、前記チューブをその両側部で拘束して前記チューブの幅方向位置を規制する少なくとも一対の拘束ブロックと、
を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項7】
前記チューブ拘束部は、
ベース板と、
前記ベース板に設けられ、前記チューブを挿入して前記チューブの幅方向位置を規制する拘束溝と、
を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項8】
前記チューブ拘束部は、
前記ベース板に固定された少なくとも一つの固定ピンと、
前記固定ピンに対向し、前記固定ピンに対する対向間隔が調整され得る少なくとも一つの可動ピンと、
を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項9】
前記フィン保持部は、複数個設けられている、
ことを特徴とする請求項3乃至8のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項10】
軸心の周りに回転可能に構成され、前記フィン保持部を回動可能に支持するドラムと、
カム部材と、
前記フィン保持部に連結され、前記ドラムの所定回転位置に於いて前記カム部材の所定部位に当接して前記フィン保持部を回動させるカムフォロアと、
を備え、
前記カムフォロアにより前記フィン保持部を回動させることにより、前記チューブに装着された前記フィンから前記フィン保持部を離反させるようにしたことを特徴とする請求項3乃至9のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項11】
軸心の周りに回転可能に構成され、前記フィン保持部を回動可能に支持するドラムと、
前記フィン保持部に連結され、前記ドラムの所定回転位置に於いて前記フィン保持部を回動させるサーボモータと、
を備え、
前記サーボモータにより前記フィン保持部を回動させることにより、前記チューブに装着された前記フィンから前記フィン保持部を離反させるようにしたことを特徴とする請求項3乃至9のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項12】
前記フィン保持部は、前記フィンを真空吸着により保持するように構成され、
前記真空吸着を行なう経路の途中に設けられ、前記経路を開閉し得る仕切板を備えた、ことを特徴とする請求項3乃至11のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項13】
前記フィン保持部は、前記フィンを真空吸着により保持するように構成され、
前記真空吸着を行なう経路の開閉を制御し得る電磁弁を備えた、
ことを特徴とする請求項3乃至11のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項14】
前記フィン保持部は、前記フィンをベルヌーイ効果によって保持することを特徴とする請求項3乃至11のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項15】
前記装着された前記フィンを、前記順次装着される毎に、その装着された前記チューブの外周面上の位置に維持するフィン装着維持部を備えた、
ことを特徴とする請求項3乃至14のうちの何れか一項に記載の熱交換器の製造装置。
【請求項16】
前記フィン装着維持部は、前記フィン保持部による前記フィンの装着に同期して、前記フィンが前記チューブの外周面に順次装着される毎に、前記装着されたフィンを、その装着された前記チューブの外周面上の位置に維持するように構成されている、
ことを特徴とする請求項15に記載の熱交換器の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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