説明

熱交換器一体型人工肺

【課題】血液の圧力損失を低減することができる熱交換器一体型人工肺を提供する。
【解決手段】熱交換器一体型人工肺は、熱交換器、筒状コア40、バンドル30および血液出口ポートを備える。筒状コア40は熱交換器が嵌挿される。筒状コア40は、拡散部48を有する。拡散部48は熱交換器の他端側に対向している。拡散部48は熱交換器の他端側から流出した血液の流れを筒径方向の外側に方向転換させる。バンドル30は中空糸膜から構成され、筒状コア40の外表面41を取り囲んでいる。バンドル30は、拡散部48の出口部47から流出した血液が流れる。血液出口ポートはバンドル30に連通し、バンドル30を流れた血液を排出する。筒状コア40の他端40b側における外表面41は、全周にわたってR面取り処理が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器一体型人工肺に関し、特に、血液を体外において循環させる際、血液中から二酸化炭素を除去し、血液中へ酸素を付加し、血液の温度を調整することができる熱交換器一体型人工肺に関する。
【背景技術】
【0002】
特表平11−508476号公報(特許文献1)には、全体に円筒形の熱交換器(多管式)と、熱交換器の下端に連通された血液入口マニホールドと、熱交換器の上端に連通された移行マニホールドと、熱交換器を同心に取り囲み移行マニホールドに連通された全体に円筒形の膜型酸素付加器と、膜型酸素付加器に連通された血液出口マニホールドとを備える人工肺が開示されている。特許文献1によれば、人工肺を構成している上記の各種機器を改良することにより、人工肺としての性能を向上させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平11−508476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、血液の圧力損失を低減することができる熱交換器一体型人工肺を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の局面に基づく熱交換器一体型人工肺は、熱交換器と、筒状コアと、バンドルと、血液出口ポートとを備えている。上記熱交換器は、一端側に血液入口ポートが配置される。上記筒状コアは、一端側から上記熱交換器が嵌挿される。上記筒状コアは、拡散部を他端側に有している。上記拡散部は、上記熱交換器の他端側に対向するように配設される。上記拡散部は、上記熱交換器の上記他端側から流出した血液の流れを筒径方向の外側に方向転換させる。
【0006】
上記バンドルは、中空糸膜から構成されている。上記バンドルは、上記筒状コアの外表面を取り囲んでいる。上記バンドルは、上記拡散部の出口部から流出した上記血液が流れる。上記血液出口ポートは、上記バンドルに連通している。上記血液出口ポートは、上記バンドルを流れた上記血液を排出する。上記筒状コアの上記他端側における上記外表面は、全周にわたってR面取り処理が施されている。
【0007】
本発明の第2の局面に基づく熱交換器一体型人工肺は、熱交換器と、筒状コアと、バンドルと、血液出口ポートとを備えている。上記熱交換器は、一端側に血液入口ポートが配置される。上記筒状コアは、一端側から上記熱交換器が嵌挿される。上記筒状コアは、拡散部を他端側に有している。上記拡散部は、上記熱交換器の他端側に対向するように配設される。上記拡散部は、上記熱交換器の上記他端側から流出した血液の流れを筒径方向の外側に方向転換させる。
【0008】
上記バンドルは、中空糸膜から構成されている。上記バンドルは、上記筒状コアの外表面を取り囲んでいる。上記バンドルは、上記拡散部の出口部から流出した上記血液が流れる。上記血液出口ポートは、上記バンドルに連通している。上記血液出口ポートは、上記バンドルを流れた上記血液を排出する。
【0009】
上記筒状コアの上記他端側における上記外表面には、複数のリブが設けられている。上記リブは、筒径方向外側に向かって突出している。上記リブは、上記筒状コアの上記他端側から上記筒状コアの上記一端に達しない長さで延在している。複数の上記リブにより上記筒状コアの上記外表面と上記バンドルとの間に形成された各隙間に、上記拡散部の上記出口部から流出した上記血液の一部が流れる。
【0010】
本発明の第3の局面に基づく熱交換器一体型人工肺は、上記第1または第2の局面に基づく熱交換器一体型人工肺において、上記熱交換器が、熱交換器ケースと、底部材と、複数の伝熱管と、熱交換媒体供給手段とを有している。上記底部材は、上記血液入口ポートを有している。上記底部材は、上記熱交換器ケースの一端に取り付けられる。上記伝熱管は、上記熱交換器ケースの内部に装填される。上記伝熱管は、上記底部材を通して一端から上記血液が流入される。上記熱交換媒体供給手段は、上記伝熱管の外表面に対して所定の熱交換媒体を供給する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、血液の圧力損失を低減することができる熱交換器一体型人工肺を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態における熱交換器一体型人工肺を構成する各種機器を示す斜視図である。
【図2】実施の形態における熱交換器一体型人工肺を示す斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線に関する矢視断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線に関する矢視断面図である。
【図5】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる底部材を示す斜視図である。
【図6】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる底部材を示す平面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に関する矢視断面図である。
【図8】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる底部材の第1変形例を示す斜視図である。
【図9】図8におけるIX−IX線に関する矢視断面図である。
【図10】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる底部材の第2変形例を示す断面図である。
【図11】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる底部材の第3変形例を示す斜視図である。
【図12】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる底部材の第4変形例を示す斜視図である。
【図13】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる底部材の第5変形例を示す斜視図である。
【図14】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる熱交換器ケースおよび管群を示す断面図である。
【図15】図14におけるXV−XV線に関する矢視断面図である。
【図16】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる熱交換器ケースの第1変形例と、実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる管群とを示す断面図である。
【図17】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる熱交換器ケースの第1変形例と、実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる管群の変形例とを示す断面図である。
【図18】図17におけるXVIII−XVIII線に関する矢視断面図である。
【図19】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる熱交換器ケースの第2変形例と、実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる管群の変形例とを示す断面図である。
【図20】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる筒状コアを示す断面図である。
【図21】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる筒状コアの一部(他端側)を示す拡大斜視図である。
【図22】実施の形態における熱交換器一体型人工肺に用いられる筒状コアの変形例の一部(他端側)を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に基づいた実施の形態における熱交換器一体型人工肺について、以下、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。以下に説明する実施の形態において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0014】
(熱交換器一体型人工肺1)
(全体構成)
図1を参照して、熱交換器一体型人工肺1の全体構成について説明する。熱交換器一体型人工肺1は、第1ヘッダ10、ハウジング20、バンドル30、筒状コア40、第2ヘッダ60、熱交換器ケース70、管群80、および底部材90を備えている。第2ヘッダ60においては、図中一部を破断して示しているが、実際には当該一部は連続している。
【0015】
熱交換器一体型人工肺1を構成する各種機器の詳細については以下に説明されるが、本発明における『ガス交換手段』は、第1ヘッダ10に設けられたガス入口ポート22と、バンドル30と、第2ヘッダ60に設けられたガス出口ポート24とを含んで構成されている。本発明における『熱交換媒体供給手段』は、熱交換器ケース70に設けられた熱交換媒体入口ポート74と、熱交換器ケース70に設けられた熱交換媒体出口ポート76とを含んで構成されている。
【0016】
第1ヘッダ10は、キャップ状に形成されている。第1ヘッダ10には、法線方向に延びるガス入口ポート22が設けられている。ガス入口ポート22は、第1ヘッダ10の内部に連通している。ガス入口ポート22は、ガス(たとえば酸素ガス)を供給されるための所定のチューブ(図示せず)に連結されている。
【0017】
ハウジング20は、筒状に形成されている。ハウジング20は、他端20b側から第1ヘッダ10に嵌挿される。
【0018】
ハウジング20の一端20a側の外表面21には、血液出口ポート28が設けられている。血液出口ポート28は、ハウジング20の内部に連通している。血液出口ポート28は、血液を患者に返すための所定のチューブ(図示せず)に連結されている。
【0019】
バンドル30は、次述する筒状コア40の外表面41に、マット状に形成された中空糸膜を巻き付けられることにより筒状に形成されている。バンドル30の他端30b側には、環状のシール部材32が設けられている。バンドル30の一端30a側には、環状の他のシール部材34が設けられている。ハウジング20に設けられたガス入口ポート22は、バンドル30における中空糸膜の各内部に連通している(詳細は後述する)。バンドル30は、筒状コア40に巻き付けられた状態で、他端30b側からハウジング20に嵌挿される。
【0020】
筒状コア40は、筒状に形成されている。筒状コア40の他端40b側には、拡散部48が設けられている。拡散部48は、管群80から流出した血液の流れを筒径方向の外側に方向転換させ、血液を筒径方向の外側に向かって拡散させる(詳細は、図4を参照して後述する)。拡散部48は、紙面上下方向に延びる複数の支持リブ46を介して、筒状コア40の本体部側と繋がっている。拡散部48は、筒状コア40と一体的に成形してもよいし、別部品として成形した後に筒状コア40に取り付けるようにしてもよい。拡散部48の下側の中央部には、筒状コア40の内部に向かって(紙面下方向)に突出する略円錐状の突出部48Tが設けられている(図20参照)。
【0021】
筒状コア40は、バンドル30とともに他端48b側からハウジング20に嵌挿される。筒状コア40の他端40b側と、支持リブ46と、拡散部48とにより囲まれる部分(図20における出口部47参照)は、筒状コア40の内部に連通している。当該部分(出口部47)は、筒状コア40とバンドル30とがハウジング20に嵌挿された状態で、バンドル30における中空糸膜の各外表面に連通している(図21参照)。筒状コア40および拡散部48のその他の詳細な構成については、図20および図21を参照して後述する。
【0022】
ハウジング20に、バンドル30と筒状コア40とが嵌挿された後、ハウジング20の一端20aは、キャップ状の第2ヘッダ60により塞がれる。第2ヘッダ60は中央に開口部60Hを有している。開口部60Hには、次述する熱交換器ケース70が嵌挿される。第2ヘッダ60の下面側には、ガス出口ポート24が設けられている。ガス出口ポート24は、第2ヘッダ60の内部に連通している。ガス出口ポート24は、ガスをハウジング20の内部から外部に排出するための所定のチューブ(図示せず)に連結されていてもよい。
【0023】
熱交換器ケース70の一端70a側の外表面71には、熱交換媒体入口ポート74と熱交換媒体出口ポート76とが取り付けられている。熱交換媒体入口ポート74と熱交換媒体出口ポート76とは、筒径方向反対側に位置している。熱交換媒体入口ポート74と熱交換媒体出口ポート76とは、熱交換器ケース70の内部に連通している。
【0024】
熱交換媒体入口ポート74は、所定の温度に設定された熱交換媒体(たとえば水)を熱交換器ケース70の内部に供給するための所定のチューブ(図示せず)に連結されている。熱交換媒体出口ポート76は、熱交換器ケース70の内部から熱交換媒体を外部に排出するための所定のチューブ(図示せず)に連結されている。熱交換器ケース70のその他の詳細な構成については、図14を参照して後述する。
【0025】
管群80は複数の微細な伝熱管8から構成される。複数の伝熱管8は、熱交換器ケース70の筒軸70cに沿って略円柱形状に束ねられる。複数の伝熱管8は、束ねられた状態で管群80として熱交換器ケース70の内部に装填される。管群80のその他の詳細な構成については、図14を参照して後述する。
【0026】
底部材90は、キャップ状に形成されている。熱交換器ケース70に管群80が装填された後、熱交換器ケース70の一端70aに底部材90が嵌め込まれる。
【0027】
底部材90の外周面(93d)には、法線方向に延びる血液入口ポート98が設けられている。底部材90は、熱交換器ケース70に嵌め込まれた状態で、伝熱管8の各内部と連通している。血液入口ポート98は、血液を患者から送られるための所定のチューブ(図示せず)に連結されている。底部材90のその他の詳細な構成については、図5〜図7を参照して後述する。
【0028】
図2を参照して、第1ヘッダ10、ハウジング20、バンドル30(図1参照)、筒状コア40(図1参照)、第2ヘッダ60、熱交換器ケース70、管群80(図1参照)、および底部材90を組み合わせることにより、熱交換器一体型人工肺1が構成されている。
【0029】
(熱交換器一体型人工肺1の機能)
図3および図4を参照して、熱交換器一体型人工肺1の機能について説明する。まず図3を参照して、熱交換器一体型人工肺1に供給される熱交換媒体の流れについて説明する。矢印AR10および矢印AR11に示すように、熱交換媒体入口ポート74から熱交換器ケース70の内部に所定の温度の熱交換媒体が供給される。矢印AR12〜矢印AR14に示すように、熱交換器ケース70の内部に到達した熱交換媒体は、筒軸と平行な方向(紙面上下方向)に広がり(詳細は図14を参照して後述する)、管群80における伝熱管8の外表面に接触する。
【0030】
熱交換媒体は、複数の伝熱管8の各外表面間に形成された隙間を通って、矢印AR15に示す方向に流れる。熱交換媒体は、伝熱管8の内部に流れる血液(詳細は次述する)と熱交換する。血液と熱交換した熱交換媒体は、矢印AR16に示すように、熱交換媒体出口ポート76に到達する。熱交換媒体は、矢印AR17に示すように、熱交換媒体出口ポート76から外部に排出される。
【0031】
次に図4を参照して、熱交換器一体型人工肺1に供給される血液の流れおよびガス(ここでは酸素ガスとする)の流れについて説明する。矢印AR30に示すように、血液入口ポート98から底部材90の内部に血液が供給される。矢印AR31に示すように、底部材90の内部を流れた血液は、管群80における伝熱管8の一端8aから、伝熱管8の内部に流入する。矢印AR32に示すように、血液は、紙面下方から紙面上方に向かって流れる。上述のとおり、伝熱管8の内部に流れる血液は、熱交換媒体と熱交換する。
【0032】
伝熱管8の他端8bに到達した血液は、拡散部48の突出部48Tに接触し、矢印AR33に示すように筒径方向外側に向かって方向転換する。方向転換した血液は、バンドル30における中空糸膜の外表面に接触する。血液は、各中空糸膜間に形成された隙間を通って、矢印AR34および矢印AR35に示す方向に流れる。
【0033】
一方で、矢印AR20および矢印AR21に示すように、ガス入口ポート22から、第1ヘッダ10とバンドル30の他端30bとの間の空間に酸素ガスが供給される。その後、酸素ガスは、矢印AR22および矢印AR23に示すように、バンドル30における中空糸膜の内部を通って紙面上方から紙面下方に向かって流れる。
【0034】
中空糸膜の外表面上を矢印AR34および矢印AR35に示す方向に流れる血液と、中空糸膜の内部を矢印AR22および矢印AR23に示す方向に流れる酸素ガスとの間には、酸素の分圧差と二酸化炭素の分圧差とが生じている。当該分圧差により、中空糸膜を挟んでガス交換が行なわれる。血液中においては、二酸化炭素の量は減少し、酸素の量が増加する。酸素ガス中においては、二酸化炭素の量が増加し、酸素の量が減少する。
【0035】
矢印AR36に示すように、血液は血液出口ポート28から外部へ排出される。矢印AR24に示すように、酸素ガスはガス出口ポート24から外部へ排出される。
【0036】
以上説明したように、熱交換器一体型人工肺1によれば、血液を体外において循環させる際、血液中から二酸化炭素を除去し、血液中へ酸素を付加し、血液の温度を調整することが可能となる。二酸化炭素と酸素とのガス交換を例に説明したが、熱交換器一体型人工肺1によれば、血液中の他の成分と、他のガスとのガス交換を行なうことも可能である。
【0037】
(底部材90)
図5〜図7を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いられる底部材90について詳細に説明する。主として図5を参照して、底部材90は、環状壁93と、底面96と、血液入口ポート98と、突起95とを有している。
【0038】
環状壁93は、外壁92と内壁94とから構成されている。外壁92と内壁94との間に、熱交換器ケース70(図3参照)の一端70aが液密状に嵌め込まれる。底面96は、伝熱管8の一端8aに対向する(図3参照)。図7を参照して、底面96は、外壁92の(紙面下方側の)端部92aおよび内壁94の(紙面下方側の)端部94aを液密状に塞ぐように配置されている。
【0039】
図5を再び参照して、血液入口ポート98は、管状に形成されている。血液入口ポート98は、環状壁93における外壁92の外周面93dから、法線方向91に沿って延在している。血液入口ポート98は、血液入口ポート98の管軸と、底面96とが平行になるように延在している。
【0040】
底部材90が熱交換器ケース70(図3参照)に嵌め込まれることにより、底部材90の内部に液密状の空間Sが形成される。血液入口ポート98の内部98cは、外壁92に設けられた開口部92Hと、内壁94に設けられた開口部94H(図6,図7参照)とを通じて、空間Sに連通している。
【0041】
突起95は、環状壁93における内壁94の内周面93cに設けられている。突起95は、法線方向91上において、血液入口ポート98と対向している。突起95の先端部95aは、底面96から起立している。突起95の側面は、内周面93cと連続している。突起95の側面は、内周面93cから突起95の先端部95aに向かうにつれ、血液入口ポート98に向かってなだらかな円弧を描くように形成されている。
【0042】
(作用・効果)
図6を参照して、血液入口ポート98の一端98a側から血液が供給される。血液は、内部98cの中を流れた後、空間Sに到達する。血液は、突起95に接触した後、突起95により緩やかに方向転換させられる。血液は、矢印AR99aおよび矢印AR99bに示すように、2つの流れに分けられる。血液は、空間Sの内部を、内周面93cに沿って血液入口ポート98側に向かって流れる。空間Sの内部が血液により満たされた後、血液は、管群80における伝熱管8の一端8aから、伝熱管8の内部に流入する。
【0043】
ここで仮に、底部材90が突起95を有していないとすると、血液入口ポート98から供給された血液は、空間Sに到達した後、対向する内周面93cに接触する。当該接触の後、血液は内周面93cに沿って急激に方向転換させられる。当該接触および急激な方向転換により、血液に圧力損失が生じる(縮拡流現象)。当該接触および急激な方向転換により、一部の血液中の細胞および血小板が破壊される場合もある。
【0044】
底部材90によれば、血液は突起95により緩やかに方向転換させられる。血液に圧力損失が生じることを抑制でき、血液中の細胞および血小板が破壊されることも抑制できる。結果として、底部材90を用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0045】
(底部材90A)
図8および図9を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いることができる底部材90A(底部材90の第1変形例)について説明する。ここでは、上述の底部材90との相違点についてのみ説明する。
【0046】
底部材90Aにおいては、底面96に、底上部96aと、底上部96bと、溝部96cとが設けられている。底上部96aおよび底上部96bは、好ましくは、略同一平面上に配設される。底上部96aおよび底上部96bは、(法線方向91と直交する方向に)溝部96cに向かうにつれ、徐々に傾斜するように断面略V字形状に形成されていてもよい。
【0047】
底上部96aおよび底上部96bは、法線方向91に直交する方向に所定の間隔を空けて配置されている。底上部96aおよび底上部96bは、外壁92と内壁94との間に熱交換器ケース70(図3参照)の一端70aが嵌め込まれることにより、伝熱管8の一端8aに対向する。
【0048】
溝部96cは、底上部96aおよび底上部96bの法線方向91寄りの各端部から、熱交換器ケース70が嵌め込まれる側とは反対側に向かって(紙面下方に向かって)断面略U字形状に形成されている。溝部96cは、法線方向91に沿って、血液入口ポート98側の外壁92から、突起95側の内壁94まで延在している。血液入口ポート98の内部98cは、溝部96cに連通している。
【0049】
底部材90Aによれば、上述の底部材90により得られる効果に加え、次の効果を得ることができる。血液入口ポート98の一端98a側から底部材90Aに供給された血液は、空間Sに到達し、溝部96cを流れる。血液は、突起95に接触した後、2つの流れに分けられる。血液は、突起95により緩やかに方向転換させられる。血液は、底上部96aおよび底上部96bの各表面上を、内周面93cに沿って血液入口ポート98側に向かって流れる。溝部96cを流れる血液の向きと、底上部96aおよび底上部96bの各表面上を流れる血液の向きとは反対方向である。
【0050】
ここで仮に、底面96に、底上部96aと、底上部96bと、溝部96cとが設けられていないとすると、血液入口ポート98から供給された血液と、突起95により方向転換させられる血液とは、空間Sの内部において相互に接触する(ぶつかり合う)。当該接触により、血液に乱流が生じる。当該接触により、圧力損失が生じる場合もある。
【0051】
底部材90Aによれば、溝部96cを流れる血液と、底上部96aおよび底上部96bの各表面上を流れる血液とは、高さ方向にずれた場所を流れるため、相互に接触する機会が少なくなっている。底部材90Aによれば、血液に乱流が生じることおよび血液に圧力損失が生じることを抑制できる。
【0052】
加えて、底面96に、底上部96aと、底上部96bと、溝部96cとが設けられていることにより、底部材90Aにおける空間Sの容積は、上述の底部材90における空間Sの容積よりも小さくすることが可能となる。底部材90Aの溝部96cの最も突出した部分(紙面下方側の部分)における高さ方向(図9紙面上下方向)の位置が、底部材90における底面96の高さ方向の位置と同一とする。
【0053】
この場合、底部材90Aにおける空間Sの容積は、上述の底部材90における空間Sの容積よりも小さくなる。空間Sを満たすために必要な血液の量は、底部材90よりも底部材90Aの方が小さくなる。底部材90Aによれば、血液のプライミングボリュームが小さくなる。したがって、プライミング液が少なくなり、血液の希釈を少なくすることが可能となる。
【0054】
血液のプライミングボリュームが小さくなることにより、患者への負担を軽減することも可能となる。結果として、底部材90Aを用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0055】
なお、底部材90Aは、上述の底部材90における突起95を有していなくてもよい。底部材90Aは、底上部96aと、底上部96bと、溝部96cとを上述のように有していることにより、血液のプライミングボリュームを小さくできる等の効果を得ることが可能となる。
【0056】
(底部材90B)
図10は、図8におけるX−X線に関する矢視断面図に相当している。図10を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いることができる底部材90B(底部材90の第2変形例)について説明する。ここでは、上述の底部材90Aとの相違点についてのみ説明する。
【0057】
底部材90Bにおいては、底上部96aおよび底上部96bが傾斜している。具体的には、血液入口ポート98が設けられている側において、底上部96aおよび底上部96bと、伝熱管8の一端8aとの間には、距離H2が規定されている。一方、血液入口ポート98が設けられている側の反対側において、底上部96aおよび底上部96bと、伝熱管8の一端8aとの間には、距離H1が規定されている。底上部96aおよび底上部96bは、距離H2が距離H1よりも小さくなるように傾斜している。
【0058】
底部材90Bによれば、上述の底部材90および上述の底部材90Aにより得られる効果に加え、次の効果を得ることができる。血液入口ポート98の一端98a側から底部材90Bに供給された血液は、空間Sに到達する。血液は、矢印AR90に示すように、突起95により紙面上方(および紙面鉛直方向)に向かって緩やかに方向転換させられる。血液は、矢印AR91〜矢印AR94に示すように、底上部96aおよび底上部96bの各表面上を流れる。ここで、伝熱管8の熱効率を向上させるという観点からは、血液は、矢印AR91〜矢印AR94に示す方向に均等な流量で流れることが望ましい。
【0059】
ここで仮に、底上部96aおよび底上部96bが傾斜していないとすると、血液は矢印AR91側に多く流れてしまう。血液が方向転換した後において、血液が矢印AR91側に到達するまでの距離は、血液が矢印AR94側に到達するまでの距離に比べて短い。矢印AR91側における血液の圧力が、矢印AR94側における血液の圧力よりも高くなるからである。
【0060】
底部材90Bによれば、空間Sは矢印AR91側の方が広く、矢印AR94側の方が狭くなるように、底上部96aおよび底上部96bが傾斜している。この傾斜により、矢印AR94側に行くほど、血液の流れに上向き(紙面上方向)の成分が生じるようになる。このため、矢印AR91側に血液が多く流れることを抑制することが可能となる。底部材90Bによれば、複数の伝熱管8に対してより均等に近い配分で血液を流入させることが可能となる。結果として、底部材90Bを用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0061】
なお、底部材90Bは、上述の底部材90における突起95を有していなくてもよい。底部材90Bは、底上部96aと、底上部96bと、溝部96cとを上述のように有していることにより、血液のプライミングボリュームを小さくできる等の効果を得ることが可能となる。
【0062】
(底部材90C)
図11を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いることができる底部材90C(底部材90の第3変形例)について説明する。ここでは、上述の底部材90との相違点についてのみ説明する。
【0063】
底部材90Cは、環状壁93と、底面96と、血液入口ポート98と、リブ96Lと、リブ96Rとを有している。底部材90Cは、上述の底部材90における突起95(図5参照)を有していない。
【0064】
リブ96Lおよびリブ96Rは、底面96の表面上に設けられている。リブ96Lおよびリブ96Rは、環状壁93に沿うように湾曲する円弧状に形成されている。リブ96Lおよびリブ96Rは、底面96の表面上において、血液入口ポート98の内部98cを法線方向91に投影することにより得られる投影領域96Tを含まない位置に起立している。
【0065】
底部材90Cによれば、次の効果を得ることができる。血液入口ポート98の一端98a側から底部材90Cに供給された血液は、空間Sに到達した後、リブ96Lおよびリブ96Rに接触することなく、対向する内周面93cに接触する。血液は、方向転換させられた後、矢印AR96L1,AR96R1に示すように内周面93cに沿って流れる血液と、矢印AR96L2,AR96R2に示すようにリブ96Lおよびリブ96Rの内側に沿って流れる血液とに分けられる。血液は、空間Sの内部を血液入口ポート98側に向かって流れる。空間Sの内部が血液により満たされた後、血液は、管群80における伝熱管8の一端8aから、伝熱管8の内部に流入する。
【0066】
ここで仮に、底部材90Cがリブ96Lおよびリブ96Rを有していないとすると、血液入口ポート98から供給された血液のほとんどは、対向する内周面93cに沿って、底面96の外周側を流れる。空間Sを流れる血液の量は、底面96の外周側が多く、底面96の内周側が少なくなる。空間Sの内部においては、外周側の血液の圧力が、内周側の血液の圧力に比べて高くなる。血液は、外周側に配置される伝熱管8に多く流入し、内周側に配置される伝熱管8に少なく流入する。伝熱管8に流入する血液の量に偏りが生じ、伝熱管8による熱交換の効率が低下する。
【0067】
底部材90Cによれば、リブ96Lおよびリブ96Rが設けられていることにより、血液は、内周面93cに沿って流れる血液と、リブ96Lおよびリブ96Rの内側に沿って流れる血液とに分配される。伝熱管8に流入する血液の量に偏りが生じることを抑制でき、伝熱管8による熱交換の効率が低下することを抑制できる。結果として、底部材90Cを用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0068】
なお、底部材90Cは、上述の底部材90における突起95を有していなくてもよい。底部材90Cは、リブ96Lおよびリブ96Rを上述のように有していることにより、伝熱管8に流入する血液の量に偏りが生じることを抑制できる等の効果を得ることが可能となる。
【0069】
(底部材90D)
図12を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いることができる底部材90D(底部材90の第4変形例)について説明する。ここでは、底部材90Cとの相違点についてのみ説明する。底部材90Dにおいては、底面96に、上述の底部材90Aと同様に、底上部96aと、底上部96bと、溝部96cとが設けられている。底上部96aの表面に、リブ96Lが配設されている。底上部96bの表面に、リブ96Rが配設されている。
【0070】
底部材90Dによれば、上述の底部材90Cにより得られる効果に加え、次の効果を得ることができる。底部材90Dによれば、溝部96cを流れる血液と、底上部96aおよび底上部96bの各表面上を流れる血液とは、高さ方向にずれた場所を流れるため、相互に接触する機会が少なくなっている。血液に乱流および圧力損失が生じることを抑制できる。加えて、底面96に、底上部96aと、底上部96bと、溝部96cとが設けられていることにより、血液のプライミングボリュームを小さくすることが可能となる。結果として、底部材90Dを用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0071】
(底部材90E)
図13を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いることができる底部材90E(底部材90の第5変形例)について説明する。底部材90Eは、上述の底部材90Bの構成に加え、さらに底部材90Cと同様なリブ96Lおよびリブ96Rを有している。
【0072】
具体的には、底部材90Eにおいては、底面96に、底上部96aと、底上部96bと、溝部96cとが設けられている。底上部96aおよび底上部96bは、上述の底部材90Bと同様に傾斜している。底上部96aの表面に、リブ96Lが配設されている。底上部96bの表面に、リブ96Rが配設されている。
【0073】
底部材90Eによれば、上述の底部材90Bと同様な効果に加え、さらに底部材90Cと同様な効果を得ることが可能となる。結果として、底部材90Eを用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0074】
(熱交換器ケース70・管群80)
図14および図15を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いられる熱交換器ケース70および管群80について説明する。まず図14を参照して、上述のとおり、熱交換器ケース70の内部には管群80として複数の伝熱管8が装填される。熱交換器ケース70の一端70a側の外表面71に、熱交換媒体入口ポート74と熱交換媒体出口ポート76とが取り付けられている。
【0075】
熱交換媒体入口ポート74は、直管状の形状を有している。熱交換媒体入口ポート74は、管軸74cの延長線が、熱交換器ケース70の筒軸70cに交差するように取り付けられている。熱交換媒体入口ポート74は、管軸74cの延長線が、伝熱管8の他端8b側に向かうように取り付けられている。熱交換媒体入口ポート74は、伝熱管8の外表面に向かって所定の熱交換媒体を供給する。
【0076】
熱交換媒体入口ポート74と熱交換媒体出口ポート76とは、熱交換器ケース70の筒径方向反対側に位置している。熱交換媒体出口ポート76は、伝熱管8の外表面に向かって供給された熱交換媒体を、熱交換器ケース70の外部に排出する。
【0077】
熱交換媒体出口ポート76は、熱交換媒体入口ポート74と同様に直管状の形状を有していてもよい。熱交換媒体出口ポート76は、管軸76cの延長線が、熱交換器ケース70の筒軸70cに交差するように取り付けられていてもよい。熱交換媒体出口ポート76は、管軸76cの延長線が、伝熱管8の他端8b側に向かうように取り付けられていてもよい。
【0078】
複数の伝熱管8は、熱交換器ケース70の筒軸方向に沿って略円柱形状に束ねられた状態で、熱交換器ケース70の内部に管群80として装填される。底部材90を通して、伝熱管8の一端8aから伝熱管8の内部に血液が流入する。
【0079】
複数の伝熱管8は、束ねられた状態において、円周部81と第1弦状部82とを有している。円周部81は、束ねられた状態における複数の伝熱管8のうち、熱交換器ケース70の内部に複数の伝熱管8(管群80)が装填されたとき、熱交換器ケース70の内表面72に対してわずかな距離を隔てて配置される部分である。ここで言うわずかな距離とは、たとえば約0.1mm〜約2.0mmを意味する。ここで言う約0.1mm〜約2.0mmとは、伝熱管8の配列によって差が生じるが、最も大きな間隔でたとえば約2.0mmという意味である。第1弦状部82は、束ねられた状態における複数の伝熱管8のうち、円周部81の描く円弧よりも筒径方向中心側に距離H72Lだけ後退している部分である。距離H72Lは、たとえば約4.0mm〜約5.0mmである。
【0080】
第1弦状部82は、伝熱管8の一端8a側から伝熱管8の他端8b側に向かって延在している。図15を参照して、第1弦状部82は、所定の幅W72Lを有している。幅W72Lは、熱交換媒体入口ポート74の管径W74より大きく設定されているとよい。
【0081】
束ねられた状態の複数の伝熱管8は、第1弦状部82と、熱交換媒体入口ポート74が取り付けられた側の熱交換器ケース70の内表面72(72L)とが対向するように、熱交換器ケース70の内部に装填される。図14を参照して、第1弦状部82の両端は、シール部材7aおよびシール部材7bにより塞がれている。
【0082】
(作用・効果)
図14を参照して、上述のとおり、熱交換媒体入口ポート74から熱交換器ケース70に所定の温度の熱交換媒体(たとえば水)が供給される。矢印AR71に示すように、熱交換媒体入口ポート74の内部を流れた熱交換媒体は、熱交換器ケース70の内部に到達する。矢印AR71〜矢印AR73に示すように、熱交換媒体は、第1弦状部82と、熱交換媒体入口ポート74が取り付けられた側の熱交換器ケース70の内表面72(72L)との間を通って筒軸方向(紙面上下方向)に広がる(分配される)。熱交換媒体は、管群80における伝熱管8の外表面の全体にわたって接触する。
【0083】
仮に、束ねられた状態の複数の伝熱管8が、第1弦状部82を有していないとすると、伝熱管8と、熱交換媒体入口ポート74が取り付けられた側の熱交換器ケース70の内表面72(72L)とは密着する。熱交換媒体入口ポート74から供給された熱交換媒体のほとんどは、筒軸方向に広がることなく伝熱管8の一端8a側にのみ接触する。熱交換媒体のほとんどは、伝熱管8の一端8a側の外表面のみを流れた後、熱交換媒体出口ポート76から熱交換器ケース70の外部へと排出される。熱交換媒体と、管群80における伝熱管8の外表面との接触面積が減少し、熱交換の効率が低下する。
【0084】
束ねられた状態の複数の伝熱管8が第1弦状部82を有していることにより、第1弦状部82において、熱交換媒体は、管群80における伝熱管8の外表面の全体にわたって接触することができる。熱交換媒体と、管群80における伝熱管8の外表面との接触面積が大きくなるため、熱交換の効率を向上させることができる。結果として、上記のような熱交換器ケース70および管群80を用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0085】
熱交換媒体を、管群80における伝熱管8の外表面のより全体にわたって接触可能にするために、第1弦状部82における上記所定の距離H72Lを最適化するとよい。距離H72Lは、熱交換器ケース70の大きさ、血液の流量、または熱交換媒体入口ポート74の管径W74の大きさなどに応じて最適化される。
【0086】
(熱交換器ケース70A・管群80)
図16を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いることができる熱交換器ケース70A(熱交換器ケース70の第1変形例)、および管群80について説明する。ここでは、熱交換器ケース70との相違点についてのみ説明する。管群80については、上述と同様であるためその説明を繰り返さないものとする。
【0087】
熱交換器ケース70Aにおいては、熱交換媒体入口ポート74が取り付けられた側の熱交換器ケース70Aの内表面72Lが、筒径方向中心側に向かって徐々に突出する略テーパー状に形成されている。略テーパー状に形成された内表面72Lは、熱交換器ケース70の一端70a側から熱交換器ケース70の他端70b側に向かうにつれ、内表面72Lと第1弦状部82との間の距離H72Lが、徐々に短くなっている。換言すると、内表面72Lと第1弦状部82との間の距離H72Lは、熱交換器ケース70の一端70a側の方が広く、熱交換器ケース70の他端70b側の方が狭い。
【0088】
熱交換器ケース70Aおよび管群80によれば、上述の熱交換器ケース70により得られる効果に加え、次の効果を得ることができる。熱交換媒体入口ポート74から供給された熱交換媒体は、矢印AR71a〜矢印AR73aに示すように、第1弦状部82と、熱交換媒体入口ポート74が取り付けられた側の熱交換器ケース70の内表面72(72L)との間を通って筒軸方向(紙面上下方向)に広がる(分配される)。
【0089】
熱交換媒体入口ポート74が取り付けられた側の熱交換器ケース70の内表面72(72L)と第1弦状部82との間の筒径方向の距離H72Lは、矢印AR71a側に比べ、矢印AR73a側の方が小さくなるように、内表面72Lはテーパ状に傾斜して形成される。この傾斜により、熱交換媒体の流れには、矢印AR73側に行くほど伝熱管8に対して略直交する方向(紙面左右方向)の成分が生じるようになる。
【0090】
したがって、矢印AR73a側に流れる熱交換媒体は、矢印AR73bに示すように、伝熱管8に対して略直交する方向(紙面左右方向)に伝熱管8の外表面を流れる。同様に、矢印AR71aおよび矢印AR72a側に流れる熱交換媒体も、矢印AR71bおよび矢印AR72bに示すように、伝熱管8に対して略直交する方向に伝熱管8の外表面を流れる。伝熱管8の全体に対して、熱交換媒体が略直交するように流れるため、高い熱交換効率を得ることが可能となる。
【0091】
伝熱管8の全体に対して熱交換媒体がより直交に近い方向に流れ、伝熱管8の全体に対して熱交換媒体がより均一に流れるようにするために、熱交換器ケース70Aの大きさ、血液の流量、または熱交換媒体入口ポート74の管径W74の大きさなどに応じて、熱交換器ケース70Aの内表面72Lのテーパー形状、および管群80における第1弦状部82の幅W72Lなどを最適化するとよい。
【0092】
一般的に、伝熱管を熱交換器として利用する場合、熱交換の効率の観点から、伝熱管の内部における被熱交換媒体(血液など)の流れる方向と、伝熱管の外表面における熱交換媒体の流れる方向とは、逆向き(向流)であるか、若しくは直交している(直交流)ことが望ましい。
【0093】
一般的な熱交換器ケースは、使用者の利便性から、熱交換器ケース70Aと同様に、熱交換器ケースの一端側に熱交換媒体入口ポート(74)および熱交換媒体出口ポート(76)が取り付けられる。このような一般的な熱交換器ケースにおいて上記の向流を得るためには、熱交換器ケースに供給された熱交換媒体を、熱交換器ケースの他端側(熱交換器ケース70Aにおける他端70b側)にまで案内するための所定の別部品が必要になる。当該別部品は、熱交換器ケースの内部または外表面に設けられる。別部品を設けることにより、熱交換器ケースの体積増大や、製造コストの上昇を招く。
【0094】
熱交換器ケース70Aおよび管群80によれば、内表面72Lが略テーパー状に形成されていることにより、別部品を設けることなく容易に直交流を得ることができる。熱交換器ケース70Aおよび管群80によれば、上記の向流と同等若しくはそれ以上の高い熱交換効率を容易に得ることが可能となる。結果として、熱交換器ケース70Aおよび管群80を用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0095】
(熱交換器ケース70A・管群80A)
図17および図18を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いることができる熱交換器ケース70A、および管群80A(管群80の変形例)について説明する。熱交換器ケース70Aについては、上述と同様であるためその説明を繰り返さないものとする。ここでは、管群80との相違点についてのみ説明する。
【0096】
主として図17を参照して、管群80Aにおいては、複数の伝熱管8が第2弦状部83をさらに有している。第2弦状部83は、束ねられた状態における複数の伝熱管8のうち、円周部81の描く円弧よりも筒径方向中心側に距離H72Rだけ後退している部分である。第2弦状部83は、第1弦状部82の筒径方向反対側に位置している。
【0097】
第2弦状部83は、伝熱管8の一端8a側から伝熱管8の他端8b側に向かって延在している。図18を参照して、第2弦状部83は、所定の幅W72Rを有している。幅W72Rは、熱交換媒体出口ポート76の管径W76より大きく設定されているとよい。
【0098】
束ねられた状態の複数の伝熱管8は、上述のとおり、第1弦状部82と、熱交換媒体入口ポート74が取り付けられた側の熱交換器ケース70の内表面72(72L)とが対向するように、熱交換器ケース70の内部に装填される。これにより、第2弦状部83と、熱交換媒体出口ポート76が取り付けられた側の熱交換器ケース70の内表面72(72R)とが対向している。図17を参照して、第2弦状部83の両端は、シール部材7cおよびシール部材7dにより塞がれている。
【0099】
熱交換器ケース70Aおよび管群80Aによれば、上述の熱交換器ケース70Aおよび管群80により得られる効果に加え、次の効果を得ることができる。熱交換媒体入口ポート74から熱交換器ケース70Aに供給された熱交換媒体は、第1弦状部82と、熱交換媒体入口ポート74が取り付けられた側の熱交換器ケース70の内表面72(72L)との間を通って筒軸方向(紙面上下方向)に広がる(分配される)。熱交換媒体は、管群80における伝熱管8の外表面の全体にわたって接触する。
【0100】
熱交換媒体は、伝熱管8の外表面を流れた後、矢印AR71c〜矢印AR73cに示すように、第2弦状部83と、熱交換媒体出口ポート76が取り付けられた側の熱交換器ケース70の内表面72(72R)との間に流れ込む。
【0101】
束ねられた状態の複数の伝熱管8が第2弦状部83を有していることにより、伝熱管8の外表面を矢印AR71b〜矢印AR73bに示す方向に流れる熱交換媒体は、伝熱管8に対して(熱交換器ケース70Aおよび管群80に比べて)より直交に近い方向に伝熱管8の外表面を流れることができる。
【0102】
熱交換器ケース70Aおよび管群80Aによれば、より高い熱交換効率を得ることが可能となる。結果として、熱交換器ケース70Aおよび管群80Aを用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。上記においては、熱交換器ケース70Aと管群80Aとを組み合わせる態様について説明したが、上述の熱交換器ケース70と管群80Aとを組み合わせてもよい。具体的には、内表面72Lが筒径方向中心側に向かって徐々に突出する略テーパー状に形成されていない熱交換器ケース70と、第1弦状部82および第2弦状部83を有する管群80Aとを組み合わせてもよい。
【0103】
(熱交換器ケース70B・管群80A)
図19を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いることができる熱交換器ケース70B(熱交換器ケース70の第2変形例)、および管群80Aについて説明する。ここでは、熱交換器ケース70Aとの相違点についてのみ説明する。管群80Aについては、上述と同様であるためその説明を繰り返さないものとする。
【0104】
熱交換器ケース70Bにおいては、熱交換媒体出口ポート76が取り付けられた側の熱交換器ケース70Bの内表面72Rが、筒径方向中心側に向かって徐々に突出する略テーパー状に形成されている。略テーパー状に形成された内表面72Rは、熱交換器ケース70の一端70a側から熱交換器ケース70の他端70b側に向かうにつれ、内表面72Rと第2弦状部83との間の距離H72Rが、徐々に短くなっている。換言すると、内表面72Rと第2弦状部83との間の距離H72Rは、熱交換器ケース70の一端70a側の方が広く、熱交換器ケース70の他端70b側の方が狭い。
【0105】
熱交換器ケース70Bおよび管群80Aによれば、上述の熱交換器ケース70Aおよび管群80Aにより得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0106】
伝熱管8の全体に対して熱交換媒体がより直交に近い方向に流れ、伝熱管8の全体に対して熱交換媒体がより均一に流れるようにするために、熱交換器ケース70Bの大きさ、血液の流量、または熱交換媒体出口ポート76の管径W76の大きさなどに応じて、熱交換器ケース70Bの内表面72Rのテーパー形状、および管群80Aにおける第2弦状部83の幅W72Rなどを最適化するとよい。
【0107】
熱交換器ケース70Bおよび管群80Aは、熱交換器ケース70の筒軸70cを挟んで左右対称に構成されていてもよい。当該構成により、チューブの接続時等に、入口および出口の区別をする必要が無いため、使用者の利便性を向上させることができる。
【0108】
(筒状コア40)
図20および図21を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いられる筒状コア40について説明する。図21においては、図示上の便宜のために、筒状コア40の外表面41とバンドル30とがやや離間して示されているが、実際にはこれらは密着している。
【0109】
主として図20を参照して、上述のとおり、筒状コア40は、筒状に形成されている。筒状コア40は、一端40a側に円形の開口部40Haと、他端40b側に円形の開口部40Hbとを有している。開口部40Hbの口径は、開口部40Haの口径より小さく設定されている。
【0110】
筒状コア40の他端40b側の外表面41には、開口部40Hbに向かって筒径方向内側に延在するエルボ部42が設けられている。エルボ部42の表面に、筒軸40cと平行な方向(紙面上下方向)に延びる薄板状の複数の支持リブ46が設けられている。支持リブ46により、拡散部48とエルボ部42の表面とが繋がっている。
【0111】
拡散部48は、突出部48Tと、基台部48Bとを有している。基台部48Bは略円柱状に形成されている。突出部48Tは、基台部48Bの(紙面下方側における)中央部の表面から、筒状コア40の開口部40Hbに向かって突出する略円錐状に形成されている。突出部48Tの中央部付近は、なだらかな凸面を形成しているとよい(図20参照)。
【0112】
筒状コア40の他端40b側における外表面41(筒状コア40におけるエルボ部42の表面)は、エルボ部42において全周にわたってR面取り処理が施されている。換言すると、筒状コア40の一端40aから筒状コア40の他端40bに向かうにつれ、エルボ部42における外径が徐々に小さくなるように構成されている。
【0113】
(作用・効果)
図21を参照して、上述のとおり、伝熱管8(図4参照)の他端8bに到達した血液は、拡散部48の突出部48Tに向かって流れ出る。血液は、突出部48Tに接触した後、筒径方向の外側に向かうように流れる方向を変える。
【0114】
血液は、エルボ部42と、基台部48Bと、支持リブ46とに囲まれる出口部47から排出され、バンドル30における中空糸膜の外表面に接触する。一部の血液は、矢印AR41に示すように、エルボ部42における外表面41に沿って緩やかな円弧を描きながら中空糸膜の外表面に接触する。血液は、中空糸膜の間に形成されている隙間を流れる。
【0115】
仮に、エルボ部42においてR面取り処理が施されていないとすると、出口部47から排出された血液のすべては、中空糸膜の外表面に直交する方向に流れ、中空糸膜の外表面に対して正面から接触する。これにより、血液に圧力損失が生じる。一部の血液中の細胞および血小板が破壊される場合もある。
【0116】
筒状コア40によれば、エルボ部42においてR面取り処理が施されていることにより、血液は緩やかに方向転換することが可能となる。血液に圧力損失が生じることを抑制でき、血液中の細胞および血小板が破壊されることも抑制できる。結果として、筒状コア40を用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0117】
(筒状コア40A)
図22を参照して、熱交換器一体型人工肺1に用いることができる筒状コア40A(筒状コア40の変形例)について説明する。ここでは、筒状コア40との相違点についてのみ説明する。図22においては、図示上の便宜のために、筒状コア40の外表面41とバンドル30とがやや離間して示されているが、実際には、後述する隙間S42を除いてこれらは密着している。
【0118】
筒状コア40Aにおいては、他端40b側の外表面41に、複数のリブ44が設けられている。リブ44は、外表面41から筒径方向の外側に向かって突出している。リブ44の高さは、他端40b側から一端40a側に向かうにつれ、頂部44Tに向かって高くなり、頂部44Tを起点として、以降緩やかに低くなるように構成されているとよい。
【0119】
リブ44は、筒状コア40の他端40b側から筒軸40cと略平行な方向に延在している。リブ44は、筒状コア40Aの他端40b側を起点に、筒状コア40の一端40aに達しない長さ44Hをもって延在している。リブ44は、周方向に所定の間隙を空けて並んでいる。
【0120】
リブ44により、筒状コア40の外表面41とバンドル30における中空糸膜との間には、筒軸40cと略平行な方向に延在する隙間S42が形成されている。隙間S42は、出口部47に連通している。筒状コア40Aにおいては、上述の筒状コア40と同様に、エルボ部42においてR面取り処理が施されていてもよい。
【0121】
(作用・効果)
上述のとおり、伝熱管8(図4参照)の他端8bに到達した血液は、拡散部48の突出部48Tに向かって流れ出る。血液は、突出部48Tに接触した後、筒径方向の外側に向かうように流れる方向を変える。
【0122】
血液は、出口部47から排出され、バンドル30における中空糸膜の外表面に接触する。一部の血液は、矢印AR42に示すように、隙間S42に流れ込んだ後、徐々に中空糸膜の外表面に接触する。一部の血液は、その後、中空糸膜の間に形成されている隙間を流れる。
【0123】
仮に、外表面41にリブ44が設けられていないとすると、出口部47から排出された血液のすべては、中空糸膜の外表面に直交する方向に流れ、中空糸膜の外表面に対して正面から接触する。これにより、血液に圧力損失が生じる。一部の血液中の細胞および血小板が破壊される場合もある。
【0124】
筒状コア40Aによれば、外表面41にリブ44が設けられていることにより、血液は徐々に中空糸膜の間に形成された隙間に流入することが可能となる。血液に圧力損失が生じることを抑制でき、血液中の細胞および血小板が破壊されることも抑制できる。結果として、筒状コア40Aを用いることにより、性能をさらに向上させた熱交換器一体型人工肺1を得ることができる。
【0125】
以上、本発明の発明を実施するための形態について説明したが、今回開示された形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
1 熱交換器一体型人工肺、7a〜7d,32,34 シール部材、8 伝熱管、8a,20a,30a,40a,70a,98a 一端、8b,20b,30b,40b,48b,70b 他端、10 第1ヘッダ、20 ハウジング、21,41,71 外表面、22 ガス入口ポート、24 ガス出口ポート、28 血液出口ポート、30 バンドル、40,40A 筒状コア、40c,70c 筒軸、40Ha,40Hb,60H,92H,94H 開口部、42 エルボ部、44,96L,96R リブ、44T 頂部、46 支持リブ、47 出口部、48 拡散部、48B 基台部、48T 突出部、60 第2ヘッダ、70,70A,70B 熱交換器ケース、72,72L,72R 内表面、74 熱交換媒体入口ポート、74c,76c 管軸、76 熱交換媒体出口ポート、80,80A 管群、81 円周部、82 第1弦状部、83 第2弦状部、90,90A〜90E 底部材、91 法線方向、92 外壁、92a,94a 端部、93 環状壁、93c 内周面、93d 外周面、94 内壁、95 突起、95a 先端部、96 底面、96a,96b 底上部、96c 溝部、96T 投影領域、98 血液入口ポート、98c 内部、AR10〜AR17,AR20〜AR24,AR30〜AR36,AR41,AR42,AR71〜AR73,AR71a〜AR71c,AR72a〜AR72c,AR73a〜AR73c,AR90〜AR94,AR96L1,AR96L2,AR96R1,AR96R2,AR99a,AR99b 矢印、H1,H2,H72L,H72R 距離、S 空間、S42 隙間、W72L,W72R 幅、W74,W76 管径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に血液入口ポートが配置される熱交換器と、
一端側から前記熱交換器が嵌挿され、前記熱交換器の他端側に対向するように配設され且つ前記熱交換器の前記他端側から流出した血液の流れを筒径方向の外側に方向転換させる拡散部を他端側に有する筒状コアと、
中空糸膜から構成され、前記筒状コアの外表面を取り囲み、前記拡散部の出口部から流出した前記血液が流れるバンドルと、
前記バンドルに連通し、前記バンドルを流れた前記血液を排出する血液出口ポートと、
を備え、
前記筒状コアの前記他端側における前記外表面は、全周にわたってR面取り処理が施されている、
熱交換器一体型人工肺。
【請求項2】
一端側に血液入口ポートが配置される熱交換器と、
一端側から前記熱交換器が嵌挿され、前記熱交換器の他端側に対向するように配設され且つ前記熱交換器の前記他端側から流出した血液の流れを筒径方向の外側に方向転換させる拡散部を他端側に有する筒状コアと、
中空糸膜から構成され、前記筒状コアの外表面を取り囲み、前記拡散部の出口部から流出した前記血液が流れるバンドルと、
前記バンドルに連通し、前記バンドルを流れた前記血液を排出する血液出口ポートと、
を備え、
前記筒状コアの前記他端側における前記外表面には、筒径方向外側に向かって突出し、前記筒状コアの前記他端側から前記筒状コアの前記一端に達しない長さで延在する複数のリブが設けられ、
複数の前記リブにより前記筒状コアの前記外表面と前記バンドルとの間に形成された各隙間に、前記拡散部の前記出口部から流出した前記血液の一部が流れる、
熱交換器一体型人工肺。
【請求項3】
前記熱交換器は、
熱交換器ケースと、
前記血液入口ポートを有し、前記熱交換器ケースの一端に取り付けられる底部材と、
前記熱交換器ケースの内部に装填され、前記底部材を通して一端から前記血液が流入される複数の伝熱管と、
前記伝熱管の外表面に対して所定の熱交換媒体を供給する熱交換媒体供給手段と、を有する、
請求項1または2に記載の熱交換器一体型人工肺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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